ある日突然、コインほどの大きさの脱毛を見つけて、大きな不安に襲われた経験はありませんか。

円形脱毛症は、性別や年齢を問わず誰にでも起こりうる症状ですが、特に女性にとっては、容姿の変化が精神的な負担となり、深刻な悩みにつながることが少なくありません。

近年、社会環境の変化やライフスタイルの多様化に伴い、女性が円形脱毛症に悩むケースが増えていると感じる方もいるようです。

この記事では、なぜ女性の円形脱毛症が増加傾向にあるのか、その背景にある原因を詳しく解説します。さらに、日常生活の中で実践できる予防対策についても、具体的な方法を交えてご紹介します。

目次

円形脱毛症への理解を深める

円形脱毛症について考えるとき、多くの人が単なる「髪が抜けること」と捉えがちですが、背景には複雑な体の働きが関わっています。

円形脱毛症は皮膚の病気

円形脱毛症は、一般的に考えられているような単なる脱毛現象ではなく、医学的には皮膚の病気の一つとして分類され、毛髪を作り出す組織である毛包が、何らかの原因でダメージを受けることで発症します。

特徴的なのは、円形や楕円形の脱毛斑が突然現れる点です。

痛みやかゆみといった自覚症状を伴わないことがほとんどであるため、ご自身では気づかず、美容室や家族からの指摘で初めて知るケースも珍しくありません。

女性が抱える特有の悩み

髪は「女性の命」という言葉があるように、女性にとって髪は美しさや自己表現の重要な要素です。そのため、脱毛という症状は、男性が経験する悩みとはまた違った、深刻な精神的苦痛を伴うことがあります。

周囲の視線が気になったり、自信を喪失したり、社会生活への意欲が低下したりと、影響は心理的な側面に大きく及びます。

特に、脱毛斑が複数できたり、広範囲に広がったりすると、その悩みは一層深くなる傾向があります。

正しい知識を持つことの重要性

円形脱毛症に直面したとき、多くの人がインターネットで情報を検索しますが、不正確な情報や根拠のない治療法もあふれています。

誤った情報に振り回されると、かえって症状を悪化させたり、精神的なストレスを増やしたりする原因にもなりかねません。大切なのは、科学的な根拠に基づいた正しい知識を持つことです。

円形脱毛症の主な種類

種類特徴概要
単発型円形または楕円形の脱毛斑が1つできる最も多く見られるタイプで、自然に治ることも多い。
多発型脱毛斑が2つ以上できる脱毛斑が融合して、より大きな脱毛になることもある。
全頭型頭部全体の髪が抜けてしまう進行が早く、治療が長期にわたることがある。

