サクセンダの海外製は偽物に注意|健康被害を防ぐための確認ポイント

サクセンダの海外製は偽物に注意|健康被害を防ぐための確認ポイント

海外製をうたうサクセンダには偽造品が混じっているという報告が各国から出ており、外箱と本体の表示、そして届いた状態を一つずつ確かめたうえで、少しでも合わない点があれば使わずに医療機関へ相談するのが安全側の対応です。

確認の目的は「見分けて安全に使う」ためではありません。おかしいと気づいた時点で手を止め、判断を専門家へ渡すための作業です。

偽造されたGLP-1受容体作動薬では、中身がまったく別の薬に入れ替わっていた例も報告されており、外観が整っていても成分までは外から判断できません。

どこを見るのか、なぜ気づきにくいのか、疑いを持ったときにどう動くのかを順に並べました。

海外製サクセンダの偽物が各国で見つかっている

偽造されたGLP-1受容体作動薬は、規制当局や国際機関が繰り返し注意を呼びかけるほど広がっており、海外製という表示だけでは中身の保証になりません。正規の流通を通っていない品なら、確かめておきたい点はいくつもあります。

世界の供給網で偽造されたGLP-1薬が見つかった

世界保健機関は、偽造されたセマグルチド(オゼンピック)が世界の供給網に入り込んでいると注意を促し、その経緯は医学誌でも取り上げられました。サクセンダと同じGLP-1受容体作動薬が標的になっているため、他人事として片づけられる話ではありません。

規制の外にあるオンライン販売を調べた2024年の研究では、検索結果から集めた1,080件のリンクのうち317件(29.35%)がオンライン薬局のもので、そのうち134件(42.3%)は59か所の違法な販売サイトへ利用者を誘導していました。

この研究で処方箋なしに購入されたセマグルチドのバイアル3検体は、いずれも規格外または偽造が疑われる品でした。注射剤という形をとりながら、中身の保証がまったくないものが実際に人の手元へ届いていたわけです。

品薄と価格差が偽造品の入り口になる

薬が手に入りにくい状況が続くと、人の流れは正規の経路から外れた市場へ向かいます。ルーマニアを対象にした研究は、政策と価格の影響で慢性的な医薬品不足が生じ、患者と医療者が規制外の市場に押し出されて偽造品に触れる危険が高まった経緯を描き出しました。

体重管理を目的とした需要が世界的に膨らんだ時期に、GLP-1受容体作動薬も同じ構図へ置かれました。需要と供給の隙間が広がるほど、偽造する側の利益は大きくなります。

正規の流通を通らない品は確かめる相手がいない

国内の医療機関や薬局を経て渡された薬であれば、疑問が出たときに問い合わせる先がはっきりしています。一方、手元へ直接届いた品は、どこの工場で作られ、どんな温度で運ばれたのかをたどる手がかりが残りません。

だからこそ、届いた状態と表示から拾える情報の重みが相対的に増します。ただし、そこから分かるのは「怪しい」までであって、「安全」ではありません。

  • 外箱や説明書に日本語の記載がない
  • 会社名や販売名の表記が資料と食い違う
  • 保冷されていない状態で届いた
  • 注文した品と形状や本数が違う
  • 使用期限やロット番号が読み取れない

こうした点が一つでも当てはまるなら、封を切る前に手を止める判断が要ります。どこを見ればそれが分かるのかを、順に確かめていきましょう。

海外製サクセンダの偽物を疑う箱と本体の表示

最初に見るのは、外箱と本体に書かれた文字です。製造販売元、販売名、ロット番号、使用期限が箱と本体で食い違っていないか、日本語の記載があるかを確かめると、明らかな不自然さは拾えます。

見る場所確かめる内容合わないときの受け取り方
外箱の表示製造販売元の名称と販売名記載が無い・綴りが違うのは不自然
外箱と本体ロット番号と使用期限の一致片方だけ・数字違いは中身と別物の疑い
同梱物日本語の添付文書の有無無ければ国内の流通を経ていない
外装封やシールの破れ・貼り直し開封の跡があれば使わない

いずれも特別な道具は要らず、明るい場所で数分あれば済みます。ただし、確かめた結果が「不自然ではない」だったとしても、それは次に進んでよいという合図にはなりません。

製造販売元と販売名の書かれ方

正規に流通する医薬品の外箱には、製造販売元の名称と販売名が定まった形で印刷されています。手元の箱にその記載が見当たらない、あるいは綴りや書体が資料と食い違う場合、外箱そのものが作られた品である疑いが出てきます。

