
「体重を減らしたいのに血糖値も高い」と悩んでいる方にとって、ゼップバウンド(一般名:チルゼパチド)は注目すべき治療薬の一つです。
従来の糖尿病治療薬とは異なり、GIPとGLP-1という2つのホルモン受容体に同時に働きかけ、HbA1cの大幅な改善と体重減少を同時に実現するデータが報告されています。
大規模臨床試験SURPASSプログラムでは、HbA1cが最大2.58%低下し、体重も有意に減少したことが確認されました。血糖コントロールと体重管理という2つの課題を同時に解決できる可能性を秘めた薬剤として、国内外で関心が高まっています。
この記事では、肥満と糖尿病の両方に悩む方が安心して情報を得られるよう、臨床試験データをもとにゼップバウンドの効果と注意点をわかりやすくお伝えします。
ゼップバウンド(チルゼパチド)は糖尿病の血糖値をどこまで下げられるのか
大規模臨床試験の結果、ゼップバウンドはHbA1cを最大2.58%低下させ、多くの患者さんが治療目標である7.0%未満を達成しました。従来のGLP-1受容体作動薬を上回る血糖改善効果が繰り返し報告されています。
GIPとGLP-1の2つの受容体を同時に刺激し、血糖をコントロールする仕組み
ゼップバウンドの有効成分チルゼパチドは、GIP(グルコース依存性インスリン分泌促進ポリペプチド)とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)の両方に結合するデュアルアゴニストです。
食事をとると小腸からGIPとGLP-1が分泌され、膵臓にインスリンの放出を促します。
チルゼパチドは2つのホルモンの作用を1つの分子で再現するよう設計されました。GLP-1受容体への作用で食後血糖の上昇を抑えます。
さらにGIP受容体への刺激がインスリン分泌を後押しし、単独の受容体作動薬よりも強い血糖降下作用が期待できるのです。
SURPASS臨床試験で証明されたHbA1c低下の数値
ゼップバウンドの血糖改善効果を裏づけるのが、SURPASS(サーパス)と名づけられた一連の第3相臨床試験です。
SURPASS-1試験では、食事・運動療法のみで血糖コントロールが不十分だった2型糖尿病患者を対象に、40週間のチルゼパチド単独療法が評価されました。
その結果、チルゼパチド15mg群ではHbA1cがベースラインから約2.07%低下しました。参加者の約52%がHbA1c 5.7%未満に達しています。
プラセボ群のHbA1c変化が+0.04%だったことと比べると、その差は歴然でしょう。
SURPASSプログラム主要試験のHbA1c低下データ
| 試験名 | 比較対象 | 15mg群のHbA1c低下幅 |
|---|---|---|
| SURPASS-1 | プラセボ | 約-2.07% |
| SURPASS-2 | セマグルチド1mg | 約-2.30% |
| SURPASS-3 | インスリン デグルデク | 約-2.37% |
| SURPASS-4 | インスリン グラルギン | 約-2.58% |
| SURPASS-5 | プラセボ(基礎インスリン併用) | 約-2.59% |
従来のGLP-1受容体作動薬を超えたゼップバウンドの血糖改善力
SURPASS-2試験では、同じ週1回注射のセマグルチド1mgを直接比較対照として設定しました。40週間後、チルゼパチド15mg群のHbA1c低下幅は-2.30%です。
セマグルチド群の-1.86%を有意に上回り、その差は-0.45ポイントに達しました。
GLP-1単独の作用にGIP受容体への刺激が加わることで、膵β細胞のインスリン分泌能と感受性の両面が改善されると考えられています。
単なる上乗せ効果ではなく、2つの経路が相乗的に血糖値を引き下げている点がゼップバウンドの特徴でしょう。
体重減少と血糖コントロールが同時に叶う|ゼップバウンドのダブル効果
ゼップバウンドは血糖値を下げるだけでなく、臨床試験で最大11.0%もの体重減少を達成しました。体重が減ればインスリン抵抗性も改善するため、血糖コントロールとの好循環が生まれます。
インスリン抵抗性の改善が体重と血糖の両方を変える
肥満を伴う2型糖尿病では、内臓脂肪の蓄積がインスリンの効きを悪くしています。インスリンが十分に働かないと血糖値が下がりません。
すると膵臓はさらに多くのインスリンを分泌しようとし、過剰なインスリンが脂肪の蓄積を促進して体重が増える悪循環に陥ります。
ゼップバウンドはこの悪循環を断ち切る作用を持っています。SURPASS-1試験の事後解析では、チルゼパチド投与群でHOMA-βが77〜92%改善しました。
インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRも9〜23%低下しており、膵臓の負担軽減とインスリン感受性の回復が確認されています。
食欲が自然に落ちて代謝も上がるダブル効果
GLP-1受容体作動薬には胃の内容物の排出を遅らせ、満腹感を長引かせる作用があります。チルゼパチドはGLP-1に加えてGIPにも作用し、前臨床モデルでは食事摂取量の減少とエネルギー消費の増加が確認されました。
臨床レベルでも、SURPASS-2試験でチルゼパチド15mg群は体重がベースラインから平均-12.4kg減少しました。セマグルチド1mg群の-6.9kgを大きく上回る数値です。
食欲の自然な抑制と代謝改善が組み合わさり、無理なく体重が落ちていくのがゼップバウンドの魅力といえます。
SURMOUNT-2試験で報告された2型糖尿病患者の体重変化データ
SURMOUNT-2試験は、BMI 27以上かつ2型糖尿病を持つ成人938名を対象に、72週間の体重管理効果を調べた試験です。
10mg群で平均-12.8%、15mg群で平均-14.7%の体重減少がみられ、プラセボ群の-3.2%と明確な差がつきました。
注目すべき点は、体重減少と並行してHbA1cも大幅に改善したことです。2型糖尿病を合併した肥満患者は薬物療法で体重が落ちにくいとされますが、ゼップバウンドはこの壁を打ち破る結果を示しました。
SURMOUNT-2試験における体重・HbA1cの変化
| 投与群 | 体重変化率 | HbA1c変化 |
|---|---|---|
| チルゼパチド10mg | -12.8% | -2.1% |
| チルゼパチド15mg | -14.7% | -2.1% |
| プラセボ | -3.2% | -0.5% |
ゼップバウンド5mg・10mg・15mg|用量ごとの血糖・体重データはこう違う
ゼップバウンドは5mg・10mg・15mgの3用量が設定され、用量に比例してHbA1cと体重の改善幅が大きくなることが試験で確認されています。どの用量から開始し、どこまで増量するかを主治医と相談することが大切です。
5mg・10mg・15mgでHbA1cはどこまで下がったか
SURPASS-2試験のデータでは、5mg群でHbA1cが-2.01%、10mg群で-2.24%、15mg群で-2.30%低下しています。対照群のセマグルチド1mgは-1.86%でした。
注目すべきは、最低用量の5mgであっても、すでにセマグルチドを上回る血糖改善が得られたという点です。
また、HbA1c 7.0%未満を達成した患者の割合は、5mg群で82%、10mg群で86%、15mg群で87%に達しました。高い目標値であるHbA1c 5.7%未満についても、15mg群では約30%の患者さんが到達しています。
セマグルチド1mgとの直接比較で見えた差
SURPASS-2は、ゼップバウンドとセマグルチド1mgを同じ試験内で直接比較した貴重な第3相試験です。1879名の2型糖尿病患者が無作為に割り付けられ、40週間にわたって追跡されました。
体重に関しても差は明確で、チルゼパチド15mg群の体重減少量は-12.4kgとなり、セマグルチド群の-6.9kgの約1.8倍に達しました。血糖と体重の両面でセマグルチドを上回ったという結果は、臨床現場でも大きな意味を持っています。
ゼップバウンドの用量別にみた主な改善指標
- HbA1c低下幅:5mg -2.01%、10mg -2.24%、15mg -2.30%
- 体重減少量:5mg -7.0kg、10mg -9.6kg、15mg -12.4kg
- HbA1c 7.0%未満達成率:5mg 82%、10mg 86%、15mg 87%
- 低血糖(血糖54mg/dL未満)の発現率:5mg 0.6%、10mg 0.2%、15mg 1.7%
低血糖リスクを抑えながら正常域に近づけた臨床成績
ゼップバウンドの血糖降下はグルコース依存性、つまり血糖値が高いときに強く作用し、低いときには効きにくい特性があります。
SURPASS-2試験の重度低血糖発現率は5mg群0.6%、15mg群1.7%にとどまり、セマグルチド群の0.4%と大きな差はありません。
従来のインスリン製剤やSU薬は低血糖のリスクが高く、患者さんの日常生活に影響を与えることもあります。血糖値を正常域に近づけながら低血糖を避けられるという点は、ゼップバウンドの臨床的な強みの一つでしょう。
肥満と糖尿病が重なる合併症リスクをゼップバウンドはどう抑えるのか
肥満と2型糖尿病は心血管疾患や脂質異常症、非アルコール性脂肪肝など多くの合併症リスクを高めます。ゼップバウンドはSURPASS-4試験で心血管安全性が確認されたうえ、脂質や血圧にも好影響をもたらすデータが報告されています。
