「小鼻の周りがいつも赤くて恥ずかしい」「洗顔しても肌がザラつき、フケのようなものが浮いてくる」こうした悩みは、単なる乾燥やニキビとして片付けられがちですが、実は全く異なるアプローチが必要な場合があります。

鏡を見るたびに憂鬱になるその赤みやかゆみは、自己判断でケアを続けると長期化する恐れがあります。一般的なスキンケアでは改善しないどころか、悪化させてしまうことさえあるため、まずは自分の肌の状態を正しく知ることが不可欠です。

本記事では、多くの人が誤解しやすい顔の脂漏性皮膚炎と、ニキビや乾燥肌との決定的な違いを詳細に解説します。正しい知識を持つことが、健やかで自信の持てる素肌を取り戻すための第一歩となります。

脂漏性皮膚炎とニキビ・乾燥肌の基本的な違いとは

顔の赤みや不快感の原因を特定することは容易ではありませんが、脂漏性皮膚炎、ニキビ、乾燥肌にはそれぞれ発生の根本原因と特徴的なサインが存在します。これらを正しく理解し、自分の症状と照らし合わせることで、適切な対処法が見えてきます。

脂漏性皮膚炎の特徴的な症状

脂漏性皮膚炎は、皮脂分泌が盛んな部位を中心に、赤みとかゆみ、そして皮膚が剥がれ落ちる「落屑(らくせつ)」を伴うのが最大の特徴です。

単に肌が荒れているだけでなく、皮膚表面が少し油っぽさを帯びているにもかかわらず、カサカサとした皮膚のめくれが見られる場合、この疾患を疑う必要があります。

特に、洗顔後すぐに肌がつっぱるような感覚がありながら、数時間後にはTゾーンがテカってしまうような「混合肌」と自覚している方の中に、実は軽度の脂漏性皮膚炎が潜んでいるケースが少なくありません。

赤みは境界がやや不明瞭で、じわじわと広がるような炎症の広がり方を見せることがあります。かゆみは個人差が大きいものの、入浴後や体が温まった時に増す傾向が見られます。

ニキビ(尋常性ざ瘡)との決定的な違い

ニキビ、医学的には尋常性ざ瘡と呼ばれる症状は、毛穴の閉塞が発端となります。古い角質や皮脂が毛穴に詰まり、そこでアクネ菌が増殖することで、点状の隆起(丘疹)や膿をもった膨らみ(膿疱)を形成します。

脂漏性皮膚炎との大きな違いは、ニキビが「毛穴単位」で発生する点状のトラブルであるのに対し、脂漏性皮膚炎は「面」で広がる炎症であるという点です。

また、ニキビは触れると硬い芯のようなものを感じることが多いですが、脂漏性皮膚炎による湿疹は表面がガサガサとしており、芯のような硬結を伴わないことが一般的です。

ニキビケア用の殺菌剤入りの薬を使用しても赤みが引かない、あるいはヒリヒリとした刺激を感じる場合は、ニキビではなく脂漏性皮膚炎の可能性を考慮する必要があります。

症状ごとの鑑別ポイント比較

症状名発生の主な原因見分けるための特徴
脂漏性皮膚炎マラセチア菌(真菌)の影響と皮脂成分の変質小鼻や眉間に赤みがあり、黄色っぽい脂性のフケが出る。面で広がる。
ニキビ毛穴の詰まりとアクネ菌(細菌)の増殖毛穴一致性の盛り上がりがある。白や赤の点状の発疹で、芯がある。
乾燥肌水分・皮脂不足によるバリア機能の低下顔全体がつっぱり、白く粉を吹く。脂っぽさはなく、カサつきが主。

乾燥肌(皮脂欠乏症)と見分けるポイント

乾燥肌は、皮膚の水分保持能力や皮脂量が低下し、バリア機能が損なわれている状態を指します。

全体的に肌のキメが消失し、粉を吹いたような状態になる点は脂漏性皮膚炎と似ていますが、決定的な違いは「皮脂の量」です。

乾燥肌の場合、Tゾーンを含めて顔全体の油分が不足していますが、脂漏性皮膚炎では皮脂分泌自体は過剰、あるいは正常であることが多く、皮脂中の成分変質が刺激となって炎症を起こしています。

「カサカサしているのに触ると脂っぽい」という矛盾した状態こそが、脂漏性皮膚炎を見分ける重要な鍵となります。保湿クリームをたっぷり塗っても改善しない赤みやカサつきは、単なる乾燥ではないサインかもしれません。

