
「ゼップバウンドとウゴービ、どちらを選べばより体重が落ちるの?」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。どちらもGLP-1受容体作動薬と呼ばれる注射薬で、肥満治療の選択肢として注目を集めています。
結論からお伝えすると、直接比較した臨床試験(SURMOUNT-5試験)の結果では、ゼップバウンド(チルゼパチド)のほうがウゴービ(セマグルチド)よりも大きな減量効果を示しました。72週時点で体重減少率に約6.5%の差がついています。
ただし、薬の効き方には個人差があり、副作用の出方や体質によって向き不向きがあります。この記事では、臨床試験データと実臨床データの両面から、両薬の効果を丁寧に比較していきます。
ゼップバウンドとウゴービは作用の仕組みがまったく異なる
ゼップバウンドとウゴービは、どちらも週1回の皮下注射で使用する肥満治療薬ですが、体の中で働きかける受容体の数が違います。この違いが、減量データの差に直結しているといえるでしょう。
ウゴービはGLP-1受容体だけに作用する単独型
ウゴービの有効成分であるセマグルチドは、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)という腸から分泌されるホルモンの働きを模倣する薬です。GLP-1受容体に結合することで、食欲を抑え、胃の動きをゆるやかにし、満腹感を持続させます。
もともと2型糖尿病の治療薬として開発された経緯があり、血糖値を安定させる作用も備えています。肥満治療に使われる際の投与量は週1回2.4mgで、STEP臨床試験シリーズを通じてその有効性が確認されました。
ゼップバウンドはGIPとGLP-1の2つの受容体に同時に作用する
ゼップバウンドの有効成分であるチルゼパチドは、GLP-1受容体に加えてGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)受容体にも作用します。2つの受容体を同時に刺激する「デュアルアゴニスト」と呼ばれる仕組みです。
GIPは脂肪組織の代謝にも関わるホルモンで、GLP-1との相乗効果によってより強い食欲抑制とエネルギー消費の促進が期待できます。この二重の作用が、ウゴービとの減量効果の差を生む要因と考えられています。
ゼップバウンドとウゴービの基本比較
| 項目 | ゼップバウンド | ウゴービ |
|---|---|---|
| 一般名 | チルゼパチド | セマグルチド |
| 作用する受容体 | GIP + GLP-1 | GLP-1のみ |
| 投与方法 | 週1回 皮下注射 | 週1回 皮下注射 |
| 維持用量 | 10mgまたは15mg | 2.4mg |
| 開発元 | イーライリリー | ノボノルディスク |
「受容体が2つ」だから効果が高いとは限らない場面もある
作用する受容体が多いほど効果が大きいと考えがちですが、副作用の出方や個人の代謝状態によっては、単独型のウゴービのほうが体に合う方もいます。薬を選ぶ際には、減量データだけでなく自分の体質や既往歴も考慮することが大切です。
ゼップバウンドの臨床試験データが示す驚きの減量効果
ゼップバウンドの減量効果は、SUMROUNTシリーズと呼ばれる大規模臨床試験で繰り返し確認されています。特にSURMOUNT-1試験では、プラセボ(偽薬)と比べて圧倒的な体重減少が報告されました。
SURMOUNT-1試験で15mg群は平均22.5%の体重減少を達成
SURMOUNT-1試験は、糖尿病のない肥満の成人2539人を対象とした72週間のプラセボ対照試験です。チルゼパチド5mg、10mg、15mgの3用量群とプラセボ群が比較されました。
結果として、15mg群では72週時点で平均22.5%の体重減少が認められ、プラセボ群の約2.4%と大きな差がつきました。10mg群でも約19.5%、5mg群でも約15%の減少を達成しています。
体重の20%以上減少した参加者が半数を超えた
特筆すべきは、15mg群で57%、10mg群で50%の参加者が体重の20%以上の減少を達成した点です。プラセボ群で同等の減量を達成したのはわずか3%でした。
従来の肥満治療薬では、体重の10%以上の減少を達成すること自体が困難とされてきました。20%以上の減量は、外科手術に匹敵するレベルといえます。
2型糖尿病がある方を対象にしたSURMOUNT-2試験でも有効
