マンジャロの空打ちの手順|アテオスで薬液が出ないトラブルを防ぐ事前準備を解説

マンジャロの空打ちの手順|アテオスで薬液が出ないトラブルを防ぐ事前準備を解説

マンジャロの注入に使用するアテオスは、初心者でも扱いやすい自動注入器です。しかし、薬液が正常に出ないといった事態を避けるためには、事前の正しい確認と準備が重要です。

本記事では、空打ちの要否やアテオス特有の構造、そしてトラブルを未然に防ぐための具体的なチェック項目を詳しく解説します。

正しい知識を身につけることで、毎回の治療をストレスなく安全に進めることができます。不安を解消し、スムーズな投与を実現しましょう。

マンジャロ注入器アテオスの特徴と構造の理解

アテオスは針が露出していない独自の構造を持っており、利用者の安全と簡便さを両立しています。各部位の役割を知ることで、注入の失敗を大幅に減らせます。

アテオスの各部位の名称と役割

アテオスは主にベースキャップ、注入ボタン、ロックリング、確認窓の4つで構成されています。ベースキャップは針を保護し、無菌状態を保つ役割を担います。

注入ボタンはロック解除後に押し込むことで作動します。ロックリングは誤操作を防ぐ安全装置で、これを回さない限りボタンは反応しません。

確認窓は薬液の状態を目視するために設けられています。この透明な窓を通して、液体が澄んでいるか、異物がないかを毎回確認することが大切です。

アテオスの主要構成パーツ一覧

パーツ名主な機能注意点
ベースキャップ針の保護と無菌維持注入直前まで外さない
ロックリング誤噴射を防ぐロック肌に当てる直前に解除
確認窓薬液状態のチェック濁りや浮遊物を見逃さない

自動注入の働きとメリット

アテオスの利点は、注入の速度や深さを機器側が自動で制御する点にあります。自分で針の深さを調整したり、ピストンを押し込む力を加減したりする必要がありません。

ボタンを押すとバネの力で針が皮膚に刺さり、一定の速度で薬液が送り込まれます。こうした工夫によって、手ブレによる痛みや注入不足を防ぐことが可能です。

毎回同じ条件で投与できるため、安定した効果を得る上で非常に優れた構造といえます。自己注射への不安を和らげる頼もしい設計です。

カートリッジ一体型の利便性

この機器は薬液が入った容器と注入器が最初から合体しています。一般的な注射器のようにバイアルから吸い上げたり、空気を抜いたりする作業は不要です。

開封してすぐに使える状態にあるため、衛生面でも非常に優れています。準備の工程が少ない分、細菌感染のリスクを最小限に抑えられます。

自宅で安全に治療を継続するために、この簡便さは大きな支えとなります。忙しい日常生活の中でも、短時間で確実に処置を終えられるのが特徴です。

空打ちが必要ない理由と注入前の確認事項

アテオスでは空打ちという工程は不要です。工場出荷時に厳密に調整されているため、そのまま使用することが正しい手順となります。

空打ちが不要とされる設計の背景

アテオスは精密な使い捨て機器であり、内部に空気が混入しにくい特別な仕組みを採用しています。従来のペン型器とは異なり、針が内蔵されているのが特徴です。

1回使い切りの設計により、常に良好な状態で使用できるため、事前の動作確認としての空打ちを省けます。無理に空打ちをすると薬液が減ってしまう恐れがあります。

薬液の量を正確に保ち、期待される効果をしっかりと引き出すためにも、自己判断で空打ちをしてはいけません。説明書通りの手順を守ることが大切です。

使用前に確認すべき3つのポイント

  • 本体に記載された有効期限が切れていないことを確認する
  • 確認窓から薬液が無色透明で濁っていないかをチェックする
  • デバイスの外装にひび割れや破損がないかを目視で調べる

