粃糠性脱毛症は頭皮のフケやかゆみを伴うことが多い脱毛症のひとつです。
見た目の変化だけでなく、頭皮の炎症や不快感によって日常生活の質を下げてしまうケースもみられます。しっかりと症状を理解し、早めの段階から対処を始めることが、将来的な髪の健康を守るうえで大切です。
この記事では、粃糠性脱毛症の特徴や原因、具体的な治療の方法などを解説します。
粃糠性脱毛症とは
頭皮にフケが多く発生し、髪の毛が細くなったり抜けやすくなったりする症状が目立つ脱毛症の一種です。
見た目の問題だけでなく、頭皮のむずむず感やかゆみが長期化する例が多く、本人にとって大きなストレスとなるケースもみられます。
フケが皮脂などと混ざり合うことで頭皮環境が悪化し、抜け毛を引き起こすパターンが多いとされています。
定義と呼称について
粃糠性脱毛症は「ひこうせいだつもうしょう」と読み、頭皮の角質や老廃物が過剰に蓄積することで生じる脱毛の総称です。
皮膚科や毛髪専門クリニックでの診断時に用いられる言葉であり、頭皮トラブルの一種として分類されることが多いです。
ただし、脱毛症の名前や定義は医療機関ごとに多少異なることもあるため、気になる症状があれば専門医に相談するほうがよいでしょう。
主な脱毛症と特徴
脱毛症の種類 | 特徴 |
---|---|
粃糠性脱毛症 | フケやかゆみが多く、角質が頭皮に蓄積しやすい。頭皮の炎症や抜け毛を伴いやすい |
AGA(男性型) | 思春期以降に発症し、額の生え際や頭頂部が徐々に薄くなる。男性ホルモンの影響が大きい |
円形脱毛症 | 突然円形や楕円形の脱毛を起こす。自己免疫が関与しているといわれ、性別問わず発症することがある |
びまん性脱毛症 | 全体的に髪のボリュームが減る。女性に多く見られ、ストレスや栄養不足などの影響が考えられる |
牽引性脱毛症 | 髪を強く結ぶなどの物理的な刺激により生じる。髪の分け目や結び目周辺が薄くなる |
上記のように、脱毛症にはいくつかの分類がありますが、粃糠性脱毛症は頭皮の角質や皮脂が蓄積してフケが目立ちやすくなる点に特徴があります。毛穴が詰まることで炎症が起こり、これが長期化すると髪の成長にも悪影響を及ぼします。
粃糠性脱毛症が疑われるサイン
粃糠性脱毛症が進行している可能性があるサインは、かゆみやフケだけにとどまりません。
以下のような兆候が見られたら注意が必要です。
- 頭皮を触るとベタつきが強い
- 髪を洗った直後でもフケが大量に出る
- 抜け毛が増え、髪のコシやハリが弱いと感じる
- 頭皮全体がうっすら赤く炎症を起こしている
ただフケが多いだけではなく、抜け毛や頭皮の炎症など複数の兆候が組み合わさる場合は粃糠性脱毛症の疑いが高まります。
フケの色が黄色っぽい、まとまりやすいタイプであるなど、見た目の違いも早期発見の目安になります。
粃糠性脱毛症と関連するフケの特徴
粃糠性脱毛症のフケは、一般的な乾燥によるものと異なり、頭皮の皮脂や汚れが混ざり合った粘度の高いタイプが目立つ傾向にあります。また、細かい粉状のフケというよりは、髪の毛にこびりつきやすい塊として認められるケースが多いです。
フケが過剰に産生されると通気性が悪くなり、毛穴が詰まりやすくなるため、髪の成長サイクルに影響を与えやすくなります。
- 髪の毛をかき分けると、頭皮に白や黄色のフケが付着している
- シャンプーをしても完全に落としきれず、再びフケが溜まる
- 頭皮を触ると柔らかく感じるよりも、ややぬめり気がある
このようなフケの性質を把握すると、自分の頭皮環境を見直すきっかけになりやすいです。
粃糠性脱毛症の原因
粃糠性脱毛症が起こる背景には、皮脂の過剰分泌だけでなく、さまざまな要因が組み合わさっていると考えられています。皮膚や毛根に関する知識が深まると、症状を理解しやすくなるでしょう。