なぜ?女性の円形脱毛症が増えていると感じる背景

「最近、円形脱毛症になったという話をよく聞く」「自分だけでなく、周りにも悩んでいる人がいる」と感じる女性は少なくないかもしれません。

実際に円形脱毛症の患者数が増加しているという明確な統計データはありませんが、そのように感じる背景には、現代社会特有のいくつかの要因が考えられます。

現代社会におけるストレス要因の多様化

現代社会は、かつてないほど複雑化し、私たちは日々さまざまなストレスにさらされています。

仕事における責任の増大、職場や家庭での人間関係、経済的な不安、SNSを通じた他者との比較など、ストレスの原因は多岐にわたります。

特に女性は、仕事と家庭の両立、育児や介護といった役割を担うことも多く、心身ともに大きな負担を抱えやすいのが現状です。

このような慢性的なストレスが、体の防御システムである免疫機能に影響を及ぼし、円形脱毛症の引き金の一つになると考えられています。

ライフスタイルの変化とホルモンバランス

食生活の欧米化、睡眠不足、運動不足といったライフスタイルの変化も、私たちの体に大きな影響を与えます。

不規則な生活や栄養バランスの偏りは、自律神経の乱れを起こし、ホルモンバランスを崩す原因です。

女性の体は、月経、妊娠、出産、更年期といったライフステージを通じて、ホルモンバランスが大きく変動します。

バランスが生活習慣の乱れによってさらに崩れることで、免疫系が正常に機能しなくなり、円形脱毛症を発症しやすくなる可能性があります。

自己免疫疾患としての認知度向上

かつて円形脱毛症は「精神的なストレスが原因」と一括りにされがちでした。

しかし、近年の研究により、体の免疫システムが自身の毛包を誤って攻撃してしまう「自己免疫疾患」であることが広く知られるようになりました。

専門家が解説する機会が増え、この症状が単なるストレス性の現象ではないという正しい認識が広まったことも、「増えている」と感じる一因かもしれません。

多くの人が症状について知ることで、これまで一人で悩んでいた人も声を上げやすくなったと考えられます。

円形脱毛症の基本的な仕組み

円形脱毛症を正しく予防し、対処するためには、発生の仕組みを理解することが重要です。なぜ健康な髪が突然抜けてしまうのか、その背景にある体の内部での出来事について見ていきましょう。

自己免疫反応とは何か

私たちの体には、外部から侵入してきた細菌やウイルスなどを異物として認識し、攻撃して体を守る「免疫」というシステムが備わっています。

しかし、この免疫システムに何らかの異常が生じると、自分自身の正常な細胞や組織を誤って「敵」と見なして攻撃してしまうことがあります。

これを「自己免疫反応」と呼び、この反応が原因で起こる病気が「自己免疫疾患」で、円形脱毛症は、自己免疫反応が髪の毛を作り出す「毛包」に対して起こってしまう状態です。

免疫細胞であるTリンパ球が毛包を攻撃し、毛包が傷つけられて髪の毛が成長できなくなり、抜け落ちてしまいます。

脱毛斑の数や範囲による分類

円形脱毛症は、脱毛斑の状態によっていくつかのタイプに分けられ、最も一般的なのは、頭部に円形の脱毛斑が1つだけできる「単発型」です。多くの場合、数ヶ月で自然に回復に向かいます。

脱毛斑が2つ以上できる場合は「多発型」と呼ばれ、脱毛斑同士がくっついて範囲が広がることもあります。

さらに症状が進行し、頭部全体の髪が抜けてしまうと「全頭型」、眉毛、まつ毛、体毛など全身の毛が抜けてしまう状態を「汎発型(ばんぱつがた)」と呼び、治療が長期にわたる傾向があります。

円形脱毛症の進行パターン

進行パターン脱毛の範囲特徴的な症状
蛇行状脱毛症後頭部から側頭部の生え際髪の生え際に沿って、帯状に脱毛が広がる。
急性びまん性脱毛症頭部全体急速に頭部全体の毛髪が薄くなる。
全頭型・汎発型頭部全体または全身治療が困難なケースもある重症型。

女性に見られる特徴的なパターン

女性の場合、男性に多い頭頂部や前頭部が薄くなる男性型脱毛症(AGA)とは異なり、円形脱毛症は頭部のどの部分にも発生する可能性があります。

また、女性ホルモンの影響からか、びまん性(広範囲にわたって全体的に薄くなる)の脱毛と合併して発症することもあります。

そのため、単なる「薄毛」なのか、円形脱毛症が隠れているのか、ご自身での判断が難しいです。

分け目が広がってきたと感じていたら、実は多発型の円形脱毛症が始まっていたというケースもあります。

他の脱毛症との見分け方

女性の脱毛症には、円形脱毛症の他にも、加齢やホルモンバランスの変化による「女性型脱毛症(FAGA)」、頭皮の血行不良や栄養不足が原因の「びまん性脱毛症」、髪を強く引っ張る髪型が原因の「牽引性脱毛症」などがあります。

