鉄分は血液を作るだけでなく、髪を育てる毛母細胞に栄養を届けるという重要な役割を担っています。
抜け毛が増えたり、髪にハリやコシがなくなったり、といった悩みには「鉄分不足」が関係している可能性があります。
この記事では、なぜ鉄分が髪の健康に必要なのか、その理由から効果的な摂取方法、そして専門的な治療に至るまで詳しく解説します。
なぜ髪の成長に鉄分が重要なのか
髪の毛の悩みと鉄分が、一見すると結びつかないように感じるかもしれません。しかし、鉄分は健康な髪を維持するために、体の内側で休むことなく働き続けている重要な栄養素です。
髪の成長を根本から支える鉄分の働きを確認すると、日々のケアへの意識も変わるでしょう。
全身に酸素を運ぶヘモグロビンの主成分
私たちの体内で酸素を運搬する重要な役割を担っているのが、赤血球に含まれる「ヘモグロビン」です。そして、このヘモグロビンを構成する中心的な材料が鉄分です。
肺で取り込んだ酸素はヘモグロビンと結合して血流に乗り、全身の隅々の細胞へと届けられます。
この酸素供給がなければ、体のあらゆる機能は正常に働きません。
髪を育てる毛母細胞への酸素供給
髪の毛は、頭皮の奥にある「毛母細胞」が細胞分裂を繰り返して作られます。
毛母細胞は体の中でも特に活発に活動する細胞の一つであり、その活動には大量のエネルギー、つまり酸素と栄養が必要です。
鉄分が不足してヘモグロビンが減少すると、毛母細胞へ届けられる酸素の量も減ってしまいます。
この酸素不足により毛母細胞の活動が鈍り、健康な髪が作られにくくなるのです。
髪の主成分ケラチンの合成を支える
髪の毛の約90%は、「ケラチン」というタンパク質で構成されています。鉄分は、このケラチンの合成過程においても重要な役割を果たします。
体内に取り込まれたアミノ酸からケラチンを再合成する際には様々な酵素の働きが必要ですが、鉄分はこれらの酵素を活性化させる補因子として機能します。
鉄分が足りないとケラチンをスムーズに作れず、髪が細くなったり、弱々しくなったりする原因となります。
髪の成長サイクルと鉄分の関係
成長サイクル | 期間の目安 | 鉄分の役割 |
---|---|---|
成長期 | 2年~6年 | 毛母細胞の活発な分裂を酸素供給で支える |
退行期 | 約2週間 | 毛球部の縮小を正常に進める |
休止期 | 3ヶ月~4ヶ月 | 次の成長期に向けた準備を整える |
もしかして鉄分不足?髪と体が見せる危険信号
鉄分不足の影響は、髪の毛だけに現れるわけではありません。体は様々なサインを発して、栄養が足りていないことを知らせています。
抜け毛や薄毛が気になり始めたら、ご自身の体に他に変化がないか、注意深く観察しましょう。
抜け毛や薄毛以外の症状
鉄分が不足すると酸素が全身に行き渡りにくくなるため、多様な不調が現れます。
例えば、爪がスプーンのように反り返ったり、割れやすくなったりするのも特徴的なサインです。
また、肌の血色が悪くなり、顔色が悪く見えたり、目の下のクマが目立ったりするケースもあります。これらは皮膚の細胞にも酸素が十分に届いていない証拠です。
疲れやすさや集中力の低下もサイン
「最近、階段を上るだけで息が切れる」「なんだかいつも体がだるい」「仕事や勉強に集中できない」といった症状も、鉄分不足が原因かもしれません。
脳や筋肉が酸素不足に陥るとエネルギーを効率的に作れなくなり、身体的にも精神的にもパフォーマンスが低下します。
これらの症状を見過ごさず、体の内側からの警告と捉えることが重要です。
鉄分不足のセルフチェック
- 以前より抜け毛が増えたと感じる
- 髪の毛が細く、弱々しくなった
- 爪が割れやすい、またはスプーン状に反っている
- 肌荒れや顔色の悪さが気になる
- 立ちくらみやめまいを頻繁に起こす
- 少し動いただけでも息切れがする
- 理由なく体が重く、疲れがとれない
女性に多い「隠れ貧血」に注意
健康診断の血液検査で貧血と診断されていなくても、体内の貯蔵鉄である「フェリチン」が不足している状態を「潜在性鉄欠乏(隠れ貧血)」と呼びます。
月経のある女性は定期的な出血により鉄分を失いやすいため、この状態に陥りやすい傾向があります。
