脂漏性皮膚炎によって頭皮に炎症が生じると、かゆみやフケだけでなく薄毛の要因にもなり得るため、早期の対策が大切です。

頭皮環境を整えれば、脂漏性皮膚炎は治るケースが多く、抜け毛リスクの軽減にもつながります。ただ、放置すると症状が慢性化して治りにくい状態に陥る可能性もあります。

目次

頭皮の脂漏性皮膚炎とは

頭皮は皮脂が多く分泌されやすい部位で、脂漏性皮膚炎の症状が出やすい場所です。

はじめに、脂漏性皮膚炎の概要や、他の疾患との違いなどを見ていきましょう。

脂漏性皮膚炎の原因

脂漏性皮膚炎は皮脂腺の活動が盛んな部位で起こりやすく、頭皮もその代表的な部分です。原因の一つとして皮脂を好むマラセチア属の真菌が増殖し、炎症を引き起こすことが指摘されています。

加えて、ストレスや食生活の乱れ、ホルモンバランスの変化によって皮脂分泌が過剰になると、頭皮環境が悪化しやすくなります。

こうした状態が続くと、頭皮のかゆみやフケが顕著になるだけでなく、薄毛を招くリスクも高まります。

さらに、頭皮の清潔を保つためにシャンプーを頻繁に使いすぎると、皮脂を過剰に取り除いて逆に皮脂分泌を高めるケースもあります。

皮脂分泌は身体の防御反応の一部でもあるため、必要以上に皮脂を落としすぎる行為は頭皮への負担となりかねません。

これらの要因が複合的に絡み合って脂漏性皮膚炎が発症しやすくなるのです。

脂漏性皮膚炎の主な原因

原因説明
真菌(マラセチア)皮脂を栄養源とする真菌が過剰に増え、頭皮を刺激して炎症を引き起こす
皮脂の過剰分泌食生活やストレス、ホルモンの変化などで皮脂が過剰になりやすい
遺伝的要因脂漏性皮膚炎を起こしやすい体質が家族内でみられるケースがある
外部刺激強い洗浄力のシャンプーや合わないヘアケア製品で頭皮バリアが乱れることがある

他の頭皮トラブルとの違い

頭皮に起こるトラブルには脂漏性皮膚炎のほかにも、乾燥性のフケやかぶれ、アトピー性皮膚炎などが挙げられます。

これらの症状は見た目が似る場合もあり、自力での判断が難しいケースがありますが、脂漏性皮膚炎では皮脂分泌の乱れと真菌増殖の組み合わせが重要なポイントになります。

一般的なフケは乾燥や軽い刺激が原因になりやすい一方、脂漏性皮膚炎の場合は湿ったフケが多く、ベタつきをともなうのが特徴です。

また、アトピー性皮膚炎では免疫の過剰反応が主体で、症状の出方も異なります。

かぶれ(接触性皮膚炎)は特定の化学物質や金属などとの接触が原因になるなど、それぞれ発症プロセスに違いがあるため、誤った自己診断でケア方法を間違えると症状が長引く恐れがあります。

頭皮に強いかゆみや異常なフケを感じたときは、専門家の診断を受けるのが望ましいでしょう。

よくある頭皮トラブルの特徴

頭皮トラブル特徴
乾燥性フケ頭皮がカサカサし、フケが粉状になりやすい
アトピー性皮膚炎全身の皮膚と同様に強いかゆみや湿疹が出る
かぶれ(接触皮膚炎)ヘアケア製品や染毛剤などの刺激で赤みやかゆみが強く出る
脂漏性皮膚炎皮脂が多い部位に湿ったフケや炎症が生じやすい

脂漏性皮膚炎の代表的な症状

頭皮の脂漏性皮膚炎では、炎症が強くなるとベタついたフケが大量に発生し、髪の根元が常に湿った状態になることが多いです。

指先で頭皮を触ると、皮脂とフケが混じって粘度の高い汚れがついてくる場合があります。かゆみが慢性的に続き、掻き壊してしまうと頭皮に傷がつき、そこから二次感染を起こすリスクも高まります。

このような環境が長期間続くと、毛包にもダメージが及び、抜け毛が増える要因になります。

たとえば、炎症部分を中心に髪が細くなりやすく、ボリュームダウンが起こるケースがあります。痛みや強い赤みをともなう場合は重症化している可能性があるため、早めの対応が望ましいです。