小鼻の赤みや皮剥けが起きる原因の正体

小鼻周辺は顔の中でも特に皮脂腺が発達しており、構造的にも皮脂が溜まりやすいため、微生物の影響やターンオーバーの異常が複合的に絡み合って頑固な赤みや皮剥けを引き起こします。なぜこの場所ばかりトラブルが起きるのか、そのメカニズムを紐解きます。

マラセチア菌の増殖と皮脂の関係

私たちの皮膚には常在菌と呼ばれる微生物が数多く生息していますが、その一種である「マラセチア菌」が小鼻の赤みに深く関与しています。

マラセチア菌はカビ(真菌)の一種で、皮脂を栄養源として好みます。この菌が皮脂に含まれるトリグリセリドという成分を分解する際、遊離脂肪酸という物質を作り出します。

通常であれば問題ありませんが、菌が異常増殖したり、肌が過敏になっていたりすると、この遊離脂肪酸が皮膚への刺激物質となり、炎症を引き起こします。

小鼻の脇は皮脂が常に供給される環境であるため、この反応が絶えず繰り返され、慢性的な赤みへとつながっていきます。一度バランスが崩れると、少しの皮脂分泌でも過剰に反応するようになり、悪循環に陥りやすくなります。

小鼻の赤みを悪化させる要因リスト

  • 物理的な摩擦(マスクの着脱、鼻をかむ動作、過度な洗顔ブラシの使用)
  • 不適切なスキンケア(油分の多いクリームの重ね塗り、すすぎ残し)
  • 生活環境の変化(不規則な睡眠、ストレスによるホルモンバランスの乱れ)
  • 季節的要因(湿度が高い梅雨時期や、乾燥が激しい冬季)

ターンオーバーの乱れが招く炎症

炎症が長く続くと、皮膚は自分を守ろうとして細胞の生まれ変わり(ターンオーバー)を早めます。通常、皮膚細胞は十分に成熟してから角質層となり、やがて剥がれ落ちますが、炎症によって急かされたターンオーバーでは、未熟な細胞が表面に押し上げられてしまいます。

未熟な細胞は水分を保持する能力が低く、細胞同士の並びも乱雑であるため、バリア機能として十分に働きません。その結果、外部からのわずかな刺激にも反応して赤みが強まります。

さらに、未熟な角質がボロボロと目に見える形で剥がれ落ちる現象が起きます。これが、小鼻の皮剥けの正体です。無理に剥がそうとすると、さらに未熟な皮膚が露出し、炎症が悪化するという負のスパイラルに入り込んでしまいます。

外部刺激による悪化のリスク

小鼻の溝(鼻翼基部)は洗顔時のすすぎ残しが発生しやすい一方で、汚れを落とそうとして過度な摩擦が加わりやすい場所でもあります。

マスクの着用による「擦れ」や「蒸れ」も、皮膚環境を悪化させる大きな要因となります。蒸れはマラセチア菌が好む高温多湿な環境を作り出し、擦れは物理的な刺激として弱ったバリア機能をさらに破壊します。

また、紫外線も炎症を助長させる要因の一つであり、日焼け止めを塗り忘れがちな小鼻周辺は、無防備な状態でダメージを受け続けていることが多いのです。

洗顔後のタオルの拭き方ひとつをとっても、ゴシゴシと擦ることで微細な傷を作り、そこから炎症が広がることもあります。日々の何気ない動作が、敏感な小鼻にとっては大きな負担となっているのです。

間違ったケアが症状を悪化させる理由

良かれと思って行っているスキンケアが、実は皮膚の生理機能を妨げ、脂漏性皮膚炎や赤みを悪化させる最大の要因となっているケースが多々あるため、習慣の見直しが必要です。

洗顔のしすぎによるバリア機能の低下

皮脂が原因だと聞くと、多くの人は「徹底的に洗って皮脂を取り除こう」と考えます。しかし、強力な洗浄力を持つ洗顔料を一日に何度も使用したり、熱いお湯ですすぎを行ったりすることは逆効果です。

過度な洗顔は、肌にとって必要な保湿因子(NMF)や細胞間脂質までも洗い流してしまいます。これによりバリア機能が極端に低下し、肌は乾燥から身を守ろうとして、かえって過剰な皮脂を分泌するという悪循環に陥ります。

