赤く腫れ上がり、触れると芯のある痛みを伴うニキビは、医学的に「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」の炎症期にあたります。この段階まで進行すると、もはや日々のスキンケアの延長線上で対処できる範囲を超えています。

市販薬の使用を続けても改善が見られない、あるいは一時的に引いてもすぐに再発する場合、それは皮膚の深部で組織破壊が進行している危険なサインです。放置すれば、一生残るクレーター状の痕になるリスクが高まります。

本記事では、なぜセルフケアだけでは限界があるのかという根本的な理由から、皮膚科で処方される保険適用の外用薬・内服薬が持つ特異的な作用機序、そして治療期間中に患者自身が守るべき生活習慣までを網羅的に解説します。

自己判断による不確実なケアを卒業し、痕を残さないための確実な医学的アプローチへ切り替える一助としてください。正しい知識と適切な治療介入が、あなたの肌を救う最短のルートとなります。

市販薬と医療用医薬品の決定的な違いと治療限界

赤ニキビが市販薬で治らない根本的な理由は、配合されている有効成分の浸透力と作用機序の強さに明確な差が存在するためです。一般的にドラッグストアで購入可能なOTC医薬品は、安全性重視の設計となっています。

主に殺菌作用や角質軟化作用を持つ成分を含みますが、その濃度や効果はマイルドに設定されています。これに対し、医療機関で処方する薬剤は、副作用のリスクを医師が管理しながら、皮膚の深部構造に直接働きかけることを目的とします。

炎症の深さと市販薬の到達範囲

市販のニキビ治療薬の多くは、イオウやサリチル酸、グリチルリチン酸などを主成分とします。これらは肌表面の余分な皮脂を吸着したり、軽微な炎症を鎮めたりする効果を持ち、初期のニキビには一定の効果を発揮します。

しかし、赤ニキビ(炎症性皮疹)の状態まで進行している場合、炎症は毛穴の奥深く、真皮層に近い部分で激しく発生しています。毛包壁が破裂し、好中球などの免疫細胞が活発に活動して、周囲の組織を巻き込んでいます。

このような深部の炎症に対して、表面的なアプローチだけでは火種を消し止めることが極めて困難です。市販薬を塗り続けても改善しないのは、薬効成分が炎症の中心部に届いていないか、作用強度が不足していることが主な要因です。

医療介入が必要な「疾患」としての認識

ニキビを「青春のシンボル」や「一時的な肌荒れ」と捉える風潮がいまだにありますが、医学的には「尋常性ざ瘡」という慢性的な炎症性疾患です。特に赤ニキビは、放置すれば真皮組織を不可逆的に破壊してしまいます。

一度破壊された真皮組織は完全には元に戻らず、「クレーター(陥凹性瘢痕)」や「硬結」といった痕を残すリスクが非常に高い状態です。これは単なる美容上の問題ではなく、皮膚の機能障害につながる病態と言えます。

市販薬と処方薬の作用強度の比較

以下の表は、市販薬と医療用医薬品の主な違いをまとめたものです。作用する深さと強さの違いにご注目ください。

区分主な有効成分期待できる主な作用と到達深度
市販薬(OTC)イオウ、グリチルリチン酸【表層】皮脂吸着、軽度な抗炎症、角質軟化
処方薬(外用)アダパレン、過酸化ベンゾイル【深部】毛穴詰まり除去、強力な殺菌・酸化作用
処方薬(内服)ドキシサイクリン等の抗菌薬【全身】血流からの抗菌作用、炎症性サイトカイン抑制

市販薬で数日間様子を見ても改善傾向がない、あるいは繰り返し同じ場所に発生する場合は、明らかにセルフケアの限界を超えています。早期に医療機関を受診し、炎症を強力に抑える治療へ切り替える判断が重要です。

診断に基づく適切な薬剤選択の重要性

皮膚科医は、患者の肌を見て単に「ニキビがある」と判断するだけではありません。炎症の強さ、範囲、皮脂の分泌量、乾燥の程度、そして年齢や生活背景を総合的に診察し、病態のステージを判定します。

その上で、数ある治療薬の中から個々の患者に最も適した組み合わせを選択します。例えば、乾燥肌の患者には刺激の少ない製剤を選んだり、炎症が強い場合は内服薬を併用したりといった微調整が行われます。

