円形脱毛症は、突然髪の毛が抜け落ち、円形や楕円形の脱毛斑ができる症状です。これが一箇所だけでなく、頭部の様々な場所に同時に、あるいは時間差で複数発生すると、精神的な負担も大きくなります。

特に女性にとって、髪の毛は外見の一部として非常に重要であり、複数箇所にわたる脱毛は深刻な悩みに繋がりやすいものです。

この記事では、女性が直面する複数箇所の円形脱毛症について、特徴や考えられる原因、そして具体的な対処方法を詳しく解説します。

目次

円形脱毛症の複数箇所発症とは何か

円形脱毛症は、自己免疫疾患の一つとして認識されており、本来自分の体を守るはずの免疫細胞が、誤って毛根を攻撃してしまうことで発症します。

脱毛症は、単発で発生するケースが一般的ですが、稀に複数の脱毛斑が同時に、または異なる時期に現れることがあり、これが「複数箇所発症」と呼ばれる状態です。

複数型円形脱毛症の特徴

複数型円形脱毛症とは、頭皮に複数の脱毛斑が同時に存在する状態で、脱毛斑は、それぞれが独立した円形である場合もあれば、互いに隣接して不規則な形状を形成することもあります。

時には、脱毛斑が融合してより大きな範囲の脱毛となる「蛇行型」や、頭部全体に脱毛が広がる「全頭型」、全身の毛が抜ける「汎発型」へと進行する可能性もあります。

複合型円形脱毛症との違い

「複合型円形脱毛症」という言葉も耳にすることがあるかもしれません。これは、複数型円形脱毛症とほぼ同じ意味合いで使われることが多いです。

しかし厳密には、複合型という表現は、単に複数の脱毛斑があるだけでなく、異なるタイプの円形脱毛症が併発している状況や、他の自己免疫疾患を合併している状況を指す場合もあります。

複数の円形脱毛斑に加え、爪の変形(爪甲症)やアトピー性皮膚炎といった他の症状が見られる場合などがこれに該当するでしょう。

重要なのは、脱毛斑が複数あるということであり、進行度や他の症状の有無を正確に把握することが大切です。

円形脱毛症のタイプ分類

円形脱毛症は脱毛の範囲や形状によっていくつかのタイプに分類されます。

円形脱毛症の主なタイプ

タイプ特徴
単発型1つの脱毛斑が頭皮に発生します。
多発型複数の脱毛斑が頭皮に発生します。
蛇行型脱毛斑が融合し、帯状に広がります。
全頭型頭部全体の毛が抜け落ちます。
汎発型頭髪だけでなく、全身の毛が抜け落ちます。

タイプは必ずしも独立しているわけではなく、単発型から多発型へ、さらに蛇行型や全頭型へと進行する可能性も考えられます。

女性の円形脱毛症に見られる複数発症の特徴

女性の円形脱毛症が複数箇所に発症する場合、男性とは異なる、あるいはより顕著な特徴が見られることがあります。

女性の円形脱毛症の現れ方

女性の円形脱毛症は、男性と同様に頭皮に円形の脱毛斑が現れることが多いですが、髪が長い分、初期の脱毛斑が見つけにくいことがあります。

しかし、シャンプー時やブラッシング時に抜け毛の増加に気づき、複数箇所から起きていることに初めて気づくケースも少なくありません。

特に、分け目や生え際、後頭部など、特定の部位に集中して複数箇所発生することもあります。

ホルモンバランスと複数発症

女性ホルモンは、髪の成長サイクルに深く関与していて、妊娠、出産、更年期など、女性ホルモンのバランスが大きく変動する時期には、髪の毛に影響が出やすいです。

円形脱毛症そのものの発症に直接ホルモンが関与するという証拠は少ないものの、ホルモンバランスの乱れが免疫機能に間接的に影響を与え、円形脱毛症の発症や悪化、複数箇所の発症を促す一因となります。

ストレスとホルモンバランスの乱れは密接に関連しているため、その点からも注意が必要です。

複数箇所の円形脱毛症の考えられる原因

円形脱毛症の明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、自己免疫疾患であることが強く示唆されています。複数箇所に発症するケースでは、背景に単発型よりも複雑な要因が絡んでいると考えられます。

