マスク着用が日常化した現在、多くの人が悩まされているのがマスク内部の過酷な環境による肌トラブルです。呼気が充満することで、高温多湿な状態が長時間続き、肌にとってはサウナに入り続けているような負担がかかります。
この特殊な環境下では、皮膚のバリア機能が著しく低下し、アクネ菌などの雑菌が爆発的に増殖しやすい条件が整ってしまいます。肌を守るはずのマスクが、皮肉にも肌を攻撃する最大の要因になり得ます。
本記事では、マスク内の蒸れがなぜニキビを悪化させるのか、その原因を深く掘り下げて解説します。さらに、今日から実践できる具体的なスキンケアと環境対策について、肌の生理学的な視点から詳しく紐解いていきます。
1.マスク着用の高温多湿が肌環境を破壊する理由
マスク内部で発生する高温多湿な環境は、皮膚の恒常性を保つためのバランスを崩し、ニキビの発生や悪化を招く最大の要因です。呼吸によって排出される温かく湿った空気はマスク内に滞留し、皮膚表面の温度を確実に上昇させます。
皮膚温が上昇すると皮脂の分泌が活発になり、毛穴詰まりのリスクが高まります。さらに、マスクを外した瞬間に急激に水分が蒸発することで、肌内部の水分まで奪われる「過乾燥」を引き起こします。この湿潤と乾燥の繰り返しが、肌の防御力を弱めるのです。
呼気が作り出す「局所的な亜熱帯気候」の影響
私たちが呼吸をするたび、マスク内は湿度100%に近い状態になります。適度な湿度は肌に良いと思われがちですが、過剰な湿度は角層(皮膚の最表面)を過度にふやけさせ、構造的な脆さを招きます。
この状態は、長時間お風呂に入って指先が白くふやけた状態と同じ現象です。角層細胞の結合が緩むことで、細胞間脂質などの重要な保湿成分が流出しやすくなり、肌本来の「水を蓄える力」が失われていきます。
さらに、マスク内は外気よりも温度が高くなる傾向があり、この温度上昇が皮脂腺を直接刺激します。皮脂はニキビの原因菌であるアクネ菌の餌となるため、過剰な皮脂と高温多湿な環境が揃うことで、ニキビができやすい土壌が完成します。
皮脂分泌量の増加と毛穴の閉塞
皮膚温度がわずか1度上がるだけでも、皮脂の分泌量は約10%増加すると考えられています。マスク内では呼気の影響で常に温度が高い状態が続くため、本来必要以上の皮脂が絶えず分泌され続けることになります。
分泌された過剰な皮脂は、汗と混ざり合い、時間の経過とともに酸化して変質します。この酸化した皮脂(過酸化脂質)は肌にとって強力な刺激物質となり、毛穴の出口周辺の角質を厚く硬くさせる作用を持ちます。
出口が狭まった毛穴に、さらに皮脂が詰まるという悪循環が生じ、白ニキビや黒ニキビの形成を加速させます。この連鎖を断ち切るには、温度管理と皮脂コントロールの両面からのアプローチが必要になります。
雑菌の温床となる「蒸れ」の正体
「蒸れ」とは、単に湿度が高いだけでなく、空気の循環が滞っている状態を指します。この停滞した空気中では、私たちの皮膚に常在している菌のバランス(スキンフローラ)が崩れやすくなります。
ここで、マスク内部と通常の肌環境がどれほど異なるか、その要素ごとの違いを整理します。この違いを理解することが、対策の第一歩となります。
マスク環境と通常環境の比較要素
| 比較要素 | 通常の肌環境 | マスク内の肌環境 |
|---|---|---|
| 湿度の変化 | 外気湿度に依存し、比較的安定している | 呼気により高湿度になり、外すと急激に乾燥する |
| 皮膚温度 | 体温よりやや低い状態で安定 | 呼気の熱がこもり、常に高い状態が続く |
| 摩擦の影響 | 衣服や手による一時的な接触のみ | 会話や表情の変化で常に素材が肌を擦り続ける |
