フィナステリドを用いたAGA治療を始めると、飲み始めの時期に抜け毛が増えることがあります。

これをいわゆる「初期脱毛」と呼びますが、見た目に大きな変化が出るため不安を感じる方も多いようです。

しかし、この抜け毛には明確な理由があり、正しく理解し対策を取ると乗り越えやすくなります。

目次

フィナステリドと初期脱毛の概要

フィナステリドでAGA治療を始めた際に見られる抜け毛の増加は、多くの方が経験する一時的な現象です。

はじめに、フィナステリドの特徴と初期脱毛の関係を整理し、治療開始時におさえておきたい基本的な知識について触れます。

フィナステリドが与える作用

フィナステリドは男性ホルモン(テストステロン)が変換されてできるジヒドロテストステロン(DHT)の産生を抑える働きを持ちます。

DHTは毛包を弱らせ、抜け毛の原因の一つになる物質と考えられています。

フィナステリドを服用するとDHTが減るため、毛包に過度なダメージが及びにくくなり、結果的に抜け毛の進行を遅らせることが期待できます。

ただし、作用が現れ始めるまでには時間がかかるため、途中で効果を判断せず根気よく続ける必要があります。

初期脱毛とは

治療開始から数週間ほどの時期に、普段よりも抜け毛が目立つようになることがあります。

これが一般的に「初期脱毛」と呼ばれる現象です。フィナステリドの効果によってヘアサイクルが整えられる過程で、古い毛髪が押し出されて抜けてしまうのが一因とされています。

一見すると症状が悪化したように見えますが、多くの場合、これは治療過程の一環であると考えられます。

服用開始後の経過と注意点

フィナステリドを飲み始めた初期には、急激な変化を実感しやすいものの、あくまでも一時的な現象にすぎません。

以下のような流れで経過を見ていくと理解しやすいでしょう。

時期経過
服用開始後1~2か月抜け毛が増え、地肌が見えやすくなることがある
服用開始後3~6か月抜け毛が落ち着き、髪のボリュームを少しずつ感じ始める
服用開始後6か月~1年個人差はありますが、毛髪のコシや発毛の実感が得られるケースが増える

薬の服用を中断したり自己判断で量を変えたりすると、症状の改善が遅れる場合があります。医師から指示された用量用法を守ることが重要です。

治療を継続する上で押さえておきたいポイント

  • 服用開始直後の抜け毛増加は一過性である可能性が高い
  • 焦りから用量を増やしても効果は高まらない
  • 食生活や睡眠など生活習慣を見直し、トータルで髪の健康を考える

初期脱毛が起こる原因

初期脱毛に直面すると不安が募りますが、その背景にはヘアサイクルや体内のホルモン環境の変化が関係しています。

ここでは、なぜ治療の初期段階で抜け毛が増えるのかを説明します。

ヘアサイクルの変化

髪の成長には、成長期、退行期、休止期といったヘアサイクルがあります。

フィナステリドの服用によってDHTの生成が抑えられると、ダメージを受けていた毛包が回復へ向かいます。

しかし、これまで弱っていた毛髪は新しい髪に押し出される形で抜けることがあります。そのため、一時的に抜け毛の量が増加するのです。

段階特徴期間の目安
成長期毛母細胞が活発に分裂し髪が伸びる2~5年
退行期毛髪の成長が止まり毛根が縮む約2~3週間
休止期毛根が休止状態になり抜けやすくなる約3~4か月

毛包環境の改善による一時的な抜け

AGAによってダメージを受けた毛包は、内側から立て直す必要があります。

フィナステリドによるホルモンバランスの変化が起きると、毛包周辺の細胞が活性化し、新たな成長を促します。これに伴い、古い髪が抜けるため、見た目の抜け毛の量が多くなるときがあります。

