スピロノラクトンは、利尿作用やホルモン調整作用を期待できる薬として、高血圧や心不全などの循環器領域だけでなく、むくみの改善やAGAなどの薄毛治療に用いられることがあります。

ただし、さまざまな副作用を伴う可能性があるため、正しい知識を持って服用することが大切です。

目次

スピロノラクトンとは?

スピロノラクトンは、体内のアルドステロン受容体に働きかけて血液中のナトリウムや水分の排出を促す薬です。

循環器系の疾患やホルモンが関与する不調に役立つ一方で、副作用のリスクもあります。

薬の特徴

スピロノラクトンは、利尿作用と抗アルドステロン作用を併せ持つ薬です。

アルドステロンは体内の水分やナトリウム調節にかかわるホルモンで、この薬は過剰な水分を排出しやすくし、血液量や血圧の調整に働きかけます。

さらに、女性の体内で男性ホルモンを抑える方向に作用することも知られています。

そのため、高血圧や心不全といった循環器疾患のほか、女性における多毛症やニキビの緩和にも用いられることがあります。

スピロノラクトンと主な特徴

項目内容
薬剤分類抗アルドステロン薬・カリウム保持性利尿薬
作用の中心アルドステロン受容体を阻害して体内の水分排出を促す
用途の一例高血圧、心不全、むくみ、多毛症、ニキビなど
ホルモンへの影響男性ホルモンを弱める方向に働く
注意が必要な臓器機能腎臓、肝臓など

スピロノラクトンは、単なる利尿薬という枠を超え、ホルモンバランスに働きかける点が特徴といえます。

作用機序の概要

スピロノラクトンは体内でアルドステロンが結合する受容体を阻害し、腎臓でナトリウムと水の再吸収を抑制します。この結果、尿量が増えて血圧や体内の水分量がコントロールされやすくなります。

また、アルドステロンは血管や心臓組織にも影響を及ぼすため、心不全の悪化予防にも繋がる可能性があります。

さらに、男性ホルモンの一部に対して拮抗作用を示すため、薄毛や多毛症の改善を促すことも期待されます。

薬の作用機序

  • アルドステロン受容体をブロック
  • ナトリウムと水分を尿中へ排出しやすくする
  • 血圧や体液量をコントロールしやすくする
  • 男性ホルモンを抑制する方向に作用
  • 血管や心臓への過度なストレスを軽減させる

このような作用機序ゆえに、多方面の症状改善を期待できますが、その分慎重な服用管理が必要です。

さまざまな治療分野での活用

スピロノラクトンは高血圧や心不全以外にも、肝硬変による腹水や腎不全の方のむくみ改善、女性のホルモン異常からくる肌トラブルのコントロールなど、多彩な活躍の場があります。

特に「AGAなどの薄毛改善への期待」という面では、女性ホルモンと男性ホルモンのバランス調整に寄与する可能性が注目を集めています。

スピロノラクトンが活用される分野

分野活用例
循環器高血圧、心不全など
皮膚科多毛症、ニキビ、アンチアンドロゲン効果
肝臓病・腎臓病腹水、むくみ
ホルモンバランス関連生理不順の改善、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)
薄毛治療(AGA含む)男性ホルモン抑制による発毛サポート

こうした幅広い適用分野は、スピロノラクトンの特異な作用機序によるものです。

ただし、それぞれの疾患や症状で求められる用量・副作用管理が異なるため、医師の指示に従って正しく使うことが大切です。

スピロノラクトンを使用する目的

スピロノラクトンは、血圧の調整や心不全の補助療法としての役割が知られていますが、それ以外にもむくみの解消やホルモンバランスの調整など、多岐にわたる目的で使われます。

ここでは、代表的な活用事例を紹介しながら、各目的における重要点を考えます。

高血圧や心不全への利用

利尿薬としての役割はもちろん、抗アルドステロン作用によって血管や心臓への過剰な負荷を軽くし、心不全患者の症状緩和に役立つと考えられています。

従来の利尿薬と違い、カリウムの喪失を抑える性質があるため、心不全患者の電解質管理にもメリットがあります。

心不全治療の検討ポイント

  • 高齢者では腎機能が低下している場合が多いため、医師が血中カリウム値を頻繁にチェックする
  • 他の降圧薬や利尿薬との併用で効果が強まる場合がある
  • 体重や血圧の自己管理が欠かせない
  • 血液検査で電解質や肝機能を定期的に確認する

