出産後に多くの女性が経験する抜け毛は、医学的に分娩後脱毛症と呼ばれる症状です。

妊娠から出産にかけての急激なホルモンバランスの変化に起因する生理的な現象であり、珍しいことではありませんが、抜け毛の量や期間には個人差があり、深い悩みの種となります。

この記事では、分娩後脱毛症の医学的な原因、抜け毛が始まってから回復するまでの過程、そしてこの期間を少しでも健やかに過ごすための対策について、詳しく解説します。

産後の抜け毛のメカニズム|なぜ髪は抜けるのか

産後に見られる抜け毛の増加は病的なものではなく、妊娠によって特殊な状態にあった体が、本来の姿へと戻る過程で起こる自然な反応です。

背景には女性ホルモンと、髪の毛が生え変わる周期であるヘアサイクルとの深い関係があります。

女性ホルモンの劇的な変動

女性の体は妊娠すると、胎児を育むためにホルモン環境を大きく変化させます。

特に、卵胞ホルモンであるエストロゲンと、黄体ホルモンであるプロゲステロンの分泌量が、妊娠期間を通じて非常に高いレベルで維持されます。

エストロゲンは女性らしい体つきを形成するだけでなく、髪の毛の成長と維持に深く関わっています。

エストロゲンには髪の毛が太く長く成長する成長期を延長させ、次の段階である退行期へと移行するのを遅らせる働きがあります。

このため、妊娠中は本来なら自然に抜け落ちるはずの髪の毛が抜けにくくなり、一本一本がしっかりとした、豊かでツヤのある状態になることが多いのです。

ヘアサイクルへの影響

私たちの髪の毛は絶えず生え変わりを繰り返しており、それぞれの毛髪が独立した周期を持っていて、ヘアサイクルと呼びます。

ヘアサイクルは、毛母細胞が活発に分裂して髪が伸びる成長期(通常2年から6年)、細胞分裂が停止して成長が止まる退行期(約2週間)、そして毛根が完全に活動を休止し自然に抜け落ちるのを待つ休止期(約3ヶ月から4ヶ月)の3つの期間に大別されます。

妊娠中は高濃度のエストロゲンの影響で、通常であれば90%程度である成長期の髪の割合がさらに高まり、多くの髪が成長期のまま留められるため、見かけ上の毛量が増えるのです。

しかし、出産を終え、胎盤が体外に排出されると、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量は数日のうちに出産前の低いレベルまで急激に低下します。

ヘアサイクルとホルモンの関係

ヘアサイクルの段階期間の目安妊娠・産後の状態
成長期2年~6年妊娠中はエストロゲンの作用でこの期間が延長され、成長期の髪の割合が増加する。
退行期約2週間成長が止まり、毛根が縮小し始める段階。
休止期約3~4ヶ月産後はエストロゲンの急減により、多くの髪が一斉にこの段階へ移行する。

産後の抜け毛が一時的である理由

ホルモンによる支えを失った髪の毛は多くが一斉に成長期を終え、休止期へと移行します。休止期に入った髪の毛は、毛根での活動が停止しているため、その後約100日をかけて自然に抜け落ちていきます。

これが、出産から数ヶ月経ってから急に抜け毛が増える理由です。

産後の抜け毛は妊娠中に抜けるはずだった髪の毛が、ホルモンバランスの変化によって脱毛のタイミングを先送りされ、産後に時間差でまとめて抜け落ちます。

これは、体が正常な状態に戻ろうとしている証拠であり、毛根自体がダメージを受けたわけではないため、休止期を終えた毛穴からは、いずれまた新しい髪が正常に生えてくる、一過性の症状です。

抜け毛が始まる時期とピーク、回復までの期間

産後の抜け毛はいつから始まりいつまで続くのか、見通しを知ることは精神的な安定を保つ上でとても大事です。

抜け毛が目立ち始める時期

産後すぐに抜け毛が始まるわけではありません。出産を機に多くの髪が休止期に入りますが、実際に抜け落ちるまでには数ヶ月のタイムラグがあります。

そのため、多くの女性が抜け毛の増加をはっきりと実感し始めるのは、産後2ヶ月から3ヶ月ごろです。

シャンプーの時やドライヤーで髪を乾かす時、朝起きた時の枕元の髪の毛の量に驚き、この時期から不安が大きくなる傾向があります。

抜け毛のピークはいつか

抜け毛の量は徐々に増えていき、一般的には産後4ヶ月から6ヶ月ごろにピークを迎えるとされています。

この時期には、1日に抜ける髪の本数が200本や300本を超えることも珍しくありません。

生え際(特にこめかみ部分)や分け目の地肌が透けて見えたり、髪全体のボリュームが明らかに減ってしまったりと、見た目にも大きな変化が現れます。

回復過程のタイムライン

抜け毛のピークを越えると、脱毛の勢いは次第に落ち着いていき、産後6ヶ月を過ぎるころ休止期を終えた毛穴から、新しい髪の毛が細い産毛として生え始めるのが確認できるようになります。