脂漏性皮膚炎と薄毛の関連性

頭皮の脂漏性皮膚炎が悪化すると、抜け毛の量が増え、髪全体のボリュームが急激に減ることもあります。

ここでは、炎症が髪の成長に与える影響や、脂漏性皮膚炎による薄毛の特徴を掘り下げます。

炎症と毛包へのダメージ

脂漏性皮膚炎による強い炎症は、頭皮の血流を悪化させる要因になります。血行が滞ると毛母細胞へ十分な栄養や酸素が届かなくなり、髪の成長スピードが落ちる可能性が高まります。

掻き壊した傷から細菌が入り込むと、さらに頭皮環境が乱れて毛穴が塞がりやすくなり、脱毛が進みやすい状態に陥ります。

炎症が長引くと、毛包そのものに慢性的なダメージが及び、髪の生え替わりサイクルの乱れが顕著になることがあります。

正常なサイクルでは成長期にしっかりと髪が伸びるはずですが、炎症が続くと成長期が短縮し、休止期に移行しやすいです。

こうしたプロセスが繰り返されるうちに、抜け毛の本数や頻度が増えて薄毛が目立ち始めるのです。

炎症が毛包に及ぼす影響

影響内容
血流不良頭皮の血液循環が滞り、毛母細胞への酸素や栄養が不足しやすくなる
毛包のダメージ毛根を支える組織が壊れ、髪の成長サイクルが乱れる
細菌・真菌の増殖炎症でバリア機能が弱まり、二次感染を起こしやすい
脱毛リスクの増大ダメージが蓄積すると抜け毛が増え、薄毛へとつながりやすい

脂漏性皮膚炎による薄毛の特徴

脂漏性皮膚炎による薄毛は、炎症が強く出た部分から髪が抜けやすくなるケースが目立ちます。

全体的なボリュームダウンという形で現れることが多く、特定の部位(前髪や頭頂部)に限らずに抜け毛が増えている場合は、脂漏性皮膚炎が関与している可能性が高いです。

さらに、頭皮がベタつきやすくフケが湿った状態のときに、抜け毛が加速する傾向も報告されています。

髪を洗った後でもすぐにベタつきが復活する、髪にフケがからみついて落としにくいといった症状を抱える方は、脂漏性皮膚炎を疑うとよいでしょう。軽度のうちに対策を始めると、髪の回復を早める可能性があります。

脂漏性皮膚炎による薄毛のサイン

  • 頭全体が痒く、触ると皮脂汚れが指につきやすい
  • フケが湿っていて、髪の毛に絡みつく
  • 抜け毛が急に増え、床や枕に大量の毛が落ちている
  • 炎症部位の頭皮が赤みを帯び、痛みをともなうこともある

AGAとの鑑別ポイント

AGA(男性型脱毛症)は男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)が毛包に作用し、前頭部や頭頂部を中心に髪が細く短くなっていくのが典型です。

それに対して脂漏性皮膚炎による薄毛は、頭皮全体の炎症を原因とするケースが多く、フケやかゆみ、ベタつきなどの症状を伴うのが特徴です。

もし炎症を中心としたフケやかゆみが激しい一方で、生え際や頭頂部など特定部位の後退が目立たない場合は、脂漏性皮膚炎を疑う必要があります。

AGAと脂漏性皮膚炎が同時に進んでいるケースもあるため、早めに医療機関で総合的に診断してもらうことが大切です。

脂漏性皮膚炎の検査と診断の流れ

頭皮の脂漏性皮膚炎なのか、ほかの原因による頭皮トラブルなのかを見分けるために、医療機関での検査や診断が重要です。

症状の問診

診察では、患者が感じている頭皮のかゆみやフケの状態、抜け毛の量などを詳しく聞き取ります。

さらに、洗髪の回数や使用しているシャンプー、リンスなどのヘアケア製品の種類、生活習慣(食事や睡眠、ストレスなど)を確認して、脂漏性皮膚炎の原因を多角的に探ります。

問診の段階で、症状の現れ方や経過を把握すると、より正確な診断につなげることができます。

家庭内での遺伝的傾向やアレルギーの既往歴がある場合は、皮膚炎が併発している可能性も考えられます。

診察時に気になる点や疑問点は遠慮せず医師に伝えることで、適切な検査を選択しやすくなるでしょう。

問診で確認する主な項目

項目内容
自覚症状かゆみ、フケ、抜け毛の有無やその程度
生活習慣食事のバランス、睡眠時間、ストレスの状況など
ヘアケア状況シャンプーやリンスの種類、使用頻度、洗い方やすすぎの方法
既往歴アトピーやアレルギー疾患の有無、家族歴など