注入前に必ず見るべき確認窓のチェック

空打ちを行わない代わりに、確認窓から液体の状態を丁寧に観察します。薬液が濁っていたり、変色していたりする場合は、そのデバイスを使ってはいけません。

稀に小さな気泡が見えることがありますが、これは製造上の特性であり品質には問題ありません。そのまま注入しても健康に影響を及ぼす心配はないです。

一方で、大きな浮遊物が見つかった場合は使用を控え、新しいものを用意してください。液体の状態を把握することが、安全な治療の第一歩となります。

外装とロックの状態確認

本体に破損がないか、ロックリングが正しい位置にあるかを確認します。もしデバイスを落としてしまった場合は、内部が損傷している可能性を考慮しましょう。

ベースキャップが緩んでいる場合も、中の針の無菌性が損なわれている恐れがあるため注意を要します。外観に異常を感じたら、使用を中断する判断も重要です。

万全の状態であることを確かめてから手順を進めることで、予期せぬトラブルを未然に防げます。慎重なチェックが、確実な投与を実現する鍵となります。

アテオスで薬液が出ないトラブルを回避する事前準備

薬液が出ないトラブルの多くは、事前の準備によって防ぐことができます。特に温度管理と姿勢の安定に気を配ることで、スムーズな注入が可能になります。

冷蔵庫から出した後の室温放置

マンジャロは冷蔵保存が基本ですが、使う30分前には冷蔵庫から出し、室温に戻しておくことが重要です。冷たいままでは、薬液の通りが悪くなることがあります。

30分程度の放置により、薬液が体温に馴染みやすくなり、注入時の痛みも和らぎます。自然に温度が上がるのを待つ間は、直射日光を避けるようにしましょう。

急いで温めようとして電子レンジを使用するのは絶対に避けてください。成分が変質し、本来の効果が得られなくなる危険性があるため注意が必要です。

トラブルを未然に防ぐ準備リスト

準備項目推奨される行動理由
温度調整室温に30分間置く痛みの軽減と動作の安定
部位消毒アルコールを乾燥させる注入時のしみる痛みを防ぐ
場所の変更前回と違う場所を選ぶ皮膚の硬化やしこりを予防

