秋が深まるにつれて、抜け毛が増えたと感じる方は少なくありません。季節の変わり目、特に秋は一年の中でも抜け毛が増えやすい時期です。
多くは一時的な現象ですが、中には薄毛のサインが隠れている可能性もあります。
この記事では、なぜ秋に髪の毛が抜けやすくなるのか、その原因を多角的に掘り下げ、ご自身でできる効果的な対処法から、専門的な治療が必要なケースの見分け方まで詳しく解説します。
秋になると抜け毛が増えるのは本当?季節性脱毛の事実
秋になると抜け毛が増えるという現象は、多くの人が経験するものであり、医学的にも「季節性脱毛」として知られています。
これは一時的な生理現象であるケースがほとんどですが、なぜ特定の季節に髪が抜けやすくなるのでしょうか。
その背景にある事実と、髪の毛のサイクルについて理解を深めましょう。
季節の変わり目に髪が抜ける仕組み
私たちの髪の毛には「ヘアサイクル(毛周期)」という生まれ変わりの周期があります。
一本一本の髪が「成長期(髪が伸びる期間)」「退行期(成長が止まる期間)」「休止期(髪が抜ける準備期間)」を経て、自然に抜け落ちていきます。
秋はこのヘアサイクルのうち、休止期に入る髪の毛の割合が増える傾向にあります。
夏の間に様々なダメージを受けた髪が秋になって一斉に休止期を迎え、結果として抜け毛が増加すると考えられています。
動物にも見られる換毛期との関連性
犬や猫などの動物に、季節の変わり目に毛が生え変わる「換毛期」があることはよく知られています。これは、気温の変化に対応して体温を調節するために起こる自然な現象です。
人間にも、この換毛期の名残が残っているという説があります。秋の抜け毛は、冬の寒さに備えて新しい髪に生え変わるための準備段階である、という見方もできます。
もちろん、人間は衣服で体温調節を行うため動物ほど顕著ではありませんが、生物としての本能的なリズムが影響している可能性は否定できません。
ヘアサイクルの各段階
期間 | 状態 | 全体の髪に占める割合 |
---|---|---|
成長期 | 毛母細胞が活発に分裂し、髪が成長し続ける期間(2~6年) | 約85~90% |
退行期 | 毛母細胞の分裂が止まり、髪の成長が終了する期間(約2週間) | 約1% |
休止期 | 髪が毛根から離れ、自然に抜け落ちるのを待つ期間(約3~4ヶ月) | 約10~15% |
一時的な抜け毛と注意すべき抜け毛
健康な人でも1日に50本から100本程度の髪は自然に抜けています。秋にはこれが200本以上に増える場合もありますが、通常は2〜3ヶ月で元の状態に戻ります。
しかし、抜け毛の量が極端に多い状態が長期間続く、あるいは抜けた毛が細く短いものばかりである場合は注意が必要です。
それは季節性のものだけでなく、AGA(男性型脱毛症)など、別の原因が隠れているサインかもしれません。
秋の抜け毛を引き起こす原因
秋の抜け毛は単一の原因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って起こります。
夏の間に受けたダメージの蓄積から生活習慣の変化まで、様々な角度からその原因を探ると、適切な対策を行いやすくなります。
紫外線による頭皮への負担
夏に浴びた強い紫外線は、肌だけでなく頭皮にも深刻なダメージを与えます。
紫外線は頭皮を乾燥させ、バリア機能を低下させます。さらに、髪の毛を作り出す毛母細胞の働きを弱らせる原因にもなります。
このダメージが秋になって表面化し、健康な髪の成長を妨げ、抜け毛を増加させる一因となります。
主な抜け毛の誘因
要因 | 髪への影響 | 主な対策 |
---|---|---|
紫外線 | 頭皮の乾燥、毛母細胞の機能低下 | 帽子や日傘の使用、頭皮用日焼け止め |
生活習慣の乱れ | 自律神経の乱れ、血行不良 | 十分な睡眠、バランスの取れた食事 |
栄養不足 | 髪の成長に必要な栄養素の欠乏 | タンパク質、亜鉛、ビタミンの摂取 |
生活習慣の乱れと自律神経