| 菌の増殖リスク | 皮膚常在菌のバランスが保たれやすい | 高温多湿と皮脂・唾液の付着により増殖しやすい |
| pHバランス | 弱酸性(pH4.5〜6.0)を維持 | 汗や呼気の影響でアルカリ性に傾きやすい |
特に問題となるのは、高温多湿を好む黄色ブドウ球菌などの悪玉菌や、通常は無害ですが増えすぎると炎症を引き起こすマラセチア菌などの増殖です。これらは湿潤環境下で爆発的に数を増やします。
これらが微細な傷口や毛穴に入り込むことで、ニキビだけでなく、毛嚢炎(もうのうえん)などの別の皮膚トラブルを引き起こす可能性もあります。蒸れは単なる不快感にとどまらず、微生物レベルでの環境悪化を招いているのです。
マスク着脱時の水分蒸発とバリア機能崩壊
マスクを外した瞬間、肌は一気に外気にさらされます。この時、肌表面に溜まっていた湿気が蒸発するのと同時に、角層内部に必要な水分まで一緒に連れ去ってしまう現象が起きます。
これを「過乾燥」と呼び、肌にとって非常に大きな負担となります。マスクをしている間は潤っているように感じますが、実は角層がふやけているだけであり、外した瞬間に砂漠のように乾き始めるのです。
この急激な湿度の乱高下がバリア機能に深刻なダメージを与え、些細な刺激でも炎症を起こしやすい敏感な肌状態へと変化させます。保湿ケアは、この乱高下を和らげるための重要な手段となります。
2.マスク素材と物理的刺激による摩擦ダメージの蓄積
素材選びとフィッティングを見直すことは、ニキビ対策において極めて重要です。不織布マスクは飛沫防止効果が高い一方で、その繊維構造が肌にとって物理的なヤスリのような役割を果たしてしまうことがあります。特に頬骨の高い位置やフェイスライン、顎周りはマスクとの接触面積が広く、会話や口の動きに合わせて常に摩擦が生じています。
不織布マスクの繊維刺激と角質肥厚
不織布マスクは、繊維を熱や化学的な方法で接着して作られています。そのため、表面には目に見えない細かな凹凸が無数に存在し、これが肌への刺激源となります。
私たちが話したり、笑ったりして表情筋を動かすたびに、マスクは肌の上をわずかにスライドします。この微細な動きが一日数千回繰り返されることで、肌表面の角質層が削られ、微細な炎症(マイクロインフラメーション)が発生します。
肌はこの慢性的な刺激から内部を守ろうとして、急いで角質を作り出します。しかし、急いで作られた角質は未熟で剥がれ落ちにくく、毛穴を塞いでしまいます。これが、摩擦によるニキビの始まりであり、治りにくい原因でもあります。
サイズ不適合が引き起こす不要な摩擦
マスクのサイズが合っていないことも、摩擦ダメージを増幅させる要因です。小さすぎるマスクは肌を強く圧迫し、血行不良やリンパの流れを阻害し、肌の代謝を悪化させます。
逆に大きすぎるマスクはズレやすく、位置を直す回数が増えるため、結果として手で触れる回数や摩擦の頻度が増加します。自分の顔のサイズに適したマスクを選ぶことは、単なる感染対策だけでなく、肌を守るためにも重要です。
紐の長さを調整できるタイプや、立体構造で口元の空間を確保できるタイプを選ぶことで、肌への負担を減らすことができます。特に口元の空間確保は、摩擦だけでなく蒸れの軽減にも大きく貢献します。
肌への負担を軽減する素材選びのポイント
肌荒れが深刻な場合は、肌に触れる部分の素材を変えることを検討する必要があります。現在では様々な素材のマスクが流通していますが、それぞれの特徴を理解し、TPOや肌の状態に合わせて使い分けることが大切です。
主なマスク素材の特徴
- シルク(絹)素材
人間の肌と同じタンパク質で構成されており、非常に滑らかで摩擦が少ないのが特徴です。吸湿性・放湿性にも優れており、マスク内の湿度を適度に保つ効果が期待できます。 - コットン(綿)素材