新しい髪がある程度の長さと太さに成長し、全体のボリュームが回復したと実感できるまでには、さらに時間が必要です。

一般的に抜け毛が気にならなくなり、ヘアスタイルがある程度元に戻ったと感じるまでには、産後半年から1年、体力の回復が遅れている方やストレスの多い方では1年半ほどかかることもあります。

産後の抜け毛 回復までの一般的な目安

時期髪の状態お母さんの心境
産後2~3ヶ月抜け毛が顕著に増え始める。髪をとかすのが怖くなることも。驚きと不安を感じ始める。本当に治るのか心配になる。
産後4~6ヶ月抜け毛がピークに達する。地肌が目立ち、髪型が決まらなくなる。悩みが最も深くなる時期。精神的にも落ち込みやすい。
産後6ヶ月~1年抜け毛の量が減少し、生え際などに短い新しい髪(産毛)が生え始める。回復の兆しが見え、少しずつ安心感が戻ってくる。
産後1年~1年半新しい髪が伸び、全体のボリューム感が回復してくる。短い毛が立つのが気になることも。悩みがほぼ解消され、元の状態に近づく。

個人差が生まれる要因

これらのタイムラインはあくまで一般的な目安であり、回復のスピードには大きな個人差が生まれます。もともとの毛量や髪質、遺伝的素因といった身体的な要素に加え、産後の生活環境が大きく影響します。

高齢出産であったり、双子や年子で育児の負担が大きかったりする場合、回復には時間がかかる傾向があります。

また、授乳の有無も関係すると言われていますが、授乳自体が直接抜け毛を増やすというよりは、授乳による栄養消費や睡眠不足が間接的に影響していると考えられています。

産後の抜け毛を悪化させる可能性のある要因

産後の抜け毛は生理的な現象であり、完全に避けることはできませんが、産後の不適切な生活習慣や環境は、症状を必要以上に重くしたり、回復を長引かせたりする原因となります。

育児による慢性的な睡眠不足

髪の毛の成長と修復を司る成長ホルモンは、夜間の深いノンレム睡眠中に最も多く分泌されますが、産後は、数時間おきの授乳やおむつ替えに対応するため、まとまった睡眠をとることが非常に困難です。

慢性的な睡眠不足は成長ホルモンの分泌を著しく妨げ、さらに、自律神経のバランスを乱し、体を緊張状態にする交感神経を優位にさせ、頭皮の毛細血管が収縮し血行不良を招きます。

授乳と栄養バランスの乱れ

母乳はお母さんが摂取した栄養素を基に、血液から作られます。

そのため、授乳期間中は、赤ちゃんに十分な栄養を届けるために、通常時よりも多くのエネルギーと栄養素、特にタンパク質、鉄、カルシウム、亜鉛、葉酸などを必要とします。

しかし、育児に追われる中で、お母さん自身の食事は、手早く食べられるパンやおにぎり、麺類などで済ませてしまいがちです。

髪の主成分であるタンパク質や、ケラチン合成に必要な亜鉛、頭皮に酸素を運ぶヘモグロビンの材料となる鉄分などが不足すると、髪は細く弱々しくなり、抜け毛が増えたり、新しい髪が生えにくくなったりします。

髪の健康と栄養素の関係

栄養素髪への働き不足した場合の影響
タンパク質髪の主成分であるケラチンの材料となる。髪が細くなる、ツヤがなくなる、切れ毛が増える。
亜鉛タンパク質の合成を助け、ヘアサイクルを正常に保つ。抜け毛が増加する、皮膚炎、味覚障害。
鉄分血液中のヘモグロビンとして頭皮に酸素を供給する。髪がパサつく、抜け毛が増える、貧血症状(めまい、倦怠感)。

精神的なストレスと自律神経

慣れない育児への不安、泣き止まない赤ちゃんへの焦り、社会から隔離されたような孤独感など、産後のお母さんは様々な種類のストレスに晒されます。

強い精神的ストレスは、コルチゾールというストレスホルモンを分泌させ、自律神経のうち交感神経を優位にし、交感神経が優位になると末梢の血管が収縮するため、頭皮の血行が悪化します。

