
サクセンダ(リラグルチド3.0mg)の自己注射でつまずきやすいのは、針を刺す一瞬そのものではなく、その前後に置かれた準備と後始末の部分です。打つ順番をあらかじめ決めておき、毎回同じ流れで進めるようにすると、迷う場面はぐっと減っていきます。
手を洗い、薬液を見て消毒し、皮下へ入れ、数秒待って抜く。文字にすれば短い流れですが、一つひとつに理由があり、飛ばした分は安全性や薬の入り方に跳ね返ります。
打つ前の準備から刺し方、抜いた後の処置、そして避けたい行為までを一続きの流れとして整理しました。実際の手技については添付文書を読み、医師や薬剤師から受けた指示に従って一つずつ確かめていきます。
サクセンダの打ち方は添付文書と主治医の指示が土台になる
正しい打ち方の基準は、読み物の中ではなく、薬に添えられた添付文書と、処方した医師や薬剤師の指示にあります。解説を読むのは指示を思い出す助けになりますが、指示そのものを置き換える性質のものではありません。
| 知りたいこと | まず見る資料 | 相談する相手 |
|---|---|---|
| 手技の順番 | 取扱説明書 | 医療機関の指導 |
| 用法の決まり | 添付文書 | 処方した医師 |
| 器具の不具合 | 取扱説明書 | 薬局や医療機関 |
自己注射は医療機関の指導を受けてから始まる
サクセンダは自分の手で打つ薬なので、開始前に医療機関で実物のペンに触れながら指導を受けるのが前提になります。針の付け方や空打ちの意味は、口頭の説明を聞くだけよりも、実際に手を動かしたほうが早く身につきます。
指導の場では、うまくできない部分を隠さずに見せておくと、後から困る場面が減ります。手が震える、目盛りの数字が見えにくいといった困りごとは、その場で相談すれば道具や方法を調整してもらえます。
家族に手伝ってもらう予定があるなら、同席してもらうと手順の認識がそろいます。誰が何をどこまで担うのかを最初に決めておけば、慌ただしい時間帯でも流れが崩れにくくなるでしょう。
添付文書と取扱説明書を手元に置いておく
同梱された添付文書とペンの取扱説明書は、一度読んだら捨てるのではなく、薬と同じ場所に残しておくと役に立ちます。立ち返る先が一つに決まっていれば、記憶違いのまま進んでしまう危うさが下がります。
説明書には、目盛りの表示や針の付け外しといった、その製品に固有の作法が図つきで載っています。見た目の似たペンでも操作が同じとは限らず、別の薬を使った記憶のまま動かすと思わぬ間違いにつながります。
迷った場面を自分だけで決めない
手順の途中で判断に迷ったときは、その場の思いつきで進めずにいったん止めるほうが安全側へ倒れます。針が曲がった、薬液がこぼれた、量が正しく入ったのか分からないといった場面は、いずれも自己判断の対象になりません。
医療機関には、こうした問い合わせを受ける窓口がふつう用意されています。連絡先を冷蔵庫の扉や薬の箱に貼っておけば、慌てた場面でも探し回らずに済むはずです。
打てなかった日や失敗した回の記録を残しておくと次の受診で話が早く進み、日付と状況を一行書き足すだけでも、医師が原因を絞り込む手がかりになります。
サクセンダを打つ前の手洗いと、そろえておく物
準備の善し悪しは、手を洗ってから物を並べ終えるまでの数分で決まります。必要な物が途中で見つからない状態は、針を手にしたまま席を立って探しに行くという危うい動きを生みます。
| そろえる物 | 用途 | 確かめたい点 |
|---|---|---|
| サクセンダのペン | 薬液が入った本体 | 名前と使用期限 |
| 新しい注射針 | 1回につき1本 | 包装が未開封か |
| 消毒綿 | 皮膚とゴム栓を拭く | 個包装が破れていないか |
| 廃棄用の容器 | 使用後の針を入れる | ふたが確実に閉まるか |
| 記録用のメモ | 打った日時の控え | 前回の記載 |
並べる場所は平らで乾いた面が向いており、水がはねる洗面台のふちや、物が落ちやすい狭い台は避けたほうが無難でしょう。
手を洗って乾かすまでが準備の入り口
石けんで手を洗い、清潔なタオルか使い捨ての紙でしっかり乾かしてから薬に触れます。濡れた手のままだと消毒綿や針の包装がふやけて扱いにくくなるうえ、雑菌も一緒に移りやすくなります。
爪の間や指の股は洗い残しの出やすい場所なので、水で流す前にひと呼吸おいて意識して擦っておくと安心できます。手荒れがひどい時期は、傷から菌が入らないよう医師に相談したうえで進めます。
洗った手で髪や衣類に触れると、そこからまた汚れが戻ってきます。洗い終えたら、注射に使う物以外にはできるだけ触らないという意識を持っておくと、流れが整うでしょう。
