ゼップバウンドの薬価はいくら?用量ごとの価格とステップアップ時の負担

ゼップバウンドの薬価はいくら?用量ごとの価格とステップアップ時の負担

ゼップバウンド(チルゼパチド)は2025年3月に薬価収載された肥満症治療薬で、用量は2.5mgから15mgまでの6段階に分かれています。薬価は1キットあたり3,067円〜11,242円で、3割負担の場合は約920円〜約3,370円が目安です。

週1回の皮下注射で4週間ごとに用量を引き上げていくため、治療が進むにつれて薬代も段階的に上がっていきます。この記事では、用量ごとの薬価やステップアップ時の費用変化、自己負担を抑えるために知っておきたい情報をまとめました。

「費用がどれくらいかかるのか不安」という方に向けて、できるだけ具体的な数字とともに解説していきます。

目次 Outline

ゼップバウンドの薬価は2.5mgで3,067円から|6段階の用量別に解説

ゼップバウンドの薬価は、用量が上がるほど高くなります。もっとも低い2.5mgは1キットあたり3,067円、維持量となる10mgは8,999円です。治療開始時は低用量からスタートするため、初月の薬代は比較的抑えられるでしょう。

2025年3月19日に正式な薬価が決まった

ゼップバウンドは2024年12月に肥満症治療薬として製造販売承認を取得し、2025年3月12日の中央社会保険医療協議会(中医協)で薬価が了承されました。そして3月19日に薬価基準へ収載され、4月11日から全国の医療機関で処方が可能になっています。

有効成分であるチルゼパチドは、すでに2型糖尿病治療薬「マンジャロ」として広く使われている成分と同じです。ただし、ゼップバウンドは「肥満症」を適応症として承認されており、目的も処方条件もマンジャロとは異なります。

2.5mgから15mgまで全6規格|具体的な価格を確認しておこう

ゼップバウンドの各用量の薬価を把握しておくと、治療を始める前の心構えができます。以下に用量別の薬価をまとめました。

ゼップバウンドの用量別薬価一覧

用量薬価(1キット)3割負担の目安
2.5mg3,067円約920円
5mg5,797円約1,740円
7.5mg7,721円約2,320円
10mg8,999円約2,700円
12.5mg10,180円約3,050円
15mg11,242円約3,370円

マンジャロとゼップバウンドの薬価を比べるとどちらが高い?

同じチルゼパチドを有効成分とするマンジャロとゼップバウンドですが、同じ用量でもゼップバウンドの方が薬価は高めに設定されています。たとえば10mgで比較すると、マンジャロは7,696円であるのに対し、ゼップバウンドは8,999円です。

この差は適応症の違いに起因しています。マンジャロは2型糖尿病を適応とした薬であり、肥満症の治療に使うことは適応外使用にあたります。一方、ゼップバウンドは正式に肥満症の治療薬として承認されているため、肥満症の条件を満たせば安全な適正使用の範囲で治療を受けられます。

ゼップバウンドの用量ステップアップで薬代はどう変わっていく?

ゼップバウンドは2.5mgから始めて4週間ごとに2.5mgずつ増量し、約3か月で維持量の10mgに到達します。治療期間が進むにつれて薬代も上がるため、増量スケジュールに沿った費用の変化を事前に確認しておくと安心です。

2.5mgから10mgまでの標準的な増量スケジュールと費用

治療の最初の4週間は2.5mgを週1回注射します。この期間は体を薬に慣らすための導入期間で、大きな体重変化は期待しすぎないでください。5週目からは5mgに引き上げ、9週目からは7.5mg、13週目からは維持量の10mgへと段階的に増やしていきます。

3割負担で考えると、1か月目は約920円、2か月目は約1,740円、3か月目は約2,320円、そして4か月目以降の維持期は約2,700円となります。この金額は薬代のみで、診察料や検査代は含まれていません。

12.5mgや15mgへの追加増量が検討されるケースもある

維持量の10mgで十分な体重減少効果が得られない場合、主治医の判断で12.5mg、さらに15mgへ増量できる場合があります。15mgに達すると1キットの薬価は11,242円となり、3割負担で月あたり約3,370円です。

ただし、すべての方が15mgまで増量するわけではありません。10mgの時点で効果を実感できるケースも多く、増量は副作用の出方や体重の推移を見ながら慎重に判断されます。

