2人に1人ががんになって、3人に1人ががんで死ぬ時代。生きているとどうしても付きまとう問題のひとつ、がん。そんながんに「エクソソーム」が注目されています。

がんとは何か、エクソソームは何かを学び、がんとエクソソームの関係と最先端の研究を知りましょう

この記事のポイント

  • がんは遺伝子がおかしくなって生まれる。
  • どんどん増えて、ほかの栄養を横取りしたり、あちこちにがん細胞をばらまく。
  • 新しい治療法の一つが、がん細胞の遺伝子を解析して特効薬を作ること。
  • 細胞から出るエクソソームは細胞の遺伝子や命令をほかの細胞に伝える。
  • エクソソームを活用すれば、がんに勝てるかも?

この記事を書いた医師

大木皮ふ科クリニック院長大木沙織

名前:大木 沙織
大木皮ふ科クリニック 副院長
皮膚科医/内科専門医/公認心理師
略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。

本文中の上付き数字1)2)3)は論文引用箇所で文末に論文名を記載しています

がんとはどのような病気?病気の仕組みや進行の仕方を知ろう

そもそも「がん」とは何でしょう。親戚も有名人も、いろいろながんになっています。生還する人もいれば、亡くなってしまう人も。若くしてがんになる人もいます。

「がん」とは遺伝子がおかしくなって、無限にがん細胞が増えてしまう病気

がんの成り立ちから検査についてのお話をしましょう。

がんの原因は遺伝子?環境?最新の研究から考える

遺伝子がおかしくなってできる「新生物」

生き物の細胞は分裂してどんどん増えていきます。

生命の設計図である遺伝子(DNA)をコピーして増えるのですが、そのコピーにミスが起こると「ミスマッチ」(コピーしそこねて、元のDNAとマッチしない遺伝子ができる)となります。

コピー dna 複製 ミスマッチ 自己増殖 じこぞうしょく

そうならないようにDNAもミスを直そうとするのですが、1000万回に1回はミスマッチが起こってしまいます。

「ミスマッチ修復機構」という、ミスマッチを修復する機能がありますが、それもすり抜ける新しい遺伝子も(遺伝子の突然変異)。

「がん遺伝子」が出来たり、それを妨げる「がん抑制遺伝子」が働かなくなるとどんどん細胞が増えてしまいます。

あるいは、遺伝子はそのままなのに、無限に細胞分裂を繰り返してしまうことも(エピジェネティック変異)。

癌細胞 がんさいぼう さいぼうぶんれつ 細胞分裂 増殖 ぞうしょく

こうして本来ないはずの細胞「新生物」(腫瘍)ができます。その数実に、1日5000個くらい。

そんな新生物、免疫が「異物が身体の中にいる」と細かくチェックして排除しているおかげで身体に残ることはありません。ただ、免疫をすり抜けてどんどん増えてしまう新生物も現れます。

免疫 がん がん免疫療法 がんめんえきりょうほう マクロファージ nk細胞 nkさいぼう

周りを巻き込む悪いやつ、悪性新生物

良性ですか?悪性ですか?という質問をされる方も多くいらっしゃいます。良性とは、風船のように膨らんでいくものの、大きくなっても周りを押しつぶす程度のもの。

あくまで「勝手に大きくなっていくだけ」です(それでもあまりにも大きいと問題に)。

りょうせい 良性 おしつぶされる 重圧

一方の悪性新生物は、周りの細胞を壊したり(浸潤)血液に乗って遠くまで行ったり(転移)して、どんどん身体を蝕んでいきます。これが「がん」です。

浸潤 しんじゅん がんさいぼう 癌細胞

「がん」のうち皮膚や粘膜などの「上皮」(皮膚と、「体の中につながる穴」気管、消化器、泌尿器、生殖器など)から生まれる腫瘍を「癌」(cancerまたはcarcinoma、ドイツ語でKrebs)。