肥満と糖尿病が重なると心血管リスクは急上昇する
2型糖尿病患者さんの多くは高血圧や脂質異常症を合併しています。内臓脂肪が増えると炎症性サイトカインが過剰に分泌され、動脈硬化が進みやすくなるためです。
BMIが30を超える糖尿病患者は、正常体重の方と比べて心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが大幅に上昇するとされています。
したがって、糖尿病治療において体重管理は血糖コントロールと同等かそれ以上に重要な意味を持ちます。体重を5〜10%減らすことで血圧・中性脂肪・肝機能など複数のリスク因子が改善されることが多くの研究で裏づけられています。
体重が5%減るだけで変わる血圧・脂質・肝機能の数字
SURPASSプログラムの複数試験では、チルゼパチド投与群で収縮期血圧・中性脂肪・ALT値などの改善が報告されました。
SURPASS-3のMRI解析では、チルゼパチド投与群で肝脂肪含量が29.78〜47.11%減少し、インスリンデグルデク群の11.17%を大幅に上回っています。
血圧に関しても、SURPASS-2試験ではチルゼパチド群でプラセボやインスリンと比較して収縮期・拡張期ともに有意な低下がみられています。脂質プロファイルの改善も確認されており、体重減少がもたらす多面的な効果がデータで裏づけられた形です。
SURPASS-4試験で確認された心血管安全性データ
SURPASS-4試験は、心血管リスクが高い2型糖尿病患者2002名を対象にした大規模試験です。チルゼパチドとインスリングラルギンを比較しました。
最長104週間の観察期間で、主要心血管イベント(MACE-4)の発生率はチルゼパチド群がインスリン群を上回りませんでした。
52週時点でチルゼパチド15mg群のHbA1c低下は-2.58%に達し、インスリングラルギン群の-1.44%を大きく上回りました。心血管安全性が確認されたことで、合併症リスクの高い患者さんにもゼップバウンドを使いやすくなっています。
SURPASS-4試験の主な結果まとめ
| 評価項目 | チルゼパチド15mg群 | インスリングラルギン群 |
|---|---|---|
| HbA1c低下幅(52週) | -2.58% | -1.44% |
| 低血糖発現率(血糖54mg/dL未満) | 6〜9% | 19% |
| 心血管イベント(MACE-4) | 非劣性確認 | 対照 |
ゼップバウンドで気をつけたい副作用と安全性の臨床データ
ゼップバウンドの副作用は、他のGLP-1受容体作動薬と同様に消化器症状が中心です。ほとんどが軽度から中等度であり、用量を段階的に上げていくことで症状を軽減できるケースが多いと報告されています。
胃腸症状はいつ・どのくらいの頻度で起きるのか
SURPASSプログラム全体を通じて、もっとも多かった副作用は悪心(吐き気)、下痢、嘔吐でした。
SURPASS-2試験における悪心の発現率は、チルゼパチド5mg群17%、10mg群20%、15mg群22%です。セマグルチド1mg群の18%と大きな差はありません。
これらの消化器症状は、治療開始初期や用量増加の直後に出やすく、時間の経過とともに軽減する傾向があります。副作用を理由に治療を中断した割合は各群で5〜7%にとどまっており、多くの患者さんが投与を継続できています。
段階的な用量アップで副作用を和らげるコツ
チルゼパチドは2.5mgという低用量からスタートし、4週間ごとに2.5mgずつ増量するスケジュールが設定されています。この緩やかな増量スケジュールが、消化器症状を和らげるための大切なポイントです。
用量増加に伴う消化器症状の頻度比較(SURPASS-2)
| 副作用 | 5mg群 | 15mg群 |
|---|---|---|
| 悪心 | 17% | 22% |
| 下痢 | 13% | 16% |
| 嘔吐 | 6% | 10% |
重篤な副作用の報告頻度と注意が必要なケース
SURPASS-2試験で重篤な有害事象が報告された割合は、チルゼパチド群で5〜7%、セマグルチド群で3%でした。過敏症反応は1.7〜2.8%の患者さんで報告されていますが、いずれも重篤例ではありませんでした。
注射部位反応は1.9〜4.5%で発現しており、こちらも軽度から中等度にとどまっています。
一方で、膵炎や甲状腺髄様癌の既往がある方、多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴がある方は投与を避ける必要があります。主治医と既往歴を必ず共有してください。
ゼップバウンドの治療を始める前に確認しておくべき注意点
