サクセンダで体重が減らない停滞期、続けるか中断するかを見極める視点

サクセンダで体重が減らない停滞期、続けるか中断するかを見極める視点

サクセンダ(リラグルチド3.0mg)を使っていて体重が動かなくなると薬が効かなくなったのかと不安になりますが、止まった時期のすべてが失敗というわけではありません。

減った体重に見合うだけ1日の消費エネルギーが下がるため以前と同じ食事量でも収支が釣り合う地点が訪れ、減り方が直線を描かないのは体の側の応答としてよく知られています。

続けるか中断するかを決める前に、記録の期間・用量の段階・生活側の変化という3つを切り分けて眺めると、判断の材料がそろってきます。

体重以外の指標も並べたうえで、最後の線引きは主治医と一緒に行っていきましょう。

目次 Outline

サクセンダの停滞期は減量が進んだ体の反応でもあります

動きが止まった時期の多くは、薬が効かなくなった結果ではなく、軽くなった体に合わせて消費エネルギーが下がった結果であり、減量の途中に現れる段差として扱えます。

減量が進むと起きる変化体で感じること横ばいの読み取り
1日の消費エネルギーの低下同じ食事量でも差が縮む収支が釣り合った状態
食欲の抑えへの慣れ満腹までの量が戻ってくる記録で摂取量を確かめる
体内の水分量の増減数日単位で数字が揺れる週単位の平均で眺める

落ちた体重の分だけ必要なエネルギーは下がる

体重が落ちると、体を動かすのにも体温を保つのにも要るエネルギーが減り、安静時の消費量そのものが下向きになります。減量後には安静時のエネルギー消費と熱産生が下がると総説で整理されています。

開始当初と同じ食事量を続けているつもりでも入ってくる量と出ていく量の差は少しずつ縮み、その差が消えた地点が体重計の数字の動かなくなる地点にあたるわけです。

空腹感や満腹感に関わるホルモンと神経の働きも減量後には変わり、体を元の重さへ押し戻す力が生まれると同じ総説は述べています。止まった時期は、その力と釣り合っている局面ともいえます。

減り方は直線ではなく段差を挟んで進む

56週間の試験では、リラグルチド3.0mg群の体重が平均8.4±7.3kg減り、プラセボ群は2.8±6.5kgの減少にとどまりました。群の差は-5.6kg(95%信頼区間 -6.0〜-5.1)と報告されています。

この試験には3731人が参加し、2487人がリラグルチド3.0mg、1244人がプラセボへ割り付けられました。5%以上減った人はリラグルチド3.0mg群で63.2%、プラセボ群で27.1%でした。

平均の裏側には早い時期に大きく落ちる人も途中で長く横ばいになる人も含まれており、自分の曲線が平均どおりに動かないのは珍しい話ではありません。

食欲の抑えが弱まったと感じる時期との重なり

投与を続けるうちに開始直後ほど強く食欲が抑えられていないと感じる場面が出てきて、食べられる量が戻れば摂取エネルギーも自然に増えていきます。

感覚の変化と体重の横ばいが重なると、薬の効き目が落ちたと結びつけたくなるでしょう。ただし記録を取ると、食事量そのものが戻っていた例も少なくありません。

感覚だけで結論を出さず、数字に落として確かめる手順が、次の一手を選ぶ土台になります。

サクセンダの停滞期かどうかは測り方と期間で決まります

1〜2週間の横ばいだけでは、停滞期という判断はまだ下せません。体重は水分や消化管の中身で日ごとに動くため、条件をそろえて4週間ほど眺めてはじめて傾きが見えてきます。

1〜2週間の横ばいで結論を出さない

サクセンダの効き方を早期に判定した解析では、16週の時点で4%以上減っているかどうかが、56週での5%以上の減量をもっともよく予測しました。臨床試験でも判定にはそれだけの時間を置いています。

数日から2週間の横ばいは判定の物差しよりずっと短い区間で、その短さで薬の評価を下すと、まだ動く余地のある時期に中断してしまうかもしれません。

体重が動かない期間がどれだけ続いたのかを、まずカレンダーの上で数え直しておきましょう。

同じ条件で測らないと1kg近く動いてしまう

朝と夜、食前と食後、入浴の前後では同じ日でも表示される数字が変わり、塩分の多い食事や月経周期の影響も加われば、体脂肪の増減とは無関係な揺れが生まれます。

揺れの幅が停滞期の判定を覆い隠すため、条件の違う数字をいくら並べても傾きは読み取れず、まず測り方をそろえる作業が先に来ます。

日ごとに数字を動かす要因現れ方そろえたい測り方
飲食物と便通の残り朝と夜で差が出やすい起床直後・排尿後に測る
塩分の多い食事水分を抱えて増えやすい前日の食事を記録に添える
月経周期一時的にむくみやすい同じ曜日どうしで比べる
発汗や入浴の直後一時的に軽く出る入浴前の同じ時間帯に測る

