抜け毛や薄毛は加齢にともなって進行するイメージが強いかもしれませんが、実際は10代から髪の悩みを抱える方も少なくありません。

20代や30代、40代での髪の変化は、生活スタイルやホルモンバランスなど多岐にわたります。

本記事では、なぜハゲや薄毛が起こるのか、そのメカニズムや年齢別の特徴、そして治療法や予防策をわかりやすく解説します。

目次

ハゲのメカニズムと薄毛のタイプ

髪の毛が抜け始めると、多くの方が「何が原因なのだろう」と不安に感じるかと思います。

まずはハゲや薄毛のメカニズムを確認しながら、自分の状態を客観的に見直すことが大切です。

毛周期の仕組み

髪の毛には成長期、退行期、休止期という周期があります。

成長期には毛母細胞が活発に分裂して髪が太く長く伸び、退行期に入ると細胞分裂が徐々に弱まります。休止期になると髪の成長が止まり、一定期間を経て自然に抜け落ちます。

この毛周期を繰り返すことによって、常に新しい髪が生まれるわけです。

しかし、何らかの要因で成長期が短縮するなどの乱れが生じると、髪の成長が十分でないまま抜けやすくなります。

男性型脱毛症(AGA)とその特徴

男性型脱毛症として知られるAGAは、男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の影響を受けて発症する薄毛です。

前頭部や頭頂部の髪が細くなりやすく、生え際が後退したり、頭頂部のボリュームが低下したりするパターンが典型的です。

男性に多い症状ですが、女性も体質やホルモンバランスによって似たメカニズムの脱毛を起こすケースがあります。

女性の薄毛との違い

女性は全体的に髪が薄くなる方が多く、分け目が広がるといった変化がみられるときがあります。

男性ホルモンだけでなく、妊娠や出産、閉経前後のホルモン変化や栄養不足など、複合的な要因が関与することも多いです。

そのため、治療では単に男性ホルモンを抑制するだけでなく、食生活や生活習慣の見直しが欠かせません。

薄毛の主なタイプと特徴

タイプ主な特徴原因の例
AGA(男性型)前頭部や頭頂部の髪が細くなる男性ホルモン(DHT)の影響
びまん性髪全体がまんべんなく薄くなる栄養不足、ホルモンバランス、ストレス
円形脱毛症円形または楕円形に髪が抜ける自己免疫反応、ストレス
分娩後脱毛出産後に急激に髪が抜ける女性ホルモンの変動
粃糠(ひこう)性頭皮の皮脂やフケが増え、毛穴が詰まりやすい頭皮環境の悪化、過剰な皮脂分泌

10代の抜け毛や薄毛の特徴

10代であっても、はげを心配するケースはあります。周囲に相談しにくいことも多いため、一人で悩んでしまう方が少なくありません。

ここでは10代の髪の悩みを抱えやすい原因や、思春期ならではの注意点について取り上げます。

思春期のホルモンバランス

10代後半は男性ホルモンと女性ホルモンが急激に変化し、皮脂の分泌が増える時期です。

頭皮が脂っぽくなり、シャンプーの仕方によっては毛穴が詰まりやすくなります。

はげに直結しない場合でも、頭皮トラブルから抜け毛が増えるときがあるため油断はできません。

ストレスや生活習慣

受験勉強や部活動、人間関係の変化といったストレスが髪に影響することはよくあります。

さらに夜更かしやファストフードの摂りすぎ、栄養バランスの乱れなど生活習慣の乱れも抜け毛を促進しやすいです。

10代の抜け毛・薄毛の原因

  • 皮脂の過剰分泌で頭皮がベタつきやすい
  • 夜更かしが続き、慢性的に睡眠不足
  • ストレスを感じる場面が多い
  • ジャンキーな食事が多く栄養バランスが偏りがち
  • 抜け毛が増え始め、髪が細く感じる

当てはまるものが多ければ多いほど、抜け毛や薄毛のリスクが高まります。

頭皮環境を整えるポイント

将来のはげリスクを下げるうえで、10代のうちに健やかな頭皮環境をつくる心がけが大切です。

洗髪時に刺激の弱いシャンプーを使う、成長期に必要な栄養をしっかり摂るなど、日々のケアが重要となります。

10代の抜け毛を防ぐためにおすすめのケア

  • 洗髪時に爪を立てず、指の腹でやさしく洗う
  • 睡眠時間をしっかり確保して、夜更かしを控える
  • 揚げ物やスナック菓子など脂っこい食品を摂りすぎない
  • 部活や勉強の合間にリラックスできる時間をつくる

