後頭部の薄毛は、多くの女性にとって深刻な悩みの一つです。髪は女性の印象を大きく左右するため、後頭部が薄くなると自信を失い、精神的な負担を感じる方も少なくありません。

この記事では、女性の後頭部の薄毛に焦点を当て、その症状、考えられる原因、円形脱毛症との見分け方、そして医療機関での治療法やご自身でできる対策について詳しく解説します。

目次

女性の後頭部の薄毛 の特徴と悩み

女性の薄毛は、男性とは異なるパターンで進行することが多く、特に後頭部の薄毛は気づきにくい場合もあり、進行すると髪全体のボリュームダウンにつながり、見た目の印象にも影響を与えます。

女性の後頭部に薄毛が起こる背景

女性の後頭部に薄毛が生じる背景には、いくつかの要因が複雑に関与していて、髪の毛にはヘアサイクル(毛周期)があり、成長期、退行期、休止期を繰り返しています。

ヘアサイクルが何らかの原因で乱れると、髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちたり、新しい髪の毛が生えにくくなったりして薄毛が進行します。

特に女性の場合、ホルモンバランスの変動がヘアサイクルに影響を与えやすく、また、頭皮の血行不良や栄養不足、ストレスなども、毛髪の健やかな成長を妨げる要因です。

びまん性脱毛症との関連

女性の薄毛の代表的なものに「びまん性脱毛症」があり、びまん性脱毛症は、頭部全体の髪の毛が均等に薄くなるのが特徴で、特定の部位だけが極端に薄くなるわけではありません。

後頭部の薄毛も、このびまん性脱毛症の一環として現れることがあり、髪の分け目が目立ってきたり、髪全体のボリュームが減って地肌が透けて見えやすくなったりするのが主な症状です。

男性型脱毛症(AGA)のように生え際が後退したり、頭頂部だけが薄くなったりするのとは異なるパターンを示します。

後頭部の薄毛がもたらす心理的な影響

後頭部は自分では直接見えにくい部位ですが、他人からは意外と目につく場所です。

そのため、後頭部の薄毛を気にし始めると、人の視線が気になったり、ヘアスタイルが自由に楽しめなくなったりするなど、心理的なストレスを感じることがあります。

自信の低下や、外出をためらうようになるなど、日常生活にも影響を及ぼす可能性があり、こうした心理的な負担は、さらにストレスを増大させ、薄毛を悪化させる悪循環に陥ることも考えられます。

女性の後頭部の薄毛 主な症状とセルフチェック

後頭部の薄毛は、初期には自覚しにくいこともありますが、いくつかのサインに注意することで早期に発見できる可能性があります。

初期症状を見逃さないために

薄毛の進行を抑えるためには、初期症状に気づくことが大切で、以下のような変化が現れたら、注意が必要です。

髪質の変化

以前と比べて髪の毛が細くなったり、柔らかくなったり、ハリやコシが失われたりすることがあり、髪の毛一本一本が弱々しくなり、全体的にボリュームがダウンしたように感じるかもしれません。

また、髪の毛がうねりやすくなったり、まとまりにくくなったりするのも、髪質の変化のサインの一つです。

抜け毛の量の増加

シャンプー時やブラッシング時の抜け毛が明らかに増えたと感じる場合は注意が必要で、枕に付着する抜け毛の量が増えたり、部屋の床に落ちている髪の毛が目立つようになったりするのもサインです。

健康な人でも1日に50本から100本程度の髪の毛は自然に抜けますが、それを大幅に超える量が継続して抜ける場合は、何らかの異常が起きている可能性があります。

進行した薄毛のサイン

初期症状を見逃し、薄毛がある程度進行すると、より明確なサインが現れます。

頭皮の透け感

髪の毛の密度が低下し、特に後頭部の地肌が透けて見えるようになり、合わせ鏡を使ったり、家族に確認してもらったりすると、自分では気づきにくい後頭部の状態を把握できます。