夏の暑さによる寝苦しさや、夏休みの不規則な生活リズムは、自律神経のバランスを乱す原因です。
自律神経は血管の収縮や拡張をコントロールしており、そのバランスが崩れると頭皮の血行不良を引き起こします。
血行が悪くなると髪の成長に必要な栄養素が毛根まで届きにくくなり、結果として髪が弱り、抜けやすくなります。
栄養不足が招く髪の健康問題
暑い夏は食欲が減退し、そうめんや冷たい飲み物など、栄養が偏った食事になりがちです。
髪の毛は主に「ケラチン」というタンパク質でできており、その生成には亜鉛やビタミン類など様々な栄養素が必要です。
夏場の栄養不足が続くと、秋になって新しい髪を作るための材料が足りなくなり、抜け毛の増加や、新しく生えてくる髪が細くなるといった問題につながります。
夏のダメージが秋の髪に与える影響
夏特有の環境や過ごし方が、時間差で秋の頭皮と髪に影響を及ぼします。
紫外線以外にも、汗や皮脂、レジャー活動など、夏ならではの要因が抜け毛のリスクを高めています。
汗や皮脂による毛穴の詰まり
夏は大量の汗をかき、皮脂の分泌も活発になります。これらが古い角質やホコリと混ざり合うと、毛穴を塞いでしまいます。
毛穴が詰まると頭皮に炎症が起きたり、常在菌が異常繁殖したりして、頭皮環境が悪化します。
不健康な頭皮からは健康な髪は育ちにくく、抜け毛の原因となります。
冷房による乾燥と血行不良
屋外の暑さとは対照的に、室内では冷房が効いているケースが多く、この急激な温度差も体にとっては大きなストレスです。
冷房の効いた環境に長時間いると、体が冷えて血行が悪くなります。また、空気の乾燥は頭皮の水分を奪い、バリア機能の低下を招きます。
血行不良と乾燥は、健康な髪を育てる上で二重の障害となります。
夏の生活習慣と頭皮への影響
夏の習慣 | 頭皮への具体的な影響 |
---|---|
海水浴・プール | 塩分や塩素が髪のキューティクルを傷つけ、頭皮を刺激する |
冷たいものの過剰摂取 | 内臓を冷やし、全身の血行不良につながる可能性がある |
シャワーだけで済ませる | 湯船に浸からないと体が温まらず、血行促進の機会を逃す |
レジャーで受けた塩分や塩素の蓄積
海水浴やプールは夏の楽しいレジャーですが、髪や頭皮にとっては過酷な環境です。
海水に含まれる塩分や、プールの水に含まれる消毒用の塩素は、髪の表面を保護しているキューティクルを剥がしてタンパク質を破壊します。
これにより髪はパサつき、頭皮は刺激を受けて乾燥しやすくなります。
これらのダメージが蓄積し、秋の抜け毛につながるケースがあります。
ホルモンバランスと抜け毛の深い関係
抜け毛や薄毛を語る上で、ホルモンの影響は避けて通れません。
男性ホルモンはAGA(男性型脱毛症)の直接的な原因として知られていますが、それ以外のホルモンも髪の健康に深く関わっています。
男性ホルモンとヘアサイクルの関係
男性ホルモンの一種である「テストステロン」が、体内の還元酵素「5αリダクターゼ」と結びつくと、「ジヒドロテストステロン(DHT)」という強力な男性ホルモンに変換されます。
このDHTが、髪の成長を促す毛乳頭細胞の受容体と結合すると、髪の成長期を短縮させる信号を出します。
これにより髪が十分に太く長く成長する前に退行期・休止期へと移行してしまい、細く短い抜け毛が増え、徐々に薄毛が進行します。
これがAGAの基本的な仕組みです。
女性ホルモンの変動と髪への影響
女性ホルモンの一種である「エストロゲン」は髪の成長を促進し、成長期を維持する働きがあります。そのため、エストロゲンの分泌が活発な時期は、髪は豊かで健康な状態を保ちやすいです。
しかし、加齢やストレス、過度なダイエットなどによってエストロゲンの分泌が減少すると相対的に男性ホルモンの影響が強まり、抜け毛が増えたり髪が細くなったりする場合があります。
産後の抜け毛も、妊娠中に高まっていたエストロゲン濃度が出産後に急激に低下するのが原因です。
ストレスがホルモンバランスを乱す理由
