「最近、おでこの生え際が後退してきた気がする」「こめかみのあたりが薄くなってきたかも」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

女性にとって髪は容姿の印象を大きく左右するため、生え際の薄毛は深刻な悩みとなりやすいです。

しかし、原因を正しく理解し、適切な対策を講じることで改善が期待できます。

この記事では、女性の生え際の薄毛の原因とご自身でできるケア方法、そしてクリニックでの専門的な治療法について詳しく解説します。一人で悩まず、まずは原因を確認することから始めましょう。

目次

女性の生え際・こめかみの薄毛とは

女性の薄毛は髪全体のボリュームが減る「びまん性脱毛症」が多いとされますが、おでこの生え際やこめかみ部分が薄くなるケースも少なくありません。

男性のAGA(男性型脱毛症)のように生え際がM字に後退するというよりは、生え際全体のラインが薄くなったり、分け目が広がって地肌が透けて見えたりする形で現れるケースが多いです。

おでこの生え際が薄くなると顔が大きく見えてしまう場合もあり、美容上の悩みにも繋がります。こめかみの薄毛も、髪をアップにした際に目立ちやすいため気にされる方が多いです。

生え際・こめかみが薄くなるサイン

初期段階では気づきにくいときもありますが、以下のような変化が見られたら注意が必要です。

  • 以前よりおでこが広くなったように感じる
  • 生え際の髪の毛が細く、弱々しくなった
  • 分け目を変えても地肌が透けて見える
  • 髪全体のボリュームが減った
  • こめかみ部分の髪が薄くなり、地肌が見える範囲が広がった
  • シャンプー時やブラッシング時の抜け毛が増えた

これらのサインは、薄毛が進行している可能性を示唆しています。早めに気づき対策を始めることが大切です。

女性の薄毛のタイプ

女性の薄毛にはいくつかのタイプがあります。

生え際の薄毛がどのタイプに当てはまるか、あるいは複合的な要因によるものかを見極めるのが、適切な対策への第一歩となります。

女性の主な薄毛タイプ

タイプ名主な特徴生え際への影響
FAGA(女性型脱毛症)頭頂部を中心に全体の髪が薄くなる影響小~中
びまん性脱毛症髪全体の密度が低下し、ボリュームが失われる影響中
牽引性脱毛症髪を強く引っ張る髪型などで生え際や分け目が薄くなる影響大
円形脱毛症円形または楕円形の脱毛斑が突然現れる部位による
産後脱毛症出産後のホルモンバランス変化で一時的に抜け毛が増加影響中

生え際やおでこ、こめかみの薄毛は、特に牽引性脱毛症やFAGA、びまん性脱毛症の一部として現れるケースが多いです。

男性(AGA)との違い

男性の薄毛(AGA)は、男性ホルモンの影響で生え際の後退や頭頂部の薄毛が進行するのが特徴です。

一方、女性の薄毛(FAGAなど)は男性ホルモンの影響が少ない場合が多く、髪全体のボリュームダウンや分け目の広がりとして現れる傾向があります。

おでこの生え際がはげるといった表現は男性のAGAでよく聞かれますが、女性の場合もホルモンバランスの変化などが原因で生え際が薄くなることはあります。

ただし、進行の仕方やパターンは男性とは異なる方が多いです。

生え際の薄毛を引き起こす主な原因

女性の生え際やおでこ、こめかみの薄毛には、様々な原因が考えられます。一つだけでなく、複数の要因が絡み合っているケースも少なくありません。

ホルモンバランスの乱れ

女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、髪の成長を促進してハリやコシを保つ働きがあります。

しかし、加齢(特に更年期)や妊娠・出産、ストレスや不規則な生活などによってエストロゲンの分泌量が減少すると相対的に男性ホルモンの影響が強まり、髪が細くなったり抜け毛が増えたりしやすいです。

これがFAGA(女性型脱毛症)の主な原因の一つと考えられています。産後の抜け毛も、妊娠中に増加したエストロゲンが出産後に急激に減少するために起こる一時的な現象です。