20代の薄毛・ハゲの主な要因と対策

20代はライフステージの変化が大きく、就職や進学、あるいは一人暮らしのスタートなど、新たな環境に慣れるまでに多くのストレスを抱えやすいです。こうした環境の変化が髪に影響することもあります。

ここでは、20代ではげを意識し始める方に向けて、よくみられる原因やハゲ対策をまとめます。

仕事や生活習慣の乱れ

20代になると飲酒や喫煙の機会が増える場合があります。夜間の外食や不規則な生活が続くと、頭皮の血行不良や栄養不足により抜け毛が進行する恐れがあります。

はげに直結するかどうかは個人差がありますが、髪へのダメージ要因を増やすことは確かです。

20代で意識したい頭皮ケアのポイント

20代のはげ対策では、シャンプー選びや頭皮マッサージなどを積極的に取り入れるとよいでしょう。

過剰なヘアスタイリングは頭皮への負担が大きいため、整髪料が髪や頭皮に残らないよう丁寧な洗い流しが肝心です。

メンタル面と薄毛の関連

20代は精神的にも揺れ動きやすい時期です。仕事や人間関係で心身ともに疲れ、ストレス過多となるとホルモンバランスが乱れやすくなります。

ストレス緩和のための運動や趣味を見つけると、抜け毛や薄毛の予防につながります。

20代のハゲ・薄毛対策の概要

対策具体例期待できる効果
頭皮ケア刺激の少ないシャンプー、頭皮マッサージ頭皮環境の改善
規則正しい睡眠1日6~7時間以上の睡眠ホルモンバランスの安定
栄養バランスの見直しタンパク質やビタミン、ミネラルを意識した食事毛母細胞への必要な栄養補給
ストレス管理適度な運動、趣味、リラックス法の活用自律神経の乱れを抑えて抜け毛軽減

30代から進行しやすい症状と注意点

30代に入ると体力や代謝力が若干落ち始める人も増え、髪に必要な栄養が不足しやすくなる傾向があります。はげや薄毛の兆候を感じる方が増える年代ともいえます。

ここでは30代ではげの進行が進みやすい背景や対処法を解説します。

加齢による髪質の変化

加齢とともにコラーゲンなどが減少し、頭皮や毛髪の保水力が低下します。

20代では問題なかった生活習慣でも、30代になると抜け毛が増えるケースがあります。早い段階で頭皮ケアを取り入れると、はげの進行を抑えやすいです。

遺伝やホルモンの影響

薄毛やはげには遺伝的要因も大きくかかわります。家族に薄毛の方が多い場合、30代になって急に進行し始めるケースも珍しくありません。

また、男性ホルモンの活性化が進むことで、特に前頭部や頭頂部の髪が細くなりやすくなります。

30代で気を付けたい生活習慣

仕事での責任や業務量が増え、生活リズムが乱れやすいのも30代の特徴です。

過度な飲酒や喫煙、睡眠不足が続くと、頭皮の血行不良や髪の栄養不足が顕著になり、はげの進行を加速する恐れがあります。

30代の髪のトラブル防止に役立つポイント

  • 月に1回程度、頭皮や毛髪の専門ケアを取り入れる
  • 就寝前のスマホやパソコン利用を控え、睡眠の質を高める
  • 疲れを翌日に持ち越さないよう、適度な休息を心がける
  • 髪によい栄養素(亜鉛、鉄分、ビタミン群など)を意識して摂取する