皮脂の過剰分泌と頭皮環境
頭皮は皮脂腺が多く存在する部位であり、脂っぽさやベタつきを生じやすいという特徴があります。
本来は頭皮を保護するために必要な皮脂も、過剰に分泌されると毛穴詰まりを引き起こします。皮脂と角質が結合すると、フケが凝固しやすくなり、粃糠性脱毛症に特徴的な「ベタつくフケ」を増やします。
皮脂が過剰分泌しやすい要因
要因 | 主な内容 |
---|---|
食生活の乱れ | 高脂質・高糖質の食事が続くと皮脂分泌が高まる傾向がある |
ホルモンバランス | ストレスや加齢によるホルモン変動で皮脂分泌が左右される場合がある |
睡眠不足 | 自律神経が乱れ、皮脂コントロールの機能が低下しやすい |
頭皮ケアの不十分 | 洗浄が不十分または洗いすぎなどの不適切なケアで皮脂が乱れやすい |
頭皮環境を整えるには、皮脂コントロールを意識しつつ、栄養バランスや睡眠リズムにも目を向けることが大切です。
特に粃糠性脱毛症にかかわるケースでは、頭皮に余分な汚れや皮脂が溜まりやすい点に注意しましょう。
細菌や真菌の影響
皮膚や頭皮には常在菌が多く存在し、そのバランスが保たれている状態では特に大きなトラブルは起きません。しかし、皮脂が過剰に存在する環境では細菌や真菌が増殖しやすくなり、頭皮トラブルのリスクを上げます。
細菌が増えると炎症が長引く場合があり、毛穴の状態が悪化して脱毛を誘発しやすくなるという悪循環に陥ることがあります。
- 頭皮にかゆみや赤みが続く
- シャンプー後にすぐベタつく
- ニオイが強く感じる
このような状態が長引くときは、細菌や真菌が関与している可能性を検討する必要があるでしょう。
ストレスや生活習慣
ストレスはホルモンバランスを崩すだけでなく、生活リズムの乱れにつながるため、頭皮環境に悪影響を及ぼします。
食事の乱れや運動不足、睡眠不足などが続くと、皮脂分泌がさらにコントロールしづらくなり、粃糠性脱毛症が進行しやすくなる傾向があります。頭皮環境の乱れは髪の質にも直結し、コシやハリが失われることも珍しくありません。
不適切なヘアケア製品の使用
強い洗浄力をもつシャンプーや刺激の強いスタイリング剤を使うと、本来必要な頭皮のうるおいまで洗い流してしまいます。過度に洗浄した結果、頭皮は皮脂を補おうとさらに分泌を高めてしまう場合があります。
また、粃糠性脱毛症に対応したシャンプーを選ばずに繰り返し刺激を与えると、フケやかゆみが増して脱毛が進みやすくなる場合があるため注意が必要です。
粃糠性脱毛症の代表的な症状
ここでは、粃糠性脱毛症に特にみられやすい症状に着目します。頭皮環境の悪化による炎症や、フケ・抜け毛の増加などが重なり合うことで、複雑なトラブルを引き起こすケースも少なくありません。
大量のフケと頭皮のベタつき
もっとも目立つ症状は、大量のフケです。通常の乾燥フケよりも粘度が高いタイプで、頭皮にこびりつくように出現することが多いです。
頭皮のベタつきも強くなるため、指で触れると湿った感触を覚える人も少なくありません。
フケの種類と特徴
フケのタイプ | 特徴 |
---|---|
乾性フケ | 白色でパラパラと落ちる。頭皮の乾燥が原因で発生することが多い |
脂性フケ | 黄みがかって粘度があり、皮脂の過剰分泌が深く関与 |
粃糠性脱毛症に伴うフケ | 粘着性が強く、頭皮にこびりつきやすい。炎症を引き起こしやすい |
粃糠性脱毛症でみられるフケは脂性フケに近い性質をもつ場合が多く、髪の毛や頭皮にへばりつくように付着するのが特徴です。
かゆみや炎症の持続
フケや皮脂が毛穴を塞ぐと、頭皮が蒸れやすくなり、細菌や真菌が増えやすい環境になります。その結果、頭皮に赤みやかゆみが出やすくなり、かきむしることでさらに傷ができ、炎症が拡大するケースもあります。
炎症を繰り返すと毛穴周囲の組織にダメージが及び、抜け毛の悪化にもつながります。