自己判断で市販薬を選び、肌質に合わないものを使用し続けると、逆にかぶれ(接触皮膚炎)を起こし、赤みを悪化させるケースも少なくありません。専門家による「診断」と、それに基づく「処方」こそが治療のスタートラインです。

皮膚科領域における標準治療とガイドライン

日本の皮膚科学会が策定する治療ガイドラインにおいて、赤ニキビへのアプローチは科学的根拠に基づいて推奨度が明確に定められています。現在、世界標準となっているのは「急性期の炎症鎮静」と「維持期の寛解維持」を分けた戦略です。

漫然と薬を使い続けるのではなく、肌の状態に合わせて治療フェーズを切り替えていくことが、副作用を抑えつつ最大の効果を得るために必要です。ここでは、保険診療で受けられる標準的な治療の全体像について解説します。

急性炎症期における治療戦略

赤く腫れ上がっている時期(急性期)は、アクネ菌の増殖を抑え、炎症を一刻も早く鎮めることが最優先課題です。この段階では、抗生物質の内服や外用、そして過酸化ベンゾイルなどの殺菌作用を持つ薬剤を集中的に投入します。

炎症が長引くほど組織破壊が進み、ニキビ痕になるリスクが高まるため、この時期の治療は時間との勝負でもあります。医師は患者の皮膚の状態を見極め、副作用のリスクを説明した上で、強力な薬剤を処方します。

この期間は通常、数週間から3ヶ月程度続きます。症状の改善度合いを見ながら、徐々に薬の量や種類を調整していくため、定期的な通院と医師による経過観察が必要不可欠となります。

面ぽう(コメド)治療による再発予防

赤ニキビが治まった後も治療は終わりではありません。目に見えない微細な毛穴の詰まり(マイクロコメド)が存在する限り、ニキビは何度でも繰り返します。これを防ぐために行うのが維持療法です。

アダパレンなどのレチノイド様作用を持つ薬剤を使用し、毛穴の角化異常を正常化させます。これにより、新たなニキビができにくい肌環境を整え、再発の連鎖を断ち切ることが可能になります。

皮膚科治療の進行フロー

一般的な治療の流れは以下のようになります。急性期の火消しから維持期の予防まで、段階を追って進めていきます。

  • 診察による重症度判定(軽症・中等症・重症・最重症)を行い、治療方針を決定する。
  • 急性炎症期には、抗菌薬と過酸化ベンゾイル等を併用し、強力に炎症を鎮静化させる。
  • 移行期に入り炎症が引き次第、耐性菌リスクを考慮して抗菌薬を減量・中止する。
  • 維持期では、アダパレン等を用いて毛穴詰まりを予防し、寛解状態を長期的に維持する。
  • 定期的な経過観察を行い、副作用のチェックや季節ごとのスキンケア指導を受ける。

多くの患者が急性期の治療だけで満足して通院を止めてしまいますが、この維持療法こそが「治らないニキビ」から脱却するための鍵を握っています。自己判断での中断は再発の最大の原因となります。

保険適用範囲内で可能な治療の選択肢

現在の日本の保険診療では、外用薬と内服薬の組み合わせにより、欧米の標準治療に近いレベルの質の高い医療が提供可能です。新しい配合剤の登場により、治療の選択肢は以前よりも格段に広がっています。

自由診療(ケミカルピーリングやレーザー治療など)も存在しますが、多くの赤ニキビは保険適用の薬剤を正しく使用することで十分な改善が見込めます。まずは標準治療を徹底することが推奨されます。

経済的な負担を抑えつつ、継続的に治療を受けられる点が保険診療の大きなメリットです。高額な美容施術を検討する前に、まずは保険診療で提供される標準治療を十分に試すことが、治療の王道と言えます。

赤ニキビを鎮静化する主要な外用薬の作用機序

皮膚科で処方される外用薬は、市販薬とは比較にならないほど特異的で強力な作用を持ちます。主に使用されるのは「アダパレン」「過酸化ベンゾイル(BPO)」「外用抗菌薬」の3種類、およびそれらの配合剤です。

それぞれの薬剤がどのように皮膚に働きかけ、赤ニキビを鎮静化させるのか、そのメカニズムを正しく理解することは非常に重要です。理解が深まることで、副作用への不安が減り、治療継続のモチベーション維持につながります。