視診と頭皮スコープの使用

視診では、頭皮の赤みやフケの種類、皮脂のベタつき状況などを確認します。

専門の頭皮スコープを使うと、毛穴の詰まりや炎症の程度、フケの質感を拡大して観察できるため、脂漏性皮膚炎かほかの皮膚炎かをより正確に見極めることが可能です。

頭皮スコープは髪の生え際から頭頂部まで、広範囲にわたって状態をチェックし、見落としを減らせる点が利点です。

頭皮スコープによっては、高解像度で撮影した画像を患者さんと共有できるため、炎症の位置や程度がどの程度かを客観的に把握できます。

炎症だけでなく、毛根に付着した汚れや菌の存在、頭皮の艶や色調まで分かるので、総合的な判断材料として役立ちます。

頭皮スコープで確認するポイント

  • 毛穴の閉塞状態や皮脂の詰まり具合
  • 赤みや炎症の範囲、フケの種類
  • 毛根部分の状態(細くなっていないか、ダメージはないか)
  • 二次感染の可能性(膿みやかさぶたの有無)

必要に応じた検査と総合的な判断

脂漏性皮膚炎が疑わしい場合、皮膚の一部を採取して真菌の有無や種類を調べるケースがあります。真菌が特定されれば、それに応じた外用薬やシャンプーを選ぶ指標になります。

また、血液検査でのホルモンバランスや栄養状態の確認も、原因を突き止めるうえで役立ちます。

問診、視診、検査結果を総合的に組み合わせることで、より精度の高い診断が可能になります。

もしアトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎など、他の皮膚疾患との併発が疑われる場合は、それぞれの疾患に応じた治療を同時に行う必要があります。適切な治療を選択するためにも、医師による総合的な判断がカギとなります。

脂漏性皮膚炎は治る?治療の基本

脂漏性皮膚炎は適切な治療を行えば治ることが多いですが、対策が遅れると症状が慢性化しやすく、薄毛のリスクを高めます。

スキンケアとシャンプーの見直し

頭皮にダメージを与えるシャンプーやコンディショナーは、炎症を悪化させる原因になりかねません。

洗浄力が強すぎる製品や刺激物の多い成分を含むものは、必要な皮脂まで奪ってしまい、皮脂の分泌を活性化させる可能性があります。頭皮にやさしい成分のシャンプーや育毛ローションなどを使い、頭皮を保湿しつつ清潔にすることが重要です。

シャンプー時のすすぎが不十分だと、頭皮に成分が残り、かゆみや湿疹を引き起こすときもあります。

また、洗髪後は髪を濡れたまま放置せず、速やかにドライヤーで乾かすようにしましょう。湿った状態が長引くほど真菌が増えやすく、脂漏性皮膚炎のリスクが高まります。

ヘアケア製品選びのポイント

ポイント内容
洗浄成分アミノ酸系など頭皮に比較的やさしい成分を含む製品を検討する
刺激物の有無防腐剤や香料などが多いと炎症を起こしやすい可能性がある
保湿効果適度なうるおいを残し、乾燥と過剰皮脂の両方を防ぎやすい
洗い流しやすさシャンプー残りが頭皮に負担を与えないように、すすぎやすいタイプ

抗真菌薬やステロイド外用薬の使用

医師の診断で脂漏性皮膚炎と確定した場合、真菌の増殖を抑える抗真菌薬入りのシャンプーやローションが処方されることがあります。

これにより、頭皮に過剰繁殖しているマラセチアなどをコントロールし、炎症を和らげられます。

炎症が強いときはステロイド外用薬を短期間だけ使用し、かゆみを鎮める治療プランを組むこともあります。

ステロイド外用薬は症状の抑制に有用ですが、長期間の連用は副作用のリスクがあるため、医師の指示を遵守しながら使う必要があります。治療の経過に応じて薬の種類や使用頻度を調整することが大切です。

薬物療法の主な種類

  • 抗真菌薬(ローション・シャンプーなど):真菌の増殖をコントロール
  • ステロイド外用薬:炎症やかゆみを抑えるために短期間使用
  • ビタミン剤や保湿剤:頭皮環境を整え、症状の再燃を抑える役割
  • 必要に応じた内服薬:全身的な炎症や体質改善を狙う場合などに活用