治療過程で生じる自然な抜け毛なので、むやみに恐れる必要はありません。

フィナステリドの濃度と反応差

フィナステリドは体質や代謝の個人差によって、吸収や効果の感じ方に違いが出ます。

同じ用量であっても、ある人には早期に初期脱毛が起こり、別の人にはほとんど目立たない場合もあります。

極端な用量の変更は推奨されませんが、疑問があれば医療機関に相談しながら進めていくと安心です。

AGA特有の症状との関連

AGA(男性型脱毛症)は頭頂部や生え際から徐々に進行し、ヘアサイクル全体が短くなることで抜け毛が増えます。

フィナステリドはこの進行を抑制する効果を期待できますが、変化が起こる過程で毛髪の抜け方や生え方にも変動が出るため、一時的に抜け毛が増えるケースがあります。

AGA症状の進行を考える上での要点

  • 生え際や頭頂部の抜け毛が目立ちやすい
  • 早めにケアを始めると後々の改善に期待しやすい
  • フィナステリドによる初期脱毛は毛髪サイクル調整の一環

初期脱毛を和らげる対策

初期脱毛は治療による一時的な現象とはいえ、人によっては心理的負担が大きいものです。

そこで、少しでも抜け毛の増加を和らげるための対策を紹介します。

生活習慣の見直し

髪の健康には睡眠や食事、運動などの生活リズムが深く関係します。夜更かしや偏った食生活は血行不良を招き、頭皮環境に悪影響を及ぼします。

生活習慣を整え、休養と栄養を十分にとる心がけが、フィナステリド治療を後押しする意味でも重要です。

髪と頭皮を健やかに保つ習慣

習慣内容とメリット
規則正しい睡眠成長ホルモンの分泌を促し、髪の成長サイクルを整えやすくする
バランスの良い食事タンパク質・ビタミン・ミネラルを適度に摂取し髪の材料を補う
適度な運動血行を促進し、頭皮への栄養供給をスムーズにする
ストレスの軽減自律神経の乱れを防ぎ、ホルモンバランスに良い影響をもたらす

