治ったと安堵したのも束の間、ふと鏡を見るとまた同じ場所に赤い膨らみが鎮座している。このような経験に落胆する人は少なくありません。実は、特定の場所で繰り返すニキビは偶然の産物ではなく、明確な理由があります。

その毛穴内部で起きている構造的な変化と、日々の無意識な行動パターンが複雑に絡み合って引き起こします。一時的な対症療法で表面的な炎症を抑えても、根本にある「繰り返すための土壌」を改良しなければ、何度でも再発のリスクにさらされます。

この記事では、なぜ同じ場所ばかりが狙われるのかという疑問に対し、皮膚科学的な視点と生活習慣の両面から原因を解明し、負の連鎖を断ち切るための具体的な解決策を提示します。

なぜ同じ場所にニキビが繰り返されるのか

同じ場所にニキビが多発するのは、その毛穴自体が過去の炎症記憶を保持し、微弱な炎症が消えずに残っているため、わずかな刺激でも過剰反応する脆弱な構造へと変化しているからです。

毛穴の構造と皮脂腺の関係

皮膚の表面に見える毛穴は単なる穴ではなく、奥深くに皮脂腺を抱えた複雑な器官です。一度大きな炎症を起こした毛穴は、内部の組織がダメージを受けて変形している場合があります。これを「漏斗部(ろうとぶ)の構造変化」と呼びます。

正常な毛穴は出口に向かってなめらかな形状をしていますが、炎症を繰り返した毛穴はいびつに変形したり、出口が狭くなったりしています。その結果、分泌した皮脂がスムーズに排出できず、内部に滞留しやすい構造的な欠陥を抱えてしまいます。

この物理的な詰まりやすさが、同じ場所での再発を招く第一の要因です。変形した毛穴は、いわば「交通渋滞が起きやすい道路」のようなものであり、通常の皮脂量であってもスムーズな流れが阻害され、容易に閉塞状態を引き起こしてしまいます。

ターンオーバーの乱れによる角質肥厚

肌は一定の周期で生まれ変わりますが、度重なる炎症を起こした部位は、防御反応として角層を厚くしようとします。これを角質肥厚と呼びます。厚くなった角質は柔軟性を失い、毛穴の出口を塞ぐ蓋のような役割を果たしてしまいます。

特に、治りかけの時期に無理に角質を剥がそうとしたり、逆にケアを怠って乾燥させたりすると、ターンオーバーのリズムが局所的に乱れます。結果として、未熟な細胞が積み重なり、毛穴の出口は常に狭まった状態が維持することになります。

この悪循環に入ると、肌表面はカサついているのに毛穴の内部には皮脂が溜まるという複雑な状態になります。通常の洗顔だけではこの厚くなった角質の蓋を取り除くことが難しく、専用のケアを行わない限り、詰まりは解消されません。

炎症の慢性化とダメージの蓄積

見た目には赤みが引いて治ったように見えても、皮膚の奥深くでは微弱な炎症がくすぶり続けているケースが多く存在します。これを「潜在的炎症」と呼びます。この状態にある毛穴は、通常なら反応しない程度の些細な刺激に対しても過敏に反応します。

例えば、髪の毛の接触やわずかなホルモン変動など、健康な肌であれば無視できるレベルの刺激が、爆発的な炎症を再燃させる引き金となります。以下の表は、ニキビが繰り返す場所と、そこで起きている可能性が高い皮膚内部の状態をまとめたものです。

繰り返す場所と毛穴内部の状態

発生場所主な構造的要因皮膚内部のリスク
フェイスライン・顎毛穴が小さく未発達で詰まりやすい乾燥による角質肥厚が進みやすく、排出力が弱い
頬(とくに同じ箇所)炎症による真皮層へのダメージ残存アクネ菌の巣窟となりやすく、微弱炎症が持続する
口周り皮膚が薄く動きが多い物理的刺激を受けやすく、バリア機能が常に低下する

このように、場所ごとに抱えるリスクは異なりますが、共通しているのは「毛穴の抵抗力が低下している」という点です。一度弱った毛穴を健康な状態に戻すには、時間をかけて内部の炎症を鎮め、正常な細胞を育て直すという長期的な視点が必要になります。

大人ニキビと思春期ニキビの決定的な違い

大人ニキビは過剰な皮脂だけが原因ではなく、乾燥によるバリア機能の低下と代謝の停滞が主たる要因であり、肌の「守る力」が弱まった部分に発生するという点で思春期ニキビとは根本的に異なります。