生活習慣の改善

脂漏性皮膚炎の発症や悪化は、偏った食生活や強いストレス、睡眠不足などの生活習慣と深く関わっているケースがあります。

脂質や糖質を過度に摂りすぎる食事は皮脂分泌を促進し、頭皮環境を乱しやすくします。逆に、ビタミンやミネラル、たんぱく質が不足すると、皮膚のバリア機能が低下して炎症を起こしやすくなるケースもあります。

また、慢性的なストレスはホルモンバランスを崩し、皮脂分泌を活発化させる恐れがあります。適度な運動やリラクゼーションなどを取り入れてストレスを和らげる工夫も大切です。

充分な睡眠時間を確保することで、皮膚の修復や免疫機能の正常化を後押しし、脂漏性皮膚炎の改善につなげやすくなります。

脂漏性皮膚炎が治った後の薄毛対策

脂漏性皮膚炎が改善しても、一度ダメージを受けた毛包はすぐには回復しない場合があります。

ここでは、脂漏性皮膚炎の治療後に行う薄毛対策について触れます。

頭皮環境の維持

脂漏性皮膚炎が治っても、再発を予防するために頭皮環境を整えるケアを続けることが大切です。

油分の少ないヘアケア製品や適度な洗髪習慣を維持することで、頭皮を清潔に保ち、真菌の増殖を抑える効果が期待できます。

週に1回程度、頭皮ケア用のスプレーやエッセンスを使ってマッサージを行うと、血行促進にも役立ちます。

また、美容院やクリニックで頭皮チェックを定期的に受けると、脂漏性皮膚炎の再発やほかの頭皮トラブルを早期に発見しやすいです。小さな兆候を見逃さずに対処すれば、抜け毛や薄毛の進行を最小限に抑えられるでしょう。

頭皮環境維持のポイント

項目具体的な取り組み
洗髪の適切な頻度毎日もしくは2日に1回など、頭皮の皮脂量に合わせて調整
正しい洗い方指の腹でやさしく洗い、強く爪を立ててこすらない
ドライの仕方タオルドライで水気を取り、ドライヤーで根元からしっかり乾かす
UVケア夏場は帽子や日傘を活用し、紫外線による頭皮ダメージを防ぐ

毛髪サイクルの正常化

脂漏性皮膚炎が治まっても、毛髪サイクルが乱れたままだと抜け毛の原因が残りやすくなります。

毛髪は成長期、退行期、休止期の3つの周期を繰り返しており、成長期が十分に維持されることが大切です。しかし、炎症や栄養不足、ストレスが重なった状態では成長期が短縮しがちで、髪の質や量に影響が出やすくなります。

このような状況を改善するためには、頭皮マッサージで血行を促進し、頭皮の健康を保つことが有効です。

さらに、規則正しい食生活と十分な睡眠時間の確保は、ホルモンバランスの安定に寄与するため、毛髪サイクルを整えるうえでも重要な要素となります。

毛髪サイクルを整えるための工夫

  • ビタミンやミネラルを含む食材を積極的に摂る
  • 頭皮マッサージで血行を促し、毛根に栄養を届ける
  • 睡眠リズムを整え、成長ホルモンの分泌をサポート
  • ストレス発散方法を見つけて精神的な負担を軽減

AGAなど他の脱毛症の可能性も検討する

脂漏性皮膚炎による薄毛の症状が落ち着いても、髪の生え際や頭頂部が局所的に薄くなるパターンが見られる場合は、AGAやほかの脱毛症が同時に進行しているかもしれません。

