マンジャロのジェネリックはある?後発品の見通しと今後

マンジャロのジェネリックはある?後発品の見通しと今後

マンジャロ(一般名:チルゼパチド)のジェネリック医薬品(後発品)は、2026年2月時点で国内外ともに存在しません。有効成分であるチルゼパチドの物質特許は米国で2036年頃まで保護される見通しで、日本国内でのジェネリック登場も当面は難しい状況です。

とはいえ「少しでも費用を抑えたい」「将来的にジェネリックが出れば使いたい」と考える方は多いでしょう。この記事では、マンジャロのジェネリックに関する現在の状況から特許期限、バイオシミラーとの違い、費用を抑える方法まで、医学的根拠にもとづいてわかりやすく解説します。

目次 Outline

マンジャロのジェネリック(後発品)は現時点で存在しない

結論からお伝えすると、マンジャロのジェネリック医薬品は日本国内にも海外にも存在しません。開発元であるイーライリリー社が保有する特許権により、他社が同一成分の製品を製造・販売できない状態が続いています。

マンジャロの有効成分チルゼパチドと特許の関係

マンジャロの有効成分「チルゼパチド」は、GIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用するデュアルアゴニストです。39個のアミノ酸から成るペプチド製剤であり、従来のGLP-1受容体作動薬とは異なる構造をもっています。

こうした独自の構造はイーライリリー社が複数の特許で保護しており、物質特許のほか製剤や投与デバイスに関する特許も出願されています。特許が有効な期間は、原則として他社がチルゼパチドを含む製品を製造することは認められません。

日本国内でマンジャロの後発品が出回っていない理由

日本でジェネリック医薬品が発売されるには、先発品の特許期間が満了し、かつ再審査期間(通常は承認後8年間)が終了している必要があります。マンジャロは2022年9月に日本で承認されたばかりの新薬であり、再審査期間だけでも2030年頃まで継続する見込みです。

加えて、チルゼパチドはペプチド製剤であるため、低分子化合物のジェネリックとは開発のハードルがまったく異なります。こうした事情が重なり、国内での後発品登場にはまだ相当の年数がかかるでしょう。

マンジャロの国内承認と後発品までの道のり

項目内容
一般名チルゼパチド
日本での承認年2022年9月
薬価収載・発売2023年4月
再審査期間(目安)承認から8年間
物質特許満了(米国)2036年頃
後発品発売の見通し2030年代後半以降

海外でもチルゼパチドのジェネリックは未承認

米国FDAをはじめ、欧州やその他の地域でもチルゼパチドのジェネリック製品は承認されていません。米国では物質特許に加え、製剤や投与方法に関する複数の二次特許が出願されており、これらが「パテントシケット(特許の壁)」を形成しています。

実際にジェネリック医薬品が市場に登場するには、すべての関連特許が満了するか、特許チャレンジ(特許無効の申し立て)に成功する必要があります。米国のDrugPatentWatch社の分析では、ジェネリック参入は早くても2036年以降と予測されています。

マンジャロの特許はいつ切れる?ジェネリック解禁時期の目安

マンジャロ(チルゼパチド)の主要な物質特許は米国で2036年頃に満了すると見られていますが、二次特許を含めると実際のジェネリック参入は2030年代後半~2040年前後になる見通しです。

米国における物質特許と二次特許の期限

米国ではチルゼパチドの物質に関する特許(U.S. Patent No. 10,603,505など)が2036年前後に満了すると推定されています。ただし、イーライリリー社は製造方法や製剤処方、投与デバイスなどに関する二次特許を多数出願しており、それらの一部は2040年代前半まで有効とされます。

こうした二次特許の存在により、物質特許が切れたからといってすぐにジェネリックが登場するわけではありません。ジェネリックメーカーが参入するには、これらすべての特許をクリアする必要があるからです。

日本でジェネリックが発売されるために必要な条件

日本では先発品の再審査期間(新医薬品の場合は通常8年間)が終了し、さらに国内の特許が満了していなければジェネリックを発売できません。マンジャロの場合、再審査期間だけでも2030年頃までは続くと考えられます。

その後、製造販売承認申請や薬価収載の手続きにも一定の期間がかかります。仮に再審査期間終了と同時に後発品の準備が整ったとしても、市場に出回るまでには数年を要するのが一般的です。