毛根にある毛母細胞へ十分な栄養と酸素が届かなくなると、髪の成長が阻害され、抜け毛を悪化させ、回復を遅らせる一因です。

産後の抜け毛に対する基本的なセルフケア

産後の抜け毛はホルモンバランスによるものが大きいため、セルフケアで完全に止められません。

しかし、これから生えてくる髪をより健康で丈夫なものにするための土台作りとして、また、体の回復を早め、抜け毛の期間を短くするために、日々の生活の中で意識的にできることはたくさんあります。

健やかな髪を育む食事と栄養素

まずは、バランスの取れた食事を一日三食きちんと摂ることが、全ての基本です。特に、髪の材料となる良質なタンパク質を意識して摂取し、肉、魚、卵、大豆製品などを毎食の献立に取り入れましょう。

また、タンパク質の働きを助け、頭皮の健康を保つビタミンやミネラルも同様に大事です。

積極的に摂りたい食品群

  • タンパク質:脂肪の少ない鶏むね肉、さけ、あじ、卵、豆腐、納豆
  • ビタミン類:緑黄色野菜(ほうれん草、パプリカ、ブロッコリー)、果物(キウイフルーツ、いちご)
  • ミネラル類:牛赤身肉、レバー、あさり、ひじき、わかめ、ナッツ類

一度に多くの品目を用意するのが難しい場合は、普段の食事に一工夫加えるだけでも違います。

お味噌汁を豚汁のような具沢山なものにする、ご飯に雑穀やわかめを混ぜて炊く、間食にチーズやヨーグルト、ナッツを取り入れるなどの工夫で、手軽に栄養価を高められます。

質の高い睡眠を確保する工夫

夜間にまとまった睡眠が取れない分、日中の過ごし方や睡眠の質を高める工夫が重要になります。

赤ちゃんが眠っている時間は、たまった家事を片付けようとせず、一緒にお昼寝をして体を休めることを最優先に考えましょう。15分から20分程度の短い昼寝でも、心身のリフレッシュに大きな効果があります。

また、短時間でも深く眠れるように、寝室の環境を整えることも効果的です。

遮光カーテンを利用したり、スマートフォンなどのブルーライトを発する機器を就寝1時間前には見ないようにしたりするだけでも、睡眠の質は向上します。

睡眠の質を高めるためのヒント

行動具体的な工夫
日中の過ごし方赤ちゃんと一緒に昼寝をする。短時間でも効果あり。
就寝前の習慣スマートフォンやテレビを避け、温かい飲み物や軽いストレッチでリラックスする。
周囲の協力家族に協力を求め、夜間に1~2時間でもまとまって眠る時間を作る。

頭皮環境を整える正しいシャンプー方法

頭皮を清潔に保つことは、健康な髪が育つ土壌を整える上で基本です。

抜け毛を恐れて洗髪を控えるとかえって皮脂や汚れ、古い角質が毛穴に詰まり、炎症やかゆみを起こし、頭皮環境を悪化させます。1日1回、正しい方法で優しくシャンプーを行いましょう。

産後のデリケートな頭皮には、洗浄力が強すぎる高級アルコール系のシャンプーは避け、必要な潤いを保ちながらマイルドに洗い上げるアミノ酸系の洗浄成分を使用したシャンプーを選ぶことをお勧めします。

産後の抜け毛と他の脱毛症との違い

抜け毛があまりにひどいと、産後の一時的なものではなく、何か別の病気なのではないかと不安になるかもしれません。

産後脱毛症と、他の女性に見られる脱毛症との違いを知っておくことで、過度な心配を減らし、必要な場合は医療機関を受診できます。

産後脱毛症の特徴的な症状

産後脱毛症の最も大きな特徴は、頭部全体から均一に髪が抜けるびまん性脱毛である点です。

特定の場所だけがコインのように抜けるわけではなく、全体的にボリュームが減少し、特に髪をかき分けた時の分け目や、髪を結い上げた時の生え際の地肌が目立ちやすくなります。

また、出産という明確なきっかけから数ヶ月後に始まり、1年から1年半程度で自然に回復に向かうという時間的な経過も大きな特徴です。

円形脱毛症との見分け方

円形脱毛症は免疫系の異常により、毛根が誤って攻撃されてしまう自己免疫疾患の一種です。

産後の身体的・精神的ストレスが引き金になることもありますが、脱毛の様相は産後脱毛症とは全く異なります。

円形脱毛症では多くの場合、境界がはっきりした円形や楕円形の脱毛斑が突然現れ、脱毛部分の地肌は光沢があり、つるつるとしているのが典型的です。

産後脱毛症と円形脱毛症の比較

項目産後脱毛症円形脱毛症
抜け方髪全体が薄くなる(びまん性脱毛)。円形・楕円形に局所的に抜ける(限局性脱毛)。
原因女性ホルモンの急激な変化(生理的)。自己免疫異常、精神的ストレス、遺伝的要因など(病的)。
回復通常、産後1年~1年半で自然に回復。自然に治ることも多いが、治療が必要な場合や、多発・拡大する場合もある。

