サクセンダ中止後の運動メニュー|代謝を落とさず体型を保つための続け方

サクセンダ中止後の運動メニュー|代謝を落とさず体型を保つための続け方

サクセンダ(リラグルチド3.0mg)をやめた後に体型を保てるかどうかは、薬を使っていた期間の長さよりも、そのあとに運動を生活へどれだけ残せたかで大きく分かれます。

低カロリー食で平均13.1kg減らした成人を4群に分けた試験では、1年間運動を続けた群は、薬だけの群と比べて治療終了後1年の体重の戻りが6.0kg小さいと報告されています。

薬が食欲を抑えていたあいだは特別に動かなくても数字が下がりましたが、その支えが外れると、消費する側は自分の手で作るほかありません。

何をどれだけ続けると筋肉と代謝が守られるのか、強度をどう測り、忙しい週の最低ラインをどこに置くのかを順に並べます。

サクセンダを中止した後に運動が効く理由

やめた後の戻り方は、それまでに運動の習慣を持っていたかどうかで分かれます。同じ薬を同じ期間使っていても、動く時間を並行して確保していた人のほうが、終了から1年たった時点の戻りが小さいと報告されています。

1年間続けた内容治療終了後1年の体重の戻り10%以上の減量を保てた人のオッズ比
監督下の運動リラグルチド終了より6.0kg小さい(95%CI 2.1〜10.0)プラセボに対し3.7(95%CI 1.2〜11.1)
運動とリラグルチドの併用リラグルチド終了より2.5kg小さい(95%CI -1.5〜6.5)プラセボに対し7.2(95%CI 2.4〜21.3)
リラグルチド3.0mgのみ比較の基準併用がこの群に対し4.2(95%CI 1.6〜10.8)

薬が抑えていた食欲は数週間かけて戻る

サクセンダは満腹感を長持ちさせて食事の量を抑えますが、注射をやめると血中の薬が消えていき、抑えられていた食欲がしだいに元の水準へ近づきます。翌日にいきなり元通りになるわけではありません。

この時期に運動が入っていないと、摂取が増える一方で消費は増えないため、差し引きの収支が短期間で反転しやすくなります。体重が動きはじめてから慌てるより、やめる前後の数週間で先に運動の枠を作っておくほうが楽でしょう。

GLP-1受容体作動薬を終了した後は治療前の体重へ向かって戻る傾向が知られており、注射をやめた時点は体重管理の終わりではなく、別の管理の始まりにあたります。

やめた直後こそ体重が動きやすいのはなぜ?

薬を使っていたあいだは、食欲が抑えられていた分だけ運動をしなくても体重が下がり、活動量の不足が数字の上に現れませんでした。中止すると、その覆いが外れます。

つまり、やめた直後は「もともと足りていなかった活動量」が初めて数字へ反映される時期であり、急に体質が変わったから戻るわけではありません。原因は体の側ではなく、収支の側にあります。

この時期に戻る量を小さく抑えられるかどうかで、その後の数か月の景色が変わってきます。だからこそ中止の前後は、運動を減らす時期ではなく、むしろ確保しておきたい期間といえます。

運動を残した人だけ、終了後の1年が違った

コペンハーゲンで行われた無作為化試験では、8週間の低カロリー食で平均13.1kgの減量を達成した成人を、監督下の運動、リラグルチド3.0mg、その併用、プラセボの4群へ分け、1年間の維持期を比べました。

維持期を終えてさらに1年後まで追った解析によると、リラグルチドを終了した群の戻りは、運動を終了した群より6.0kg大きく(95%信頼区間 2.1〜10.0)、併用を終了した群より2.5kg大きい結果でした(95%信頼区間 -1.5〜6.5)。

初期体重の10%以上の減量を治療終了1年後も保てていた人は、運動群でプラセボ群に対しオッズ比3.7(95%信頼区間 1.2〜11.1)、併用群で7.2(同 2.4〜21.3)と報告されており、運動を含む群だけが差を残しました。

サクセンダ中止後に代謝が落ちる仕組みと運動の関わり

体重が10kg減れば、1日に使うエネルギーもその分だけ小さくなります。落ち方をゆるめる手段が運動であり、なかでも筋肉をどれだけ残せるかが分かれ目になります。

体重が減るほど1日の消費も小さくなる

体を動かすときの負荷は運ぶ重さに比例するため、同じ距離を同じ速さで歩いても、10kg軽くなった体では消費されるエネルギーが減ります。安静時の消費も、体の組織が小さくなるにつれて下がる一方です。

そのため減量が進むほど、以前と同じ生活では収支が釣り合わなくなり、何もしなければ体重は下げ止まり、やがて上向きに転じます。この差を埋める手段が、運動で足す消費です。

