近年、中性脂肪の数値が高めの女性が、抜け毛や薄毛に悩むケースが増加しています。

血液検査で中性脂肪やコレステロールを調べると、生活習慣の乱れやホルモンバランスの崩れが大きく関係している可能性がわかります。

この記事では、中性脂肪と女性の抜け毛の深い関係を解説し、適切な検査と治療の進め方を詳しく紹介します。

目次

中性脂肪が気になる女性の抜け毛の基礎知識

中性脂肪はエネルギー源として体内で大切な役割を担いますが、過剰になると体にさまざまな悪影響をもたらします。

特に女性の場合、ホルモンバランスや血行不良が抜け毛に影響しやすいため、中性脂肪の増加が抜け毛の一因となる可能性があります。

中性脂肪と抜け毛のメカニズム

中性脂肪は主に食事から摂取した脂質や糖質が変換されて体内に蓄積します。

必要なエネルギー源として利用される反面、数値が高くなりすぎると血管内に余分な脂質が増えて血行不良を引き起こしやすくなります。

頭皮の毛母細胞には酸素と栄養が豊富に届くのが望ましいですが、血流が滞ると髪を育てるために必要な栄養分が不足します。その結果、抜け毛が増えたり、毛の成長が遅れたりするリスクが高まります。

また、血中の中性脂肪が増えると代謝バランスが乱れ、皮脂の分泌が過剰になるケースもあります。

皮脂が多いと頭皮の炎症リスクが上がり、毛根が弱りやすくなってしまいます。過度な皮脂分泌は毛穴詰まりを招くときもあるため、髪の成長環境が損なわれる恐れがあります。

女性に特有の抜け毛リスク

女性には、妊娠・出産・更年期といったライフサイクルの変化があります。これらの時期はホルモン分泌の大きな変動を伴うため、髪の成長サイクルが乱れやすいです。

さらに中性脂肪が高めの状態だと、血行不良やホルモン異常が重なり、抜け毛の進行が加速する傾向があります。女性特有のライフステージと中性脂肪の両面を意識して対策をとることが大切です。

加えて、女性は男性に比べて食事制限やダイエットに関心を持つ方が多いですが、極端な食事制限はかえって栄養不足を起こします。

たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足すると髪を生成するための材料が足りなくなり、抜け毛を誘発しやすくなります。中性脂肪も増減しやすい環境になるので、慎重に管理する必要があります。

食生活と中性脂肪の関係

揚げ物やスナック菓子、甘い飲み物、アルコールなどの摂取量が多いと中性脂肪の数値が上昇しやすくなります。

血液中の脂質が多くなると粘度が高くなり、頭皮の毛細血管に十分な血液が行き渡らなくなるリスクが高まります。さらに糖質の過剰摂取も脂質代謝の乱れをもたらし、中性脂肪を増やす原因になります。

生活リズムが不規則だったり、夜遅い時間に高カロリーの食事を摂る習慣がある場合は、エネルギーが消費されにくいため中性脂肪の蓄積につながります。

抜け毛が気になり始めたら、まずは食生活の振り返りを行い、必要に応じて食事内容を修正すると良いでしょう。

肥満との関連性

肥満は中性脂肪の上昇を招きやすい条件のひとつです。脂肪組織が増えると血液の流れが滞り、頭皮にも十分な酸素や栄養が行き渡りにくくなります。

また、体重が増え続けると、代謝やホルモン分泌にも悪影響が及ぶ可能性があります。肥満から抜け毛につながる場合は、体全体の健康管理も含めた総合的な取り組みが必要です。

中性脂肪と抜け毛に関係する要因

要因説明
高脂肪食の摂取血液中の脂質量が増え、頭皮の血行不良を引き起こすリスクが高まる
運動不足エネルギーの消費が低いため、中性脂肪が蓄積しやすくなる
ホルモンバランスの乱れ女性特有のライフサイクルの変化が抜け毛を進行させやすい
ストレスの多い生活自律神経の乱れで脂質代謝と血流が悪化し、抜け毛を促進しやすい
加齢基礎代謝の低下で中性脂肪がたまりやすく、髪の成長が停滞しやすくなる