ヘモグロビンの値が正常でも、フェリチンが低いと髪のトラブルや体の不調を引き起こす場合があるため、注意が必要です。
あなたの鉄分不足はどこから?生活習慣に潜む原因
鉄分不足は特別な病気がない人でも、日々の生活習慣が原因で起こるケースが少なくありません。
ご自身の食生活や生活スタイルを振り返り、鉄分が不足しやすい要因がないか確認してみましょう。
偏った食生活と過度なダイエット
鉄分不足の最も一般的な原因は、食事からの摂取量が足りていないことです。
朝食を抜いたり、インスタント食品やファストフード中心の食生活を送ったりしていると、鉄分だけでなく他の栄養素も不足しがちです。
また、健康や美容のために行う過度な食事制限も、鉄分の摂取量を大幅に減らしてしまうため、髪や体の健康を損なうリスクを高めます。
鉄分の吸収を妨げる食習慣
せっかく鉄分を含む食品を摂っていても、その吸収を妨げる成分を同時に摂取していると、体内で有効に活用できません。
例えば、コーヒーや緑茶、紅茶に含まれる「タンニン」は、鉄と結合してその吸収を阻害する性質があります。
食事中や食後すぐにこれらの飲み物を飲む習慣がある人は、注意が必要です。
鉄分の吸収を妨げる主な成分
成分名 | 含まれる食品・飲料 | 対策 |
---|---|---|
タンニン | コーヒー、緑茶、紅茶、赤ワイン | 食事中や食後1時間を避けて飲む |
フィチン酸 | 玄米、豆類、穀物の外皮 | 発酵させたり、水に浸したりして調理する |
シュウ酸 | ほうれん草、たけのこ | 茹でてアク抜きをしてから食べる |
汗やライフステージによる鉄分の損失
鉄分は尿や便だけでなく、汗からも排出されます。
日常的に激しい運動をする習慣がある人は、発汗によって通常より多くの鉄分を失っている可能性があります。
また、女性は月経や妊娠・出産、授乳といったライフステージの変化に伴い、鉄分の需要が増大したり損失が増えたりするため、特に意識的な摂取が必要です。
食事で改善する髪の栄養学
鉄分不足を解消するための基本は、毎日の食事内容の見直しです。
鉄分には種類があり、吸収率も異なります。効率よく鉄分を摂取し、髪の健康を取り戻すための食事のポイントを学びましょう。
吸収率の高い「ヘム鉄」を意識する
食品に含まれる鉄分には、動物性食品に多い「ヘム鉄」と、植物性食品に多い「非ヘム鉄」の2種類があります。
ヘム鉄は体に吸収されやすい形で存在しており、その吸収率は15~25%と、非ヘム鉄(2~5%)に比べて格段に高いのが特徴です。
効率よく鉄分を補給するには、ヘム鉄を豊富に含む食品を積極的に食事に取り入れると良いです。
ヘム鉄と非ヘム鉄の比較
項目 | ヘム鉄 | 非ヘム鉄 |
---|---|---|
主な食品 | レバー、赤身肉、魚(カツオ、マグロ)など | 野菜(ほうれん草、小松菜)、豆類、海藻など |
吸収率 | 高い (15~25%) | 低い (2~5%) |
特徴 | 他の食品の影響を受けにくい | 吸収を助ける栄養素と一緒に摂ることが重要 |
吸収率を高める栄養素との組み合わせ
吸収率の低い非ヘム鉄も、食べ合わせを工夫すると吸収率を高められます。
その代表的な栄養素が「ビタミンC」です。ビタミンCは、非ヘム鉄を体が吸収しやすい形に変化させる働きがあります。
また、動物性タンパク質も鉄の吸収を助ける効果があります。
非ヘム鉄を多く含む食品を食べる際は、これらの栄養素を含む食品と一緒に摂るように心がけましょう。
鉄分の吸収を助ける食品
栄養素 | 働き | 多く含む食品 |
---|---|---|
ビタミンC | 非ヘム鉄を吸収しやすい形に変える | ピーマン、ブロッコリー、柑橘類、キウイ |
動物性タンパク質 | 鉄の吸収を促進する | 肉、魚、卵、乳製品 |
クエン酸 | 鉄を溶けやすい形に保つ(キレート作用) | レモン、梅干し、酢 |
鉄分を豊富に含む食材
日々の食事で鉄分を確保するため、具体的にどのような食材を選べば良いかを知っておくことが重要です。
ヘム鉄と非ヘム鉄、それぞれを豊富に含む代表的な食材を参考に、バランスの取れた献立を考えてみましょう。
ヘム鉄を多く含む食品(100gあたり)
食品名 | 鉄分含有量 | ポイント |