- 頭皮に軽く触れただけでピリピリする
- 清潔にしても数時間後にはかゆみが戻る
- 湿疹のように赤くブツブツした状態が長引く
このような症状がみられる場合、早めに専門医の診察を受けて炎症の原因を突き止めることが大切です。
抜け毛の増加や髪質の変化
頭皮の炎症や毛穴詰まりが続くと、毛周期の乱れが起きやすくなります。すると髪が成長しにくくなるだけでなく、髪質自体にも変化が起こりやすいです。
具体的には、ハリやコシが弱まり、細くて切れやすい髪質になってしまう場合があります。
髪質の変化とその原因
髪質の変化 | 考えられる背景 |
---|---|
ハリ・コシの低下 | 頭皮の炎症や栄養不足により、健康な髪が育ちにくくなる |
ダメージが目立つ | 外部刺激や過度のカラーリング、パーマが負担になる |
ボリュームダウン | 毛根が弱り、髪の一本一本が細くなる |
枝毛・切れ毛の増加 | 髪の内部が乾燥しやすく、キューティクルの損傷が進む |
粃糠性脱毛症が進行している場合は、頭皮が常に炎症やフケの問題を抱えているため、髪の成長にも大きな影響を及ぼします。自然に抜けるよりも抜け毛が多いと感じる場合は、早急な対策が求められます。
フケによる頭皮のニオイ
ベタついたフケが蓄積すると、皮脂が酸化したニオイが発生することがあります。本人が気づきにくい場合もありますが、周囲の人には伝わりやすく、人間関係のストレスに発展しかねません。
髪を洗った直後でもニオイを感じるようになった場合は、頭皮の状態がかなり悪化しているサインと考えてください。
AGAや他の脱毛症との違い
ここでは、粃糠性脱毛症とAGA(男性型脱毛症)やほかの脱毛症とを比較しながら、特徴の違いを確認します。粃糠性脱毛症は頭皮環境の乱れが大きく関与する一方で、AGAは男性ホルモンの影響が顕著です。
AGAとの比較
AGAは思春期以降の男性に多くみられ、生え際や頭頂部が徐々に薄くなっていくのが特徴です。
一方、粃糠性脱毛症は頭皮のフケや炎症が目立ち、頭頂部や生え際だけに限らず、頭皮全体のベタつきやかゆみが先行しやすいです。
早期段階では見分けがつきにくいケースもありますが、フケの量やかゆみの有無などを総合的に判断すると区別しやすくなります。
AGAと粃糠性脱毛症の違い
項目 | AGA(男性型脱毛症) | 粃糠性脱毛症 |
---|---|---|
主な要因 | 男性ホルモンによる毛根の萎縮 | 皮脂・フケ・細菌などによる頭皮環境の悪化 |
症状の部位 | 前頭部・頭頂部中心 | 頭皮全体にフケやかゆみが見られる傾向が強い |
フケの量や炎症の有無 | 少ないことが多い | 大量のフケやベタつき、かゆみを伴いやすい |
性別・年齢 | 主に成人男性に多い | 性別問わず発症し、若年層からも報告がある |
円形脱毛症やびまん性脱毛症との比較
円形脱毛症は自己免疫の関与が指摘されており、突然円形状に脱毛が現れるのが特徴です。びまん性脱毛症は髪全体の密度が徐々に低下するため、一部分だけではなく全体的に薄くなったと感じる人が多いです。
これらと比べると、粃糠性脱毛症はフケと炎症が強く、頭皮のコンディションが大きく崩れる点に特徴があります。
脱毛症の種類 | 特徴 |
---|---|
円形脱毛症 | 毛髪を特定の円形範囲で失うが、フケやかゆみが目立たない場合が多い |
びまん性脱毛症 | 頭部全体の髪の量が均等に減っていくが、頭皮の炎症は限定的 |
粃糠性脱毛症 | フケが大量に発生し、頭皮がベタつきやすいため抜け毛が進行する |
なぜ見極めが大事なのか
脱毛症の種類を誤って自己流の対策を続けると、症状の悪化を招く可能性があります。