自己免疫疾患としての円形脱毛症

円形脱毛症は、体の免疫システムが自分自身の毛包を異物と誤認し、攻撃することで発症し、攻撃により、毛包が炎症を起こし、毛髪の成長が阻害されて抜け落ちてしまうのです。

なぜこのような誤認が起きるのかはまだ不明ですが、遺伝的要因やアレルギー体質、特定のウイルス感染などが関与している可能性が指摘されています。

複数箇所に脱毛斑が現れるということは、免疫系の誤作動が広範囲で起きていることを示唆しています。

ストレスと複数発症の関連性

ストレスは、円形脱毛症の誘因や悪化因子として広く認識されています。

精神的ストレスや肉体的ストレスが過度にかかることで、体の免疫システムに影響を与え、円形脱毛症の発症を促したり、既存の脱毛斑を悪化させたり、新たな脱毛斑の発生に繋がったりする可能性があります。

女性の場合、仕事、家庭、育児、人間関係など、多岐にわたるストレス要因に直面することが多く、複数箇所の脱毛発症に影響を与えることも考えられます。

ストレスは自律神経のバランスを乱し、血行不良や免疫機能の低下を起こすことで、脱毛を助長する可能性があるため、ストレス管理は非常に重要です。

遺伝的要因と家族歴

円形脱毛症は、家族歴がある場合に発症しやすい傾向があることが知られていて、特定の遺伝子が円形脱毛症の発症リスクを高める可能性を示唆しています。

特に、複数箇所に脱毛斑が発症する重症なケースでは、遺伝的な素因がより強く関与している可能性が考えられます。

もし家族の中に円形脱毛症の人がいる場合、自分自身も発症するリスクがあることを認識しておくことが大切です。

しかし、遺伝的要因があるからといって必ず発症するわけではなく、環境要因やストレスなども複合的に作用して発症に至ります。

その他の誘発要因

ストレスや遺伝的要因以外にも、円形脱毛症の複数発症に影響を与える可能性のある要因がいくつかあります。

円形脱毛症の誘発要因

要因の種類具体的な内容
アトピー素因アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の既往歴がある場合、発症リスクが高まります。
甲状腺疾患橋本病やバセドウ病など、甲状腺の機能異常を伴う自己免疫疾患との合併が報告されています。
栄養不足偏った食生活や無理なダイエットによる栄養不足が、毛髪の成長を阻害し、脱毛を悪化させる可能性があります。
薬剤の影響一部の薬剤の副作用として脱毛が報告されることがあります。
感染症特定のウイルス感染などが、免疫システムの異常を引き起こす可能性が指摘されています。
睡眠不足睡眠不足は、体の免疫機能や回復力に悪影響を与え、脱毛症の悪化に繋がる可能性があります。

要因は単独で作用するのではなく、複数絡み合って発症や悪化に影響を与えることがほとんどです。

複合型円形脱毛症の診断と進行度

円形脱毛症の診断は、主に医師による視診と問診によって行われます。複数箇所に脱毛斑がある場合や、複合的な症状が見られる場合には、より詳細な検査が必要です。

専門機関での診断の重要性

自己判断で円形脱毛症だと決めつけるのは危険です。脱毛の原因は円形脱毛症以外にも様々あり、自己判断で誤った対処を行うと、症状を悪化させる可能性もあります。

皮膚科などの専門機関を受診し、経験豊富な医師に診断してもらうことが大切です。

医師は、脱毛斑の形状、大きさ、分布、頭皮の状態などを詳しく観察し、問診で発症の経緯や既往歴、生活習慣などを聞き取ります。

複数箇所に脱毛斑がある場合、その広がりや進行度を正確に把握することで、適切な治療方針を立てられます。

進行度の評価方法

円形脱毛症の進行度は、脱毛斑の数、大きさ、広がり方によって評価され、複数箇所に脱毛斑がある多発型の場合、数は数個から数十個に及ぶこともあります。

また、それぞれの脱毛斑がどれくらいの速さで拡大しているか、あるいは新たな脱毛斑が発生しているかなども進行度を測る上で重要な指標です。

脱毛症の進行度評価の目安

進行度特徴
軽症脱毛斑が数個で、小さく、隠しやすい状態。
中等症脱毛斑が複数あり、一部が融合したり、比較的広範囲に及ぶ状態。
重症頭部全体に脱毛が及ぶ全頭型や、全身に及ぶ汎発型。