GLP-1受容体作動薬の後発品は他の薬剤でも出ていない

GLP-1受容体作動薬のカテゴリ全体を見渡しても、日本国内でジェネリックが承認された製品は2026年2月時点でありません。リラグルチド(ビクトーザ)やセマグルチド(オゼンピック、リベルサス)など先行するGLP-1製剤でも、ジェネリックはまだ登場していない段階です。

ペプチド製剤やバイオ医薬品は構造が複雑なため、低分子薬のように簡単にコピーできないという背景があります。したがってマンジャロだけが特別に遅れているわけではなく、この分野全体として後発品の登場には時間がかかるといえます。

薬剤名一般名後発品の有無
マンジャロチルゼパチドなし
オゼンピックセマグルチドなし
ビクトーザリラグルチドなし
トルリシティデュラグルチドなし
リベルサスセマグルチド(経口)なし

ジェネリックとバイオシミラーはどう違う?マンジャロの場合を解説

マンジャロのような生物学的製剤では、一般的な「ジェネリック」ではなく「バイオシミラー」という枠組みで後続品が開発される場合があります。両者の違いを正しく理解しておくと、今後の情報を追いやすくなるでしょう。

低分子薬のジェネリックとバイオ医薬品のバイオシミラー

ジェネリック医薬品とは、先発品と同じ有効成分・同じ用量・同じ投与経路を持つ後発医薬品です。主に化学合成で製造される低分子薬(錠剤やカプセル剤など)に適用され、生物学的同等性試験で先発品との同等性を証明します。

一方、バイオシミラーは生物学的製剤の後続品であり、先発品と「類似している」ことを示すために、品質・安全性・有効性に関するより広範な試験データが求められます。マンジャロはペプチド製剤のため、将来的に後続品が登場する場合、バイオシミラーとしての承認経路が適用される可能性があります。

マンジャロがバイオシミラーの対象になりうる理由

チルゼパチドは39個のアミノ酸からなるペプチド化合物であり、遺伝子組み換え技術を用いて製造されます。分子量や構造の複雑さから、単純な化学合成では再現が難しく、低分子薬のジェネリックとは承認の枠組みが異なります。

ジェネリックとバイオシミラーの比較

比較項目ジェネリックバイオシミラー
対象低分子薬生物学的製剤
先発品との関係同一成分高い類似性
求められる試験生物学的同等性品質・非臨床・臨床
開発費用比較的低い高い
価格の下がり方大幅に下がる傾向中程度の低下

バイオシミラーでもマンジャロと同じ効果が期待できる

将来的にチルゼパチドのバイオシミラーが承認された場合、先発品と臨床的に意味のある差がないことが規制当局によって確認されたうえで市場に出ます。つまり有効性と安全性の面では、先発品と同等の効果を期待してよいでしょう。

ただし、バイオシミラーの開発には通常5~8年程度かかるとされ、ジェネリックよりも時間と費用を要します。マンジャロのバイオシミラーが現実に登場するのは、特許満了後さらに数年先になる見通しです。

マンジャロとゼップバウンドは同じチルゼパチド|ジェネリックとの混同に注意

「ゼップバウンドはマンジャロのジェネリックですか?」という質問を見かけることがありますが、これは誤解です。両者は同じ有効成分ですが、適応症が異なる別々の製品であり、どちらもイーライリリー社の先発品に該当します。

マンジャロは2型糖尿病、ゼップバウンドは肥満症の治療薬

マンジャロは2022年に日本で2型糖尿病の治療薬として承認されました。一方、ゼップバウンドは同じチルゼパチドを有効成分としながらも、肥満症を適応症として2024年12月に国内承認されています。

製品名や適応症が異なるだけで、含有されるチルゼパチドの量や注射デバイスの構造は同じです。あくまで「別ブランド」であって「後発品」ではないという点を覚えておきましょう。

ゼップバウンドをジェネリック代わりに使うことはできない

マンジャロとゼップバウンドは薬価や処方条件が異なるため、一方をもう一方の代わりとして処方してもらうことは原則としてできません。それぞれの適応症に該当する患者さんに対して、医師が個別に処方を判断します。

「ゼップバウンドの方が安いなら切り替えたい」と考える方もいるかもしれませんが、費用面での差は大きくなく、適応症によって使い分けられる製品です。ジェネリックのような大幅な価格低下を期待できるものではありません。