40代にみられる進行度とケア方法

40代になると抜け毛や薄毛がより顕著になるケースがあります。髪が細くなり、ハリ・コシを失いやすくなるため、はげの進行を感じやすくなる方が多いようです。

ここでは40代特有の進行度合いや、効果的なケア方法を解説します。

40代ではげを感じやすい理由

30代までに受けたダメージやホルモン変化が蓄積し、40代で顕在化することが珍しくありません。

体力面の衰えや血行不良が加わり、毛髪への栄養供給が一段と低下しやすい時期です。

見た目の印象とメンタルヘルス

40代では仕事上の立場や周囲からの視線も変わってきます。鏡を見るたびにはげを実感して落ち込む方も少なくありません。

メンタル面が悪化すると、生活習慣が乱れ、薄毛がさらに進行する悪循環に陥ることもあります。

40代ならではのケアの工夫

髪だけでなく頭皮全体の血流を促進する工夫が重要です。定期的な頭皮マッサージや栄養バランスの整った食事、適度な運動が欠かせません。

また、抜け毛が増えてきたら早めに専門家へ相談すると、AGA治療などの取り組みを検討できます。

40代で多い進行度合いと推奨ケア

進行度特徴おすすめのケア
初期前頭部や頭頂部の髪が細くなる程度頭皮マッサージ、栄養補給
中期生え際の後退、髪のコシやボリューム低下AGA治療検討、生活習慣改善
進行期頭皮が透けて見える、つむじ周辺が大きく開く複数の治療法の組み合わせ、定期的な専門クリニック通院

クリニックで行う治療法と費用の目安

はげや薄毛を本格的にケアする場合、自己流のケアに限界を感じる方も多いです。クリニックで受けられる治療法は多岐にわたり、状態や希望に合わせて選択できます。

ここでは主な治療内容や費用の目安を紹介します。

内服薬や外用薬による治療

内服薬(フィナステリドやデュタステリドなど)で男性ホルモンの働きを抑制し、抜け毛を減らす治療法があります。

また、外用薬(ミノキシジルなど)を使用して血行を促す方法も広く行われています。

これらは継続が大切であり、症状に合わせて医師が処方を検討します。

注入治療や成長因子療法

頭皮に成長因子や有効成分を注入する治療も知られています。頭皮の血流や細胞活性を促進し、毛根の成長をサポートします。

費用は施術ごとに数万円から数十万円と幅があり、回数や施術方法によって変動します。

クリニックで取り扱う治療法

治療法内容費用の目安(1か月あたり)
内服薬(フィナステリドなど)男性ホルモン抑制作用で抜け毛を予防¥5,000~¥8,000
外用薬(ミノキシジル)頭皮の血流を促進して発毛をサポート¥3,000~¥6,000
成長因子注入治療成長因子や有効成分を頭皮に直接注入1回¥30,000~¥100,000程度
植毛自毛、または人工毛を移植してボリュームアップ数十万円~数百万円

施術回数と効果実感までの目安

内服薬や外用薬、成長因子注入治療では効果を実感するまでに3~6か月ほどかかります。

治療種類施術回数の目安効果を実感するまでの期間
内服薬・外用薬毎日服用または塗布3か月~6か月
成長因子注入治療月1回~2回のペースで数か月継続3か月~6か月程度
植毛1回から複数回数か月後に定着を確認

通院頻度やサポート体制

クリニックでの治療は、初回カウンセリングをはじめ定期検査や経過観察が必要なことが多いです。通院頻度は治療法や症状によって異なりますが、数か月に1度の受診で十分なケースもあります。

サポート体制が整ったクリニックを選ぶと、モチベーションを保ちながら治療を続けやすくなります。

治療を続ける際に意識したいポイント

  • 医師の指示を守り、処方された薬を継続的に利用する
  • 途中で諦めず、効果が出るまで一定期間は根気強く取り組む
  • 生活習慣の改善も並行して行い、相乗効果を狙う
  • 定期的に通院し、頭皮や毛髪の状態をチェックしてもらう

生活習慣で取り組むケアと予防策

はげや薄毛の治療では、医療行為だけでなく、日頃の生活習慣の見直しが重要です。頭皮に十分な栄養を届け、血行を促進する土台づくりを行いましょう。

栄養バランスを整える食事

髪の主成分はタンパク質です。肉や魚、大豆製品などで良質なタンパク質をしっかり摂るとともに、亜鉛、鉄、ビタミンB群など髪の成長に関わる栄養素も意識して取り入れましょう。

外食が多い方は定食を選ぶなど、小さな工夫で大きく違いが出ます。

適度な運動と睡眠の質向上

有酸素運動やストレッチは血行を促し、頭皮にも新鮮な酸素や栄養が行き届きやすくなります。また、睡眠時間が十分確保できていないとホルモンバランスが乱れ、抜け毛を進める一因となります。

