AGA(男性型脱毛症)の治療は、薄毛の進行を抑えて髪を育みやすい頭皮環境へ導くことが目的です。

治療内容によって費用や必要な期間に差があり、さらに税制上の控除を受けられるケースがあります。

この記事では、AGA治療の概要と費用、治療期間や注意点、医療費控除について詳しく解説します。

目次

AGA治療の基本的な流れと費用の概要

AGA治療は薄毛の症状を改善するための取り組みですが、人によって進行具合や頭皮環境、体質などは異なります。

治療の基本的な流れを把握することで、必要な費用や治療期間をイメージしやすくなるでしょう。

AGA治療の主な流れ

多くのクリニックでは、以下のような流れでAGA治療を行います。治療を始める前に一度全体像をつかんでおくと安心です。

流れ内容
1.初診予約まずはクリニックに連絡し、受診日時を決定する。電話やWEB予約が主流。
2.カウンセリング症状や悩みを聞き取り、頭皮や髪の状態を専門医が確認する。
3.検査血液検査などを実施し、治療に問題がないかをチェックする。
4.治療方針の提案問診や検査結果を踏まえ、内服薬や外用薬などの治療プランを立てる。
5.通院定期的に通院し、治療薬の処方や頭皮の経過観察を続ける。

初期費用として想定されるもの

AGA治療の初期費用は、主に初診料・検査料・カウンセリング料などが含まれます。医療機関によって診察料やカウンセリング料の設定に違いがあるため、事前の確認が必要です。

また、薬剤費の他に、オプションメニューとして頭皮ケアを実施する場合は追加費用が発生することがあります。

初期費用の主な内訳

項目内容費用の目安
初診料医師の診察・カウンセリング1,000円~3,000円
血液検査ホルモン値や肝機能チェック3,000円~5,000円
カウンセリング料頭皮や毛髪の状態を詳細に相談無料~2,000円程度
内服薬の処方プロペシア(フィナステリド)などのAGA治療薬5,000円~8,000円/月
外用薬の処方ミノキシジル外用液など5,000円~10,000円/月

AGA治療の継続に必要な費用

初期費用を除けば、AGA治療では月々の薬剤費が中心となります。ただし、頭皮環境を改善する目的で施術を組み合わせたり、薬剤の種類や組み合わせを変えたりするケースもあります。

長期的に治療を継続することが多いので、月々の治療費に加えて一定期間の合計額も把握しておくとよいでしょう。

AGA治療にかかる期間の目安と費用感

AGA治療は短期間で完了するケースが少なく、ある程度の期間を想定して取り組むことが重要です。

具体的な期間や費用感を理解することで、無理なく続けられる治療計画を立てやすくなります。

AGA治療に要する期間の考え方

AGA治療では、髪の毛の生え変わりサイクルを整える必要があります。

個人差はありますが、以下の点を踏まえて治療期間をイメージするとよいでしょう。

  • ヘアサイクルは通常2~6年程度の周期がある
  • 症状改善の実感には少なくとも3~6カ月を要する
  • 継続的に治療を行いながら、毛髪の状態を確認する

髪の成長サイクルと治療期間

期間主な成長段階治療効果の目安
1~3カ月成長初期AGA治療薬が体内に浸透し始める
3~6カ月成長期抜け毛の減少や細毛の太さ改善を実感しやすい
6カ月~1年成長期~退行期毛髪が徐々に増えたり育ち始める
1年以降維持期継続的なケアで効果を維持しやすい