オンラインで見かける「激安チルゼパチド」のリスク

インターネット上では「マンジャロのジェネリック」をうたう製品が個人輸入などで流通しているケースが報告されています。しかし、正規に承認されたチルゼパチドのジェネリック製品は国内外を問わず存在しません。

正規の流通経路を経ていない製品は品質や安全性が保証されず、健康被害のリスクがあります。医薬品は必ず医療機関で処方を受け、正規品を使用することが大切です。

製品名適応症承認年(日本)
マンジャロ2型糖尿病2022年
ゼップバウンド肥満症2024年
チルゼパチドGE未承認

マンジャロのジェネリックが出るまで費用負担を軽くする方法

マンジャロのジェネリックが当面登場しない以上、現時点で費用を少しでも抑える工夫を知っておくことが大切です。正規の制度や診療のかかり方次第で、自己負担額を減らせる場合があります。

処方される用量と回数を医師と相談して見直す

マンジャロの薬価は用量によって大きく異なります。たとえば2.5mgの1キットは約1,924円ですが、15mgになると約11,543円と6倍近い差があります。治療開始後に体重や血糖値が安定してきたら、用量の調整が可能かどうか担当医に相談してみるとよいでしょう。

もちろん用量の変更は医学的な判断にもとづいて行われるものであり、自己判断で減量するのは厳禁です。効果と費用のバランスについてはオープンに医師と話し合ってみてください。

高額療養費制度と医療費控除を活用する

マンジャロの用量別薬価(1キットあたり)

用量薬価(税込)
2.5mg約1,924円
5mg約3,848円
7.5mg約5,772円
10mg約7,696円
12.5mg約9,620円
15mg約11,543円

同じGLP-1受容体作動薬のなかで費用面を比較検討する

マンジャロ以外にも、同じGLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬のカテゴリにはいくつかの製品があります。それぞれ作用や費用が異なるため、治療の選択肢として比較検討する価値はあるでしょう。

ただし薬の変更は医師の判断によるものです。「こういう選択肢もあると聞いた」と伝えるかたちで、受診時に相談してみることをおすすめします。

ジェネリック待ちよりも大切なこと|マンジャロ治療で成果を出すポイント

ジェネリックの登場を待っている間にも、現在の治療で得られる成果を高めることが、結果的に費用対効果を上げることにつながります。マンジャロの効果を引き出すには、薬だけに頼らない生活面の取り組みが鍵になります。

食事療法と運動療法の併用がマンジャロの効果を引き上げる

マンジャロは食欲を自然に抑える作用をもつ薬剤ですが、臨床試験でも食事療法・運動療法との併用が前提とされていました。薬の力で食欲が落ち着いているうちに食事のバランスや運動習慣を整えることで、より安定した体重管理が期待できます。

「食べる量が減ったから何を食べてもいい」という考え方は逆効果になりかねません。たんぱく質を意識した食事や、無理のない範囲での有酸素運動を取り入れてみましょう。

自己判断でマンジャロを中断しない

費用面が気になるあまり、処方された薬を自己判断で中断したり、投与間隔を延ばしたりする方がいます。しかし、急に中断するとリバウンド(体重の急激な戻り)が起こりやすく、治療の成果が台無しになりかねません。

薬の継続が難しいと感じた場合は、必ず医師に相談してください。用量の調整や他の薬剤への切り替えなど、無理なく治療を続けるための方法を一緒に検討してもらえます。

  • たんぱく質を毎食意識して摂取する
  • 1日20~30分程度のウォーキングを習慣化する
  • 投与スケジュール(週1回・同一曜日)を厳守する
  • 体調の変化や副作用は早めに医師へ報告する
  • 体重・食事記録をつけてセルフモニタリングを続ける

定期的な通院で治療方針をアップデートする

メディカルダイエットの治療は、数か月~年単位で取り組むものです。体重や血糖値の推移に合わせて、用量変更や薬剤の切り替えを柔軟に行えるのが定期通院のメリットといえます。

通院のたびに「今の治療がベストなのか」を医師と振り返ることで、無駄な出費を防ぎながら治療効果を高めていくことができるでしょう。

次世代のGLP-1製剤が登場すればマンジャロの価格にも影響がある

マンジャロのジェネリックが直接登場しなくても、競合する次世代製剤が市場に出ることで、結果的にマンジャロの価格が下がる可能性があります。製薬業界の競争環境は、薬の値段に大きな影響を与えるからです。