中性脂肪と女性ホルモンとの関係性

女性の体はエストロゲンとプロゲステロンというホルモンによって多くの機能を調整しています。

これらのホルモンのバランスは中性脂肪の増減や血流にも影響するため、抜け毛とも深い関係を持っています。

ホルモンと中性脂肪の相互作用を確認し、状態に合った対処を行うことが重要です。

エストロゲンの働きと髪の健康

エストロゲンは髪の成長周期を保つうえで非常に大切なホルモンで、女性らしい髪のツヤや肌の潤いにも関与します。

十分なエストロゲンが分泌されていれば頭皮の血流も整いやすく、髪に栄養が届きやすい環境になります。

一方で中性脂肪が過剰だと血液の流動性が落ち、エストロゲンの効果を十分に実感しづらくなる可能性があります。エストロゲンの恩恵を高めるためにも、脂質代謝をスムーズに保つことが望まれます。

さらに、更年期になるとエストロゲンが急激に減少します。中性脂肪が高い状態だと、もともと減りがちなホルモンによる保護効果がさらに弱まり、抜け毛が顕著になるケースがあります。

中年期以降の女性は、ホルモン補充や生活習慣の見直しを組み合わせて、髪の健康を守る対策を検討すると良いでしょう。

プロゲステロンの影響

プロゲステロンは妊娠の維持などに関与する女性ホルモンですが、分泌量の変化で血行状態や水分代謝に影響を与えます。

特に妊娠期や産後はプロゲステロンの増減が激しく、中性脂肪も変動しやすい時期です。産後に一時的に抜け毛が増える人が多いのは、ホルモン変動と血液循環の乱れが関係するためです。

プロゲステロンが乱高下している時期に高脂質の食生活が続くと、より一層血流が滞りやすくなります。頭皮のコンディションが悪化すると、髪が細くなり抜け毛の本数が増えてしまう可能性があります。

こうした時期は栄養状態を整えることに加え、医療機関でホルモンバランスや中性脂肪の数値を定期的にチェックすると良いです。

女性特有のライフサイクル変化

思春期、妊娠期、出産後、更年期など、女性のライフサイクルはホルモンの分泌が常に変化しやすい状態です。

これらの時期は気分や体調に影響が出やすいだけでなく、髪の成長サイクルにも大きな影響を与えます。

特に更年期では、エストロゲンが大幅に減少し、中性脂肪やコレステロールが上昇する方が増えるため、抜け毛や薄毛の進行を実感する人が少なくありません。

ホルモンバランスが崩れているかどうかを知るには、血液検査でエストロゲンやFSH(卵胞刺激ホルモン)の値などを調べる方法があります。

必要に応じてホルモン補充療法を選択する女性もいますが、同時に食事や運動で中性脂肪をコントロールし、血液循環を維持することも欠かせません。

中性脂肪管理とホルモンバランスの維持

中性脂肪を適度に管理すると、女性ホルモンの安定にもつながります。

ホルモンバランスが乱れると体重が増えやすくなるだけでなく、イライラや倦怠感などを覚えるときもあり、抜け毛の原因に直結することがあります。

無理なダイエットはホルモンの分泌をさらに乱す恐れがあるため、栄養バランスを保ちながら中性脂肪を下げる方法を模索すると良いでしょう。

女性ホルモンと中性脂肪の関わり

ホルモン名主な役割中性脂肪との関係
エストロゲン毛髪や肌の健康維持、骨の強化など中性脂肪が高すぎると血行不良によりエストロゲンの働きが弱まる
プロゲステロン妊娠の維持、子宮内膜の増殖など分泌変動が大きいと血行不全を招きやすく、抜け毛につながる
テストステロン男女ともに分泌、筋肉や体毛の発達など女性で過剰になると頭頂部の抜け毛が増えるリスクが高まる

コレステロールの数値を下げる薬と抜け毛の関係

コレステロールを下げる薬を服用している女性が、「抜け毛が増えた」と感じるケースがあります。

薬の副作用や作用機序によって髪の成長に影響を与えることが考えられますが、実際には体質や既往症、生活習慣など複数の要因が絡む場合も少なくありません。

薬を選択する際は、その特徴や作用を理解しておくと役立ちます。

スタチン系薬の特徴

スタチン系薬は肝臓でのコレステロール合成を抑制し、LDLコレステロールを効果的に下げる目的で処方されます。

中性脂肪が高めの方にも用いられる場合がありますが、肝臓への負担や筋肉への影響などを考慮しながら医師が判断します。

スタチン系薬の服用中に抜け毛を自覚する方もいますが、直接的な原因かどうかは慎重な見極めが必要です。血液検査を定期的に行い、体質に合わないと感じたら医師に相談するのが望ましいです。