特に男性の場合、加齢とともにAGAのリスクが高まるため、脂漏性皮膚炎が一段落した後でも注意が必要です。

女性でも、ホルモンバランスの乱れによるFAGA(女性型脱毛症)が進行している可能性があります。

自己判断で市販薬を使用する前に、専門のクリニックで毛髪診断を受け、根本的な原因を特定すると効果的な治療を選択しやすくなります。

脂漏性皮膚炎と併発しやすい頭皮トラブル

脂漏性皮膚炎に悩む方は、他の頭皮トラブルを同時に抱えているケースも少なくありません。併発が多い疾患や症状を確認してみましょう。

頭皮ニキビ

頭皮ニキビは皮脂の過剰分泌や毛穴の詰まりによって発生します。脂漏性皮膚炎で頭皮環境が乱れている状態では、皮脂量が増えやすいため、ニキビのリスクが高まります。

ニキビ部分が赤く腫れ、触ると痛みを感じる場合が多く、放置すると膿を伴った炎症に発展することがあります。

頭皮ニキビが悪化すると、かさぶたが生じたり毛穴が詰まった部分に細菌感染が広がったりする場合もあるため、早めのケアが重要です。

清潔な状態を保ちつつ、頭皮への摩擦や強い刺激を避ける工夫が求められます。

頭皮ニキビの主な特徴

特徴解説
炎症部位の赤みニキビ部分が赤く腫れ、触ると痛い
膿を伴う場合毛穴に膿がたまり、破裂すると細菌感染が悪化しやすい
再発しやすさ皮脂コントロールができていないと、繰り返し発生する可能性がある
ケアの難しさ髪の毛に隠れやすく、症状に気づきにくいため悪化しやすい

頭皮のかぶれ・接触性皮膚炎

脂漏性皮膚炎で頭皮のバリア機能が弱っているときに、合わないシャンプーや染毛剤を使用すると、かぶれを起こしやすくなります。

かぶれ(接触性皮膚炎)は赤みや強いかゆみ、皮膚のただれなどを引き起こし、症状が進むと脱毛につながることもあります。

頭皮がダメージを受けやすい状況では、パーマやカラーリングなどの化学的処理がさらなる負担をかけます。

炎症やかぶれが起こったら、シャンプーや染毛剤などをの使用を直ちに中止し、医療機関で適切な処置を受けることが必要です。自己判断でケアを続けると、状態を悪化させる恐れがあります。

頭皮がかぶれやすい要因

  • 強い洗浄力や刺激物が含まれるヘアケア製品
  • 頻繁なパーマやカラーリングによる頭皮への負担
  • 過度なブラッシングやヘアアイロン使用
  • 頭皮が乾燥または脂っぽい状態が長く続く

頭皮の真菌感染症(白癬など)

頭皮にはマラセチア以外にも、白癬菌など別の真菌が感染する場合があります。脂漏性皮膚炎で炎症が起きてバリア機能が低下していると、こうした真菌が侵入しやすくなり、脱毛や強いかゆみが発生する例も珍しくありません。

特に白癬が原因の場合、円形に脱毛が生じたり、鱗屑(りんせつ)と呼ばれる白い粉状の皮膚片が目立ったりすることがあります。

自己判断で市販薬を使用しても改善しないときは、早期に医療機関を受診して抗真菌薬による治療を検討するとよいでしょう。

薄毛が気になる場合の医療機関での治療

脂漏性皮膚炎が原因で抜け毛や薄毛が進んだ場合、早めにクリニックで診察を受けると回復の可能性が高まります。

内服薬や外用薬を組み合わせたアプローチ

AGA治療薬として知られるフィナステリドやデュタステリドなどを併用するケースがあります。これらは男性ホルモンの働きを抑制し、髪の成長をサポートする狙いがあります。

ただし、脂漏性皮膚炎の炎症が強い場合は、まず抗真菌薬やステロイド外用薬を使って炎症を鎮め、頭皮環境を整えたうえでAGA治療薬を導入する流れを組むことが多いです。

医師が頭皮や毛髪の状態を評価し、一人ひとりに合った投薬バランスを提案します。

女性の場合でもFAGA(女性型脱毛症)に対して有効な内服薬や外用薬の選択肢があるため、性別や年齢、ホルモン状態に応じて治療方針を検討していくことが大切です。

医療機関で用いられる主な薬

薬の種類目的・効果
フィナステリドDHTの生成を阻害してAGAの進行を緩やかにする
デュタステリドフィナステリドより幅広い酵素に作用し、DHTを抑制する
抗真菌薬真菌増殖を抑えて脂漏性皮膚炎の症状を軽減
ミノキシジル外用薬血行促進による発毛効果を狙い、頭皮に塗布して使用する

メソセラピーや育毛注射

クリニックによっては、成長因子やビタミン、アミノ酸などを頭皮へ直接注入して育毛を促すメソセラピーや育毛注射を行うケースがあります。

栄養成分をダイレクトに毛母細胞へ届けるため、髪の成長を助けるだけでなく、頭皮の炎症緩和を狙うこともできます。施術は数十分ほどで完了する場合が多く、日常生活への支障が少ない点がメリットといえます