評価は、治療法の選択や治療効果の判定に影響を与えるため、医師との連携が大切です。

鑑別診断とその必要性

脱毛症には円形脱毛症以外にも、脂漏性脱毛症、牽引性脱毛症、男性型脱毛症(AGA)の女性版である女性型脱毛症(FAGA)など、様々な種類があります。

女性型脱毛症はびまん性(全体的に薄くなる)であることが多く、円形脱毛症とは異なる治療が必要です。

そのため、正確な診断のためには、他の脱毛症との鑑別診断が非常に重要です。

医師は、必要に応じて血液検査(自己抗体、甲状腺ホルモンなどのチェック)、頭皮の生検(皮膚の一部を採取して組織を調べる)、毛髪の検査などを行うことで、脱毛症のタイプを特定し、治療法を提案します。

複数箇所の円形脱毛症への対処方法

複数箇所に発症した円形脱毛症への対処は、単発型よりも長期的な視点と、より積極的な治療が必要になることが多いです。

医療機関での治療の選択肢

円形脱毛症の治療は、脱毛症のタイプや進行度、患者さんの年齢や健康状態によって様々です。医師はさまざまな要素を考慮し、最も適した治療法を提案します。

主な治療法と特徴

治療法内容
ステロイド局所注射脱毛部に直接ステロイドを注射し、免疫反応を抑制します。
局所免疫療法脱毛部に特殊な薬剤を塗布し、人工的にかぶれを起こし、毛根への免疫攻撃を抑制します。
内服薬治療ステロイド、免疫抑制剤、アレルギー抑制剤などの内服薬を使用します。
外用薬治療ステロイド外用薬やミノキシジル外用薬を塗布します。
紫外線療法(PUVA)特定の波長の紫外線を脱毛部に照射し、免疫調整を行います。

治療法は単独で行われることもあれば、組み合わせて行われることもあります。

複数箇所に脱毛斑がある場合は、全身的な作用が期待できる内服薬治療や、広範囲に適用できる外用薬、紫外線療法などが検討されます。

最新の治療研究について

円形脱毛症の治療法は日々研究が進められています。

近年では、特定の免疫経路を標的とする新しいタイプの薬剤(JAK阻害剤など)の研究開発が進んでおり、難治性の円形脱毛症に対して有効性が期待されています。

新しい治療法はまだ臨床試験段階であったり、特定の条件下の患者さんにのみ適用されるものもありますが、今後の選択肢として注目されています。

治療の選択肢を検討する際には、医師とよく相談し、最新の情報も踏まえた上で、自分に合った方法を見つけることが大切です。

日常生活でできるセルフケア

医療機関での治療と並行して、日常生活の中でできるセルフケアも、複数箇所の円形脱毛症の改善や進行の抑制に役立ちます。

バランスの取れた食事

健康な髪の毛の成長には、十分な栄養が必要で、特にタンパク質、ビタミン、ミネラルは髪の構成要素となる重要な栄養素です。

バランスの取れた食事を心がけ、様々な食材からこれらの栄養素を摂取します。

髪の成長に必要な主な栄養素

栄養素期待される役割主な食品源
タンパク質髪の主成分(ケラチン)の材料肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛細胞の新陳代謝を促進牡蠣、牛肉、豚レバー、ナッツ類、豆類
ビタミンB群髪の成長をサポート豚肉、レバー、魚、卵、乳製品、緑黄色野菜
ビタミンCコラーゲンの生成を助け、抗酸化作用果物、野菜
鉄分血液循環を良くし、毛根に栄養を運ぶレバー、ほうれん草、ひじき、赤身肉

極端なダイエットや偏食は避け、多種多様な食品をバランス良く摂取することを意識しましょう。

質の良い睡眠の確保

睡眠は、体の細胞の修復や再生、免疫機能の維持に不可欠です。

質の良い睡眠を十分に取ることは、心身の疲労回復を促し、ストレスの軽減にも繋がり、結果として円形脱毛症の改善にも良い影響を与える可能性があります。

夜間は成長ホルモンの分泌が活発になり、毛母細胞の働きが活発になる時間帯でもあります。就寝前にはリラックスできる環境を整え、十分な睡眠時間を確保するよう努めましょう。

適度な運動とストレス管理

適度な運動は、血行を促進し、ストレスを軽減する効果があります。ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、無理なく続けられる運動を日常生活に取り入れることを検討してください。

