足の臭いの主な原因は、足に常在する細菌が汗に含まれるアミノ酸を分解してイソ吉草酸などの揮発性脂肪酸を産生することにあります。水虫(白癬菌感染)があると皮膚のバリア機能が低下して細菌がさらに増殖しやすくなり、臭いが強くなります。

悪臭を根本から断つには、白癬菌の治療と並行して靴・靴下の除菌や足の清潔を保つ日常習慣を整えることが大切です。この記事では、臭いと水虫の関係と、具体的な対策を順を追って解説します。

目次
  1. 足の臭いと水虫は密接につながっている
    1. そもそも足が臭う原因は細菌の代謝産物にある
    2. 水虫(白癬菌感染)があると足の臭いが強くなる仕組み
    3. 臭いと痒みが同時に起きたら水虫を疑うべき理由
  2. 足の悪臭を生み出す細菌が爆発的に増える三大条件
    1. 足裏で増殖するスタフィロコッカス・エピデルミディスとイソ吉草酸の産生
    2. ブレビバクテリウムが作り出すチーズのような強い臭い
    3. 高温多湿の靴の中は細菌が繁殖する絶好の環境
  3. 水虫(白癬菌)感染が足の悪臭をさらに悪化させる理由
    1. 白癬菌が皮膚バリアを損傷して細菌の侵入を招く
    2. 水虫患者の皮膚細菌叢(マイクロバイオーム)は健康な人と異なる
    3. 趾間型水虫が最も臭いやすい理由
  4. 足の臭いと水虫を悪化させる日常生活のよくある習慣
    1. 長時間の閉塞性の靴着用が招く蒸れと細菌増殖
    2. 不十分な足の洗浄で細菌が残り続ける
    3. ストッキングや化繊の靴下が足を蒸らす理由
  5. 靴の除菌方法|白癬菌と悪臭細菌を靴の中から追い出す
    1. 水虫患者の靴の内部には白癬菌が高率に潜んでいる
    2. UV照射・オゾン・抗菌スプレーの効果と使い分け
    3. 靴を毎日替えて乾燥させることが除菌の第一歩
  6. 靴下の素材・洗い方・選び方で悪臭と水虫の再発が変わる
    1. 綿素材の靴下が足の臭いを抑えやすい理由
    2. 白癬菌を死滅させるには60℃以上の洗濯が効果的
    3. 毎日交換・高温洗濯の習慣が水虫再発を防ぐ
  7. 足の臭いと水虫が改善しないなら医療機関への受診を
    1. 自己治療だけでは対応が難しい水虫の治療
    2. 外用抗真菌薬で白癬菌を根絶させる治療の流れ
    3. 症状が強い場合や再発を繰り返す場合の対処法
  8. よくある質問

足の臭いと水虫は密接につながっている

足が臭う原因と水虫は、一見別々の問題に見えます。しかし実際には、白癬菌による皮膚ダメージが細菌の増殖を促し、悪臭を強める連鎖が起きています。臭いと痒みが同時に現れたときは、水虫を疑うことが賢明です。

そもそも足が臭う原因は細菌の代謝産物にある

足の臭いの主役は細菌です。足裏には1平方センチメートルあたり数万〜数十万個もの細菌が生息しており、汗の中に含まれるロイシンというアミノ酸を分解してイソ吉草酸を産生します。このイソ吉草酸こそが、あの独特の「足の臭い」の主成分です。

イソ吉草酸を大量に作り出す代表的な細菌はスタフィロコッカス・エピデルミディス(表皮ブドウ球菌)です。足裏の常在菌ですが、蒸れた環境下では爆発的に数が増え、臭いを急激に強めます。また、ブレビバクテリウムという細菌もシステインを分解してメタンチオールを産生するため、チーズのような独特の悪臭を加えます。

水虫(白癬菌感染)があると足の臭いが強くなる仕組み

水虫を引き起こす白癬菌(トリコフィトン属)は、皮膚の最外層にある角質層を栄養として増殖します。白癬菌が角質を食い荒らすと皮膚のバリア機能が低下し、皮膚の隙間から細菌が侵入しやすくなります。その結果、常在細菌の数が通常より増えて悪臭物質の産生量も増加します。

