鏡を見るたびに気になる、生え際の後退や頭頂部の透けて見える地肌。以前より前髪のボリュームが減ったと感じることはありませんか。

男性特有の悩みと思われがちですが、多くの女性が薄毛に悩んでいます。特に、女性の薄毛は生え際や頭頂部など、部分的に目立つ傾向があります。

この記事では、なぜ女性の生え際や頭頂部の髪が薄くなるのか、その原因からご自身でできる対策、そして医療機関で受けられる専門的な治療法まで、幅広く解説していきます。

目次

女性の薄毛 なぜ生え際や頭頂部が目立つのか

女性の薄毛は、男性の薄毛とは異なった特徴を持っています。全体的に髪の毛が細くなり、ボリュームが失われることで地肌が透けて見えるようになるのが一般的です。

しかし、その中でも特に生え際や頭頂部の薄毛が気になると感じる方は少なくありません。

女性型脱毛症(FAGA)の典型的なパターン

女性の薄毛で最も多いとされるのが、女性型脱毛症(FAGA/Female Androgenetic Alopecia)です。男性型脱毛症(AGA)の女性版とも言えるもので、ホルモンの影響が関係していると考えられています。

FAGAでは、特定の部位の髪だけが完全に抜け落ちるのではなく、頭部全体の髪が軟毛化(細く、短く、色の薄い毛になること)し、密度が低下します。

頭頂部の分け目周辺から薄くなるパターンが多く見られ、分け目が以前よりも広く感じたり、頭頂部の地肌が目立つようになります。

生え際が後退するケースは男性ほど多くはありませんが、前髪のボリュームが減ることで生え際が薄くなったと感じる方もいます。

分け目や髪の流れによる視覚的な影響

多くの場合、女性は髪型を維持するために特定の場所で髪を分けていて、いつも同じ場所で髪を分けていると、その分け目の部分の地肌が物理的に露出しやすくなります。

髪全体のボリュームが減ってくると分け目部分の地肌がさらに目立ち、薄毛が進行しているかのような印象を与えます。

また、頭頂部は頭の高い位置にあるため、自分自身でも鏡で確認しやすく他人からの視線も集まりやすい部位です。

前髪についても同様で、顔の印象を大きく左右する部分であるため、ボリュームの減少や生え際の変化に敏感になりがちです。

牽引性脱毛症の可能性

日常的なヘアスタイルが原因で薄毛を起こす、牽引性脱毛症の可能性も考えられます。

これは、ポニーテールやきつい編み込みなど、髪を強く引っ張る髪型を長時間続けることで、毛根に負担がかかり、生え際や分け目の髪が抜けてしまう状態です。

髪が引っ張られている部分である生え際や分け目を中心に薄毛が進行するため、局所的に目立ちやすくなります。

初期段階であれば髪型を変えることで改善が見込めますが、長期間にわたって毛根にダメージを与え続けると、髪が生えてこなくなる可能性もあります。

生え際と頭頂部の薄毛 主な原因と背景

女性の生え際や頭頂部の薄毛は、単一の原因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って起きることがほとんどです。

ホルモンバランスの変化という内的な要因から、日々の生活習慣やストレスといった外的な要因まで、背景は多岐にわたります。

ホルモンバランスの変動とその影響

女性の髪の健康は、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンによって大きく支えられていて、エストロゲンには、髪の成長期を維持し髪を豊かに保つ働きがあります。

しかし、加齢、妊娠・出産、更年期など、ライフステージの変化によって女性ホルモンの分泌量は大きく変動し、更年期を迎えるとエストロゲンが急激に減少し、相対的に男性ホルモンの影響が強まります。

このホルモンバランスの乱れが髪の成長サイクルを乱し、一本一本の髪が十分に成長する前に抜け落ちてしまい、FAGAの主要な原因です。

女性ホルモンの変動が起こる主な時期

時期ホルモンバランスの状態髪への影響
思春期ホルモンバランスが不安定になりやすい。皮脂の過剰分泌による頭皮トラブルが起こることがある。
妊娠・出産後妊娠中は高いレベルで維持されていた女性ホルモンが出産後に急激に減少する。産後脱毛症(分娩後脱毛症)として一時的に抜け毛が増える。
更年期女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が大幅に減少し、ホルモンバランスが大きく乱れる。FAGAが発症・進行しやすく、髪のハリやコシが失われ、薄毛が目立つようになる。

