ゼップバウンドとマンジャロの価格比較|同じ成分の薬価はどう違うのか

ゼップバウンドとマンジャロの価格比較|同じ成分の薬価はどう違うのか

ゼップバウンドとマンジャロはどちらもチルゼパチドという同一の有効成分を含む注射薬ですが、薬価には明確な差があります。用量によってはゼップバウンドのほうが1,000円以上高い規格もあれば、15mg規格ではマンジャロのほうが高くなる逆転現象も見られます。

「同じ薬なのに、なぜ値段が違うの?」という疑問は当然のことでしょう。この記事では、6つの用量すべての薬価を並べて比較しながら、価格差が生まれた背景や、治療にかかる総費用の考え方をわかりやすくお伝えします。

肥満症の治療を検討している方にとって、費用面の不安は大きなハードルです。正確な情報を知ったうえで、主治医と一緒に納得のいく選択をしていただければ幸いです。

目次 Outline

ゼップバウンドとマンジャロは同じ成分チルゼパチドなのに「別の薬」として扱われる

ゼップバウンドもマンジャロも、有効成分はチルゼパチドというまったく同じ物質です。それにもかかわらず別々の商品名がつけられ、薬価も異なる値段で設定されています。その理由は、2つの薬が承認されている「病気の種類」が根本的に違うからです。

チルゼパチドが2つのホルモン受容体に働きかける仕組み

チルゼパチドは、GIP受容体とGLP-1受容体という2つのホルモン受容体を同時に活性化する薬です。GIPは小腸上部から、GLP-1は小腸下部からそれぞれ分泌される消化管ホルモンで、どちらもインスリンの分泌を促す作用を持っています。

この2つを同時に刺激することで、血糖値を下げる効果だけでなく食欲を抑える効果も得られ、結果として体重減少にもつながるとされています。週に1回、皮下に注射するだけで効果が持続する点も、大きな特徴といえるでしょう。

適応症が「肥満症」と「2型糖尿病」で明確に分けられた

マンジャロは2023年3月に2型糖尿病の治療薬として日本で薬価収載されました。一方、ゼップバウンドは2025年3月19日に肥満症の治療薬として薬価収載され、同年4月11日に発売されています。

つまり、同じ成分であっても「どの病気に使うか」が法的に区別されているわけです。マンジャロを肥満症に使うことは適応外使用にあたり、医薬品副作用被害救済制度の対象外になるリスクも伴います。

ゼップバウンドとマンジャロの基本情報

項目ゼップバウンドマンジャロ
一般名チルゼパチドチルゼパチド
適応症肥満症2型糖尿病
薬価収載日2025年3月2023年3月
投与方法週1回皮下注射週1回皮下注射
用量規格2.5〜15mgの6規格2.5〜15mgの6規格

名前が違うだけで「中身は同じ薬」と考えてよいのか

成分・用量・注射器のタイプまで同一であるため、体内での作用は基本的に変わりません。ただし、処方目的に応じた添付文書の記載内容や用法用量の細かな違いがあるため、「まったく同じ」とは言い切れない部分もあります。

大切なのは、主治医がどちらの薬をどのような目的で処方するかという点です。自己判断で薬を選ぶのではなく、必ず医師の診察を受けたうえで適切な処方を受けてください。

全6規格の薬価を並べてみたら、用量によって価格差の傾向が見えてきた

ゼップバウンドとマンジャロの薬価を同じ用量ごとに横並びで比較すると、低用量ではゼップバウンドが高く、高用量になるにつれてその差が縮まり、15mg規格ではむしろマンジャロの方が高いという特徴が浮かび上がります。

2.5mgから15mgまで1キットあたりの薬価を比較

薬価は国が定めた公定価格であり、どの医療機関で処方されても同じ金額です。以下に、2025年3月収載時点の薬価を用量別にまとめました。

低用量の2.5mg規格ではゼップバウンドが3,067円に対しマンジャロは1,924円と、1,143円の差があります。5mg規格でも1,949円の差がつきますが、12.5mgでは逆にゼップバウンドが10,180円、マンジャロが9,620円と差は560円まで縮小します。