1回分の物を並べてから座る
使う物を先に並べておけば、途中で立ち歩く必要がなくなり、針を持ったまま移動する危うさを避けられます。並べる順番を打つ順番と同じにしておくと、次に何をするのかを考え込まずに済みます。
手元が暗いと薬液の濁りや目盛りの数字を見落としやすくなるため、明かりのしっかり届く場所を選びます。通知の音が気になる環境では集中が切れ、手順が飛びやすくなります。
小さな子どもやペットが近づける場所では、並べた針や包装が思わぬ形で触られてしまう危険があります。扉を閉める、高さのある台を使うといった工夫で、その心配を先に消しておきましょう。
針は毎回新しい1本を使う
注射針は1回ごとの使い捨てで、前に使った針を取っておいて刺し直す使い方は想定されていません。一度皮膚を通った先端は目に見えない形で変形し、次に刺すときの痛みや皮膚の傷みにつながります。
針を替えずに使い続ける習慣は、注射した部位のしこりや腫れといった皮膚の変化と結びついてきました。世界規模で行われた注射手技の調査でも、再使用と皮膚のトラブルの関連が繰り返し報告されています。
新しい針を開ける前には包装のシールが破れていないかを見ておくと確実で、落として床に触れた針は、見た目に問題がなくても使わずに新しい1本へ替えます。
サクセンダの薬液の外観と温度を打つ前に確かめる
薬液を目で見て確かめる作業は、数秒で終わるわりに見返りの大きい手順です。濁りや浮遊物のある液を気づかずに打つと、その後の体調の変化が何によるものか判断できなくなります。
無色透明かどうかを明るい場所で見る
この薬液は、通常は色がほとんどなく澄んだ状態です。白く濁っている、粒のような浮遊物が見える、色がついているといった変化があれば、その場では使わずに医療機関へ相談します。
見る場所は白い紙や壁を背にすると変化に気づきやすくなり、暗い部屋や画面の明かりだけでは、わずかな濁りを見落としやすいでしょう。
凍らせてしまった薬は、見た目が元に戻っても中身の性質が変わっている場合があります。冷凍室に触れる位置へ置いていた覚えがあるなら、見た目に関わらず、使う前に相談したほうが安全です。
冷蔵庫から出した直後の冷たさが痛みにつながる
冷えたままの薬液を皮下へ入れると、しみるような痛みを感じやすくなります。取り出してから少し時間を置き、握って温めるのではなく自然に室温へ近づける進め方が向いています。
電子レンジや湯を使って温めるやり方は薬の性質を損なうため行わず、急ぐ気持ちがあっても加熱は避けて、時間で解決するほうが結果的に安全です。
どのくらい置くかは製品の説明と医師の指示に従いますが、着替えや歯みがきの間に置いておくと生活の流れに収まります。待ち時間を手順の一部として組み込むと、忘れにくくなるでしょう。
使わないと判断したときの扱い
使わないと決めた薬は、迷ったまま手元へ放置せず、医療機関か薬局に扱いを尋ねます。自己判断で処分する、あるいは念のため打ってみるという対応は、どちらも後から状況を説明するのを難しくします。
連絡するときは、いつ気づいたのか、どのような見た目だったのかを伝えられると話が早く進みます。写真を撮っておけば、口頭では伝えにくい濁りの程度も共有できます。
| 薬液の見え方 | 考えられる背景 | 打つ前の対応 |
|---|---|---|
| 澄んでいて浮遊物なし | 通常の状態 | 手順どおり進める |
| 白く濁る・粒が見える | 変質や異物の混入 | 使わずに相談する |
| 色がついている | 保管環境の影響 | 使わずに相談する |
| 凍った跡がある | 冷えすぎ | 外観を問わず相談する |
判断に自信が持てない状態は、そのまま相談してよい状態です。確かめてから打ち直すほうが、打った後で悩み続けるより負担が軽く済みます。
サクセンダを打つ皮膚の消毒と、乾くまでの待ち時間
消毒は、拭いた瞬間ではなく乾いた時点で効き目がそろいます。濡れたまま針を進めると、しみるような痛みが増えるうえ、消毒の役目も半端なまま終わってしまいます。
消毒綿は中心から外へ一方向に
針を刺す予定の点を中心に置き、そこから外側へ円を描くように拭くと、周囲の汚れを中心へ集めずに済みます。消毒綿を往復させたり同じ面で何度も擦ったりすると、いったん拭き取った汚れをまた戻してしまいます。
拭く範囲は、刺す点から数センチ外側までが目安です。狭すぎると針の触れる周囲が消毒されず、広すぎても乾くまでの時間が延びるだけになります。
消毒綿は1回につき1枚が基本で、床に落ちた物や乾いてしまった物は使わず、ゴム栓を拭く綿と皮膚を拭く綿を分けておくと順番を取り違えずに進められます。
アルコールはどこまで乾かせばよい?
