ビクトーザとサクセンダの使い方は同じ?共通点と異なる注意点を整理

ビクトーザとサクセンダの使い方は同じ?共通点と異なる注意点を整理

ビクトーザとサクセンダは、どちらもリラグルチドを有効成分とする1日1回の皮下注射です。自分で注射する点は共通していますが、治療の目的、対象となる人、使う量の範囲、量を上げる順序は異なります。

同じ成分だからといって、手元にある製品を入れ替えたり、一方の指示を他方へ当てはめたりするのは危険です。製品名と処方目的を確かめ、処方時に示された用法を守る必要があります。

この記事では、ビクトーザとサクセンダの共通点と相違点、自己判断を避ける理由、受診時の確認事項を解説しています。

ビクトーザとサクセンダは同じ成分でも別の製品

2つの製品を分ける中心的な違いは、注射薬という形ではなく、承認された治療目的と対象です。製品名には、その目的に合わせた用法や安全確認までひとまとまりに含まれています。

有効成分はどちらもリラグルチド

リラグルチドは、GLP-1受容体作動薬と呼ばれる薬です。GLP-1は食事のあとに腸から分泌されるホルモンで、血糖値に応じたインスリン分泌を助け、胃から食べ物が送り出される速さや食欲にも影響します。

ビクトーザとサクセンダはこの成分を共通して含むため、働き方や起こり得る副作用には重なる部分があります。吐き気、下痢、便秘などの消化器症状がその例ですが、同じ成分という事実だけで製品全体を同一視せず、別々の処方として扱います。

薬の量を示すmgは有効成分の重さですが、表示された数字だけでは、製品としての使い方まで比較できません。1回に選べる量や治療中に目指す範囲は、成分名ではなく各製品の説明によって定まります。

治療目的が製品名を分けている

ビクトーザは2型糖尿病の治療に用いられ、血糖管理を目的として処方されます。サクセンダは体重管理を目的に開発された製品で、対象となる体格や健康状態などの条件が別に定められています。

比べる点ビクトーザサクセンダ
有効成分リラグルチドリラグルチド
主な治療目的2型糖尿病の血糖管理肥満症などの体重管理
投与方法の大枠1日1回の皮下注射1日1回の皮下注射
用量の範囲糖尿病治療用の範囲体重管理用の範囲

サクセンダの承認状況や対象は国・地域によって異なります。そのため、日本国内での位置づけは、受診時点の公的な承認情報と処方元の説明で確かめる必要があります。

海外で承認された製品について書かれたウェブ情報には、その国の対象条件や用法が反映されています。日本語で読める説明であっても、日本国内の承認内容を示すとは限らないため、情報がどの国向けかを確かめる視点が欠かせません。

製品ごとの使い方を決める承認内容

医薬品の使い方は、有効成分だけでなく、製品ごとに審査された効能または効果、用法および用量を基準に決まります。同じリラグルチドでも、海外の体重管理試験で用いられた量は、国内のビクトーザの指示の根拠にならない点へ注意が必要です。

心血管リスクの高い2型糖尿病患者さんを対象にした大規模試験では、糖尿病治療としてのリラグルチドが調べられています。日本人の2型糖尿病患者さんを対象にした試験もあります。一方、体重管理を目的とした試験では対象者と評価項目が違うため、結果を混ぜずに読む必要があります。

ビクトーザとサクセンダに共通する自己注射

毎日自分で皮下へ注射するという大枠は共通します。とはいえ、共通するのは投与経路と頻度であり、手元の器具や表示まで同じだと考えないほうが安全です。

共通するのは1日1回の皮下注射

どちらも皮下組織へ薬液を届ける注射薬で、基本の投与頻度は1日1回です。飲み薬のように口から服用する製品ではなく、処方を受けた本人が指導内容に沿って扱う形になります。

自己注射を続ける間は、製品の残量だけでなく、次の受診までに必要な本数も見通しておきます。旅行や長期の外出を予定しているなら、保管条件を守れるか、現地で不足しないかを事前に処方元へ相談すると安心です。

冷蔵が必要な期間や使用開始後の保管条件、使える日数は、製品の表示と付属文書で確かめます。高温、凍結、直射日光の影響を避ける点は共通しますが、具体的な温度や期限を記憶だけで判断するのは危険です。