生活習慣の乱れ

不規則な生活や睡眠不足、栄養バランスの偏った食事は、髪の健やかな成長を妨げる要因となります。

髪の成長に必要な栄養素

栄養素主な働き多く含む食品
タンパク質髪の主成分(ケラチン)の材料となる肉、魚、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛ケラチンの合成を助ける牡蠣、レバー、牛肉、ナッツ類
ビタミンB群頭皮環境を整え、代謝を促進する豚肉、レバー、うなぎ、マグロ、カツオ
ビタミンCコラーゲン生成を助け、頭皮を健康に保つ果物、野菜、いも類
ビタミンE血行を促進し、抗酸化作用を持つナッツ類、植物油、アボカド

これらの栄養素が不足すると髪が十分に成長できず、細くなったり抜けやすくなったりします。特に過度なダイエットは栄養不足を招きやすいため注意が必要です。

ストレス

精神的なストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させて頭皮の血行不良を引き起こします。

血行が悪くなると髪の毛根(毛母細胞)へ十分な栄養や酸素が届かなくなり、髪の成長が妨げられたり、抜け毛が増えたりする可能性があります。

また、ストレスはホルモンバランスの乱れにも繋がることがあります。

誤ったヘアケアや髪型

毎日のヘアケア方法や特定の髪型が、生え際の薄毛の原因となっている方も見受けられます。

牽引性脱毛症

ポニーテールやお団子ヘアなどの髪を強く引っ張り続ける髪型は、生え際や分け目の毛根に負担をかけ、血行不良や毛根のダメージを引き起こします。

これが長期間続くと、その部分の髪が抜け落ちて薄くなる「牽引性脱毛症」を発症しやすいです。特に、いつも同じ位置で髪を結んでいる方は注意が必要です。

頭皮への負担が大きいケア

洗浄力の強すぎるシャンプーの使用やゴシゴシと強く洗いすぎる行為は、頭皮に必要な皮脂まで奪い、乾燥や炎症を引き起こす可能性があります。

また、すすぎ残しは毛穴詰まりの原因となり、頭皮環境の悪化に繋がります。ドライヤーの熱風を長時間当てすぎるのも頭皮の乾燥を招きます。

病気や薬の影響

甲状腺機能の異常(亢進症・低下症)や膠原病などの全身性の病気が原因で薄毛になることがあります。また、特定の薬剤(抗がん剤、一部の降圧剤など)の副作用として脱毛が起こる場合もあります。

これらの場合は、原因となる病気の治療や、医師との相談による薬剤の変更などが必要です。

自宅でできる生え際の薄毛対策・改善方法

生え際の薄毛が気になり始めたら、まずはセルフケアを見直してみましょう。生活習慣の改善や適切なヘアケアは、薄毛の進行を抑えて健やかな髪を育むための基本です。

食生活の見直し

髪の成長にはバランスの取れた食事が重要です。

なかでも髪の主成分であるタンパク質、ケラチンの合成を助ける亜鉛、頭皮環境を整えるビタミンB群などを意識して摂取しましょう。

積極的に摂りたい食品群

  • 良質なタンパク質(肉、魚、卵、大豆製品)
  • ミネラル(牡蠣、レバー、海藻類、ナッツ類)
  • ビタミン(緑黄色野菜、果物、レバー、うなぎ)

インスタント食品や脂っこい食事、甘いものの摂りすぎは避け、栄養バランスの良い食事を心がけると良いです。

質の高い睡眠の確保

髪は主に睡眠中に成長します。入眠後3時間程度の間に分泌される成長ホルモンは、毛母細胞の分裂を活発にし、髪の成長を促します。

質の高い睡眠を確保するためには、寝る前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用を避け、リラックスできる環境を整えることが有効です。

毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい睡眠習慣を身につけましょう。

ストレスケア

ストレスを完全になくすのは難しいですが、上手に付き合っていく方法を見つける工夫が大切です。

軽い運動や趣味の時間、友人との会話やアロマテラピーなど、自分に合ったリラックス方法を取り入れて心身の緊張を和らげるよう努めましょう。

ストレスが溜まっていると感じたら、意識的に休息を取るのも重要です。

正しいヘアケアの実践

頭皮環境を健やかに保つことは、抜け毛予防と育毛の基本です。

シャンプー方法の見直し

シャンプーは1日1回を目安に、ぬるま湯で髪と頭皮を十分に予洗いしてから行います。

シャンプー剤は手のひらでよく泡立て、指の腹を使って頭皮をマッサージするように優しく洗いましょう。爪を立ててゴシゴシ洗うのは避けてください。

すすぎは時間をかけて丁寧に行い、シャンプー剤が残らないように注意します。

ドライヤーの使い方

洗髪後はタオルで優しく水分を拭き取り、できるだけ早くドライヤーで乾かします。ドライヤーは頭皮から15cm以上離し、同じ場所に熱風が集中しないように動かしながら使いましょう。