光の当たり具合によって透け感が強調されることもあります。

分け目やつむじ周りの変化

特定の分け目が以前よりも太く見えるようになったり、つむじ周りの地肌が目立つようになったりするのも、薄毛が進行しているサインです。

特に後頭部から頭頂部にかけて薄毛が広がるタイプの女性の脱毛症では、つむじを中心に薄くなる傾向が見られます。

自宅でできる簡単なセルフチェック方法

ご自身で後頭部の状態を確認するための簡単なセルフチェック方法を紹介し、定期的に行うことで、変化に気づきやすくなります。

後頭部のセルフチェックポイント

チェック項目確認方法注意点
抜け毛の量シャンプー後、排水溝にたまる髪の毛の量や、ブラッシング時の櫛やブラシにつく髪の毛の量を毎日確認する。急に量が増えた場合は要注意。季節の変わり目など一時的に増えることもあります。
髪の太さ・ハリ指で髪の毛をつまみ、以前と比較して細くなっていないか、ハリやコシが失われていないかを確認する。数カ所の髪を比較してみると分かりやすいです。
頭皮の色・状態合わせ鏡で後頭部の頭皮の色を確認する。赤みやかゆみ、フケがないかもチェック。健康な頭皮は青白い色をしています。赤みは炎症のサインかもしれません。

専門医に相談するタイミング

セルフチェックで気になる点があったり、抜け毛の増加や髪質の変化が数ヶ月以上続いたりする場合は、自己判断せずに皮膚科や女性の薄毛治療を専門とする医療機関に相談することを推奨します。

医師による正確な診断を受けることで、原因に応じた適切な対策や治療を開始でき、急激な脱毛や円形の脱毛斑が見られる場合は、円形脱毛症の可能性もあるため、速やかな受診が大切です。

後頭部の薄毛を引き起こす主な原因

女性の後頭部の薄毛は、単一の原因ではなく、複数の要因が絡み合って発生することが多いと考えられています。ここでは、主な原因として考えられるものを詳しく解説します。

ホルモンバランスの乱れ

女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、髪の毛の成長を促進し、ヘアサイクルを正常に保つ働きがあります。

エストロゲンの分泌量が減少すると、相対的に男性ホルモンの影響が強まり、ヘアサイクルが乱れて薄毛を起こすことがあります。

特に以下のような時期はホルモンバランスが大きく変動しやすいため、注意が必要です。

  • 妊娠・出産後(産後脱毛症)
  • 更年期
  • 経口避妊薬(ピル)の服用中止後
  • 婦人科系の疾患(多嚢胞性卵巣症候群など)

これらの時期に抜け毛が増えたり、髪が細くなったりする変化を感じる女性は少なくありません。

ホルモンバランスの乱れは、髪だけでなく、体調全般にも影響を及ぼすため、気になる場合は婦人科医にも相談してみましょう。

生活習慣の乱れ

日々の生活習慣も、髪の健康に大きく関わっていて、不規則な生活や偏った習慣は、頭皮環境を悪化させ、薄毛を進行させる可能性があります。

生活習慣と薄毛リスク

乱れた生活習慣髪への影響具体的な内容
睡眠不足成長ホルモンの分泌低下、血行不良夜更かし、不規則な睡眠時間、睡眠の質の低下
食生活の偏り髪の栄養不足、頭皮環境の悪化インスタント食品や脂質の多い食事、過度な食事制限、ビタミン・ミネラル不足
運動不足血行不良、ストレス蓄積長時間同じ姿勢での作業、日常的な運動習慣の欠如