拭いた直後の皮膚にはアルコールが残っており、その状態で刺すと針とともに液が入り、強くしみる感覚が出ます。表面の湿り気が消えて、指で軽く触れても濡れていない状態になれば、この不快感はかなり和らぎます。
乾くまでの時間は環境で変わりますが、息を吹きかけたり手であおいだりして急がせる必要はありません。吹きかけた息には菌が含まれるため、せっかく消毒した面を汚してしまいます。
待っている間に針の装着や目盛りの確認を済ませておくと、時間を無駄にせずに進められます。並行して手を動かすときは、消毒した面に指が触れないよう気を配ります。
傷や赤みのある皮膚は避ける
刺す場所を選ぶとき、皮膚の状態は薬の入り方と回復のしやすさの両方に関わってきます。次のような面は避け、変化のない健康な皮膚を選ぶのが基本です。
- 切り傷やかき傷が残る面
- 赤みや発疹が出ている面
- 硬いしこりや盛り上がりのある面
- 内出血やあざが残る面
- 入れ墨や大きな傷あとのある面
気になる変化が続く場合は次の受診で医師に見てもらうと判断が早く、自分では小さな変化に見えても、専門家が触れると別の説明がつく場面もあります。
皮膚が乾燥して粉をふく時期は、保湿してから注射までの時間をしっかり空けると扱いやすくなります。ただし塗った直後の面は消毒がしにくいため、順序に気を配って進めます。
サクセンダは皮下注射、つまみ方と刺す角度で深さが決まる
この薬は皮膚のすぐ下にある脂肪の層へ入れる皮下注射であり、筋肉の中まで届かせる薬ではありません。つまみ方と角度の調整は、その層の厚みに針の長さを合わせるために行います。
皮下と筋肉の違いが吸収の速さを分ける
皮下の脂肪層は血流が緩やかで、薬はゆっくりと広がっていきます。筋肉は血流が豊富なため、同じ量を入れても吸収の速さが変わり、想定された効き方から外れてしまいます。
深く入りすぎたときは、痛みが強く出たり内出血が起きやすくなったりします。逆に浅すぎて皮膚の内部にとどまると、抜いた跡から液がにじみ出る場面もあるでしょう。
どちらの行き違いも、針の長さと刺し方の組み合わせで避けられます。自分の体格に合う組み合わせは医療機関で確認しておき、体重が大きく動いた時期には見直しの機会を持ちます。
皮膚をつまみ上げるのか、そのまま刺すのか
皮下の層が薄い場所や細身の体格では、皮膚を軽くつまみ上げてから刺すと、針先が筋肉まで届きにくくなります。つまむときは親指と人差し指の2本で浅く持ち上げるようにし、手のひら全体で握り込まないのが要点です。
強くつまみすぎると筋肉ごと持ち上がり、かえって深く入る結果を招きます。軽く持ち上げた形を保ったまま針を入れ、注入が終わるまでは指を緩めずにおきます。
一方、皮下の厚みが十分にある場所では、つままずにそのまま刺す進め方が選ばれる場合もあります。どちらを取るかは針の長さと体格で決まるため、指導を受けた方法を守ります。
針は皮膚に対してまっすぐ立てる
短い針を使う場合は、皮膚に対して垂直に、つまり90度で刺すのが基本の形です。斜めに寝かせると先端が浅い層にとどまり、薬が皮膚の中で滞りやすくなります。
針を進める速さは、ためらってゆっくり押し込むより、ひと息で入れたほうが痛みを感じにくくなります。ただし勢いをつけて叩きつける動きは深さが読めなくなるため、向いていません。
刺した後に手首の向きを変えると、皮膚の中で針先が動いて痛みや内出血の原因になります。入れた角度を保ったまま、注入の操作へ移ります。
針の長さで持ち方が変わる
近年よく使われている短い針は、皮下へは届きやすく、筋肉までは達しにくい長さに設計されています。針が長くなるほど、つまみ上げや角度の調整が持つ重みは増していきます。