また、白癬菌感染が起こると皮膚が湿潤な状態になりやすく、とくに趾間(足の指の間)では蒸れが強くなります。細菌は温度と湿度が高いほど増殖が速まるため、水虫のある部位ほど臭いが強くなりやすいのです。

足の臭いに関わる主な細菌と産生する臭い物質

細菌名臭い物質臭いの特徴
スタフィロコッカス・エピデルミディスイソ吉草酸酸っぱい・チーズ様の臭い
ブレビバクテリウムメタンチオールチーズ・硫黄様の強い臭い
コリネバクテリウムイソ吉草酸・プロピオン酸酸味のある複合的な臭い
バチルス・サブチリスイソ吉草酸(ロイシン脱水素酵素)足臭全体を増強する

臭いと痒みが同時に起きたら水虫を疑うべき理由

足の臭いだけであれば細菌の問題だけで済む場合もあります。しかし、臭いに加えて指の間の痒みや皮がむける症状がある場合は、水虫を合併している可能性が高いといえます。水虫は皮膚科での検査(KOH顕微鏡検査)で確実に診断できますが、自己判断で市販の抗真菌薬を使い始める前に受診することが望ましいでしょう。

水虫かどうかを確かめないまま消臭ケアだけを続けても、根本原因の白癬菌が残ったままでは臭いの改善も限定的です。臭いと痒みが重なった段階で、水虫の可能性を視野に入れた対応が求められます。

足の悪臭を生み出す細菌が爆発的に増える三大条件

足の臭いの強さは、細菌の種類だけでなく「どれだけ細菌が増えやすい環境にあるか」に大きく左右されます。温度・湿度・栄養源の三つが揃ったとき、細菌は急速に増殖して悪臭を強めます。

足裏で増殖するスタフィロコッカス・エピデルミディスとイソ吉草酸の産生

足底(足裏)は、体の中でも特に汗腺が密集した部位です。1平方センチメートルあたりに600個以上のエクリン汗腺があり、1日に汗として相当量の水分を分泌します。その汗にはロイシンをはじめとするアミノ酸が含まれており、これが常在菌の格好の餌となります。

スタフィロコッカス・エピデルミディスはロイシン脱水素酵素を持ち、ロイシンからイソ吉草酸を生成します。研究では、足の臭いが強い人の足裏ではバチルス・サブチリスという細菌も検出され、この菌が臭いをさらに増強させることが報告されています。また、足底(足裏)では背面(足の甲)に比べてイソ吉草酸の産生量が有意に高いことも明らかになっています。

ブレビバクテリウムが作り出すチーズのような強い臭い

ブレビバクテリウムは皮膚の死んだ角質を好んで食べ、その代謝の過程でメタンチオールを産生します。メタンチオールは硫黄臭を伴うチーズのような臭いが特徴で、足の臭いを「チーズ臭い」と感じる人が多いのはこの細菌の関与によるものです。

コリネバクテリウム属の細菌も足に多く生息しており、特に水虫患者ではコリネバクテリウム・ストリアタムやコリネバクテリウム・ミヌティッシマムが健康な人より多く検出されるという研究結果があります。これらの細菌が複合的に作用することで、足の臭いはより複雑で強いものになります。

高温多湿の靴の中は細菌が繁殖する絶好の環境

靴の中は脱いだ後も湿気が残ります。一足の靴は1日履くと20〜30mLもの汗を吸収するとされています。その湿った環境の中で温度が25〜35℃になれば、細菌にとって理想的な状態が整います。

通気性の低い合成皮革やゴム底の靴は特に蒸れやすく、細菌が短時間で大量に増殖します。靴を毎日同じものを履き続けると、前日の汗が完全に乾かないまま翌日もその靴を履くことになり、細菌と真菌(白癬菌を含む)の繁殖サイクルが続きます。

細菌増殖を助長する足環境の条件

条件臭い・感染への影響
温度25〜35℃細菌・白癬菌ともに増殖が最も活発になる
高湿度(蒸れた靴内)角質層が軟化し、菌が皮膚に侵入しやすくなる
栄養(アミノ酸・角質)が豊富悪臭物質の産生量が増加する
密閉された靴・靴下内通気がなく臭い成分が靴内部に濃縮される

水虫(白癬菌)感染が足の悪臭をさらに悪化させる理由

白癬菌は皮膚のバリア機能を物理的に壊します。その結果として細菌がさらに増えやすい環境が整い、臭いと水虫の症状が互いを悪化させる悪循環に陥ります。この連鎖を断つには、白癬菌と悪臭細菌の両方に同時に対策することが求められます。