完全に乾かすというよりは、8割程度乾かすイメージで、最後は冷風で仕上げるとキューティクルが引き締まりやすくなります。

頭皮マッサージ

頭皮マッサージは血行を促進し、毛根への栄養供給を助ける効果が期待できます。指の腹を使って、生え際から頭頂部に向かって、頭皮全体を優しく揉みほぐしましょう。

シャンプー時や、リラックスタイムに行うのがおすすめです。ただし、力を入れすぎると逆効果になるため、気持ち良いと感じる程度の力加減で行ってください。

育毛剤の使用

市販の女性用育毛剤を使用するのも一つの方法です。育毛剤には、頭皮の血行を促進したり、毛母細胞の働きを活性化させたりする成分が含まれています。

自分の頭皮の状態や薄毛の原因に合ったものを選び、用法用量を守って継続的に使用するのが大切です。

ただし、育毛剤はあくまで頭皮環境を整えて抜け毛を予防したり、発毛を促進したりするサポート的な役割であり、効果には個人差があります。

髪型への配慮

牽引性脱毛症を防ぐためには、毎日同じ髪型で強く髪を引っ張る状態を避けましょう。

ポニーテールやお団子の位置を日によって変えたり、ゆるめに結んだり、髪を下ろす日を作ったりするなどの工夫が必要です。

薄毛治療専門クリニックへの相談

セルフケアを続けても改善が見られないときや、薄毛の進行が早い方、原因が特定できない場合は、薄毛治療を専門とするクリニックへの相談を検討しましょう。

専門医による診断を受けると薄毛の正確な原因を特定でき、自分に合った治療法を見つけられます。

クリニックを受診する目安

以下のような場合は、早めに専門医に相談すると良いでしょう。

  • 抜け毛が急激に増えた
  • 地肌の透け感が広範囲に広がってきた
  • セルフケアを数ヶ月続けても変化がない、または悪化した
  • 薄毛の原因が自分で判断できない
  • 円形脱毛症のような明らかな脱毛斑がある
  • 薄毛による精神的なストレスが大きい

自己判断で間違ったケアを続けるよりも、専門家の意見を聞くことが改善への近道となる場合があります。

クリニックでの検査内容

クリニックでは、まず問診で生活習慣や既往歴、家族歴などを詳しく聞き取ります。その後、視診や触診で頭皮や毛髪の状態を確認します。

必要に応じて、以下のような検査を行う場合があります。

主な検査項目

検査名目的方法
マイクロスコープ頭皮や毛穴、毛髪の状態を拡大して観察する特殊なカメラで頭皮を撮影する
血液検査ホルモンバランスや栄養状態、全身疾患の有無を調べる採血により、ホルモン値、鉄分、亜鉛、甲状腺機能などを測定する
毛髪ミネラル検査髪に含まれるミネラルバランスを測定する少量の毛髪を採取し分析する(実施クリニックは限られる)

複数の検査結果を総合的に判断し、薄毛の原因を診断します。

相談する診療科

女性の薄毛を相談できる診療科としては、皮膚科や美容皮膚科、女性の薄毛専門クリニックなどがあります。

皮膚科は皮膚疾患全般を扱いますが、薄毛治療に特化しているとは限りません。美容皮膚科や女性の薄毛専門クリニックは、より美容的な観点や女性特有の原因に配慮した診断・治療が期待できます。