もっと奥の筋肉や骨からできるがんを「肉腫」(sarcoma、ドイツ語でsarkom)と呼びます。

cancerやkrebsは「蟹」という意味。がん細胞が蟹の足みたいに周りを巻き込んでいることから名付けられました。

かに かにのつめ 蟹の爪 キャンサー かに座 cancer

名付け親は、古代ギリシアの医師であり、医学の開祖「ヒポクラテス」。それほど昔から、人間はがんと戦っていたのです。

がん細胞 がんさいぼう かにのつめ 蟹の爪 cancer krebs

がん細胞ができやすい体質とは

若くしてがんになる人もいれば、一生ならないひとも。がんによってはできやすい人、できにくい人がいます。

その違いは、

  • 感染症
  • 生活習慣(刺激)
  • 遺伝子

が挙げられます。

がんができる感染症

有名なものの一つがピロリ菌。井戸水などからこれに感染すると、胃がんや胃のMALTリンパ腫(mucosa-associated lymphoid tissue)、リンパのがん)になりやすくなります。

1982年にバリー・マーシャルとロビン・ウォレンがピロリ菌を発見し除菌するようになってから、これらのがんは減っていきました。

マーシャルは自分でピロリ菌を飲んで、自分で除菌しました。身体張ってますね。

ピロリ菌 ぴろりきん ピロリ ヘリコバクターピロリ へりこばくたー 胃がん いがん

もう一つ有名なのがヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus、HPV)。子宮頸がん、中咽頭がん、肛門がん、陰茎がん、外陰がんなど、いろいろながんを引き起こします。

こちらは性行為で感染しますが、一回感染したら駆除する方法が見つかっていないのが現状です。ワクチンでいかに感染を防ぐかが大切。

日本以外の国はワクチン接種が進んで減少傾向になっていますが、日本はワクチンがまだ普及していないので他の国より多いままです。

ガーダシル シルガード9 がーだしる HPV ヒトパピローマウイルス 子宮頸がんワクチン しきゅうけいがん

肝臓がんも有名です。肝臓が弱っている(慢性肝炎、肝硬変)と癌ができやすいのですが、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスがその原因であることが多いです。

最近技術が発展してどちらのウイルスも駆除することができるようになりましたので、ウイルスによるがんは減ることが予想されます。

かんぞうがん 肝臓がん 肝硬変 かんこうへん 慢性肝炎 まんせいかんえん B型肝炎 C型肝炎

マイナーなものではヒトT細胞白血病ウイルス1型(Human T-cell leukemia virus type 1、HTLV-1)。白血病(血液のがん)の一種で、九州や沖縄にいます。

母乳から感染するので、おっぱいをあげないことで感染数は減少。

おっぱい 母乳 ぼにゅう ATL V

同じく聞き慣れないけれど身近なのがEBウイルス(Epstein-Barr Virus、エプスタイン・バールウイルス)

ヘルペスウイルスのひとつですが、バーキットリンパ腫というリンパのがんや上咽頭がんの原因になります。唾液を介して、大体の人が気が付かない間に感染・治癒。

怖いのがHIV(Human Immunodeficiency Virus、ヒト免疫不全ウイルス)によるエイズ(AIDS、Acquired Immuno-Deficiency Syndrome、後天性免疫不全症候群)。

いろいろな感染症になりやすくなる感染症、今まで挙げたがん全てになりやすくなるのです。

また、ヘルペスウイルスのひとつ、HHV-8(Human herpesvirus)は普通の人には、感染しませんが、エイズ患者さんに感染してカポジ肉腫という血管のがんをつくります。

QUEENのボーカリストにしてエイズ患者だったフレディ・マーキュリー、伝説のライブ「ライブ・エイド」のときには皮膚にカポジ肉腫がありました。映画「ボヘミアン・ラプソディ」のラストシーンのライブです。

モントルー フレディ QUEENマーキュリー

また、最近は感染症によるがんではないがん、特にリンパ腫になりやすいと言われます。

がんができやすい生活習慣

細胞は「刺激」に弱いです。先ほどお話しした感染症は、感染によって刺激を与え続けていることが原因。

タバコで肺がんになりやすいことは有名ですが、それ以外にも色々ながんになりやすくなります。

タバコ 肺がん はいがん COPD

列挙すると、

肺がん、口腔・咽頭がん、喉頭がん、鼻腔・副鼻腔がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、子宮頸がん、膀胱がん

となります。

刺激物(辛いもの)をたくさん食べる人や熱いものをよく飲む人、逆流性食道炎(胃酸が喉にこみ上げてきて喉が炎症を起こす)などで食道に刺激が続くと食道がんのリスクに。

辛い からい げきから 激辛

お酒に関しては食道がん、大腸がん、肝臓がんのリスクに。肝臓に関しては脂肪肝など生活習慣から来る肝炎「NAFLD」(nonalcoholic fatty liver disease)によってがんになる方も増えています。