肌触りが柔らかく、汗をよく吸い取ります。ただし、吸った水分が乾きにくい場合があるため、こまめな交換が必要です。オーガニックコットンなどは化学繊維に敏感な肌にも安心です。 - 高機能合成繊維
接触冷感や吸水速乾機能を備えたポリエステルなどの素材です。夏場の蒸れ対策には有効ですが、人によっては化学繊維自体が刺激になることもあるため、肌との相性を確認することが大切です。 - インナーマスクの活用
不織布マスクの効果を維持しつつ肌を守るために、不織布マスクの内側にガーゼやシルクのインナーシートを挟む方法です。直接不織布が肌に触れないため、摩擦を大幅に軽減できます。
これらの素材を状況に応じて使い分けることで、肌へのストレスを分散させることが可能です。例えば、人混みでは不織布を使用し、オフィス内や移動中など人との距離が取れる場所では肌に優しい素材を使用するなどの工夫が効果的です。
3.汗と皮脂の混合が招くpHバランスの崩壊と対策
健康な皮膚は弱酸性に保たれることで、悪玉菌の繁殖を抑える「静菌作用」を発揮します。しかし、マスク内で大量にかいた汗や分泌された皮脂が長時間肌に留まると、皮膚のpHバランスがアルカリ性へと傾き、この防御システムが機能しなくなります。pHバランスを維持し、汗による刺激を最小限に抑えることが重要です。
皮膚常在菌のバランスと弱酸性の重要性
皮膚表面には、善玉菌である表皮ブドウ球菌などが存在し、皮脂を分解して脂肪酸を作り出すことで肌を弱酸性に保っています。この酸性の環境下では、ニキビの原因となるアクネ菌や黄色ブドウ球菌の活動が抑制されます。
しかし、マスク内の蒸れによって汗が大量に出ると、汗の水分でふやけた肌はアルカリ性に傾きやすくなります。さらに、汗に含まれる成分が分解される際に発生するアンモニアもアルカリ性です。
pHがアルカリ性に傾くと、悪玉菌が急速に増殖しやすくなり、ニキビの炎症が悪化するだけでなく、肌のバリア機能自体も低下してしまいます。このpHバランスの乱れが、マスク荒れを長引かせる隠れた要因となっているのです。
汗を放置することの危険性
汗は体温調節のために重要ですが、分泌された後に放置することは肌にとってリスクしかありません。汗が蒸発する際に水分を奪うだけでなく、残った成分(塩分や尿素など)が高濃度になり、かゆみやチクチクとした刺激を引き起こします。
これが「汗あれ」と呼ばれる状態です。すでにニキビができている場合、汗による刺激は炎症を悪化させ、治りを遅くします。また、痒みを感じて無意識にマスクの上から肌をかいてしまうことで、さらに傷を作るという悪循環に陥りやすくなります。
外出先での汗・皮脂コントロール方法
マスクをしている以上、汗をかかないようにすることは困難です。重要なのは、かいた汗や皮脂を「いかに早く、優しく取り除くか」です。以下の表に、外出先でも実践できる具体的なケア方法をまとめます。
外出先でのケアアクション
| 対策アクション | 実践のポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| ティッシュオフ | 柔らかいティッシュを肌に優しく押し当て、水分と油分を吸い取る。 | 絶対に擦らないこと。摩擦は厳禁。硬いペーパーは避ける。 |
| ミスト化粧水の使用 | 汗を拭き取った後、保湿成分入りのミストを吹きかけて水分補給する。 | 水だけのミストは蒸発時に過乾燥を招くため、保湿剤入りを選ぶ。 |
| マスクの交換 | 汗で湿ったマスクは雑菌の温床となるため、清潔なものに取り換える。 | 1日1枚と決めず、汗をかいたら交換できるよう予備を持ち歩く。 |
