春は、心地よい陽気とともに新しい生活が始まる希望に満ちた季節です。しかしその一方で、「最近、抜け毛が増えたかも…」と感じる女性が少なくありません。

実は、春は一年の中でも特に抜け毛が増えやすい時期です。

季節の変わり目による身体の変化や、新生活がもたらす環境の変化は、知らず知らずのうちに髪と頭皮に影響を与えています。

この記事では春に抜け毛が増える原因を詳しく解説し、今日から始められる具体的な予防策と、健やかな髪を育むための生活習慣のポイントを紹介します。

目次

なぜ春は抜け毛が増えるのか?その原因

春になるとブラッシングやシャンプーの際に、抜け毛の量が増えたと感じるケースがあります。

これは決して気のせいではなく、いくつかの明確な理由が存在します。季節の変わり目である春特有の要因が、私たちの髪や頭皮に影響を及ぼすのです。

季節の変わり目とヘアサイクルの関係

髪の毛には一本一本に寿命があり、「成長期」「退行期」「休止期」というサイクルを繰り返しています。これをヘアサイクル(毛周期)と呼びます。

春は、動物の毛が生え変わる「換毛期」のように、人間にとっても休止期に入る髪の割合が一時的に増える傾向があると考えられています。

休止期に入った髪は数ヶ月後に自然に抜け落ちるため、春から初夏にかけて抜け毛が増えたと感じやすくなるのです。

これは生理的な現象の一部であり、過度に心配する必要はありませんが、ヘアサイクルが乱れると抜け毛の増加につながるため注意が必要です。

ヘアサイクルの各段階

段階期間の目安特徴
成長期2年~6年毛母細胞が活発に分裂し、髪が太く長く成長する時期。全毛髪の約85~90%を占める。
退行期約2週間毛母細胞の分裂が止まり、髪の成長が停止する時期。全毛髪の約1%。
休止期約3~4ヶ月髪の成長が完全に止まり、毛根が浅くなって抜け落ちるのを待つ時期。全毛髪の約10~15%。

冬の間に蓄積された頭皮へのダメージ

冬の厳しい寒さと乾燥した空気は、知らず知らずのうちに頭皮にダメージを蓄積させています。

暖房による空気の乾燥は頭皮の水分を奪い、バリア機能の低下を招きます。

また、寒さで身体が冷えると、全身の血行が悪化しやすくなります。

頭皮は特に毛細血管が集中している場所であり、血行不良は髪の成長に必要な栄養素が毛根まで届きにくくなる原因となります。

これらの冬の間に受けたダメージが、春になって頭皮環境の乱れや抜け毛の増加という形で現れる場合があります。

春特有のアレルゲン(花粉など)の影響

春はスギやヒノキなどの花粉が飛散する季節です。花粉は目や鼻だけでなく、頭皮にも付着します。

頭皮に付着した花粉や、PM2.5などの大気汚染物質は頭皮に刺激を与え、かゆみや炎症を引き起こすときがあります。

頭皮を掻きむしってしまうと頭皮が傷つき、健康な髪の成長を妨げるだけでなく、物理的な刺激で髪が抜けてしまうケースもあります。アレルギー体質の方は特に注意が必要です。

新生活のスタートが髪に与える意外な影響

春は就職や転職、異動や引っ越しなど、生活環境が大きく変わる季節でもあります。

新しい環境への期待とともに、慣れない生活は心身にとって大きなストレス源となり得ます。

この「新生活ストレス」が、実は女性の髪に深刻な影響を及ぼすときがあるのです。

環境の変化が引き起こす心身のストレス

新しい職場や人間関係、生活リズムへの適応は、本人が意識している以上に精神的な負担となります。

ストレスを感じると、私たちの身体は自律神経のうち交感神経が優位な状態になります。交感神経には血管を収縮させる働きがあるため、頭皮の毛細血管も収縮して血流が悪化します。