この「乾燥しているのに脂が出る」状態は、インナードライとも呼ばれ、炎症をさらに加速させ、治りを遅くする原因となります。皮脂は敵ではなく、本来は肌を守る天然のクリームであることを忘れてはいけません。

オイルケアが逆効果になるケース

乾燥を防ぐためにオイルを使用する方は多いですが、脂漏性皮膚炎の傾向がある場合、オイルの選択には細心の注意が必要です。

特に、オリーブオイルや椿油などの植物性油脂に含まれるオレイン酸は、マラセチア菌の餌になりやすいとされています。良質なオイルであっても、肌の上に長時間留まることで酸化し、過酸化脂質へと変化すれば、それがまた新たな刺激源となります。

皮脂トラブルを抱えている場合は、オイルフリーの保湿剤を選ぶか、酸化しにくいスクワランやホホバオイルなどを慎重に選ぶ視点が必要です。自己判断でのオイルパックなどは、症状を一気に悪化させる引き金になりかねません。

避けるべきケアとその対策

誤ったケア方法皮膚への悪影響推奨される代替案
1日3回以上の洗顔必要な潤いを奪い、過剰な皮脂分泌を誘発する。洗顔は朝晩2回。朝はぬるま湯のみか、優しい洗顔料を使用。
ゴシゴシと擦る洗顔摩擦により角質層を傷つけ、バリア機能を破壊する。たっぷりの泡をクッションにし、手が肌に触れないように洗う。
こってりした油分補給マラセチア菌の餌となり、炎症を悪化させる。オイルフリーのジェルや、セラミド配合の乳液を使用する。

ピーリングやスクラブの過度な使用

小鼻のザラつきや皮剥けを滑らかにしようとして、ピーリング剤やスクラブ洗顔を使用することは、炎症を起こしている肌にとっては「火に油を注ぐ」行為になりかねません。

物理的に角質を削ぎ落とすと、一時的にはツルツルになったように感じますが、肌内部では防御反応としてさらに角質を厚くしようとしたり、急激なターンオーバーを促したりします。

その結果、未熟な角層がさらに増え、赤みや敏感さが際立つことになります。炎症がある時期は「取る」ケアではなく、「守る」ケアに徹することが大切です。

角質ケアを行いたい場合は、炎症が完全に治まり、皮膚のバリア機能が回復してから、非常に穏やかな作用のものを選ぶようにしましょう。

部位別に見る症状の現れ方と見分け方

顔の皮膚トラブルは、発生する場所によって原因や適した対処法が異なるため、自分の症状がどのエリアに集中しているかを観察することで、脂漏性皮膚炎かどうかの判断材料になります。

眉間や髪の生え際のフケと赤み

眉間から眉毛の中、そして髪の生え際にかけては、脂漏性皮膚炎の好発部位の一つです。この部分に赤みがあり、眉毛の中に白く細かい粉のようなフケが見られる場合、脂漏性皮膚炎の可能性が高いと考えられます。

乾燥肌でも粉を吹くことはありますが、眉毛の根元に脂っぽい塊が付着していたり、生え際が赤くただれていたりする場合は、真菌の影響を疑います。

シャンプーや整髪料のすすぎ残しが刺激となっているケースもあるため、洗髪方法の見直しも同時に求められます。特に、おでこの生え際は洗顔時のすすぎ残しも起きやすいため、注意深い観察が必要です。

部位別の症状特徴まとめ

発生部位脂漏性皮膚炎の特徴他の疾患の可能性
生え際・眉間赤みと黄色いフケ、眉毛への付着。接触性皮膚炎(シャンプーかぶれ)、乾癬。
小鼻・鼻翼溝に沿った赤み、油っぽい皮剥け。酒さ(赤ら顔)、毛細血管拡張症。
頬・顎(Uゾーン)通常は症状が軽いか出ない。大人ニキビ、乾燥性湿疹、マスク皮膚炎。

鼻の脇(小鼻)に集中する脂っぽさと赤み

前述の通り、小鼻の脇は皮脂腺が密集しているため、症状が最も顕著に現れやすい場所です。ここでの特徴は、赤みが「溝」に沿って現れ、時間の経過と共に黄色い脂の塊が発生することです。

これは単なる角栓とは異なり、皮膚そのものが炎症を起こして剥がれ落ちたものと皮脂が混ざったものです。ニキビであればプツッとした盛り上がりになりますが、脂漏性皮膚炎では皮膚全体が赤茶色っぽく変色し、触れるとぬるつきを感じることがあります。