| 口周りの洗浄 | 可能であれば昼休みなどに水だけで軽く口周りを洗い流す。 | 洗顔料の使いすぎは乾燥を招くため、水洗いで十分。その後保湿する。 |
これらの対策を習慣化することで、肌表面のpHバランスを正常範囲に戻しやすくなります。特に夏場や運動後など、発汗が多いシチュエーションでは、こまめなケアが肌の運命を左右します。
4.帰宅後のスキンケア:バリア機能の修復と鎮静
一日中マスクという過酷な環境に耐えた肌は、非常に敏感で疲弊しています。帰宅後のスキンケアの目的は、汚れを落とすこと以上に「バリア機能の修復」と「炎症の鎮静」に重点を置く必要があります。強い洗浄力で皮脂を根こそぎ奪うのではなく、必要な潤いを残しながら優しく洗うことが重要です。
クレンジングと洗顔における摩擦レスの徹底
ニキビが気になると、つい洗浄力の強い洗顔料でゴシゴシと洗いたくなりますが、これは逆効果です。すでにバリア機能が低下している肌に対して強い摩擦や脱脂を行うと、肌は防衛反応としてさらに皮脂を分泌しようとします。
クレンジングは、肌への摩擦が少ないジェルタイプやミルクタイプ、または厚みのあるオイルタイプを選びます。使用量は規定量よりもやや多めにし、指が直接肌に触れない程度のクッション性を持たせて洗います。
洗顔料もしっかりと泡立て、泡の弾力だけで汚れを吸着させるイメージで洗います。すすぎの温度は32〜34度のぬるま湯が適しており、熱いお湯は必要な皮脂まで溶かし出してしまうため避けます。温度管理も摩擦レスの一環として意識することが大切です。
抗炎症成分を取り入れたアイテム選び
マスクによる摩擦や蒸れで微細な炎症を起こしている肌には、炎症を抑える有効成分が配合されたスキンケアアイテムが役立ちます。医薬部外品などに含まれる成分を選ぶことで、ニキビの赤みや腫れを鎮める効果が期待できます。
主な抗炎症成分とその働き
- グリチルリチン酸ジカリウム
甘草(カンゾウ)由来の成分で、優れた抗炎症作用を持ちます。肌荒れ防止の有効成分として広く使われており、敏感になった肌にも使いやすい成分です。 - アラントイン
組織修復作用があり、荒れた肌の修復を助けるとともに、炎症を鎮める働きがあります。マスク擦れで傷ついた肌のケアに適しています。 - トラネキサム酸
メラニンの生成を抑える美白効果だけでなく、肌荒れに対する抗炎症作用も認められています。ニキビ跡の色素沈着予防にも効果的です。 - ツボクサエキス(CICA)
近年注目されている成分で、鎮静効果と肌の再生を促す効果が高いとされています。マスク荒れケアとして多くの製品に配合されています。
これらの成分を含む化粧水や乳液を使用することで、日中に受けたダメージをその日のうちにリセットすることを目指します。自分の肌に合う成分を見つけることが、長期的な安定肌への近道です。
保湿の質を変える「ノンコメドジェニック」の選択
「ニキビには油分が大敵」と考え、化粧水だけで済ませてしまうのは間違いです。水分を与えた後は、それが蒸発しないように蓋をする必要があります。ただし、油分の種類や量には注意が必要です。
ニキビができやすい肌には、「ノンコメドジェニックテスト済み」と表記された製品を選ぶことが大切です。これは、コメド(ニキビの初期段階)ができにくいことをテストで確認した製品です(すべての人にできないわけではありません)。
クリームや乳液を使う際は、油分が多いものは避け、ゲルタイプや軽い質感の乳液を選ぶと、毛穴を塞ぐリスクを減らしながら保湿ケアが可能です。保湿は「油分を塗る」ことではなく「水分を保持する」ことだと意識を変えましょう。
5.マスク内環境を改善するための口腔ケアと生活習慣