円形脱毛症の最大の特徴は、境界が比較的はっきりとした円形または楕円形の脱毛斑ができる点です。

他の脱毛症では、全体的に髪が薄くなったり、分け目が目立ったりすることが多いのに対し、円形脱毛症は部分的にごっそりと毛が抜けるという違いがあります。

ただし、初期段階や非典型的なケースでは見分けが難しいこともあるため、自己判断せずに専門の医療機関に相談することが大切です。

女性の円形脱毛症を起こす主な原因

円形脱毛症が自己免疫疾患であることは分かってきましたが、ではなぜ免疫システムに異常が起きてしまうのでしょうか。

自己免疫機能の異常

円形脱毛症の直接的な原因は、前述の通り、免疫細胞が毛包を攻撃してしまう自己免疫反応です。

通常、毛包は免疫細胞から攻撃されないように守られていますが、この防御機能が何らかのきっかけで破られます。

精神的・身体的ストレスの影響

「ストレスで髪が抜ける」という言葉をよく耳にしますが、ストレスは円形脱毛症と深い関わりがあります。

強い精神的ストレス(人間関係の悩み、仕事のプレッシャー、身内の不幸など)や、身体的ストレス(過労、睡眠不足、手術、出産など)は、自律神経やホルモンバランスを乱します。

乱れが免疫系に影響を与え、自己免疫反応を引き起こすきっかけとなることがあります。ただし、ストレスはあくまで誘因の一つであり、ストレスを感じる全ての人が円形脱毛症になるわけではありません。

ストレスが体に与える影響

影響を受ける系統具体的な変化結果として起こりうること
自律神経系交感神経が優位になる血管収縮、血行不良、胃腸機能の低下
内分泌(ホルモン)系コルチゾール(ストレスホルモン)の分泌増加免疫機能の低下、血糖値の上昇
免疫系免疫細胞のバランスが崩れる感染症への抵抗力低下、自己免疫反応の誘発

ホルモンバランスの乱れ

女性の体は、一生を通じてホルモンバランスがダイナミックに変動し、特に、妊娠・出産期や更年期は、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの分泌量が大きく変化する時期です。

出産後には、ホルモンバランスが急激に元に戻ろうとすることで「分娩後脱毛症」が起こることが知られていますが、この時期に円形脱毛症を発症・再発する人も少なくありません。

また、更年期に女性ホルモンが減少することも、免疫系のバランスに影響を与え、発症の一因です。

遺伝的素因とアトピー素因

円形脱毛症の発症には、遺伝的な要因も関与していると考えられていて、欧米の報告では、円形脱毛症の患者さんのうち10~42%に家族内での発症が見られるとされています。

血縁者に円形脱毛症の方がいる場合、体質的に発症しやすい可能性があるといえます。ただし、遺伝するのはあくまで「なりやすい体質」であり、必ずしも発症するわけではありません。

また、「アトピー素因」を持つ人も円形脱毛症になりやすいことが分かっています。

アトピー素因とは、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎などを本人または家族が持っている体質のことです。

アトピー素因を持つ人は、免疫システムが過敏に反応しやすい傾向があり、そのことが毛包への攻撃につながるのではないかと考えられています。

  • アトピー性皮膚炎
  • 気管支喘息
  • アレルギー性鼻炎
  • アレルギー性結膜炎

今日から始められる円形脱毛症の予防対策

円形脱毛症の明確な発症原因はまだ不明な点が多いため、「これをすれば絶対に防げる」という確実な予防法はありません。

しかし、発症の誘因となるストレスや生活習慣の乱れを改善し、心と体の健康を保つことは、発症リスクを低減させ、症状の悪化や再発を防ぐ上で非常に重要です。

心と体の健康を保つストレスマネジメント

ストレスを完全になくすことは困難ですが、上手に付き合っていく方法を見つけることは可能です。

まずは、自分が何に対してストレスを感じているのかを認識し、それに対する考え方や行動を変える工夫をしてみましょう。

趣味に没頭する時間を作ったり、友人や家族に話を聞いてもらったりするのも良い方法です。ヨガや瞑想、アロマテラピーなどを取り入れ、心身をリラックスさせる習慣も助けになります。

リラックス効果を高めるためのヒント

方法具体例期待できること
深呼吸腹式呼吸を意識し、ゆっくりと息を吸って吐く副交感神経を優位にし、心身を落ち着かせる
軽い運動ウォーキング、ストレッチ、ヨガなど気分転換、血行促進、セロトニン分泌促進
自然との触れ合い公園の散歩、森林浴、ガーデニング心拍数やストレスホルモンの低下