FAGA治療薬の処方や、より専門的な治療(注入療法など)を希望する際は、薄毛治療を専門に扱っているクリニックを選ぶと良いでしょう。

クリニックで行われる主な治療法

クリニックでは診断結果に基づき、患者さん一人ひとりの症状や原因、希望に合わせた治療法を提案します。セルフケアと並行して行うと、より効果を実感しやすいです。

内服薬・外用薬

医学的根拠に基づいた治療薬を用いる方法です。女性の薄毛(FAGA)に対しては、主にミノキシジル外用薬やスピロノラクトン内服薬を使用します。

ミノキシジル外用薬

もともと高血圧の治療薬として開発されましたが、発毛効果が認められ、薄毛治療薬として転用されました。毛母細胞を活性化させ、血行を促進するして発毛を促します。

女性用としては低濃度のものが推奨されています。市販薬もありますが、クリニックではより高濃度のものを処方できる場合があります。

スピロノラクトン内服薬

利尿薬ですが、男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを抑制する作用があり、FAGA治療に応用されることがあります。

ただし、副作用のリスクもあるため、医師の慎重な判断のもとで処方されます。

その他の薬剤

薄毛の原因に応じて、血行促進薬や栄養補助のためのサプリメントなどが処方されるケースもあります。

注入療法(メソセラピー)

頭皮に直接、発毛・育毛効果のある薬剤や成長因子を注入する治療法です。内服薬や外用薬と比べて、有効成分を直接毛根に届けられるのが特徴です。

主な注入療法の種類

治療法名主な注入成分期待される効果
発毛メソセラピーミノキシジル、成長因子、ビタミンなど発毛促進、毛髪の成長期延長、頭皮環境改善
PRP療法患者自身の多血小板血漿(PRP)組織修復、毛母細胞活性化、血管新生促進
HARG療法幹細胞由来の成長因子(AAPE)毛周期の正常化、毛髪再生促進

注入療法は、薬剤の種類やクリニックによって様々なメニューがあります。効果やダウンタイム、費用などを医師とよく相談して選択しましょう。

植毛

薄毛が進行し、他の治療法では十分な効果が得られない場合に検討されるのが植毛です。

後頭部など、薄毛の影響を受けにくい部位から自身の毛髪を毛根ごと採取し、生え際など薄くなった部分に移植します。

植毛のメリット・デメリット

メリットデメリット
自分の毛髪なので拒絶反応が少ない外科的な手術が必要
移植した毛髪は生え変わり続ける費用が高額になる場合がある
自然な仕上がりが期待できるダウンタイムがある
効果が半永久的に持続する可能性がある採取できる毛髪の量には限りがある

植毛は高度な技術を要するため、経験豊富な医師のもとで行うことが大切です。

クリニック選びのポイント

薄毛治療は継続が必要な場合が多く、信頼できるクリニック選びが重要です。ポイントを押さえて自分に合ったクリニックを見つけましょう。

専門性と実績

女性の薄毛治療を専門に扱っており、豊富な症例実績があるクリニックを選びましょう。

ホームページなどで、女性の治療に力を入れているか、どのような治療法を提供しているかを確認します。医師の経歴や所属学会なども参考になります。

カウンセリングの丁寧さ

初回のカウンセリングで悩みや希望をしっかりと聞き取り、薄毛の原因や治療法について分かりやすく説明してくれるクリニックを選びましょう。

メリットだけでなく、デメリットやリスク、費用についてもきちんと説明してくれるかどうかが重要です。質問しやすい雰囲気かどうかも確認しておくと安心です。

治療法の選択肢

内服薬・外用薬だけでなく、注入療法やその他の治療法など、幅広い選択肢を提案してくれるクリニックのほうが、自分に合った治療法を見つけやすい可能性があります。

特定の治療法だけを強く勧めるのではなく、個々の状態に合わせて柔軟に対応してくれるかを見極めましょう。

費用と期間の明確さ

治療にかかる費用や、おおよその治療期間について、事前に明確な説明があるかを確認しましょう。

治療法によっては自由診療となり、費用が高額になるケースもあります。無理なく続けられる料金設定か、支払い方法なども含めて検討すると良いです。

治療費用の目安(自由診療の場合)

治療法1回あたり費用の目安備考
内服薬(処方)5,000円~15,000円/月薬剤の種類による
外用薬(処方)7,000円~20,000円/月薬剤の種類・濃度による
注入療法30,000円~100,000円薬剤の種類、注入範囲による
植毛500,000円~移植する本数や範囲、術式により大きく異なる