高血圧や心不全は、長期的なコントロールが求められる疾患です。スピロノラクトンを使う際は、自己判断ではなく医療従事者との連携が重要です。

むくみと利尿作用

スピロノラクトンは強い利尿作用を持ち、体内の余分な水分を排出しやすくします。

塩分の摂取が多い現代食生活の中で、むくみに悩む人も少なくありませんが、単に服用すればよいというものではなく、原因となる病気の存在も確認する必要があります。

むくみの原因

原因スピロノラクトンの役割
塩分過多余分なナトリウムと水を排出し血圧低下をサポート
心不全心臓への負担を軽減して循環を助ける
腎機能低下カリウム保持性利尿薬として腎への負担軽減を狙う
ホルモンバランスの乱れアルドステロンや男性ホルモンを抑える働き

むくみの背景には、必ずしも水分の過剰摂取だけでなく、塩分の多い食事や生活習慣、基礎疾患の有無などが関係している場合があります。

むくみが長期間続くときは自己判断を避け、専門家の診察を受けましょう。

AGAや薄毛改善への期待

男性ホルモンのひとつであるDHT(ジヒドロテストステロン)が毛髪の成長を妨げることが知られていますが、スピロノラクトンは男性ホルモンの働きを抑える性質があるため、AGAにおける薄毛改善に利用されることがあります。

特に女性の薄毛に対しては、内服薬としてのメリットを見込むケースもあります。

AGA治療で考えたい利点

  • 男性ホルモンをブロックする方向に働く
  • 他のAGA治療薬(外用薬など)との併用で相乗効果を期待
  • むくみ改善など、他の効果も同時に得られる可能性
  • 比較的古くから使用歴があり、医師の経験も積み重なっている

ただし、副作用や個人差が大きい点を踏まえ、薬の導入時には注意深いカウンセリングと経過観察が求められます。

スピロノラクトン服用時にみられる副作用

利尿作用やホルモン調整作用を活用する一方で、スピロノラクトンには特有の副作用があります。

特に電解質バランスの崩れやホルモンへの影響はよく知られる問題です。

電解質バランスの変動

もっとも警戒されるのが高カリウム血症です。通常の利尿薬はカリウムが失われやすいものが多いですが、スピロノラクトンは逆にカリウムを体内に保持しやすくします。

その結果、カリウム値が上昇しすぎてしまうことがあります。

カリウム増加で起こりうる症状

  • 手足のしびれや脱力
  • 不整脈や心電図異常
  • だるさや息切れ
  • 吐き気や嘔吐
  • 重症化すると心停止のリスク

高カリウム血症は重大な合併症を引き起こすリスクがあるため、定期的な採血検査と症状のチェックが重要です。

性ホルモンへの影響

スピロノラクトンは男性ホルモンの働きを抑えますが、過度に働いた場合、男性においては乳房のはりや勃起機能の低下が、女性では生理不順などが生じる可能性があります。

これらは薬のホルモン拮抗作用に由来する副作用です。

性ホルモン関連の副作用と背景

性ホルモン関連症状背景
男性の乳房のはり(乳房肥大)男性ホルモンを抑えることで女性ホルモンとのバランスが変化
勃起機能の低下男性ホルモンの減少による性機能への影響
女性の生理周期の乱れ性ホルモンのバランスが変わり、排卵に影響する可能性
更年期世代の症状増悪既に変動しているホルモンバランスに薬が干渉して症状が強くなることがある

個人差は大きいですが、気になる症状が出た場合は早めに主治医に相談すると安心です。

肝臓や腎臓への負担

スピロノラクトンは主に腎臓で排泄されるため、腎機能が低下している方にとっては負担がかかりやすいです。

また肝臓でも代謝が一部行われるため、肝機能に問題を抱える方は副作用や薬の蓄積リスクが高まることがあります。

特に高齢者や基礎疾患のある方は、慎重に用量や服用回数を調整しながら使用します。

服用中に注意したい検査

  • 血清クレアチニン値(腎機能の指標)
  • eGFR(腎糸球体濾過量)
  • AST、ALT(肝機能の基本的な指標)
  • 血中カリウム、ナトリウム、クロール
  • 血糖値やHbA1c(糖尿病との併発リスク確認)