特に睡眠は、髪の成長に欠かせない成長ホルモンが分泌される重要な時間で、質の高い睡眠を十分にとることが、健やかな髪を育むためには必要です。

また、髪の毛は主にタンパク質からできているため、バランスの取れた食事で必要な栄養素を摂取することも大切になります。

ストレス

過度なストレスは、自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させます。

血行が悪くなると、髪の毛の成長に必要な栄養素や酸素が毛根に十分に行き渡らなくなり、抜け毛や薄毛の原因です。

また、ストレスはホルモンバランスにも影響を与えるため、間接的に薄毛を促進する可能性も指摘されています。

現代社会においてストレスを完全になくすことは難しいですが、自分なりのストレス解消法を見つけ、溜め込まないようにすることが重要です。

頭皮環境の悪化

頭皮は髪の毛が生える土壌です。頭皮環境が悪化すると、健康な髪は育ちにくくなります。

間違ったヘアケア

洗浄力の強すぎるシャンプーの使用、頻繁なシャンプー、熱すぎるお湯での洗髪、ゴシゴシと強くこする洗い方などは、頭皮に必要な皮脂まで奪い、乾燥や炎症を引き起こす原因となります。

また、すすぎ残しは毛穴を詰まらせ、頭皮トラブルを招くことがあり、自分の頭皮タイプに合ったシャンプーを選び、優しく丁寧に洗うことが大切です。

頭皮の血行不良

長時間のデスクワークやスマートフォンの使用による同じ姿勢の継続は、首や肩の凝りを招き、頭皮への血流を滞らせる原因となります。

また、帽子やヘルメットによる頭部の締め付けも、血行不良を起こす可能性があり、適度な運動やマッサージで血行を促進することが、頭皮環境の改善につながります。

紫外線ダメージ

頭皮も肌の一部であり、紫外線の影響を受け、長時間紫外線を浴びると、頭皮が乾燥したり、炎症を起こしたりして、毛母細胞の働きが低下することがあります。

外出時には帽子を着用したり、日傘を使用したりするなど、紫外線対策を心がけましょう。

円形脱毛症との違いを理解する

後頭部に薄毛が見られる場合、びまん性の女性型脱毛症だけでなく、円形脱毛症の可能性も考慮する必要があり、原因や症状の現れ方、対処法が異なるため、正しく見分けることが重要です。

円形脱毛症の主な特徴

円形脱毛症は、年齢や性別を問わず誰にでも起こりうる脱毛症です。

突然発症する円形・楕円形の脱毛斑

円形脱毛症の最も典型的な症状は、コインのような円形または楕円形の脱毛斑が、ある日突然現れることです。脱毛斑は1箇所だけの場合もあれば、複数箇所に同時に、あるいは次々と発生することもあります。

脱毛斑の大きさも、小さいものから頭部全体に広がるものまで様々です。

脱毛斑の境界が鮮明

円形脱毛症による脱毛斑は、周囲の健康な毛髪との境界が比較的はっきりしているのが特徴で、脱毛部分の皮膚は、炎症などがない限り、正常に見えることが多いです。

ただし、初期には軽い赤みやかゆみを伴うこともあります。

進行すると脱毛範囲が拡大することも

小さな脱毛斑が徐々に大きくなったり、複数の脱毛斑が融合して広範囲に及んだりすることがあります。

重症化すると、頭部全体の毛髪が抜け落ちる「全頭型」や、眉毛、まつ毛、体毛など全身の毛が抜ける「汎発型」に進行することもあります。

後頭部の薄毛と円形脱毛症の見分け方

後頭部に薄毛が見られる場合、それが全体的に薄くなっているのか、あるいは特定の箇所が円形に抜けているのかで、考えられる脱毛症の種類が異なります。

後頭部薄毛と円形脱毛症の比較

項目女性の後頭部の薄毛(びまん性など)円形脱毛症
脱毛の範囲後頭部を含む頭部全体が徐々に薄くなる円形または楕円形の脱毛斑が突然出現する
境界薄毛部分と正常部分の境界は不明瞭脱毛斑と正常な毛髪部分の境界は比較的鮮明
進行の仕方ゆっくりと進行することが多い急速に進行したり、自然治癒したり、再発を繰り返したりする

簡単に言うと、女性に多いびまん性の薄毛は「髪の毛が全体的に細く、少なくなっていく」のに対し、円形脱毛症は「特定の場所の髪の毛がごそっと抜けてしまう」というイメージです。