見た目が似ていても操作説明は製品別

ペン型の外観が似ていると、同じ感覚で扱えると思いやすいものです。しかし、選択できる表示、1回に出る薬液量、確認窓の読み方などは製品によって違い得ます。

確認場面共通する原則製品ごとの確認
使用前製品名と薬液の状態を確認ラベル、濃度、使用期限
投与時処方された1回量を使用表示方法と器具の説明
保管時高温や凍結を避ける温度条件と使用可能期間
異常時無理に使用を続けない処方元への連絡方法

初めて受け取る製品では、箱、ペン本体、説明書の製品名が処方内容と一致しているかを確認します。以前に別の注射薬を使った経験があっても、新しい製品の説明を省かない姿勢が大切です。

使用前に自分で確かめる範囲

自己注射では、処方どおりの製品を正しい状態で使うところまでが本人の確認範囲です。処方目的や1回量の変更は本人の確認範囲を超え、診察での判断が必要です。

  • 製品名 … 箱とペン本体が処方内容に合っているか
  • 薬液 … 濁り、変色、異物など説明書と異なる状態がないか
  • 期限 … 使用期限と使用開始後の日数が範囲内か
  • 指示 … その日に使う量が直近の処方内容と一致するか

確認中に不一致が見つかったら、そのまま使わず処方元や薬剤師へ連絡してください。外箱を捨てず、製品名や製造番号を伝えられる状態にすると照合しやすくなります。

用量の上げ方は製品ごとに異なる

ビクトーザとサクセンダでは、開始時の量、上げる幅、目標とする量の範囲が異なります。少量から始める点だけを見て、同じ予定を当てはめるのは危険です。

少量から始める共通の理由

リラグルチドでは、治療開始直後に吐き気や胃の不快感などが出る可能性を考え、少ない量から体を慣らしていきます。量を段階的に調整する発想は共通していても、各段階の数値は製品ごとの用法に従います。

長時間作用型GLP-1受容体作動薬の総説でも、消化器症状への耐え方を見ながら量を調整する考えが示されています。ただし、国内製品の具体的な投与指示は、薬の分類全体を扱う総説ではなく、電子添文と個別の処方で確認します。

数値を並べると違いが見えやすい

国内のビクトーザでは、通常0.3mgから始めます。量を上げる場合は、1週間以上の間隔を空けて0.3mgずつ増量する用法が示されています。通常量は0.9mgで、状態に応じた調整範囲の上限は1.8mgです。

サクセンダは、海外で用いられる代表的な承認用法では0.6mgから始め、通常は1週間ごとに0.6mgずつ3.0mgまで上げます。この数値は海外の体重管理用製品の説明であり、国内のビクトーザの指示とは切り分けて読みます。

比較項目ビクトーザの国内用法サクセンダの海外での代表例
開始量0.3mgを1日1回0.6mgを1日1回
量を上げる幅0.3mgずつ0.6mgずつ
間隔1週間以上通常1週間ごと
目標となる範囲通常0.9mg、上限1.8mg通常3.0mg

表の数値は違いを読み取るための整理に限られ、個人の予定表を示したものではありません。実際に使う量は、手元の製品名、処方箋、処方時の説明を照合して確認してください。

同じ数値が両方の製品に現れても、その数値が開始時、途中、通常量のどれを指すかは製品によって変わります。たとえば1.8mgは、ビクトーザでは国内用法の上限ですが、サクセンダの海外用法では3.0mgへ向かう途中の段階です。

予定どおり進めない場面もある

吐き気や食欲低下が強いとき、予定された次の量へ進めるかは体調を踏まえた判断になります。症状を我慢して機械的に量を上げるのではなく、次の投与前に処方元へ相談するのが安全です。

激しい腹痛が続く、繰り返し吐いて水分を取れない、冷や汗や震えを伴う低血糖が疑われるなどの症状があれば、使用継続の判断を自分だけで抱えず速やかに医療機関へ連絡してください。糖尿病の薬を併用している場合は、低血糖への備えも処方時に確認します。

治療目的が変わると確認項目も変わります

血糖管理と体重管理では、治療前に確かめる健康状態や、治療中に評価する指標が違います。同じ成分に対する反応だけを見ても、治療が目的に合っているかを判断する材料が不足します。