この血行不良により、髪の成長に必要な酸素や栄養が毛母細胞に十分に行き渡らなくなり、結果として髪が細くなったり、抜け毛が増えたりする原因となります。

ストレスが髪に与える主な影響

影響内容髪への結果
血行不良交感神経の働きで頭皮の血管が収縮する。栄養不足による成長阻害、抜け毛増加。
ホルモンバランスの乱れストレス対抗ホルモン「コルチゾール」の増加が影響する。ヘアサイクルの乱れ、皮脂の過剰分泌。
睡眠の質の低下緊張や不安で寝つきが悪くなる、眠りが浅くなる。成長ホルモンの分泌減少、頭皮の修復機能低下。

生活リズムの乱れとホルモンバランス

新しい生活が始まると、通勤時間の変更や残業などで、睡眠時間や食事の時間が不規則になりがちです。特に睡眠不足は、髪の成長に大きな影響を与えます。

髪の成長を促す「成長ホルモン」は、私たちが眠っている間、特に深い眠りの時に最も多く分泌されます。

睡眠時間が不足したり眠りが浅かったりすると、成長ホルモンの分泌が減少し、髪の健やかな成長が妨げられます。

また、不規則な生活は女性ホルモンのバランスを乱す原因にもなり、ヘアサイクルに影響を及ぼす場合があります。

食生活の変化による栄養不足

一人暮らしを始めたり、仕事が忙しくなったりすると、食生活が乱れやすくなります。

外食やコンビニ弁当、インスタント食品に頼る機会が増えると、栄養バランスが偏りがちです。

髪の毛は主に「ケラチン」というタンパク質でできており、その合成には亜鉛やビタミン類など様々な栄養素が必要です。

これらの栄養素が不足すると健康な髪を作れなくなり、細く弱い髪になったり、抜け毛が増えたりする原因となります。

自宅でできる春の抜け毛セルフケア

春の抜け毛は気になるものですが、日々の少しの心がけで予防・改善が期待できます。

特別な道具や高価な製品がなくても、毎日の習慣を見直すことが健やかな頭皮環境への第一歩です。

正しいシャンプー方法と頭皮マッサージ

毎日のシャンプーは単に髪の汚れを落とすだけでなく、頭皮環境を整えるための重要なケアです。

シャンプー前には、まずブラッシングで髪の絡まりをほどき、大きなホコリを落としましょう。お湯で髪と頭皮を十分に予洗いすると汚れの7~8割は落ちるといわれています。

シャンプーは手のひらでよく泡立ててから、髪ではなく頭皮につけ、指の腹を使って優しくマッサージするように洗います。爪を立ててゴシゴシ洗うのは、頭皮を傷つける原因になるので絶対にやめましょう。

すすぎはシャンプー剤が残らないように、時間をかけて丁寧に行うのが大切です。

シャンプー後の頭皮マッサージは、血行を促進してリラックス効果も期待できます。指の腹で頭皮全体を優しく動かすように、気持ち良いと感じる強さで行いましょう。

髪と頭皮に優しいドライヤーの使い方

濡れた髪はキューティクルが開いており、非常にデリケートな状態です。濡れたまま放置すると雑菌が繁殖しやすくなるだけでなく、摩擦で髪が傷む原因にもなります。

シャンプー後はできるだけ速やかにドライヤーで乾かしましょう。その際、まずは吸水性の高いタオルで、髪をこすらずに優しく押さえるようにして水分を拭き取ります(タオルドライ)。

ドライヤーは髪から15~20cm程度離し、同じ場所に熱風が集中しないように小刻みに動かしながら乾かすのがポイントです。

根元から乾かし始め、全体が8割ほど乾いたら冷風に切り替えて仕上げると、開いたキューティクルが引き締まり髪にツヤが出ます。

紫外線から髪と頭皮を守る工夫

春の紫外線は真夏ほどではないと思われがちですが、実は意外と強く、肌だけでなく髪や頭皮にもダメージを与えます。

紫外線は髪のタンパク質を破壊し、キューティクルを傷つけてパサつきや枝毛、切れ毛の原因となります。

また、頭皮が日焼けすると乾燥や炎症を引き起こし、毛根にダメージを与えて抜け毛につながるケースもあります。

外出時には帽子や日傘を活用する、分け目を定期的に変える、髪や頭皮にも使えるUVカットスプレーを利用するなど、積極的な紫外線対策を心がけましょう。

紫外線対策の方法と比較

対策方法メリットデメリット・注意点
帽子頭部全体を広範囲にカバーできる。物理的に紫外線を遮断する効果が高い。髪型が崩れやすい。長時間かぶると蒸れて頭皮環境が悪化するときがある。
日傘髪だけでなく顔や首も守れる。通気性が良く蒸れにくい。手がふさがる。人混みでは使いにくい場合がある。
UVカットスプレー髪型を崩さずに手軽に使える。髪の分け目などピンポイントのケアも可能。塗りムラができやすい。汗で流れやすいため、こまめな塗り直しが必要。