加えて、動く習慣そのものが日中の活動量を底上げし、家事や移動といった細かな動きも増えていくため、運動の効き目は運動をしている時間だけにとどまりません。

減量では脂肪だけでなく除脂肪量も減る

減量にともなって減るのは脂肪だけではなく、筋肉を含む除脂肪量も一緒に落ちていきます。これは薬の種類を問わず、短期間に大きく減らしたときに共通して起きる変化です。

インクレチン関連薬を横断してまとめた総説では、リラグルチド・セマグルチド・チルゼパチド・レタトルチドで15〜24%の減量が得られる一方、除脂肪量が約10%(約6kg)減ると整理されており、これはサクセンダ単独の数値ではありません。

一方、カロリー制限に運動を足した34件の無作為化試験(1455人)の解析では、運動を加えた群の除脂肪量が制限のみの群より0.87kg多く保たれ(95%信頼区間 0.59〜1.16)、失われる分の平均45.7%を防いだと報告されています。

体重が同じでも体型が変わる

体重計の数字が同じでも、脂肪が減って筋肉が残れば、見た目も服のサイズも変わってきます。先ほどの1年間の維持期でも、体脂肪率の下がり方に群ごとの差が出ました。

プラセボと比べた体脂肪率の変化は、運動群で1.7ポイント(95%信頼区間 -3.2〜-0.2)、リラグルチド群で1.9ポイント(同 -3.3〜-0.5)、併用群では3.9ポイントと、併用がおよそ2倍の下げ幅を示しました。

さらに併用群だけはHbA1cとインスリン感受性、心肺持久力の改善もみられており、体重という一本の物差しでは拾いきれない変化が同時に起きていたといえます。

  • 筋肉を残し、消費の底が下がる速さをゆるめる
  • 動いた分の消費を毎日足す
  • 体脂肪率を下げ、体型の見え方を変える
  • 血糖と心肺持久力を同時に整える

サクセンダ中止後の運動メニューは週の合計から決める

1回あたりの中身より、週の合計時間を先に決めるほうがうまくいきます。米国の身体活動ガイドライン第2版は成人に対し、中強度で週150〜300分の有酸素運動と、週2日以上の筋力トレーニングをすすめています。

まず週の合計時間を決める

週150分は、30分を5日でも、50分を3日でも、10分を1日3回でも構いません。合計が同じなら分けて積み上げてよい、というのがガイドラインの立場です。

高強度でそろえるなら週75〜150分が同等の目安になり、中強度と高強度を混ぜてもかまいません。まったく動いていなかった人ほど、わずかに増やすだけで得られる利益が大きいとも書かれています。

大きい数字に見えるかもしれませんが、通勤の徒歩やまとめ買いの移動が中強度に届く場面もあり、机の上で新しい予定を組むより、すでにある動きを数え直すほうが現実的でしょう。

強度は会話ができるかどうかで測る

心拍数を測る道具がなくても、話し方で強度はおおよそ見当がつきます。歌えないが会話は続く程度が中強度、数語しか返せない程度が高強度という、簡便な目安が広く使われています。

息が弾んでうっすら汗ばむあたりが続けやすい範囲であり、初めのうちは物足りないくらいで止めておくと、翌日に疲れを持ち越しません。

強度会話の様子取り入れ方の一例
軽い歌いながらでも続くゆっくりの散歩、片づけや洗濯
中強度歌えないが会話は続く早歩き、自転車、掃除機がけ
高強度数語しか返せない軽い走り、坂道や階段を続けて上る

強度の感じ方は体調や気温でも動くため、同じ速さで歩いても日によって重く感じます。数字にこだわらず、その日の会話の様子で調整するほうが長続きします。

1週間の組み方の一例

一例として、平日は20〜30分の早歩きを3日、週末に筋力トレーニングを2回置くと、有酸素と筋力の両方がそろいます。曜日は固定しても、生活に合わせてずらしても差し支えありません。

週の置き方内容の一例1回の目安
平日3日早歩きや自転車での移動20〜30分
週末2日大きな筋肉を使う自重の動き15〜20分
残りの日階段、徒歩の買い物、家事合計10分から

大切なのは1回の完成度ではなく、週の終わりに合計が積み上がっているかどうかです。予定どおりにいかない日を最初から見込んで、振り替えの枠をひとつ空けておくと崩れにくくなります。

時間が取れない週はどうする?