精神的なストレスや身体的な疲労は、ホルモン分泌を司る視床下部や下垂体の働きに影響を与え、ホルモンバランスの乱れを引き起こします。
また、ストレスは自律神経のバランスも崩し、血管を収縮させて頭皮の血行を悪化させます。
血行不良によって髪の成長に必要な栄養が届きにくくなるだけでなく、ホルモンバランスの乱れも相まって、抜け毛を助長する悪循環に陥るケースがあります。
髪に関連する主なホルモン
ホルモン名 | 主な働きと髪への影響 |
---|---|
ジヒドロテストステロン(DHT) | ヘアサイクルの成長期を短縮させ、AGAの原因となる |
エストロゲン(女性ホルモン) | 髪の成長を促進し、成長期を維持する働きがある |
コルチゾール(ストレスホルモン) | 過剰な分泌は血管を収縮させ、血行不良を招く |
抜け毛の本数だけじゃない!秋の頭皮が見せる危険信号
抜け毛の本数ばかりに気を取られがちですが、実は頭皮そのものが発しているサインを見逃してはいけません。
頭皮は髪を育む土壌です。土壌の状態が悪ければ、良い作物が育たないのと同じように、不健康な頭皮からは健康な髪は生えてきません。
秋の抜け毛が気になるときは、一度ご自身の頭皮の状態を鏡でじっくりと観察してみてください。
頭皮の赤みやかゆみは炎症のサイン
健康な頭皮は青白い色をしています。もし頭皮が赤みを帯びていたり、かゆみを感じたりする場合は、何らかの炎症が起きている可能性があります。
原因としては、シャンプーのすすぎ残し、皮脂の過剰分泌による脂漏性皮膚炎、あるいは紫外線による日焼けなどが考えられます。
炎症が続くと毛根にダメージが及び、抜け毛の原因となります。
フケの質でわかる頭皮の乾燥・皮脂過剰
フケは頭皮のターンオーバーによって剥がれ落ちた古い角質です。
パラパラとした乾いたフケが多い場合は、頭皮が乾燥しているサインです。洗浄力の強すぎるシャンプーや、エアコンによる空気の乾燥が原因かもしれません。
一方、ベタベタとした湿った大きなフケが出る場合は、皮脂が過剰に分泌されている可能性があります。食生活の乱れやホルモンバランスの不調が疑われます。
頭皮のセルフチェックポイント
チェック項目 | 健康な状態 | 注意が必要な状態 |
---|---|---|
頭皮の色 | 青白い | 赤い、黄色い、茶色い |
フケの状態 | ほとんどない | 乾いた細かいフケ、湿った大きなフケ |
頭皮の硬さ | 弾力があり、指で動く | 硬く、突っ張っている |
髪の毛自体の変化(細さ・ハリ・コシ)
抜け毛の本数と同時に、抜けた毛や今生えている髪の毛の質にも注目してください。
以前と比べて髪の毛が細くなった、ハリやコシがなくなったと感じる場合、ヘアサイクルが乱れているサインです。
髪の毛が十分に成長しきる前に抜けてしまう「軟毛化」は、AGAの初期症状としてよく見られます。
季節性の抜け毛と自己判断せず、髪質の変化を感じたら専門家への相談を検討することが重要です。
今日からできる秋の抜け毛対策セルフケア
秋の抜け毛を最小限に抑えて健康な髪を育むためには、日々のセルフケアが重要です。毎日の生活習慣を見直すことから始めてみましょう。
正しいシャンプーの方法
毎日のシャンプーは頭皮を清潔に保つ基本ですが、やり方を間違えると逆効果になる場合もあります。
まず、シャンプー前にお湯で髪と頭皮を十分に予洗いし、汚れを浮かせるのがポイントです。
シャンプーは手のひらでよく泡立ててから、指の腹を使って頭皮をマッサージするように優しく洗いましょう。爪を立ててゴシゴシ洗うのは、頭皮を傷つける原因になるので厳禁です。
すすぎは、シャンプー剤が残らないように時間をかけて丁寧に行います。
シャンプー選びのポイント
シャンプー剤は、自分の頭皮タイプに合ったものを選びます。
乾燥が気になるならアミノ酸系などのマイルドな洗浄成分のもの、皮脂が多いなら適度な洗浄力のあるものを選びましょう。
- 自分の頭皮タイプ(乾燥肌、脂性肌、敏感肌)を把握する
- 洗浄成分がマイルドなアミノ酸系やベタイン系を選ぶ