ゼップバウンドはすべての2型糖尿病患者さんに適した薬剤というわけではありません。投与対象や他剤との併用時の注意点を事前に把握し、主治医と十分に話し合ったうえで治療に臨みましょう。
ゼップバウンドの投与対象となる患者像
ゼップバウンドは、食事・運動療法で十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病の患者さんを対象として臨床試験が行われました。BMI 25以上の肥満を伴い、血糖値の改善とともに体重管理も求められる方にとって、大きな選択肢となりえます。
1型糖尿病や糖尿病性ケトアシドーシスの既往がある方には適応がありません。妊娠中・授乳中の方についても安全性が確認されていないため、投与は避ける必要があります。
他の糖尿病治療薬との併用で注意したいポイント
SURPASS-3試験やSURPASS-5試験では、メトホルミンやSGLT2阻害薬、基礎インスリンとの併用下でもチルゼパチドの有効性と安全性が示されました。ただし、SU薬やインスリンとの併用時には低血糖のリスクが高まる可能性があります。
SURPASS-4試験では、SU薬を使用していない患者群の低血糖発現率がチルゼパチド群で1〜3%であったのに対し、SU薬併用群ではやや高い数値が報告されています。併用薬の調整は自己判断で行わず、必ず主治医の指示に従ってください。
治療開始から効果を実感できるまでの目安期間
チルゼパチドは開始用量2.5mgから投与を始め、4週間ごとに段階的に増量します。15mgまで到達するには約20週間かかりますので、効果が十分に表れるまでには半年程度の時間が必要です。
ただし、低用量でも4週間目から空腹時血糖値の低下がみられるケースが報告されています。
SURPASS試験の事後解析では、4週目に空腹時血糖が20%以上低下した患者群はその後の改善がより顕著でした。焦らず継続することが、効果を引き出すカギです。
治療開始前に確認すべき項目
- 膵炎の既往歴や甲状腺疾患の家族歴の有無
- 現在服用中のすべての糖尿病治療薬のリスト
- 腎機能・肝機能を含む直近の血液検査データ
- 妊娠の計画や授乳の状況
ゼップバウンドと生活習慣の見直しで糖尿病治療の効果を引き上げる
薬物療法だけに頼るのではなく、食事療法や運動療法を並行して行うことで、ゼップバウンドの血糖改善・体重減少効果はさらに高まります。日々の生活に無理なく取り入れられる工夫が、長期的な治療成功のカギです。
主治医に相談するときに伝えるべき3つのこと
ゼップバウンドの処方を検討する際には、主治医に次の情報を正確に伝えることが大切です。1つ目は現在の体重と過去の体重変動の推移。2つ目はこれまでに試した糖尿病治療薬の種類と効果、副作用の経験。3つ目は日常の食事内容と運動習慣の実態です。
医師はこれらの情報をもとに、ゼップバウンドが自分に合う薬かどうか、開始用量をどう設定するか、他の薬剤との調整が必要かどうかを判断します。遠慮なく質問し、納得したうえで治療を始めましょう。
生活習慣改善との併用による効果の目安
| 取り組み | 単独効果の目安 | ゼップバウンド併用時 |
|---|---|---|
| 食事療法(カロリー制限) | 体重-3〜5% | 体重-12〜15%以上 |
| 有酸素運動(週150分以上) | HbA1c -0.5〜0.7% | HbA1c -2.0%以上 |
| 食事+運動+薬物療法 | — | 多面的リスク因子改善 |
ゼップバウンドが向いている人・向いていない人
ゼップバウンドがとくに力を発揮するのは、肥満を伴う2型糖尿病で従来の治療薬では血糖コントロールと体重管理の両立が難しかった方です。BMI 25以上で、食事・運動療法やメトホルミンだけでは目標に届かなかった方には有力な選択肢となるでしょう。
一方で、痩せ型の2型糖尿病の方や1型糖尿病の方にはデータが限られています。消化器症状が強く出やすい方や、膵炎の既往がある方も慎重な判断が必要です。自分に合った治療法は一人ひとり異なりますので、主治医との対話を通じて見極めていきましょう。
食事療法・運動療法との併用で体重減少効果は加速する
SURMOUNT試験シリーズでは、チルゼパチドの投与に加えて、参加者全員にカロリー制限と身体活動量の増加が指導されました。薬剤と生活習慣の改善を同時に行うことで、プラセボ群では得られない大幅な体重減少が実現しています。
とくに有酸素運動は、インスリン感受性を高めてゼップバウンドの血糖降下作用を後押しします。1日30分のウォーキングからでも十分です。
食事面では極端な糖質制限よりも、バランスのよい食事を継続するほうが治療効果を安定させやすいでしょう。
よくある質問
ゼップバウンド(チルゼパチド)はHbA1cをどのくらい下げる効果がありますか?
