円形脱毛症は、ある日突然、コインのような形の脱毛斑が現れる疾患で、性別や年齢を問わず誰にでも起こりえます。一度改善しても再発を繰り返すケースも多く、長期的な視点でのケアが必要です。
この記事では、女性の円形脱毛症がなぜ繰り返すのか、その再発をどのように防ぎ、どのようなケアを続けていけば良いのかについて、詳しく解説します。
円形脱毛症と診断され、不安を抱えている方や、再発を予防したいと考えている方にとって、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
円形脱毛症とは何か
円形脱毛症について漠然とした知識はあっても、詳しい特徴や原因、なぜ繰り返しやすいのかについては、十分に理解していない方もいるかもしれません。
円形脱毛症の基本的な特徴
円形脱毛症の最も代表的な症状は、境界がはっきりとした円形または楕円形の脱毛斑が突然現れることで、脱毛斑の大きさは、1円玉程度のものから頭部全体に広がるものまで様々です。
通常、かゆみや痛みといった自覚症状は伴いませんが、一部の方では軽いかゆみや違和感を覚えることもあります。
脱毛斑の数は1つだけの場合(単発型)もあれば、複数できる場合(多発型)もあります。
進行すると、脱毛斑が融合して大きくなったり、頭髪全体が抜ける「全頭型」、さらには眉毛、まつ毛、体毛など全身の毛が抜ける「汎発型」に至ることもあります。
脱毛部の毛穴は残っており、毛の再生能力は保たれていることが多いです。
円形脱毛症の主な種類
種類 | 特徴 | 一般的な経過 |
---|---|---|
単発型 | 脱毛斑が1つだけ現れる | 自然に治癒することも多いが、再発の可能性もある |
多発型 | 脱毛斑が複数現れる | 治癒と再発を繰り返すことがある |
全頭型 | 頭髪のほぼ全てが脱毛する | 治療が長期にわたることが多い |
汎発型 | 頭髪だけでなく、眉毛、まつ毛、体毛など全身の毛が脱毛する | 治療が難しく、慎重な対応が必要 |
女性に多い円形脱毛症のパターン
円形脱毛症は男性にも女性にも発症しますが、女性の場合、特に美容面での悩みが深くなりがちです。発症年齢のピークは20代から30代に見られることが多いですが、どの年代でも起こりえます。
女性では、びまん性の脱毛(全体的に薄くなる)と合併して円形脱毛症が見られることもあり、また、甲状腺疾患や膠原病といった自己免疫疾患を持つ女性に発症しやすい傾向も指摘されています。
精神的なストレスが引き金になることも多く、仕事や家庭、人間関係など、女性が抱えやすいストレスが影響している可能性も考えられます。
円形脱毛症と他の脱毛症との違い
女性の薄毛や抜け毛の原因は円形脱毛症だけではなく、適切なケアのためには、他の脱毛症との違いを理解しておくことが大切です。
びまん性脱毛症との比較
びまん性脱毛症は、特定の部位だけでなく頭部全体の髪の毛が均等に薄くなる状態を指し、FAGA(女性男性型脱毛症)や慢性休止期脱毛などが該当し、円形脱毛症のような境界明瞭な脱毛斑は見られません。
原因としては、ホルモンバランスの乱れ、加齢、栄養不足、ストレスなどが考えられます。
牽引性脱毛症との比較
牽引性脱毛症は、ポニーテールやきつい編み込みなど、髪を強く引っ張る髪型を長期間続けることで、毛根に負担がかかり、生え際や分け目の髪が薄くなる脱毛症です。
原因が物理的な牽引であるため、髪型を変えることで改善が期待できます。
脂漏性脱毛症との比較
脂漏性脱毛症は、頭皮の皮脂が過剰に分泌されることで毛穴が詰まり、炎症(脂漏性皮膚炎)が起こり、その結果として抜け毛が増える状態で、頭皮の赤み、かゆみ、フケなどが伴うことが多いです。
円形脱毛症とは異なり、脱毛斑の境界は不明瞭になります。
円形脱毛症の再発を引き起こす主な要因
円形脱毛症の再発は、様々な要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。
自己免疫機能の異常と再発リスク
前述の通り、円形脱毛症の根本には自己免疫機能の異常があり、毛包組織に対する免疫応答が過剰になることで発症し、この免疫異常が持続したり、何らかの刺激で再活性化したりすると再発につながります。
特に、アトピー素因(アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などにかかりやすい体質)を持つ人は、免疫系が過敏に反応しやすいため、円形脱毛症を発症しやすく、再発リスクも高いです。
ストレスが再発に与える影響
精神的ストレスや身体的ストレスは、円形脱毛症の発症や再発の大きな誘因となることが知られています。