15mg規格で起こる逆転現象に注目したい

15mg規格ではゼップバウンドが11,242円、マンジャロが11,544円となり、マンジャロのほうが302円高くなります。これは、それぞれの薬価算定で採用された計算方式が異なることに起因しています。

維持用量として多くの患者さんが使用する10mgでは、ゼップバウンドが8,999円、マンジャロが7,696円で、1,303円の差があります。月4回の投与で計算すると、10mg使用時の月額差は約5,200円になるでしょう。

月額に換算すると費用感はどう変わるか

週1回投与のため、1カ月は約4回分の費用がかかります。10mg規格で比べた場合、ゼップバウンドは月額約35,996円(薬価ベース)、マンジャロは月額約30,784円です。

ただし、これはあくまで薬価のみの金額であり、実際には診察料や処方料、注射指導料なども加わります。窓口での支払額を正確に知りたい場合は、処方を受ける医療機関に直接確認するのが確実です。

用量別薬価比較(1キットあたり)

用量ゼップバウンドマンジャロ
2.5mg3,067円1,924円
5mg5,797円3,848円
7.5mg7,721円5,772円
10mg8,999円7,696円
12.5mg10,180円9,620円
15mg11,242円11,544円

ゼップバウンドのほうがマンジャロより薬価が高くなった背景には算定方式の違いがある

同じチルゼパチドなのに薬価が異なる最大の理由は、薬価算定のときに採用された比較対象と計算ルールが違うことにあります。日本の薬価制度では、類似する薬との比較や外国価格との調整が行われるため、承認時期や適応症の違いが価格に直結します。

マンジャロの薬価は既存の糖尿病薬を基準に決められた

マンジャロが2023年に薬価収載された際には、GLP-1受容体作動薬であるオゼンピックが比較対象に選ばれました。類似薬効比較方式(I)に基づく算定が行われ、有用性加算(II)として10%の上乗せと、外国平均価格調整が適用されています。

その結果、5mg規格で1キット3,848円という薬価に落ち着きました。糖尿病治療薬としてはやや高めの価格帯ですが、週1回の投与で済む利便性が評価された形です。

ゼップバウンドは肥満症治療薬としての市場評価も加味された

ゼップバウンドは2025年3月に薬価収載されましたが、肥満症治療薬という新しいカテゴリでの算定が行われた点がマンジャロとは異なります。肥満症の薬としてはウゴービ(セマグルチド)に続く2番目の選択肢であり、市場における競合関係も価格設定に影響を与えたと考えられます。

低用量帯でゼップバウンドの薬価がマンジャロより高くなっている背景には、肥満症治療薬として独自の算定基準が適用されたことが大きく関係しています。

薬価算定の比較

項目ゼップバウンドマンジャロ
適応症肥満症2型糖尿病
収載時期2025年3月2023年3月
算定基準薬肥満症薬として算定オゼンピック

今後の費用対効果評価が薬価の改定につながるかもしれない

マンジャロは2024年に費用対効果評価の対象となり、評価結果に基づく価格調整が行われました。ゼップバウンドも今後、同様の評価対象になる可能性があります。

費用対効果評価の結果によっては薬価が引き下げられることもあるため、長期的に見ると患者さんの負担が変わる可能性は十分にあるでしょう。薬価改定のニュースには定期的に目を向けておくことをおすすめします。

チルゼパチドの体重減少効果は臨床試験でどの程度確認されたのか

チルゼパチドは複数の大規模臨床試験で、従来の肥満症治療薬を大きく上回る体重減少効果が報告されています。ゼップバウンドとマンジャロは同じ成分ですから、薬としての効果そのものに差はないと考えて差し支えありません。

SURMOUNT-1試験で平均20%を超える体重減少が報告された

ゼップバウンド(チルゼパチド)の肥満症に対する効果を検証したSURMOUNT-1試験では、15mg投与群で72週時点の体重減少率が平均22.5%に達しました。これは従来のGLP-1受容体作動薬による減量効果を大幅に上回る数値です。

参加者の約96%が5%以上の体重減少を達成し、約57%が20%以上の減量に成功したと報告されています。こうしたデータは、チルゼパチドの体重減少効果がきわめて高いことを裏付けています。