粃糠性脱毛症の場合、フケや皮脂が原因で頭皮環境が乱れているため、皮脂コントロールを意識したケアや頭皮の炎症を鎮静するケアが有効です。一方、AGA対策薬を使ってもフケや炎症が落ち着かなければ根本的な改善にはつながりにくいです。
医師による正確な診断の重要性
自己判断のみでケアを行うよりも、皮膚科や毛髪専門外来で頭皮を詳しく診断してもらうほうが、より確実に原因を見極められます。
炎症が原因の場合は抗真菌薬や抗炎症薬が必要になるケースもあり、AGAの場合はホルモン抑制薬が有力な選択肢となります。
このように、早期の段階で医師に相談して正しい治療方針を定めることが重要です。
日常生活で気をつけたいポイント
粃糠性脱毛症の進行を防ぐには、日常生活の中で頭皮環境を整える意識を高めることが鍵となります。ここでは、毎日の習慣や生活スタイルを見直すための具体的なポイントを挙げます。
食生活と水分摂取
皮脂の過剰分泌を抑えるには、食事内容が大きく影響します。高脂質・高糖質の食事ばかり続くと、皮脂が増えてフケの元となる可能性が高まります。
ビタミンやミネラルが豊富な野菜や果物を積極的に取り入れると、頭皮環境を整えやすくなります。
- 緑黄色野菜や海藻類でミネラルとビタミンを補う
- たんぱく質は魚や大豆製品からも摂取してバランスをとる
- 水分補給をこまめに行い、血流の改善をサポートする
過度のアルコールや甘いジュースなどは皮脂の分泌を促進する場合があるため、摂りすぎには注意しましょう。
頭皮環境を整えやすい栄養素と食品
栄養素 | 例となる食品 | 期待できる効果 |
---|---|---|
ビタミンA | にんじん、かぼちゃ、ほうれん草など | 皮膚や粘膜の健康を保ち、炎症を抑えやすくする |
ビタミンB群 | レバー、納豆、卵など | 頭皮の代謝を助け、健康な毛髪を育成しやすくする |
ビタミンC | 柑橘類、ブロッコリー、キウイなど | 抗酸化作用で頭皮の老化を抑え、血行を促進する |
亜鉛・鉄分 | 牡蠣、赤身肉、貝類、ひじきなど | 髪の毛の生成や頭皮の健康をサポート |
質の良い睡眠
睡眠中には成長ホルモンの分泌が活発になり、細胞の修復が行われます。睡眠不足が続くとホルモンバランスが崩れ、皮脂の過剰分泌だけでなく、頭皮のターンオーバーも乱れやすくなります。
粃糠性脱毛症のケアとしては、夜更かしを減らし、規則正しい睡眠を確保することが大切です。
適度な運動とストレス管理
ストレスは自律神経にも影響を与え、頭皮への血行不良やホルモンバランスの乱れを引き起こす要因となります。
日常的に軽いウォーキングやストレッチなどを取り入れると、血行が改善し、頭皮のコンディションが整いやすくなります。さらに、運動はストレス解消にもつながるため、生活習慣として続けるのが効果的です。
- 週に数回のウォーキングやジョギング
- ヨガや瞑想など、リラックス効果の高いアクティビティ
- 定期的な趣味の時間を設けて気分転換を図る
こうした活動を続けると、頭皮環境に良い影響を与えやすくなります。
頭皮に優しいヘアケア
ゴシゴシと強く洗うシャンプー方法や、強い刺激のあるスタイリング剤は頭皮を傷める原因になります。
粃糠性脱毛症が疑われる場合は、粃糠性脱毛症に対応したシャンプーや刺激の少ないヘアケア製品を選び、指の腹で優しく洗うことを心がけましょう。
ヘアケア時に意識したい点
項目 | 意識したいポイント |
---|---|
シャンプーの選び方 | 低刺激かつ保湿成分が含まれたものを選ぶ |
洗髪時の温度 | ぬるま湯(38度前後)で洗い、過度な皮脂の洗い落としを避ける |
頭皮マッサージの方法 | 指先や指の腹を使い、優しく円を描くようにマッサージする |
ドライヤーの使い方 | 頭皮から15〜20cm程度離し、頭皮をしっかり乾かして雑菌繁殖を防ぐ |
クリニックでの治療方法