ストレスは自律神経系やホルモンバランス、免疫系に影響を及ぼし、免疫細胞の働きを乱す可能性があり、毛根への攻撃が再開され、脱毛が始まると考えられます。
日常生活におけるストレスは多岐にわたり、仕事上のプレッシャー、人間関係の悩み、家庭内の問題、大切な人との別れ、経済的な不安などが精神的ストレスとして挙げられます。
また、過労、睡眠不足、不規則な生活、病気や怪我なども身体的ストレスです。
ストレスの種類
ストレスの種類 | 具体例 | 影響 |
---|---|---|
精神的ストレス | 仕事のプレッシャー、人間関係のトラブル、家庭問題、育児の悩み、将来への不安 | 自律神経の乱れ、ホルモンバランスの変動、免疫機能の低下 |
身体的ストレス | 過労、睡眠不足、不規則な食生活、病気、手術、急激なダイエット | 体力低下、免疫力低下、ホルモンバランスの乱れ |
環境的ストレス | 騒音、気温の変化、引っ越しなど環境の変化 | 適応するためのエネルギー消費、自律神経への影響 |
生活習慣の乱れと再発の関連性
不規則な生活習慣も、円形脱毛症の再発に影響を与える要因の一つです。特に、睡眠不足は自律神経のバランスを崩し、免疫機能を低下させる可能性があります。
また、栄養バランスの偏った食事は、髪の毛の成長に必要な栄養素が不足し、毛髪や頭皮の健康状態を悪化させる可能性があります。
喫煙は血管を収縮させて血行を悪くし、頭皮への栄養供給を妨げ、過度な飲酒も内臓に負担をかけ、体全体の健康状態を損ないます。
その他の考えられる要因
上記以外にも、円形脱毛症の再発に関与する可能性のある要因がいくつかあります。
- 遺伝的素因: 家族に円形脱毛症の人がいる場合、発症しやすい傾向がある
- アトピー素因: 前述の通り、アトピー体質の人は再発しやすい
- 内分泌疾患: 甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症などの甲状腺疾患は、円形脱毛症と関連がある
- 感染症: ウイルス感染などが免疫系に影響を与え、円形脱毛症の引き金になる可能性
- 薬剤の影響: 一部の薬剤が副作用として脱毛を起こすことがある
要因が単独で、あるいは複数組み合わさって再発に関与します。
円形脱毛症の再発を防ぐための日常生活での心がけ
円形脱毛症の再発を完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、日常生活での心がけによって、リスクを低減することは可能です。
ストレスマネジメントの重要性
ストレスは円形脱毛症の大きな誘因となるため、ストレスを上手にコントロールすることが再発予防には非常に重要です。
完全にストレスをなくすことは難しいですが、自分に合った方法でストレスを溜め込まないように工夫しましょう。
ストレス軽減に役立つ活動例
活動の種類 | 具体例 | 期待できる効果 |
---|---|---|
趣味・娯楽 | 読書、音楽鑑賞、映画鑑賞、ガーデニング、手芸、旅行 | 気分転換、楽しみによる精神的充足 |
運動 | ウォーキング、ジョギング、水泳、ヨガ、ダンス | 血行促進、気分高揚、睡眠の質の向上 |
リラクゼーション | 深呼吸、瞑想、アロマテラピー、入浴、マッサージ | 心身の緊張緩和、自律神経の調整 |
バランスの取れた食事と栄養摂取
健康な髪と頭皮を維持するためには、バランスの取れた食事が基本で、特定の食品だけを摂取するのではなく、多様な食品から必要な栄養素をまんべんなく摂ることが重要です。
髪の成長に必要な栄養素
髪の主成分はケラチンというタンパク質で、良質なタンパク質の摂取は欠かせません。
また、タンパク質の合成を助ける亜鉛、頭皮の血行を促進するビタミンE、細胞の成長を促すビタミンB群、コラーゲンの生成に関わるビタミンC、そして酸素を運搬する鉄分なども、健康な髪の育成には必要です。
摂取を心がけたい食品群
具体的には、肉類、魚介類、卵、大豆製品からタンパク質を、牡蠣やレバー、ナッツ類から亜鉛を、緑黄色野菜や果物からビタミン類を、海藻類からミネラルを摂取することを心がけましょう。
様々な色の食材を組み合わせることで、自然と栄養バランスが整いやすくなります。
避けるべき食習慣
脂質の多い食事、糖分の過剰摂取、インスタント食品や加工食品の多用は、頭皮環境の悪化や栄養バランスの偏りを招く可能性があります。
完全に避ける必要はありませんが、摂取頻度や量には注意が必要です。また、極端な食事制限によるダイエットも、髪に必要な栄養素が不足し、脱毛を助長する可能性があります。