肝臓がん かんぞうがん アルコール性肝硬変 あるこーるせいかんこうへん HCC

大腸がんは動物性タンパク質(赤肉)や脂肪の多いもの、肥満や運動不足、野菜や果物不足といった生活習慣でリスクが増えます。最近増えているがんの一つです。

皮膚がんで多いのは、紫外線の刺激。特にメラニンという紫外線から皮膚を守る色素が少ない白人はそのリスクが上がります。それ以外にも怪我や火傷のあとや、薬品など刺激を受け続けた場所にできることも。

同様に舌がんも、たばこやお酒のほかに歯のかみ合わせが悪かったり虫歯を放置して舌に刺激が続くと起こる可能性が上がります。

舌癌 ぜつがん したのがん した

リンパ腫は種類によって原因はさまざまですが、豊胸手術や乳がんの乳房再建に使ったシリコンバッグやリウマチの治療薬「メトトレキサート」(MTX、商品名 リウマトレックス)によってリンパ腫がおこることがあります。

豊胸 ほうきょう シリコン リンパ腫 りんぱしゅ

化学物質の刺激が問題となることも。印刷工場では発がん物質「1,2-ジクロロプロパン」によって胆道がんが増えたり、建設業では断熱材として家屋に使われていた「石綿」(アスベスト)で「悪性胸膜中皮腫」が増えました。

「二次がん」と言って、がんを治療したときの放射線や抗がん剤の影響で何年か後にがんになることも。白血病や軟部組織(体の柔らかいところ、脂肪など)の肉腫が多いです。

放射線といえば、チェルノブイリ原子力発電所事故で小児の甲状腺がんが増えたことも有名です。甲状腺手術の跡を「チェルノブイリの首飾り」(チェルノブイリネックレス)と呼ばれていました。

ネックレス チェルノブイリ くびかざり 首飾り チェルノブイリネックレス チェルノブイリの首飾り

これは原発事故によって放射線を出すヨウ素をが出て、それをヨウ素が欲しい甲状腺が取り込んてしまったことに原因が。

日本でも福島の原子力発電事故で同じ心配がされていましたが、ヨーロッパの人と比べて日本人はもともと海産物などでヨウ素を摂る習慣があり、甲状腺が安全なヨウ素で満たされています。

また、情報が隠蔽されていたチェルノブイリに比べて避難も早かったため、現在までチェルノブイリのようなことにはなっていません。

がんができやすくなる遺伝家系

「がん家系」という話を聞くと思います。2人に1人ががんになるのですから、ほかの理由で亡くなることがなければがんで亡くなることは避けられません。

しかし中には本当に遺伝子レベルでがんになりやすい遺伝子を持つ家系もあります。

アンジェリーナ・ジョリーが「乳がん・卵巣がん家系だから乳房と卵巣を切除した」というニュースが一時期話題となりました。

これは「BRCA遺伝子」というがん抑制遺伝子(がん遺伝子を抑える遺伝子)に異常が起こった家系のこと。

これにより「遺伝性乳癌卵巣癌症候群」(HBOC)という乳がんと卵巣がんを起こしてしまうリスクがあったのです。

BRCA1 BRCA2 BRCA 卵巣 子宮 乳がん 卵巣がん

家族性大腸腺腫症(familial adeonomatous polyposis、FAP)は「APC遺伝子」というがん抑制遺伝子に異常に起こった家系に起こる、大腸がんをはじめとした消化管や甲状腺がんになりやすい状態。

大腸ポリープがぶつぶつとたくさんできることから「ポリポーシス」(線腫症)という名前が付いています。

ゴーヤ ごーや ポリポーシス ぶつぶつ

ミスマッチ修復ができない遺伝子もあります。

「リンチ症候群」(遺伝性非ポリポーシス性大腸がん、Hereditary Non-Polyposis Colorectal Cancer、HNPCC)は、ミスマッチ修復機構(遺伝子のコピーにミスが起こる「ミスマッチ」を修復する機能)の遺伝子に問題がある家系が大腸がんをはじめとしていろいろながんになる状態です。