ゼップバウンドの月額費用をシミュレーションしてみた

72週間(約1年半)の治療を想定して、月ごとの薬代を概算すると、治療全体で3割負担の合計は約4万円〜5万円程度になるケースが多いでしょう。これは維持量を10mgとした場合の目安です。15mgまで増量した場合は総額がさらに上がります。

増量スケジュール別の月額費用(3割負担の目安)

治療期間用量月額の目安
1か月目2.5mg約920円
2か月目5mg約1,740円
3か月目7.5mg約2,320円
4か月目以降10mg約2,700円

ゼップバウンドの自己負担額を計算してみよう|3割負担のリアルな金額

ゼップバウンドの薬代は3割負担の方であれば、維持量の10mgで月あたり約2,700円です。この金額感を把握しておくと、治療を前向きに検討しやすくなります。

3割負担の計算は「薬価×0.3」で簡単にわかる

自己負担額の計算はとてもシンプルです。たとえば10mgの薬価は8,999円ですから、8,999×0.3=約2,700円が窓口でのお支払い額になります。実際にはこの金額に加えて再診料や処方箋料がかかりますが、薬代だけで見れば決して手が届かない金額ではありません。

ゼップバウンドは週に1回の注射を自分で行うため、毎週通院する必要はないのもうれしいポイントです。定期的な受診は月1回程度が一般的なので、通院にかかる交通費や時間も抑えやすいでしょう。

維持量10mgなら月あたり約2,700円が目安になる

多くの方が目標とする維持量は10mgです。臨床試験でも10mg投与群は平均18〜19%の体重減少を達成しており、効果と副作用のバランスが取りやすい用量とされています。

ゼップバウンドの用量別自己負担と月額比較

用量薬価3割負担額
5mg(減量維持)5,797円約1,740円
10mg(標準維持)8,999円約2,700円
15mg(増量時)11,242円約3,370円

高額療養費制度も視野に入れておくと安心

ゼップバウンドの薬代だけであれば高額療養費制度の上限に達することは少ないかもしれません。しかし、肥満症に伴う他の疾患(高血圧や脂質異常症など)の治療費を合算すると、月の医療費が一定額を超えるケースも考えられます。

制度の適用条件は所得区分によって異なりますので、心配な方は加入している健康保険の窓口に確認しておくとよいでしょう。事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることも可能です。

ゼップバウンドは週1回の注射で最長72週間まで続けられる

ゼップバウンドの投与方法は週1回の皮下注射で、使い切りのペン型注射器(アテオス)を使って自宅で自己注射できます。治療期間は最長72週間(約1年半)と定められています。

治療のスタートは2.5mgの少量からはじめる

いきなり高い用量を使うのではなく、最初は2.5mgという少量から治療を開始します。これは体を薬に慣らすための大切な期間で、胃腸への負担を軽くする目的があります。

注射は太もも、お腹、上腕のいずれかに皮下注射し、毎回部位をローテーションするよう指導されます。初回は医師や看護師から打ち方の指導を受けますが、慣れれば短時間で終わる簡単な操作です。

4週間ごとに2.5mgずつ引き上げて10mgを目指す

開始から4週間が経過したら、用量を5mgに引き上げます。その後も4週間おきに7.5mg、10mgと段階的に増やしていき、約3か月で多くの方が維持量の10mgに到達します。

10mgで十分な効果が認められれば、その用量を維持して治療を続けます。さらに減量を望む場合は、主治医の判断で12.5mg、15mgへの増量が検討されることもあります。週1回・同じ曜日に注射する習慣をつけておくと、投与忘れを防ぎやすくなるでしょう。

副作用がつらいときは増量を一時停止できるから安心

ゼップバウンドでもっとも多い副作用は吐き気や下痢、便秘といった消化器症状です。とくに用量を引き上げた直後に症状が出やすい傾向がありますが、多くの場合は一過性で、体が薬に慣れるにつれて軽くなっていきます。

もし副作用がつらいと感じたら、増量のタイミングを延期したり、用量を一段階戻したりすることが可能です。無理に用量を上げる必要はなく、5mgの維持で治療を続けるという選択肢も認められています。担当医と相談しながら、自分のペースで治療を進められるのがゼップバウンドの利点といえます。

  • 吐き気が強い場合は食事を少量ずつ分けて摂る
  • 脂っこい食事を控えると胃腸への負担を減らせる
  • 水分をこまめに補給して脱水を予防する
  • 症状が長引く場合は早めに主治医へ相談する