アダパレンの角化調整作用

アダパレンはビタミンA誘導体に似た化学構造を持ち、表皮の角化細胞にある核内受容体に特異的に結合することで作用します。簡単に言えば、毛穴の出口の皮膚が厚く硬くなるのを防ぐ働きがあります。

この作用により、毛穴の詰まりを物理的に解消し、皮脂の排出をスムーズにします。すでにできている赤ニキビの炎症を直接抑えるだけでなく、その前段階である白ニキビや、目に見えない微小面ぽうの形成を阻害します。

使い始めに乾燥やヒリヒリ感が出やすい薬剤ですが、継続することで皮膚のターンオーバーが正常化します。結果として、ニキビができにくい滑らかな肌質へと根本から変化させることができるのです。

過酸化ベンゾイル(BPO)の酸化殺菌力

過酸化ベンゾイルは、皮膚に塗布されると分解してフリーラジカルという活性酸素を発生させます。ニキビの原因となるアクネ菌は酸素を嫌う「嫌気性菌」であるため、この酸素による直接的な攻撃で死滅します。

抗生物質とは異なり、菌の構造を酸化させて破壊するため、長期間使用しても耐性菌(薬が効かない菌)が出現しにくいという極めて大きな利点があります。これにより、長期間の継続使用が可能となります。

主要な処方外用薬の特徴一覧

各薬剤の特徴を理解し、医師の指示に従って正しく使い分けることが治療成功の秘訣です。

薬剤成分主な作用機序特記事項・注意点
アダパレン角質の厚化抑制、毛穴詰まり解消妊婦使用不可。初期に刺激感が出やすい。
過酸化ベンゾイル活性酸素による殺菌、ピーリング漂白作用があるため、衣類や髪への付着に注意。
外用抗菌薬アクネ菌のタンパク合成阻害等耐性菌を防ぐため、漫然とした長期連用は避ける。

過酸化ベンゾイルには軽いピーリング作用も併せ持ち、毛穴の詰まりを改善する効果も期待できます。赤ニキビ治療において、殺菌と角質剥離の両面からアプローチできる主力となる薬剤の一つです。

配合剤による相乗効果と治療効率

近年では、アダパレンと過酸化ベンゾイル、あるいは過酸化ベンゾイルと抗菌薬をあらかじめ混合した配合剤が処方の中心になりつつあります。これは単なる利便性の向上だけが目的ではありません。

2つの異なる作用機序を持つ成分で同時にアプローチすることで、単剤で使用するよりも高い治療効果が得られることが多くの臨床データで示されています。多角的な攻撃でニキビを追い詰める戦略です。

また、1日1回の塗布で済むため、患者の手間が減り、塗り忘れを防げる点も大きなメリットです。ただし、作用が強力になる分、乾燥や赤みといった随伴症状も現れやすくなるため、保湿ケアの徹底が必要です。

中等症以上で検討される内服薬のアプローチ

外用薬だけではコントロールが難しい、炎症が広範囲に及んでいる、あるいはしこりを伴うような強い炎症がある場合、内服薬(飲み薬)の併用を行います。外側からだけでなく、内側からも攻める治療法です。

体の内側から血流に乗って薬剤を届け、炎症に関わる因子を全身的に抑制し、治療スピードを加速させる役割を担います。主に抗生物質、漢方薬、ビタミン剤などが患者の状態に合わせて処方されます。

抗生物質による菌の抑制と抗炎症作用

赤ニキビ治療で処方される抗生物質(ドキシサイクリン、ミノサイクリン、ロキシスロマイシンなど)は、単にアクネ菌を殺すだけが目的ではありません。実は、菌以外の作用も期待されています。

これらの薬剤には、菌が出す炎症誘発物質(リパーゼなど)の産生を抑えたり、好中球などの白血球が炎症部位へ集まる遊走を抑制したりする「抗炎症作用」があります。これにより、赤みや腫れを速やかに引かせます。

即効性が高く、飲み始めて数週間で劇的に赤みが引くことも多いですが、あくまで「急性期の火消し役」です。漫然と何ヶ月も飲み続けると、腸内環境の悪化や薬剤耐性菌の出現を招くリスクがあります。

漢方薬による体質改善への補助

西洋薬が病原菌や症状を直接的に叩く対症療法的な側面が強いのに対し、漢方薬は「ニキビができやすい体質」そのものの改善を目的として補助的に用いられます。全身のバランスを整えるアプローチです。