cs cf 大腸がん だいちょうがん 大腸カメラ だいちょうかめら 下部内視鏡検査 かぶないしきょうけんさ

がんの症状に迫る!初期症状から進行した場合の症状まで紹介します

栄養や酸素を横取るがん細胞、弱る身体

いろいろな理由で一度増えだしたがん細胞は無限に増えていきます。無限、といっても先立つものが必要。がん細胞だって、ほかの細胞同様栄養や酸素が要るのです。

それらを運ぶ「血液」。がん細胞は、血液の流れる管、血管を勝手に作って周りから横取りしてしまい、これを血管新生と言います。

血管新生 けっかんしんせい 横取り よこどり

そして周りにある正常な細胞をどんどん壊していきながら、がん細胞は増え続け(浸潤)、やがて血管やリンパ管に到達すると、その流れに乗って別の場所に移ってまた増え続けます(転移)。

転移 てんい がんさいぼう 癌細胞 血管 けっかん 血管転移 けっかんてんい

こうして酸素と栄養が奪われ続けている身体は弱ってしまいます。だるかったり筋力が落ちたり、体重が減ったり。これを悪液質(カヘキシー、cachexy)と言います。

がんが大きくなることで物理的な問題が

一方正常な細胞がどんどん壊れていったりがんが大きくなることそのもので、物理的な問題も起こります。例えば大腸がんが大きくなると腸が詰まってしまいます(腸閉塞)。

骨に転移した癌はもろく、骨折の原因に(病的骨折)。背骨に転移して大きくなると、背骨の神経「脊髄」が圧迫されて痛みや麻痺の原因に。

胸の内臓を包む「胸膜」やお腹の内臓を包む「腹膜」に転移すると、そこにがん細胞の水が溜まってしまう「胸水」「腹水」が出てしまいます。ほかにも癌の場所に対していろいろな症状が出ることに。

腹水 ふくすい 腹膜転移 ふくまくてんい 肝硬変 かんこうへん

がんの診断はどのように行われるのか?最新の検査方法や診断技術を紹介します

まずは疑うこと

がんも初期のうちは症状が出ないことがほとんど。なのでがんを探すために「がん検診」が行われます。また、見ることも大切。

内視鏡検査や超音波検査、CT、MRIといった検査でそれらしいものを疑うこともあります。

ct 肝臓がん すい臓がん 胆管がん

特に先ほど紹介したようにがんができやすい人には積極的にそのような検査が必要です。

血液がんの場合は血液検査でその兆候が出ることも。皮膚がんや乳がんといったがんは表面にあるため、さわってあたりを付けることもできます。

しこり 胸のしこり おっぱいのしこり 乳がん にゅうがん マンモグラフィー

あたりを付ける方法、腫瘍マーカー

健診や身内のがんで、腫瘍マーカーという言葉を知っている人もいると思います。人間ドックで腫瘍マーカーが高いからと病院に行くよう言われることも多いでしょう。

腫瘍マーカーとは「ある種類のがんが放つ物質」のこと。「がんっぽいかも」というときに測って、どんながんかあたりを付けるものです。

また、がんの治療によってその勢いが抑えられているか?の判断もできます。ただ、いきなり腫瘍マーカーを測って診断に至ることはあまりありません。

前立腺がん健診で使われる「PSA」や肝臓がんで上がる「AFP」「PIVKA-II」などは特徴的なので診断にも役に立ちます。

しかし、「SCC」は「扁平上皮癌」「CEA」「CA19-9」は「腺がん」といった、がんの大雑把な分類全部で上がってしまったり、がん以外の原因でも上がったりするのでそれだけで診断することは難しいです。

腫瘍マーカー しゅようまーかー 人間ドック にんげんどっく 検査結果 けんさけっか 健診 けんしん

確定診断は病理検査、がん細胞を見つけ出せ

こうして「ここはがんかもしれない」とあたりを付けると、今度は「本当にがんか」「どんながんか」といった確定診断をすることに。

状況によってどの程度するかは違いますが、がん細胞やがん組織を取って(生検)顕微鏡で見る「病理検査」で診断をします。

せいけん 生検 細胞診 さいぼうしん 組織診 そしきしん 検体 けんたい

細胞の検査(細胞診)では細胞ががんかどうか、あるいはがんになる途中かを調べたり、形からどんな種類のがんかを推測。

組織の検査(組織診)では「組織系」(どんな種類のがんか)や「浸潤度」(どれほど広く、深く侵食しているか)、遺伝子検査(どんな遺伝子変異でがんになっているか)などを調べます。