ゼップバウンドとウゴービの薬価・効果を比べてみた

ゼップバウンドとウゴービはどちらも肥満症に使える注射薬ですが、有効成分や作用の仕組みが異なります。薬価を比較すると、用量設定が違うため単純な比較は難しいものの、それぞれの特徴を知っておくと治療の選択肢が広がるでしょう。

有効成分が異なる2つの肥満症治療薬

ウゴービの有効成分はセマグルチドで、GLP-1受容体のみに作用する「GLP-1受容体作動薬」に分類されます。一方、ゼップバウンドの有効成分チルゼパチドはGLP-1に加えてGIP受容体にも作用するため「GIP/GLP-1受容体作動薬」と呼ばれています。

GIPとGLP-1の2つの受容体に同時に作用することで、食欲の抑制だけでなく脂肪組織のエネルギー代謝にも影響を与え、より大きな体重減少効果が期待できるとされています。

ゼップバウンドの方が体重減少率で上回った臨床試験データ

海外の大規模臨床試験(SURMOUNT-1試験)では、ゼップバウンド15mg投与群の72週時点での平均体重減少率は約20.9%に達しました。一方、ウゴービの同様の臨床試験(STEP 1試験)では、セマグルチド2.4mg投与群の体重減少率は約14.9%でした。

ゼップバウンドとウゴービの比較

項目ゼップバウンドウゴービ
有効成分チルゼパチドセマグルチド
作用する受容体GIP + GLP-1GLP-1のみ
投与頻度週1回週1回
投与期間上限72週間68週間

どちらを選ぶかは主治医と相談して決める

数値だけを見るとゼップバウンドの減量効果が際立ちますが、臨床試験の条件が異なるため、単純に「こちらが優れている」とは言い切れません。副作用の出方や患者さんの体質、合併症の状況によって、ウゴービの方が適している場合もあります。

日本人を対象にしたSURMOUNT-J試験でも、ゼップバウンドは日本人の肥満症患者さんに対して有意な体重減少効果を示しています。どちらの薬を使うかは、血液検査の結果や既往症を踏まえて主治医と一緒に決めるのがいちばん確実な方法です。

ゼップバウンドの薬代を少しでも抑えたい方へ|知っておくべきポイント

ゼップバウンドの薬代をできるだけ抑えるには、処方条件を正しく理解し、適切な医療機関で治療を受けることが大切です。自由診療を選ぶと費用が大幅に上がるため、条件を満たしているかどうかの確認が欠かせません。

処方を受けるために必要な条件を確認しておこう

ゼップバウンドが処方されるためには、食事療法・運動療法を6か月以上続けても十分な効果が得られていないことが前提です。加えて、BMIが35以上であるか、BMIが27以上で高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有し、かつ肥満に関連する健康障害を2つ以上持っている必要があります。

これらの条件を満たしていなければ、ゼップバウンドの処方を受けることはできません。「やせたい」という希望だけでは処方の対象にならない点を理解しておきましょう。

自由診療を選んだ場合の費用はどのくらいになる?

条件を満たさない場合に自由診療で処方する医療機関も一部にはありますが、費用は全額自己負担となります。薬代だけでも10mgで月あたり約9,000円、それに加えて診察料・指導料などが上乗せされるため、月あたり1万円〜2万円以上になるケースも珍しくありません。

また、自由診療で使用した場合は医薬品副作用被害救済制度の対象外となる点にも注意が必要です。万が一重篤な副作用が発生した際に公的な補償を受けられないリスクがあります。

かかりつけ医への相談が費用面でも大切な理由

ゼップバウンドの処方を行っている医療機関はまだ限られています。しかし、かかりつけ医にまず相談しておけば、適切な専門医への紹介状を書いてもらえることがあります。紹介状があると初診料の加算が免除される場合もあり、結果として費用を抑えることにつながります。

費用を抑えるために押さえておきたいポイント

ポイント具体的な内容
処方条件の確認BMI・合併症の基準を満たしているか主治医に確認
紹介状の活用かかりつけ医から紹介状をもらうと初診料を抑えられる
ジェネリックの有無現時点ではゼップバウンドの後発品は存在しない

ゼップバウンドの治療を始める前に確認したいチェックポイント

ゼップバウンドを安全に使うためには、治療開始前にいくつかの確認事項があります。BMIや合併症の基準はもちろん、妊娠の可能性や日常の食事・運動習慣についても主治医と共有しておくことが大切です。