このような検査結果を総合的に判断し、薬を安全に使い続けられるかどうかを診断することが大切です。

女性と男性での違い

スピロノラクトンの作用や副作用は、ホルモンバランスに左右されやすいため、女性と男性では服用目的や注意点が異なることがよくあります。

服用目的の差

男性は主に高血圧や心不全、むくみなどを目的に処方されることが多いですが、女性はそれらに加えてホルモンバランスの乱れによる肌トラブルや薄毛の改善などで処方を受けるケースが多く見られます。

多毛症やニキビの制御を目的にした長期服用例も少なくありません。

男女で異なる処方傾向

性別よくある処方目的
男性高血圧、心不全、むくみ、AGA治療の補助など
女性多毛症、ニキビ、生理不順、薄毛改善など

男女どちらも血圧管理や心不全への応用は共通していますが、ホルモンに関わる症状では女性への活用が多い印象があります。

ホルモンバランスの違い

女性はエストロゲンやプロゲステロンが周期的に変動しますが、スピロノラクトンが男性ホルモンを抑える作用を持つため、その変化に上乗せされる形で体調が変わる場合があります。

一方で男性は女性ほどホルモンの周期的変動は少ないものの、AGA治療や勃起機能への影響に注意が必要です。

ホルモンバランスを意識した服用上の注意点

  • 女性は生理周期に合わせて症状が変動しやすい
  • 男性は性機能や筋力低下に留意する
  • 40代以降は加齢によるホルモン変動が重なりやすい
  • 避妊対策が必要な場合は事前に医師へ相談

ホルモンの乱れが体調不良や副作用の増悪に直結する場合もあるため、こまめに状態を把握して医師に報告することが大切です。

妊娠や授乳中の注意点

妊娠中や授乳中にスピロノラクトンを使用する場合、胎児や乳児への影響を考慮しなければなりません。

血圧コントロールが必要なケースでも、代替薬を選択することがあります。

自己判断で服用を続けると、思わぬリスクを生む可能性があるため、妊娠が判明した時点で処方医に報告しましょう。

妊娠や授乳時の対策

状況推奨される対応
妊娠計画中事前に主治医へ相談し、薬の切り替えや用量調整
妊娠中リスクとベ得られる効果を検討して可能な範囲で中止
授乳中安全性の高い薬に変更、もしくは授乳を中断検討

妊産婦は体内環境が大きく変動するため、非常に慎重な対応が求められます。

服用時に気をつけたいポイント

スピロノラクトンを安全に活用するには、用量や服用タイミングの守り方だけでなく、他の薬との相互作用や定期検査など、さまざまな要素に配慮する必要があります。

ここでは具体的な注意点を挙げながら、安心して治療を続けるための工夫を検討します。

用量と服用タイミング

医師が示す用量は、患者さんの年齢や腎機能、目的とする疾患などによって異なります。

朝と夜に分割して服用するケースもあれば、1日1回だけというケースもあります。

用量が多すぎると高カリウム血症などの副作用リスクが高まり、逆に少なすぎると十分な効果が得にくいです。

用量・服用時間

症状・目的1日の服用量服用回数
高血圧25mg~50mg程度1回または2回に分ける
心不全25mg~50mg程度1回または2回に分ける
むくみ・利尿目的25mg~100mg程度1回または2回に分ける
薄毛(AGA)改善25mg~100mg程度個人の状況によって調整

医師の指示を無視して自己判断で増減すると、予想外の副作用が出る恐れがあるため、必ず処方通りに守ってください。

他の薬との相互作用

高血圧治療薬や腎臓病治療薬、カリウムサプリメントなどと併用する場合は、カリウム値がさらに高くなるなど、思わぬ相互作用が起きる可能性があります。

病院で処方を受けている薬だけでなく、市販のサプリメントや漢方薬でも注意が必要です。

相互作用が想定される代表例

  • カリウムサプリメント:高カリウム血症のリスク増
  • 他の利尿薬:脱水や電解質異常のリスク増
  • ACE阻害薬:カリウム上昇や腎機能の悪化を誘発しやすい
  • β遮断薬:心拍数や血圧に影響し合う
  • NSAIDs(痛み止めなど):腎血流低下によるカリウム値上昇