ストレスと自律神経の乱れ

過度なストレスは心身にさまざまな不調をもたらしますが、髪にも深刻な影響を与えます。強いストレスを感じると自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位な状態が続きます。

交感神経は血管を収縮させる働きがあるため、頭皮の血行が悪化しやすくなります。

頭皮の血行不良は、髪の成長に必要な栄養素が毛根まで届きにくくなることを意味し、髪の成長が妨げられ抜け毛や薄毛の原因となります。

また、ストレスはホルモンバランスの乱れにもつながるため、FAGAを悪化させる一因です。

栄養不足と不規則な食生活

髪の毛は、私たちが食べたものから作られていて、主成分であるケラチンというタンパク質をはじめ、ビタミンやミネラルなど、さまざまな栄養素を必要とします。

しかし、過度なダイエットによる栄養不足や、外食やインスタント食品に偏った不規則な食生活を続けていると、髪の成長に必要な栄養素が不足しがちになります。

特に、タンパク質、亜鉛、鉄分、ビタミンB群などが不足すると、健康な髪を作ることができず、細く弱い髪しか生えてこなくなったり抜け毛が増えたりします。

健やかな髪を育むためには、バランスの取れた食事がとても重要です。

頭皮環境の悪化

健康な髪は、健康な頭皮という土壌から育ちますが、間違ったヘアケアや生活習慣によって頭皮環境が悪化すると、薄毛につながることがあります。

洗浄力の強すぎるシャンプーは頭皮に必要な皮脂まで奪ってしまい、乾燥やかゆみを起こし、シャンプーのすすぎ残しや汗や皮脂汚れの蓄積は、毛穴を詰まらせ炎症(脂漏性皮膚炎など)の原因です。

頭皮トラブルは、髪の正常な成長を妨げ抜け毛を誘発し、また、睡眠不足や喫煙、過度な飲酒なども頭皮の血行を悪化させ、頭皮環境を損なう要因となります。

自宅でできるセルフチェックと薄毛のサイン

もしかして薄毛かもしれないと不安に感じても、すぐに専門機関に相談するのは勇気がいるかもしれません。

まずはご自身の髪や頭皮の状態を客観的に観察し、薄毛のサインが出ていないかを確認してみましょう。

抜け毛の本数と毛質の変化を確認する

髪にはヘアサイクル(毛周期)があり、健康な人でも1日に50本から100本程度の髪は自然に抜け落ちているので、ある程度の抜け毛は生理現象であり、過度に心配する必要はありません。

しかし、明らかに抜け毛が増えたと感じる場合、例えば排水溝に溜まる髪の量が以前より多くなった、枕に付着する髪の毛が目立つようになったなどの変化があれば注意が必要です。

また、抜け毛の量だけでなく毛質にも注目してください。

抜けた毛の中に、細くて短い力のない毛が多く混じっている場合は、ヘアサイクルが乱れ髪が十分に成長する前に抜けてしまっているサインかもしれません。

抜け毛の質をチェック

状態特徴考えられること
健康な抜け毛毛根部分が白く、棍棒のような丸みを帯びている。髪全体にハリと太さがある。ヘアサイクルの休止期を終え、自然に抜け落ちた毛。
注意が必要な抜け毛毛根がなかったり、黒く委縮していたりする。髪全体が細く、短い。ヘアサイクルの成長期に何らかの異常が起こり、抜けてしまった可能性。