綴りが1文字違う、記号の位置がわずかにずれる、といった差は、見比べる相手がないと気づけないでしょう。医療機関や薬局には正規品を見慣れた人がいるため、細かな判定はそちらへ委ねるほうが確実です。

ロット番号と使用期限の並び

ロット番号と使用期限は、外箱と本体の両方に記されます。片方にしか無い、あるいは同じ品なのに数字が食い違う状態は、箱と中身が別々に用意された可能性を示す信号です。

印字がにじむ、シールが貼り重ねられている、期限の欄が塗りつぶされている、といった状態も同じ扱いになります。読み取れないという事実そのものが、確認できない品だという結論へつながります。

日本語の添付文書が入っているか

国内で正規に流通する医薬品には、日本語で書かれた説明の文書が付きます。外国語の紙しか入っていない、あるいは印刷された紙が一切見当たらない品は、国内の流通を経ていないと考えるのが自然でしょう。

説明書が無ければ、保存の方法も注意点も手元では確かめられません。使う前に読むべき材料が欠けていると分かった時点で、判断を先へ進めないほうが安全です。

封と外装の傷み

外箱の封やシールが破れている、一度開けて貼り直した跡がある、角がつぶれて中身が動いている、といった状態は、輸送と保管の履歴がたどれないと告げています。中身が入れ替えられていても、外側からは判別できません。

包装の分析を扱った研究では、偽造品が本物の部材と偽の部材を組み合わせた形で作られる場合が多いと報告されています。封の状態は、その組み合わせの痕跡が表へ出てくる数少ない場所といえます。

海外製サクセンダが届いた状態から偽物に気づく手がかり

届いた瞬間の温度と梱包は、あとから確かめ直せません。冷えていたか、同梱物がそろっていたか、注文と品物が一致しているかを開封の前に見ておくと、判断の材料が手元に残ります。

保冷されて届いたかどうか

サクセンダ(リラグルチド3.0mg)は冷蔵で保存する注射剤です。保冷剤が溶けきっていた、常温の封筒で届いた、といった状態では、たとえ中身が正規品でも品質が保たれたとは言えません。

温度の管理が崩れた薬は、外観がまったく変わらないまま性質だけが変わる場合があります。届いたときの様子を写真に残しておくと、あとで相談するときに状況を説明しやすくなるでしょう。

梱包と同梱物のそろい方

正規の流通では、箱・説明書・付属品が定まった組み合わせで納められます。緩衝材が入っていない、注射針が別の袋へ無造作に押し込まれている、箱がつぶれているといった状態は、扱われ方そのものが違うと分かる手がかりです。

23か国の規制当局の記録を扱った13本の研究をまとめたレビューでは、汚染や規格外の試験結果と並んで、包装の問題が回収理由の上位に挙がっていました。包装は見た目だけの話にとどまりません。

注文と違う品が届く場合

先ほどのセマグルチドの研究では、6か所へ処方箋なしで注文したうち、ペン型注射器3本は最後まで届かず、届いたのはバイアル3検体だけでした。頼んだ形と違うものが渡される、そもそも渡されないという事態が現実に起きています。

注文と品物が食い違う経路には、品質を保証する仕組みがそもそも備わっていません。届いた品だけを眺めて判断しようとしても、比べる基準が手元に無いのです。

届いた直後に見る点望ましい状態気になる状態
冷えぐあい保冷材とともに冷たい常温・保冷材が溶けている
梱包緩衝材と箱がそろっている箱がつぶれ中身が動く
同梱物日本語の説明書がある外国語の紙のみ・紙が無い
品物注文どおりの形と本数形状や本数が違う・届かない

気になる状態に当てはまるものがあれば、その場で使うのをやめ、届いた箱ごと保管しておくと後の相談が進めやすくなります。開けてしまってからでは、届いたときの様子を証明する手段が減ってしまうからです。

海外製サクセンダの外観だけでは偽物を判別できない

外観の点検で拾えるのは不自然さまでで、中身の成分には届きません。分析を行った研究では、表示と実際の含有量が大きく食い違う品や、まったく別の薬が入っていた品が確認されています。

ペン本体の刻印と目盛り

ペン型注射器には、販売名や単位の目盛りが印刷されています。文字がかすれている、目盛りの間隔が不揃い、ダイヤルの手ごたえが説明書の記述と違うといった点は、手元でも気づける差でしょう。

