「最近、髪のボリュームが減った気がする」「分け目が目立つようになったかも…」と感じていませんか。薄毛の悩みは男性特有のものと思われがちですが、実は多くの女性が同じ悩みを抱えています。
女性の薄毛は、男性とは異なる特徴を持って進行することが多く、そのサインは日常生活の中に隠れています。
この記事では、女性の薄毛に見られる典型的な症状から、ご自身で簡単にできるセルフチェックの方法までを詳しく解説します。
ご自身の髪の状態を正しく理解し、変化のサインを見逃さないことが、早期の対策と健やかな髪を維持するための第一歩です。
女性の薄毛に見られる3つの典型的パターン

女性の薄毛は、男性のように生え際が後退したり、頭頂部だけが禿げ上がったりするケースは比較的少なく、特有のパターンで進行します。
ご自身の状態がどのパターンに近いかを知ることは、原因を推測し、適切な対策を考える上で非常に重要です。ここでは、女性に見られる代表的な3つの薄毛のパターンについて解説します。
びまん性脱毛症 全体的に薄くなる
女性の薄毛で最も多く見られるのが「びまん性脱毛症」です。これは、頭部の一部が極端に薄くなるのではなく、髪の毛一本一本が細くなり、全体の密度が低下することでボリュームダウンする状態を指します。

特定の部位だけでなく、頭部全体で均等に症状が現れるため、初期段階では自覚しにくいのが特徴です。
髪をとかした時やシャンプーの時に、以前よりも地肌が透けて見えるように感じたら、このパターンを疑う必要があります。
FAGA(女性男性型脱毛症)との関連
びまん性脱毛症の中でも、特に女性ホルモンの減少が関与していると考えられるものを「FAGA(女性男性型脱毛症)」と呼びます。
加齢やホルモンバランスの乱れによって、髪の成長を促す女性ホルモンが減少し、相対的に男性ホルモンの影響が強まることが原因の一つと考えられています。
これにより、髪の成長期が短くなり、十分に太く長く育つ前に抜け落ちてしまうため、徐々に薄毛が進行します。
分け目周辺から薄くなるパターン
頭頂部の分け目が、以前よりも幅広くなったように感じたり、地肌がくっきりと目立つようになったりするのも、女性の薄毛の典型的なパターンです。
毎日同じ場所で髪を分けていると、その部分の頭皮が紫外線のダメージを受けやすくなることも一因とされますが、多くはFAGAの初期症状として現れます。
クリスマスツリーパターンとは
分け目部分の薄毛が進行すると、分け目を中心に、前頭部に向かって三角形に地肌が透けて見えるようになります。

この見た目がクリスマスツリーに似ていることから、「クリスマスツリーパターン」と呼ばれます。
これはFAGAが進行しているサインの一つであり、早めに専門のクリニックに相談することが推奨される状態です。
生え際が後退するパターン
男性型脱毛症(AGA)ほど顕著ではありませんが、女性でも生え際から髪が薄くなることがあります。おでこが広くなったように感じたり、生え際の産毛が減ったりする症状が見られます。
これもFAGAの一つのタイプですが、他の原因も考えられます。
牽引性脱毛症の可能性
毎日ポニーテールやきついお団子ヘアなど、髪を強く引っ張り続ける髪型をしていると、毛根に常に負担がかかり、生え際や分け目部分の髪が抜けてしまう「牽引性脱毛症」を引き起こすことがあります。
この場合、原因となる髪型をやめることで改善が期待できます。FAGAとの見極めが重要になるため、気になる場合は自己判断せず、皮膚科や専門クリニックで診てもらいましょう。
女性の薄毛の3大パターン比較
パターン名 | 主な特徴 | 考えられる主な原因 |
---|---|---|
びまん性脱毛症 | 頭部全体の髪が均等に薄くなる。ボリュームが失われる。 | FAGA、加齢、ストレス、ホルモンバランスの乱れ |
分け目周辺の薄毛 | 分け目の幅が広がり、地肌が目立つ。クリスマスツリー状に進行することも。 | FAGA、長年の紫外線ダメージ、牽引 |
生え際の後退 | おでこが広くなったように感じる。産毛が減少する。 | FAGA、牽引性脱毛症 |