赤ニキビに対しては、排膿を促す作用や、身体にこもった熱や炎症を冷ます作用を持つ処方(清上防風湯、十味敗毒湯、荊芥連翹湯など)がよく選ばれます。個人の体質(証)に合わせて処方されます。

内服治療における注意すべきポイント

内服薬の効果を最大限に引き出し、副作用を防ぐために守るべきルールがあります。

  • 抗生物質は医師の指示通りに飲み切り、自己判断で中断したり量を減らしたりしない。
  • 耐性菌の発生を防ぐため、原則として3ヶ月以上の抗生物質の漫然投与は避ける。
  • めまいやふらつき、胃腸障害などの症状が出た場合は、直ちに服用を中止し医師へ相談する。
  • 漢方薬は吸収効率を高めるため、原則として食前または食間の空腹時に服用する。

特にホルモンバランスの乱れやストレス、生理不順などが背景にある成人女性のニキビに対して、漢方薬は有効な場合があります。抗生物質と併用することで、治療期間の短縮や再発率の低下が期待できます。

ビタミン剤の役割と限界

皮膚科では、ビタミンB2やB6、ビタミンCなどが処方されることもあります。これらは皮脂分泌の調整や、皮膚の再生、抗酸化作用をサポートする目的で出されますが、あくまで補助的な位置づけです。

ビタミン剤を飲むだけで劇的に赤ニキビが治ることは稀です。基本となる外用薬治療をしっかりと行った上で、栄養面からの底上げとして活用するのが正しいスタンスです。過度な期待は禁物です。

副作用「随伴症状」との付き合い方と継続の重要性

赤ニキビの標準治療薬、特にアダパレンや過酸化ベンゾイルを使用する際、多くの患者が直面するのが「随伴症状(ずいはんしょうじょう)」です。これは薬が効き始める過程で起こる皮膚の反応です。

アレルギーによる副作用とは区別して考える必要がありますが、不快感を伴うため治療脱落の大きな原因となります。この時期をどう乗り越えるかが、治療成功の分かれ道となります。

初期に現れる乾燥・赤み・ヒリヒリ感

治療開始から2週間以内に、多くの患者が塗布部位の乾燥、皮膚の剥離(皮むけ)、赤み、ヒリヒリ感を経験します。これは薬の作用によって角質が薄くなり、皮膚の代謝が急激に促進されている証拠でもあります。

多くの患者が驚いて「薬が合わない」と判断し、使用を中止してしまいます。しかし、この反応は通常、肌が薬に慣れてくる1ヶ月程度で自然に治まります。ここが我慢のしどころです。

この不快な期間を乗り越えた先に、ニキビができにくい滑らかな肌が待っています。自己判断で中止せず、保湿を強化するなどの対策を行いながら、継続することが何より大切です。

刺激を最小限に抑える使用テクニック

随伴症状が強く出て生活に支障がある場合は、医師と相談して塗り方を工夫します。例えば、毎日塗らずに「2日に1回」や「3日に1回」へと間隔を空けることで、肌への負担を減らすことができます。

また、塗布後15分〜30分程度で洗い流す「ショートコンタクト法」という使い方も有効です。薬剤が皮膚に接触する時間を短くすることで、効果を維持しつつ刺激を大幅に軽減することが可能です。

洗顔直後の無防備な肌に直接薬を塗るのではなく、先に化粧水や乳液で十分に保湿をしてから、その上から薬を塗るのも良い方法です。個人の肌質に合わせて微調整を行いながら、とにかく「続ける」ことが治療の核心です。

随伴症状が出た時のNG行動

刺激を感じた時にやってしまいがちな行動ですが、以下のことは避けてください。

  • 自己判断で「薬が合わない」と決めつけ、医師に相談なく使用を完全に中止すること。
  • 皮むけが気になり、無理やり指で剥がしたりスクラブで擦り取ろうとしたりすること。
  • 化粧水などを塗る際に、浸透させようとして強い力でパッティングを行うこと。
  • 角質が薄くなっている状態で、紫外線対策を怠り直射日光を長時間浴びること。

治療効果判定までの期間の目安

赤ニキビの治療は、塗って翌日に治る魔法のようなものではありません。皮膚のターンオーバーは約28日周期ですが、乱れた角質が整い、深部の炎症が完全に鎮まるには、その数倍の期間を要します。