- シリコンの有無は好みに合わせて(ノンシリコンは軽やかな仕上がり)
- 香料や着色料が少なく、シンプルな成分構成のものを選ぶ
頭皮マッサージで血行を促進
頭皮の血行促進は、髪の毛に栄養を届ける上で非常に大切です。シャンプー中や、お風呂上がりのリラックスした時間などに、頭皮マッサージを取り入れましょう。
指の腹を頭皮に密着させ、気持ち良いと感じる強さで、頭皮全体を動かすようにマッサージします。
特に、血行が滞りやすい頭頂部や側頭部を重点的に行うと効果的です。継続すると頭皮が柔らかくなり、血行が改善されます。
質の高い睡眠で髪を育てる
髪の毛の成長を促す「成長ホルモン」は、睡眠中に最も多く分泌されます。眠り始めの深いノンレム睡眠の間に特に活発になります。
睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌が減少し、髪の成長が妨げられてしまいます。
毎日6〜8時間の睡眠時間を確保するよう心がけ、寝る前はスマートフォンやパソコンの使用を控えるなど、睡眠の質を高める工夫をしましょう。
生活習慣の見直しポイント
項目 | 改善のポイント | 期待できる効果 |
---|---|---|
睡眠 | 6~8時間の確保、就寝前のスマホ操作を控える | 成長ホルモンの分泌促進 |
運動 | ウォーキングなど軽い有酸素運動を週2~3回 | 全身の血行促進、ストレス解消 |
ストレス管理 | 趣味の時間を作る、リラックスできる環境を整える | 自律神経の安定、ホルモンバランスの改善 |
食生活で改善する季節性脱毛対策
体は食べたもので作られます。髪の毛も例外ではなく、日々の食事がその健康状態を大きく左右します。
外側からのケアと同時に、内側から髪の成長に必要な栄養を補給する心がけが、抜け毛対策の鍵となります。
髪の主成分ケラチンを作るタンパク質
髪の毛の約90%は「ケラチン」というタンパク質で構成されています。そのため、タンパク質が不足すると、健康な髪を作れません。
肉や魚、卵や大豆製品など、良質なタンパク質を毎日の食事にバランス良く取り入れましょう。
無理な食事制限を伴うダイエットはタンパク質不足を招き、抜け毛を悪化させる原因になるため注意が必要です。
亜鉛が髪の成長に重要な理由
亜鉛は、タンパク質を髪の毛(ケラチン)に再合成する際に必要となる重要なミネラルです。また、AGAの原因となる5αリダクターゼの働きを抑制する効果も期待されています。
亜鉛が不足すると髪の成長が滞り、抜け毛が増える場合があります。
亜鉛は体内で作れず、汗などでも失われやすいため、意識的に摂取する必要があります。牡蠣やレバー、牛肉、ナッツ類などに多く含まれています。
ビタミン類が頭皮環境を整える
ビタミン類は、それぞれが髪と頭皮の健康維持に重要な役割を担っています。
ビタミンB群は皮脂の分泌をコントロールし、頭皮の新陳代謝を助けます。ビタミンCは頭皮のコラーゲン生成を助け、血管を丈夫にする働きがあります。
ビタミンEは強い抗酸化作用を持ち、血行を促進して頭皮の老化を防ぎます。
これらのビタミンを緑黄色野菜や果物などからバランス良く摂取する工夫が、健康な頭皮環境の維持につながります。
髪に良い栄養素と多く含む食品
栄養素 | 主な働き | 多く含む食品の例 |
---|---|---|
タンパク質 | 髪の主成分であるケラチンを構成する | 肉、魚、卵、大豆製品、乳製品 |
亜鉛 | タンパク質の合成を助け、髪の成長を促す | 牡蠣、レバー、牛肉、チーズ、ナッツ類 |
ビタミンB群 | 頭皮の新陳代謝を促進し、皮脂分泌を調整する | 豚肉、レバー、うなぎ、マグロ、納豆 |
季節性脱毛とAGA(男性型脱毛症)の見分け方
秋の抜け毛が一時的なものなのか、それとも進行性の薄毛(AGA)の始まりなのか、不安に思う方も多いでしょう。
両者にはいくつかの違いがあり、それを見極めると、早期の適切な対応につながります。
抜け毛の期間と量の違い