また、入浴後などにふやけた皮膚を無理に剥がすと、ヒリヒリとした痛みを伴う鮮やかな赤みが露出することも特徴的です。この行為は回復を遅らせるため、絶対に避けるべきです。

頬や顎周りに現れる症状との比較

頬(Uゾーン)や顎周りは、Tゾーンに比べて皮脂腺が少ない傾向にあります。このエリアに赤みやカサつきがある場合、単純な乾燥肌や、接触性皮膚炎(化粧品かぶれやマスク荒れ)、あるいは大人ニキビである可能性が高まります。

ただし、重度の脂漏性皮膚炎では、頭皮やTゾーンから症状が下降し、頬の内側まで赤みが広がることもあります。見分ける際は、頭皮や耳の後ろにも同様の症状が出ていないかを確認します。

頭皮にもフケや痒みがある場合は、顔の症状も脂漏性皮膚炎に関連していると推測できます。逆に、口周りだけに症状がある場合は、胃腸の不調や歯磨き粉などによる接触性皮膚炎の可能性も視野に入れる必要があります。

ライフスタイルが皮膚環境に与える影響

皮膚は内臓の鏡とも言われるように、日々の食事、睡眠、精神状態が皮脂の質や量、そして免疫機能にダイレクトに影響を与えます。外側からのケアだけでなく内側からのアプローチが不可欠です。

睡眠不足とホルモンバランスの乱れ

睡眠は、ダメージを受けた皮膚細胞を修復し、ホルモンバランスを整えるための重要な時間です。睡眠不足が続くと、交感神経が優位な状態が長く続き、男性ホルモンなどの分泌が活性化します。

これにより皮脂腺が刺激され、皮脂の分泌量が増加してしまいます。また、成長ホルモンの分泌が低下することでターンオーバーが正常に行われなくなり、肌のバリア機能が脆弱になります。

質の高い睡眠を確保することは、高価な美容液を使うこと以上に、脂漏性皮膚炎の改善において土台となる要素です。寝る前のスマホ操作を控え、リラックスできる環境を整えることから始めましょう。

食事内容と皮脂分泌の関連性

食べたものがそのまま皮脂の原料になるわけではありませんが、栄養バランスの偏りは皮脂の質を悪化させます。特に、脂質や糖質の過剰摂取は、皮脂中のトリグリセリドを増やし、マラセチア菌の繁殖を助長する要因となります。

一方で、皮脂分泌をコントロールし、皮膚の健康を保つために必要なビタミンB群(特にB2、B6)が不足すると、脂漏性皮膚炎のリスクが高まります。

コンビニ食やファストフード中心の食生活を見直し、抗酸化作用のある野菜や、ビタミンを豊富に含む食材を意識的に摂ることが大切です。コーヒーやアルコール、香辛料などの刺激物も、毛細血管を拡張させて赤みを強める可能性があるため、摂取量には注意が必要です。

皮膚環境を整えるための生活習慣リスト

  • 脂質・糖質の多い食事(揚げ物、スナック菓子、甘い清涼飲料水)を控える。
  • ビタミンB2(レバー、卵、納豆)とビタミンB6(カツオ、マグロ、バナナ)を摂取する。
  • 就寝の1〜2時間前には入浴を済ませ、質の良い睡眠導入を促す。
  • 自分なりのストレス解消法を見つけ、溜め込まない工夫をする。

ストレスが引き起こす免疫力の低下

精神的なストレスは、自律神経を乱し、血管の収縮や拡張に影響を与えるだけでなく、身体全体の免疫力を低下させます。免疫力が下がると、普段であれば共存できている常在菌に対する抵抗力が弱まります。

その結果、わずかな菌の増殖でも過剰な炎症反応を起こしてしまいます。「忙しい時期になると顔が赤くなる」「悩み事があると肌が荒れる」というのは、ストレスによる免疫バランスの崩れが皮膚に現れている証拠です。

リラックスする時間を持ち、副交感神経を優位にすることは、炎症を鎮めるための有効な手段となります。深呼吸や軽い運動を取り入れ、心身の緊張を解きほぐす時間を意識的に作ることが、肌の回復を助けます。

適切なスキンケア選びの基準

脂漏性皮膚炎やその傾向がある肌は非常にデリケートであるため、自己流の化粧品選びではなく、成分や処方設計に着目して、刺激を抑えつつ必要な機能を補う製品を選ぶことが改善への近道です。