皮脂分泌量の変化と乾燥の影響

思春期のニキビは、成長ホルモンの影響で皮脂腺が活性化し、溢れ出る皮脂が毛穴を物理的に押し広げて詰まらせることが主な原因です。この時期の肌は水分量も多いため、単純に余分な油分を取り除くケアが有効な場合が多くあります。

対して大人の肌は、加齢とともに皮脂量自体は減少傾向にあります。しかし、水分保持能力も同時に低下するため、肌表面は乾燥しやすくなります。乾燥した肌は、水分の蒸発を防ごうと緊急措置として油分を出そうとしたり、角質を硬くして防御壁を作ろうとします。

この「乾燥しているのに脂っぽい」というインナードライ状態が、大人の毛穴を詰まらせる大きな要因です。表面のテカリを脂性肌だと勘違いし、脱脂力の強い洗顔料を使い続けると、乾燥が進んでさらに事態が悪化するというパラドックスに陥ります。

ホルモンバランスの影響の受け方

思春期は性ホルモンの分泌が急激に増える「量」の変化がトリガーですが、大人はホルモンの「バランスの乱れ」が影響します。特にストレスや疲労によって自律神経が乱れると、男性ホルモンの一種であるアンドロゲンの働きが優位になることがあります。

アンドロゲンは角化異常(角質が厚くなること)を促進する作用を持つため、皮脂量がそれほど多くなくても、毛穴が塞がりニキビが発生します。女性であっても微量の男性ホルモンを持っていますが、ストレス過多な生活はこのバランスを容易に崩してしまいます。

また、生理周期に伴う黄体ホルモンの影響も無視できません。排卵後から生理前にかけて分泌される黄体ホルモンは、皮脂分泌を促すと同時に体内に水分を溜め込もうとするため、毛穴周辺がむくみ、物理的に出口が狭くなりやすい環境を作り出します。

発生しやすい部位の特徴

これらの違いは、ニキビができる場所にも明確に表れます。思春期ニキビが皮脂腺の多いTゾーン(額や鼻)に集中するのに対し、大人ニキビは乾燥しやすいUゾーン(顎やフェイスライン)に多発します。

大人ニキビと思春期ニキビの特徴比較

比較項目思春期ニキビ大人ニキビ
主な発生部位Tゾーン(額・鼻)Uゾーン(顎・フェイスライン・首)
主な原因過剰な皮脂分泌乾燥・ターンオーバーの乱れ・ストレス
治りやすさ成長期を過ぎると自然治癒しやすい治りにくく、色素沈着や跡が残りやすい

この表からも分かるように、大人ニキビへの対処法は「取り除くこと」よりも「整えること」に重点を置く必要があります。思春期の頃と同じケアを続けていて改善しない場合は、アプローチを根本から変える時期に来ていると言えます。

毛穴詰まりを引き起こす生活習慣の要因

無意識に行っている肌への摩擦や、内臓の負担となる食生活が、肌本来の排泄機能を低下させ毛穴を詰まらせるため、高価な化粧品を使う前に、肌の再生を妨げる日常の悪習慣を取り除くことが必要です。

睡眠不足と修復機能の低下

睡眠は単なる休息ではなく、肌にとっては最大の修復タイムです。入眠から最初の3時間に分泌する成長ホルモンは、日中に受けた紫外線ダメージや炎症を修復する働きを担います。このゴールデンタイムを逃すと、肌の回復力は著しく低下します。

睡眠時間が不足したり、質が悪かったりすると、この修復作業が完了しないまま翌朝を迎えることになります。未修復のダメージは蓄積し、肌のターンオーバーを遅らせ、古い角質が肌表面に居座る原因を作ります。

また、睡眠不足は自律神経のバランスを崩し、交感神経を優位にさせます。交感神経が高まると血管が収縮して血流が悪くなり、肌への栄養供給が滞るため、肌荒れが治りにくい環境を自ら作り出してしまうことになります。

食生活の偏りと腸内環境

「肌は内臓の鏡」と言いますが、特に腸内環境の状態はダイレクトに肌に反映します。糖質や脂質の多い食事ばかりを摂取していると、腸内の悪玉菌が増殖し、有害物質が発生します。便秘が肌荒れの原因になるのはこのためです。

これらの有害物質は血液に乗って全身を巡り、最終的に皮膚から汗や皮脂とともに排出されようとします。その過程で毛穴周辺の組織を刺激し、炎症を引き起こす要因となります。特にスナック菓子や加工食品の油は酸化しやすく、体内で炎症を助長します。