女性男性型脱毛症(FAGA)との関連

女性男性型脱毛症(FAGA)は、男性のAGAと同様に、遺伝的素因と男性ホルモンの影響によって、主に頭頂部や分け目を中心に髪が細く軟毛化し、地肌が透けて見えるようになる、ゆっくりと進行する脱毛症です。

産後の急激な抜け毛をきっかけに、もともとあったFAGAの素因が顕在化し、目立つようになることはあります。

しかし、FAGAは自然に回復することはなく、治療をしなければ徐々に薄毛が進行していくという点で、産後脱毛症とは根本的に異なります。

産後1年半以上経っても髪の状態が回復しない場合は、FAGAへの移行を疑うことが必要です。

医療機関への相談を検討すべきケース

ほとんどの産後の抜け毛は時間の経過と共に自然に軽快しますが、中には医療機関での詳しい検査や診断が必要な場合もあります。

セルフケアを続けても改善が見られない、あるいは症状に不安が強い場合は、一人で抱え込まずに専門家へ相談することが大事です。

抜け毛が1年半以上続く場合

産後1年半が過ぎても抜け毛の量が減らない、あるいは新しい髪が生えてくる気配が全く見られない場合は、産後脱毛症以外の原因が隠れている可能性があります。

鉄欠乏性貧血や甲状腺機能の異常といった内科的な疾患や、女性男性型脱毛症(FAGA)などが考えられます。

脱毛以外の頭皮トラブルがある場合

抜け毛に加えて、我慢できないほどの強いかゆみ、大量のフケ、頭皮の赤みやじゅくじゅくした湿疹、強い痛みなどを伴う場合は、脂漏性皮膚炎や接触皮膚炎、頭部白癬などの皮膚疾患の可能性があります。

自己判断で市販の育毛剤などを使用すると、症状を悪化させる危険があるため、まずは皮膚科で正確な診断と治療を受けることが重要です。

抜け方が局所的で異常な場合

円形脱毛症のように特定の場所だけがごそっと抜けてしまう場合は、産後脱毛症とは異なるアプローチが必要です。

脱毛斑が一つだけでなく複数ある場合や、眉毛やまつげなど、頭髪以外の体毛も抜け始めた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

よくある質問

最後に、産後の抜け毛に関して多くの女性が抱く疑問について、Q&A形式でお答えします。

Q
授乳をやめたら抜け毛は治まりますか?
A

授乳自体が直接抜け毛の原因ではありませんが、断乳や卒乳によって、育児の負担が少し軽減されたり、夜間の睡眠が確保しやすくなったり、お母さん自身の栄養状態が改善されたりすることで、髪の回復が促進されることはあります。

ただし、授乳をやめたからといって、すぐに抜け毛が劇的に減るわけではありません。あくまでヘアサイクルが正常化するまでの時間経過が最も重要です。

Q
新しい髪が生えてきたときの短いツンツンした毛はどうすればよいですか?
A

抜け毛のピークを過ぎ、産後半年から1年ほど経つと、新しい髪が短い毛としてたくさん生えてきます。

これが伸びる過程で、頭頂部や生え際でツンツンと立ってしまい、まとまりにくく感じることがありますが、順調に回復している証拠です。

気になる場合は、スタイリングの際に、ヘアワックスやまとめ髪用のポイントケアアイテムなどを軽く表面につけて馴染ませると、きれいに収まります。

無理に抜いたり切ったりせず、成長を見守りましょう。

Q
完全に元の毛量に戻りますか?
A

ほとんどの場合、産後脱毛症は一過性の生理現象であるため、ヘアサイクルが正常に戻れば、毛量は妊娠前の状態に近くまで回復します。

しかし、30代、40代と年齢を重ねる中での出産は、加齢による自然な毛髪の変化の時期と重なるため、産後の抜け毛をきっかけに、全体的なボリュームが以前より少し減ったと感じる方もいます。

適切な栄養摂取や睡眠、ストレス管理といったセルフケアを続けることが、できるだけ良い状態で回復させるための鍵です。

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