就寝前のスマホの長時間操作を減らすなど、睡眠の質を高める工夫が大切です。

シャンプーやドライヤーの使い方

頭皮を傷つけないように、マイルドな洗浄力のシャンプーを使用し、しっかり泡立てて洗うとよいでしょう。

ドライヤーは髪から10cm以上離し、高温で一気に乾かさないようにするのがコツです。熱によるダメージを減らすと、キューティクルを保護しやすくなります。

生活習慣で気をつけたいポイント

項目具体例効果
食生活タンパク質、ビタミン、ミネラルのバランスを意識した食事髪の土台を整える
運動習慣ジョギング、ウォーキング、軽い筋トレ血行促進とストレス解消
シャンプー方法指の腹でやさしく洗う頭皮環境の改善
ドライヤーの使い方遠目から温風→最後は冷風で仕上げ熱ダメージを減らし、髪を保護

日常ケアを続けるうえで意識したいこと

  • 洗髪後はすみやかに乾かし、頭皮を清潔に保つ
  • 栄養バランスを乱さないために、野菜や果物も積極的に摂取する
  • カフェインやアルコールを摂りすぎないように注意する
  • 疲労やストレスを翌日に持ち越さないよう工夫する

よくある質問

はげや薄毛はデリケートな悩みなので、なかなか人に聞きにくいことも多いでしょう。最後に、患者さんからよく寄せられる疑問をまとめました。

治療を始める前に頭の中を整理しておくと、クリニックでのカウンセリングや治療効果がより明確になりやすいです。

Q
薬の副作用が心配です。大丈夫でしょうか?
A

処方薬にはホルモンに作用する成分が含まれるケースがあります。副作用のリスクはゼロではありませんが、医師が体質や症状を確認して投与量を調整します。万が一、体調に変化を感じたら早めに医師に相談してください。

Q
治療にどのくらいの費用がかかりますか?
A

治療法によって幅が広いです。内服薬や外用薬だけなら月に数千円から1万円程度が目安ですが、注入治療や植毛の場合は数万円以上になることがあります。予算や目的に応じて、無理なく続けられる治療プランを選ぶことが大切です。

Q
治療効果はいつごろ出始めますか?
A

内服薬や外用薬の場合、効果を実感するまでに3か月以上かかることが多いです。すぐに改善しないからと途中で断念すると、効果が出にくくなる可能性があります。焦らず、継続することがポイントです。

Q
薄毛に悩んでいますが、どのタイミングで受診するべきですか?
A

抜け毛が急に増え始めたり、髪のボリュームダウンが明らかに気になり始めたら、早めにクリニックを受診するとよいです。早期に治療や生活習慣の改善を開始すれば、はげの進行を抑えられる可能性が高まります。

参考文献

PHILLIPS, T. Grant; SLOMIANY, W. Paul; ALLISON, Robert. Hair loss: common causes and treatment. American family physician, 2017, 96.6: 371-378.

RUSHTON, D. H., et al. Causes of hair loss and the developments in hair rejuvenation. International journal of cosmetic science, 2002, 24.1: 17-23.

PRICE, Vera H. Treatment of hair loss. New England Journal of Medicine, 1999, 341.13: 964-

ALESSANDRINI, A., et al. Common causes of hair loss–clinical manifestations, trichoscopy and therapy. Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, 2021, 35.3: 629-640.

MOUNSEY, Anne L.; REED, Sean W. Diagnosing and treating hair loss. American family physician, 2009, 80.4: 356-362.

WALTER, Kristin. Common causes of hair loss. JAMA, 2022, 328.7: 686-686.

KAUFMAN, Keith D., et al. Finasteride in the treatment of men with androgenetic alopecia. Journal of the American Academy of Dermatology, 1998, 39.4: 578-589.

URYSIAK-CZUBATKA, Izabela; KMIEĆ, Małgorzata L.; BRONIARCZYK-DYŁA, Grażyna. Assessment of the usefulness of dihydrotestosterone in the diagnostics of patients with androgenetic alopecia. Advances in Dermatology and Allergology/Postępy Dermatologii i Alergologii, 2014, 31.4: 207-215.