SURPASS試験シリーズでも糖尿病患者の体重減少が確認された

マンジャロとして実施されたSURPASS試験シリーズ(1〜6)では、2型糖尿病患者を対象にHbA1cの低下と体重減少の両方が評価されました。SURPASS-2試験では、セマグルチドとの直接比較でチルゼパチドが優位な血糖改善と体重減少を示しています。

糖尿病患者の場合、肥満のみの患者と比べると体重減少率はやや控えめになる傾向がありますが、SURMOUNT-2試験でも15mg投与群で約14.7%の減量効果が確認されています。

どちらの薬で治療しても得られる効果は基本的に同じ

成分が同一である以上、体内での作用は変わりません。ただし、処方にあたっては適応症の条件を満たしている必要があり、どちらの薬が使えるかは患者さんの病状によって決まります。

「ゼップバウンドのほうが効く」「マンジャロのほうが痩せる」といった情報をSNSなどで目にすることがあるかもしれませんが、薬理学的にはそのような差はないと考えてよいでしょう。

臨床試験で注目すべきポイント

  • SURMOUNT-1試験の15mg群で平均22.5%の体重減少率を記録
  • SURPASS-2試験でセマグルチドに対して体重減少と血糖改善の両面で優位性を確認
  • 3年間の長期投与で2型糖尿病への進行リスクが約93%低下したというデータも報告済み

薬価だけでは見えてこない「治療にかかる費用の全体像」を把握しておきたい

処方薬の価格に目が行きがちですが、肥満症の治療では薬代以外にもさまざまな費用が発生します。総額を見すえたうえで治療計画を立てることが、途中で挫折しないためのコツです。

診察料や検査費用は毎回の受診で発生する

医療機関を受診するたびに、再診料(約730円、3割負担で約220円)や処方料が加算されます。さらに、定期的な血液検査が必要になるケースも多く、検査費用も数千円単位で積み重なっていきます。

とくに治療開始から3カ月間は「導入初期加算」が発生する場合があり、この期間の窓口負担はやや高めになる傾向です。4カ月目以降は費用が安定するため、長期的な見通しを立てやすくなります。

通院の頻度と交通費も見逃せない出費になる

ゼップバウンドやマンジャロは専門医による処方が求められるため、対応できる医療機関がお住まいの近くにないケースも想定されます。遠方の病院に通う場合、交通費だけで月に数千円かかることも珍しくありません。

治療にかかる費用の内訳例

  • 薬剤費(チルゼパチド10mg使用時の月4回分で約30,000〜36,000円の薬価ベース)
  • 再診料・処方料(月1〜2回の受診で数百円〜数千円)
  • 血液検査費用(数カ月に1回、3割負担で約1,000〜3,000円程度)

自由診療で使う場合の費用感はまったく別物になる

マンジャロを肥満症目的で使う場合は適応外使用にあたるため、自由診療となり薬価の適用がなくなります。クリニックごとに独自の価格設定がなされ、5mg1本で7,000〜10,000円、月額で3〜6万円程度が相場とされています。

自由診療では診察料や送料も別途かかるため、薬代だけを見て判断すると想定以上の出費になりかねません。複数のクリニックの料金体系を事前に比較し、総額で判断することをおすすめします。

ゼップバウンドやマンジャロを処方してもらう前に確かめておきたいポイント

チルゼパチドによる治療を始めるには、医師の診察で適応条件を満たしているかどうかの確認が必要です。事前に準備しておくべきことを整理しておくと、診察がスムーズに進みます。

主治医への相談で伝えておくべき情報

初診時には、現在の体重やBMI、これまでに取り組んだ食事療法・運動療法の内容、合併症の有無などを正確に伝えましょう。ゼップバウンドの処方を受けるには、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを合併していることが条件の一つとなっています。

また、過去に他の減量治療を受けた経験がある場合は、その内容と結果も主治医に共有しておくと治療方針の決定に役立ちます。

消化器系の副作用を中心に対処の基本を知っておく

チルゼパチドで報告されている副作用の多くは、吐き気・下痢・便秘といった消化器系の症状です。これらの症状は投与開始直後や増量時に出やすく、多くの場合は軽度から中等度で、時間の経過とともに軽減していきます。