SURMOUNT-2試験では、BMI 27以上で2型糖尿病を持つ938人が対象となりました。72週時点で、15mg群では約14.7%、10mg群では約12.8%の体重減少が報告されています。
糖尿病のある方は一般的に減量が難しいとされますが、それでもこれだけの効果が示されたことは臨床的に大きな意味があります。血糖コントロールの改善も同時に得られた点も見逃せません。
SURMOUNT試験シリーズにおけるゼップバウンドの減量データ
| 試験名 | 対象 | 15mg群の体重減少率 |
|---|---|---|
| SURMOUNT-1 | 糖尿病なし肥満 | 約22.5% |
| SURMOUNT-2 | 2型糖尿病あり | 約14.7% |
| SURMOUNT-5 | 糖尿病なし(対ウゴービ) | 約20.2% |
ウゴービの減量効果はSTEP試験シリーズで確認されている
ウゴービの有効性は、STEPシリーズと呼ばれる一連の大規模臨床試験によって裏付けられています。セマグルチド2.4mgの減量効果は、従来の肥満治療薬を大きく上回る水準でした。
STEP 1試験で68週間に平均14.9%の体重減少
STEP 1試験は、糖尿病のない肥満またはBMI 27以上の成人1961人を対象とした68週間の試験です。セマグルチド2.4mg群ではベースラインから平均14.9%の体重減少が確認され、プラセボ群の2.4%と明確な差を示しました。
体重にして約15.3kgの減少に相当し、86.4%の参加者が5%以上の減量を達成しています。半数以上が15%以上の減量に成功しており、これは以前の肥満治療薬と比べて画期的な成績です。
STEP 5試験で2年間の長期効果も実証されている
STEP 5試験は104週間(約2年間)という長期にわたる試験で、セマグルチド2.4mg群では15.2%の体重減少が維持されました。肥満治療薬は中断すると体重が戻りやすいという課題がありますが、継続投与により長期的な効果が保たれることが示されています。
ウゴービ(セマグルチド2.4mg)のSTEP試験データ
| 試験名 | 期間 | 体重減少率 |
|---|---|---|
| STEP 1 | 68週 | 約14.9% |
| STEP 2(糖尿病あり) | 68週 | 約9.6% |
| STEP 5 | 104週 | 約15.2% |
心血管リスクの低減も確認されたSELECT試験の意義
ウゴービは減量効果だけでなく、心血管リスクの低減にも寄与することがSELECT試験で示されました。約17600人を対象としたこの試験では、心血管死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合エンドポイントが20%低下しています。
肥満と心血管疾患は密接に関連しているため、体重を減らしながら心血管イベントのリスクも下げられるという二重のメリットは非常に大きいといえるでしょう。
SURMOUNT-5試験でゼップバウンドとウゴービを直接比較した結果
2025年に発表されたSURMOUNT-5試験は、ゼップバウンドとウゴービを直接比較した初めての大規模臨床試験です。結果はゼップバウンドの優位性を明確に示しました。
72週時点でゼップバウンドが約6.5ポイント上回った
SURMOUNT-5試験には、糖尿病のない肥満の成人751人が参加しました。参加者は、チルゼパチド(10mgまたは15mg)とセマグルチド(1.7mgまたは2.4mg)のそれぞれ耐容可能な最大用量に1:1で無作為に割り付けられています。
72週時点の体重減少率は、ゼップバウンド群で-20.2%、ウゴービ群で-13.7%でした。その差は6.5ポイントに達し、統計的にも有意な差と確認されています。
腹囲の減少でもゼップバウンドが大きくリードした
腹囲の変化量も重要な指標として評価されました。ゼップバウンド群では平均-18.4cm、ウゴービ群では平均-13.0cmの減少が認められ、5.4cmの差が生じています。
腹囲の減少は内臓脂肪の減少を反映する指標であり、メタボリックシンドロームの改善と直結します。見た目だけでなく、健康面でも大きな違いが生まれている点に注目すべきでしょう。
10%以上の減量達成率にも顕著な差がついている
体重の10%以上、15%以上、20%以上、25%以上といった各減量達成率においても、ゼップバウンド群がウゴービ群を一貫して上回りました。より大きな減量目標を設定している方にとっては、この差は見過ごせないポイントです。