洗顔料選びで重視すべき成分

洗顔料は、余分な皮脂や汚れを落としつつも、肌に必要な潤いを残せるものを選ぶ必要があります。石鹸ベースのものは洗浄力が高い一方で、アルカリ性が強く刺激になる場合があります。

そのため、肌と同じ弱酸性のアミノ酸系洗浄成分(ココイルグルタミン酸など)を配合した洗顔料が推奨されます。「敏感肌用」「低刺激」と記載されたものや、抗炎症成分が含まれているものが適しています。

また、症状が顕著な場合は、抗真菌成分(ミコナゾール硝酸塩など)が配合された薬用洗顔料を使用することで、原因菌の増殖を抑える効果が期待できます。

泡立てネットなどを使い、濃密な泡を作って洗うことも重要です。手と肌の間に常に泡の層がある状態を保ち、摩擦ゼロを目指して洗うことが、バリア機能温存の鍵となります。

化粧水と保湿剤の正しい組み合わせ

洗顔後の保湿は、水分と油分のバランスを整えることが目的です。アルコール(エタノール)が高濃度で配合されている化粧水は、清涼感はあるものの、揮発する際に水分を奪う可能性があります。

また、炎症がある肌にはしみる原因にもなるため、アルコールフリーのものを選ぶのが無難です。保湿成分としては、ヒト型セラミドやヒアルロン酸、ヘパリン類似物質などが推奨されます。

仕上げの保湿剤は、油分が多すぎるクリームやバームではなく、ノンコメドジェニックテスト済みの乳液やジェルタイプを選ぶことで、毛穴詰まりや菌の増殖リスクを低減できます。

もし乾燥が気になる部分がある場合は、その部分にだけ少量のクリームを重ねるなど、部位によって使い分ける「パーツケア」を取り入れるのも効果的です。

製品カテゴリー別選び方のポイント

カテゴリー選ぶべき特徴・成分避けたほうがよい要素
洗顔料アミノ酸系、弱酸性、抗炎症成分配合、泡で出るタイプ。スクラブ入り、強力な洗浄力の界面活性剤、強い香料。
化粧水セラミド、ヒアルロン酸、ビタミンC誘導体(皮脂抑制)。高濃度アルコール、メントールなどの刺激成分。
日焼け止めノンケミカル、石鹸落ち、SPF20〜30程度(日常用)。ウォータープルーフ(専用クレンジングが必要なもの)。

紫外線対策の重要性と選び方

紫外線は皮膚の炎症を悪化させるだけでなく、皮脂を酸化させて刺激物質に変える作用があります。そのため、外出時は必ず日焼け止めを使用することが重要です。

ただし、紫外線吸収剤を使用した製品は、人によっては化学反応による刺激を感じることがあります。そのため、「紫外線吸収剤フリー(ノンケミカル)」の製品を選ぶと安心です。

「酸化亜鉛」や「酸化チタン」などの散乱剤を使用したものが、肌への負担が少なく適しています。これらは物理的に紫外線を跳ね返す仕組みなので、熱を持ちにくいというメリットもあります。

また、石鹸や洗顔料だけで落とせるタイプを選ぶことで、クレンジングによる摩擦負担を減らすことも可能です。日中の塗り直しも、スプレータイプやパウダータイプを活用してこまめに行いましょう。

専門家による診断が必要なタイミング

セルフケアで改善が見られない場合や症状が悪化している場合は、漫然とケアを続けるのではなく、皮膚科専門医による診断と治療を受けることで、早期回復と痕を残さないきれいな治癒を目指すことができます。

セルフケアで改善が見られない場合

正しい洗顔や保湿、生活習慣の改善を2週間程度続けても症状が変わらない、あるいは悪化している場合は、セルフケアの限界を超えている可能性があります。

市販薬にはステロイドが含まれているものもありますが、自己判断での長期使用は「酒さ様皮膚炎」などの副作用を招くリスクがあります。特に顔へのステロイド使用は慎重な判断が求められます。

専門医であれば、顕微鏡検査でマラセチア菌の有無を確認したり、症状の程度に合わせて適切な強さの外用薬(抗真菌薬や非ステロイド性抗炎症薬など)を処方したりすることが可能です。

痒みや痛みが日常生活に支障をきたす時

痒みが強くて夜眠れない、顔の赤みが気になって外出がおっくうになる、洗顔のたびにヒリヒリとした痛みがある、といった状態は、QOL(生活の質)を著しく低下させます。

特に、掻き壊してしまうとそこから細菌感染(とびひなど)を併発し、治療が長引く原因になります。爪でひっかいた傷は色素沈着として残りやすく、美容的な観点からも早めの対処が望まれます。