質の高い睡眠を確保する方法
睡眠は、体の修復や成長ホルモンの分泌に重要な役割を果たし、睡眠不足や質の低い睡眠は、自律神経の乱れや免疫力の低下を起こし、円形脱毛症の再発リスクを高めます。
質の高い睡眠を確保するためには、まず規則正しい生活リズムを心がけ、毎日同じくらいの時間に寝起きすることが大切です。
寝る前のカフェイン摂取や飲酒、スマートフォンの使用は睡眠の質を下げるため控えましょう。
適度な運動の習慣化
適度な運動は、全身の血行を促進し、頭皮への栄養供給をスムーズにする効果が期待でき、また、ストレス解消や自律神経のバランスを整える効果もあり、円形脱毛症の再発予防に繋がります。
激しい運動である必要はなく、ウォーキング、ジョギング、水泳、ヨガ、ストレッチなど、自分が楽しめるものを継続することが大切です。
頭皮環境を整える長期的なヘアケア
円形脱毛症の再発予防には、頭皮環境を健やかに保つことも重要で、日々のヘアケアを見直し、頭皮に優しい方法を実践しましょう。
正しいシャンプーの選び方と洗い方
シャンプーは、頭皮の汚れを落とし清潔に保つために必要ですが、洗浄力が強すぎるものや刺激の強いものは、頭皮の乾燥や炎症を起こし、かえって頭皮環境を悪化させます。
円形脱毛症の方は、頭皮への刺激が少ないアミノ酸系やベタイン系の洗浄成分を配合したシャンプーや、敏感肌用のシャンプーを選んでください。
香料や着色料、防腐剤などが少ない、シンプルな処方のものがおすすめです。
洗い方も重要で、シャンプー前にはブラッシングで髪のもつれを解き、ホコリを浮かせ、お湯で十分に予洗いした後、シャンプーを手のひらでよく泡立ててから髪と頭皮につけます。
洗う際は爪を立てず、指の腹を使って優しくマッサージするように洗いましょう。すすぎは特に丁寧に行い、シャンプー剤が残らないように注意します。
シャンプー後は、ドライヤーで髪と頭皮をしっかりと乾かしますが、熱風を長時間当てすぎないように気をつけてください。
シャンプー選びのポイント
ポイント | 説明 | 具体例 |
---|---|---|
洗浄成分 | 頭皮への刺激が少ないものを選ぶ | アミノ酸系、ベタイン系 |
添加物 | 香料、着色料、防腐剤などが少ないもの | 無添加、敏感肌用 |
pH値 | 弱酸性のものが頭皮に優しい | 製品表示を確認 |
頭皮マッサージの効果と注意点
頭皮マッサージは、頭皮の血行を促進し、毛根に栄養を届けやすくする効果が期待でき、また、リラックス効果もあり、ストレス軽減にも繋がります。
ただし、強い力でゴシゴシと擦ったり、爪を立ててマッサージしたりすると、頭皮を傷つけてしまうので、指の腹を使って、優しく揉みほぐすように行います。
シャンプー時や、育毛剤を塗布した後などに行うのが効果的です。
簡単な頭皮マッサージの方法
両手の指の腹を使い、生え際から頭頂部へ、側頭部から頭頂部へ、襟足から頭頂部へと、下から上に向かって円を描くように優しくマッサージします。頭皮全体を数分間、心地よいと感じる強さで行いましょう。
紫外線対策の必要性
紫外線は、肌だけでなく頭皮や髪にもダメージを与えます。頭皮が紫外線を浴びると、乾燥や炎症を起こし、毛髪の成長を妨げる可能性があります。
また、髪の毛自体も紫外線の影響でパサついたり、強度が低下したりするので、外出時には、帽子や日傘を使用して頭皮を紫外線から守ってください。分け目など、特に日焼けしやすい部分は注意が必要です。
円形脱毛症の再発時における初期対応
どんなに気をつけていても、円形脱毛症が再発してしまうことはあります。大切なのは、再発の兆候に早く気づき、適切に対応することです。
再発の兆候を見逃さない
円形脱毛症の再発は、多くの場合、以前と同じような場所に、あるいは新たな場所に小さな脱毛斑が現れることから始まります。
初期には、軽いかゆみやピリピリとした違和感、頭皮の赤みなどを伴うこともあります。
普段から鏡で頭皮の状態をチェックする習慣をつけたり、家族に定期的に見てもらったりするなどして、些細な変化にも気づけるようにしておくことが大切です。
再発の初期サイン
- 小さな円形または楕円形の脱毛斑の出現
- 脱毛部の軽いかゆみや違和感
- 脱毛部の頭皮の赤み
- 抜け毛の量が急に増える
早期に医療機関を受診するメリット
再発の兆候に気づいたら、自己判断で様子を見たり、市販薬で対処しようとしたりせず、できるだけ早く皮膚科や専門のクリニックを受診することが重要です。
早期に受診することで、医師による正確な診断と、症状の程度や範囲に応じた適切な治療を速やかに開始でき、脱毛範囲の拡大を防ぎ、症状の悪化を最小限に抑えることが期待できます。