ビクトーザでは血糖管理が中心

2型糖尿病の治療では、日々の血糖値だけでなく、一定期間の平均的な血糖状態を示すヘモグロビンA1cも評価します。併用中の糖尿病薬、食事量の変化、低血糖症状の有無は、安全に量を調整する材料です。

日本人の2型糖尿病患者さんを対象に、リラグルチド0.9mgで十分な反応が得られない人へ1.8mgを用いた無作為化試験もあります。これは日本人のデータがあるという根拠であり、誰もが高い量へ進むべきだという意味とは切り分けます。

血糖値が改善していても、食事量の低下や脱水が重なると体調を崩す可能性があります。検査値の目標達成だけで継続を決めず、消化器症状や生活への影響も診察で共有する姿勢が大切です。

サクセンダでは体格と関連疾患を確認

体重管理を目的とする製品では、体格指数(BMI)に加え、体重に関連する健康上の問題が対象条件に含まれるかを確認します。BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割った指標で、処方の可否にはほかの条件も合わせて評価されます。

リラグルチド3.0mgを使った海外の無作為化試験では、糖尿病のない肥満または過体重の成人や、2型糖尿病のある成人など、対象を分けて体重管理への効果と安全性が調べられています。対象条件の違う結果を、目の前の処方へそのまま移すのは適切ではないため、該当条件を個別に確認します。

共通して伝える病歴と服薬

どちらの製品を検討するときも、膵炎や胆石に関わる病歴、胃腸の強い不調、腎機能の問題は重要な確認事項です。妊娠の可能性についても、受診時に伝える必要があります。使用中の処方薬、市販薬、サプリメントを一覧にしておくと、重複や相互の影響を確認しやすくなります。

体調の記録には、症状が出た日だけでなく、その時点で使っていた製品名と1回量を添えます。腹痛や吐き気がいつ始まり、食事や水分をどの程度取れたかまで記すと、薬との関連や緊急性を判断する手がかりになります。

  • 治療目的 … 血糖管理か体重管理か
  • 健康状態 … 糖尿病、膵臓や胆のうの病気、腎機能など
  • 使用中の薬 … 注射薬、飲み薬、市販薬を含む名称
  • 体調の変化 … 吐き気、腹痛、食事量、低血糖を疑う症状

以前の検査結果やお薬手帳があれば、製品名を口頭だけで伝えるより正確です。また、家族の病歴を含めて確認される項目もあるため、問診票で分からない箇所は空欄のままにせず診察で尋ねましょう。

ビクトーザとサクセンダを自己判断で置き換えない

一方から他方への切り替えは、同じ成分だから単純に行えるものではなく、改めて診察が必要です。適応、現在量、治療の目標、併用薬、体調を評価したうえで、処方する医師が決めます。

残った薬を代用品にできない理由

以前の製品が残っていても、現在の処方の代わりに使うのは避けてください。濃度表示や選べる量が違えば、同じ数字に合わせたつもりでも、処方された用法から外れるおそれがあります。

保管履歴が分からない製品や使用期限を過ぎた製品は、薬液が透明に見えても安全性を保証する材料になりません。家族や知人から譲り受けた注射薬を使う行為も避けてください。

切り替えでは開始量を決め直す

切り替える場合は、直前まで使っていた量をそのまま新しい製品の量に読み替えず、開始する日と開始量を決め直します。治療が空いた期間や副作用の経過によっては、少ない量から始める判断もあり得ます。

新しい製品を受け取るまでは、現在の薬をいつまで続けるかも確認が必要です。自己判断で間隔を空けたり重ねて使ったりすると、体調変化と薬の関係が分かりにくくなるため、日付を含む指示を記録します。

血糖を下げる別の薬を併用している人では、切り替えに伴って低血糖の危険が変わる可能性もあります。そのため、新旧の製品名、最後に使った日、最後の1回量を正確に伝える必要があります。

入手経路が不明な製品は使わない

海外仕様のサクセンダでは、表示言語、承認された対象、流通時の品質管理が国内製品と異なる可能性があります。正規の診療や薬剤師の確認を経ていない製品には、成分や保管状態を外観だけで確かめる手段がありません。