複数の薬やサプリを併用している場合は、処方医や薬剤師にあらかじめ伝えることが大切です。

定期的な検査の重要性

スピロノラクトンでの治療を続けるうえで、定期的な血液検査や尿検査を受けることが望ましいです。

特に注意したいのはカリウム値や腎機能です。検査結果に応じて用量調整や薬の変更が行われる場合もあるため、面倒に思わず、積極的に医療機関での検査を受けましょう。

定期検査でチェックする主な項目

検査項目意義
カリウム高カリウム血症のリスク把握
ナトリウム電解質バランス異常の有無を確認
腎機能(eGFR)尿量や体調から推測しきれない負担を把握
肝機能(AST,ALT)薬の代謝や肝臓への影響を評価
血圧スピロノラクトンの効き目と副作用の指標

これらの値に加えて、糖尿病の有無や脂質異常症など、それぞれの状況に応じた追加検査を組み合わせることがあります。

副作用を防ぐ生活習慣

薬の効果を十分に引き出し、副作用をできるだけ回避するためには、食事や生活習慣にも配慮したいところです。

塩分や水分の摂り方、運動習慣などに注意を向けるだけでも血圧やむくみのコントロールに違いが出てきます。

日常生活で意識したいこと

  • 塩分は1日6g未満を目安に控えめにする
  • カリウムの多い食品(バナナ、ほうれん草など)は摂りすぎに気をつける
  • 適度な有酸素運動を行い、血流を促す
  • 過度なアルコールや喫煙は避ける
  • 体重・血圧を定期的に測定し、変化を把握する

薬だけに頼りきらず、生活スタイルそのものを見直すことで治療効果をより安定させることが期待できます。

AGAなどの薄毛治療におけるスピロノラクトン

薄毛治療の分野では、男性ホルモンの働きをブロックする作用を活かす目的でスピロノラクトンを活用するケースが増えています。

ただし、効果が表れるまでは個人差があり、副作用や適応の判断にも注意が必要です。

発毛メカニズムと期待度

AGAの場合、毛根周囲の男性ホルモン(DHT)が過剰に働くことで毛髪が細くなりやすいとされています。

スピロノラクトンはこのDHT生成や作用を抑える方向に働くことで、毛髪の成長が持続しやすくなる可能性があります。

ただし、個人のホルモンレベルや毛髪の状態によって効果は異なります。

AGA治療で期待されるメカニズム

治療法作用
スピロノラクトン内服男性ホルモンの働きを抑えて脱毛を抑制
フィナステリドなどの内服薬5αリダクターゼを阻害しDHT生成を抑える
ミノキシジル外用薬毛根への血流を増やし発毛を促す
育毛剤・サプリ栄養補給や頭皮環境の改善を目指す

スピロノラクトンはフィナステリドやミノキシジルと並行して用いられるケースもあり、より多角的な方法を試みることもあります。

他の治療法との併用

薄毛治療では、単独で効果が乏しい場合に複数の治療法を組み合わせることがよくあります。

スピロノラクトンとフィナステリド、あるいは外用薬ミノキシジルなどと同時に使用することで相乗的な効果を狙う形です。

ただし、副作用のリスクも増えるため、医師の監督下での併用が原則となります。

AGA治療でよく行われる組み合わせ

  • 内服薬(スピロノラクトン、フィナステリドなど)+ミノキシジル外用
  • 生活習慣の見直し(食事、睡眠、ストレス管理)
  • 頭皮のケア(育毛シャンプー、マッサージ)
  • クリニックでの頭皮環境チェックやカウンセリング