さらに、血糖値の急激な上昇は、皮脂分泌を促すインスリンの過剰分泌を招きます。甘いものを食べた翌日にニキビができやすいのは、このインスリンの働きによるものです。食事の際は野菜から食べるなど、血糖値をコントロールする工夫も大切です。

間違ったスキンケアとメイク習慣

良かれと思って行っているケアが、実は肌を痛めつけていることも少なくありません。例えば、カバー力の高いファンデーションを長時間使用することは、毛穴を物理的に塞ぎ続ける行為です。

また、それを落とすために強力なクレンジング剤を使用し、肌を強くこすってしまうと、必要な角質まで剥がれ落ちてしまいます。これでは、肌を守るバリア機能が育つ暇がありません。

以下に挙げるような習慣は、毛穴詰まりを助長する可能性が高い行動です。これらを避けるだけで、肌の状態が改善するケースは多々あります。まずは「何を使うか」よりも「何をやめるか」を見直してみましょう。

避けるべき生活習慣と行動リスト

  • メイクをしたまま寝落ちする酸化したメイク汚れと皮脂が混ざり合い、強力な刺激物となって毛穴を攻撃します。一晩の放置は10日分の老化に匹敵するとも言われます。
  • 汚れたメイク道具の使用洗っていないパフやブラシは雑菌の温床であり、塗るたびに菌を顔に広げています。最低でも週に一度は洗浄し、清潔を保つことが必要です。
  • 熱いお湯での洗顔必要な皮脂まで溶かし出し、乾燥とバリア機能の崩壊を一気に進めます。体温よりも低い32〜34度程度のぬるま湯が適しています。
  • 頬杖や顔を触る癖手についた雑菌を移すだけでなく、摩擦によって角質を硬くさせます。無意識の癖を自覚し、顔に触れないよう意識することが大切です。

ホルモンバランスと繰り返すニキビの深い関係

生理周期やストレスによって変動するホルモンバランスは、皮脂の粘度や毛穴の収縮に直接作用するため、自身のバイオリズムを把握し、時期に応じた「守りのケア」を行うことで波のように訪れる肌荒れを未然に防ぎます。

生理周期と肌荒れのタイミング

女性の体は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つのホルモンの波に支配されています。生理前になるとプロゲステロンの分泌が増加しますが、このホルモンには皮脂分泌を促し、水分を溜め込みやすくする作用があります。

この時期は毛穴自体がむくんで出口が狭くなりやすいため、普段なら詰まらない程度の皮脂量でも詰まってしまいます。毎月同じ時期、同じ場所にニキビができるのは、このホルモンの波による毛穴の閉塞が定期的に起こるからです。

生理前の肌は非常にデリケートになっているため、新しい化粧品を試したり、積極的な攻めのケア(ピーリングなど)を行ったりするのは避けるべきです。この時期は「現状維持」を目標に、低刺激な保湿ケアに徹することが賢明な判断です。

男性ホルモン優位になる瞬間

女性の体内にも微量の男性ホルモンが存在します。通常は女性ホルモンによってバランスが保たれていますが、過度なストレスや疲労が蓄積すると、ホルモンバランスが崩れて相対的に男性ホルモンが優位になることがあります。

男性ホルモンには角質層を厚くし、皮脂腺を肥大させる強力な作用があります。そのため、男性ホルモンの受容体が多いフェイスラインや顎周り(いわゆる男性のヒゲが生える場所)に、芯のある頑固なニキビを作り出します。

仕事が忙しい時期やプレッシャーを感じている時に顎ニキビが増えるのは、このメカニズムによるものです。リラックスする時間を意識的に作り、副交感神経を優位にすることで、男性ホルモンの暴走を食い止めることができます。

ストレスホルモン「コルチゾール」の影響

ストレスを感じると、副腎皮質から「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。コルチゾールは体をストレスから守るために血糖値を上げたり血圧を調整したりしますが、同時に免疫機能を抑制し、肌のコラーゲンを分解する副作用も持ち合わせます。

ニキビの炎症を抑える力が弱まるため、一度できたニキビが治りにくく、跡に残りやすくなるのはこのためです。さらに、コラーゲンの減少は肌の弾力を奪い、毛穴のたるみを招いて新たな詰まりの原因にもなります。