マスク内の環境は、実は「口の中」の状態と密接にリンクしています。口腔内の雑菌が増えれば、呼気を通じてマスク内にばら撒かれ、それが肌に付着します。外側からのスキンケアだけでなく、内側からの衛生管理と呼吸法の改善が、マスクニキビの予防には欠かせない要素です。
口腔内細菌とマスク内環境の関連性
口の中には数億個もの細菌が存在しています。食事の後や長時間歯磨きをしていない状態では、これらの細菌が爆発的に増殖します。マスクをしていると、会話やくしゃみ、あるいは単なる呼吸によって、唾液の飛沫がマスクの内側に付着します。
唾液に含まれる細菌や食べかすは、マスクという温かく湿った環境で培養され、悪臭の原因となるだけでなく、肌に触れることでニキビや肌荒れを引き起こす刺激因子となります。
マスク内を清潔に保つためには、歯磨きやうがい、マウスウォッシュの使用頻度を高め、口腔内を常にクリーンな状態に保つことが重要です。口の中をきれいにすることは、間接的に肌を守ることにつながります。
口呼吸から鼻呼吸への意識改革
マスクをしていると息苦しさから、無意識のうちに口呼吸になりがちです。しかし、口呼吸は呼気の水分量が多く、マスク内を急速に蒸れさせます。また、鼻のフィルターを通さずに空気を吸い込むため、ウイルスや細菌を直接体内に取り込むリスクも高まります。
鼻呼吸は、鼻腔内で温度と湿度が調整されるため、マスク内の急激な環境変化を防ぐ効果があります。さらに、口周りの筋肉(口輪筋)を使うため、顔のたるみ防止にもつながります。
意識的に口を閉じ、鼻で呼吸することは、マスク内の湿度コントロールにおいて非常に有効な手段です。もし鼻炎などで鼻呼吸が難しい場合は、適切な治療を受けることもマスク内環境改善の一手となります。
マスクの洗い方と交換頻度の再確認
布マスクやウレタンマスクを再利用する場合、その洗浄方法が間違っていると、雑菌や洗剤の残留成分が肌トラブルの原因となります。清潔さを保つための正しい管理方法を見直しましょう。
適切なマスク管理のポイント
| 管理項目 | 適切な方法 | 理由と効果 |
|---|---|---|
| 洗浄剤の選択 | 中性洗剤を使用し、十分に泡立てて洗う。 | アルカリ性や酸性の強い洗剤は生地を傷め、肌への刺激になる可能性があるため。 |
| すすぎの徹底 | 洗剤が残らないよう、流水で入念にすすぐ。 | 残留した洗剤成分(界面活性剤)が汗で溶け出し、肌かぶれの原因となる。 |
| 乾燥方法 | 形を整えて陰干しし、完全に乾かす。 | 生乾きは雑菌(モラクセラ菌など)の繁殖を招き、ニキビや悪臭の原因となる。 |
| 交換のタイミング | 1日1回は必須。汗をかいたらその都度。 | 一度外したマスクの内側には雑菌が付着しているため、長時間使い続けない。 |
これらの管理を徹底することで、マスク自体が肌荒れの原因になることを防げます。洗濯機で洗う場合も、必ずネットに入れ、他の衣類とは分けるなどの配慮が必要です。
6.ニキビを悪化させないメイクアップの工夫
ニキビがある時、メイクで隠したくなる心理は自然なことですが、厚塗りは毛穴を塞ぎ、症状を悪化させる最大の要因の一つです。大切なのは「隠す」ことよりも「肌負担を減らす」ことにシフトすることです。マスクで隠れる部分はミニマムにし、目元などの露出部分で魅せるなど、メリハリのあるメイク法を取り入れることで、肌への負担を大幅に軽減できます。
ベースメイクの引き算とパウダーの活用
マスクで覆われる部分に、リキッドファンデーションやクリームファンデーションを厚く塗ることは避けるべきです。油分の多いファンデーションは、マスクの湿気と混ざってドロドロに崩れ、毛穴に詰まりやすくなります。