体重が気になる、血糖値が下がりにくいといった理由で量を変えたくなる気持ちは自然です。ただ、自己判断の変更は効果を評価しにくくし、副作用が出たときの原因の特定も難しくします。処方元へ現状を伝え、変更の要否を相談してください。

受診前に整理しておきたい判断材料

受診時には、どちらの商品名が気になるかだけでなく、何を治療したいのか、現在どの薬をどの量で使っているのかを具体的に伝えると判断が進みます。製品の選択は、希望だけでなく適応と安全性を照らし合わせて行われます。

最初に治療目的を言葉にする

「同じ成分ならどちらでもよい」と考えず、血糖値の改善を優先したいのか、体重に関連する健康問題を相談したいのかを伝えます。目的が明確になると、必要な診察や検査、治療効果を追う指標が定まりやすくなります。

糖尿病がある人では、体重だけでなく血糖経過、合併症、ほかの治療との組み合わせも薬の選択へ反映されます。逆に、糖尿病がない人へ血糖管理用の製品を体重目的だけで当てはめる判断は、承認内容から外れる可能性があります。

診察で照合する手元の情報

薬の名称が曖昧なときは、ペン本体を無理に持参せず、外箱やラベルを撮影した画像、お薬手帳、処方箋の控えを用意します。画像には製品名、含量、使用期限が読めるように写しておくと照合に役立ちます。

伝える情報具体例判断につながる点
治療の目的血糖管理、体重に関連する健康問題適応する製品の候補
現在の使用状況製品名、1回量、開始日継続または変更の方法
併用薬糖尿病薬、利尿薬など低血糖や脱水への注意
体調の記録吐き気、腹痛、食事量の変化継続可能性と量の調整

ネット上で見た製品や海外の説明が気になっている場合は、画面の名称と情報元も見せると誤解を減らせます。広告の表現ではなく、承認情報と現在の健康状態を基準に相談する姿勢が重要です。

海外の体験談に自分の体重や症状が似ていても、処方の適否を決める根拠にはなりません。診察では、身長と体重の経過、糖尿病の有無、関連する病気、過去に使った薬への反応を組み合わせて判断します。

処方後に確認を残さない

診察を終える前に、製品名、治療目的、最初の1回量、次に量を変える条件を自分の言葉で確認します。体調不良時の連絡先と、緊急性が高い症状も聞いておけば、自宅で迷ったときの判断材料になります。

説明を一度で覚え切れない不安はよくあります。メモや説明書を見ながら復唱し、不明点があれば使用開始前に処方元または薬剤師へ尋ねましょう。

同じリラグルチドを含んでいても、ビクトーザとサクセンダは治療目的から用量の組み立てまで別の製品です。共通点は自己注射の大枠に限って捉え、実際の選択と使用は製品別の指示に合わせるのが安全です。

よくある質問

ビクトーザとサクセンダはまったく同じ薬ですか?

有効成分は同じリラグルチドですが、2つは別の製品です。治療目的、対象となる人、用量の範囲が異なるため、製品名ごとの処方と説明に従います。

ビクトーザをサクセンダの量まで増やしてもよいですか?

ビクトーザへサクセンダの用量を当てはめるのは避けてください。手元の処方に示された量を守り、変更を希望する理由と現在の体調を処方元へ伝えて判断を受けます。

サクセンダからビクトーザへすぐ切り替えられますか?

切り替えの可否と開始日は、治療目的、最後に使った量、体調、併用薬を確認して決まります。

残っている製品を使って自分で移行せず、新旧の製品名と最後に使った日を診察で伝えてください。

同じ成分なら副作用も同じですか?

吐き気や便通の変化など重なる副作用はありますが、使う量、治療対象、併用薬によって現れ方や注意点は変わります。

強い腹痛や繰り返す嘔吐などがあれば、次の投与をどうするか速やかに処方元へ確認してください。

手元のペンがどちらか分からないときはどうしますか?

製品を特定できるまで使用を止め、箱、ペン本体のラベル、処方箋の控えを照合します。

それでも分からない場合は、製品名と含量が読める画像を用意し、処方元または薬剤師へ確認してください。

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この記事を書いた人 Wrote this article

大木 沙織 大木皮ふ科クリニック 副院長

皮膚科医/内科専門医/公認心理師 略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。 所属:日本内科学会