BMIや合併症の基準をクリアしているか

ゼップバウンドが使えるかどうかは、BMIの数値と合併症の有無で判断されます。BMI35以上の方、またはBMI27以上で複数の肥満関連疾患がある方が対象です。

自分のBMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で計算できます。たとえば身長160cm・体重80kgの方であれば、80÷1.6÷1.6=31.25となり、BMI27以上の条件は満たしていることがわかります。

  • BMI35以上で高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかがある方
  • BMI27以上で肥満に関連する健康障害が2つ以上ある方
  • 食事療法・運動療法を十分に実施しても効果が得られなかった方

妊娠中・授乳中の方は使えないことに注意

ゼップバウンドは妊婦または妊娠している可能性のある方には投与できません。動物実験で胎児への影響が確認されているためです。妊娠を希望する方は、治療中および最終投与後1か月間は適切な避妊が求められます。

授乳中の方についても、母乳への移行が報告されているため、授乳を継続するか中止するかは主治医と話し合って決める必要があります。治療を開始する前に、妊娠の計画や授乳の状況を必ず申告してください。

食事療法・運動療法と組み合わせることが前提

ゼップバウンドは「注射するだけで痩せる薬」ではありません。あくまでも食事療法と運動療法を基盤とした治療の一環として処方されるものです。臨床試験でも、低カロリーの食事指導と週150分以上の運動を併用した条件で効果が検証されています。

薬の力で食欲が自然に抑えられるようになると、食事量のコントロールがしやすくなったという声は多く聞かれます。しかし、薬に頼りきりではなく、バランスのよい食事と適度な運動を継続することが、長期的な体重管理には欠かせません。治療をきっかけに生活習慣そのものを見直すことが、リバウンドを防ぐ鍵になります。

よくある質問

ゼップバウンドの薬価は今後変わる可能性がありますか?

日本では薬価改定が原則2年に1度行われており、その際にゼップバウンドの薬価が見直される可能性はあります。市場の実勢価格や使用実績によって引き下げられるケースが一般的ですが、時期や金額は改定時まで確定しません。

現在の薬価は2025年3月19日収載時点のものです。今後の改定情報は厚生労働省の発表を確認するか、かかりつけの医療機関にお問い合わせください。

ゼップバウンドは何か月くらい続けると効果を実感できますか?

個人差はありますが、多くの方が治療開始から2〜3か月で食欲の変化や体重減少を感じ始めています。臨床試験のデータでは、開始3か月で5〜10%の体重減少を達成した方が多く報告されています。

ただし、2.5mgの導入期間中は大きな変化が出にくいため、焦らずに用量が上がるのを待つことも大切です。維持量の10mgに到達してからが、本格的に効果を実感しやすい期間といえるでしょう。

ゼップバウンドの治療をやめたあとにリバウンドしますか?

ゼップバウンドを中止すると食欲抑制効果が徐々に消えるため、何も対策をしなければ体重が戻る可能性はあります。臨床試験(SURMOUNT-4試験)でも、投与を中止したグループでは体重の再増加が確認されました。

リバウンドを防ぐためには、治療中に身につけた食習慣や運動習慣を投与終了後も継続することが重要です。主治医と一緒に治療終了後のフォローアップ計画を立てておくことをおすすめします。

ゼップバウンドの注射は痛いですか?

ゼップバウンドの注射はペン型の使い切り注射器(アテオス)で行います。針は非常に細いため、ほとんどの方が「チクッとする程度」と感じているようです。注射に慣れるまで不安を覚える方もいらっしゃいますが、実際に試してみると想像していたよりも痛みが少なかったという声が多いです。

初回は医師や看護師が手技を丁寧に指導してくれますので、注射が苦手な方も安心して治療を始められるでしょう。

ゼップバウンドとマンジャロの有効成分は同じなのに薬価が違うのはなぜですか?

ゼップバウンドとマンジャロはどちらもチルゼパチドを有効成分としていますが、承認された適応症が異なります。マンジャロは2型糖尿病、ゼップバウンドは肥満症を適応として開発・承認されており、それぞれ別の薬剤として薬価が設定されています。

薬価の算定には、対象疾患の治療に対する臨床的な位置づけや市場規模の予測などが反映されるため、同じ成分でも薬価が異なることは珍しくありません。

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この記事を書いた人 Wrote this article

大木 沙織 大木皮ふ科クリニック 副院長

皮膚科医/内科専門医/公認心理師 略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。 所属:日本内科学会