初期段階で現れる髪質の変化サイン

薄毛の進行は、ある日突然始まるわけではありません。抜け毛が目に見えて増える前に、髪の質そのものに変化のサインが現れることがほとんどです。
こうした初期の変化に気づき、頭皮環境や生活習慣を見直すことが、進行を食い止めるための重要な鍵となります。日々のヘアケアの中で感じられる、ささいな変化に注意を向けましょう。
髪のハリ・コシが失われる
「髪に元気がなく、スタイリングが決まらない」「ペタッとしてボリュームが出ない」といった悩みは、髪が細くなっているサインかもしれません。
健康な髪は、しっかりとした太さと弾力を持っていますが、ヘアサイクルが乱れると、髪が十分に成長できずに細く弱々しい状態で生えてくるようになります。
髪が細く、弱々しくなる原因
髪が細くなる「軟毛化」は、FAGAの代表的な症状の一つです。ホルモンバランスの乱れや加齢、栄養不足、血行不良などによって、髪の成長期が短縮されることが主な原因です。
髪の毛は通常、2年から6年の成長期を経て太く長く育ちますが、この期間が数ヶ月から1年程度に短縮されると、細く短いまま抜け落ちてしまいます。
これが繰り返されることで、全体のボリュームが失われていくのです。
うねりやパサつきが目立つようになる
以前は素直な直毛だったのに、最近になって髪がうねるようになったり、乾燥してパサついたりするのも注意すべき変化です。
これは、加齢によって毛穴が歪むことや、頭皮の水分・油分バランスが崩れることが原因で起こります。頭皮が不健康な状態では、健康で美しい髪を育てることができません。
頭皮環境の悪化と髪質の関係
頭皮は髪を育む土壌です。頭皮が乾燥すると、フケやかゆみの原因になるだけでなく、髪に必要な水分も不足し、パサつきにつながります。
逆に、皮脂が過剰に分泌されると、毛穴が詰まり、炎症を起こして健康な髪の成長を妨げます。ストレスや睡眠不足、偏った食生活は頭皮の血行不良を招き、髪に十分な栄養を届けられなくします。
こうした頭皮環境の悪化が、髪質の低下として現れるのです。
髪質の変化とセルフケアのポイント
変化のサイン | 考えられる頭皮の状態 | シャンプー・育毛剤選びのヒント |
---|---|---|
ハリ・コシの低下、軟毛化 | 血行不良、栄養不足、ホルモンバランスの乱れ | 頭皮の血行を促進する成分や、髪にハリ・コシを与える成分を含む育毛剤を検討。 |
うねり、くせ毛の増加 | 毛穴の歪み、頭皮の弾力低下 | 頭皮の保湿を重視したエイジングケア向けのシャンプーやトリートメントを選ぶ。 |
パサつき、乾燥 | 頭皮の乾燥、水分不足 | 保湿成分(セラミド、ヒアルロン酸など)が豊富なアミノ酸系シャンプーがおすすめ。 |
分け目の広がりと頭頂部の透け感
分け目や頭頂部は、自分では直接見えにくい部分ですが、女性の薄毛の進行度が分かりやすく現れる場所です。

特に、びまん性脱毛症やFAGAは、このエリアから症状が目立ち始めることが多いため、定期的なチェックが欠かせません。鏡を使って、客観的に自分の頭皮の状態を観察する習慣をつけましょう。
鏡で分け目を確認する際のポイント
分け目の変化を正確に捉えるためには、毎回できるだけ同じ条件で確認することが大切です。
光の当たり方によって見え方は大きく変わるため、いつも同じ部屋の、同じ照明の下でチェックすることをおすすめします。
照明の下でのチェック
洗面台の蛍光灯など、明るい照明の下で、手鏡を使って分け目をよく観察します。
分け目の幅が以前より広くなっていないか、分け目部分の地肌の色が他の部分と比べて赤っぽくなっていないか、などを確認しましょう。
地肌が一本の線ではなく、帯状に見えるようになってきたら注意が必要です。
頭頂部の地肌の透け具合
分け目だけでなく、その周辺やつむじ周りも含めた頭頂部全体の地肌の透け感も確認しましょう。髪全体が薄くなると、分け目以外の部分も地肌が透けて見えるようになります。
分け目以外の部分も確認する