病理 びょうり がん H-E染色 H-Eせんしょく HEせんしょく HE染色

これによりがんの診断や治療方針、ステージ分類などが行われ、次の段階へ。

がんゲノム医療と新しい診断法、リキッドバイオプシー

特に最近目覚ましく発展しているものが、「遺伝子検査」がんの遺伝子(ゲノム)を調べて、それに合わせた治療をするというもの(がんゲノム医療)

しかしそれには「生検」というがん組織を取ることが不可欠。どうしてもそれができない人はどうしましょうか。

そこで新しく生まれた診断方法が「リキッドバイオプシー」です。リキッドは液体、バイオプシーは生検という意味。

血液や体液からがん細胞や遺伝子(DNAやRNA)を調べることで遺伝子解析をする、というものです。そして今注目されているものが、「エクソソーム」。

血液検査 けつえきけんさ リキッドバイオプシー 検査室 けんさしつ

エクソソームとは一体何か?研究の最前線から紐解く新しい治療法の可能性

エクソソームは、細胞から外にぽいっと出された玉のこと(細胞外小胞体のひとつ)。その内には細胞の中にあったいろいろな物質のたんぱく質や遺伝子(RNA)などが入っています。

エクソソームの役割

エクソソームは細胞から出た後、ほかの細胞に取り込まれます。

その時、

  • 前の細胞にあった遺伝子や中身を次の細胞に送る
  • 細胞から細胞へメッセージを送り、次の細胞に行動を起こしてもらう

ということが行われます。

受粉 じゅふん はこびや 運び屋 はち 蜂

前の細胞次第で役割が変わるエクソソーム。「幹細胞」というなんにでもなれる細胞から作り出すことで、美容や医療で活躍することが期待されています。

詳しくはこちら(https://oki.or.jp/exosome-mechanism/)を参照してください。

がん細胞由来のエクソソームが果たす役割とは?治療への応用も期待される新たな標的

さて、がん由来のエクソソームが注目されていることをお話ししました。そんながん細胞から出るエクソソームは何をしているのでしょう。

ここでエクソソームの役割を再確認しましょう。

「元の細胞から遺伝子や細胞の中にあるものをほかの細胞に伝える」そして「細胞から細胞へ手紙を運ぶ配達屋さん」でしたね。

では、がん細胞から出るエクソソームは、どの細胞になにを配達しているのでしょうか。

がん細胞はいろんな手を使って増えていきます。

  • 栄養や酸素を手に入れるために「血管新生」(配給パイプの血管を作ってしまうこと)
  • 普通の細胞を巻き込んで「がん細胞にする」(悪性化)
  • 血液やリンパに乗ってほかの場所に「転移する」

そこで活用されるのが「エクソソーム」です。

身体の体液を巡るがん細胞のエクソソーム、これがほかの細胞に働きかけて血管新生、悪性化、そして転移を促します。

悪性化 あくせいか エクソソーム 細胞外小体 さいぼうがいしょうたい

新しいがん治療、鍵はエクソソーム

よって、がん細胞が増えたり広がったりする元凶の一つががん細胞のエクソソームということに。

ということは、このエクソソームの邪魔をすればがんの侵略を阻止することができるのでは?現在はそのような研究が進んでいます。

邪魔 じゃま とおせんぼ 通せんぼ

また、最近盛んながんゲノム医療。エクソソームに入っている遺伝子を解析して、そのがんの特効薬を選ぶ研究も。

逆にエクソソームの「細胞から細胞へ中身を運ぶ」役割を逆手に取った治療法の研究もあります。「エクソソームにがん治療薬を運んでもらう」というものです。

どれも研究段階ですが、これからエクソソームの可能性はがん治療に大きくかかわることでしょう。

まとめ

  • がんは遺伝子が変異して生まれる「新生物」。
  • ほかの栄養を横取りしたり、あちこちにがん細胞をばらまくことで無限に増える。
  • がん細胞の遺伝子を解析してオーダーメイドの治療をすることが注目されている。
  • がん細胞から出るエクソソームはがん細胞の遺伝子や命令をほかの細胞に伝える。
  • エクソソームの遺伝子や命令を利用してがんの治療をする研究が最新トピック。

がんの技術は進化しているけれど、実用化されていないものも多いです。がんでつらい思いをされた方をエクソソームなどの未発達な技術の言葉で騙す人が減りますように。