忙しい週は、まず筋力トレーニングの2回を守り、有酸素は移動と家事で拾う形へ落とします。合計が減っても、ゼロの週が続かないほうが再開は楽です。

10分の早歩きでも、階段を選ぶだけでも、記録の上では確かに積み上がっていきます。ゼロの週を作らずにおくと、翌週に立ち上がるときの心理的な壁が低くなります。

数週間まったく動けなかった場合も、前と同じ内容へいきなり戻さず、時間と強度を半分から立ち上げると、痛みや過度の疲労を避けられます。

サクセンダ中止後の筋力トレーニングで体型を保つ

有酸素運動だけで筋肉が守られるわけではありません。カロリー制限中の除脂肪量を比べたネットワークメタ解析では、有酸素と筋力を混ぜた形が最も大きく、次いで筋力トレーニング単独という順でした。

大きな筋肉から順に動かす

太もも・お尻・背中・胸といった大きな筋肉は、同じ時間をかけたときに残せる量が多く、日常の動作にも直結します。腕や腹だけを鍛えるより、下半身と背中を先に入れるほうが効率的でしょう。

先ほどの解析では、カロリー制限に混合トレーニングを足した群で除脂肪量が1.20kg多く保たれました(95%信頼区間 0.67〜1.73)。

筋力トレーニングでは0.83kg(同 0.17〜1.49)、持久系のみでは0.51kg(同 -0.04〜1.05)と続き、持久系だけでは統計的な有意差に届きませんでした。有酸素を否定する結果ではなく、筋力の要素を混ぜる価値を示した結果です。

自宅でできる自重の一例

器具がなくても、椅子からの立ち座り、壁に手をついた腕立て、床でのお尻上げといった自重の動きで、大きな筋肉に負荷をかけられます。移動の時間が要らないぶん、続けやすさでは有利です。

部位動きの一例始めの目安
太もも・お尻椅子からの立ち座り10回を2組
胸・腕壁に手をついた腕立て10回を2組
背中・体幹床であお向けのお尻上げ10回を2組

肥満のある高齢者160人を6か月追った試験では、体重が9%減るなかで、除脂肪量の減り方は筋力トレーニング群が2%、有酸素と筋力の併用群が3%にとどまり、有酸素のみの群の5%より小さく保たれました。

同じ試験では筋力が併用群で18%、筋力群で19%伸びた一方、有酸素のみでは4%でした。対象が高齢者である点は差し引いて読む必要がありますが、筋力の要素を入れる意味は、この試験でも一貫しています。

回数と組数は一例として受け取る

回数や組数に唯一の正解はなく、10回前後を2〜3組から始めて、余裕が出たら回数か組数のどちらかを増やす形が扱いやすい進め方です。

インクレチン関連薬と筋力トレーニングを論じた総説では、監督下で10週間を超える筋力トレーニングを続けた場合に除脂肪量が約3kg、筋力が約25%増えうると整理されています。指導のもとで行った場合の数字である点は押さえておきたいところです。

独力で行うときは重さや回数を欲張らず、動きの形が崩れない範囲にとどめると安全です。関節に痛みが出る種目は無理に続けず、別の動きへ置き換えます。

サクセンダ中止後に運動が続かないときの手当て

続かないのは意志の問題ではなく、続く仕掛けがまだ生活に入っていないだけです。記録・時間の固定・生活動作への組み込みという3つは、いずれも小さな手間で効きます。

記録が続く人は戻りが小さい

74人を1年追った研究では、3か月の減量期のあと介入のない9か月の維持期へ移り、週ごとの行動と体重の関係が調べられました。

減量期には体重と食事の自己記録の頻度が体重の落ち方を予測し、維持期に体重が戻る場面では、身体活動の少なさや、予定した運動を飛ばしたい誘惑の強さが予測因子として挙がっています。

記録は自分を採点するための道具ではなく、ずれに早く気づくための道具です。週1回の体重と、その週に動いた合計時間の2つだけでも、傾向はつかめます。

決まった時間に置く

「時間ができたらやる」という形にすると、その時間は最後まで現れません。曜日と時刻を先に決めて予定表へ入れ、ほかの用事と同じ扱いにすると実行率が上がります。

朝でも夜でも構いませんが、生活のなかで最も割り込まれにくい時間帯を選ぶのが要点です。着替えや道具を前夜に出しておけば、始めるまでの手間もさらに減ります。

生活の動作に混ぜる

運動着に着替えて出かける形だけが運動ではありません。一駅手前で降りる、階段を使う、買い物を歩いてまとめるといった動きも、積み上げれば週の合計へ入ります。

320人を対象に運動を強調した行動プログラムを比べた試験では、プログラムの型を変えても12か月・18か月時点の活動量と減量率に差は出ませんでした。一方、実際に活動量が多かった人ほど長期の減量は大きいという結果でした。