指でそっと髪をかき分けて、頭頂部の様々な部分の地肌を確認します。特に、自分では見えにくいつむじ周りは、合わせ鏡を使うとチェックしやすくなります。
地肌が健康的な青白い色をしているか、それとも血行不良を示す黄色っぽい色や、炎症を示す赤みがないかどうかも、頭皮の健康状態を知る上で重要な指標です。
分け目の状態と進行度の目安
分け目の状態 | 注意レベル | 推奨される対策 |
---|---|---|
分け目が一本の線に見える | レベル1(軽度) | 頭皮ケアシャンプーや育毛剤でのセルフケア、生活習慣の見直し。 |
分け目の地肌がやや目立つ | レベル2(中等度) | 積極的な育毛剤の使用。一度、専門クリニックへの相談を検討。 |
分け目が帯状に見え、明らかに広い | レベル3(重度) | セルフケアでの改善は困難。早急に専門クリニックでの治療を開始。 |
抜け毛の本数と質で判断する進行度

髪にはヘアサイクルがあり、健康な人でも毎日一定数の髪が自然に抜け落ちています。しかし、その本数が急に増えたり、抜けた毛の質が変わったりした場合は、薄毛が進行しているサインかもしれません。
日々の抜け毛を注意深く観察することで、頭皮や髪の健康状態を把握できます。
1日の抜け毛本数の目安
健康な人の場合、1日に抜ける髪の毛は50本から100本程度と言われています。この範囲内であれば、抜けた分だけ新しい髪が生えてきているため、心配する必要はほとんどありません。
しかし、この本数を大幅に超える状態が続く場合は注意が必要です。
正常な抜け毛と危険な抜け毛
シャンプーの際の排水溝や、朝起きた時の枕、部屋の床などに落ちている抜け毛の本数を意識してみましょう。
正確に数えるのは難しいですが、「最近、明らかに抜け毛が増えた」と感じる場合は、1日の抜け毛が150本を超えている可能性があります。
これが一時的なものではなく、数週間にわたって続くようであれば、何らかの脱毛症が始まっているか、進行しているサインと考えられます。
抜け毛の質をチェックする
抜け毛の「量」だけでなく、「質」のチェックも非常に重要です。抜けた毛をよく観察し、どのような状態の毛が多いかを確認してみましょう。
短く細い毛の割合
正常なヘアサイクルで寿命を終えた抜け毛は、ある程度の太さと長さがあり、毛根部分が棍棒のように少し膨らんでいます。
一方で、FAGAなどが進行している場合、髪が十分に成長しきる前に抜けてしまうため、短くて細い、弱々しい抜け毛の割合が増えます。
毛根部分の膨らみがほとんどない、ヒョロヒョロとした毛が目立つ場合は、ヘアサイクルが乱れている証拠です。このような質の悪い抜け毛は、薄毛の進行度を判断する上で重要な手がかりとなります。
抜け毛の本数と質のチェックリスト
チェック項目 | 正常範囲の目安 | 注意が必要なサイン |
---|---|---|
1日の抜け毛本数 | 50~100本程度 | 150本以上が継続的に続く |
抜け毛の太さ・長さ | 太く、しっかりとした毛が多い | 細く、短い毛の割合が増加 |
毛根の状態 | 白く、丸みのある膨らみがある | 毛根がない、または黒く萎縮している |
季節による抜け毛の変動
特に夏から秋にかけては、夏の間に浴びた紫外線のダメージや、夏バテによる栄養不足、気候の変化への体の適応などの影響で、一時的に抜け毛が増えることがあります。
これは生理的な現象であることが多いですが、秋を過ぎても抜け毛が減らない場合や、例年よりも明らかに多いと感じる場合は、季節性のものだけでなく、薄毛が進行している可能性も考慮する必要があります。
女性の薄毛セルフチェック – 鏡を使った確認方法

これまで解説してきたポイントを踏まえ、ご自宅で簡単にできる具体的なセルフチェックの方法を紹介します。月に1回など、定期的に行うことで、ご自身の髪や頭皮の小さな変化に気づきやすくなります。
客観的な記録を残すことで、専門のクリニックに相談する際にも役立ちます。
正面から生え際をチェック