白癬菌が皮膚バリアを損傷して細菌の侵入を招く

白癬菌はケラチナーゼという酵素を分泌し、皮膚の角質(ケラチン)を分解しながら増殖します。角質が溶けると皮膚本来の防御壁が失われ、外部の細菌が侵入しやすくなります。健康な皮膚であれば弾き返せるような細菌も、白癬菌感染後の損傷した皮膚には定着しやすくなります。

この現象は特に趾間(指と指の間)で顕著です。白癬菌が皮膚を侵食すると、皮膚は湿潤・浸軟(ふやけた状態)になり、二次的な細菌感染(二次感染)を招くことがあります。二次感染が起きると臭いはさらに強くなり、炎症や痛みを伴う場合もあります。

水虫患者の皮膚細菌叢(マイクロバイオーム)は健康な人と異なる

近年の研究では、水虫患者の足の皮膚に生息する細菌の種類と割合が、健康な人とは大きく異なることが明らかになっています。とくに趾間型水虫の患者では、コリネバクテリウム・ミヌティッシマムの検出率が高く、これが悪臭の増強に関わっていると考えられます。

一方、健康な皮膚では細菌の多様性が高く保たれています。水虫感染によって皮膚常在菌のバランスが崩れると、臭いの原因になる特定の細菌が優勢になりやすいのです。これが「水虫が治ると臭いも改善する」という臨床的な観察を裏付けています。

水虫の種類と臭いへの影響

水虫の種類特徴臭いへの影響
趾間型(しかんがた)足の指の間がふやけて白くなる・亀裂が入る最も臭いやすい。細菌の二次感染を招きやすい
小水疱型(しょうすいほうがた)足の裏や側面に小さな水ぶくれができる炎症を伴うため臭いが強まることがある
角化型(かくかがた)足全体の皮膚が厚く硬くなりかさかさする角質が豊富なため白癬菌と細菌の温床になりやすい

趾間型水虫が最も臭いやすい理由

足の指の間は通気性がきわめて低く、汗が蒸発しにくい構造です。趾間型水虫では白癬菌が角質を破壊することで皮膚が浸軟し、細菌が大量に定着する土台が作られます。このとき、スタフィロコッカス属やコリネバクテリウム属などの悪臭産生菌が急増します。

趾間型水虫の患者では、指の間の皮膚が白く柔らかくなった部分から強い悪臭がすることが多いのはこのためです。痒みが少ない場合でも、指の間に白く浸軟した皮膚がある場合は、白癬菌と悪臭細菌が共存している可能性が高いといえます。

足の臭いと水虫を悪化させる日常生活のよくある習慣

足の臭いや水虫は、医療的な処置を受けるだけでは解決しません。日常の生活習慣の中に、臭いと感染を悪化させる要因が潜んでいます。心当たりのある習慣を見直すことが、改善への確かな一歩です。

長時間の閉塞性の靴着用が招く蒸れと細菌増殖

革靴やスニーカーを長時間履き続けると、靴の内部の温度と湿度は急速に上がります。特に合成皮革やゴム製の靴は通気性が低く、蒸れが加速します。これは足の常在菌にとって理想的な増殖環境であり、わずか数時間で細菌の数が何倍にも増えることがあります。

また、靴を毎日同じものを使い回すと、前日の汗が内部に残ったままになります。一度蒸れた靴の内部は完全に乾くまでに24〜48時間かかるため、毎日交互に使うか、帰宅後に靴の中に乾燥剤を入れることが大切です。

不十分な足の洗浄で細菌が残り続ける

シャワーのときに足を流すだけでは、指の間や足裏に付着した細菌や角質を十分に落とすことができません。特に指の間は石けんが行き届きにくく、洗い残しが多い部位です。その汚れが細菌の栄養源となり、臭いの原因になります。

足を洗う際は石けんを泡立て、柔らかいタオルやブラシを使って指の間も丁寧に洗うことが重要です。ただし力を入れすぎると皮膚に傷がつき、かえって細菌や白癬菌の侵入口を作ってしまいます。「泡で優しく、丁寧に」が基本です。