一般的に、治療の効果を判定するには最低でも3ヶ月の継続が必要とされています。「1週間使ったが変わらない」と諦めるのは時期尚早です。長い目で肌の変化を観察し、焦らず治療に取り組む姿勢が求められます。

間違ったセルフケアの修正とスキンケアの役割

どれほど優れた薬を使用していても、毎日のセルフケアが肌にダメージを与えていては、治療効果は半減してしまいます。特に赤ニキビに悩む人は、「汚れを落とさなければ」という強迫観念を持ちがちです。

その結果、過剰な洗浄や摩擦によるケアに走ってしまうケースが後を絶ちません。ここでは、治療を妨げないための正しいスキンケアの定義について、皮膚生理学の観点から解説します。

「洗いすぎ」が招くバリア機能の低下

皮脂を敵視するあまり、一日に何度も洗顔したり、脱脂力の強すぎる洗顔料を使ったりすることは逆効果です。必要な皮脂まで奪われると、肌は乾燥を防ごうとして防御反応を起こします。

その結果、かえって過剰に皮脂を分泌するようになり、いわゆる「インナードライ」の状態を招きます。さらに、角層のバリア機能が壊れることで、外部刺激に対して敏感になり、炎症が悪化しやすくなります。

洗顔は朝晩の2回にとどめるのが鉄則です。たっぷりの泡を立て、その泡をクッションにして手が直接肌に触れないように洗います。熱いお湯は皮脂を奪うため、32〜34度程度のぬるま湯ですすぐことも重要です。

ノンコメドジェニック製品の活用

治療中は、使用する化粧品選びも慎重に行う必要があります。「ノンコメドジェニックテスト済み」という表記がある製品を選ぶことが、新たなニキビを作らないための第一歩です。

これは、実際に人の肌でテストを行い、ニキビの初期段階であるコメドができにくいことが確認されている製品です。ただし、これは「すべての人にニキビができない」ことを保証するものではありません。

治療中のスキンケアアイテム選定基準

アイテム選びに迷った際は、以下の基準を参考にしてください。肌への優しさが最優先です。

アイテム選ぶべき基準避けるべき成分・特徴
クレンジングジェルやミルクタイプ、摩擦レス拭き取りシート、脱脂力の強いオイル
洗顔料泡立ちが良いもの、マイルドな洗浄力スクラブ入り、清涼感が強すぎるもの
保湿剤ノンコメドジェニックテスト済み油分過多なクリーム、高刺激な美容液

特に油分の多いこってりとしたクリームやオイルは、アクネ菌の餌になり得るため注意が必要です。医師の指示がない限り、さっぱりとした使い心地のジェルや乳液を選ぶのが無難です。

物理的刺激の徹底排除

日常生活の中には、無意識のうちに肌に刺激を与えている場面が多々あります。髪の毛先が患部に触れる、頬杖をつく、マスクの着脱を繰り返すといった行為は、すべて赤ニキビの炎症を増悪させます。

気になって鏡を見るたびに指で触れてしまう癖がある人は、意識的に手を顔から遠ざける努力が必要です。指先には多くの雑菌が付着しており、触れることは感染のリスクを高める行為です。

また、枕カバーやタオルなどのリネン類も常に清潔を保つ必要があります。肌に触れるものはすべて「刺激源」になり得ると認識し、可能な限り摩擦をゼロに近づける生活を心がけることが、早期治癒への近道です。

再発を防ぐための生活習慣とインナーケア

皮膚は「内臓の鏡」と言われるように、身体内部の状態はニキビの発生に大きく関与します。薬で表面上の症状を抑え込んでも、生活習慣が乱れていれば、治療終了後に再発するリスクが高まります。

根本的な解決を目指すためには、薬物療法と並行して生活習慣の改善に取り組むことが重要です。ホルモンバランス、食事、睡眠の3つの観点から、赤ニキビができにくい体作りについて考えます。

高GI食品と乳製品の影響

食事とニキビの関係については長年議論が続いていますが、近年の研究では、血糖値を急上昇させる「高GI食品」や、特定の「乳製品」がニキビを悪化させる可能性が指摘されています。

血糖値が急上昇すると、インスリンというホルモンが大量に分泌されます。これが連鎖的にIGF-1(インスリン様成長因子)を増やし、皮脂分泌を促す男性ホルモンの働きを活性化させてしまうのです。

甘い菓子パン、スナック菓子、清涼飲料水などを日常的に摂取している場合は、それらを控えるだけでも皮脂の質や量が変わる可能性があります。極端な食事制限はストレスになりますが、糖質の質と量を見直すことは有効です。