ただし、円形脱毛症が後頭部に複数発生し、融合して広範囲に見える場合など、判断が難しいケースもあります。

円形脱毛症の原因と考えられているもの

円形脱毛症の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、主に以下の要因が関与していると考えられています。

  • 自己免疫疾患説:免疫機能の異常により、リンパ球が毛根を攻撃してしまうことで脱毛が起こるという説が最も有力です。
  • 精神的ストレス説:強い精神的ストレスが発症の引き金になることがあると考えられています。ただし、ストレスが直接的な原因というよりは、免疫異常などを誘発する間接的な要因とされることが多いです。
  • アトピー素因:アトピー性皮膚炎や気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアトピー性疾患を持つ人に発症しやすい傾向があると言われています。
  • 遺伝的要因:家族内に円形脱毛症の人がいる場合、発症しやすいという報告もあります。

どちらの症状か判断に迷ったら

ご自身で判断するのは難しい場合も多いです。

特に、急に抜け毛が増えたり、地肌がはっきりと見える部分が現れたりした場合は、自己判断で市販の育毛剤などを使用するのではなく、速やかに皮膚科や脱毛症専門の医療機関を受診してください。

医師は視診や問診、場合によってはダーモスコピー(拡大鏡)を用いた検査などを行い、脱毛症の種類を正確に診断します。

女性の後頭部の薄毛に対する治療法

女性の後頭部の薄毛に対して、医療機関では原因や症状の程度に応じた様々な治療法が提供されています。

ここでは、代表的な治療法や、治療薬の種類、期間や費用の目安、医療機関を選ぶ際のポイントについて解説します。

医療機関で行う専門的な治療

皮膚科や女性の薄毛治療を専門とするクリニックでは、医学的根拠に基づいた治療を受けられ、カウンセリングを通じて個々の状態を把握し、適切な治療計画を立てます。

内服薬治療

薄毛治療の内服薬として代表的なものに、ミノキシジルタブレット(通称ミノタブ)やスピロノラクトンなどがあります。

ミノキシジルは血管を拡張し、毛母細胞を活性化させることで発毛を促す効果が期待できます。

スピロノラクトンは、元々は利尿薬ですが、男性ホルモンの働きを抑制する作用があるため、女性の男性型脱毛症(FAGA)の治療に用いられる薬剤です。

外用薬治療

ミノキシジルを配合した外用薬(塗り薬)は、日本皮膚科学会のガイドラインでも女性の薄毛治療に推奨されています。

頭皮に直接塗布することで、毛根に作用し、発毛を促進したり、抜け毛を予防したりする効果が期待でき、市販薬もありますが、医療機関ではより高濃度のものが処方されることもあります。

その他、頭皮の炎症を抑えるステロイド外用薬なども選択肢です。

注入治療(メソセラピーなど)

頭皮に直接、発毛を促す有効成分(ミノキシジル、成長因子、ビタミン、アミノ酸など)を注入する治療法です。

注射器や特殊な機器を用いて、成分を毛根の深くまで届け、内服薬や外用薬と併用することで、より高い効果が期待できます。痛みを伴う場合もありますが、麻酔を使用するなどして軽減する工夫がなされています。

治療薬の種類と効果・副作用

薄毛治療に使用される主な薬剤には、それぞれ期待できる効果と、注意すべき副作用があります。

主な薄毛治療薬とその特徴

薬剤名(成分名)期待できる効果主な副作用・注意点
ミノキシジル(内服・外用)血行促進、毛母細胞活性化、発毛促進初期脱毛、多毛症、動悸、むくみ、頭皮のかゆみ・かぶれ(外用)
スピロノラクトン(内服)男性ホルモンの抑制(FAGAに有効)電解質異常、生理不順、乳房痛、低血圧
ステロイド(外用・局所注射)炎症抑制(円形脱毛症などに使用)皮膚萎縮、毛細血管拡張、にきび(長期使用の場合)