上記はあくまで目安であり、クリニックや治療内容によって異なります。

通いやすさ

薄毛治療は定期的な通院が必要になることが多いです。

自宅や職場からアクセスしやすい場所にあるか、診療時間や予約の取りやすさなども考慮しましょう。

生え際の薄毛を予防するために

薄毛の悩みは、日頃からの予防意識を持つとある程度軽減できる可能性があります。

バランスの取れた食事

髪の成長に必要な栄養素(タンパク質、ビタミン、ミネラル)をバランス良く摂取するのが基本です。

特定の食品に偏らず、多様な食材を取り入れた食事を心がけましょう。

良質な睡眠

毎日6~8時間程度の質の高い睡眠を確保し、成長ホルモンの分泌を促します。

寝る前のリラックスタイムを大切にし、規則正しい生活リズムを維持する工夫が重要です。

ストレス管理

自分なりのストレス解消法を見つけ、溜め込まないようにします。

適度な運動や趣味、休息などを通じて、心身のバランスを整えるのが大切です。

適切なヘアケア

頭皮に優しいシャンプーを選び、正しい方法で洗髪しましょう。

また、髪を強く引っ張る髪型は避け、頭皮への負担を軽減する工夫をすると良いです。頭皮マッサージを習慣にするのもおすすめです。

定期的な頭皮チェック

鏡を使って定期的に生え際や頭頂部の状態をチェックし、変化がないか確認する習慣をつけましょう。

早期に変化に気づくことが、早めの対策に繋がります。

よくある質問(FAQ)

さいごに、生え際の薄毛に関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめます。

Q
生え際の産毛が増えた気がしますが、これは薄毛のサインですか?
A

生え際に細く短い産毛が増えること自体が、必ずしも薄毛の直接的なサインとは限りません。毛周期の過程で一時的に産毛が増えるケースもあります。

しかし、以前と比べて明らかに太い毛が減り、産毛ばかりが目立つようになったり、全体のボリュームが減ってきたりしているときは薄毛が進行している可能性も考えられます。

他の変化(抜け毛の増加、地肌の透け感など)と合わせて、気になる場合は専門医に相談することをおすすめします。

Q
市販の育毛剤だけで改善しますか?
A

市販の育毛剤は、頭皮環境を整えたり血行を促進したりして、抜け毛予防や発毛促進のサポートをするものです。

軽度の薄毛や、生活習慣の乱れが一時的な原因である場合には、育毛剤の使用とセルフケアの改善で効果を感じる方もいます。

しかし、FAGA(女性型脱毛症)など、医学的な治療が必要な原因がある場合、育毛剤だけで大幅な改善を期待するのは難しいです。

効果には個人差も大きいため、数ヶ月使用しても改善が見られないときはクリニックでの診断を検討しましょう。

Q
クリニックでの治療はどのくらいの期間続ければ効果が出ますか?
A

治療効果が現れるまでの期間は、薄毛の原因や進行度、選択する治療法や個人の体質によって大きく異なります。

一般的に、内服薬や外用薬による治療では、効果を実感し始めるまでに最低でも3ヶ月から6ヶ月程度の継続が必要です。

毛周期(髪が生え変わるサイクル)の関係上、目に見える変化が現れるには時間がかかります。注入療法なども、複数回の施術を継続して効果が高まるケースが多いです。

治療開始前に、担当医から予想される治療期間や効果判定の時期について説明を受けるようにしましょう。どの治療法であっても、焦らず根気強い治療の継続が大切です。

Q
治療を途中でやめると、また薄毛に戻ってしまいますか?
A

FAGA(女性型脱毛症)のように体質や加齢が関与している進行性の薄毛の場合、治療を中断すると、再び薄毛が進行し始める可能性があります。

特に、ミノキシジルやスピロノラクトンなどの薬剤は、使用を中止するとその効果が失われ、数ヶ月かけて元の状態に戻っていくケースが多いです。

治療によって改善した状態を維持するためには、医師の指示に従って治療を継続することが重要です。

ただし、原因が一時的なもの(産後脱毛症など)であれば、原因が解消されれば治療を終了できる場合もあります。自己判断で治療を中断せず、必ず医師に相談してください。

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