頭皮の色と硬さをチェックする

健康な頭皮は、青白く適度な弾力と柔らかさがあります。特に、薄毛が気になる頭頂部や生え際の頭皮をチェックしてください。

もし頭皮が赤みを帯びている場合は、炎症が起きている可能性があり、黄色っぽくくすんでいる場合は、血行不良や新陳代謝の低下が考えられます。

次に、頭皮の硬さです。両手の指の腹を使って、頭全体を優しく動かすようにマッサージしてください。頭皮がこり固まっていてほとんど動かないようなら、血行が悪くなっているサインかもしれません。

血行不良は髪の成長に悪影響を及ぼすため、頭皮マッサージなどで血流を促すことが大切です。

分け目と前髪のボリューム感を比べる

定期的に同じ角度、同じ照明の下で、ご自身の分け目や前髪の写真を撮っておくのも有効な方法です。スマートフォンのカメラで簡単に記録できます。

数ヶ月前の写真と見比べて分け目の幅が広がっていないか、前髪のボリュームが減って地肌の見える面積が増えていないかなどを客観的に比較できます。

薄毛の初期サイン

  • シャンプーやブラッシング時の抜け毛が増えた
  • 髪のハリやコシがなくなり、スタイリングがまとまりにくくなった
  • 分け目が以前より目立つようになった
  • 頭頂部の地肌が透けて見えるようになった
  • 前髪の量が減り、生え際が後退したように感じる

薄毛の進行を抑えるための生活習慣の見直し

薄毛の対策は、特別な治療だけでなく、日々の生活習慣を見直すことから始まります。髪の健康は、体全体の健康状態を映し出す鏡のようなものです。

質の高い睡眠を確保する

睡眠中は、髪の成長に欠かせない成長ホルモンが最も多く分泌されるゴールデンタイムです。成長ホルモンは細胞の修復や新陳代謝を促し、毛母細胞の分裂を活発にする働きがあります。

睡眠時間が不足したり睡眠の質が低下すると、成長ホルモンの分泌が妨げられ、髪の健やかな成長が阻害されてしまいます。

特に、眠り始めの深いノンレム睡眠時に成長ホルモンは多く分泌されるため、寝る前のスマートフォン操作やカフェイン摂取を控え、リラックスできる環境を整えることが重要です。

適度な運動で血行を促進する

運動不足は、全身の血行不良を招きます。頭皮の血流が悪くなると、髪の成長に必要な酸素や栄養素が毛根まで十分に行き渡らなくなり、薄毛の原因となります。

ウォーキングやジョギング、ヨガといった有酸素運動は全身の血行を促進し、頭皮の血流改善にも効果的です。また、運動はストレス解消にも役立ちます。

ストレスは血管を収縮させ血行を悪化させる一因となるため、適度な運動を習慣にすることは、心身両面から薄毛対策にアプローチする方法です。

日常生活でできる血行促進の工夫

項目内容期待できること
軽い運動ウォーキング、ストレッチ、ヨガなど。全身の血行を良くし、新陳代謝を高める。
入浴ぬるめのお湯にゆっくり浸かる。リラックス効果と血行促進効果。
頭皮マッサージ指の腹で優しく頭皮を動かす。頭皮の血行を直接的に促し、頭皮を柔らかくする。

自分に合ったストレス解消法を見つける

現代社会において、ストレスを完全になくすことは難しいかもしれませんが、ストレスを上手に管理し、溜め込まないようにすることはできます。

自律神経のバランスを整え頭皮の血行を良好に保つためにも、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。

趣味に没頭する時間を作る、友人と話す、自然の中で過ごす、アロマテラピーを取り入れるなど、心からリラックスできると感じる方法を日常生活の中に組み込んでいきましょう。