ストッキングや化繊の靴下が足を蒸らす理由

ナイロン製のストッキングは薄くて通気性が低く、汗を吸収しにくい素材です。また、ポリエステルなどの化学繊維の靴下も吸湿性に劣るため、汗がそのまま靴の中に留まります。その結果、靴の内部の湿度が上がり、細菌と白癬菌が繁殖しやすい環境になります。

靴下の素材選びは足の臭いと水虫の予防に直結します。蒸れやすい状況では、吸湿性・通気性の高い綿や竹繊維などの天然素材の靴下を選ぶことが勧められます。

足の臭いと水虫を悪化させる主な生活習慣

  • 毎日同じ靴を履き続け、乾燥させる時間を設けない
  • シャワーで足を流すだけで、指の間を石けんで洗わない
  • ナイロン・ポリエステルなど通気性の低い靴下を長時間着用する
  • 入浴後に足の指の間の水分を十分に拭き取らずにいる
  • 水虫の治療薬を症状が消えた段階で自己判断で中断する

靴の除菌方法|白癬菌と悪臭細菌を靴の中から追い出す

靴の内部は、白癬菌の再感染源になるリスクがあります。水虫の治療と並行して靴を適切に除菌しなければ、せっかく治った水虫が再発するサイクルが続きます。効果的な方法を知って、靴のケアを習慣化しましょう。

水虫患者の靴の内部には白癬菌が高率に潜んでいる

水虫の患者が使用した靴の内部から、トリコフィトン(白癬菌)属の菌が高率に検出されることが複数の研究で報告されています。水虫患者の靴の約47%から白癬菌が検出されたという報告もあり、靴が再感染の重大な供給源になっていることがわかります。

白癬菌は皮膚の角質と一緒に剥がれ落ち、靴の内側に付着します。靴の内部では数週間〜数か月にわたって生存できるとされており、抗真菌薬で白癬菌を治療しても靴を除菌しなければ、靴から再び感染するリスクが残り続けます。

UV照射・オゾン・抗菌スプレーの効果と使い分け

靴の除菌方法はいくつかありますが、それぞれ特性が異なります。UV(紫外線)照射は靴の内部に光が届く範囲であれば白癬菌を不活化できますが、光が届かない奥の角には効果が及ばないことがあります。オゾンガスを使った除菌は靴の隅々まで行き渡りやすく、白癬菌の殺菌に有効であることが研究で示されています。

市販の抗菌スプレーは即効性があり手軽ですが、成分によって効果の持続時間が異なります。エタノール系のスプレーは速乾性があり、使用直後の細菌数を減らすことができます。ただし靴の素材によっては変色や劣化を招くこともあるため、素材に合った製品を選ぶことが大切です。

靴の除菌方法の比較

除菌方法特徴注意点
UV(紫外線)照射靴専用UVライトで照射。光の届く範囲で効果あり靴の奥まで光が届かない場合は効果が限定的
オゾンガス靴全体に行き渡りやすく、白癬菌・細菌に有効専用機器が必要。濃度管理が重要
抗菌スプレー(エタノール系)手軽に使えて速乾性がある靴素材への影響に注意。定期的な使用が必要
靴乾燥機(熱乾燥)湿気を除去して細菌・真菌の増殖を抑制する高温に弱い素材の靴には使用できない

靴を毎日替えて乾燥させることが除菌の第一歩

どんな除菌法よりも基本となるのは「靴を乾燥させること」です。細菌も白癬菌も湿った環境でなければ増殖できません。靴を2〜3足交互に使い、使用後は風通しの良い場所で1〜2日かけて乾燥させるだけでも、靴の内部の菌数を大幅に減らすことができます。

新聞紙を靴の中に入れておくと湿気を吸収してくれます。乾燥剤(シリカゲル)を使うとさらに効果的です。こうした日々のケアが、再感染と臭いの予防に着実につながります。

靴下の素材・洗い方・選び方で悪臭と水虫の再発が変わる

靴下は毎日皮膚に直接触れるものだからこそ、素材と洗い方が足の状態に大きく影響します。適切な靴下の管理が、臭いの抑制と水虫の再発防止において重要な役割を果たします。

綿素材の靴下が足の臭いを抑えやすい理由

綿(コットン)は吸湿性と通気性に優れた天然素材です。足が汗をかいても素早く吸収してくれるため、靴の内部の湿度を低く保ちやすくなります。通気性のある素材を着用することで足の微生物環境が改善されることが示唆されており、臭いの原因細菌の過剰増殖を抑える効果が期待できます。