フィブラート系薬との違い

フィブラート系薬は主に中性脂肪を下げる効果が期待できる薬です。コレステロールにも一定の効果があるため、脂質異常症全般に処方される場合があります。

スタチン系薬と比べると作用機序が異なるため、副作用の種類や発現頻度も異なります。

血液中の中性脂肪が高い場合はフィブラート系薬が処方されるケースがありますが、医師が患者さんの肝機能や腎機能などを総合的に判断して適した方法を提案するため、自己判断で薬を変更するとリスクが伴います。

医薬品による抜け毛の可能性

コレステロールを下げる薬によって抜け毛が増えることがあるという報告がありますが、薬の成分が直接毛根を攻撃しているわけではなく、体内の脂質バランス変化や血行状態の変化が影響を及ぼしていると考えられます。

特にスタチン系薬やフィブラート系薬を開始して間もない時期に、一時的に抜け毛を感じるケースがあるようです。

副作用として認められているわけではなく、個人差も大きいため、不安があれば主治医に相談したほうが良いでしょう。

コレステロールを下げる薬の種類と作用

種類作用の特徴中性脂肪への影響
スタチン系肝臓でのコレステロール合成抑制中性脂肪が高い人にも併用される場合がある
フィブラート系脂質代謝を促進し中性脂肪を減らすコレステロール数値にもある程度の効果が期待できる
レジン系腸管での胆汁酸再吸収をブロックしコレステロール排出中性脂肪への作用は個人差が出やすい
エゼチミブ小腸でのコレステロール吸収を阻害中性脂肪には直接的な大きい作用はない

正しい服用と医師への相談

薬の効果を十分に得るには、医師の指示通りの服用が欠かせません。勝手に服用を中止すると、かえってコレステロールや中性脂肪が跳ね上がり、動脈硬化や抜け毛のリスクがさらに高まるおそれがあります。

また、服用中に副作用が疑われる症状があった場合も、自己判断でやめずに医師と相談したほうが安全です。

生活習慣の改善と薬の効果をうまく組み合わせると、抜け毛対策に取り組めます。

コレステロールを下げる薬を使用する際の注意点

  • 自己判断で薬の種類や用量を変えない
  • 定期的な血液検査で効果や体調の変化を確認する
  • 食事や運動と組み合わせて脂質バランスを整える
  • 抜け毛など気になる症状があれば医師へ早めに相談する

血液検査でわかる中性脂肪と抜け毛リスクの評価

抜け毛の兆候がある場合、血液検査を受けて中性脂肪やコレステロール、ホルモン値などを確認するのがポイントになります。

検査結果をもとに生活スタイルを見直したり薬物治療を検討したりすると、抜け毛の原因に働きかけやすくなります。

血液検査で確認すべき主要項目

血液検査でよく測定される中性脂肪やLDL・HDLコレステロール、血糖値、甲状腺ホルモンなどは、抜け毛との関連が考えられる重要な指標です。

甲状腺機能が低下すると基礎代謝が落ち、抜け毛だけでなく体重増加や倦怠感なども引き起こしやすくなります。

中性脂肪と合わせて多角的にチェックすることで、薄毛の進行を防ぐための手立てを早期に検討できます。

LDLとHDLコレステロールの役割

LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)は血管壁にコレステロールを蓄積させ、動脈硬化を進行させるリスクが高いといわれています。

一方でHDLコレステロール(善玉コレステロール)は余分なコレステロールを回収し、動脈硬化のリスクを低減する働きがあります。

抜け毛は頭皮の血流不良と密接に関係するため、LDLが高すぎたりHDLが低すぎたりすると血流環境が悪化し、髪の成長にも悪影響が及びやすくなります。

ホルモン検査も視野に

女性の場合、エストロゲンやプロゲステロンの値が髪の健康と密接にリンクします。抜け毛が急激に増えたときには、甲状腺ホルモンだけでなく性ホルモンの検査も考慮する方が多いです。