何がストレスの原因になっているのかを把握し、可能であればその原因から距離を置くことも一つの方法です。

正しいヘアケアの実践

毎日のシャンプーは頭皮を清潔に保つために必要ですが、方法が間違っているとかえって頭皮にダメージを与え、薄毛を助長してしまうことがあります。

ご自身の頭皮タイプに合った、アミノ酸系などのマイルドな洗浄成分のシャンプーを選びましょう。

洗髪時は爪を立てずに指の腹で優しくマッサージするように洗い、シャンプーやコンディショナーが頭皮に残らないよう、時間をかけて丁寧にすすぐことが重要です。

また、洗髪後は髪を濡れたまま放置せず、すぐにドライヤーで乾かしましょう。濡れた髪はキューティクルが開いて傷みやすく、頭皮に雑菌が繁殖する原因にもなります。

食生活の改善で内側から健やかな髪を育む

美しい髪は、体の内側からの栄養によって作られ、毎日の食事が、髪の健康を直接左右すると言っても過言ではありません。

特定の食品だけを食べるのではなく、多様な食品からバランス良く栄養素を摂取することが、生え際や頭頂部の薄毛対策の基本となります。

髪の主成分となるタンパク質を十分に

髪の毛の約90%はケラチンというタンパク質で構成されているため、タンパク質が不足すると髪の材料が足りなくなり、健康な髪を作れず髪が細くなったり、抜けやすくなったりします。

肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など、良質なタンパク質を毎日の食事に意識して取り入れましょう。動物性タンパク質と植物性タンパク質をバランス良く摂取することが理想的です。

特に大豆製品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることが知られており、ホルモンバランスを整える観点からも女性にはお勧めの食材です。

ケラチンの合成を助ける亜鉛

亜鉛は、食事から摂取したタンパク質を髪の主成分であるケラチンに再合成する際に、重要な役割を果たすミネラルです。

いくらタンパク質を十分に摂取していても、亜鉛が不足していると効率的に髪を作れません。また、亜鉛にはヘアサイクルを正常に保つ働きもあります。

亜鉛は体内で生成できず汗などでも失われやすいため、食事から積極的に摂取する必要があります。牡蠣、レバー、牛肉(赤身)、チーズ、ナッツ類などに多く含まれています。

髪の健康を支える主要な栄養素

栄養素主な働き多く含む食品
タンパク質髪の主成分(ケラチン)の材料となる。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛タンパク質からケラチンを合成するのを助ける。牡蠣、レバー、牛肉、ナッツ類
鉄分血液中の酸素を運び、頭皮への栄養供給を助ける。レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじき

頭皮の健康を保つビタミン類

ビタミン類は、それぞれが異なる働きで髪と頭皮の健康をサポートしています。

ビタミンB群はエネルギー代謝を助け、頭皮の新陳代謝を活発にし、ビタミンB2とB6は皮脂の分泌をコントロールし、頭皮環境を整えるのに役立ちます。

ビタミンAは、頭皮の潤いを保ち乾燥を防ぎ、ビタミンCはコラーゲンの生成を助けるほか、鉄分の吸収率を高める効果があります。

そして、ビタミンEには強い抗酸化作用と血行促進作用があり、頭皮の老化を防ぎ毛根に栄養を届けやすくします。このようなビタミン類は、緑黄色野菜、果物、ナッツ類、玄米などに豊富に含まれています。

避けるべき食習慣

健康な髪を育むためには良いものを食べるだけでなく、髪に悪い影響を与える食習慣を避けることも同じくらい重要です。

高脂肪・高カロリーな食事は、皮脂の過剰分泌を招き、頭皮の毛穴詰まりや炎症の原因となります。また、糖質の摂りすぎは、体内でタンパク質と結びついて糖化を起こし、頭皮の老化を早める可能性があります。

インスタント食品やスナック菓子、甘い飲み物の過剰な摂取は控えましょう。過度なアルコール摂取や喫煙も、ビタミンを大量に消費し血行を悪化させるため、髪にとってはマイナスです。

医療機関で受けられる女性の薄毛治療

セルフケアを続けてもなかなか改善が見られない場合や、薄毛が進行して深刻な悩みとなっている場合は、専門の医療機関に相談することをお勧めします。

皮膚科や女性の薄毛治療を専門とするクリニックでは、医師の診断のもと、医学的根拠に基づいた治療を受けられます。

内服薬による治療

女性の薄毛治療で中心となるのが内服薬による治療で、代表的な治療薬はスピロノラクトンです。

スピロノラクトンは、もともとは高血圧の治療に用いられる利尿薬ですが、男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを抑制する作用があることから、FAGAの治療にも応用されています。