健やかな髪を育む食生活のポイント

髪の毛も体の一部であり、日々の食事から作られ、健やかな髪を育むためには、バランスの取れた食事が基本です。特定の食品だけを食べるのではなく、多様な食材から栄養を摂取することを心がけましょう。

特に、髪の主成分であるタンパク質、頭皮の健康を保つビタミン群、そして栄養を運ぶために重要なミネラルを意識して摂ることが大切です。

外食や加工食品が多いと栄養が偏りがちになるため、できるだけ自炊を心がけ、和食中心の食生活にするとバランスが整いやすくなります。

質の良い睡眠を確保するための生活習慣

睡眠は、心身の疲労を回復させ、細胞の修復や再生を行うための重要な時間です。

髪の成長に欠かせない成長ホルモンは、特に深い眠りの間に多く分泌され、睡眠不足や質の悪い睡眠が続くと、ホルモンバランスや自律神経が乱れ、免疫機能にも悪影響を及ぼします。

毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きる習慣をつけ、体内リズムを整えましょう。就寝前のスマートフォンやパソコンの使用は、脳を覚醒させてしまうため控えてください。

  • 就寝1~2時間前の入浴
  • カフェインやアルコールの摂取を控える
  • 寝室の温度や湿度を快適に保つ
  • 自分に合った寝具を選ぶ

頭皮環境を整えるヘアケア

健やかな髪は、健康な頭皮から生まれます。頭皮を清潔に保ち、血行を促進するヘアケアは、円形脱毛症の予防においても大切な要素です。ただし、過度なケアは逆効果になることもあります。

ご自身の頭皮タイプに合ったシャンプーを選び、爪を立てずに指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。

シャンプーやトリートメントのすすぎ残しは、頭皮のトラブルの原因になるため、十分に洗い流してください。また、頭皮の血行を促すマッサージも有効ですが、強くこすりすぎないように注意が必要です。

円形脱毛症の予防と改善に役立つ栄養素

バランスの取れた食事が基本であることは前述の通りですが、ここでは特に健やかな髪と頭皮のために意識して摂取したい栄養素について、その働きと多く含まれる食品を具体的にご紹介します。

髪の主成分となるタンパク質

髪の毛の約90%は、「ケラチン」というタンパク質でできているため、タンパク質が不足すると、髪が細くなったり、弱くなったりする原因になります。

肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など、良質なタンパク質を毎日の食事にバランス良く取り入れましょう。

特に、大豆製品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンと似た働きをすることで知られており、ホルモンバランスを整える助けにもなります。

タンパク質を多く含む食品群

食品群主な食品ポイント
動物性タンパク質鶏肉、豚肉、牛肉、魚、卵アミノ酸バランスに優れるが、脂質の摂り過ぎに注意
植物性タンパク質豆腐、納豆、豆乳、きな粉低脂質で、イソフラボンや食物繊維も同時に摂取できる

健やかな頭皮を保つビタミン類

ビタミンは、体の機能を正常に保つために欠かせない栄養素であり、頭皮の健康維持にも重要な役割を果たします。

ビタミンB群は、皮膚や粘膜の健康を保ち、タンパク質の代謝を助ける働きがあり、ビタミンAやビタミンCは、頭皮の細胞を健康に保つ抗酸化作用を持ち、ビタミンEは血行を促進して頭皮に栄養を届けやすくします。

このようなビタミンは、緑黄色野菜、果物、ナッツ類などに豊富に含まれています。

血行を促進し、栄養を届けるミネラル

ミネラルも、髪の健康に深く関わっています。特に重要なのが「亜鉛」です。亜鉛は、タンパク質(ケラチン)の合成に必要で、不足すると髪の成長が妨げられることがあります。