ただし綿は一度濡れると乾きにくいという性質もあります。激しい運動をする場合は、吸湿速乾性に優れた機能性素材(メリノウールや吸湿速乾タイプ)が適しています。日常的な使用であれば、綿主体の靴下を選ぶことが足の臭い対策に有効です。

白癬菌を死滅させるには60℃以上の洗濯が効果的

靴下に付着した白癬菌を死滅させるには、洗濯時の温度が重要です。研究では、60℃以上の温水での洗濯が白癬菌の不活化に効果的であることが確認されています。一方、40℃の通常洗濯では白癬菌が生き残る可能性があるため、水虫の治療中や予防目的では高温洗濯が勧められます。

すべての靴下素材が高温洗濯に対応しているわけではないため、洗濯表示を事前に確認してください。高温洗濯が難しい素材の場合は、四級アンモニウム塩系(QAC系)の洗剤を用いた浸け洗い(24時間以上)も有効であることが報告されています。

毎日交換・高温洗濯の習慣が水虫再発を防ぐ

靴下は1日1回交換するのが基本です。1日履いた靴下には汗と皮膚の角質が付着しており、そのまま放置すると白癬菌と悪臭細菌の繁殖源になります。特に水虫の治療中は、靴下を毎日洗濯することで靴下から足への再感染を防ぐことができます。

水虫の治療時には患者の靴下や足拭きタオルを他の家族と分けて洗濯することも勧められています。家族内での感染を防ぐためにも、靴下の衛生管理は個人単位で徹底することが大切です。

靴下選び・洗い方のポイント

  • 吸湿性の高い綿または綿混素材を選ぶ
  • 毎日交換し、使用後は速やかに洗濯する
  • 水虫の治療中は60℃以上の高温洗濯かQAC系洗剤での浸け洗いを行う
  • 家族と靴下や足拭きタオルを共用しない
  • 洗濯後はしっかり乾燥させ、湿った状態で保管しない

足の臭いと水虫が改善しないなら医療機関への受診を

市販の抗真菌薬やセルフケアで対処しても症状が改善しない場合、または再発を繰り返す場合は、医療機関を受診することが適切です。水虫の診断と治療は皮膚科が専門ですが、かかりつけの内科でも初期対応を行ってもらえます。

自己治療だけでは対応が難しい水虫の治療

市販の抗真菌薬は、軽度の趾間型水虫には一定の効果があります。しかし角化型(足裏全体が厚くなるタイプ)や爪白癬(爪水虫)を合併している場合は、外用薬だけでは薬剤が十分に浸透しないため、内服薬が必要になることがあります。

市販薬で症状が改善したと感じても、白癬菌が完全に消えていないことがあります。白癬菌は角質の深いところに潜んでいるため、かゆみや見た目の変化がなくなっても治癒していないことが珍しくありません。医療機関での確認検査によって、治療の完了を確かめることが再発防止のうえで重要です。

症状別・受診が勧められる状況

症状・状況受診を勧める理由
市販薬を2週間以上使っても改善しない白癬菌の種類や薬剤感受性に問題がある可能性
爪が変色・肥厚している爪白癬(爪水虫)は外用薬だけでは治療が難しい
足に炎症・腫れ・滲出液がある細菌による二次感染の可能性がある
同じ部位に水虫が繰り返し再発する靴や家族間の感染源が残っている可能性がある
糖尿病などの基礎疾患がある免疫機能の低下により重症化しやすい

外用抗真菌薬で白癬菌を根絶させる治療の流れ

趾間型・小水疱型の水虫に対しては、テルビナフィンやルリコナゾール、イトラコナゾールなどを主成分とする外用抗真菌薬が第一選択となります。これらの薬は白癬菌の細胞膜を構成するエルゴステロールの合成を妨げ、白癬菌を死滅させます。

外用薬の使用期間は症状が改善してからも最低4〜6週間継続することが必要です。症状が消えたからといって中途半端に使用を止めると、皮膚の深部に残存した白癬菌が再び増殖して再発します。角化型水虫や爪白癬を合併している場合は、内服抗真菌薬が処方されることもあります。