また、ストレスは円形脱毛症の大きな誘因となるため、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。

趣味に没頭する、リラックスできる音楽を聴く、瞑想を行うなど、ストレスを溜め込まない工夫をしましょう。

頭皮ケアとヘアスタイリング

頭皮を清潔に保つことは、健康な髪の成長に重要ですが、過度なシャンプーや、刺激の強い製品の使用は避けましょう。やさしく頭皮をマッサージするように洗い、すすぎ残しがないように注意してください。

また、ドライヤーの熱によるダメージも脱毛を悪化させる可能性があるので、低温で優しく乾かすことが大切です。

頭皮ケアのポイント

  • シャンプーの選び方: 刺激の少ないアミノ酸系シャンプーを選ぶ。
  • 洗い方: 指の腹を使って優しくマッサージするように洗い、爪を立てない。
  • すすぎ: シャンプーやコンディショナーが頭皮に残らないよう、しっかりと洗い流す。
  • 乾燥: ドライヤーは低温設定で、髪から離して使う。自然乾燥は頭皮の雑菌繁殖を促す可能性があるため避ける。
  • ブラッシング: 摩擦を避けるため、目の粗いブラシや手ぐしで優しくブラッシングする。

ヘアスタイリングに関しては、脱毛部分を隠すために無理に引っ張ったり、結んだりするような髪型は、牽引性脱毛症を誘発する可能性があるので避けましょう。

ウィッグやヘアピースの利用も、頭皮への負担が少ないものを選び、長時間の使用は避けるなど、注意が必要です。

専門機関での相談の重要性

複数箇所に発症した円形脱毛症は、単独での対処が難しい場合が多く、専門的な知識を持つ医療機関での相談が非常に重要です。

専門医を受診するタイミング

円形脱毛症かなと感じたら、できるだけ早く専門医を受診することをおすすめします。特に、脱毛斑が複数現れたり、急速に広がったりしている場合は、早期の受診が必要です。

脱毛症の治療は、早期に開始するほど効果が期待できる傾向にあります。自己判断で様子を見たり、民間療法に頼ったりするのではなく、まずは皮膚科を受診し、正確な診断を受けることが回復への第一歩です。

適切な医療機関の選び方

円形脱毛症の治療には、皮膚科が専門です。インターネットや口コミで、円形脱毛症の治療経験が豊富な皮膚科医を探すことをおすすめします。

女性の薄毛治療に力を入れているクリニックであれば、女性特有の悩みに寄り添ったきめ細やかな対応が期待できるでしょう。

初診時には、これまでの症状の経過、既往歴、服用中の薬、アレルギーの有無などを詳しく伝えられるよう準備しておくとスムーズです。

治療の継続と予後

円形脱毛症の治療は、短期間で劇的な改善が見られるとは限りません。複数箇所に発症している場合は、数ヶ月から数年にわたる治療が必要となることもあります。

治療の効果には個人差があり、途中で諦めてしまうと再発したり、悪化したりする可能性もあるため、医師と密に連携を取りながら、根気強く治療を続けることが大切です。

治療中も、定期的な診察で経過を観察し、必要に応じて治療方針を見直していくことになります。

予後については、多くの場合は改善が見られますが、再発する可能性も考慮し、継続的なケアが必要になることも理解しておくことが大事です。

円形脱毛症の治療と向き合い方

円形脱毛症の治療は、症状の重症度、進行速度、患者さんの年齢や健康状態によって異なります。

一般的な治療選択肢

円形脱毛症の治療法は、主に免疫システムの働きを調整したり、毛包の炎症を抑えたりすることを目的とします。

ステロイド局所注射・外用薬

軽度から中等度の円形脱毛症に対して、ステロイドの局所注射や外用薬が用いられることが一般的です。ステロイドは、毛包周囲の炎症を抑え、免疫細胞の攻撃を抑制する効果が期待できます。

局所注射は脱毛斑に直接薬剤を注入するため、効果が局所的に現れやすく、外用薬は自宅で塗布できる手軽さがあります。

局所免疫療法

重症度が高い場合や、他の治療法で効果が見られない場合に検討されるのが、局所免疫療法です。

頭皮に特定の化学物質(SADBEやDPCPなど)を塗布し、軽いかぶれを起こさせることで、免疫システムの反応を脱毛部位からそらすことを目的とします。

紫外線療法(PUVA療法、エキシマライト療法)

