最近鏡を見て「あれ?」と思う瞬間がある方もいるのではないでしょうか。分け目が広がった気がする、髪のボリュームが減ったように感じるなど、特に頭頂部の薄毛に悩む女性が増えています。
男性の薄毛とは異なり、女性の薄毛は全体的に髪が細くなったり密度が低下したりすることが多いですが、中でも頭頂部は人の視線が集まりやすく変化に気づきやすい部分です。
この記事では、女性の頭頂部の薄毛がなぜ起こるのか、その原因を詳しく解説します。さらに、ご自身でできる日常のケア方法から、専門クリニックで行う治療法まで、幅広くご紹介します。
女性の頭頂部の薄毛とは?
性別によって薄毛の進行には違いがあり、女性特有の薄毛パターンが存在します。
女性の薄毛の特徴と男性との違い
女性の薄毛は男性のAGA(男性型脱毛症)とは異なる様相を呈するのが一般的です。
男性の場合は生え際が後退したり、頭頂部がO字型に薄くなったりするパターンが多いのに対し、女性の場合は「びまん性脱毛症」といって、特定の部位だけでなく頭部全体の髪の毛が細くなり、密度が低下する傾向があります。
特に分け目やつむじ周辺、すなわち頭頂部から薄毛が目立ち始めるケースが多く見られます。
特徴 | 女性の薄毛(FAGA/FPHLなど) | 男性の薄毛(AGA) |
---|---|---|
薄くなる範囲 | 頭部全体、特に頭頂部・分け目 | 生え際、頭頂部(O字・M字) |
髪の変化 | 髪が細くなる、ハリ・コシ低下 | 細毛化、脱毛 |
進行パターン | ゆっくり進行することが多い | パターン化して進行 |
頭頂部の薄毛が目立ちやすい理由
頭頂部は自分では直接見えにくい一方で、他人の視線が集まりやすい場所です。
髪の分け目やつむじがあるため、少し髪の密度が低下したり地肌が透けて見えたりするだけでも、変化に気づかれやすい傾向があります。
また、頭頂部は太陽光などの紫外線を直接浴びやすい部位でもあり、頭皮へのダメージが蓄積しやすい点も薄毛が進行しやすい要因の一つと考えられます。
どの年代に多いのか
女性の頭頂部の薄毛は、以前は更年期以降の女性に多い悩みとされていました。しかし近年では、20代や30代といった若い世代でも、頭頂部の薄毛を気にする方が増えています。
これは、生活スタイルの変化やストレス、食生活の乱れなど、様々な要因が複合的に関わっているためと考えられます。年齢に関わらず、誰にでも起こりうる問題として認識することが大切です。
放置するとどうなる?
頭頂部の薄毛は初期段階では気付きにくいケースもありますが、そのまま放置すると徐々に進行していく可能性があります。
髪全体のボリュームダウンにつながり、ヘアスタイルが決まりにくくなるだけでなく、見た目の印象にも影響を与えかねません。
原因によっては、早期に対策を始めると、進行を緩やかにしたり改善したりすることが期待できます。気になる変化を感じたら早めに原因を特定し、適切なケアや治療を検討すると良いです。
なぜ起こる?女性の頭頂部の薄毛の主な原因
女性の頭頂部の薄毛には、様々な原因が考えられます。ホルモンバランスの変化から生活習慣、頭皮環境まで、ご自身の状況と照らし合わせながら原因を探っていきましょう。
ホルモンバランスの変化(FAGA/FPHL)
女性の薄毛の主な原因の一つとして、FAGA(Female Androgenetic Alopecia:女性男性型脱毛症)または FPHL(Female Pattern Hair Loss:女性型脱毛症)と呼ばれる状態があります。
これは、女性ホルモンであるエストロゲンの減少や、男性ホルモンの影響などが関与していると考えられています。
特に更年期を迎えるとエストロゲンの分泌量が急激に減少するため、髪の成長期が短くなり、細く抜けやすい髪が増えることで頭頂部などの薄毛が目立ちやすいです。
加齢による影響
年齢を重ねると、髪の毛を作り出す毛母細胞の働きが自然と低下していきます。
これにより髪の成長サイクル(ヘアサイクル)が乱れ、髪が十分に成長する前に抜けてしまったり、新しく生えてくる髪が細くなったりします。
また、頭皮の血行も加齢とともに滞りやすくなり、髪の成長に必要な栄養素が届きにくくなるのも薄毛の一因となります。
生活習慣の乱れ(食生活・睡眠・ストレス)
日々の生活習慣も、髪の健康に大きな影響を与えます。