特に更年期前後や出産後などホルモンバランスが変わりやすい時期は、中性脂肪とホルモン値の両方を観察すると原因を特定しやすくなります。

検査結果を踏まえた医師との連携

血液検査の結果から中性脂肪やLDL、HDLコレステロールなどに異常が認められた場合は、まず生活習慣の改善を検討し、それでも数値が改善しない場合は薬物治療を考える流れが一般的です。

医師が検査結果を総合的に判断し、場合によっては婦人科や内科など他科とも連携して原因を突き止めることがあります。

抜け毛の進行度合いや発症メカニズムに応じて、最も適切な治療法を選択できるようサポートしてもらうと安心です。

血液検査で確認する項目と目安

項目基準値の目安意味やポイント
中性脂肪 (TG)30〜149 mg/dL程度150 mg/dL以上は高トリグリセリド血症の可能性がある
LDLコレステロール60〜119 mg/dL程度120 mg/dL以上で高LDLコレステロールとして要注意
HDLコレステロール40〜60 mg/dL以上40 mg/dL未満で低HDLコレステロールとなり血流不良のリスク増加
血糖値 (空腹時)70〜99 mg/dL程度100 mg/dL以上で糖代謝異常を疑う必要がある
甲状腺ホルモン (TSH, fT4)医療機関の基準による高値・低値ともに抜け毛や倦怠感のリスクが上がる可能性がある

生活習慣と食事改善で整える髪の健康

中性脂肪やコレステロールの数値が気になるときには、薬の服用だけでなく生活習慣全体の見直しが大切です。

髪の土台となる栄養バランスや血行状態を改善すると、抜け毛リスクを緩和することが期待できます。食事面や運動面を重視した総合的なケアを考えていきましょう。

バランスの良い栄養摂取

髪の主成分はたんぱく質からなるケラチンです。肉や魚、大豆製品などの良質なたんぱく質を摂取することが、太く強い髪を育むうえで役立ちます。

また、ビタミンB群や亜鉛、鉄などのミネラルは頭皮や毛髪の細胞分裂をサポートします。不足すると髪の生成速度が遅れたり、切れ毛や抜け毛が増えたりする恐れがあります。

髪に良い栄養素と食品

栄養素主な働き食品例
たんぱく質ケラチン合成の材料鶏ささみ、豆腐、魚、大豆製品など
ビタミンB群エネルギー代謝や細胞再生をサポートレバー、豚肉、緑黄色野菜、卵
亜鉛髪の生成やタンパク質合成に寄与牡蠣、牛肉、かぼちゃの種、ナッツ類
血行促進と酸素運搬に重要レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじき
必須脂肪酸ホルモン生成や細胞膜構築に役立つ青魚、アボカド、ナッツ類

高脂質の食事を控える一方で、良質な油脂(オメガ3脂肪酸など)を適量取り入れるとホルモン生成を支えるうえでも効果的です。

魚介類やナッツ類、オリーブオイルなどから摂取すると、中性脂肪の過度な上昇を抑えながら髪にもプラスに働きやすくなります。

食事改善のコツ

  • 高タンパク・低脂質のメニューを選ぶ
  • 1日3食を規則正しくとり、間食を減らす
  • 彩りの良い野菜でビタミンやミネラルを補給する
  • 外食時には揚げ物を控え、バランスを考慮した注文をする

適度な運動で血流促進

運動によって血液循環が改善し、頭皮に必要な栄養素が行き渡りやすくなります。ウォーキングやランニング、スイミングなどの有酸素運動は、脂質代謝を促進する効果が期待できます。

筋力トレーニングを適度に組み合わせると基礎代謝が上がり、中性脂肪が蓄積しにくい体質に近づきやすくなります。

ただし、急激な運動や過度な負荷はかえって体にストレスを与え、ホルモンバランスを崩す恐れもあります。無理のない範囲で継続すると抜け毛や薄毛を予防する一助となります。