まずは、洗面台などの鏡の前に立ち、正面からご自身の顔と生え際をじっくりと観察します。髪をオールバックにするか、カチューシャなどで上げて、生え際のラインがはっきりと見えるようにしましょう。
以前と比べて額が広くなったか
昔の写真と見比べて、おでこが広くなったように感じないか確認します。また、眉毛の上に指を置き、生え際まで指が何本入るかを定期的に測るのも、変化を客観的に知るための一つの方法です。
生え際の形がM字型に変化していないか、産毛が減って後退していないかも重要なチェックポイントです。
頭頂部と後頭部を合わせ鏡でチェック
ご自身では見ることが難しい頭頂部や後頭部は、手鏡と正面の鏡を使った「合わせ鏡」で確認します。これは薄毛のセルフチェックにおいて非常に重要な手順です。
つむじ周りの地肌の範囲
正面の大きな鏡に背を向けて立ち、手鏡を使って頭頂部や後頭部を映し、それを正面の鏡で確認します。
特に、つむじ周りの地肌が見える範囲が、渦の中心だけでなく、その周辺まで広がっていないかを入念にチェックしてください。
頭頂部全体の髪の密度が低下し、地肌が透けて見えないかも確認しましょう。
合わせ鏡チェックの簡単手順
- 大きな鏡(洗面台など)の前に立つ
- 手鏡を持ち、確認したい頭頂部や後頭部を映す
- 大きな鏡に反射した、手鏡の映像を注意深く観察する
側頭部の髪のボリューム感
耳の上あたり、側頭部の髪の状態も確認します。びまん性脱毛症は頭部全体に影響するため、側頭部も薄くなることがあります。
髪を手でかき上げたときの感触や、鏡で見たときのボリューム感が以前と比べて減っていないかを確認しましょう。
頭頂部と比較して、側頭部の薄毛が目立たない場合、FAGAの可能性がより高いと考えられます。
写真記録による変化の客観的な把握法

日々の記憶は曖昧で、髪のわずかな変化を正確に覚えておくことは困難です。そこで非常に有効なのが、定期的に写真を撮って記録する方法です。
客観的な証拠として残すことで、薄毛の進行度を冷静に把握でき、専門のクリニックで相談する際にも、医師に状態を正確に伝えるための貴重な資料となります。
撮影する際のポイント
変化を正確に比較するためには、毎回同じ条件で撮影することが何よりも重要です。スマートフォンのカメラで十分ですので、今日からでも始めてみましょう。
同じ条件で撮影を続ける
撮影する場所、部屋の明るさ(照明)、髪の状態(乾いているか、スタイリング剤はつけていないか)、カメラとの距離や角度を、毎回できるだけ同じに揃えましょう。
家族に撮ってもらうのが理想ですが、一人で行う場合は、スマートフォンを固定するスタンドなどを使うと、アングルが安定しやすくなります。
撮影すべき箇所
薄毛の症状が現れやすい部分を中心に、複数の角度から撮影しておくと、より正確な状態把握につながります。最低でも以下の4つの箇所は記録しておくことをおすすめします。
写真記録のポイント
撮影箇所 | 撮影頻度の目安 | 注意点 |
---|---|---|
分け目(真上から) | 1ヶ月に1回 | 毎回同じ場所で髪を分ける。 |
頭頂部(つむじ周辺) | 1ヶ月に1回 | 合わせ鏡や家族の協力で撮影する。 |
生え際(正面から) | 1ヶ月に1回 | 髪を上げて、生え際のラインをはっきり写す。 |
側頭部(左右から) | 3ヶ月に1回 | 耳周りの透け感を確認する。 |
写真を見比べる際の注意点
撮影した写真は、フォルダ分けして日付を付けて保存しておくと、後で見返しやすくなります。比較する際には、いくつか注意点があります。
短期的な変化に一喜一憂しない
髪の毛の成長には時間がかかるため、1ヶ月程度の短い期間では、目に見える変化はほとんどありません。むしろ、光の加減などで悪化したように見えてしまい、不必要なストレスを抱える原因にもなりかねません。
比較するのは、最低でも3ヶ月、できれば半年から1年といった長期的なスパンで行いましょう。冷静に、客観的に変化の傾向を捉えることが大切です。
髪の密度を自宅で確認する簡単テスト