偏った食生活による栄養不足や、睡眠不足による成長ホルモンの分泌低下、過度なストレスによる自律神経の乱れや血行不良などは、いずれも髪の健やかな成長を妨げる要因となります。
薄毛につながる可能性のある生活習慣
カテゴリ | 具体例 | 髪への影響 |
---|---|---|
食生活 | 過度なダイエット、インスタント食品中心、偏食 | 髪に必要な栄養素(タンパク質、ビタミン、ミネラル)不足 |
睡眠 | 睡眠不足、不規則な睡眠時間 | 成長ホルモンの分泌低下、細胞修復の遅延 |
ストレス | 過労、人間関係の悩み、環境の変化 | 自律神経の乱れ、血行不良、ホルモンバランスの乱れ |
頭皮環境の悪化(ヘアケア・血行不良)
間違ったヘアケアや頭皮の血行不良も、頭頂部の薄毛を引き起こす原因となります。
洗浄力の強すぎるシャンプーの使用やすすぎ残し、頭皮への強い刺激などは、頭皮の乾燥やかゆみ、炎症を招いて健康な髪が育ちにくい環境を作ってしまいます。
また、長時間のデスクワークや運動不足による肩こりや首こりは頭皮への血流を滞らせ、髪に必要な酸素や栄養が届きにくくなる原因です。
病気や薬の副作用
まれに、甲状腺機能の異常(甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症など)や膠原病といった全身性の病気が、脱毛の原因となるケースがあります。
また、特定の薬剤(抗がん剤、一部の降圧剤、抗うつ剤など)の副作用として脱毛が見られる場合もあります。
急激な抜け毛や、他に体調の変化がある場合は、医療機関への相談が必要です。
- 甲状腺疾患
- 膠原病
- 貧血
- 特定の薬剤
自分でできる?頭頂部の薄毛のセルフケア
専門的な治療を始める前に、あるいは治療と並行して、日々の生活の中でできることもたくさんあります。
食事や睡眠、ストレス管理や頭皮ケアなど、まずは簡単にできることからはじめてみましょう。
食生活の見直しと栄養バランス
髪の主成分はケラチンというタンパク質なので、良質なタンパク質摂取が非常に重要です。
加えて、タンパク質の合成を助ける亜鉛や、頭皮の血行を促進するビタミンE、頭皮環境を整えるビタミンB群などもバランス良く摂ることを心がけましょう。
薄毛対策に役立つ栄養素と食品
栄養素 | 働き | 多く含まれる食品 |
---|---|---|
タンパク質 | 髪の主成分 | 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品 |
亜鉛 | タンパク質の合成補助、細胞分裂の促進 | 牡蠣、レバー、牛肉、ナッツ類、チーズ |
ビタミン類 | 頭皮環境の維持、血行促進、代謝サポート | 緑黄色野菜、果物、レバー、うなぎ、ナッツ類、玄米 |
特定の食品ばかりを食べるのではなく、多様な食品からバランス良く栄養を摂取することが大切です。
良質な睡眠の確保
髪の成長には、睡眠中に分泌される成長ホルモンが深く関わっています。特に、入眠後の深いノンレム睡眠時に多く分泌されるため、質の高い睡眠を十分にとることが重要です。
寝る前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用を控え、リラックスできる環境を整えるなど、睡眠の質を高める工夫をしましょう。
毎日同じ時間に寝起きするといった、規則正しい睡眠習慣を身につけるのも効果的です。
ストレスとの上手な付き合い方
過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させる可能性があります。また、ホルモンバランスにも影響を与え、抜け毛を促進することもあります。
完全にストレスをなくすのは難しいかもしれませんが、自分に合った方法でストレスを溜め込まないようにしましょう。
ストレス解消法
- 軽い運動(ウォーキング、ヨガなど)
- 趣味に没頭する時間を作る
- ゆっくり入浴する
- 信頼できる人に話を聞いてもらう
- 瞑想や深呼吸
正しいヘアケアと頭皮マッサージ
毎日のシャンプーは頭皮の汚れを落として清潔に保つために重要ですが、やり方によっては頭皮にダメージを与えてしまう場合もあります。
ご自身の頭皮タイプに合ったシャンプーを選び、優しい洗髪を心がけましょう。
正しいシャンプーの手順
手順 | ポイント |
---|---|
1. ブラッシング | 髪のもつれを解き、ホコリや汚れを浮かせる |