睡眠の質と成長ホルモンの関係

睡眠中は、皮膚のダメージを修復する成長ホルモンが活発に分泌されます。睡眠不足が続くと、この修復プロセスが滞るだけでなく、ストレスに対抗するホルモン(コルチゾール)が増加します。

コルチゾールには皮脂分泌を促進し、同時に免疫力を低下させる作用があるため、赤ニキビが悪化しやすくなります。睡眠は単なる休息ではなく、積極的な治療の一環と捉えるべきです。

「22時から2時がゴールデンタイム」という説に固執する必要はありませんが、まとまった時間の質の高い睡眠を確保することは大切です。就寝前のスマホ使用を控えるなど、自律神経を整える工夫が必要です。

見直すべき生活習慣チェックリスト

ご自身の生活を振り返ってみてください。以下の項目に当てはまるものがあれば、改善の余地があります。

  • 糖分や脂肪分の多い食事を、週に何度も摂取していないか。
  • 入浴をシャワーだけで済ませ、身体を温める機会を逃していないか。
  • 便秘を放置し、腸内環境が悪化している状態が続いていないか。
  • ストレスを一人で抱え込み、適切に発散する場がない状態ではないか。

ストレスコントロールとホルモンバランス

精神的なストレスは、脳の下垂体を刺激し、副腎皮質ホルモンや男性ホルモンの分泌を促します。これが皮脂腺を直接刺激し、「ストレスニキビ」と呼ばれる難治性のニキビを引き起こします。

特に顎周りやフェイスラインにできる赤ニキビは、ホルモンバランスの影響を強く受けやすいとされています。大人のニキビが治りにくい原因の一つもここにあります。

ストレスを完全にゼロにすることは現代社会では不可能ですが、自分なりのリラックス方法を持つことは重要です。軽い運動を取り入れて血流を良くすることなどは、薬の効果を底上げするインナーケアとして非常に有効です。

よくある質問

ここでは、赤ニキビの治療に関して患者様から頻繁に寄せられる疑問について、医学的な観点から回答します。

Q
赤ニキビはどれくらいの期間で治りますか?
A

個人差や重症度によりますが、皮膚科での適切な治療を開始してから、新しいニキビができにくくなり、赤みが目立たなくなるまでには通常3ヶ月程度かかります。

最初の1ヶ月は薬の反応を見る導入期、2ヶ月目で徐々に改善を実感する時期、3ヶ月目で安定期に入るといった経過をたどることが一般的です。即効性を求めすぎず、根気強く治療を継続することが大切です。

Q
治療中にメイクをしても大丈夫ですか?
A

基本的にはメイクをしても問題ありません。むしろ、赤みをカバーすることでストレスを軽減できるなら推奨される場合もあります。ただし、選び方には注意が必要です。

毛穴を塞ぎにくいノンコメドジェニックテスト済みのファンデーションや、石鹸で落とせるタイプのミネラルコスメなどを選ぶことをお勧めします。コンシーラーの厚塗りは避けてください。

また、帰宅後はすぐにメイクを落とし、肌の負担を減らすよう心がけてください。パフやブラシを清潔に保つことも忘れてはいけない重要なポイントです。

Q
治療薬を使っている間、妊娠しても大丈夫ですか?
A

処方薬の種類によって対応が異なります。特にアダパレンや一部の抗生物質(テトラサイクリン系など)は、胎児への影響が懸念されるため、妊娠中や妊娠の可能性がある場合は使用できません。

妊活中の方や妊娠が判明した方は、直ちに医師に申し出てください。妊娠中でも使用可能な外用薬(過酸化ベンゾイルや一部の抗菌薬など)や漢方薬へ切り替えることで、安全に治療を継続することは可能です。

Q
ニキビ跡を残さないためにはどうすればいいですか?
A

最も重要なことは、炎症を早期に鎮火させることと、絶対に自分で潰さないことです。炎症が長引くほど、皮膚深部の組織が破壊され、クレーター状の跡が残りやすくなります。

また、自分で潰すと雑菌が入り炎症が拡大したり、真皮を傷つけて色素沈着や瘢痕の原因になったりします。赤ニキビができたら触らず、速やかに皮膚科を受診して薬物療法を開始することが、ニキビ跡予防の最善策です。

参考文献