主なホルモンと肌への影響

ホルモン名主な作用ニキビへの影響
プロゲステロン(黄体ホルモン)皮脂分泌促進・水分貯留生理前の毛穴詰まりやむくみを引き起こす
アンドロゲン(男性ホルモン)角化促進・皮脂腺肥大角質を厚くし、硬く大きなニキビを作る
コルチゾール(抗ストレスホルモン)免疫抑制・代謝低下炎症の長期化や治癒遅延を招く

ホルモンバランスを完全にコントロールすることは難しいですが、自分の周期やストレス状態を把握することは可能です。手帳やアプリで肌の調子と体調を記録し、「そろそろ肌が荒れる時期だ」と予測ができれば、事前の対策で被害を最小限に抑えることができます。

バリア機能を低下させる外部刺激への対策

紫外線やエアコンの風、マスクの摩擦といった日常の外部刺激は、肌の防御反応として角質を肥厚させ毛穴を塞ぐ原因となるため、物理的な遮断と環境のコントロールによって、肌が本来持つバリア機能を徹底して守り抜くことが重要です。

紫外線による酸化ストレス

紫外線は日焼けを起こすだけでなく、皮脂を酸化させて「過酸化脂質」へと変化させます。過酸化脂質は皮膚にとって異物であり、毛穴周辺の細胞を傷つけ、角化異常を引き起こします。これが新たなコメド(ニキビの赤ちゃん)の発生源となります。

ニキビができている状態で紫外線を浴びると、炎症が悪化するだけでなく、メラニン色素が過剰に生成され、色素沈着(シミ)として跡に残るリスクが格段に高まります。赤みが茶色いシミに変わってしまうのは、紫外線の影響が大きいです。

日差しの強い季節だけでなく、曇りの日や冬場でも紫外線は降り注いでいます。ニキビ肌には負担が少ない紫外線散乱剤(ノンケミカル)を使用した日焼け止めを選び、年間を通した対策を行うことが、未来の肌を守ることにつながります。

摩擦や接触による物理的刺激

マスクの着用、髪の毛の接触、ハイネックの衣類など、物理的な摩擦は肌にとって大きなストレスです。摩擦を受けると、皮膚は自らを守ろうとして角質を厚く硬くします。この防御反応が、皮肉にも毛穴の出口を塞ぎ、ニキビの原因となってしまいます。

特にマスク内は高温多湿で雑菌が繁殖しやすい環境も重なるため、摩擦と相まって「マスクニキビ」を多発させます。マスクの素材をシルクや綿などの肌に優しいものに変えたり、間にガーゼを挟んだりする工夫が有効です。

また、無意識に髪の毛がフェイスラインに触れていることも刺激となります。整髪料がついた髪が常に肌に触れている状態は、化学的な刺激と物理的な刺激のダブルパンチです。家にいるときは髪をアップにするなど、肌に触れるものを最小限にしましょう。

日常の物理的刺激と対策一覧

刺激の種類引き起こされる問題具体的な対策
紫外線(UV)皮脂の酸化・炎症の悪化ノンコメドジェニックの日焼け止めを使用する
マスクの摩擦角質の肥厚・蒸れ肌触りの良い素材選び、こまめな汗拭き
髪の毛の接触物理的刺激・雑菌付着顔にかからないヘアスタイル、整髪料の付着回避

温度・湿度の変化と肌の順応

エアコンによる乾燥した風や、室内外の急激な温度差もバリア機能を低下させます。湿度が低い環境では角層から水分が奪われ、柔軟性が失われます。肌の水分量が低下すると、ターンオーバーが正常に行われなくなり、古い角質が剥がれ落ちずに蓄積します。

デスクワークなどで長時間エアコンの風に当たっていると、自覚のないまま肌の乾燥が進行します。卓上加湿器を活用したり、風が直接当たらない位置に移動したりするなど、物理的な環境コントロールが肌を守ります。

スキンケアの見直しによる毛穴環境のリセット

汚れを落としたい一心での過剰な洗顔や、油分を恐れた保湿不足は、かえって毛穴の防御反応を招き炎症を悪化させるため、肌に必要な潤いを残し、柔らかく整える「育てるスキンケア」への転換が、繰り返すニキビを止める鍵となります。

洗顔の重要性と過度な洗浄の弊害

ニキビケアの基本は洗顔ですが、「洗いすぎ」は逆効果です。洗浄力が強すぎるクレンジングや洗顔料を使用したり、一日に何度も洗顔したりすると、肌を守るために必要な皮脂膜や常在菌まで洗い流してしまいます。

バリア機能を失った肌は、乾燥を防ぐためにさらに過剰な皮脂を分泌しようとする悪循環に陥ります。洗顔は、たっぷりの泡で肌をこすらず優しく洗い、摩擦を与えないことが鉄則です。手と肌の間に常に泡のクッションがある状態をキープしてください。