2. 予洗い | ぬるま湯で髪と頭皮を十分に濡らし、大まかな汚れを洗い流す |
3. シャンプー | 手のひらで泡立ててから、指の腹で頭皮をマッサージするように洗う |
4. すすぎ | シャンプー剤が残らないよう、時間をかけて丁寧に洗い流す |
5. 乾燥 | タオルで優しく水分を拭き取り、ドライヤーで根元から乾かす |
シャンプー時やリラックスタイムなどに頭皮マッサージを取り入れるのも良いでしょう。指の腹を使って、頭皮全体を優しく揉みほぐすと血行が促進され、頭皮環境の改善につながります。
ただし、爪を立てたり、強く擦りすぎたりしないように注意してください。
クリニックでの専門的な検査と診断
セルフケアだけでは改善が見られない場合や、原因を正確に知りたい場合は、薄毛治療を専門とするクリニックへの相談を検討しましょう。専門医による的確な診断が、適切な治療への第一歩となります。
まずは専門医への相談が重要
薄毛の原因は多岐にわたるため、自己判断は禁物です。特に女性の薄毛は、ホルモンバランスや他の疾患が関わっている可能性もあります。
皮膚科医や薄毛治療専門医は、髪と頭皮の状態を詳しく診察し、考えられる原因を特定するための知識と経験を持っています。一人で悩まず、まずは専門家に相談することをおすすめします。
問診と視診
クリニックでは、まず問診を行います。薄毛が気になり始めた時期や抜け毛の量、生活習慣や既往歴、服用中の薬や家族歴などを詳しく伺います。原因を特定するための重要な情報です。
次に、医師が直接頭皮や髪の状態を視診します。薄毛の範囲やパターン、頭皮の色や状態、毛穴の様子などを細かく観察します。
マイクロスコープによる頭皮チェック
より詳しく頭皮や毛髪の状態を調べるために、マイクロスコープを使用する場合があります。
マイクロスコープを使うと肉眼では見えない頭皮の細かな状態(乾燥、皮脂の詰まり、炎症の有無など)や、毛穴の状態、髪の毛の太さや密度などを拡大して観察できます。
これにより、より客観的に頭皮環境を評価し、診断の精度を高められます。
血液検査など必要な検査
問診や視診、マイクロスコープ検査の結果から、ホルモンバランスの乱れや貧血、甲状腺機能異常などの全身的な要因が疑われる際には、血液検査を行うケースがあります。
血液検査によって体内のホルモン値や鉄分、甲状腺ホルモンの数値などを測定し、薄毛の原因となっている可能性のある内科的な問題がないかを確認します。
クリニックで行う主な検査
検査の種類 | 目的 |
---|---|
問診 | 症状、生活習慣、既往歴などを把握する |
視診 | 薄毛のパターン、頭皮の状態を肉眼で確認する |
マイクロスコープ | 頭皮、毛穴、毛髪の状態を拡大して詳細に観察する |
血液検査 | ホルモン値、栄養状態、甲状腺機能など、内科的な原因がないか調べる |
女性の頭頂部の薄毛に対する治療法
クリニックでは、検査結果に基づいて医学的根拠のあるさまざまな治療法の中から、患者さんの状態や希望に合わせた治療を提案します。
内服薬による治療
女性の薄毛治療に用いられる内服薬としては、主にスピロノラクトンやミノキシジルがあります。
スピロノラクトンは男性ホルモンの働きを抑制する作用があり、FAGAの改善効果が期待されます。ミノキシジルは血管を拡張して頭皮の血流を改善し、毛母細胞を活性化させて発毛を促す効果が期待できる薬です。
医師の診察のもと、適切に処方してもらうことが重要です。
- スピロノラクトン
- ミノキシジル(内服)
外用薬(塗り薬)による治療
外用薬としては、ミノキシジルを配合したものが一般的です。ミノキシジル外用薬は頭皮に直接塗布することで毛包に働きかけ、発毛を促進する効果が期待されます。
女性は男性用よりも低濃度のものが推奨される場合が多く、市販薬もありますが、クリニックではより効果的な使用方法や、他の治療との併用についてアドバイスを受けられます。
注入療法(メソセラピーなど)
注入療法は、発毛や育毛に有効とされる成分を注射や特殊な機器を用いて頭皮に直接注入する治療法です。
薬剤を直接毛根周辺に届けられるため、内服薬や外用薬だけでは効果が不十分な場合や、より積極的な治療を希望する場合に選択肢となります。
代表的なものに、ヘアフィラー注入やHARG療法などがあります。
治療法名称 | 主な注入成分 | 特徴 |
---|---|---|