自己判断での対処の危険性
「また同じだろう」と自己判断で以前処方された薬を安易に使用したり、効果の不確かな市販の育毛剤や民間療法に頼ったりすることは避けるべきです。
症状が前回と同じとは限りませんし、間違った対処法はかえって症状を悪化させたり、治療の開始を遅らせたりする可能性があります。
特に、ステロイド外用薬などは、医師の指示なしに使用すると副作用のリスクもあります。
医療機関で受ける検査と診断
医療機関では、まず問診で発症時期、既往歴、家族歴、生活習慣などを詳しく聞き取り、その後、視診で脱毛の状態(範囲、数、活動性など)を確認します。
ダーモスコピーという特殊な拡大鏡を用いて毛穴の状態や毛髪の形状を観察することもあり、円形脱毛症の活動期に見られる特徴的な所見(切れ毛、感嘆符毛など)を確かめます。
また、甲状腺機能や自己抗体などを調べるための血液検査を行うこともあります。
医療機関での主な検査
検査名 | 目的 | 内容 |
---|---|---|
問診 | 患者の背景情報や症状の経過を把握する | 発症時期、既往歴、生活習慣、ストレス状況などを聴取 |
視診 | 脱毛の状態を直接確認する | 脱毛斑の数、大きさ、形状、頭皮の状態などを観察 |
ダーモスコピー検査 | 毛穴や毛髪の状態を詳細に観察する | 特殊な拡大鏡で切れ毛、感嘆符毛、黄点などを確認 |
血液検査 | 他の疾患の合併や全身状態を調べる | 甲状腺機能、自己抗体、貧血の有無などを検査(必要に応じて) |
医療機関で行われる円形脱毛症の再発予防と治療
円形脱毛症が再発した場合、医療機関では症状の進行を抑え、発毛を促すための治療が行われ、また、再発を繰り返す場合には、長期的な視点での予防的アプローチも検討されます。
再発予防を目的とした治療法
円形脱毛症の再発を完全に防ぐ治療法は確立されていませんが、症状が落ち着いた後も、再発のリスクを低減するためにいくつかの治療法が用いられることがあります。
ステロイド外用薬を少量、定期的に使用することで、局所の免疫反応を抑える試みや、ミノキシジル外用薬を使用して毛髪の成長をサポートする方法があります。
また、難治性の場合や広範囲に及ぶ場合には、局所免疫療法を少量で継続することで、免疫のバランスを調整し、再発を抑制する効果が期待されることもあります。
症状に応じた治療法の選択
円形脱毛症の治療は、個々の症状に合わせてオーダーメイドで行われます。
軽症の場合の治療選択肢
脱毛斑が小さく、数が少ない軽症の場合は、ステロイド外用薬やカルプロニウム塩化物外用薬(血行促進作用)が主に用いられ、グリチルリチン酸やセファランチンなどの内服薬が併用されることもあります。
多くの場合、これらの治療で数ヶ月以内に改善が見られます。
中等症~重症の場合の治療選択肢
脱毛範囲が広い、あるいは急速に進行する中等症から重症の場合は、より積極的な治療が必要です。
ステロイド局所注射や、局所免疫療法が行われることがあります。
局所免疫療法は、効果が現れるまでに数ヶ月を要することがありますが、広範囲の脱毛に有効な場合があります。
また、急速に進行する重症例では、短期間ステロイド内服療法が行われることもありますが、副作用に注意が必要です。
最近では、JAK阻害薬という新しいタイプの飲み薬も、中等症以上の円形脱毛症に対する治療選択肢として登場しており、高い効果が期待されていますが、使用できる施設や対象となる患者さんには条件があります。
主な治療法の比較
治療法 | 対象(目安) | 主な作用・効果 |
---|---|---|
ステロイド外用薬 | 軽症~中等症 | 局所の炎症・免疫反応を抑える |
ミノキシジル外用薬 | 軽症~中等症 | 毛母細胞の活性化、血行促進 |
ステロイド局所注射 | 中等症(脱毛斑が限局している場合) | 脱毛部に直接ステロイドを注入し、強い抗炎症作用を発揮 |
局所免疫療法 | 中等症~重症(広範囲) | 人工的にかぶれを起こし、免疫反応を変化させて発毛を促す |
JAK阻害薬(内服) | 中等症~重症(既存治療で効果不十分な場合など) | 毛包を攻撃する免疫細胞の働きを抑える |
女性の円形脱毛症に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、女性の円形脱毛症に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。ご自身の状況と照らし合わせながら、参考にしてください。
- Q円形脱毛症は治りますか?再発は完全に防げますか?