4週間の平均で傾きを引き直す

1日ごとの数字を追うと上下動に振り回されるため、週ごとの平均値を並べる方法が向いています。4週間分の平均を4つ並べれば、緩やかな下降なのか本当の横ばいなのかが分かれます。

  • 起床直後、トイレを済ませたあとに測る
  • 同じ体重計を同じ床の上に置く
  • 服装は下着だけなど毎回そろえる
  • 週に3回以上、曜日を固定して残す

この形で4週間続けても平均が動かないなら、はじめて停滞期という言葉が当てはまります。逆に平均が0.5kgでも下がっていれば、緩やかながら減量は進んでいる最中です。

サクセンダの用量の段階で停滞期の読み方が変わります

同じ横ばいでも増量の途中なのか3.0mgの維持量に達したあとなのかで意味が違うため、まず自分がどの段階にいるかを確かめてから次の相談内容を選びましょう。

3.0mgに届く前の横ばいは判断が早すぎる

サクセンダは0.6mgから始めて週ごとに増やし、3.0mgへ到達する使い方が基本です。到達までに1か月前後かかるため、その間の横ばいは薬の力を出し切る前の風景といえます。

増量の途中で判定を急ぐと本来なら動き出したはずの時期を待たずに終えてしまうため、処方どおりに増やせているかどうかを先に確認しておきたいところです。

維持量に達してからの横ばいをどう読むか?

3.0mgを続けたうえで16週の時点で4%以上減った人は、2型糖尿病のない集団で77.3%、2型糖尿病のある集団で62.7%と報告されました。残りは早期に反応が乏しかった群にあたります。

同じ解析で56週時点の平均減量は、早期に反応した群が10.8%、乏しかった群が3.0%でした(2型糖尿病のない集団)。2型糖尿病のある集団では8.5%と3.1%と報告されています。

早い時期の減り方がその後の到達点と関連していた、という結果です。ただし個人の予後を決めるものではないので、数字は主治医と一緒に読み解いていきましょう。

副作用で増やせないまま止まっている場合

吐き気や便通の乱れが強く、途中の用量で足踏みしている人も珍しくありません。実診療の記録を追った研究では、高い用量まで到達した人のほうが1年後に10%以上減っていた割合が高く、調整済みオッズ比は1.58(95%信頼区間 1.11〜2.25)でした。

同じ研究では、1年間を通じて処方が途切れなかった群も10%以上の減量と関連し、調整済みオッズ比は3.36(95%信頼区間 2.52〜4.54)と報告されています。用量と継続の両方が結果に関わっていました。

増量を急がず間隔を延ばす方法もあるため、副作用の内容を診察で具体的に伝えておきましょう。

用量の段階横ばいの読み取り診察で相談する内容
増量の途中(0.6〜2.4mg)判定にはまだ早い時期予定どおり増やせているか
維持量(3.0mg)に到達記録の期間から確かめる食事と活動の振り返り
副作用で増量を保留用量が不足している可能性増量の間隔を延ばす方法

サクセンダの停滞期に重なりやすい生活側の変化

薬の効きが落ちるより先に生活の側が少しずつ元へ戻っている場合もあり、食事量・活動量・睡眠の3つを別々に振り返ると原因の切り分けが進みます。

食事量が知らないうちに戻っていないか

食欲が抑えられていた時期の食べ方が身についていると量が戻り始めても自覚しにくく、飲み物や間食のように記録から漏れやすいものほど、積み上がりに気づけません。

  • 間食と甘い飲み物の回数
  • 外食や飲み会の頻度
  • 1日の歩数と運動の時間
  • 睡眠時間と就寝の時刻
  • 新しく始めた薬やサプリメント

33件の無作為化試験・12,028人をまとめた解析では、生活習慣の改善にGLP-1受容体作動薬を加えた群が対照群より平均7.13kg多く減っていました(95%信頼区間 -9.02〜-5.24)。薬と生活の両輪で結果が出ている構図です。

活動量の低下と筋肉量の目減り

体重が減ると同じ動作でも消費が小さくなり、疲れやすさから活動量まで落ちる場合があります。先ほどの解析では除脂肪量も平均1.29kg減っており(95%信頼区間 -2.17〜-0.41)、筋肉が一緒に落ちる可能性が示されました。

減量後の1年間を比べた別の試験では、運動とリラグルチド3.0mgを併用した群がプラセボ群より9.5kg軽く(95%信頼区間 -13.1〜-5.9)、リラグルチド単独群の6.8kg(95%信頼区間 -10.4〜-3.1)を上回りました。