精神的なストレスも皮膚症状を悪化させる要因となるため、辛い症状を我慢せずに早めに医療機関を受診し、痒み止め(抗ヒスタミン薬)の内服などを併用して症状をコントロールすることが大切です。

医療機関受診の目安リスト

状態・症状想定されるリスク医療機関での対応例
市販薬で改善しない診断の誤り、薬の不適合。顕微鏡検査による確定診断、適切な処方薬の切り替え。
強い痒み・痛み掻き壊しによる二次感染、睡眠障害。内服薬(抗アレルギー薬、ビタミン剤)の処方。
範囲が拡大している全身性の皮膚疾患の可能性。全身の観察、必要に応じた血液検査など。

別の皮膚疾患が合併している可能性

「ただの脂漏性皮膚炎だと思っていたら、実は酒さ(しゅさ)だった」「ニキビと脂漏性皮膚炎が混在していた」というケースは珍しくありません。

特に「酒さ」は、顔の赤みや毛細血管の拡張を特徴とする慢性疾患で、治療法が脂漏性皮膚炎とは異なります。また、接触性皮膚炎やアトピー性皮膚炎が背景にある場合もあります。

これらを素人が完全に見分けることは困難であり、誤った対応を避けるためにも、皮膚科専門医による鑑別診断を受けることが確実な解決策となります。自己判断での誤った薬の使用は、症状を複雑化させるだけです。

よくある質問

顔の赤みやトラブルに関して多くの方が抱く疑問について、回答をまとめました。日々のケアや生活の中でふと浮かぶ不安を解消するための参考にしてください。

Q
うつる病気ですか?
A

人にうつることはありません。原因となるマラセチア菌は、誰の皮膚にも存在する常在菌です。菌そのものが外からやってくる感染症とは異なり、あくまで自分自身の肌環境の変化によって引き起こされるものです。

何らかの原因で菌のバランスが崩れたり、個人の肌質が過敏に反応したりすることで発症するため、家族や友人とタオルを共有したからといって感染する心配はありません。安心して日常生活を送ってください。

Q
メイクをしても大丈夫ですか?
A

炎症が強い時期は極力控えることが望ましいですが、仕事などでどうしてもメイクが必要な場面もあるでしょう。その場合は、低刺激で石鹸で落とせるミネラルファンデーションなどを使用することをおすすめします。

パウダータイプは余分な皮脂を吸着する効果も期待でき、油分の多いリキッドファンデーションよりも肌への負担が軽くなります。

ただし、帰宅後は速やかにメイクを落とし、肌を休ませることが大切です。メイク道具(パフやブラシ)も常に清潔に保ち、雑菌の繁殖を防ぐよう心がけてください。

Q
完治するまでにどのくらいの期間がかかりますか?
A

個人差や症状の程度によりますが、適切な治療とケアを行えば、数週間から数ヶ月で症状は落ち着くことが多いです。しかし、一度良くなっても、生活習慣の乱れや季節の変わり目に再発しやすいのがこの疾患の特徴です。

そのため、「完治して終わり」というよりも、症状が出ない良い状態を長く維持する「コントロール」を目指す姿勢で気長に向き合うことが必要です。焦らず、自分の肌の癖と付き合っていく気持ちが大切です。

Q
季節によって悪化することはありますか?
A

はい、季節による変動を感じる方は非常に多いです。汗や皮脂の分泌が増え、紫外線が強くなる夏場に悪化する方が多い一方で、空気が乾燥し肌のバリア機能が低下する冬場に症状が強くなる方もいます。

ご自身の肌がどの季節に弱いかを把握し、夏なら紫外線対策と皮脂ケアを強化し、冬なら保湿を重視するなど、季節に合わせた先回りのスキンケアを行うことが予防につながります。

Q
市販の薬を使っても良いですか?
A

軽度であれば、薬剤師のいるドラッグストアで相談の上、抗真菌成分配合の市販薬を使用することも選択肢の一つです。

しかし、数日使用しても改善が見られない場合や、かえって赤みが強くなる場合は、薬が合っていない可能性があります。その際はすぐに使用を中止し、皮膚科を受診してください。

特に、漫然とステロイド入りの軟膏を使い続けることは副作用のリスクがあるため、自己判断での長期連用は絶対に避けるべきです。

参考文献