脂漏性皮膚炎の炎症が収まっていることが前提になるため、治療のタイミングは医師と相談しながら決めるのが望ましいでしょう。

メソセラピーや育毛注射のメリット

  • 有効成分を直接毛根に届けることで発毛促進が期待できる
  • 内服薬との併用で相乗効果を狙いやすい
  • 施術時間が短く、日常生活への影響が少ない
  • ストレスや生活習慣などの全体的な見直しと合わせると効果的

自毛植毛などの外科的治療

脂漏性皮膚炎の炎症がおさまった後、広範囲で薄毛が目立つ場合には、自毛植毛などの外科的治療を検討する人もいます。自毛植毛は後頭部など比較的毛が残っているエリアから毛根を採取し、薄毛部分に移植する方法です。

ただし、頭皮にまだ炎症が残っている状態での手術はリスクが高く、術後の回復も遅れる恐れがあります。脂漏性皮膚炎を完治させ、頭皮環境が安定してから手術を検討するのが基本的な流れです。

術後も頭皮ケアを続け、再発を予防しつつ移植した髪を定着させることが求められます。

予防と再発防止のためのセルフケア

脂漏性皮膚炎による薄毛を繰り返さないために、日々のセルフケアが大きな役割を果たします。

適度な頭皮マッサージ

頭皮マッサージは血流を促進し、毛母細胞への栄養を届けやすくする効果が期待できます。

さらに、頭皮の筋肉をほぐすことでリラックス効果も得られ、ストレスによるホルモンバランスの乱れを軽減するうえでも有益です。

ただし、爪を立てたり力任せに押したりすると頭皮を傷つけるため、指の腹を使ってやさしく行うよう心がけましょう。

シャンプー時に泡立てながらマッサージを取り入れるなど、生活の一部として簡単に取り入れる方法が続けやすさのポイントです。毎日続けることが頭皮環境の改善につながります。

頭皮マッサージのコツ

ポイント具体的な方法
指の腹を使う指先ではなく、指の腹を使って円を描くようにやさしくマッサージする
リズムを一定にする急に強く押したり緩めたりせず、同じリズムで続けると効果的
シャンプー時を活用洗髪中に泡立てながら軽くマッサージすると手軽に取り入れやすい
1回あたり3~5分程度過度な刺激を避け、適度な時間で行いながら毎日継続するとよい

食生活の見直し

皮脂分泌は食生活の影響を強く受けます。脂質や糖質を過度に摂取すると皮脂の分泌が活性化し、頭皮がベタつきやすくなります。

一方、ビタミンやミネラルをバランスよく摂ると、頭皮の健康状態を整えられます。

食物繊維や発酵食品を意識して摂取することで腸内環境が改善し、免疫機能の向上や炎症反応の抑制につながる場合もあります。

アルコールや喫煙習慣がある方は、血流を妨げるリスクが高まるため、頭皮トラブルや薄毛が進行しやすくなる可能性があります。

食生活で意識したいポイント

  • 良質なタンパク質を含む魚や大豆製品をバランスよく摂る
  • 緑黄色野菜や果物でビタミン・ミネラルを補給
  • 油ものや甘い物の摂りすぎは控えめにする
  • アルコールの量を見直し、適度に抑える

定期的な頭皮チェック

脂漏性皮膚炎が再発する前兆として、頭皮がベタついたりフケが増えたりするなどの小さな変化が現れる場合があります。

月に1回程度、鏡やスマホのカメラを使って頭皮を観察し、炎症や異常なフケが見られないか確認すると、早期発見につながります。

かゆみや赤みが強くなったら、自己判断せずに医療機関で相談すると安心です。定期的にクリニックへ通い、頭皮や毛髪の状態をチェックしてもらうことも再発防止に役立ちます。

定期的なメンテナンス計画

時期内容
毎日のケア適切なシャンプー・コンディショナー、やさしい頭皮マッサージ
週1回~2回ヘアパックやスペシャルケアで頭皮をリフレッシュ
月1回頭皮スコープやクリニックで状態をチェック
半年~1年ごと必要に応じて血液検査や内服薬の調整、育毛施術の検討

脂漏性皮膚炎による頭皮トラブルと薄毛は、相互に悪影響を及ぼしやすい関係にあります。正しいケアと医療機関での治療を組み合わせれば、頭皮環境を整えるだけでなく、髪のボリューム回復も期待できます。

時間をかけて取り組むことで、再発を防ぎながら健康的な髪を維持しやすくなるでしょう。

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