発毛メソセラピー | ミノキシジル、成長因子、ビタミン、ミネラル | 複数の有効成分をブレンドし、頭皮に直接注入 |
HARG療法 | 成長因子(AAPE) | ヒト脂肪幹細胞由来の成長因子を注入 |
ヘアフィラー | 機能性ペプチド、ヒアルロン酸 | 発毛促進や脱毛抑制効果が期待されるペプチド複合体を注入 |
自毛植毛
自毛植毛は、ご自身の後頭部など、薄毛の影響を受けにくい部位から採取した毛髪(毛包ごと)を薄毛が気になる頭頂部などの部位に移植する外科的な治療法です。
移植した毛髪は元の部位の性質を保ったまま生着し、その後も生え変わり続けることが期待できます。他の治療法で十分な効果が得られなかった場合や、より確実な変化を求める場合に検討されます。
ただし、外科的な手術であるため、ダウンタイムや費用などを十分に理解しておく必要があります。
治療法の選び方と注意点
さまざまな治療法がある中で、ご自身に合ったものを選ぶことが大切です。治療期間や費用、効果、そして注意点について確認すると、より選びやすくなるでしょう。
自分の状態に合った治療法の選択
薄毛の原因や進行度、生活スタイルや予算、そして治療に求める効果は人それぞれです。
例えば、比較的初期の薄毛であれば、まず内服薬や外用薬から始めるケースが多いでしょう。より積極的な効果を求めるときや、他の治療で効果が不十分な方には、注入療法や自毛植毛が選択肢となります。
医師とよく相談してそれぞれの治療法のメリット・デメリットを理解した上で、ご自身の状況や希望に最も合った治療法を選ぶと良いです。複数の治療法を組み合わせることもあります。
治療期間と費用の目安
薄毛治療は、効果を実感するまでに時間がかかるのが一般的です。
ヘアサイクルを考慮すると、多くの場合は最低でも3ヶ月から6ヶ月程度の継続が必要となります。治療法によって費用も大きく異なります。
治療法別の期間と費用の大まかな目安
治療法 | 効果実感までの期間目安 | 費用目安(月額または総額) | 備考 |
---|---|---|---|
内服薬 | 3~6ヶ月以上 | 月額5,000円~15,000円程度 | 継続が必要、保険適用外 |
外用薬 | 4~6ヶ月以上 | 月額5,000円~15,000円程度 | 継続が必要、保険適用外 |
注入療法 | 3~6ヶ月(複数回) | 1回20,000円~ / 総額数十万円 | 複数回の施術が必要、保険適用外 |
自毛植毛 | 6ヶ月~1年 | 総額50万円~数百万円 | 根本的な改善が期待できる、保険適用外 |
上記はあくまで一般的な目安であり、クリニックや治療内容によって異なります。治療を開始する前に、必ず詳細な費用を確認してください。
治療効果を高めるために
クリニックでの治療効果を最大限に引き出すためには、セルフケアの継続も大切です。
バランスの取れた食事や十分な睡眠、ストレス管理や正しいヘアケアなど、生活習慣の改善に取り組むと治療効果を高められるでしょう。
また、医師の指示に従って、薬の服用や塗布、通院を継続するのも重要です。途中で自己判断で治療をやめてしまうと、効果が得られないばかりか、状態が悪化する可能性もあります。
副作用やリスクについて
どのような治療法にも、副作用やリスクが伴う可能性があります。
例えば内服薬ではむくみや動悸、肝機能への影響などが報告されています。外用薬では頭皮のかぶれやかゆみが出ることがあります。
注入療法では注入時の痛みや内出血、腫れなどが起こる可能性があります。自毛植毛は外科手術のため、術後の腫れや痛み、感染のリスクなどがあります。
治療を開始する前に、医師から考えられる副作用やリスクについて十分な説明を受け、理解しておくことが大切です。
治療法 | 考えられる副作用・リスク |
---|---|
内服薬 | むくみ、動悸、めまい、肝機能障害、初期脱毛 |
外用薬 | 頭皮のかゆみ、かぶれ、発疹、初期脱毛 |
注入療法 | 注入時の痛み、内出血、腫れ、赤み、感染 |
自毛植毛 | 術後の痛み、腫れ、赤み、感染、一時的な既存毛の脱毛 |
もし治療中に何か異常を感じた場合は、すぐに医師に相談してください。
頭頂部の薄毛に関するよくある質問(Q&A)
さいごに、女性の頭頂部の薄毛に関して、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- Q遺伝は関係ありますか?