抜け毛予防につながる食生活の改善ポイント

健やかな髪は身体の内側から作られます。特に、毎日の食事から摂取する栄養素は、髪の成長に直接的な影響を与えます。

バランスの取れた食事は、抜け毛を予防し、強く美しい髪を育むための土台となります。

髪の主成分「ケラチン」を作るための栄養素

髪の約90%以上は、「ケラチン」という18種類のアミノ酸が結合してできたタンパク質で構成されています。そのため、まずは主成分であるタンパク質を十分に摂取するのが基本です。

肉や魚、卵や大豆製品など、良質なタンパク質を毎日の食事にバランス良く取り入れましょう。

また、摂取したタンパク質が髪のケラチンに再合成される際には、「亜鉛」というミネラルが必要です。亜鉛が不足するとうまく髪を作れず、抜け毛や髪質の低下につながります。

さらに、亜鉛の吸収を助け、頭皮の健康を保つ「ビタミン類」も同時に摂取しましょう。

髪の成長に重要な栄養素

栄養素主な働き多く含む食品
タンパク質髪の主成分であるケラチンを作る。肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品
亜鉛タンパク質の合成を助け、ヘアサイクルを正常に保つ。牡蠣、レバー、牛肉(赤身)、チーズ、ナッツ類
ビタミンB群頭皮の新陳代謝を促し、皮脂の分泌をコントロールする。豚肉、レバー、うなぎ、マグロ、カツオ、玄米

血行を促進し頭皮環境を整える食品

髪の成長に必要な栄養素は、血液によって頭皮の毛母細胞まで運ばれます。そのため、いくら栄養を摂取しても、血行が悪ければ意味がありません。

血行促進に効果的な栄養素として知られるのが「ビタミンE」です。ビタミンEには、血管を拡張して血流をスムーズにする働きがあります。

また、鉄分も重要です。鉄分は血液中のヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を運ぶ役割を担っています。

鉄分が不足すると頭皮が酸欠状態になり、毛母細胞の働きが低下してしまいます。

特に女性は月経により鉄分が不足しがちなので、意識的に摂取することが大切です。

栄養素多く含む食品
ビタミンEアーモンド、かぼちゃ、アボカド、植物油
鉄分レバー、赤身の肉、ほうれん草、ひじき、あさり

春に旬を迎える食材を取り入れた育毛レシピ

春は、髪に良い栄養素を豊富に含む美味しい食材がたくさん旬を迎える季節です。旬の食材は栄養価が高く、味も濃いのが特徴です。

楽しみながら食生活を改善するために、春野菜などを積極的に取り入れてみましょう。

例えば、アスパラガスには血行を促進するルチンや、新陳代謝を活発にするアスパラギン酸が含まれています。菜の花や春キャベツには、頭皮の健康を保つビタミンCが豊富です。

たけのこには、タンパク質の合成を助ける亜鉛が含まれています。

これらの食材を使った、簡単で美味しい育毛レシピを試してみてはいかがでしょうか。

春の食材活用レシピ例

レシピ名主な食材期待できる効果
豚肉とアスパラガスの生姜焼き豚肉、アスパラガスタンパク質、ビタミンB群、血行促進
あさりと春キャベツのスープパスタあさり、春キャベツ鉄分、亜鉛、ビタミンC
カツオのたたき新玉ねぎ添えカツオ、新玉ねぎタンパク質、ビタミンB群、血液サラサラ効果