注入部位の選定と消毒の徹底

薬液を確実に届けるためには、部位選びも大切です。お腹や太ももの前側など、脂肪が適度にある場所を選び、前回とは2センチ以上位置をずらすようにします。

アルコール綿で拭いた後は、湿り気がなくなるまでしっかり乾燥させてください。濡れたまま刺すと、アルコールが刺激となって痛みを感じる場合があります。

清潔な環境を整えることは、皮膚トラブルを避けるためにも必要です。慌てず時間をかけて、注入しやすい状態を整えていくことが推奨されます。

機器を正しく保持する姿勢の確保

注入中にデバイスが動くと、針が抜けて薬液が外に漏れてしまうことがあります。椅子に深く座り、リラックスした状態で部位を固定することがコツです。

片手でデバイスを垂直に保持できる姿勢を、あらかじめ探しておきましょう。お腹に打つ際は、背筋を軽く伸ばすとデバイスを当てやすくなります。

安定した姿勢が確保できれば、ボタンを押す際の手ブレも少なくなります。物理的な安定感が、精神的な安心感にもつながり、失敗のリスクを遠ざけます。

失敗を防ぐ正しい注入手順とコツ

手順自体はシンプルですが、タイミングや押し当て方には独自のルールがあります。2回目のクリック音を聞くまで動かさないという原則を徹底しましょう。

ロック解除から押し当てまでの流れ

ベースキャップをまっすぐ引き抜いた後、注入部位に対してデバイスの底面を垂直に押し当てます。皮膚との間に隙間を作らないことが成功の秘訣です。

そのままの状態で、ロックリングを解除のマークへ回します。押し当ててからロックを外すという順番を守ることで、不意の誤噴射を防止できます。

デバイスを保持する際は、力を入れすぎず、かつ皮膚をしっかり捉える感覚を意識してください。垂直に保つことが、針を正しい深さへ導く手助けとなります。

ボタンの押し方と2回のクリック音

準備ができたら、親指で注入ボタンを一気に奥まで押し込みます。1回目の「カチッ」という音とともに、自動的に薬液の投与が開始されます。

この瞬間にデバイスを離してはいけません。数秒後、再び2回目の「カチッ」という音が聞こえるまで、そのままの位置でじっと保持し続けます。

この2回目の音こそが注入完了の合図です。さらに確認窓にグレーのパーツが現れたのを見てから、ゆっくりと肌からデバイスを遠ざけてください。

確実な注入のためのコツ

操作段階成功のポイントやってはいけないこと
押し当て皮膚に対して垂直に保つ斜めに当てる・途中で浮かす
ボタン操作一気に奥まで押し込む躊躇して途中で指を離す
完了確認2回目の音を待つ音が鳴る前に引き抜く

注入後の皮膚のケアと確認

注入が終わった後、部位に少し血が滲むことがありますが、これはよくあることです。清潔な綿で軽く押さえるだけで、自然に止まりますので安心してください。

この時、部位を強く揉まないように注意が必要です。揉んでしまうと薬液の広がり方が変わり、副作用が出やすくなる可能性も否定できません。

最後に窓がグレーに変わっているかを再度確認します。窓が透明なままであれば投与が不十分な恐れがあるため、医療機関へ相談することをお勧めします。

保管方法と使用期限の適切な管理

薬液の品質を守るためには、温度変化の少ない適切な場所での保管が大切です。正しく管理された薬剤を使うことが、治療の安全性と効果を担保します。

冷蔵庫内での最適な保管位置

マンジャロは2度から8度の環境、つまり冷蔵庫での保管が適しています。ただし、冷気の吹き出し口付近は温度が低くなりすぎるため避けてください。

一度凍結したデバイスは、解凍しても品質が元に戻りません。絶対に再利用せず、廃棄する必要があります。野菜室などは温度が比較的安定しておりお勧めです。

食品の匂いが移らないよう、箱に入れたまま保管することも良い方法です。適切な場所を決めておくことで、日々の管理がよりスムーズに行えます。

保管に関する重要な決まり

  • 薬液が凍結しないよう冷蔵庫の奥深くに置かない
  • 室温保存をする場合は30度以下を保ち21日以内に使い切る
  • 光による品質劣化を防ぐため必ず外箱に入れて光を遮る