短期間での効果を期待しすぎない工夫

AGA治療には一定の期間が必要です。短期間で抜け毛が減ったり髪が増えたりするイメージを抱くと、効果を実感できる前に治療をやめてしまう恐れがあります。

途中経過を観察しながら、必要に応じて治療内容を見直すことで、より満足のいく結果を目指せます。

期間と費用の関係性

治療期間が長引くほど費用もかさむ傾向にあります。

しかし、早めに治療を始めることで現状維持や改善を期待できるため、結果的に大幅に薄毛が進行するのを抑えられる可能性があります。

早期治療のメリット

  • 軽度のうちに対処できる
  • 結果的に薬剤費や施術費用が抑えられる可能性
  • 頭皮環境を維持しやすい

薄毛が進行した状態から治療を始めるより、早期治療の方が薬剤費や施術費用のトータルを低く抑えられることがあるため、検討は早めに行うとよいでしょう。

治療薬の種類と費用におけるポイント

AGA治療の中心となるのは内服薬と外用薬です。代表的な薬剤はフィナステリドやデュタステリド、そしてミノキシジルなどがあります。

これらの薬剤の効果や費用を把握することで、自分に合った治療プランを立てやすくなります。

フィナステリド・デュタステリドの効果と費用

フィナステリドとデュタステリドは、男性ホルモンが毛髪の成長を妨げる働きを抑える薬剤です。

どちらもAGA治療に広く用いられ、効果を実感している人が多い点が特徴です。費用の目安は以下のようになります。

フィナステリド・デュタステリドの費用比較

薬剤名主な働き費用目安
フィナステリド5αリダクターゼの働きをブロックし抜け毛抑制5,000円~7,000円/月
デュタステリド5αリダクターゼのサブタイプをさらに広く抑制6,000円~8,000円/月

ミノキシジルの効果と費用

ミノキシジルは頭皮の血行を促進し、毛髪の成長をサポートします。内服タイプと外用タイプがありますが、一般的には外用タイプが多く用いられます。

費用の目安は5,000円~10,000円/月程度が中心で、濃度や処方されるクリニックによって差が出ます。

内服タイプの場合、副作用リスクにも注意が必要です。

ミノキシジルのメリット

  • 毛根への栄養を行き渡らせる
  • 外用剤は使用しやすい

ミノキシジルの留意点

  • 血圧への影響に注意(内服タイプ)
  • 頭皮トラブル(かゆみやかぶれ)が出る場合がある

オプション治療とその費用

薬物療法以外にも、頭皮に直接成長因子を注入する治療やレーザー治療などを組み合わせるケースがあります。

こうしたオプション治療は一般的な内服薬や外用薬と比べて費用が高額になる傾向があります。

例えば、成長因子注入治療(グロースファクター療法)は1回あたり2万円~5万円程度かかることが多く、効果を実感するためには複数回の施術が必要になる可能性があります。

オプション治療

治療名内容費用目安
成長因子注入(グロースファクター療法)頭皮に直接成長因子を注射し毛母細胞の活性を促す1回2万~5万円程度
レーザー治療頭皮に低出力レーザーを照射し血行を促進する1回1万円~2万円程度
メソセラピーカクテル薬剤を頭皮に注入し毛髪の成長を促す1回1万円~3万円程度

費用を左右する要素とは

AGA治療において、費用はクリニックごとや治療方針によって大きく変わります。

治療薬以外にもカウンセリングや検査の有無、施術の選択など多様な要素が関わるため、予算を把握することは大切です。

通院回数と診察料

クリニックによっては毎月の診察料がかかる場合や、診察料が無料のケースもあります。

定期的に通院が必要となるため、月々の診察料の有無を確認しておくと費用計画を立てやすくなります。

また、処方薬が1カ月単位か3カ月単位かで通院の回数も変わるため、治療を続ける上での通院スケジュールにも注意が必要です。

診察料と通院頻度

プラン診察料通院頻度総額の目安
毎月通院タイプ1回あたり2,000円程度月1回年間24,000円程度 + 薬剤費
まとめ処方タイプ診察料無料~2,000円2~3カ月に1回年間8,000円程度 + 薬剤費

処方薬の組み合わせ

フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなどを組み合わせる場合、単剤治療より費用が高くなる可能性があります。

ただし、効果をより高めることができる場合もあるため、医師と相談しながら治療方針を決定するとよいでしょう。

治療薬を組み合わせる主なメリット

  • 作用機序の異なる薬を併用し、相乗効果を狙う
  • 個々の症状や進行度に応じた柔軟な取り組みが可能

施術の有無

オプション施術や頭皮ケアを取り入れると、薬剤費以外に施術料が加算されます。

施術の回数や内容によって費用は大きく変わるため、施術を検討する場合には事前に十分に費用を確認しておくことが大切です。

施術なしでも効果を得ている方も多いため、費用対効果を考慮しながら選択することをおすすめします。

施術がある場合とない場合の費用モデル

項目施術なし施術あり
内服薬・外用薬月1万円前後(フィナステリド+ミノキシジルなど)月1万円前後+施術費(都度2万~5万円程度)
通院頻度月1回程度月1回以上、施術内容によっては2回以上
メリット薬のみで管理しやすく、コストを抑えられる施術効果との相乗が期待できる