粃糠性脱毛症は頭皮環境が深く関わる脱毛症のため、皮膚科や毛髪外来での専門的な治療が効果的な場合があります。ここでは、医療機関で行われる主な治療方法を紹介します。
炎症を抑える薬物療法
フケや皮脂が毛穴を塞ぐと細菌や真菌が増殖し、頭皮の炎症が長引く原因となります。医療機関では症状に応じて抗真菌薬や抗炎症薬、外用薬を使い、頭皮の炎症を抑える治療を検討することが多いです。
必要に応じて皮膚の状態を確認しながら、塗り薬や飲み薬を併用するケースもあります。
- ステロイド外用薬で急性炎症を鎮める
- 抗真菌シャンプーやローションで常在菌バランスを整える
- 抗ヒスタミン薬でかゆみを和らげる
このように薬物を使った治療によって、頭皮の炎症を沈静化させ、フケや抜け毛の進行を抑えることを目指します。
薬の種類と目的
薬の種類 | 目的 |
---|---|
抗真菌剤 | マラセチア菌などの真菌増殖を抑制し、フケや炎症を軽減 |
抗炎症ステロイド | 炎症や赤み、かゆみを短期的に鎮める |
抗ヒスタミン薬 | かゆみを抑え、頭皮を搔きむしることによる悪化を防ぐ |
抗生物質 | 細菌感染が疑われる場合に用い、膿や化膿がある場合に処方されやすい |
頭皮の洗浄・ピーリング
毛穴に詰まったフケや角質を除去するために、頭皮専用のクレンジングやピーリングを行うケースがあります。
医療機関では専門の機器を使って毛穴内部の汚れを丁寧に取り除き、炎症の原因を減らしながら頭皮の血行を促進します。自宅ケアでは取りきれない汚れに対しても、集中的なケアが期待できる方法です。
栄養指導やサプリメントの活用
医療機関によっては管理栄養士が在籍しており、食生活の改善をサポートしてくれる場合があります。
粃糠性脱毛症においては、皮脂コントロールと頭皮の健康をサポートする栄養バランスが重要です。ビタミンやミネラル、亜鉛などのサプリメントを活用して、効率的に髪の成長環境を整えることを目指すケースもあります。
- 外食やコンビニ食が多い人向けのアドバイス
- ビタミンB群や亜鉛、鉄分が含まれたサプリの提案
- 食事指導を通して継続的に頭皮環境をサポート
こうした指導を受けると、治療効果を高める一助となりやすいです。
脱毛や頭皮状態に合わせた治療プラン
粃糠性脱毛症は炎症が収まれば抜け毛が自然に改善することもありますが、進行が進んだ状態では発毛をサポートする治療が必要となる場合があります。
AGA治療薬のなかには毛母細胞に働きかけて発毛を促すものもあるため、症状のタイプを慎重に見極めたうえでの治療薬選びが重要です。
治療プランの組み合わせ
症状の段階 | 主な治療内容 |
---|---|
軽度(フケやかゆみが中心) | 抗真菌シャンプー、抗炎症外用薬、適切なヘアケア製品の使用 |
中等度(頭皮が赤く炎症) | 抗炎症薬内服、ピーリング、栄養指導、炎症が強い箇所への局所治療 |
重度(抜け毛が顕著に増加) | 発毛促進薬の併用、頭皮の集中的ケア、ホルモン系の薬剤検討 |
合併症あり(化膿や重度の痒み) | 抗生物質やステロイド外用薬、徹底的な頭皮洗浄による炎症抑制 |
粃糠性脱毛症は進行度によって治療方針が異なるため、段階的な取り組みを行う必要があります。
自宅でのケアと注意点
医療機関での治療とあわせて、自宅でのケアも欠かせません。頭皮環境を整えるためには、日常のヘアケアや生活習慣が大きく関わっています。
正しいシャンプーの手順
粃糠性脱毛症に対応したシャンプーを使うだけでなく、洗い方にも気を配ると良いです。髪を洗う前にしっかりブラッシングを行い、湯洗いで汚れを大まかに落とすと、シャンプーの泡立ちが良くなります。
指の腹を使って頭皮をやさしくマッサージしながら洗うと、フケや皮脂が浮きやすくなり、血行も促進されやすくなります。
- 髪のブラッシングで頭皮の汚れを事前に落とす