栄養バランスの確保

髪の主成分であるケラチンはタンパク質です。さらに、ビタミンB群や亜鉛などのミネラルも毛髪形成を助けます。

一方、過度なダイエットや偏食は髪の成長を阻害する可能性があります。

サプリメントも選択肢の一つですが、基本は食事から栄養をとるのが理想です。

メンタル面のケア

初期脱毛で抜け毛の増加を目にすると、強い不安やストレスを抱える方もいます。

しかし、ストレスは血管の収縮やホルモンバランスの乱れを引き起こし、髪や頭皮に悪影響を及ぼす場合があります。

マインドフルネスや趣味を楽しむ時間を意識的に作るなど、心身のリラックスを図ると良いです。

医師への相談

初期脱毛が長引く、あるいは抜け毛が異常に多いと感じる場合には、自己判断せずに受診を検討しましょう。

フィナステリドと頭皮の状態を照らし合わせ、追加の治療や検査が必要かどうかを見極められます。

初期脱毛に対処する上での行動指針

  • 抜け毛が増えた時期や量をメモしておく
  • 食事内容や生活リズムを日記形式で確認する
  • 疑問や不安を感じたら早めに専門医に相談する

フィナステリドと他の治療法の併用

フィナステリドによる治療は単独でも一定の効果が期待できますが、より早い改善や相乗効果を目指す場合、他の治療法との併用が考えられます。

ここでは、代表的な併用方法と各治療法の特徴をまとめます。

外用薬との組み合わせ

AGA治療では、外用薬も選択肢の1つとしてよく使われます。

ミノキシジルを含む製剤は血行を促進することで発毛をサポートし、フィナステリドが抑制するホルモンの働きとは別の角度から毛髪環境を整えます。

内服薬と外用薬を併せると、根本と局所の両面から働きかけられます。

内服薬と外用薬の役割

種類役割主なポイント
フィナステリドDHTの産生を抑制抜け毛の進行を抑える
ミノキシジル血管拡張作用で頭皮の血行を促進発毛サイクルを支える

育毛メソセラピーなどの補助治療

頭皮に直接有効成分を注入する育毛メソセラピーをはじめ、さまざまな補助的な治療法が存在します。

レーザーや高周波の機器を使った方法などもあり、それぞれ効果や費用、通院の負担が異なります。

フィナステリド単独では改善に時間がかかる場合や、より積極的なケアを望む場合に検討する価値があります。

自毛植毛との違い

自毛植毛は、後頭部など比較的毛髪が豊富な部分から健康な毛根を採取し、薄い部分に移植する方法です。

フィナステリドとの違いは、抜け毛の進行を抑えるか、すでにある髪を移植してボリュームを増やすかという作用の違いにあります。

必要に応じて両者を組み合わせると、移植後の抜け毛リスクを軽減することも期待できます。

クリニックの選び方

AGA治療は継続が基本です。クリニックを選ぶ際は、通いやすさ、費用、医師やスタッフの対応、治療方法の多様性などを総合的に見極めることが大切です。

初回カウンセリングで納得いく説明を受けられるかどうかも、判断のポイントになります。

AGA治療を行う医療機関を選ぶときの着目点

  • 通院の負担(場所・時間・費用)
  • 医師やスタッフの専門知識
  • 複数の治療メニューを提案できるか
  • カウンセリングやフォローアップの充実度

フィナステリド服用中の注意点

フィナステリドはAGA治療で広く使われている薬剤ですが、使用の際にはいくつかの注意が必要です。

ここでは、安全かつ効果的に続けるために知っておきたいポイントをまとめます。

処方通りの継続

フィナステリドは長期的な服用が前提となります。勝手に量を増やしたり、短期間で効果を判断して中止したりすると、十分な効果を得られない可能性が高まります。

処方された通りに毎日継続し、長期視点で様子を見ると良いでしょう。

副作用への理解

フィナステリドには性機能低下や肝機能への影響などの副作用のリスクが報告されています。

いずれも頻度は高くないとされていますが、何らかの体調不良を感じた場合は、自己判断で中断せずに医師へ相談すると安心です。

よく挙げられる副作用

種類主な症状対処法
性機能への影響勃起機能の低下、 libidoの変化医師に相談し、必要に応じて検査や用量調整を行う
肝機能への影響血液検査で数値が変動する場合あり定期検査で早期に変化を確認し、問題があれば相談
頭痛やめまい個人差が大きい状況に応じて医師と協議