- A
薄毛になりやすい体質が遺伝する可能性はあります。特にFAGA/FPHLは遺伝的要因が関与していると考えられています。
ご家族に薄毛の方がいる場合、ご自身も薄毛になるリスクがやや高いと言えるかもしれません。
しかし、遺伝だけが原因ではなく、生活習慣やホルモンバランス、ストレスなどさまざまな要因が複合的に影響するため、遺伝的素因があっても必ず薄毛になるとは限りません。
また、適切なケアや治療によって進行を抑制したり、改善したりすることが可能です。
- Q治療はいつから始めるべきですか?
- A
薄毛は進行性の場合が多いため、気になり始めたらできるだけ早く専門医に相談し、適切な対策を始めると良いでしょう。
早期に治療を開始するほど進行を食い止めやすく、改善効果も得られやすい傾向があります。
「まだ大丈夫だろう」と自己判断せず、抜け毛が増えた、髪が細くなった、地肌が透けて見えるようになったなどの変化を感じたら、まずはクリニックでの診察を検討してください。
- Q効果はどれくらいで実感できますか?
- A
効果を実感できるまでの期間は治療法や個人の状態によって異なりますが、一般的には3ヶ月から6ヶ月程度の継続が必要です。
髪の毛にはヘアサイクルがあり、新しい髪が成長して目に見える変化として現れるまでには時間がかかります。
焦らず、根気強く治療を続けることが大切です。医師が定期的に経過を観察し、治療効果を評価しながら、必要に応じて治療方針を調整します。
- Q治療をやめたら元に戻りますか?
- A
治療法によって異なります。治療の中止や変更については、必ず医師と相談してください。
内服薬や外用薬による治療は、基本的に継続することで効果を維持します。そのため、自己判断で治療を中止すると再び薄毛が進行し、元の状態に戻ってしまう可能性があります。
注入療法も、効果を持続させるためには定期的なメンテナンスが必要な場合があります。
自毛植毛で生着した髪は基本的には生え変わり続けますが、移植していない部位の薄毛が進行する可能性があります。
参考文献
DINH, Quan Q.; SINCLAIR, Rodney. Female pattern hair loss: current treatment concepts. Clinical interventions in aging, 2007, 2.2: 189-199.
HERSKOVITZ, Ingrid; TOSTI, Antonella. Female pattern hair loss. International Journal of Endocrinology and Metabolism, 2013, 11.4: e9860.
SINCLAIR, Rodney, et al. Hair loss in women: medical and cosmetic approaches to increase scalp hair fullness. British Journal of Dermatology, 2011, 165.s3: 12-18.
MANABE, Motomu, et al. Guidelines for the diagnosis and treatment of male‐pattern and female‐pattern hair loss, 2017 version. The Journal of Dermatology, 2018, 45.9: 1031-1043.
VAN ZUUREN, Esther J.; FEDOROWICZ, Zbys; SCHOONES, Jan. Interventions for female pattern hair loss. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2016, 5.
SHAPIRO, Jerry. Hair loss in women. New England Journal of Medicine, 2007, 357.16: 1620-1630.
MUBKI, Thamer, et al. Evaluation and diagnosis of the hair loss patient: part I. History and clinical examination. Journal of the American Academy of Dermatology, 2014, 71.3: 415. e1-415. e15.
CASH, Thomas F. The psychology of hair loss and its implications for patient care. Clinics in dermatology, 2001, 19.2: 161-166.