体重計が止まっている時期にこそ、運動の量と質を見直す値打ちがあるといえます。

睡眠不足とストレスが食欲を押し上げる

眠りが浅い時期や仕事の負荷が重なる時期には、食欲の調節が乱れやすくなります。夜間の間食が増えれば、薬で抑えていたぶんが打ち消されてしまうでしょう。

生活の乱れは一時的な場合も多く、環境が落ち着けば記録も戻ります。数週間の横ばいが忙しさの山と重なっていないか、手帳と並べて確かめてみてください。

サクセンダの停滞期は体重以外の指標でも見直せます

体重計の数字が止まっていても腹囲や血液検査は動いている場合があり、材料を体重だけに絞ると続ける値打ちを取りこぼしかねません。

体重以外の指標停滞期に見ておきたい点確かめる場面
腹囲体重より遅れて縮む場合がある月に1回、同じ位置で測る
血糖とHbA1c横ばいでも下向きの場合がある定期の血液検査
血圧と脂質減量幅が小さくても動きうる定期の血液検査
体調と副作用吐き気や便通の負担が続くか毎回の診察

腹囲と体組成は体重より遅れて動く

先ほどの33試験の解析では、腹囲が対照群より平均5.74cm小さくなっていました(95%信頼区間 -7.17〜-4.31)。体重が横ばいでも、おなか周りが縮んでいる時期はありえます。

脂肪が減りながら筋肉や水分が保たれていれば体重の数字は動きにくくなるので、月に1回の腹囲測定を加えるだけでも見える景色が変わるでしょう。

血糖や血圧、脂質の数値が動いているか

同じ解析では、HbA1cが平均0.31%低下し(95%信頼区間 -0.47〜-0.15)、収縮期血圧も平均3.99mmHg下がっていました(95%信頼区間 -5.66〜-2.33)。体重以外の面で得られている変化があります。

前糖尿病のある人を160週追った試験では、リラグルチド3.0mg群の糖尿病発症のハザード比が0.21(95%信頼区間 0.13〜0.34)でした。体重の減り以外にも見ておく面がある、という結果です。

直近の血液検査を持参し、開始前の値と並べて眺めてみると判断の幅が広がります。

体調と生活の負担、費用という材料

吐き気や便通の乱れが毎日続いていれば、得られている変化と釣り合っているかを考え直す場面です。毎日の注射という手間や、通院と薬剤の費用も材料に入ります。

実診療の記録を追った研究では、リラグルチドを使った人の1年後の体重変化が平均-2.2%(標準偏差6.4)で、試験の平均より小さい値でした。現実の使い方では、中断や間隔の空きが結果に影響します。

負担と得られている変化を天秤にかける作業は、数字だけでは決まりません。生活の実感を言葉にして診察へ持ち込む形が役に立ちます。

停滞期のサクセンダを続ける、据え置く、中断するの分かれ目

3つの選択肢に優劣はなく、そろった材料の組み合わせで決まります。減り以外の変化・副作用の重さ・生活と費用の負担を並べ、主治医と一緒に線を引いていきます。

続ける判断を支える材料

腹囲や血液検査が動いていて、副作用の負担も軽い状態なら、続ける側に材料がそろっています。長期の試験では、160週の時点でリラグルチド3.0mg群が平均6.1%(標準偏差7.3)、プラセボ群が1.9%(6.3)の減量でした。

推定された治療差は-4.3%(95%信頼区間 -4.9〜-3.7)で、3年という時間軸でも差が保たれていました。停滞期を挟みながら長く使う形も、選択肢の1つに入ります。

ただし同じ試験では160週まで続けられた人が半数にとどまり、継続そのものの難しさも示されています。

量や間隔を据え置いて様子を見る場合

記録の期間が足りない、あるいは生活側に戻りが見つかったときは、用量を変えずに整え直す時間を取る選択があります。測り方をそろえ、食事と運動を先に立て直してから再評価する形です。

16週で4%という早期の目安を借りるなら、生活を整えた地点から4週間ほど記録を取り直すと判断がしやすくなります。据え置きは何もしない期間ではなく、材料を集める期間だと考えてください。

副作用で増量を保留している人は、間隔を延ばしながら3.0mgを目指す道が残っている場合もあります。

中断を相談したほうがよい状況

維持量で十分な期間を過ごしても体重も腹囲も検査値も動かず、副作用や費用の負担が重い場合は、中断を含めた相談の場面です。判断を自分だけで下さず、必ず主治医へ伝えてください。

18件の無作為化試験・3771人をまとめた解析では、肥満のある人がGLP-1受容体作動薬をやめたあと体重が平均5.63kg増え(95%信頼区間 3.52〜7.73)、HbA1cも0.25%上がりました(95%信頼区間 0.18〜0.32)。