併用禁忌の把握

フィナステリドは基本的に男性のAGA治療を対象としています。女性や未成年に対しては原則として処方が行われないのが通例です。

また、他に服用している薬がある場合は、飲み合わせに問題がないか医師と事前に確認する必要があります。

安心して服用を続けるための心得

  • 飲み忘れを防ぐための工夫(タイマー設定など)
  • 定期的に血液検査などを行い、身体の状態を把握する
  • 医療スタッフに相談しやすい環境を整える

安全性とリスク管理

フィナステリドは安全性が比較的高いとされていますが、薬である以上リスクはゼロではありません。

服用によって得られるメリットとリスクを理解し、上手にリスク管理を行うことで、より安心して治療を続けられます。

フィナステリドの作用機序と安全性

ジヒドロテストステロンの産生を抑えることによって抜け毛の進行を食い止めるフィナステリドは、海外を含め幅広く臨床使用されてきました。

適切に用量を守れば、大半の方は副作用を大きく感じることなく継続できるといわれています。

ただし、まれに体質との相性から副作用を訴える方もいるため、医師との情報共有が必要です。

定期検査と服用管理

長期的に服用する場合、半年に1回程度の血液検査を推奨するクリニックも多くあります。

肝機能などを確認し、体に負荷がかかっていないかをチェックすると、安心して治療を続けやすくなります。

検査結果によっては、用量の調整や他の治療法への切り替えを検討することも選択肢となります。

リスクと効果のバランス

フィナステリドによる抜け毛抑制は、多くの患者さんにとって大きなメリットです。一方、わずかながら存在する副作用や初期脱毛に対する不安も無視できません。

これらを天秤にかけた際に、メリットが上回ると判断できる場合に治療を続けるのが一般的です。

体調やメンタルが不安定な時期に、改めて医師と相談しながら方針を決めるのもよいでしょう。

リスク管理のために意識しておきたい点

  • 定期的な血液検査による健康状態の確認
  • 症状日誌の作成(副作用の有無や髪の状態を記録)
  • 家族やパートナーにも理解を得ておく

周囲の理解とサポート

AGA治療は自分の見た目や自信に関わることでありながら、周囲になかなか言い出しにくい側面があります。

とはいえ、一人で悩むよりも家族や友人のサポートを得ることでストレスが減り、治療効果を高める可能性もあります。

信頼できるクリニックのスタッフに気軽に相談できる環境も整えましょう。

身近な人に治療を理解してもらうためのヒント

方法具体例
正確な知識を伝えるフィナステリドの作用やAGAのメカニズムを説明する
治療目的や方針を共有するどんな経緯で治療を始めたか、自分がどうなりたいのか
わからない点は一緒に調べるオンライン情報やクリニックの案内を一緒に読む

フィナステリドによる改善の目安

フィナステリドを飲み始めると、早ければ数か月で髪の変化を感じる方もいれば、半年以上経ってからようやく効果を実感できる方もいます。

効果を数値化するのは難しいものの、いくつかの客観的な目安を押さえておくと継続の励みになるでしょう。

毛髪ボリュームの変化

髪全体のボリュームが増したと感じられるかどうかは、大きな指標です。

具体的には「セットがしやすくなった」「頭皮が透けにくくなった」などの変化をきっかけに、改善を実感するケースが多いです。

ただし、毎日自分の髪を見ていると変化に気づきにくい場合もあります。

発毛実感までの期間

多くの臨床データでは、フィナステリドによる発毛実感には3か月~6か月程度かかるとされています。

初期脱毛のピークを越えた後に、じわじわと抜け毛の減少や髪のハリ・コシの向上を感じやすくなります。即効性を求めず、長い目で観察するようにしましょう。

フィナステリドの効果を判断するまでの流れ

時期主な変化
1~2か月目初期脱毛が目立つ場合があり、不安を感じやすい
3~4か月目抜け毛が落ち着き始め、髪質や頭皮環境が良くなったと感じることも
5か月目以降ボリュームアップを自覚するケースが増えてくる

経過観察のポイント

毎日少しずつ変化していく髪の状態を把握するためには、月に1回程度写真を撮影しておく方法がおすすめです。

頭頂部や生え際など、気になる箇所を同じ条件(照明・角度)で撮影すると、細かな変化を捉えやすくなります。

定期的な検診の意義

AGAは進行性の症状であるため、治療を始めても放っておけば抜け毛が再び増えるリスクがあります。

定期的に医療機関を受診し、頭皮の状態や治療効果、副作用の有無などの総合的なチェックは、改善の実感と安全性を両立する上でも大切です。

治療効果を高める習慣づくりのためのポイント

  • 定期的な頭皮マッサージで血流を促す
  • 低刺激性シャンプーで頭皮トラブルを防ぐ
  • 医師からのアドバイスを都度取り入れる

フィナステリドを使う上でのQ&A

AGA治療をこれから始める方や、すでにフィナステリドを使用している方からは、さまざまな疑問が寄せられます。ここでは代表的な質問をまとめました。

Q
初期脱毛は必ず起こるのですか?
A

必ずしも全員に起こるとは限りません。

しかし、多くの方が治療開始後に抜け毛の増加を実感し、それを「初期脱毛」と呼ぶことが多いです。症状の程度には個人差があります。

Q
初期脱毛が不安で治療を続けるか迷っています
A

初期脱毛は一時的な現象と考えられます。長期的に見るとフィナステリドは抜け毛を抑える効果が期待できますので、途中でやめると本来得られるはずのメリットを逃す可能性があります。

どうしても不安な場合は、通院先のクリニックで相談してください。

Q
女性がフィナステリドを服用しても大丈夫ですか?
A

フィナステリドは男性型脱毛症に対して処方される薬です。女性の脱毛症にはホルモンの影響や治療法が異なる場合が多いため、女性への処方は行わないのが一般的です。

Q
途中で薬の服用をやめるとどうなりますか?
A

フィナステリドの服用を中止すると、再びDHTが増えやすい状態に戻る可能性があります。

結果として抜け毛が再度進行し、せっかく改善した髪のボリュームが減ることも考えられます。やめる際も医師に相談し、治療計画を見直すのが理想です。

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