- ぬるま湯でしっかり予洗いしてからシャンプーをつける
- シャンプー後はすすぎ残しがないよう丁寧にすすぐ
洗髪後は頭皮を早めに乾かして湿度が高い状態を避けると、菌の繁殖を抑えることにもつながります。
自宅ケアでありがちな失敗例と対策
失敗例 | 対策 |
---|---|
熱いお湯で頭皮を洗ってしまう | ぬるま湯(38度前後)を使い、頭皮の過度な乾燥や刺激を避ける |
シャンプーのすすぎが不十分 | しっかり時間をかけてすすぎ、洗剤の残留を防ぐ |
タオルでゴシゴシこする | やわらかいタオルで優しく押し当てるように水分を取る |
自然乾燥で済ませてしまう | ドライヤーを使い、頭皮を中心に手早く乾かす |
スタイリング剤や帽子の使用
ワックスやスプレーなどのスタイリング剤は頭皮の毛穴に詰まりやすいため、使いすぎるとフケや炎症を助長するリスクがあります。帽子を長時間かぶると蒸れやすくなり、菌の繁殖や皮脂分泌が促される可能性があります。
どうしてもスタイリング剤が必要な場合は、頭皮にはなるべくつけない工夫や、こまめな洗髪を心がけましょう。
他人とのヘアブラシやタオルの共有
フケや皮脂が付着したヘアブラシやタオルを共有すると、細菌や真菌の感染リスクが高まる場合があります。
家族間でも、頭皮トラブルがある人のタオルやブラシは分けて管理したほうが安心です。
- 自分専用のブラシやタオルを用意する
- 使用後はしっかり洗って乾燥させる
- 共有を避けることで菌の増殖を抑える
こうした小さな積み重ねが、粃糠性脱毛症を悪化させないポイントになります。
定期的な頭皮チェック
自宅ケアの一環として、週に1回程度は頭皮の状態をセルフチェックするとよいでしょう。分け目を変えて頭皮を観察し、フケや赤み、抜け毛の量を確認して変化に気づきやすくなります。
早期に異変を察知できれば、医療機関での対応もしやすくなるでしょう。
セルフチェックで注目したいポイント
観察する項目 | チェックの目安 |
---|---|
フケの量 | 前回に比べて増えた、または大きくなったか |
頭皮の色 | 赤みやブツブツが出ていないか |
髪質の変化 | ハリやコシが低下していないか、抜け毛が増えていないか |
かゆみの強さ | 日中や就寝時に強いかゆみで困っていないか |
Q&A
さいごに、粃糠性脱毛症について多くの方が気にする疑問をまとめました。
- 粃糠性脱毛症は放っておいても自然に治ることはありますか?
-
粃糠性脱毛症の程度が軽ければ、生活習慣の改善や正しいヘアケアで徐々にフケやかゆみが落ち着き、自然に髪が戻るケースもあります。
ただし炎症が長期化している場合や、抜け毛が顕著に増えているなら専門的な治療が必要です。
- 粃糠性脱毛症に対応したシャンプーはどのように選べばよいですか?
-
低刺激処方で保湿成分が含まれたものや、頭皮の常在菌バランスを整えやすい抗真菌成分配合のシャンプーなどがおすすめです。
選ぶ際は皮膚科医や薬剤師に相談し、自分の頭皮に合ったアイテムを探すとよいでしょう。
- 市販の頭皮マッサージ機器やブラシは効果がありますか?
-
正しく使えば血行促進やフケの除去をサポートする可能性があります。しかし力を入れすぎたり、頭皮を傷つけるような使い方をすると炎症を悪化させる恐れがあります。
使用方法や力加減に注意し、違和感があればすぐに中止してください。
- 粃糠性脱毛症とAGAを併発することはありますか?
-
頭皮環境が悪化している状態で男性ホルモンの影響も受けやすくなると、AGAが進行してしまうケースも否定できません。
両方の要因が重なっている可能性がある場合は、皮膚科や毛髪専門の医療機関で総合的に診断と治療を受ける必要があります。
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