専門のクリニックではマイクロスコープなどを使って髪の密度を正確に測定しますが、自宅でもおおよその状態を把握するための簡単なテストがあります。
特別な道具は必要なく、自分の指の感覚で確認できる方法です。
指で髪をつまんでみる
このテストは、薄毛が進行しやすい頭頂部と、比較的影響を受けにくい側頭部や後頭部の髪の毛束の太さを比較することで、密度の低下を体感的に確認する方法です。
頭頂部と側頭部の比較
まず、人差し指と親指で、頭頂部の髪を根本から少し離れた部分でつまみます。このとき、つまむ範囲(面積)をだいたい決めておきましょう。
次いで、同じ指、同じくらいの面積で、側頭部(耳の上あたり)や後頭部の髪をつまみます。両方の毛束の太さ(指で感じられるボリューム感)を比べてみてください。
もし、頭頂部の毛束が明らかに細く、スカスカに感じるようであれば、その部分の髪が細くなっている(軟毛化)、あるいは本数が減っている可能性が高いと言えます。

ラバーバンドテスト
髪全体のおおよそのボリュームの変化を知るためのテストです。特にロングヘアやミディアムヘアの方におすすめの方法です。
やり方はとても簡単で、髪を後ろで一つに束ね、いつも使っているヘアゴム(ラバーバンド)で何回巻けるかを記録しておくだけです。
例えば、半年前は2回しか巻けなかったのに、今は3回巻かないと留まらなくなった、という場合、それは髪全体の総量が減少していることを示唆しています。
髪の長さやゴムの劣化によっても変わるため、あくまで目安ですが、ボリュームダウンを客観的な数値で把握するのに役立ちます。
自宅でできる密度チェック
テスト方法 | チェックする点 | 判断の目安 |
---|---|---|
指でつまむテスト | 頭頂部と側頭部・後頭部の毛束の太さの比較 | 頭頂部の毛束が明らかに細く感じたら注意。 |
ラバーバンドテスト | 髪を束ねた際にヘアゴムを巻ける回数 | 以前より巻ける回数が増えたらボリュームダウンの可能性。 |
女性の薄毛進行を示す5つの危険信号
これまでにご紹介した様々な症状やサインの中でも、特に注意が必要で、セルフケアだけでなく専門家による診断や治療を検討すべき「危険信号」と言える状態があります。
以下の5つのいずれかに当てはまる場合は、自己判断で放置せず、できるだけ早く皮膚科や女性の薄毛専門クリニックを受診することを強くおすすめします。
薄毛進行の危険信号チェック
- 短期間での急激な抜け毛の増加
- 頭皮のかゆみ、フケ、赤みが続く
- 髪だけでなく体毛にも変化がある
- 産後半年以上経っても抜け毛が減らない
- 明らかに地肌が広範囲で見えている
短期間での急激な抜け毛の増加
数週間から1ヶ月程度の短い期間に、シャンプーやブラッシングの際に「ごっそり」と毛が抜けるような状態は、FAGAのような慢性的な脱毛症とは異なる「休止期脱毛症」の可能性があります。
過度なストレス、高熱を出した病気、過激なダイエット、手術などが引き金となり、多くの髪が一斉に休止期に入って抜けてしまう状態です。
原因が取り除かれれば回復することが多いですが、甲状腺疾患など内科的な病気が隠れていることもあるため、まずは医療機関で原因を特定することが重要です。
頭皮のかゆみ、フケ、赤みが続く
頭皮の炎症は、健康な髪の成長を妨げる大きな要因です。強いかゆみや、ベタベタした大きなフケ、頭皮の赤みが長期間続く場合、「脂漏性皮膚炎」などの皮膚疾患の可能性があります。
これを放置すると、炎症によって毛根がダメージを受け、抜け毛が悪化することがあります。
この場合は、育毛剤などでのセルフケアよりも、まず皮膚科を受診し、炎症を抑える治療を優先する必要があります。
髪だけでなく体毛にも変化がある
薄毛と同時に、眉毛やすね毛など、他の部分の体毛が濃くなったり、逆に薄くなったりする変化が見られる場合、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、ホルモンバランスに大きな影響を与える婦人科系の疾患が背景にある可能性が考えられます。