AGA治療における医療費控除について

AGA治療の費用の一部は医療費控除の対象となる可能性があります。医療費控除を活用することで、課税所得の一部を減らして所得税や住民税を軽減できる場合があります。

ただし、対象となる治療や手続きの進め方を正しく理解していないと、控除を受けられないこともあります。

医療費控除の基本的な仕組み

医療費控除は、所得税の計算上、自己または生計を一にする家族のために支払った医療費が一定額を超えた場合に受けられる制度です。

具体的には、年間の医療費が10万円(または所得金額の5%)を超えた分が医療費控除の対象になります。

AGA治療費が「治療を目的とする医療行為」と判断される場合には、控除対象になる可能性があります。

医療費控除で見落としがちな支出

項目内容控除対象になりうるか
医療機関までの交通費クリニックへ通うための公共交通機関利用など対象(一定の条件下)
処方薬の送料医師の処方に基づく通信販売など原則対象(医師の処方前提)

AGA治療が医療費控除になる可能性

「美容目的」ではなく、「薄毛の進行を抑える治療行為」として認められる場合は、AGA治療費も医療費控除の対象になることがあります。

実際には医療機関が発行する領収書や処方箋など、治療行為であることが証明できる書類が必要です。

医療費控除を受けられる例

  • 内服薬・外用薬による治療
  • 必要性が医師の診断書などで示される施術

ただし、単なるケア目的や美容目的のみとみなされた費用は控除対象外になる点には注意しましょう。

医療費控除の手続きと必要書類

医療費控除を受けるためには、確定申告時に医療費控除に関する明細書を提出し、領収書は自宅で5年間保管します。

書類不備があると控除が認められない場合があるので注意が必要です。

医療費控除手続きの流れ

手続きの流れ主な内容
領収書の保管クリニックで支払った領収書を月ごとにまとめておく
医療費明細書の作成対象の医療費を記載した明細書を作成する
確定申告書への記入医療費控除額を申告書に転記し、所得税を計算する
確定申告書の提出e-Taxまたは税務署に提出(税務署への郵送も可)

AGA治療費の負担を軽減するための方法

AGA治療にかかる費用は長期的に見ると決して小さくありません。

継続的に治療を行うためには、うまく費用負担を軽減する方法を知っておくことが重要です。

ジェネリック薬の活用

フィナステリドなどのAGA治療薬にはジェネリック医薬品が存在します。先発医薬品より安価で、成分や効果はほぼ同等とされています。

医師に相談しながらジェネリック薬へ切り替えると、薬剤費用を抑えられます。

ジェネリック医薬品の費用比較

薬剤種別先発薬費用目安ジェネリック費用目安
フィナステリド6,000円~7,000円/月4,000円~6,000円/月

通院スケジュールの工夫

毎月通院するプランよりも、薬をまとめて処方してもらうプランを選ぶと、診察料や交通費を削減できる場合があります。

ただし、薬が余ってしまうリスクや、医師とのコミュニケーションが不足してしまう恐れがあるため、メリット・デメリットを踏まえて検討することが大切です。

通院頻度を下げるメリット注意点
診察料や交通費の削減治療経過のフォローが不足しがち
忙しい方でも通院しやすい薬の管理や副作用のチェックがおろそかになりやすい

割引・キャンペーンの利用

AGA治療専門クリニックでは、定期的にキャンペーンや割引プランを用意しているケースがあります。

初回限定の費用割引や複数カ月分をまとめて契約することで総額を抑えられる場合があります。

キャンペーンの内容や適用条件はクリニックごとに異なるため、事前に確認しましょう。

割引プランの例

プラン名内容割引率
定期購買プラン6カ月分の治療薬を一括購入で診察料無料など5~10%割引程度
初回限定プラン初診時に治療薬を割安価格で提供数千円程度の割引
施術セットプラン施術回数をまとめて契約すると割引価格が適用数%~数十%の割引

クリニックの選び方と事前準備

AGA治療は長期にわたることが多いため、クリニック選びが大切です。治療費と期間のバランスを考慮しつつ、通いやすさや医師の診療スタイルなども考えて選ぶことをおすすめします。