とはいえ、成形の精度が上がった偽造品では、この段階で違和感が出ない場合もあります。異常が見当たらないという観察は、正規品である証明にはなりません。

薬液の色と濁り

注射剤の薬液は、澄んでいて無色であるのが基本です。濁り、浮遊物、変色が見えるなら、正規品であっても使わない判断になります。

反対に、透明で見た目に問題が無くても安心はできません。低血糖による昏睡で救急搬送された31歳女性の症例報告では、分析の結果、バイアルの中身がセマグルチドではなくインスリンだったと記されています。

外観が整っていれば中身も本物?

答えは「言えない」です。規制外の販売サイトから購入されたセマグルチド3検体を分析した研究では、外観の点検で評価項目の59〜63%が基準に合いませんでした。

一方で、その検体の含有量は表示より28.56〜38.69%多く、純度は表示された99%に対して7.7〜14.37%にとどまっています。

同じ検体からはエンドトキシンも検出され、その値は2.1645〜8.9511EU/mgでした。いずれも分析機器を通してはじめて分かった数字であり、箱や薬液をどれだけ眺めても届かない領域です。

確かめる手段分かること届かない範囲
箱と本体の表示記載の欠落や食い違い中身が何であるか
薬液の見た目濁り・変色・異物含有量と純度
届いた状態温度管理と梱包の乱れ汚染や不純物の有無
機器による分析成分・含有量・不純物個人の手元では行えない

この対比が示すのは、目視の点検が「使ってよい根拠」にはならないという一点です。だからこそ、確認は使うための手続きではなく、やめるための手続きだと位置づける必要があります。

海外製サクセンダの偽物が見抜きにくい理由

偽造品は、外から見て分かるようには作られていません。印刷や成形の技術が上がり、本物の部材が混ぜられ、写真では触感も温度も伝わらないため、目視の点検には最初から限界があります。

印刷と成形が精巧になっている

包装の真正性を調べた研究では、印刷技術の向上によって外観の良い偽造品が現れていると指摘されています。この研究は1つの医薬品について正規の参照品7点と偽造品5点を分析し、目視では差が出ない部材があったと報告しました。

差が現れた部材もありましたが、それを確かめるには赤外分光や蛍光X線といった機器が使われています。手元にある道具で同じ判断へ届く保証は、どこにもありません。

本物と偽物の部材が混ざる

偽造品は、丸ごと作り替えられるとは限りません。正規の外箱へ別の中身を入れる、使用済みの包装材を再び使うといった形が報告されており、真正な部分と偽の部分が一つの品の中に同居します。

偽造医薬品の検出を扱ったレビューも、包装材の再利用と精巧な模倣が目視点検を難しくしていると述べています。つまり「箱が本物に見える」という観察は、中身の根拠になりません。

  • 有効成分が表示どおりか
  • 含有量が規格に収まっているか
  • 別の薬が混ざっていないか
  • 無菌性が保たれているか
  • 保管の途中で品質が落ちていないか

並べた5点は、いずれも目で見た点検では判定できません。裏返せば、外観に何の問題も無い品であっても、この5点は未確認のまま残るということです。

販売ページの写真で判断できる?

判断できません。写真は明るさも角度も選べるため、実物の印字のかすれや封の状態までは写らず、正規品の画像が流用されていれば、写真と届く品が一致する保証もなくなります。

ヨルダンで一般市民209人と医療者136人に尋ねた調査では、規格外・偽造医薬品について知っていたのは市民の24%、医療者の35%にとどまりました。実際に遭遇したと答えた市民は17%(36人)いましたが、そのうち81%は届け出をしていません。

気づかないまま使われ、気づいても記録に残らない。この二段構えが、偽造品の広がりを見えにくくしています。

海外製サクセンダの偽物を疑ったときにとる行動

疑いを持った時点で、使わずに手を止めるのが最初の行動です。品物は捨てずに保管し、購入した相手ではなく医療機関や薬局、公的な相談窓口へ持ち込んで判断を仰ぐと、次に進む道が決まります。

場面とる行動避けたい行動
疑いを持った直後注射せずに保管する「たぶん大丈夫」で使う
品物の扱い箱・説明書・梱包材ごと残す中身だけ捨ててしまう
相談先医療機関・薬局・公的窓口購入した相手に尋ねて済ませる
体調の変化早めに受診して経緯を伝える様子を見ながら放置する