| 針の長さの目安 | よく取られる刺し方 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 4mm前後 | 垂直に刺す | 細身なら軽くつまむ |
| 6mm前後 | つまみ上げて垂直に刺す | 深く入りやすい |
| 8mm以上 | つまんで角度も調整 | 筋肉へ届く危険 |
実際に使う針の種類は処方で決まるもので、自分で選び直す性質のものではありません。手元の針が変わったときは、持ち方を同じままでよいのかを必ず確認しておきます。
サクセンダを注入した後に数秒待つ理由と、抜いた後の後始末
注入は押し込んで終わりではなく、押しきってから数秒そのまま留めるまでが一続きです。早く抜いてしまうと薬の一部が針先から漏れ、体へ入った量が目減りします。
押しきってから何秒待てばよい?
ペン型の注射器は、押しボタンを押しきった時点でも薬液がまだ針の中を進んでいます。表示が0に戻ってからさらに数秒待つと、針の中に残っていた分まで皮下へ送り出され、漏れを減らせます。
待つ長さは製品ごとに案内があり、6秒程度を目安とする説明が広く用いられています。心の中で数える、時計の秒針を見るなど、自分が数えやすい方法を決めておくと安定します。
待っている間、つまみ上げていた指はそのまま保ちます。先に指を離すと皮膚の形が変わり、針先の位置がずれて液の通り道も変わってしまいます。
抜いた後は押さえるだけで揉まない
針を抜いたら、刺した点を清潔な綿で軽く押さえます。にじむ程度の出血や小さな内出血はよく起きる変化で、数分の圧迫でたいてい収まります。
揉んだり擦ったりすると、皮下へ入った薬の広がる速さが変わり、内出血も濃くなりがちです。押さえる力は、指の跡が残らない程度でじゅうぶんでしょう。
血が止まりにくい、腫れが強い、痛みが翌日まで続くといった変化が重なるときは、次の受診を待たずに相談します。同じ場面が繰り返されるなら、刺し方を見直す必要があるかもしれません。
針は外して専用の容器へ
打ち終わった針はその場で外し、ふたのできる硬い容器へ入れます。外した針を机の上に置いたままにすると、片付けの途中で誤って指を刺す事故が起こりやすくなります。
使用済みの針は、家庭ごみへそのまま出せる物ではありません。医療機関や薬局が回収する仕組みを持っているので、返し方を最初のうちに聞いておくと迷わずに済みます。
容器は満杯になる前に交換し、子どもの手が届かない場所へ置きます。外で打つ機会がある人は、持ち運び用の小さな容器を別に用意しておくと扱いが楽になります。
- 目盛りが0に戻ったか
- 針を外して容器へ入れたか
- ペンにキャップを戻したか
- 打った日時を記録したか
- 保管場所へ戻したか
確認の順番を毎回そろえておくと抜けが起きにくくなり、記憶に頼らず手順の並びで守るほうが、忙しい日の取りこぼしを防げます。
サクセンダの打ち方でやってはいけないこと
避けたい行為は数が少なく、いずれも理由がはっきりしています。感染、けが、薬の入り方の乱れという3つの筋道で覚えておくと、迷う場面が減ります。
| 避けたい行為 | 起こりうる問題 | 代わりの進め方 |
|---|---|---|
| ペンを他人と共用する | 血液を介した感染 | 1人1本で使う |
| 針を付けたまま置く | 液漏れや空気の混入 | 毎回外して捨てる |
| 同じ針を使い回す | 痛みと皮膚の傷み | 1回ごとに新品へ |
| 筋肉まで届かせる | 吸収が速まる | 長さと角度を守る |
| 手順を自己流に変える | 入る量のずれ | 指示どおり進める |
ペンを家族や友人と使い回さない