一度にすべてを始めるのではなく、まずは医師の指導を受けながら優先度の高い治療を進めるのが無理なく続けるコツです。

効果が実感できるまでの期間

スピロノラクトンによる薄毛改善は、早くて3か月ほどで髪質や抜け毛の減少を感じる人もいますが、多くは半年以上かかる場合があります。

毛周期は数か月単位で回転しているため、劇的な変化をすぐに望むことは難しいです。根気よく続けることが肝要となります。

治療効果を感じ始める目安

時期効果
治療開始~1か月抜け毛の変化はあまり実感しにくい
2~3か月多少髪質の改善や抜け毛の減少を感じることがある
4~6か月見た目にわかる変化が出る場合が増える
6か月~1年毛量・太さなどがより明確にわかるケースが多い

髪の成長は体調や食事、睡眠などにも影響されるため、定期的に状況を振り返りながら治療を進めることが望ましいです。

女性の薄毛への応用

女性にも薄毛の悩みは多く、特にびまん性の薄毛や出産後のホルモンバランス変動による脱毛などでは、男性ホルモンの影響だけでなく複数の要因が絡んでいると考えられています。

スピロノラクトンはホルモンバランスを調整する方向に働くため、女性に対しても一定の効果が見込めます。

女性が考慮したい注意点

  • 妊娠を計画している場合は使用を慎重に
  • 生理周期の乱れが起こりやすいので経過観察を密に行う
  • 他の女性ホルモン剤との併用は副作用リスクを高める可能性
  • 更年期症状との区別が難しい場合があるので医師に相談

女性の薄毛は原因が多岐にわたるため、スピロノラクトンが常に有効とは限らず、カウンセリングや検査を通じて総合的に判断する必要があります。

服用中の検査・定期診療

スピロノラクトンを継続的に使用する場合、一定の頻度で血液検査や問診、診察を受けて副作用の有無や効果の程度を評価します。

自己判断で検査を省略すると重大な電解質異常を見逃すリスクがあるため、通院計画をしっかり立てることが大切です。

血液検査の具体的内容

主に測定するのは、カリウム、ナトリウム、クレアチニン、肝機能指標、血圧などです。

腎機能が低下していると高カリウム血症のリスクが一気に高まるため、特に腎臓への影響を詳しく調べる必要があります。

薬の投与量や服用期間によって検査項目も変わる場合があります。

主な検査項目と目的

項目目的
カリウム高カリウム血症の早期発見
ナトリウム電解質バランスの維持状態を確認
クレアチニン腎機能の指標
血中尿素窒素(BUN)腎負担の程度をさらに把握
AST, ALT(肝酵素)薬の代謝経路となる肝臓への影響を評価
血圧薬の効果および副作用のチェックに活用

検査の間隔は患者さんの症状や体調に応じて調整します。通院が難しい場合でも、自己判断で検査を後回しにしないようにしましょう。

副作用の早期発見と対処

血液検査だけではなく、日々の体調や身体症状のチェックも重要です。

手足のしびれや倦怠感、むくみの悪化、動悸などの変化があれば、早期に医師へ報告し、副作用が疑われる場合は用量調整や薬の変更を検討します。

副作用が疑われる場合

  • すぐに処方医や薬局に連絡して相談
  • 勝手に薬をやめるのではなく医師の指示を仰ぐ
  • 症状の内容や程度をメモしておく
  • 自宅で血圧や体温などを測定して記録

早めに対処すれば大きなトラブルを回避できるケースも多いため、小さな異変でも軽視せず報告しましょう。

服用スケジュールの見直し

副作用の程度や効果の出方によっては、朝に50mgを服用していたのを25mgずつ朝晩に分割したり、逆に1日1回のみの服用にまとめたりすることもあります。

一定期間ごとの検査結果と症状をもとに、医師が適した用量やタイミングを提案します。

服用スケジュール変更

変更前変更後目的
朝50mgのみ朝25mg + 夜25mgカリウム値上昇や血圧変動を分散する
朝25mg + 夜25mg朝50mgのみ夜間の利尿による睡眠妨害を抑える
1日100mgを継続1日50mgに減量長期服用で副作用兆候が出た時の対応