このような場合は、薄毛治療と並行して、婦人科での検査や治療が必要になることがあります。
産後半年以上経っても抜け毛が減らない
出産後に一時的に抜け毛が増える「産後脱毛症」は、多くの女性が経験する生理的な現象です。通常は、産後半年から1年ほどでホルモンバランスが整い、自然に抜け毛は落ち着きます。
しかし、1年以上経っても抜け毛が改善しない、あるいは悪化するような場合は、産後脱毛症をきっかけに、元々素因のあったFAGAが顕在化した可能性も考えられます。
明らかに地肌が広範囲で見えている
分け目だけでなく、頭頂部全体や、時には側頭部まで、明らかに地肌が透けて見える状態まで進行している場合、セルフケアだけで元の状態に戻すのは非常に困難です。
この段階では、医学的根拠に基づいた専門的な治療が必要となります。手遅れになる前に、勇気を出して専門のクリニックの扉を叩きましょう。
セルフチェック結果から判断する受診のタイミング
セルフチェックを行い、いくつかの気になるサインが見つかったとき、次に考えるべきは「いつ、どこに相談すれば良いのか」ということです。
不安な気持ちのまま放置してしまうと、症状が進行してしまう可能性があります。ここでは、セルフチェックの結果に応じた受診のタイミングと、適切な相談先の選び方について解説します。
まずは皮膚科?専門クリニック?
薄毛の悩みを相談できる医療機関には、主に「一般皮膚科」と「薄毛治療専門クリニック」があります。どちらを受診すべきかは、ご自身の症状によって異なります。
相談先の選び方

頭皮に強いかゆみ、フケ、湿疹、赤みといった明らかな皮膚の異常がある場合は、まず保険診療が可能な一般皮膚科を受診して、皮膚疾患の治療を優先しましょう。
一方で、皮膚に異常はないものの、抜け毛の増加や髪のボリュームダウンといった薄毛そのものが主な悩みである場合は、女性の薄毛治療に関する知見や治療選択肢が豊富な専門クリニックへの相談が適しています。
専門クリニックでは、より詳細な検査に基づいた、一人ひとりの原因に合わせた治療の提案が期待できます。
受診を検討すべき具体的なサイン
「まだ大丈夫だろう」と思っているうちに、薄毛は少しずつ進行していきます。
以下のようなサインが複数見られる、またはいずれか一つでも顕著な場合は、専門家への相談を具体的に検討するタイミングと言えます。
受診の目安と相談先
セルフチェック結果 | 推奨される行動 | 主な相談先 |
---|---|---|
髪質の変化、軽度の抜け毛増加 | 生活習慣の見直し、育毛剤などでのセルフケアを開始。経過を観察。 | (まずはセルフケア) |
頭皮の赤み・かゆみ・フケが顕著 | 早めに受診し、皮膚疾患の治療を行う。 | 一般皮膚科 |
抜け毛が1日150本以上続く、分け目が明らかに目立つ | 薄毛治療を視野に入れ、専門的な診断を受ける。 | 女性薄毛専門クリニック、皮膚科 |
危険信号に複数当てはまる | 速やかに受診し、適切な治療を開始する。 | 女性薄毛専門クリニック |
クリニックでの治療を始める前に
専門のクリニックを受診することは、薄毛の悩みを解決するための大きな一歩です。クリニックでは、問診や視診、血液検査、マイクロスコープでの頭皮チェックなどを通じて、薄毛の原因を多角的に診断します。
期待できることと注意点
診断結果に基づいて、内服薬や外用薬、頭皮への注入治療など、医学的根拠のある様々な治療法の中から、ご自身の症状やライフスタイルに合ったものを提案してくれます。
ただし、薄毛治療は健康保険が適用されない自由診療が中心となることが多く、治療にはある程度の期間と費用が必要です。また、育毛剤などのセルフケアとは異なり、医薬品には副作用のリスクも伴います。
治療を始める前には、医師から効果やリスクについて十分な説明を受け、納得した上で進めることが大切です。
よくある質問
女性の薄毛に関して、多くの方が抱く疑問にお答えします。ご自身の状況と照らし合わせながら、参考にしてください。
- Q市販の育毛剤は効果がありますか?