ニキビができやすい時期は、油分を含まないパウダーファンデーションや、フェイスパウダー(おしろい)をメインに使用することが望ましいです。パウダーは余分な皮脂や湿気を吸着してくれるため、マスク内のサラサラ感を維持する助けにもなります。
色はつかないタイプのルースパウダーを、スキンケアや日焼け止めの後に軽くはたくだけでも、マスクとの摩擦を軽減するクッションの役割を果たします。肌とマスクの間に一枚のベールを作るイメージで活用しましょう。
ポイントメイクへの視線誘導
マスク着用時は、顔の下半分が隠れるため、視線は自然と目元に集中します。これを逆手に取り、アイメイクやアイブロウに力を入れることで、肌荒れ部分から他人の意識をそらすことができます。
眉を丁寧に描いたり、明るい色のアイシャドウを使ったりすることで、顔全体の印象を明るく健康的に見せることができます。肌のコンプレックスを隠そうとしてベースメイクを厚くするよりも、自信のあるパーツを際立たせる方が得策です。
結果として肌を休ませることにつながり、ニキビの治癒も早まります。メイクを楽しむ気持ちを忘れずに、視線のコントロールを意識してみましょう。
コンシーラーの使用上の注意点
どうしても隠したい赤みやニキビ跡にはコンシーラーを使いますが、広範囲に塗り広げるのはNGです。必要な部分にピンポイントで使用し、境界線をぼかす程度に留めます。
コンシーラー選びと使い方のコツ
- 固形タイプよりリキッドタイプを
スティック状の固いコンシーラーはカバー力が高い反面、油分が多く毛穴を塞ぎやすい傾向があります。リキッドやクリームタイプの柔らかいものを選びましょう。 - 薬用コンシーラーの活用
ニキビケア成分(硫黄やサリチル酸など)が配合された薬用コンシーラーであれば、隠しながらケアをすることが可能です。 - 清潔なツールを使う
指で直接塗るよりも、清潔なブラシやチップを使用することで、雑菌の付着を防ぐことができます。使用後のツールはこまめに洗浄しましょう。
コンシーラーはあくまで「緊急避難的」なアイテムと捉え、毎日の使用は控える日を作るなど、肌を解放する時間を確保することも大切です。
7.体の内側から抵抗力を高める食事と栄養素
肌は内臓の鏡であり、マスクによる外部刺激に負けない強い肌を作るためには、身体の内側からのアプローチが欠かせません。特定の栄養素が不足すると、皮脂分泌のコントロールが乱れたり、ターンオーバーが停滞したりします。特にストレスや疲労が蓄積しやすい現代生活では、意識的に肌を育てる栄養素を摂取することが重要です。
脂質代謝を促すビタミンB群の積極摂取
糖質や脂質の代謝に関わるビタミンB群は、「肌のビタミン」とも呼ばれ、皮脂分泌の調整に深く関わっています。特にビタミンB2とB6は、過剰な皮脂分泌を抑え、皮膚や粘膜の健康を維持するために必要です。
これらが不足すると、皮脂が顔に溢れ出し、ニキビができやすい状態になります。また、現代の食生活では糖質や脂質を過剰に摂取しがちであり、その代謝のためにビタミンB群が大量に消費され、慢性的な不足状態にある人が少なくありません。
便秘もニキビの大敵です。腸内環境が悪化すると、有害物質が血液中に流れ出し、それが肌荒れとして現れることがあります。食物繊維や発酵食品を摂り、腸内環境を整えることも、間接的ですが非常に強力なニキビ対策となります。
主要栄養素と食材リスト
以下の表は、マスク荒れに悩む肌に積極的に取り入れてほしい栄養素と、それを含む食材のリストです。バランスの良い食事を心がける際の参考にしてください。
| 栄養素 | 主な働き | 多く含む食材 |
|---|---|---|
| ビタミンB2 | 皮脂分泌の抑制、皮膚・粘膜の保護 | レバー、卵、納豆、乳製品、うなぎ |
| ビタミンB6 | タンパク質の代謝促進、ホルモンバランス調整 | カツオ、マグロ、バナナ、鶏ささみ、サツマイモ |