室温保存ができる期間と条件

外出時などで冷蔵庫が使えない場合でも、30度以下の室温なら21日間は品質を維持できます。ただし、これを過ぎると成分の劣化が進むため注意しましょう。

一度室温に出したものを何度も冷蔵庫へ戻すのは、結露による故障や変質の原因となります。室温に出した日付をメモしておくと、期限の管理が容易になります。

夏場の車内などは短時間で高温になるため、決して放置しないでください。周囲の環境温度に敏感になることが、大切な薬剤を守ることにつながります。

使用期限のチェックと廃棄の判断

デバイスごとに印字されている期限(EXP)を、注入のたびに確認してください。期限を過ぎたものは、十分な効果が得られない可能性があります。

新しい薬が届いた際は、古い方から手前に置くようにすると、期限切れによる無駄を防げます。もし期限が切れてしまったら、迷わず新しいものを使用しましょう。

自分の健康に直結するものだからこそ、こうした細かなチェックを怠らない姿勢が大切です。常に最善の状態で治療を受けられるよう、整理整頓を心がけましょう。

安全な針の廃棄と後片付けのルール

アテオスは針が内蔵されているとはいえ、医療廃棄物です。自分だけでなく周囲の安全を守るために、決められたルールに則って処理を行う必要があります。

使用済みデバイスの保管容器

使用後のアテオスは、中身が露出しないような頑丈な容器に入れて保管します。蓋の閉まるプラスチック製のボトルなどが、誤刺防止に役立ちます。

家庭用の透明なゴミ袋にそのまま入れると、回収する人が怪我をする恐れがあり危険です。自分たちの生活環境を安全に保つための、最低限のマナーといえます。

容器がいっぱいになる前に、医療機関へ持ち込む準備をしておきましょう。専用の廃棄ボックスを配布しているクリニックもありますので、確認してみるのが賢明です。

医療機関への返却と回収ルール

基本的には、診察の際や薬局を訪れる時に、溜まったデバイスを返却します。自治体ごとに回収の基準が異なるため、医師の指示に従うのが最も確実です。

公共のゴミ箱に捨てることは、他者への危険を招くため絶対にしてはいけません。医療廃棄物としての自覚を持ち、最後まで責任を持って扱うことが求められます。

こうしたルールを守ることで、社会全体での安全性が保たれます。少しの手間で事故は防げますので、協力して正しい処理を行っていきましょう。

安全な後片付けのまとめ

対象物適切な処理方法避けるべき行為
使用済みアテオス頑丈な容器に入れて医療機関へ一般ゴミ袋に直接入れる
使用済みアルコール綿家庭ゴミとして袋を縛って捨てるそのまま放置する
期限切れのデバイス未使用のまま医療機関へ返却自分で分解して薬液を出す

未使用デバイスの処分方法

期限が切れたり、故障が疑われたりする未使用のデバイスも、勝手に捨てずに医療機関へ相談してください。内部の薬剤が環境に影響を及ぼす場合もあります。

自分だけで判断せず、専門家のアドバイスを受けるのが一番の解決策です。そのままの状態で返却することで、適切なプロセスで処理してもらえます。

安全を最優先した行動が、あなたの治療生活をより豊かで安心できるものにします。分からないことがあれば、いつでもスタッフに尋ねてみてください。

よくある質問

マンジャロを打つ時に痛みはありますか?

アテオスに内蔵されている針は非常に細いため、痛みは最小限に抑えられています。しかし、冷蔵庫から出した直後の冷たい状態だと、液体が組織に浸透する際しみるように感じることがあります。

使用する30分前に室温に出しておくことで、この感覚はかなり軽減されます。また、注入部位のアルコールがしっかりと乾いてから針を刺すことも、不快感を防ぐための重要なコツの一つです。

ボタンを押してもカチッと音がしない場合はどうすればよいですか?

まずはロックリングが完全に解除されているか、目視で確認してください。ロックがかかった状態では、どれほど強くボタンを押しても作動しないようになっています。

デバイスが肌に対して垂直に押し当てられていない場合も、安全機能が働いてボタンが押せないことがあります。それでも動かない場合は無理をせず、別のデバイスを使用して、医療機関へ連絡してください。

注入後に確認窓を見たら透明なままでした。打ち直すべきですか?

窓が透明でグレーのパーツが見えないなら、薬液が体内に届いていない可能性が考えられます。しかし、自己判断ですぐに新しいものを注入するのは、過剰投与のリスクがあり危険です。

まずは部位から液が漏れていないかを確認し、速やかに主治医や薬剤師へ報告して指示を仰いでください。自己判断せず、専門家の見解を待つことが、あなたの安全を守る最善の選択となります。

旅行に持っていく際、保冷バッグは必要ですか?

3週間以内の旅行であれば、30度以下の室温保管が可能なため、必ずしも大きな保冷バッグは必要ありません。ただ、真夏や高温多湿の環境を移動する場合は、やはり温度管理が気になります。

そのような場合は、保冷バッグと保冷剤を使用して25度前後を保つ工夫をしましょう。保冷剤が直接デバイスに触れて凍結しないよう、布で包むなどの配慮を忘れないようにしてください。

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この記事を書いた人 Wrote this article

大木 沙織 大木皮ふ科クリニック 副院長

皮膚科医/内科専門医/公認心理師 略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。 所属:日本内科学会