治療期間と費用の目安

薄毛治療は、効果を実感するまでに時間がかかることが一般的で、また、治療法や症状の程度によって、必要な期間や費用も異なります。

治療法別の期間と費用の目安

治療法効果実感までの期間の目安費用相場の目安(月額)
内服薬治療3ヶ月~6ヶ月程度5,000円~15,000円程度
外用薬治療4ヶ月~6ヶ月程度7,000円~20,000円程度
注入治療(メソセラピー)3ヶ月~6ヶ月程度(数回施術後)1回あたり20,000円~80,000円程度

これらの期間や費用はあくまで目安であり、個人の状態やクリニックの方針によって変動します。多くの場合、薄毛治療は自由診療となるため、健康保険は適用されません。

自宅でできる後頭部の薄毛対策と予防法

医療機関での専門的な治療と並行して、あるいは薄毛が気になり始めた初期段階で、自宅で取り組める対策や予防法も重要です。

バランスの取れた食事を心がける

髪の毛は主に「ケラチン」というタンパク質からできているため、良質なタンパク質を十分に摂取することが基本です。

また、タンパク質の合成を助けたり、頭皮の健康を維持したりするためには、ビタミンやミネラルも欠かせません。

薄毛対策に役立つ栄養素

栄養素主な働き多く含む食品
タンパク質髪の主成分、毛髪の成長肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛ケラチンの合成を助ける、細胞分裂を促す牡蠣、レバー、牛肉、ナッツ類
ビタミンB群頭皮の新陳代謝促進、皮脂のバランス調整レバー、マグロ、カツオ、豚肉、緑黄色野菜
ビタミンCコラーゲン生成促進、抗酸化作用、鉄分の吸収促進果物(柑橘類、イチゴなど)、野菜(パプリカ、ブロッコリーなど)
ビタミンE血行促進、抗酸化作用ナッツ類、植物油、アボカド
鉄分酸素を全身に運ぶ、毛母細胞への栄養供給レバー、赤身の肉、ほうれん草、ひじき

特定の食品ばかりを食べるのではなく、様々な食品をバランス良く摂取することが大切です。

インスタント食品やファストフード、脂質の多い食事は控えめにし、野菜や果物、海藻類なども積極的に取り入れ、過度なダイエットは栄養不足を招き、薄毛の原因となるため注意が必要です。

正しいヘアケア方法の実践

毎日のヘアケアも、頭皮環境を健やかに保つためには重要で、間違ったケアは頭皮にダメージを与え、薄毛を進行させる可能性があります。

シャンプーの選び方と洗い方

自分の頭皮タイプ(乾燥肌、脂性肌、敏感肌など)に合ったシャンプーを選びましょう。洗浄力が強すぎるものは避け、アミノ酸系などのマイルドな洗浄成分のものがおすすめです。

洗髪時は、まずお湯で髪と頭皮を十分に予洗いし、シャンプーを手のひらでよく泡立ててから、指の腹で頭皮をマッサージするように優しく洗い、爪を立ててゴシゴシ洗うのは禁物です。

すすぎは、シャンプー剤が残らないように時間をかけて丁寧に行い、洗髪後は、ドライヤーで髪だけでなく頭皮もしっかりと乾かします。ただし、熱風を当てすぎると頭皮が乾燥するので注意が必要です。

頭皮マッサージのすすめ

頭皮マッサージは、頭皮の血行を促進し、毛根に栄養を届けやすくする効果が期待でき、指の腹を使って、頭皮全体を優しく揉みほぐしましょう。

シャンプー時や、育毛剤を塗布した後などに、力を入れすぎたり、爪を立てたりしないように行うのが効果的です。

やってはいけないヘアケア習慣

NG習慣理由
1日に何度もシャンプーする頭皮の必要な皮脂まで奪い、乾燥やバリア機能低下を招く
熱すぎるお湯で洗髪する頭皮を乾燥させ、刺激を与える
髪が濡れたまま寝る雑菌が繁殖しやすく、頭皮トラブルや臭いの原因になる
頻繁なパーマやカラーリング薬剤が頭皮や髪にダメージを与える可能性がある