すすぎの際も、シャワーを直接顔に当てるのは水圧が刺激になるため避けましょう。手ですくったお湯で、生え際やフェイスラインにすすぎ残しがないよう、丁寧に洗い流すことが大切です。洗顔料の残留は、新たなニキビの直接的な原因になります。

保湿による柔軟性の回復

「ニキビ肌に油分は敵」と考え、化粧水だけで済ませるのは大きな間違いです。水分を与えただけではすぐに蒸発してしまいます。ニキビの原因となる毛穴詰まりを防ぐには、角質層を水分と適度な油分で満たし、柔らかく保つことが大切です。

肌が柔らかければ、皮脂がスムーズに排出でき、詰まりにくい状態を維持できます。乾燥して硬くなった土壌には水が染み込まないように、硬い肌にはどんな良い成分も浸透しません。まずは保湿で肌を柔らかくほぐすことが先決です。

ジェルタイプや乳液など、べたつきの少ない保湿剤を選び、蓋をすることを恐れてはいけません。特にセラミド配合の保湿剤は、肌のバリア機能をサポートし、水分保持能力を高めてくれるため、大人ニキビのケアには非常に適しています。

ノンコメドジェニック製品の活用

化粧品を選ぶ際は、「ノンコメドジェニックテスト済み」の表記がある製品を選ぶことが賢明です。これは、ニキビの初期段階である「コメド(面ぽう)」ができにくい処方であることをテストで確認した製品です。

油分が含まれていても、ニキビの餌になりにくい成分構成になっているため、安心して保湿ケアを行えます。ただし、「すべての人にニキビができないわけではない」という点には留意し、自分の肌に合うかどうかを確認しながら使用してください。

以下のリストにある成分は、一般的にニキビケアに適した成分です。成分表示を確認し、現在の肌状態に必要な成分が含まれているかチェックしてみましょう。

スキンケア選びで注目したい成分

  • ビタミンC誘導体過剰な皮脂分泌を抑え、抗酸化作用によりニキビの悪化や跡を防ぎます。美白効果も期待できるため、色素沈着ケアにも有効です。
  • グリチルリチン酸ジカリウム甘草由来の成分で、優れた抗炎症作用を持ちます。赤く腫れて痛みを伴うニキビの鎮静を助け、悪化を防ぐ役割を果たします。
  • セラミド角質層の細胞間脂質の主成分であり、水分保持機能を高めます。バリア機能を強化して外部刺激から肌を守る、守りの要となる成分です。
  • サリチル酸角質軟化作用があり、古い角質を溶かして除去します。毛穴の詰まりを解消し、有効成分の浸透を助ける働きがあります。

インナーケアで体の内側から炎症を鎮める

慢性的な炎症体質は、抗酸化成分の不足や糖質の過剰摂取によって助長されるため、血液の質を高め、細胞の修復材料となる栄養素を意識的に摂ることで、繰り返すニキビの連鎖を体の内側から根本的に断ち切ります。

抗炎症作用のある栄養素の摂取

食事から摂る栄養素は、肌細胞を作る材料そのものです。脂っこい食事や甘いお菓子は、皮脂の原料となるだけでなく、体内で炎症物質を作り出しやすくします。毎日の食事が、明日の肌を作っているという意識を持つことが大切です。

逆に、ビタミンB群は脂質の代謝を助け、皮脂分泌をコントロールする働きがあります。特にビタミンB2とB6は「肌のビタミン」とも呼ばれ、不足すると肌荒れや口内炎の直接的な原因となります。

また、ビタミンAは皮膚や粘膜の健康を維持し、ターンオーバーを正常化させるために重要です。緑黄色野菜に多く含まれるβカロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されるため、過剰摂取の心配なく摂取できます。

積極的に摂りたい栄養素と食材

栄養素主な働き多く含む食材
ビタミンB2・B6皮脂分泌の調整・代謝促進レバー、納豆、卵、カツオ、マグロ
ビタミンCコラーゲン生成・抗酸化パプリカ、ブロッコリー、キウイ、柑橘類
ビタミンE血行促進・過酸化脂質の抑制アーモンド、アボカド、うなぎ、植物油

水分摂取と巡りの改善

体内の水分が不足すると、血液がドロドロになり、老廃物の運搬や排出が滞ります。肌細胞へ栄養を届け、不要なものを回収するためには、スムーズな血流が必要です。水分不足は、肌のくすみや乾燥にも直結します。