効果的なヘアケア製品の選び方と使い方

ドラッグストアや美容室には、数多くのヘアケア製品が並んでいます。

しかし、自分の髪や頭皮の状態に合わないものを選んでしまうとかえって頭皮環境を悪化させ、抜け毛の原因となるケースもあります。

自分の頭皮タイプに合ったシャンプー選び

シャンプー選びで最も重要なのは、自分の頭皮のタイプを理解することです。

頭皮は大きく「乾燥肌」「脂性肌(オイリー肌)」「混合肌」に分けられます。

自分の頭皮がどのタイプかを知り、それに合った洗浄成分のシャンプーを選ぶのが、健やかな頭皮環境の第一歩です。

頭皮タイプ別の特徴と推奨されるシャンプー

頭皮タイプ特徴推奨される洗浄成分
乾燥肌頭皮がカサつき、細かいフケが出やすい。洗浄力の強いシャンプーを使うとつっぱる感じがする。アミノ酸系(例:ココイルグルタミン酸Na)。マイルドな洗浄力で、頭皮の潤いを保ちながら洗える。
脂性肌夕方になると髪がベタつく。頭皮にニキビができやすい。フケが湿っていて大きい。高級アルコール系(例:ラウレス硫酸Na)。洗浄力が高く、余分な皮脂をしっかり洗い流せる。
混合肌Tゾーンはベタつくのに、フェイスラインは乾燥するなど、部位によって状態が違う。石けん系やアミノ酸系のシャンプーで様子を見ながら、洗い方を工夫する。

自分のタイプがわからない場合は、美容師や専門クリニックの医師に相談してみるのも良いでしょう。

育毛剤・発毛剤の役割と正しい使用タイミング

抜け毛が気になると、育毛剤や発毛剤の使用を検討する方も多いでしょう。この二つは混同されがちですが、役割や成分が異なります。

育毛剤は「医薬部外品」に分類され、主な目的は頭皮の血行を促進したり、炎症を抑えたりして「今ある髪を健康に育て、抜け毛を予防する」ことです。

一方、発毛剤は「医薬品」に分類され、ミノキシジルなどの有効成分が毛母細胞に直接働きかけ、「新しい髪を生やす」効果が認められています。

春の季節的な抜け毛対策や予防が目的であれば、まずは頭皮環境を整える育毛剤から試してみるのが一般的です。

使用するタイミングは、頭皮が清潔で血行が良くなっている洗髪後が最も効果的です。

トリートメントとコンディショナーの違いと効果

トリートメントとコンディショナーも日々のヘアケアでよく使われる製品ですが、その役割には違いがあります。

コンディショナー(またはリンス)は主に髪の表面をコーティングし、キューティクルを整えて指通りを良くしたり、外部の刺激から髪を守ったりする役割を持ちます。

一方、トリートメントは髪の内部に浸透し、ダメージによって失われた栄養分や水分を補給して、髪を内側から補修する役割を担います。

髪のパサつきやダメージが気になる場合はトリートメントを、指通りを良くしたい場合はコンディショナーを選ぶと良いでしょう。

両方使う場合はシャンプー後にトリートメントで内部補修をし、一度洗い流してからコンディショナーで表面を保護する、という順番が効果的です。

トリートメントとコンディショナーの比較

種類主な役割使用目的
コンディショナー髪の表面を保護・コーティングする。指通りを滑らかにする、静電気を防ぐ、キューティクルを保護する。
トリートメント髪の内部に栄養を補給・補修する。ダメージヘアを修復する、髪に潤いとハリ・コシを与える。