質の高い睡眠を確保する

髪の成長には、睡眠中に分泌される成長ホルモンが深く関わっていて、成長ホルモンは、入眠後3時間程度の深いノンレム睡眠時に最も多く分泌されます。

そのため、睡眠時間を確保するだけでなく、睡眠の質を高めることが重要です。就寝前はスマートフォンやパソコンの使用を控え、リラックスできる環境を整えましょう。

毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい睡眠習慣を心がけることも大切です。

ストレスを上手に解消する

過度なストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、頭皮の血行不良を引き起こして薄毛の原因となります。

日常生活でストレスを完全に避けることは難しいですが、自分に合った方法でこまめにストレスを発散させることが大事です。

簡単なストレス解消法

  • 適度な運動(ウォーキング、ヨガなど)
  • 趣味に没頭する時間を作る
  • ゆっくりと入浴する
  • 好きな音楽を聴く、アロマテラピー
  • 親しい友人や家族と話す

リラックスできる時間を持つことで、心身の緊張を和らげ、ストレスによる悪影響を軽減する効果が期待できます。

よくある質問(Q&A)

女性の後頭部の薄毛に関して、多くの方が抱く疑問や不安について、Q&A形式でお答えします。

Q
後頭部の薄毛は遺伝しますか?
A

薄毛には遺伝的な要因が関与することがあります。

特に男性型脱毛症(AGA)では遺伝の影響が大きいとされていますが、女性の薄毛においても、家族歴がある場合に発症しやすい傾向が見られることがあります。

ただし、遺伝だけが原因ではなく、ホルモンバランス、生活習慣、ストレスなど複数の要因が複合的に影響し合って発症する症状です。

Q
薄毛治療は保険適用されますか?
A

一般的に、加齢やホルモンバランスの変化などによる女性の薄毛(びまん性脱毛症、FAGAなど)の治療は、美容目的と見なされることが多く、健康保険の適用外(自由診療)です。

ただし、円形脱毛症や、他の皮膚疾患に伴う脱毛など、病的な脱毛と診断された場合の治療には、一部保険が適用されることもあります。

Q
育毛剤と発毛剤の違いは何ですか?
A

育毛剤は、主に頭皮環境を整えて抜け毛を防ぎ、現在生えている髪の毛を健康に保つことを目的としています。

一方、発毛剤は、新しい髪の毛を生やしたり、細くなった髪の毛を太く育てたりする効果が医学的に認められた成分(ミノキシジルなど)を含んでいます。

Q
治療を始めたらすぐに効果が出ますか?
A

薄毛治療の効果を実感するまでには、ある程度の時間が必要です。

髪の毛にはヘアサイクル(毛周期)があり、新しい髪の毛が生えて成長し、目に見える変化として現れるまでには数ヶ月単位の期間がかかります。

治療を開始してから3ヶ月から6ヶ月程度で効果を感じ始める方が多いですが、個人差があり、焦らずに、医師の指示に従って根気強く治療を続けることが大切です。

治療初期に一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」という現象が起こることもありますが、治療が効き始めているサインの一つなので、自己判断で治療を中断しないでください。

Q
パーマやカラーリングは薄毛を悪化させますか?
A

パーマ液やカラーリング剤に含まれる化学物質は、頭皮や髪の毛に刺激を与え、ダメージの原因となる可能性があります。

特に、頭皮が敏感な状態であったり、頻繁に施術を繰り返したりすると、頭皮の炎症や乾燥、髪の毛のキューティクルの損傷などを起こし、薄毛を助長する恐れがあります。

薄毛が気になる場合は、施術の頻度を減らしたり、頭皮への刺激が少ない薬剤を選んだり、美容師に相談して頭皮に薬剤がつかないように工夫してもらったりするなどの配慮が必要です。

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