アルコールと喫煙の影響

アルコールの過剰摂取は肝機能に負担をかけ、中性脂肪やコレステロールの数値上昇を助長します。

さらに、ビタミンやミネラルの吸収を阻害する可能性もあり、髪や頭皮の栄養不足を引き起こす要因となり得ます。

一方、喫煙は血管を収縮させて血行不良を起こしやすくするため、抜け毛や薄毛を深刻化させる危険性があります。

髪を健やかに保つためにも、飲酒量をコントロールし、喫煙習慣の見直しを検討するのが望ましいです。

ストレス対策と睡眠

ストレスを強く感じると自律神経が乱れ、ホルモンバランスや血管の収縮に影響を及ぼします。その結果、頭皮の血流が落ち抜け毛が進む可能性があります。

また、睡眠不足になると成長ホルモンの分泌が妨げられ、毛髪を修復・生成する力が低下します。

適度な休息とリラクゼーションを意識し、質の高い睡眠を確保すると、中性脂肪の管理と髪の成長を同時にサポートできます。

医療機関で行う女性の薄毛治療の流れ

中性脂肪やコレステロールの数値が高く、抜け毛の症状が顕著な場合は、早めに専門の医療機関を受診して原因を特定し、効率的に治療を進めることをおすすめします。

専門医の視点で頭皮や血液検査の結果を多角的に分析し、個々の生活スタイルに合った治療を提案してもらうと安心です。

専門医への相談

初めてクリニックを受診するときには、頭皮や毛髪の診察を行い、必要に応じて血液検査や頭皮検査を組み合わせます。

これにより、中性脂肪やコレステロールの状態だけでなく、ホルモンバランスや栄養状態などがわかります。

女性の薄毛治療に特化した医療機関は、女性特有の悩みに配慮したカウンセリングを行うため、心理的な不安を減らしながら診断と治療を進められます。

クリニック受診時のチェックポイント

  • 病歴や現在服用中の薬を正確に伝える
  • 血液検査や頭皮検査の結果を保管しておき、医師に提示する
  • 過去に試した育毛剤やサプリメントの情報を共有する
  • 生活習慣やストレス状況を具体的に話し、総合的な診断を得る

投薬治療の選択

抜け毛の主な原因がホルモンバランスにあると判断された場合は、ホルモン療法や女性に適した内服薬を提案されるケースがあります。

一方、中性脂肪やコレステロールが異常に高い方は、脂質代謝改善のための薬を処方される場合もあります。

薬の種類や用量は個々の体質や検査結果によって調整する必要があるため、自己判断による変更や中断は避けたほうが良いでしょう。

頭皮ケアや外用剤の活用

治療の一環として、外用タイプの発毛剤や育毛剤を使うことも考えられます。頭皮の血行を良くし、毛根に有効成分を直接届けることで、抜け毛を軽減したり毛髪を補強したりする効果が期待できます。

さらに、シャンプーやコンディショナーの選択、正しい洗髪方法など、日常的な頭皮ケアの指導を受けると治療効果が向上しやすくなります。

術式を使った方法

中性脂肪やコレステロールの管理だけでは十分な改善が見られない場合や、抜け毛の進行度がかなり進んでいる場合は、メソセラピーや植毛などの術式を検討するケースもあります。

メソセラピーでは頭皮に栄養を届け、植毛ではすでに失われた髪の部分を自毛や人工毛で補います。

施術ごとにメリットとデメリットがあるため、医師から丁寧な説明を受け、自分の生活スタイルや費用面を考慮して選択すると良いです。

女性の薄毛治療の種類と特徴

治療方法特徴メリット
内服薬 (ホルモン系)エストロゲンや抗アンドロゲン薬などを使用ホルモンバランスの乱れを直接カバーしやすい
内服薬 (脂質代謝系)中性脂肪やコレステロールの管理を目的とする血流改善によって頭皮環境も整う可能性がある
外用薬育毛剤、発毛剤などを頭皮に塗布自宅で手軽に始められ、継続することで効果を実感しやすい
メソセラピーカクテル注射を頭皮に施す毛髪を育む成分をダイレクトに与えられる
植毛自身の毛根や人工毛を移植する失った髪を物理的に補え、長期的な改善が見込める場合がある