---|---|---|
豚レバー | 13.0mg | 鉄分の王様。ビタミンAも豊富。 |
鶏レバー | 9.0mg | 比較的安価で調理しやすい。 |
牛赤身肉 | 2.8mg | タンパク質も同時に摂取できる。 |
非ヘム鉄を多く含む食品(100gあたり)
食品名 | 鉄分含有量 | ポイント |
---|---|---|
小松菜 | 2.8mg | ビタミンCも豊富で吸収率アップに貢献。 |
乾燥ひじき | 6.2mg | 水で戻すと量が増えるので注意。 |
厚揚げ | 2.6mg | 植物性タンパク質も豊富。 |
一見すると牛赤身肉の2.8mgより乾燥ひじきの6.2mgのほうが鉄分含有量が多くみえますが、吸収率を考えると牛赤身肉のほうが効率的に鉄分を摂取できます。
ただ、偏った食生活は体に不調をきたす原因ですので、様々な食材を工夫して摂るようにしましょう。
鉄分だけでは不十分?髪を育む「チーム栄養素」の視点
「鉄分が髪に良いと聞いて、一生懸命レバーやほうれん草を食べているのに、なかなか変化を感じない…」そう感じている方もいるかもしれません。
実は、健康な髪を育てるためには、鉄分という一人のスター選手だけでは不十分です。様々な栄養素がチームのように連携し、互いに助け合うことで、初めてその効果を発揮するのです。
亜鉛との強力なタッグ
鉄分と並んで髪の健康に重要なミネラルが「亜鉛」です。亜鉛は、髪の主成分であるケラチンを合成する際に中心的な役割を果たします。
いくら鉄分を十分に摂取していても、亜鉛が不足していると、髪の材料そのものを効率よく作れません。
鉄分が「栄養を運ぶ輸送部隊」なら、亜鉛は「髪を作る建設部隊」です。この二つの部隊が揃って初めて、丈夫な髪という建造物が完成します。
代謝を円滑にするビタミンB群のサポート
食事から摂ったタンパク質をアミノ酸に分解し、それをケラチンに再合成する一連の流れを「代謝」と呼びます。
この代謝を円滑に進める潤滑油のような働きをするのが「ビタミンB群」です。ビタミンB2は皮脂の分泌をコントロールし頭皮環境を整え、ビタミンB6は亜鉛の働きを助けてケラチンの合成をサポートします。
ビタミンB群が不足すると、せっかくの材料やエネルギーがうまく使われず、髪の成長が滞ってしまいます。
全ての基本となるタンパク質の重要性
髪の毛そのものの材料は「タンパク質」です。鉄分や亜鉛、ビタミン類をどれだけ摂取しても、大元となるタンパク質が不足していれば、新しい髪を作れません。
良質なタンパク質を十分に摂る習慣は、髪育の基本中の基本です。
このタンパク質という土台の上に、鉄分や亜鉛といった栄養素がそれぞれの役割を果たすことで、健康な髪が育まれるのです。
サプリメントで鉄分を補う際の正しい知識
食事だけで十分な鉄分を摂取するのが難しい場合、サプリメントの活用は有効な選択肢の一つです。
しかし、手軽に利用できるからこそ、正しい知識を持って向き合わないと、かえって健康を害する可能性もあります。
自己判断による過剰摂取のリスク
鉄分は不足するのも問題ですが、体内に過剰に蓄積されると「鉄過剰症」を引き起こす場合があります。
鉄は活性酸素の発生を促す性質があり、過剰になると細胞を傷つけ、肝臓の機能障害や心臓の疾患、関節痛などの原因となる可能性があります。
特に男性や閉経後の女性は、通常の食事で鉄分が不足するケースは稀なため、安易なサプリメント摂取は避けるべきです。
自己判断で「貧血気味だから」とサプリメントを始めるのは危険です。
摂取量の目安と種類の選択
サプリメントを選ぶ際は、まず含有量を確認しましょう。
厚生労働省が定める食事摂取基準では、成人男性の推奨量は7.5mg/日、月経のある成人女性は10.5mg/日(月経なしでは6.5mg/日)とされています。
サプリメントで補うときは食事からの摂取量を考慮し、過剰にならない範囲で利用しましょう。
また、サプリメントにもヘム鉄と非ヘム鉄があり、一般的にヘム鉄の方が吸収率が高く、胃腸への負担が少ないとされています。
鉄分の一日摂取推奨量(mg/日)
年齢 | 男性 | 女性(月経あり) |
---|---|---|
18~29歳 | 7.5 | 10.5 |