医師と相談しながら柔軟に変更し、自分の生活リズムに合った服用方法を確立することがポイントです。

受診のタイミングと相談先

定期診察はもちろん、副作用らしき症状が出た際や生活習慣を大きく変えた時、ほかの薬を追加した時なども適宜受診し、方針を調整する必要があります。

特に複数科を受診している方は、薬の相互作用を把握するためにも情報共有が大切です。

受診のタイミングを意識するとき

  • 予定された定期診察日に加え、症状に変化があった場合
  • 新たな薬を処方されたとき
  • サプリメントや健康食品を開始したとき
  • 妊娠が判明した、または妊娠を計画するタイミング

スピロノラクトンはさまざまな臓器やホルモンに影響する薬であり、こまめなコミュニケーションが安全な使用の鍵になります。

スピロノラクトン治療を検討する方へ

スピロノラクトンは高血圧や心不全のケア、むくみの改善、さらにAGAや女性の薄毛など、幅広い治療分野で有用な薬です。

ただし、電解質異常やホルモンへの影響など、副作用のリスクも小さくありません。

信頼できる医療機関の探し方

スピロノラクトンを処方してもらう際は、循環器や皮膚科など専門性を持った医師が在籍し、血液検査やホルモン検査などをしっかり行う施設を選ぶことが重要です。

口コミやネット情報だけではなく、実際に診察を受けて感じた説明のわかりやすさや、検査体制の充実度も参考にすると良いでしょう。

医療機関選びのポイント

項目ポイント
専門性循環器や皮膚科、内科などの専門医がいるか
検査体制血液検査やエコー検査などの設備は整っているか
説明疑問に丁寧に答え、リスクをわかりやすく伝えてくれるか
通いやすさ定期検査や経過観察が無理なく続けられる距離や予約システムか
適正な治療費保険診療か自由診療か、料金体系を明確に示しているか

診察の結果によっては、複数の科を紹介されることもあるため、総合病院やクリニックの連携体制も視野に入れてみてください。

医師に相談したいこと

来院前に、自分の既往歴や現在服用している薬をリストアップしておくと、医師が判断しやすいです。

また、副作用の中で特に心配な点や、自分が最も治したい症状(高血圧、むくみ、薄毛など)の優先度も整理しておくと、限られた診察時間を有効に使えます。

医師への相談内容

相談したい内容具体例
既往症腎臓病、心臓病、肝臓病、糖尿病などの既往歴
服用中の薬やサプリメント高血圧薬、降圧剤、抗不整脈薬、サプリ、漢方など
副作用への不安以前に別の利尿薬で電解質異常を起こした経験がある
生活習慣や仕事のスケジュール夜勤や不規則な生活で利尿薬のタイミングが難しい
最も気になる症状や改善したい点むくみ、血圧、薄毛など優先順位がある場合ははっきり伝える

事前にまとめておくと、医師に情報を正確に伝えられ、より適切な治療方針を立てやすくなります。

生活習慣の振り返り

薬に頼るだけではなく、食生活や運動習慣を改善することで症状のコントロールが楽になる場合もあります。

特に薄毛やむくみは、ストレスや睡眠不足などの要因が大きく絡むことが多いので、生活全体を見直してみましょう。

改善できる生活習慣

  • 食塩やカフェインの摂取量を意識して控えめにする
  • 30分程度のウォーキングなど、軽い運動を習慣化する
  • 夜更かしを避けて睡眠時間を確保する
  • ストレス解消の方法をいくつか持つ(読書や音楽鑑賞など)
  • タバコやアルコールを減らす、またはやめる

薬の効き目を最大限に発揮し、副作用を抑えるためにも、基本的な健康管理をおろそかにしないことが大切です。

継続治療と定期検査の重要性

スピロノラクトンは飲み始めてすぐに劇的な効果を感じる薬ではありません。血圧管理や薄毛治療など、いずれも中長期的な視点で取り組む必要があります。

定期的な検査や診察を受けながら、用量や併用薬を調整し、身体に合った治療バランスを探っていくことが望ましいです。

医療機関との連携を続け、気になる症状や改善状況を報告することで、副作用の早期発見にもつながります。

症状が落ち着いたあとも自己判断で服用をやめてしまうと、再発や病状の悪化を招くことがあるため、必ず医師の指示に従いましょう。

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