避けたい行動として並べたものは、いずれも後から取り返しにくい選択です。迷った段階でいったん止めておけば、あとから選び直す余地が残るはずです。

まず使わずに手を止める

迷ったまま注射を進めてしまうと、あとから中身を確かめる機会が失われます。1本でも使えば残りの量が減り、成分の分析も、いつ何を打ったのかという経緯の説明もあいまいになります。

使わない判断に費用の負担が伴うのは確かでしょう。それでも、中身の分からない注射剤を体へ入れる危険と釣り合うものではありません。

捨てずに保管して持参する

疑わしい品は、外箱・説明書・梱包材・保冷材まで含めてそのまま残します。ロット番号や使用期限、届いた日の状態は、あとから調べるときの手がかりになるからです。

保管は、子どもや同居する人が触れない場所を選びます。注射針が付いたままなら、刺さらないよう覆いをした状態で箱へ戻しておくと安全です。

相談先は購入した相手ではない

品物について尋ねる相手は、売った側ではありません。正規品だと主張されたところで、それを確かめる手段が買った側に無いからです。

かかりつけの医療機関、近くの薬局、自治体や国が設けている医薬品の相談窓口が、判断を引き受けられる場所になります。持ち込むときは、届いた日と保管の状態をあわせて伝えると話が早く進むでしょう。

すでに使ってしまったらどうすればいい?

自己判断で様子を見るのは避けたい対応です。中身が別の薬だった症例が報告されている以上、体に何が起きるかを手元で予測する材料がありません。

冷や汗、強い空腹感、動悸、意識のもうろう、激しい腹痛や嘔吐、注射した場所の腫れや発熱といった変化が現れたら、早めに医療機関を受診します。その際は使った品と残りをそのまま持参し、いつ何を注射したのかを伝えます。

変わった様子が無い場合でも、使ってしまった事実は診察の場で伝えておくほうが賢明です。記録として残しておけば、後日の体調の変化を判断する材料になります。

よくある質問

サクセンダの偽物は見た目で見分けられますか?

見た目だけで判断するのは難しいと考えてください。印刷や成形が精巧な偽造品があり、正規の部材と組み合わせて作られる場合も報告されています。

一方で、表示の欠落や封の破れ、薬液の濁りといった不自然さは目で拾えます。何かが合わないと感じた段階で使うのをやめ、医療機関や薬局へ相談する流れが安全です。

海外製サクセンダに日本語の説明書が入っていない場合はどう考えればよいですか?

国内で正規に流通する医薬品には日本語の説明書が付きます。外国語の紙しか入っていない、または紙そのものが見当たらない品は、国内の流通を経ていないと判断する材料になります。

説明書が無ければ、保存の方法も注意点も手元では確かめられません。そのまま使わず、品物をそろえた状態で医療機関や薬局へ持ち込み、判断を仰ぐほうが確実です。

サクセンダが常温で届いたとき、冷蔵庫に入れれば使えますか?

冷やし直しても、崩れた温度管理は元へ戻りません。サクセンダは冷蔵で保存する注射剤で、常温に置かれていた時間の長さも温度も、あとから確かめる手立てがないからです。

見た目が変わらないまま性質だけが変わる場合もあります。届いたときの様子を写真に残したうえで、使わずに相談するのが安全側の判断です。

偽物が疑われるサクセンダは捨ててしまってよいですか?

捨てずに残しておくほうが望ましい対応です。外箱、説明書、梱包材、保冷材まで手元にあれば、ロット番号や届いた状況をあとから確かめられるからです。

品物が無くなると、成分の確認も届け出も難しくなります。保管は子どもや同居する人が触れない場所を選び、相談の際にそのまま持参する形が役に立ちます。

サクセンダの偽物を使ったかもしれないとき、どこへ相談すればよいですか?

相談先は、購入した相手ではありません。かかりつけの医療機関、近隣の薬局、自治体や国が設けている医薬品の相談窓口が、判断を引き受けられる場所です。

体調に変わった点があるなら、相談よりも受診を先にします。使った品と残りを持参し、いつ何を注射したのかを伝えると、必要な対応が早く決まります。

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この記事を書いた人 Wrote this article

大木 沙織 大木皮ふ科クリニック 副院長

皮膚科医/内科専門医/公認心理師 略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。 所属:日本内科学会