自分に合った治療選択のためのポイント

女性の薄毛治療は原因も治療法も個人差が大きいため、中性脂肪が高い方は特に注意深い検討が必要です。

生活習慣やホルモンバランスなどを考慮しながら、多角的に対処するとより効果的な改善が期待できます。

自己判断を避けた継続的な経過観察

抜け毛を感じたときは、まず医療機関での診断を受け、中性脂肪やホルモンバランスの状態を確認するのが良いでしょう。

自己流のダイエットや頭皮ケアで一時的に良くなったように見えても、根本的な問題が解決していなければ再び抜け毛が増える可能性があります。

定期的な血液検査や頭皮検査を受け、客観的な数値で経過を見ることが大切です。

専門医・複数科連携のメリット

抜け毛が進んだ原因がホルモンなのか、栄養不良なのか、それとも甲状腺や他の疾患が関係しているのかを総合的に見極めるには、複数の専門家の視点が重要になります。

皮膚科や婦人科、内科など異なる科の医師と連携を図ると、より幅広い検査や治療オプションを検討できます。

クリニックによっては管理栄養士が在籍している場合もあり、食事指導を含めた総合サポートを期待できます。

医療機関選びのヒント

  • 女性の薄毛治療に詳しい医師が在籍しているか
  • カウンセリングや検査内容が充実しているか
  • 医療機器や治療オプションが多様かどうか
  • アフターケアや相談体制が整備されているか

費用対効果を意識した選択

治療には保険診療で受けられるものと自費診療になるものがあります。中性脂肪やホルモンバランスの検査は保険適用されることが多いですが、メソセラピーや植毛などの術式は自費になる場合がほとんどです。

費用は治療期間の長さや頻度によっても変わり、総額が高額になる場合があります。自分の経済状況を踏まえつつ、医師の説明をよく聞いて納得した上で治療法を選ぶと良いでしょう。

自分に合った治療の選び方ポイント

チェック項目なぜ重要か
自分の体質・基礎疾患の有無薬や術式のリスクを判断し、適切な治療を見極める材料になる
血液検査の結果中性脂肪、コレステロール、ホルモン値を総合的に把握する
ライフスタイルと予算長期的に通院や治療を続けるうえでの現実的な判断がしやすい
専門医との相性や通院のしやすさ継続的にフォローアップを受け、早めに対処できる
治療目的の明確化発毛、育毛、抜け毛抑制など、優先度を明らかにして選択しやすい

生活習慣の改善との組み合わせ

どんな治療法であっても、抜け毛の根本要因として生活習慣の乱れがある場合は改善のスピードが遅れがちです。

高脂質な食事が続くと中性脂肪の数値は下がりにくく、抜け毛が長引く原因になります。

医師からのアドバイスを受けて食事、運動、睡眠などの面を見直すと、薬や術式の効果をより感じやすくなります。

Q&A

中性脂肪が高く、抜け毛に悩む方からよく寄せられる疑問に回答します。自分の症状や生活習慣と照らし合わせて確認すると参考になるかもしれません。

Q
中性脂肪の数値を下げるために食事制限だけで大丈夫ですか?
A

食事制限によって中性脂肪が減少するケースは多いですが、極端なダイエットは髪に必要な栄養素まで不足させる恐れがあります。

抜け毛を防ぐためにはたんぱく質やビタミン、ミネラルなどをバランスよく摂ることが大切です。

また、適度な運動や十分な睡眠、ストレスケアも組み合わせると、より効果的に中性脂肪をコントロールできます。

Q
コレステロールを下げる薬を飲むと抜け毛が増えるという話を聞きましたが、本当でしょうか?
A

薬の服用が始まったタイミングと抜け毛の増加が重なり、薬が原因だと感じる人はいますが、体質や他の要因が絡んでいる場合も多いです。

コレステロールを下げる薬は脂質代謝や血行に影響を与えるため、個人差で一時的に抜け毛が増えることがあるかもしれません。

気になる場合は服用を勝手にやめずに、医師に相談して適切な検査や治療調整を検討してください。

Q
中性脂肪が高くても女性用育毛剤は効果がありますか?
A

女性用育毛剤には、頭皮環境を整え発毛をサポートする成分が含まれています。中性脂肪が高い方でも、頭皮のコンディションを改善する意味では使用する価値があります。

ただし、根本的な原因が血流不良やホルモンバランスの乱れにある場合は、育毛剤だけでは十分な効果が得られにくいです。

医療機関の診断や生活習慣の改善を合わせると、より確かな効果を狙えます。

Q
どの程度の期間で抜け毛が減る実感を得られますか?
A

髪の成長サイクルはおよそ3〜6カ月単位で変化するとされています。そのため、抜け毛に対する治療や対策を始めても、すぐに効果を体感できない方が多いです。

中性脂肪のコントロールが必要なケースでは、さらに慎重に体調を管理しながら継続的に取り組むことが大切です。

あせらずに数カ月以上のスパンで経過観察を続けると、髪の状態の変化をより正確に把握できます。

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