- SURMOUNT-5試験の主要評価項目は72週時点の体重減少率
- ゼップバウンド群の体重減少率 -20.2%、ウゴービ群 -13.7%
- 腹囲減少はゼップバウンド群 -18.4cm、ウゴービ群 -13.0cm
- すべての減量達成閾値でゼップバウンドが優位
実際の診療現場でもゼップバウンドの減量データは優れているのか
臨床試験は厳格な条件下で行われるため、実際の診療現場(リアルワールド)でも同じ結果が出るとは限りません。しかし複数のリアルワールド研究でも、ゼップバウンドの優位性は一貫して確認されています。
米国の大規模データベース研究でも有意差あり
2024年にJAMA Internal Medicine誌に発表されたRodriguezらの研究では、約41000人の電子カルテデータを分析しています。傾向スコアマッチングの結果、12か月時点でゼップバウンド群はウゴービ群より約6.9ポイント大きい体重減少を示しました。
15%以上の体重減少を達成するハザード比は3.24(95%信頼区間 2.91〜3.61)と、臨床試験の結果と方向性が一致しています。
1年間の実臨床データを比較したSHAPE研究の結果
糖尿病のない肥満患者を対象にしたSHAPE研究では、1年間の治療継続後の体重変化を比較しました。セマグルチド2.4mg群では平均14.1%(約14.6kg)、チルゼパチド群では平均16.5%(約17.2kg)の減少が認められています。
リアルワールド研究におけるゼップバウンドとウゴービの減量比較
| 研究 | ゼップバウンド | ウゴービ |
|---|---|---|
| Rodriguez (JAMA 2024) | 12か月 約-16% | 12か月 約-9% |
| SHAPE研究 (2025) | 1年 約-16.5% | 1年 約-14.1% |
リアルワールドデータの限界も理解しておきたい
リアルワールド研究はランダム化されていないため、処方バイアスや患者背景の違いが結果に影響する可能性があります。両薬の投与量や治療期間も患者ごとに異なるため、臨床試験ほど厳密な比較はできません。
それでも、複数の研究が一貫してゼップバウンドの優位性を示しているという事実は、臨床的に大きな意味を持つといえるでしょう。
ゼップバウンドとウゴービの副作用データも確認しておこう
どちらの薬も主な副作用は消化器症状で、軽度から中等度のものが大半です。副作用の種類は似ていますが、頻度や程度にわずかな違いがあるため、薬の選択時に考慮する価値があります。
両薬とも吐き気・下痢・便秘が上位に並ぶ
SURMOUNT-5試験では、ゼップバウンド群・ウゴービ群ともに、吐き気・下痢・嘔吐・便秘が高頻度で報告されました。これらの症状は用量を段階的に増やす「漸増期間」に多く見られ、体が慣れるとともに軽減する傾向があります。
重篤な副作用の発生率は両群ともに低く、安全性に大きな差は見られませんでした。治療を中断するほどの副作用が出た割合も両群で同程度です。
消化器症状以外の副作用にも注意が必要
まれに胆嚢関連の症状や膵炎が報告されることがあります。また、急激な体重減少に伴って筋肉量が減少する懸念も指摘されています。SURMOUNT-1試験の体組成サブスタディでは、減少した体重の約75%が脂肪、25%が除脂肪組織(筋肉を含む)であったと報告されました。
筋肉量の維持には、適度なたんぱく質の摂取と筋力トレーニングの併用が勧められています。
長期投与に関する安全性データはまだ十分とはいえない
ゼップバウンドもウゴービも比較的新しい薬であり、5年以上にわたる長期安全性データはまだ蓄積途上です。一方、ウゴービに関しては、SELECT試験で約40か月の追跡調査が行われ、心血管イベントリスクの低減が確認されています。
今後、ゼップバウンドについても心血管アウトカム試験(SURMOUNT-MMO試験)が進行中であり、長期的な安全性と有効性に関するエビデンスが蓄積されていく見込みです。
- 両薬とも消化器症状が多いが、大半は軽度〜中等度
- 漸増期間に副作用が集中し、その後は軽減しやすい
- 重篤な副作用の頻度は両薬ともに低い
- 筋肉量減少への対策としてたんぱく質摂取と運動を推奨
自分に合った肥満治療薬を選ぶために押さえたい判断基準
減量データだけで薬を選ぶのは得策ではありません。体質や生活背景、治療目標を総合的に考えたうえで、担当医と相談しながら決めることが大切です。