症状が強い場合や再発を繰り返す場合の対処法

水虫が重症化したり頻繁に再発する場合は、靴・靴下・浴室マットなどの生活環境の除菌と、家族全員の足の状態チェックが求められます。家庭内に複数の水虫感染者がいる場合は、一人だけが治療しても家族からの再感染を繰り返す可能性があります。

また、糖尿病や免疫抑制状態にある方は、水虫が重症化しやすく蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの二次感染を起こすリスクも高まります。このような基礎疾患をお持ちの方は、症状が軽くても早めに医療機関を受診することが望まれます。

よくある質問

Q
足の臭いがひどいとき、水虫との関係を自分で確かめるにはどうすればよいですか?
A

足の臭いと水虫の関係を疑う場合、まず足の指の間や足裏の皮膚の状態を観察してみてください。指の間が白くふやけていたり、皮膚が剥けている、あるいは小さな水ぶくれが見られる場合は、水虫の可能性があります。

ただし、湿疹や接触性皮膚炎など水虫と見た目が似た皮膚疾患も多く、見た目だけで自己判断することは難しい側面があります。皮膚科を受診すると、皮膚の一部を採取して顕微鏡で白癬菌を確認する検査(KOH検査)を受けられます。確実な診断のうえで治療を始めることが、臭いと水虫の両方を改善する近道です。

Q
白癬菌の治療をしているのに足の臭いが改善しない原因はどこにありますか?
A

白癬菌の治療中でも足の臭いが改善しない主な原因のひとつは、悪臭の原因となる細菌(スタフィロコッカスやコリネバクテリウムなど)がまだ多数存在していることです。抗真菌薬は白癬菌には効きますが、臭いの原因細菌には直接作用しません。

また、靴の内部に白癬菌や悪臭細菌が生き残っている場合も、再汚染が繰り返されて臭いが続くことがあります。白癬菌の治療と並行して、足を石けんで丁寧に洗う習慣の徹底と、靴・靴下の除菌・管理の改善が欠かせません。改善が見られない場合は、医療機関で状況を相談してみましょう。

Q
足の臭いや水虫の再発を防ぐために靴下の素材選びで意識すべき点はありますか?
A

靴下の素材選びで最も意識したいのは「吸湿性と通気性」です。綿(コットン)は吸湿性に優れており、汗をしっかり吸収して足の蒸れを防いでくれます。足の蒸れが減ると細菌の増殖が抑えられ、臭いも軽減されます。

ナイロンやポリエステルなど化学繊維素材の靴下は通気性が低く蒸れやすいため、足の臭いが気になる方には不向きです。水虫の治療中は、靴下を60℃以上の高温洗濯で洗えるかどうかも素材選びの基準のひとつになります。洗濯表示を確認したうえで、高温洗濯に対応した綿素材の靴下を選ぶとよいでしょう。

Q
靴の中に潜む白癬菌や悪臭細菌を除菌するのに効果的な方法を教えてください。
A

靴の除菌で最も手軽で効果的な方法は、靴を毎日交互に使って十分に乾燥させることです。白癬菌も悪臭細菌も湿潤な環境でなければ増殖しにくいため、乾燥させるだけでも菌数を大幅に減らせます。

さらに積極的な除菌には、市販のエタノール系抗菌スプレーを靴の内側に吹きかける方法が有効です。UV照射やオゾンガスによる除菌も、白癬菌に対して有効性が研究で報告されています。靴乾燥機を使って内部の湿気を除去することも合わせて実践するとより効果的です。靴の素材によっては特定の方法が使えない場合があるため、素材に合った方法を選んでください。

Q
足の臭いや水虫の症状が続く場合、どの診療科を受診すればよいですか?
A

足の臭いと水虫(白癬菌感染)の症状がある場合は、まず皮膚科への受診をお勧めします。皮膚科では、顕微鏡検査によって白癬菌の有無を確認し、症状に合わせた外用薬または内服薬を処方してもらえます。

近くに皮膚科がない場合や、かかりつけ医がいる場合は内科や家庭医でも初期対応が可能です。また、糖尿病などの基礎疾患をお持ちの場合は足の合併症のリスクが高まるため、主治医に足の状態を伝えることが大切です。症状が軽くても繰り返す場合は、自己判断せずに専門家の意見を聞くことが適切な対処への近道です。

参考文献