季節性の抜け毛は、その名の通り特定の季節(主に秋)に集中し、通常は2〜3ヶ月程度で自然に収まります。抜け毛の量も一時的に増加しますが、その後は平常時に戻ります。
一方、AGAの場合は季節に関係なく、抜け毛が多い状態が慢性的に続きます。そして、時間とともにその量が増加していく傾向があります。
抜ける髪の毛の太さや質をチェック
最も重要なチェックポイントの一つが、抜けた毛の質です。
季節性の抜け毛では、ヘアサイクルの休止期を終えた、太くしっかりとした髪の毛が多く抜けます。
しかしAGAの場合はヘアサイクルの成長期が短縮されるため、十分に成長しきれなかった細く短い、コシのない髪の毛(軟毛)が多く抜けるようになります。
枕や排水溝に細い毛が目立つようになったら注意信号です。
生え際や頭頂部の薄毛の進行
季節性の抜け毛は、頭部全体から均等に抜けるのが特徴です。そのため、特定の部位だけが極端に薄くなることはあまりありません。
対照的に、AGAは特定のパターンで薄毛が進行します。
額の生え際が後退していく「M字型」や、頭頂部が薄くなる「O字型」、あるいはその両方が同時に進行する「U字型」など、局所的に薄毛が目立つようになります。
季節性脱毛とAGAの比較
項目 | 季節性脱毛 | AGA(男性型脱毛症) |
---|---|---|
期間 | 秋を中心に2~3ヶ月程度で収まる | 季節を問わず慢性的に継続・進行する |
抜ける毛質 | 太く健康な髪が多い | 細く短い産毛のような髪が多い |
薄毛の部位 | 頭部全体から均一に抜ける | 生え際や頭頂部など特定の部位から進行する |
不安な場合は専門クリニックへ相談を
これらのポイントをセルフチェックしても判断に迷う場合や、AGAの可能性が少しでも疑われる場合は、一人で悩まずに専門クリニックへの相談を推奨します。
AGAは進行性の脱毛症であり、放置しておくと薄毛は着実に進行していきます。早期に適切な治療を開始することが、将来の髪を守る上で最も効果的な方法です。
クリニックでは専門の医師が頭皮の状態を正確に診断し、一人ひとりに合った治療法を提案します。
秋の抜け毛に関するよくある質問
さいごに、患者さんからよく寄せられる秋の抜け毛に関する質問とその回答をまとめました。
- Q秋の抜け毛はいつまで続きますか?
- A
個人差はありますが、一般的に秋の季節性脱毛は、抜け毛が増え始めてから2〜3ヶ月程度で落ち着くケースが多いです。
11月下旬から12月頃には、抜け毛の量が平常時に戻るのが一般的です。
もし冬になっても抜け毛の量が減らない、あるいは春先まで続くような場合は、季節性以外の要因が考えられるため、一度専門医に相談すると良いでしょう。
- Q抜け毛対策の市販シャンプーは効果がありますか?
- A
市販の育毛シャンプーやスカルプシャンプーは、頭皮の血行を促進したり、炎症を抑えたりする成分が含まれており、頭皮環境を健やかに保つ助けになります。
その意味では、抜け毛の予防や頭皮ケアとして一定の効果は期待できます。
ただし、これらのシャンプーはあくまで「医薬部外品」や「化粧品」であり、AGAのように進行性の脱毛症を「治療」する効果はありません。
AGAの原因である男性ホルモンの働きを直接抑制できないため、シャンプーだけで薄毛の進行を止めるのは困難です。
- Q秋だけでなく冬も抜け毛が多い気がします
- A
冬は空気が乾燥し、頭皮も乾燥しやすくなる季節です。頭皮の乾燥はバリア機能の低下を招き、かゆみやフケ、抜け毛の原因となります。
また、寒さによる血行不良も髪の成長に悪影響を与えます。秋から続く抜け毛が冬になっても改善しない場合、これらの冬特有の要因が影響している可能性があります。
加湿器を使用したり、血行を促進する頭皮マッサージやバランスの取れた食事を心がけたりするなどの対策が重要です。
それでも改善が見られない場合は、やはりAGAなど他の原因を疑う必要があります。
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