| ビタミンC | コラーゲン生成、抗酸化作用、ストレス抵抗 | パプリカ、ブロッコリー、キウイ、柑橘類 |
| ビタミンA | ターンオーバーの正常化、皮膚の乾燥防止 | ニンジン、カボチャ、ほうれん草、鶏レバー |
| 亜鉛 | 細胞分裂の促進、新しい皮膚の形成 | 牡蠣、牛肉、カシューナッツ、卵黄 |
これらの食材を一度にすべて摂ろうとするのではなく、毎日の食事に少しずつプラスしていくことが継続の秘訣です。サプリメントはあくまで補助とし、基本は食事からの摂取を心がけましょう。
水分補給と巡りの改善
マスクをしていると喉の渇きを感じにくくなり、隠れ脱水になることがあります。体内の水分が不足すると、血液がドロドロになり、肌細胞への栄養供給や老廃物の回収が滞ります。
また、乾燥した肌は防御反応として皮脂を過剰に出そうとするため、インナードライによるニキビを招きます。1日1.5〜2リットルを目安に、常温の水やノンカフェインのお茶をこまめに飲むことで、血流を良くし、肌のターンオーバーを正常に保つ土台を作ることができます。
カフェインやアルコールの過剰摂取は、利尿作用によりビタミン類を排出してしまうため、ほどほどに抑えることが賢明です。水は一度に大量に飲むのではなく、コップ1杯程度をこまめに摂取するのが効果的です。
8.Q&A
マスク生活におけるニキビ対策について、疑問に感じやすい点や判断に迷うポイントをまとめました。日々のケアの参考としてお役立てください。
- Qマスクをしていると顎周りのニキビだけが治りません。なぜでしょうか?
- A
顎周りはもともと皮脂腺が多いにもかかわらず、汗腺が少なく乾燥しやすい部位です。さらに、マスクのゴムや縁が常に当たり、会話のたびに擦れる場所でもあります。
この「摩擦」と「蒸れ」の二重苦に加え、ホルモンバランスの影響も受けやすい場所です。対策としては、マスクのサイズを見直して顎への圧迫を減らすこと、そして頬杖をつくなどの癖をやめ、物理的な刺激を極力ゼロに近づけることが重要です。
- Qニキビができている時、日焼け止めは塗った方がいいですか?
- A
はい、必ず塗ってください。紫外線はニキビの炎症を悪化させ、色素沈着(ニキビ跡)の原因となります。マスクは紫外線を完全には防げません。
ただし、油分の多いクリームタイプやウォータープルーフタイプは毛穴を塞ぐ可能性があるため、ニキビ肌用のノンコメドジェニック処方のものを選びましょう。また、紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)で石鹸で落とせるタイプの日焼け止めを選ぶと肌への負担を減らせます。
- Qニキビパッチを貼ってマスクをするのは効果的ですか?
- A
マスクとの摩擦を防ぐという意味では有効な場合があります。パッチがクッションとなり、不織布の繊維が直接患部に触れるのを防げるからです。
ただし、パッチの中で蒸れて雑菌が繁殖する場合もあるため、長時間貼りっぱなしにするのは避けてください。また、膿んでいるニキビや傷になっている部分には使用を控え、赤みがある初期段階や、ついつい手で触ってしまうのを防ぐ目的で使用するのが良いでしょう。
- Q市販のマスクスプレーは肌に影響ありませんか?
- A
アルコールやメントール、精油などが高濃度に含まれている場合、それが揮発して肌や目に刺激を与えることがあります。特にニキビで肌のバリア機能が弱っている時は、刺激を感じやすくなっています。
使用する場合は、マスクの外側に塗布し、完全に乾いてアルコール分を飛ばしてから着用するようにしてください。肌に直接触れる内側への使用は、刺激のリスクが高いため慎重に行う必要があります。