減量幅を最優先するならゼップバウンドに軍配が上がる
臨床試験でもリアルワールドでも、減量幅の大きさではゼップバウンドが一貫して優位です。BMIが非常に高い方や、大幅な体重減少が医学的に必要な方には、ゼップバウンドが有力な選択肢となるでしょう。
治療目標別に見たゼップバウンドとウゴービの選び方の目安
| 治療目標 | 考慮すべき薬 | 根拠 |
|---|---|---|
| 大幅な減量(20%超) | ゼップバウンド | 臨床試験で20%超達成率が高い |
| 心血管リスク低減 | ウゴービ | SELECT試験でMACE 20%低減 |
| 糖尿病を合併 | 両薬とも有効 | 各試験で血糖改善を確認 |
心血管リスクのある方はウゴービのエビデンスも見逃せない
心筋梗塞や脳卒中の既往がある方、あるいはそのリスクが高い方にとっては、SELECT試験で心血管イベント低減が確認されているウゴービに強みがあります。ゼップバウンドの心血管アウトカム試験はまだ進行中であるため、現時点ではウゴービのほうがエビデンスが豊富です。
治療を続けられるかどうかも薬選びの重要な要素
肥満治療薬は長期間にわたって使用する必要があり、中断すれば体重は戻りやすくなります。費用面、注射の頻度(どちらも週1回)、副作用の出方など、生活全体を見渡して「続けられる薬」を選ぶ視点が重要です。
どちらの薬を選んでも、食事療法や運動療法を併用することで減量効果がさらに高まります。薬だけに頼るのではなく、生活習慣の見直しと組み合わせることが成功への近道です。
よくある質問
ゼップバウンドとウゴービの減量効果にはどのくらいの差がありますか?
直接比較したSURMOUNT-5試験の結果では、72週時点の体重減少率はゼップバウンド群が-20.2%、ウゴービ群が-13.7%でした。約6.5ポイントの差が認められています。
ただし、これはあくまで平均値であり、実際の効果には個人差があります。持病や体質によって結果は変わるため、減量データだけで判断せず、医師と相談のうえで治療薬をお選びください。
ゼップバウンドとウゴービの副作用に大きな違いはありますか?
主な副作用はどちらも消化器症状(吐き気・下痢・便秘など)で、種類に大きな違いはありません。SURMOUNT-5試験でも、消化器系副作用の発生頻度は両群で同程度と報告されています。
多くの場合、用量を徐々に増やす漸増期間に症状が集中し、体が慣れるにつれて軽減していきます。いずれの薬でも、副作用がつらいと感じたら無理せず担当医にご相談ください。
ゼップバウンドの有効成分チルゼパチドがウゴービより減量効果が高い理由は何ですか?
ゼップバウンドの有効成分チルゼパチドは、GLP-1受容体だけでなくGIP受容体にも作用する「デュアルアゴニスト」です。ウゴービのセマグルチドはGLP-1受容体のみに作用するため、作用する受容体の数に違いがあります。
GIPとGLP-1の2つのホルモン経路を同時に刺激することで、食欲抑制やエネルギー代謝への影響がより強くなると考えられています。この作用の違いが、臨床試験における減量データの差に反映されていると推察されます。
ウゴービには心血管リスクを下げるエビデンスがあると聞きましたが本当ですか?
はい、SELECT試験と呼ばれる大規模臨床試験で確認されています。約17600人を対象に約40か月間追跡した結果、ウゴービ(セマグルチド2.4mg)群では心血管死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合リスクが20%低減しました。
肥満治療薬で心血管イベントの抑制効果が大規模試験で証明されたのは、ウゴービが初めてです。心臓や血管の病気をお持ちの方にとっては特に重要なデータといえるでしょう。
ゼップバウンドやウゴービを中止すると体重は元に戻りますか?
残念ながら、いずれの薬も投与を中止すると体重がリバウンドする傾向が報告されています。SURMOUNT-4試験では、36週間のチルゼパチド投与後にプラセボに切り替えた群で体重の再増加が認められました。
肥満は慢性疾患であり、治療の継続が体重管理に欠かせません。薬の使用と並行して、食事や運動などの生活習慣の改善を根づかせることが、長期的なリバウンド防止につながります。
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