大規模臨床試験SURPASSプログラムにおいて、ゼップバウンド15mg投与群ではHbA1cが最大約2.58%低下したと報告されています。
5mg群でも約2.01%の低下が確認されており、低用量からしっかりとした血糖改善が期待できます。
ただし、効果の出方には個人差があり、糖尿病の罹病期間や併用薬、生活習慣によっても結果は変わります。どの用量が自分に合っているかは、主治医と相談しながら決めていくことが大切です。
ゼップバウンドは2型糖尿病の患者でも体重を減らせますか?
はい、SURMOUNT-2試験では2型糖尿病を持つ肥満患者を対象に72週間の投与が行われ、ゼップバウンド15mg群で平均14.7%の体重減少が確認されました。プラセボ群の3.2%と比較して明らかに大きな効果です。
2型糖尿病がある方は薬物療法で体重が落ちにくいとされてきましたが、ゼップバウンドはGIPとGLP-1のダブル作用で食欲を抑制し、代謝を改善するため、糖尿病合併例でも顕著な体重減少が見込めるでしょう。
ゼップバウンドの副作用で多いのはどのような症状ですか?
臨床試験でもっとも多く報告された副作用は、悪心(吐き気)、下痢、嘔吐といった消化器症状です。SURPASS-2試験では悪心の発現率が17〜22%、下痢が13〜16%、嘔吐が6〜10%でした。
これらの症状の多くは軽度から中等度で、治療開始後の数週間や用量増加の直後に出やすい傾向があります。時間の経過とともに軽減するケースがほとんどですが、症状がつらい場合は主治医に相談して用量調整を検討するとよいでしょう。
ゼップバウンドはセマグルチドと比べてどちらが血糖改善に優れていますか?
SURPASS-2試験でゼップバウンド(チルゼパチド)とセマグルチド1mgが直接比較されました。40週間後、チルゼパチド15mg群のHbA1c低下幅は-2.30%で、セマグルチド群の-1.86%を統計的に有意に上回る結果となっています。
体重減少量でもチルゼパチド15mg群は-12.4kgで、セマグルチド群-6.9kgの約1.8倍に達しました。
ただし、薬剤選択にはコスト・投与方法・患者さんの状態など多くの要素が関わります。数値だけで優劣を判断せず、主治医の総合的な判断を仰いでください。
ゼップバウンドは低血糖を起こしやすい薬ですか?
ゼップバウンドの血糖降下作用はグルコース依存性であり、血糖値が低いときには作用が弱まる特性を持っています。
SURPASS-2試験では重度低血糖(血糖54mg/dL未満)の発現率が0.2〜1.7%と低い水準でした。
ただし、SU薬やインスリンとの併用時には低血糖リスクがやや高まる場合があります。SURPASS-4試験でSU薬非使用群の低血糖率は1〜3%でした。
一方、インスリングラルギン群では19%と高い数値です。ゼップバウンドは比較的低血糖を起こしにくい薬剤ですが、併用薬によってリスクは変わるため主治医と確認しておきましょう。
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