型を整えるより量を確保するほうが効く、と読める結果であり、生活のなかで自然に増える動きを軽く見ないほうがよいでしょう。

  • 週1回、同じ曜日と時刻に体重を測る
  • 運動した日だけ暦へ印を付ける
  • 服と道具を前夜に出しておく
  • 一駅分を歩く、階段を選ぶ
  • 予定が崩れた週の振り替え枠を空けておく

サクセンダ中止後の運動で無理をしないための線引き

持病がある場合や関節に痛みを抱えている場合は、始める前に主治医へ相談してください。強度の目安は誰にでも同じではなく、体の状態によって上限が変わります。

持病や関節の問題があるときは先に相談

心臓や肺の病気、安定していない血圧や血糖、膝や腰の慢性的な痛みを抱えている場合、運動の種類と強度に条件が付きます。自己判断で強度を上げると、かえって悪化させる場面もあります。

米国のガイドラインも、慢性疾患や障害のある成人については「可能であれば」成人向けの目安に従うという書き方をしており、一律に当てはめてはいません。まず相談し、できる範囲から線を引き直すのが安全でしょう。

薬の中止にともなって血圧や血糖の値が動く場合もあるため、定期の受診が続いているなら、運動を始める予定も併せて伝えておくと調整が早くなります。

痛みが出たら、その日は止める

動いた翌日に軽い筋肉痛が出るのは想定の範囲ですが、関節の内側に鋭い痛みが走る、腫れや熱を持つといった変化は別の話です。前述の高齢者の試験でも、運動に関連した有害事象として筋骨格系の障害が報告されています。

胸の痛み、強い息切れ、めまい、冷や汗をともなうときは、その場で中止して医療機関へ連絡します。無理に続けて得られるものはありません。

体重計以外の物差しも持つ

筋肉が残って脂肪が減る局面では、体重があまり動かないまま体型だけが変わります。数字だけを見ていると、うまくいっている時期を失敗と読み違えかねません。

腹囲、同じ服のウエストの余り、階段での息切れ、同じ距離を歩いたときの疲れ方など、複数の物差しを並べておくと判断がぶれにくくなります。月に1度の写真も、変化の記録として役に立ちます。

生活習慣による減量は2年で約5%程度にとどまるという整理もあり、戻りを抑えるには食事・運動・必要に応じた薬物療法を組み合わせた維持の計画が要る、とまとめられています。

よくある質問

サクセンダの中止後、運動はいつから始めればよいですか?

やめてから探しはじめるより、使っているあいだに枠を作っておくほうが移行は滑らかです。すでに中止している場合も、思い立った日から始めて差し支えありません。

ただし体調が不安定な時期や、持病の治療中で強度に制限がある場合は、主治医へ確認してから始めてください。

サクセンダを中止した後、運動だけで体重を保てますか?

運動だけで必ず保てると言い切れる根拠はありませんが、1年間の維持期を運動で過ごした群は、薬だけの群より治療終了後1年の戻りが6.0kg小さいと報告されています(95%信頼区間 2.1〜10.0)。

一方、初期体重の10%以上を保てた割合は運動と薬を併用した群で最も高く、運動は薬の代わりというより、やめた後に手元へ残せる支えと考えるほうが実際に近いでしょう。

サクセンダの中止後は筋力トレーニングと有酸素運動のどちらを優先すべきですか?

除脂肪量を守る観点では、両方を混ぜた形が最も大きい効果を示しています。カロリー制限に混合トレーニングを加えた群では除脂肪量が1.20kg多く保たれ、筋力トレーニングでは0.83kgでした。

時間が限られるなら、筋力トレーニングを週2回だけ確保し、有酸素は移動や家事で積み上げる形が現実的です。

サクセンダをやめた後に運動しても体重が減らないのはなぜですか?

減量が進むほど1日の消費が小さくなるうえ、薬が抑えていた食欲が戻る時期とも重なるため、体重は動きにくくなります。運動の効き目が出ていないとは限りません。

体脂肪率や腹囲が下がっているなら、体の中身は変わっています。数か月にわたって上向きが続くようなら、受診のうえで見直しを相談してください。

サクセンダの中止後、運動中に気分が悪くなったらどうすればよいですか?

すぐに中止して座り、水分を取りながら様子をみます。胸の痛みや強い息切れ、冷や汗、意識がもうろうとする感じがあるときは、その場で医療機関へ連絡します。

一度でも起きたなら、次に同じ強度で行う前に主治医へ相談し、条件を確かめてから再開してください。

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この記事を書いた人 Wrote this article

大木 沙織 大木皮ふ科クリニック 副院長

皮膚科医/内科専門医/公認心理師 略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。 所属:日本内科学会