一日に1.5リットル〜2リットルを目安に、常温の水やノンカフェインのお茶をこまめに摂取しましょう。一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯程度を回数多く飲むのがポイントです。これにより、常に体内が潤った状態を保てます。

冷たい飲み物は内臓を冷やし、代謝を下げてしまうため、できるだけ避けるのが賢明です。内臓温度が1度下がると基礎代謝は約12%下がると言われており、肌の再生能力にも悪影響を及ぼします。

質の高い睡眠をとるための工夫

栄養を摂取しても、それを活用して修復作業を行う時間がなければ意味がありません。睡眠の質を高めるためには、就寝前の環境作りが大切です。特に注意したいのが、スマートフォンやパソコンからのブルーライトです。

ブルーライトは脳を覚醒させ、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制してしまいます。就寝1時間前からはデジタルデトックスを心がけ、部屋の照明を落としてリラックスモードに入りましょう。

入浴は就寝の90分前までに済ませるのが理想的です。一度上がった体温が下がっていくタイミングで眠気が訪れるため、スムーズな入眠が可能になります。質の高い睡眠は、どんな高価な美容液にも勝る最高の美容法です。

よくある質問

同じ場所に繰り返すニキビケアにおいて、多くの人が抱く疑問や判断に迷うポイントについて、皮膚の生理機能に基づいた正しい知識を回答します。自己流のケアが招くリスクを避け、正しい対処法を知ることが完治への第一歩です。

Q
跡に残ってしまったニキビはどうすればいいですか?
A

色素沈着してしまった跡は、肌のターンオーバーによって徐々に薄くなりますが、完全に消えるまでには数ヶ月から半年以上の時間がかかります。ビタミンC誘導体配合の化粧品を使用したり、穏やかなピーリング効果のあるスキンケアを取り入れたりして代謝を促すことが有効です。

凹凸が残ってしまったクレーター状の跡は、真皮層の組織が破壊されているため、残念ながらホームケアだけでは改善が難しいのが現状です。この場合は、ダーマペンやレーザー治療など、専門機関での医療的介入を検討することも選択肢の一つです。

Q
潰して芯を出しても良いのでしょうか?
A

自分で潰して芯を出す行為は、基本的には避けるべきです。指や器具についた雑菌が入って炎症が悪化したり、無理な圧迫によって毛穴の奥の組織を破壊し、一生消えない跡が残る原因になったりします。

膿が溜まって白くなり、今にも破裂しそうな場合でも、自然に排出されるのを待つのが安全です。どうしても気になる場合や痛みが強い場合は、皮膚科で「面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)」という処置を受けてください。専用の器具で清潔に芯を出してもらうことが、結果的に一番早くきれいに治す方法です。

Q
洗顔は1日何回が適切ですか?
A

基本的には朝と夜の1日2回で十分です。皮脂が気になるからといって1日に何度も洗顔すると、肌に必要なうるおい成分まで洗い流してしまい、乾燥による過剰な皮脂分泌を招く原因になります。

夏場やスポーツ後など、どうしてもテカリや汗が気になる場合は、洗顔料を使わずにぬるま湯だけで軽くすすぐか、ティッシュで優しく押さえる程度に留めてください。あぶらとり紙の使いすぎも皮脂を取りすぎる可能性があるため、注意が必要です。

Q
枕カバーは毎日変えるべきですか?
A

はい、可能な限り毎日交換することをお勧めします。寝ている間にはコップ1杯分の汗をかくと言われており、枕カバーには汗や皮脂、フケ、よだれ、ヘアケア剤などが付着しています。

これらは雑菌の格好の餌となり、高温多湿な寝具の中で爆発的に繁殖します。その雑菌だらけの布に一晩中顔を押し付けていれば、ニキビが治らないのも無理はありません。毎日洗うのが大変な場合は、清潔なタオルを枕に巻き、そのタオルを毎日交換するだけでも十分な効果があります。

Q
ニキビパッチは効果がありますか?
A

ニキビパッチは、患部を物理的に保護し、無意識に触ったり潰したりするのを防ぐという意味で有効です。また、浸出液を吸収して治癒を助けるハイドロコロイドタイプのものもあります。

ただし、パッチ自体にニキビを治す強力な薬効成分が含まれているわけではありません。あくまで補助的なアイテムとして活用し、炎症が強い場合や広範囲にできている場合は、パッチに頼らず適切な治療薬を使用することをお勧めします。

参考文献