ペン本体は、針を替えたとしても他人と分け合える道具ではありません。注射のたびに微量の血液や体液が本体側へ戻る場合があり、そこが感染症の移る道筋になってしまいます。
同じ薬を使う家族がいる家庭では、取り違えも起こりやすくなります。名前を書いたシールを貼る、置く棚を分けるといった対策を先に決めておくと安心です。
見た目のよく似たペンが複数ある場合は、打つ直前に名前と薬の種類を声に出して確かめます。ひと手間に見えても、取り違えの多くはこの確認で防げます。
針を付けたまま持ち歩かない
針を付けたままにすると、温度の差で薬液が漏れ出たり、逆に空気が入り込んだりします。次に打つときの量が狂う原因になり、外から見ても気づきにくいのが厄介な点です。
付けたままのペンをかばんに入れると、針が曲がったり、取り出すときに指を刺したりする危険も加わります。外して捨てるまでを1回の手順に含めておけば、忘れずに済みます。
外出先で打つ予定があるなら、針と消毒綿、廃棄容器をまとめた小さな袋を用意しておくと動きが軽くなります。持ち出すときの扱いは、医師や薬剤師に確かめておくと確実です。
血管や筋肉に届かせない
皮下注射は、血管の中へ薬を入れる注射とは別の技法です。血管に入れば薬が一気に巡って想定と違う反応が出るため、太い血管が浮いて見える場所は避けます。
筋肉まで届いた場合も、吸収が速まって効き方が変わります。深く刺しすぎたと感じたときは自己流で調整せず、医療機関へ状況を伝えて指導を受けます。
刺した後に強い痛みが走る、血がよく出るといった変化は、位置がずれたしるしかもしれません。同じ場面が続くようなら、針の長さや刺し方を見直す相談の材料になります。
手順を自己流に組み替えない
慣れてくると、消毒を省く、待ち時間を短くするといった省略が入り込みやすくなります。どの手順にも理由があり、省いた分は安全性や薬の入り方に跳ね返ってきます。
打ち方に関する情報は身の回りにあふれていますが、体格も皮膚の状態も使う針も人によって違います。他人のやり方をそのまま持ち込むと、自分の条件に合わないまま続けてしまいます。
気になる工夫を見つけたときは、次の受診で医師や薬剤師に見せて相談します。合っていれば取り入れられますし、合わなければ理由を聞ける機会になります。
よくある質問
サクセンダの打ち方は、動画などを見て自分で覚えても問題ありませんか?
動画や解説は手順を思い出す助けになりますが、最初の習得は医療機関での指導が前提になります。実物のペンに触れながら教わると、文字や映像では伝わりにくい力加減が分かります。
すでに使い始めている人も、気になる点があれば受診時に実演して見せると確認が早く進みます。自己流の癖は自分では気づきにくく、第三者の目が役に立ちます。
サクセンダを打つ前の消毒は、乾くまで待つ必要がありますか?
待ったほうが快適に打てます。アルコールが残ったまま針を進めると、液が一緒に入り込んで強くしみる感覚が出るためです。
乾かす間に針を付けたり目盛りを確かめたりすれば、待ち時間が無駄になりません。息を吹きかけて急がせる方法は、消毒した面を汚すので向いていません。
サクセンダの注射針は毎回新しいものへ替える必要がありますか?
1回ごとの使い捨てが前提で、前に使った針を取っておいて刺し直す使い方は想定されていません。一度皮膚を通った先端は変形しており、次の注射で痛みや皮膚の傷みにつながります。
世界規模の調査でも、針の再使用と注射部位のしこりなどの皮膚の変化が結びつくと繰り返し報告されています。手元の予備が足りない場合は、我慢せずに医療機関へ相談します。
サクセンダを注入した後、すぐに針を抜いてもよいのでしょうか?