- A
市販の育毛剤は、医薬部外品に分類され、主に「今ある髪を健康に保ち、抜け毛を予防する」ことを目的としています。
頭皮の血行を促進したり、保湿したり、炎症を抑えたりする成分が含まれており、頭皮環境を整える効果が期待できます。
しかし、FAGAのように進行性の脱毛症に対して、新しい髪を生やす「発毛」効果は、ミノキシジルなどの成分を含む医薬品にしか認められていません。
セルフケアの一環として、また薄毛予防として育毛剤を使用することは有効ですが、すでに薄毛が進行している場合は、専門クリニックでの治療と併用することを検討するのが良いでしょう。
- Qシャンプーを変えれば薄毛は改善しますか?
- A
シャンプーの直接的な役割は、頭皮や髪の汚れを洗い流し、清潔に保つことです。そのため、シャンプー自体に髪を生やしたり、薄毛を治療したりする効果はありません。
しかし、洗浄力が強すぎるシャンプーや、自分の頭皮タイプに合わない製品を使い続けると、頭皮に必要な皮脂まで奪って乾燥を招いたり、逆に皮脂の過剰分泌を引き起こしたりして、頭皮環境を悪化させる原因になります。
頭皮環境の悪化は抜け毛につながるため、自分の頭皮に合った、刺激の少ないアミノ酸系シャンプーなどを選ぶことは、健康な髪を育む土台作りとして非常に重要です。
- Q加齢による薄毛は仕方ないのでしょうか?
- A
加齢に伴い、髪の成長を司る女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少し、ヘアサイクルが乱れやすくなるため、髪が細くなったり、全体のボリュームが減ったりするのは、ある程度は自然な変化と言えます。
しかし、「加齢だから」と全ての薄毛を諦める必要は全くありません。
特に、FAGA(女性男性型脱毛症)は、年齢に関わらず進行する脱毛症であり、適切な治療を行うことで、その進行を遅らせたり、症状を改善したりすることが可能です。
気になる症状があれば、「年のせい」と自己判断せずに、一度専門のクリニックに相談してみることが大切です。
- Qストレスは本当に薄毛の原因になりますか?
- A
はい、ストレスは薄毛の大きな原因の一つです。
人間は強いストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位な状態が続きます。これにより、血管が収縮して頭皮の血行が悪化します。
頭皮の血行不良は、髪の毛の成長に必要な栄養素が毛根(毛母細胞)に届きにくくなることを意味し、結果として髪が細くなったり、抜け毛が増えたりします。
また、ストレスはホルモンバランスの乱れにもつながり、FAGAを悪化させる要因にもなります。円形脱毛症のように、ストレスが直接的な引き金となって発症する脱毛症もあります。
本記事では、ご自身の髪の状態を把握するための症状の見方とセルフチェック法に焦点を当てて解説しました。
もしセルフチェックの結果、薄毛のサインに気づき、「なぜこのような症状が起きるのだろう?」「クリニックではどのような検査をするのだろう?」と、より深い原因や専門的な検査方法について知りたくなった方もいらっしゃるかもしれません。
薄毛対策は、まず原因を正しく理解することから始まります。
次のステップとして、女性の薄毛を引き起こす様々な原因や、医療機関で行われる具体的な検査内容を詳しく解説した以下の記事をご用意しています。
以上