抜け毛が気になり始めたときの注意点

抜け毛が増えると、不安になって様々な対策を試したくなるものです。

しかし、間違った情報や自己流のケアは、かえって症状を悪化させてしまう危険性もあります。抜け毛というサインに正しく向き合い、冷静に対処しましょう。

自己判断で間違ったケアをしないために

「抜け毛にはこのシャンプーが良いらしい」「このサプリが効く」といった口コミや広告を見て、すぐに試したくなる気持ちは分かります。

しかし、その製品があなたの頭皮タイプや抜け毛の原因に合っているとは限りません。

例えば、皮脂の分泌が多い方が保湿力の高いしっとり系のシャンプーを使い続けると、毛穴が詰まって炎症を起こす可能性があります。

逆に、乾燥肌の方が洗浄力の強いシャンプーを使うと必要な皮脂まで奪われ、さらに乾燥を悪化させてしまいます。

まずは自分の状態を客観的に把握し、原因に合ったケアを選ぶのが基本です。

抜け毛の本数以外にチェックすべきサイン

抜け毛の本数だけに一喜一憂するのではなく、頭皮や髪質に他の変化がないかどうかも注意深く観察しましょう。

これらは、頭皮環境が悪化している、あるいはヘアサイクルが乱れているサインかもしれません。

  • 抜けた毛が細く短い
  • 髪全体のボリュームが減り、地肌が透けて見えるようになった
  • 頭皮にかゆみ、赤み、フケがある
  • 頭皮が硬くなった感じがする

これらのサインが複数見られる場合は、単なる季節性の抜け毛ではない可能性も考えられます。

専門クリニックへの相談を検討するタイミング

季節性の抜け毛は、通常2~3ヶ月で自然に落ち着く方が多いです。

しかし、以下のような状況であれば、一度専門のクリニックに相談するのがおすすめです。

女性の薄毛の原因は多岐にわたり、中にはFAGA(女性男性型脱毛症)や、他の病気が隠れているケースもあります。

専門医による正確な診断を受けると悩みを長引かせず、ご自身に合った適切な治療への道筋を見つけられます。

専門クリニックへの相談目安

項目内容
期間セルフケアを続けても3ヶ月以上抜け毛が減らない。
明らかに抜け毛が急増し、洗髪時や起床時に不安を感じるレベル。
状態地肌が目立つ部分がある、髪が細く弱々しくなったなど、見た目に変化がある。
随伴症状強いかゆみや痛み、大量のフケなど、頭皮の異常を伴う。

よくある質問

さいごに、春の抜け毛に関して患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q
春の抜け毛はいつ頃落ち着きますか?
A

個人差はありますが、春の季節性の抜け毛はヘアサイクルの一環として起こる一時的なものである売が多いです。

一般的には、生活習慣の乱れや強いストレスなどがなければ、季節が進み、気候が安定してくる初夏(6月頃)には自然と落ち着く傾向にあります。

ただし、3ヶ月以上経っても抜け毛の量が減らない、あるいは増加するような場合は、他の原因が考えられるため専門医への相談を検討しましょう。

Q
パーマやカラーリングは控えた方が良いですか?
A

抜け毛が気になっている時期は、頭皮や髪がデリケートになっている可能性があります。

パーマ液やカラー剤は少なからず頭皮への刺激となるため、可能であれば症状が落ち着くまで控えるのが望ましいです。

どうしても行いたい場合は、頭皮になるべく薬剤がつかないように施術してもらう、刺激の少ない薬剤を選んでもらうなど、美容師さんによく相談しましょう。

また、施術後はいつも以上に丁寧な保湿ケアを心がけてください。

Q
サプリメントは効果がありますか?
A

髪の成長に必要な栄養素(タンパク質、亜鉛、ビタミンなど)を補助する目的でサプリメントを利用するのは一つの方法です。

特に、食生活が不規則で十分な栄養を食事から摂るのが難しい場合には、助けになります。

ただし、サプリメントはあくまで「栄養補助食品」であり、薬ではありません。

特定のサプリメントを飲めば必ず髪が生える、抜け毛が止まるというものではなく、基本はバランスの取れた食事であることが重要です。

過剰摂取はかえって身体に負担をかける場合もあるため、利用する場合は目安量を守りましょう。

Q
生活習慣を改善すれば必ず抜け毛は減りますか?
A

バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動やストレスケアといった生活習慣の改善は、頭皮環境を整えて健やかな髪を育むための土台であり、非常に重要です。

多くの場合、これらの改善によって抜け毛は軽減されます。

しかし、女性の薄毛の原因には、ホルモンバランスの乱れが関係するFAGA(女性男性型脱毛症)や、甲状腺疾患などの内科的な病気、あるいは自己免疫疾患などが隠れている場合もあります。

これらの場合は、生活習慣の改善だけでは解決が難しく、専門的な診断と治療が必要です。

セルフケアで改善しない場合は自己判断で抱え込まず、専門のクリニックに相談することが解決への近道です。

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