紫外線療法は、特定の波長の紫外線を脱毛部位に照射する治療法です。免疫反応を抑制する効果が期待され、びまん性や多発性の円形脱毛症に用いられることがあります。

PUVA療法は薬剤を併用し、エキシマライト療法は特定の波長のみを照射します。

内服薬

重症の場合や、上記治療で効果が得られない場合に、ステロイドの内服や免疫抑制剤の内服が検討されることがあります。

ただし、全身に作用するため、効果が高い一方で、副作用のリスクも考慮しながら慎重に用いられます。

円形脱毛症の一般的な治療法

治療法概要主な対象者
ステロイド局所注射脱毛斑に直接ステロイドを注射し、局所の炎症を抑える。軽度〜中等度
ステロイド外用薬ステロイドを含む薬剤を脱毛部位に塗布。軽度〜中等度
局所免疫療法特定の化学物質を頭皮に塗布し、軽いかぶれを起こさせて免疫反応をそらす。重症度が高い場合
紫外線療法特定の波長の紫外線を脱毛部位に照射し、免疫反応を抑制。びまん性、多発性
内服薬ステロイドや免疫抑制剤などを内服し、全身的に免疫反応を調整。重症度が高い場合

治療効果を判断する時期

円形脱毛症の治療効果は、すぐに現れるわけではありません。多くの場合、治療を開始してから数ヶ月〜半年程度の期間を要します。

産毛の出現

治療が効果を現し始めると、脱毛斑の中から細くて柔らかい産毛が生えてくることがあり、毛包が活動を再開し始めているサインです。産毛が徐々に太く、しっかりとした毛に成長していくかを確認します。

脱毛斑の縮小または停止

脱毛斑の大きさが縮小したり、新たな脱毛斑の発生が停止したりすることも、治療効果の指標となります。症状が安定していることを確認することが大切です。

治療期間の目安

治療期間は症状の重症度や選択された治療法によって大きく異なり、軽度であれば数ヶ月で改善が見られることもありますが、重症の場合や慢性化している場合は、年単位の治療が必要となることもあります。

焦らず、医師と協力しながら長期的な視点で治療に取り組むことが大切です。

長期的な視点での管理

円形脱毛症は、一度改善しても再発する可能性があるため、一時的な治療だけでなく、長期的な視点での管理が大切です。

よくある質問

ここでは、女性の円形脱毛症の複数箇所発症に関して、よくある質問と回答をまとめました。

Q
複数箇所の円形脱毛症は自然に治るのでしょうか?
A

軽症の単発型円形脱毛症であれば、自然に治癒することもありますが、複数箇所に発症している場合や、脱毛斑が急速に拡大している場合は、自然治癒が難しいケースが多いです。

女性の場合見た目への影響も大きいため、自己判断で放置せず、できるだけ早く医療機関を受診して専門的な診断と治療を受けてください。

Q
治療中に気をつけるべきことはありますか?
A

治療中は、医師の指示を厳守することが非常に大切です。処方された薬の正しい使用方法を守り、定期的な通院を欠かさないようにしましょう。

また、精神的なストレスは脱毛症の悪化要因となるため、ストレスを溜め込まないように心がけることも重要です。

無理なダイエットや不規則な生活は避け、バランスの取れた食事や十分な睡眠を心がけるなど、日常生活の改善も治療効果を高める上で役立ちます。

Q
円形脱毛症は再発しやすいと聞きましたが、本当ですか?
A

円形脱毛症は、一度治癒しても再発する可能性がある病気です。特に、複数箇所に発症するような重症なケースでは、再発率が高くなる傾向があります。

再発を完全に防ぐことは難しいですが、ストレスを管理し、規則正しい生活習慣を維持すること、そして早期に異常に気づいて医療機関を受診することが再発時の早期対処に繋がります。

Q
ウィッグやヘアピースは使用しても問題ないですか?
A

ウィッグやヘアピースは、脱毛部分をカバーし、外見上の悩みを軽減するために非常に有効な手段です。使用すること自体に問題はありませんが、いくつか注意点があります。

皮膚への刺激が少ない素材を選び、必要に応じて専門家のアドバイスを求めることも大切です。

ウィッグやヘアピースを上手に活用することで、精神的な負担を軽減し、前向きに治療に取り組めるでしょう。

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