男性ホルモンが毛根の受容体と結合するのを防ぎ、ヘアサイクルの乱れを正常化させ抜け毛を減らし、発毛を促進する効果が期待できます。

医師の処方が必要な医薬品であり、定期的な診察のもとで服用することが大切です。

主な内服薬と外用薬

種類代表的な薬剤主な作用
内服薬スピロノラクトン男性ホルモンの作用を抑制し、ヘアサイクルを整える。
外用薬ミノキシジル頭皮の血流を改善し、毛母細胞を活性化させる。

外用薬(塗り薬)による治療

内服薬と並行して用いられることが多いのが、ミノキシジルを配合した外用薬です。ミノキシジルは、日本で唯一発毛効果が認められている成分で、もともとは血管拡張薬として開発されました。

頭皮に直接塗布することで毛細血管を拡張して血流を改善し、毛母細胞に直接働きかけて活動を活性化させることで、髪の成長期が延長され発毛が促進されます。

市販の女性用発毛剤にもミノキシジルが配合されているものがありますが、医療機関ではより高濃度のものを処方してもらうことが可能です。効果を実感するまでには数ヶ月間の継続使用が必要です。

注入治療(メソセラピーなど)

より積極的な治療を希望する場合には、注入治療という選択肢もあります。

これは、髪の成長に有効な成分(成長因子、ミノキシジル、ビタミン、アミノ酸など)を、注射や特殊な機器を用いて頭皮に直接注入する治療法です。

薬剤を直接毛根の周辺に届けることができるため、高い効果が期待できるとされ、内服薬や外用薬と組み合わせて行うことで相乗効果も期待できます。

ただし、治療には痛みを伴う場合があるほか、自由診療となるため費用は比較的高額です。

注入治療の概要

治療法内容メリット・デメリット
注入治療
(メソセラピー)
発毛有効成分を頭皮に直接注入する。メリット:薬剤が直接届くため効果が期待できる。
デメリット:痛みを感じることがある、費用が高い。

サプリメントや補助的な治療

医療機関によっては、主要な治療を補完する目的で医療用のサプリメントを処方することがあります。

髪の成長に必要なタンパク質、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く配合したサプリメントは、食事だけでは不足しがちな栄養素を補い、内側から発毛環境を整えるのに役立ちます。

また、LEDの光を頭皮に照射して毛母細胞を活性化させる治療など、他の治療法と組み合わせて行われる補助的な治療もあります。

薄毛に関するよくある質問

最後に、女性の薄毛に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。

Q
治療はいつから始めるのが良いですか?
A

薄毛は進行性であることが多く、放置すると改善が難しくなる可能性があり、毛根が完全に活動を停止してしまうと、髪を再生させるのは困難になります。

抜け毛が増えた、髪が細くなった、地肌が目立つようになったなど、初期のサインに気づいたら、なるべく早く専門の医療機関に相談することが大切です。

Q
親が薄毛だと、自分も薄毛になりますか?
A

遺伝的要因は、薄毛のなりやすさに関係する要素の一つです。特にFAGAは、遺伝的な素因が影響すると考えられています。

ご家族に薄毛の方がいる場合、ご自身も薄毛になりやすい体質を受け継いでいる可能性はありますが、遺伝がすべてではありません。

薄毛の発症には、ホルモンバランス、生活習慣、ストレス、食生活など、後天的な要因も大きく関わっています。

Q
シャンプーや育毛剤はどれを使えば良いですか?
A

シャンプーは、治療そのものではありませんが、頭皮環境を健やかに保つための基本です。

ご自身の肌質に合わせ、洗浄力がマイルドで頭皮への刺激が少ないアミノ酸系のシャンプーを選ぶと良いでしょう。

市販の育毛剤には血行促進成分や保湿成分などが含まれており、頭皮環境を整える効果は期待できますが、発毛効果が医学的に証明されているわけではありません。

確実な発毛効果を求めるのであれば、医療機関で処方されるミノキシジル外用薬の使用を検討するのが一つの方法です。

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