GLP-1・GIP・グルカゴンの三重作用をもつ新薬候補

次世代のインクレチン関連製剤の開発状況

新薬候補作用開発段階
レトラセパチドGLP-1/GIP/グルカゴン第III相試験
オルフォグリプロンGLP-1/GIP(経口)第III相試験
スルボデュチドGLP-1/グルカゴン第III相試験

経口薬の登場がメディカルダイエット市場を変える

現在のマンジャロは週1回の皮下注射が必要ですが、イーライリリー社自身がチルゼパチドの経口製剤を開発中です。注射が苦手な方にとっては朗報であり、経口薬の登場は治療へのアクセスを大きく広げるでしょう。

経口製剤が承認されれば、注射製剤との間で価格競争が起こる可能性もあります。結果として、現行のマンジャロの薬価にも何らかの影響が出ることが予想されます。

競合製品の増加がジェネリック登場前でも価格を押し下げる

製薬市場では、同じ治療領域に複数の製品が並ぶことで薬価が見直される傾向があります。日本では原則として2年ごとに薬価改定が行われるため、競合品の登場は実勢価格の引き下げにつながりやすいのです。

マンジャロのジェネリックを待つよりも先に、競合薬の登場によって実質的な負担が軽減される日が来るかもしれません。治療の選択肢が増えること自体が、患者さんにとって大きなプラスになります。

よくある質問

マンジャロのジェネリック医薬品はいつ頃発売される見込み?

マンジャロ(チルゼパチド)の物質特許は米国で2036年頃に満了すると推定されています。ただし製剤関連の二次特許が複数存在し、それらが2040年代前半まで有効な可能性があります。

日本国内では再審査期間や国内特許の期限も影響するため、実際にジェネリックが発売されるのは2030年代後半以降と考えるのが現実的です。さらにペプチド製剤という特性上、バイオシミラーとしての開発が必要になる場合もあり、通常のジェネリックよりも時間がかかるでしょう。

マンジャロとゼップバウンドの違いはジェネリックと先発品の関係?

いいえ、マンジャロとゼップバウンドはどちらもイーライリリー社が製造する先発品です。有効成分のチルゼパチドは同一ですが、マンジャロは2型糖尿病、ゼップバウンドは肥満症という異なる適応症で承認を受けています。

両者はいわば「同じ成分を使った別ブランドの薬」であり、ジェネリック(後発品)には該当しません。どちらも特許で保護された正規の製品です。

マンジャロのジェネリックが出たら価格はどれくらい安くなる?

一般的な低分子薬のジェネリックでは、先発品の3割~5割程度の価格になるケースが多いです。しかしマンジャロのようなペプチド製剤では、バイオシミラーとして開発される可能性が高く、価格の低下幅はジェネリックほど大きくならない傾向があります。

バイオシミラーの場合、先発品より2割~3割程度安くなるのが国内の一般的な傾向です。大幅な値下がりを期待するのは難しいかもしれませんが、それでも月々の負担を数千円単位で軽減できる可能性はあるでしょう。

マンジャロの個人輸入品やコピー品を使っても大丈夫?

正規に承認されたチルゼパチドのジェネリック製品は世界中どこにも存在しないため、ネット上で「マンジャロのジェネリック」として販売されている製品は、品質や安全性が保証されていません。

個人輸入やオンライン販売で入手した非正規品は、有効成分の含有量が不安定だったり、不純物が混入していたりする危険があります。健康被害を避けるためにも、必ず国内の医療機関で正規品の処方を受けてください。

マンジャロのジェネリック待ちの間にできる費用対策はある?

ジェネリックの発売までにはまだ長い期間がかかるため、現時点で活用できる費用軽減の方法を知っておくと安心です。まず、担当医と相談して必要十分な用量で治療することが費用を抑える基本になります。

加えて、年間の医療費が一定額を超えた場合には確定申告で医療費控除を申請できます。また高額な医療費がかかった月は高額療養費制度の対象となる場合もありますので、加入している健康保険の窓口に確認してみてください。

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THIS, Why Most Companies Will Miss. Hard-Hitting Insights on the War on Obesity and the Food Industrial Complex. Category.

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この記事を書いた人 Wrote this article

大木 沙織 大木皮ふ科クリニック 副院長

皮膚科医/内科専門医/公認心理師 略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。 所属:日本内科学会