- A
円形脱毛症の多くは治療によって改善し、治癒することが期待でき、特に単発型の場合は、自然に治ることもあります。
しかし、体質や円形脱毛症の種類によっては、治療が長期にわたったり、一度治っても再発を繰り返すことがあります。
残念ながら、現時点では再発を完全に防ぐ方法は確立されていません。
- Q円形脱毛症は治りますか?再発は完全に防げますか?
- A
特定の食品を食べれば再発を防げるというものはありませんが、バランスの取れた食事は、健康な髪と頭皮を維持し、免疫機能を正常に保つ上で非常に重要です。
髪の主成分であるタンパク質、タンパク質の代謝を助ける亜鉛、血行促進に関わるビタミンE、頭皮の健康を保つビタミンB群、抗酸化作用のあるビタミンC、酸素運搬に必要な鉄分を意識して摂取しましょう。
- Q市販の育毛剤は効果がありますか?
- A
市販の育毛剤には様々な種類があり、血行促進成分や保湿成分、抗炎症成分などが配合されています。
頭皮環境を整えるという意味では一定の助けになる可能性はありますが、円形脱毛症の根本原因である自己免疫の異常に直接作用するものではありません。
そのため、円形脱毛症に対する効果は限定的であるか、期待できない場合が多いです。
- Q妊娠・出産は円形脱毛症に影響しますか?
- A
妊娠中や出産後は、女性ホルモンのバランスが大きく変動し、ホルモンバランスの変化が、円形脱毛症の発症や症状の悪化・改善に影響を与えることがあります。
妊娠中に症状が軽快する人もいれば、産後に発症・悪化する人もいて、また、妊娠中は使用できる薬剤に制限があるため、治療法も通常とは異なる場合があります。
参考文献
Starace M, Orlando G, Alessandrini A, Piraccini BM. Female androgenetic alopecia: an update on diagnosis and management. American journal of clinical dermatology. 2020 Feb;21:69-84.
Harries MJ, Sun J, Paus R, King LE. Management of alopecia areata. Bmj. 2010 Jul 23;341.
Mateos-Haro M, Novoa-Candia M, Vanegas GS, Correa-Pérez A, Gil AG, Fernández-García S, Ortega-Quijano D, Rodriguez MG, Saceda-Corralo D, Bennouna-Dalero T, Giraldo L. Treatments for alopecia areata: a network meta‐analysis. The Cochrane Database of Systematic Reviews. 2023 Oct 23;2023(10):CD013719.
Lyakhovitsky A, Aronovich A, Gilboa S, Baum S, Barzilai A. Alopecia areata: a long‐term follow‐up study of 104 patients. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology. 2019 Aug;33(8):1602-9.
Hordinsky M, Donati A. Alopecia areata: an evidence-based treatment update. American journal of clinical dermatology. 2014 Jul;15:231-46.
Levy LL, Emer JJ. Female pattern alopecia: current perspectives. International journal of women’s health. 2013 Aug 29:541-56.
Sterkens A, Lambert J, Bervoets A. Alopecia areata: a review on diagnosis, immunological etiopathogenesis and treatment options. Clinical and experimental medicine. 2021 May;21:215-30.