押しきった直後は針の中にまだ薬液が残っており、すぐ抜くと一部が外へ漏れてしまいます。表示が0に戻ってから数秒そのまま留めると、体へ入る量が安定します。
待つ長さは製品の説明に従いますが、6秒程度を目安とする案内が広く使われています。抜くまでは、つまみ上げた指も離さずに保ちます。
サクセンダのペンを家族と共用してもよいのでしょうか?
針を替えたとしても、ペン本体を他人と分け合う使い方はできません。注射のたびに微量の血液や体液が本体側へ入り込む場合があり、感染症が移る道筋になるためです。
同じ薬を使う家族がいる家庭では、名前を書いて置き場所を分けておくと取り違えも防げます。打つ直前に名前を確かめる習慣があれば、さらに安心材料が増えます。
参考文献
Ichikawa, M., Akiyama, T., Tsujimoto, Y., Anan, K., Yamakawa, T., & Terauchi, Y. (2022). Efficacy of education on injection technique for patients diagnosed with diabetes with lipohypertrophy: systematic review and meta-analysis. BMJ Open, 12(3), e055529. https://doi.org/10.1136/bmjopen-2021-055529
Mohammady, M., Radmehr, M., & Janani, L. (2021). Slow versus fast subcutaneous heparin injections for prevention of bruising and site pain intensity. Cochrane Database of Systematic Reviews, 6(6), CD008077. https://doi.org/10.1002/14651858.CD008077.pub6
Kennedy, C. E., Yeh, P. T., Gaffield, M. L., Brady, M., & Narasimhan, M. (2019). Self-administration of injectable contraception: a systematic review and meta-analysis. BMJ Global Health, 4(2), e001350. https://doi.org/10.1136/bmjgh-2018-001350
Bracchiglione, J., Meza, N., Franco, J. V. A., Escobar Liquitay, C. M., Novik A, V., Vargas, M. O., Lazcano, G., Poloni, D., Rinaldi Langlotz, F., Roque-Figuls, M., Munoz, S. R., & Madrid, E. (2025). Semaglutide for adults living with obesity. Cochrane Database of Systematic Reviews, 10(10), CD015092. https://doi.org/10.1002/14651858.CD015092.pub2
Rodriguez, P. J., Zhang, V., Gratzl, S., Do, D., Goodwin Cartwright, B., Baker, C., Gluckman, T. J., Stucky, N., & Emanuel, E. J. (2025). Discontinuation and reinitiation of dual-labeled GLP-1 receptor agonists among US adults with overweight or obesity. JAMA Network Open, 8(1), e2457349. https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2024.57349
Wilding, J. P. H., Overgaard, R. V., Jacobsen, L. V., Jensen, C. B., & le Roux, C. W. (2016). Exposure-response analyses of liraglutide 3.0 mg for weight management. Diabetes, Obesity and Metabolism, 18(5), 491–499. https://doi.org/10.1111/dom.12639
Davies, M. J., Bergenstal, R., Bode, B., Kushner, R. F., Lewin, A., Skjøth, T. V., Andreasen, A. H., Jensen, C. B., & DeFronzo, R. A. (2015). Efficacy of liraglutide for weight loss among patients with type 2 diabetes: The SCALE diabetes randomized clinical trial. JAMA, 314(7), 687–699. https://doi.org/10.1001/jama.2015.9676
Klonoff, D. C., Berard, L., Franco, D. R., Gentile, S., Gomez, O. V., Hussein, Z., Jain, A. B., Kalra, S., Anhalt, H., Mader, J. K., Miller, E., O’Meara, M. A., Robins, M., Strollo, F., Watada, H., & Heinemann, L. (2025). Advance insulin injection technique and education with FITTER forward expert recommendations. Mayo Clinic Proceedings, 100(4), 682–699. https://doi.org/10.1016/j.mayocp.2025.01.004
Frid, A. H., Hirsch, L. J., Menchior, A. R., Morel, D. R., & Strauss, K. W. (2016). Worldwide injection technique questionnaire study: Population parameters and injection practices. Mayo Clinic Proceedings, 91(9), 1212–1223. https://doi.org/10.1016/j.mayocp.2016.06.011
Frid, A. H., Hirsch, L. J., Menchior, A. R., Morel, D. R., & Strauss, K. W. (2016). Worldwide injection technique questionnaire study: Injecting complications and the role of the professional. Mayo Clinic Proceedings, 91(9), 1224–1230. https://doi.org/10.1016/j.mayocp.2016.06.012