30~49歳 | 7.5 | 10.5 |
50~64歳 | 7.5 | 6.5 |
まずは医療機関での血液検査を
本当に鉄分が不足しているのか、どの程度不足しているのかを正確に知るためには、医療機関で血液検査を受けるのが最も確実な方法です。
血液検査ではヘモグロビン値だけでなく、体内の貯蔵鉄を示すフェリチン値も測定できます。
この検査結果に基づいて、医師がサプリメントの必要性や適切な種類、量を判断します。
食事改善で効果が見られない場合の次の一手
セルフケアで食事内容を見直し、鉄分を意識的に摂取しても抜け毛や薄毛の改善が見られない場合、それは専門的な治療が必要なサインかもしれません。
クリニックでは、より詳細な検査と医学的根拠に基づいた方法で髪の悩みに向き合います。
クリニックで行う詳細な検査
クリニックでは丁寧なカウンセリングと視診、触診で頭皮と毛髪の状態を正確に把握します。それに加え、必要に応じて血液検査を実施し、鉄分や亜鉛、各種ビタミンなどの栄養状態を数値で評価します。
この検査により、隠れ貧血(潜在性鉄欠乏)の有無や、他の栄養素の過不足が明らかになり、抜け毛の根本原因を特定する手がかりを得ます。
原因を正確に知ることが、効果的な治療への第一歩です。
医学的根拠に基づく内服薬・外用薬治療
検査結果に基づき、鉄分不足が深刻な場合には、医療用の鉄剤を処方することがあります。市販のサプリメントよりも高用量の鉄分を安全かつ効果的に補給できます。
また、薄毛の原因が男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)であると診断された場合は、それらの進行を抑制する内服薬や、発毛を促進する外用薬(ミノキシジルなど)を併用します。
栄養状態の改善と、医学的な発毛治療を組み合わせると、より効果を実感しやすいです。
専門家による栄養指導と生活習慣アドバイス
治療効果を最大限に高め、健康な髪を維持するためには、日々の生活習慣の改善が欠かせません。
多くのクリニックでは、医師や専門のカウンセラーが検査結果や生活スタイルに合わせて、具体的な食事内容や栄養の摂り方についてアドバイスします。
どのような食材を、どのように調理すれば効率的に栄養を摂取できるかなど、明日から実践できる具体的な指導を行い、治療後もご自身で髪の健康を維持できるようサポートしてもらえます。
鉄分と髪に関するQ&A
さいごに、患者さんからよく寄せられる鉄分と髪の健康に関する質問にお答えします。
- Q鉄分を摂りすぎても大丈夫ですか?
- A
通常の食事で鉄分を過剰に摂取することはほとんどありませんので、心配は不要です。
しかし、サプリメントや鉄剤を自己判断で長期間、大量に摂取すると、鉄過剰症を引き起こすリスクがあります。
吐き気や便秘などの消化器症状から、重篤な場合は肝機能障害などを招く場合もあります。
サプリメントを利用する際は必ず推奨量を守り、できれば医療機関で血液検査を受けてから始めることをおすすめします。
- Q鉄分を補い始めてから、どれくらいで髪に変化が現れますか?
- A
体内の鉄分が満たされるまでには個人差がありますが、一般的に3ヶ月から6ヶ月程度の期間が必要です。
髪の毛には成長サイクル(ヘアサイクル)があるため、栄養状態が改善されてから、その効果が新しい髪に現れるまでには時間がかかります。
すぐに変化が見られなくても、焦らずに継続的なケアを続けることが重要です。まずは半年間を目安に、食生活の改善や治療に取り組んでみましょう。
- Q鉄分のサプリメントはいつ飲むのが効果的ですか?
- A
鉄分、特に非ヘム鉄のサプリメントは、空腹時に飲むと吸収率が高まります。
しかし、人によっては胃腸への負担を感じ、吐き気やむかつきを感じるケースがあります。その場合は、食後に飲むようにしてください。
また、コーヒーや緑茶に含まれるタンニンは鉄の吸収を妨げるため、サプリメントを飲む前後1時間程度は、これらの飲料を避けるのが望ましいです。
ご自身の体調に合わせて、無理なく続けられるタイミングを見つけると良いでしょう。
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