ここでは、失敗しないクリニック選びのために事前に確認しておきたい点をまとめます。

治療費の見積もりと相談

治療費の総額をイメージするには、カウンセリングで詳細な見積もりを出してもらうとよいでしょう。

月々の診察料や薬剤費、施術を組み合わせる場合の追加費用などを含めて確認することで、後から予想外の出費に驚かずに済みます。

医療費控除に関する考え方や手続きについて相談できると、より安心です。

カウンセリング時に確認すべき項目

  • 初診料や診察料の有無
  • 処方される薬剤とその費用
  • 施術メニューの追加費用
  • 支払い方法(カード・分割払いなど)

口コミや評判のチェック

インターネット上の口コミや体験談を参考にすると、クリニックの特徴をつかみやすくなります。

ただし、個人の感じ方や症状の進行度合いはさまざまなので、複数の意見を照らし合わせることが重要です。実際にカウンセリングを受けてみて、自分に合うかどうかを最終判断するとよいでしょう。

口コミをチェックする際のポイント

着目点内容
医師やスタッフの対応親身に相談に乗ってくれるか
施設・設備清潔感やプライバシーの配慮があるか
治療実績定量的なデータや患者数などの公開状況

プライバシーと通いやすさ

AGA治療は継続が必要なので、通いやすい立地や診療時間も重要です。また、プライバシーに配慮した待合室やカウンセリングルームを設けているクリニックであれば、周囲を気にせず相談できます。

治療を成功させるには、継続できる環境づくりも大切です。

AGA治療の費用と期間に関するよくある質問

AGA治療を始めるかどうか迷っている方からは、費用や治療期間に関する質問が多く寄せられます。

ここでは、よくある疑問に対する回答をまとめました。実際に不安を解消してから治療をスタートすると、安心して継続しやすくなります。

治療を途中でやめるとどうなるのか

AGA治療では、薬の服用や頭皮へのアプローチを中断すると、再び薄毛が進行する可能性が高いと考えられています。

治療薬は薄毛の原因を抑制したり髪の成長を助けたりする働きがありますが、服用や使用をやめた途端に効果が薄れてしまう方が多いです。

費用の問題や通院の負担などで継続が難しくなる場合は、医師に相談して治療プランを見直すとよいでしょう。

中断によるリスク

  • 抜け毛が再び増加
  • 毛髪の成長が止まる
  • 改善した効果が失われる可能性

治療費は保険適用されるのか

AGA治療は、自由診療に分類されることが一般的です。そのため、公的医療保険の適用はなく、自費での支払いとなります。

ただし、前述のとおり医療費控除の対象になれば、確定申告によって税金が軽減される場合があります。

保険適用と医療費控除は別の制度なので注意してください。

保険とAGA治療の違い

項目公的保険診療AGA治療(自由診療)
費用負担一定の自己負担(3割など)全額自己負担
適用条件病気やケガで必須の治療美容目的とみなされやすいケースあり
医療費控除適用対象条件を満たせば対象

効果を実感するまでの期間はどのくらい?

個人差がありますが、一般的には3~6カ月ほどで抜け毛の減少や産毛の増加などを実感するケースがあります。

ただし、1年以上かけてじっくり治療を行うことで、よりはっきりとした改善を感じる方もいます。効果を焦らずに経過を観察し、定期的に医師の診断を受けることが大切です。

AGA治療が向いている人と向いていない人

AGA治療は、男性型脱毛症の進行を抑えたい方や、薄毛の原因をホルモンバランスによるものと考えられる方に向いています。

一方で、既に毛根が完全に死滅しているなど、毛髪の回復が難しい状況の場合は、効果が十分に得られない可能性があります。AGAかどうか分からないときでも、早めに受診して専門家の意見を聞くとよいでしょう。

AGA治療が向いている方

  • 家系に薄毛の傾向があり、進行を抑えたい
  • 抜け毛の増加を感じている
  • まだ髪が残っている部分が多い

AGA治療の効果が難しい場合

  • 完全な脱毛状態が長期間続いている
  • 既に毛根が機能しなくなっている

AGA治療は、早めに始めれば結果的に治療費の総額が安く済むケースもあります。

ジェネリック医薬品を利用したり通院スタイルを工夫したりして、費用を抑えることも可能ですので、薄毛にお悩みの方は一度クリニックに足を運んでみましょう。

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