同じ解析で中止後の体重増加はセマグルチドで8.21kg、リラグルチドで4.29kgと薬剤によって差がありました。中断の判断には、やめたあとの見通しも一緒に置いておきます。

選択肢当てはまりやすい状況主治医と決める点
続ける体重以外の指標が動き負担が軽い次に評価する時期
据え置く記録が不十分で生活側に戻りがある整え直す生活の項目
中断を相談変化が乏しく負担や費用が重い中断後の体重の追い方

サクセンダの停滞期を主治医と話すときの材料

診察の時間は限られるため、記録と質問を先に整理しておくと判断が早く進み、数字と体感の両方を持ち込む形が支えになるでしょう。

4週間分の記録と食事の振り返りを持参する

条件をそろえた体重の記録が4週間分あれば横ばいなのか緩やかな下降なのかを一緒に確認でき、腹囲や歩数を添えれば、体重だけでは見えない変化まで話題に載せられます。

食事は完璧な記録でなくてよく、間食と飲み物、外食の回数が分かるだけでも手がかりになります。忙しかった週や睡眠が乱れた週に印を付けておくと、原因の切り分けが進むでしょう。

中断後に体重がどう動くかを先に聞いておく

やめたあとの見通しを知らないまま中断すると、想定外の戻りに驚いてしまいます。48件の研究をまとめた解析では、中止から1年で治療中に減った体重の60%が戻り、その後は75.3%(95%信頼区間 68.9〜81.6)で頭打ちになると推定されました。

治療終了から1年後を比べた別の試験では、運動を併用していた群のほうが体重と体脂肪率を保っていました。中断を選ぶ場合に何を続けるのかも、同じ診察で話しておきたい点です。

次に見直す時期をその場で決めておく

続ける場合も据え置く場合も、次にどの数字を見て判断するのかを決めておくと迷いが減ります。4週間後なのか8週間後なのか、期限を切っておく形が実用的です。

停滞期は評価の期日を持たないまま長引くと不安だけが積み上がりますが、期日と物差しを共有しておけば、次の診察までの過ごし方も定まってきます。

よくある質問

サクセンダの停滞期はどのくらい続きますか?

期間には大きな個人差があり、一律の日数はお答えできません。臨床試験が効き方の判定に16週という区切りを使っていた点からも、数週間の横ばいで結論を出す設計にはなっていないと分かります。

条件をそろえた記録を4週間続けても平均が動かない場合は、診察で相談する目安になります。再び減り始めるかどうかを断定はできませんので、材料を持って主治医と確認していきましょう。

サクセンダの停滞期に自己判断で量を増やしてもよいですか?

自己判断での増量はお勧めできません。用量は0.6mgから段階的に上げる設計で、急に増やすと吐き気や嘔吐といった消化器の症状が強く出やすくなります。

実診療の記録では、高い用量まで到達した人のほうが1年後に10%以上減っていた割合が高いと報告されました。だからこそ、増量の可否と速度は診察で決めていく領域です。

サクセンダを停滞期でやめると体重は元に戻りますか?

48件の研究をまとめた解析では、中止から1年で治療中に減った体重の60%が戻り、その後は75.3%(95%信頼区間 68.9〜81.6)で頭打ちになると推定されています。全部が戻るという結果ではありません。

18件の試験をまとめた別の解析でも、中止後の体重増加は平均5.63kg(95%信頼区間 3.52〜7.73)でした。戻り方には幅があるため、中断の前に見通しを主治医と共有しておきましょう。

サクセンダの停滞期に食事をさらに減らすべきですか?

極端な減らし方はお勧めできません。食事量を落としすぎると筋肉が減りやすく、消費エネルギーがさらに下がって横ばいが長引く可能性があります。

33件の試験をまとめた解析では、生活習慣の改善と併用した群で除脂肪量も平均1.29kg減っていました(95%信頼区間 -2.17〜-0.41)。たんぱく質の量や運動の内容を含めて診察で相談してみてください。

サクセンダの停滞期でも運動を続ける意味はありますか?

減量後の1年間を比べた試験では、運動とリラグルチド3.0mgを併用した群がプラセボ群より9.5kg軽く(95%信頼区間 -13.1〜-5.9)、単独群の6.8kg(95%信頼区間 -10.4〜-3.1)を上回りました。

治療を終えて1年後の追跡でも、運動を併用していた群のほうが体重と体脂肪率を保っていました。体重計が止まっている時期でも、運動を続ける値打ちは残っています。

参考文献

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この記事を書いた人 Wrote this article

大木 沙織 大木皮ふ科クリニック 副院長

皮膚科医/内科専門医/公認心理師 略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。 所属:日本内科学会