また、細胞分裂を助ける働きもあり、毛母細胞が活発に分裂するためにも欠かせません。亜鉛は、牡蠣やレバー、牛肉などに多く含まれます。

また、「鉄分」も重要で、鉄分は、血液中のヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を運ぶ役割を担っています。鉄分が不足すると、頭皮が酸欠状態になり、髪の成長に悪影響が出ることがあります。

女性は月経により鉄分を失いやすいため、意識的な摂取が大切です。

髪の健康に重要なミネラル

ミネラル主な働き多く含む食品
亜鉛ケラチンの合成、細胞分裂の促進牡蠣、レバー、牛肉、チーズ
鉄分血液による酸素の運搬レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじき

専門家への相談を考えるタイミング

円形脱毛症は、自然に治ることもありますが、症状によっては専門的な対応が必要な場合もあります。

セルフケアを続けても改善しない、あるいは症状が悪化するような場合は、一人で抱え込まずに皮膚科などの医療機関に相談することが重要です。

セルフケアで改善が見られない場合

生活習慣の見直しやストレスケアを数ヶ月続けても、脱毛斑の大きさが変わらない、あるいは新しい脱毛斑ができてしまう場合は、医療機関の受診を検討しましょう。

脱毛斑の直径が500円玉よりも大きくなっている場合は、自然治癒が難しいケースもあるため、早めに専門家の意見を聞くことをお勧めします。

脱毛範囲が急速に広がる場合

脱毛が始まったと思ったら、短期間のうちに範囲がどんどん広がっていく、あるいは脱毛斑の数が増えていく場合は、注意が必要です。

これは、症状が急速に進行しているサインであり、多発型や全頭型に移行する可能性も考えられます。このような場合は、様子を見ずに、できるだけ早く医療機関を受診してください。

医療機関で受けられる一般的な情報提供

皮膚科などの医療機関では、まず問診と視診によって円形脱毛症の診断を行います。問診では、いつから症状が始まったか、既往歴や家族歴、生活習慣などについて尋ねられます。

視診では、脱毛斑の状態や範囲、毛髪の状態などを詳しく観察します。

場合によっては、ダーモスコピーという特殊な拡大鏡で頭皮を観察したり、他の病気が隠れていないかを確認するために血液検査を行ったりすることもあります。

受診時に伝えるとよい情報

項目伝える内容の例
症状についていつから、どの部分に、どのような脱毛が始まったか
既往歴・家族歴アトピー性皮膚炎の有無、血縁者の円形脱毛症の有無
生活習慣最近のストレス状況、睡眠時間、食生活など

女性の円形脱毛症に関するよくある質問

最後に、円形脱毛症に関して女性から多く寄せられる質問と回答をまとめました。不安や疑問の解消にお役立てください。

Q
髪を洗うと抜け毛が増える気がします。洗髪は控えるべきですか?
A

洗髪を控える必要はありません。洗髪時に抜ける毛は、すでに成長が止まっていて、いずれは抜け落ちる運命にあった毛です。

洗髪を控えても脱毛症の進行は止められませんし、頭皮が不潔になることで、かゆみや炎症などの別のトラブルを引き起こす可能性があります。

頭皮を清潔に保つことは、健康な髪が再び生えてくるための土台作りとして重要です。低刺激性のシャンプーを使い、指の腹で優しく洗うことを心がけましょう。

Q
ウィッグや帽子を使っても大丈夫ですか?
A

ウィッグや帽子を使用することが、円形脱毛症を悪化させることはありません。

脱毛部分をカバーすることで、周囲の視線を気にせず安心して外出できたり、精神的なストレスが軽減されたりするなど、良い影響をもたらすことが多いです。

通気性の良い素材を選び、長時間着用する場合は時々外して頭皮を休ませましょう。

Q
一度治っても再発することはありますか?
A

残念ながら、再発する可能性はあります。円形脱毛症は、一度治っても、体調の変化やストレスなどをきっかけに再び症状が現れることがあります。

日頃から心身の健康を保つ生活を心がけることが、何よりの再発予防になり、もし再発してしも、早期に対処すれば、症状の悪化を防げます。

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