症状がつらいときは無理せず主治医に相談し、増量のペースを調整してもらうことが大切です。自己判断で投与量を変えたり、中断したりすることは避けてください。

食事や運動の見直しなしに薬だけに頼っても十分な効果は得にくい

チルゼパチドは食欲を抑制する効果がありますが、薬の力だけで理想の体重を維持し続けることは困難です。治療と並行して、バランスのよい食事と適度な運動を習慣化していくことが長期的な成功の鍵となります。

臨床試験でもチルゼパチドの投与を中止すると体重が戻る傾向が報告されており、治療を終了する際のリバウンド対策も含めて主治医と計画を立てておくことが望ましいでしょう。

チルゼパチドの主な副作用と頻度

副作用発現頻度重症度
吐き気12〜24%軽度〜中等度
下痢12〜22%軽度〜中等度
便秘6〜11%軽度
食欲減退5〜9%軽度

よくある質問

ゼップバウンドとマンジャロの有効成分は同じですか?

ゼップバウンドとマンジャロの有効成分は、いずれもチルゼパチドという同一の物質です。GIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用する持続性の注射薬で、用量規格も2.5mgから15mgまで同じ6段階が用意されています。

成分は同じですが、ゼップバウンドは肥満症、マンジャロは2型糖尿病という異なる適応症で承認されているため、処方される目的が明確に区別されます。どちらの薬が適しているかは、医師の診断に基づいて判断されるものです。

ゼップバウンドの薬価はマンジャロと比べてどれくらい高いですか?

用量によって差額は異なりますが、たとえば10mg規格で比較するとゼップバウンドが8,999円、マンジャロが7,696円で、1キットあたり1,303円の差があります。月4回の投与に換算すると約5,200円の差になります。

一方、15mg規格ではゼップバウンドが11,242円、マンジャロが11,544円とマンジャロのほうが高くなる逆転も見られます。すべての用量でゼップバウンドが高いわけではないという点も、正確に把握しておきたいところです。

チルゼパチドの体重減少効果はどの程度報告されていますか?

大規模臨床試験であるSURMOUNT-1では、チルゼパチド15mg投与群で72週後に平均22.5%の体重減少が報告されました。参加者のうち約96%が5%以上の体重減少を達成しており、約半数が20%以上の減量に成功しています。

また、3年間の長期追跡データでは、チルゼパチドを継続投与した群で平均約19.7%の体重減少が維持されたとの報告もあります。従来の減量薬と比較して、高い水準の体重減少効果が確認された薬剤といえます。

ゼップバウンドやマンジャロの主な副作用にはどのようなものがありますか?

ゼップバウンドとマンジャロに共通する主な副作用は、吐き気・下痢・嘔吐・便秘などの消化器系の症状です。臨床試験では吐き気が12〜24%、下痢が12〜22%の頻度で報告されていますが、そのほとんどは軽度から中等度の症状でした。

消化器系の症状は治療開始直後や用量を増やしたタイミングで出やすく、多くの場合は投与を続けるうちに軽減していきます。症状がつらい場合には増量のペースを遅らせるなどの調整が可能ですので、主治医に遠慮なく相談してください。

マンジャロを肥満症の治療に使うことはできますか?

マンジャロの承認された適応症は2型糖尿病のみであり、肥満症やダイエットを目的とした処方は適応外使用にあたります。適応外使用の場合は自由診療扱いとなり、全額自己負担になるだけでなく、万が一重篤な副作用が生じた際に医薬品副作用被害救済制度の対象外となるリスクもあります。

肥満症の治療目的でチルゼパチドを使いたい場合は、肥満症を適応症として承認されたゼップバウンドの処方について主治医に相談するのが望ましい選択です。処方の条件を満たすかどうかも含め、まずは専門の医師に現在のお身体の状態を正直にお伝えください。

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この記事を書いた人 Wrote this article

大木 沙織 大木皮ふ科クリニック 副院長

皮膚科医/内科専門医/公認心理師 略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。 所属:日本内科学会