
サクセンダ(リラグルチド3.0mg)の保管は、封を切っていないペンと、使い始めたペンとで扱いが分かれます。同じ薬でありながら、開封の前と後では置き場所も期限の数え方も別の決まりへ切り替わるためです。
未使用のうちは冷蔵庫で預かり、凍らせないという一点だけは何があっても外さないのが要になります。使い始めた後は、決められた期間内に使い切りながら、光と針から薬を守る保管へ移っていきます。
夏の持ち歩きや帰省での移動、あるいは停電のように、家の冷蔵庫から薬が離れる場面も出てきます。温度や期間の数値は添付文書の記載が正なので、数値ではなく確かめ方の手順を整理しました。
サクセンダの保管は開封前と開封後で別のルールになる
決まりが切り替わる境目は、ペンを初めて使った日にあります。それより前は冷蔵庫で静かに眠らせておき、使い始めた後は開始日から期限を数えながら使う形へ移ります。
| ペンの状態 | 置き場所 | 期限のとらえ方 |
|---|---|---|
| まだ使っていない | 冷蔵庫の冷蔵室 | 外箱に印刷された使用期限 |
| 使い始めた後 | 添付文書が認める範囲 | 使用開始日から数えた期間 |
| 凍った疑いがある | 使わずに取り置く | 薬剤師の判断を待つ |
未使用のペンは冷蔵庫で預かる
封を切る前のサクセンダは、冷蔵室の中でも温度が動きにくい場所に置き、次に使う日まで静かに預けておきます。主成分のリラグルチドはペプチドで、熱にも凍結にも弱く、置き場所ひとつで状態が変わりうるためです。
外箱から出さずにそのまま入れておけば、光を避けられるうえ、どれがまだ使っていないペンなのかも一目で分かります。家族と共用の冷蔵庫であれば、食品と混ざらない位置をあらかじめ決めておくと、探す場面でも迷いません。
使い始めた日から期限を数える
使用を開始したペンには、開始日を起点とした使える期間が決められており、その期間を過ぎたら薬が残っていても使いません。開始した日付を外箱の余白に書き留めておけば、後になって記憶をたどる手間もかかりません。
未開封のペンに印刷された使用期限とは数え方そのものが違うため、二つの日付を混同しないように分けて管理します。開始日が分からなくなったペンについては、薬剤師に相談してから扱いを決めるほうが安心でしょう。
数値は添付文書と薬剤師の指示が正
保管温度も使用開始後に使える期間も、製品の添付文書に数字で書かれており、その記載こそが唯一の基準になります。ウェブ上で見かけた情報や他の注射薬の数値をあてはめると、手元の指示とずれてしまう場合があります。
処方を受けた医療機関や薬局から受けた説明が、いま手元にある製品にもっとも近い案内になります。疑問が残ったときは、記憶をたどって判断せずに問い合わせるほうが確実といえます。
未開封のサクセンダを冷蔵庫のどこに保管するか
同じ冷蔵室の中でも、扉のそばと奥、上の段と下の段では温度がそろいません。狙いたいのは冷えすぎず、扉の開け閉めの影響も受けにくい中ほどの位置です。
冷気の吹き出し口の正面は下がりすぎる
冷蔵室の奥にある吹き出し口の正面は、庫内でもっとも冷える帯にあたり、表示された設定より低い温度になりやすい場所です。うっかり置いてしまうと、扉を閉めているあいだに氷点下へ近づく場合もあります。
壁にぴたりと寄せた奥の位置についても、冷却板の裏側にあたるため、思っている以上に冷えてしまいます。棚の手前へ数センチ離して置くだけでも、ペンに直接当たる冷気はずいぶん和らぎ、温度の落ち込みも小さくなります。
チルド室と製氷室のそばを外す
チルド室は食品を凍る手前の温度で保つための区画で、冷蔵室よりもさらに低い温度を保っています。凍結を避けたい注射薬をしまう場所としては向いておらず、たとえ空いていても使わないほうが安全です。
製氷室や冷凍室と接する壁ぎわについても、同じ理由から置き場所の候補として外しておくほうが無難でしょう。庫内に温度計を1つ入れておけば、思い込みではなく数字を見ながら置き場所を選べます。
家庭の冷蔵庫は場所によって温度が違う
同じく冷蔵で扱うインスリンでは、家庭用の冷蔵庫に置いた薬が推奨の温度域を外れていた時間が無視できない、という調査報告があります。高いほうへ外れるだけでなく低温側へ振れていた例もあり、冷蔵庫の中なら安心とは言い切れません。
関節リウマチなどで使う注射薬を調べた報告でも、冷凍室の下の棚や奥の壁ぎわに置いた人ほど温度の逸脱が多く見つかっています。他剤の結果をそのまま当てはめはしませんが、家庭にある冷蔵庫という機械の癖を知る手がかりにはなります。
医療機関で使う業務用の冷蔵庫でさえ、庫内の表示と実際の温度がずれる場面を報告した検討があります。家庭にある一台であればなおさら、表示の数字だけを信じない構えが役に立ちます。
置き場所を家族と共有しておく
冷蔵庫は家族の誰もが開ける場所なので、掃除や買い出しの拍子にペンの位置が動いてしまいがちです。定位置を決めて一言伝えておけば、奥へ押し込まれて冷えすぎる場面を減らせます。
小型の冷蔵庫や宿の備え付けは、庫内が狭く冷凍室との距離も近いため、温度が振れやすい傾向があります。帰省先で借りる場合は、ペンを置く前に、庫内のどこが冷えすぎるのかを確かめておくと安心です。
- 冷気の吹き出し口の正面
- 製氷室や冷凍室と接する壁ぎわ
- チルド室と、そのすぐ下の棚
- 開け閉めで温度が動く扉のポケット
並べた四つに共通するのは、冷えすぎるか、扉の開け閉めで温度が振れるかのどちらかという点です。これらを避けた残り、つまり冷蔵室の中ほどが、未開封のペンを置く候補になります。
サクセンダを凍らせない保管と、凍った疑いがあるときの扱い
冷やせば冷やすほど良い、という薬ではありません。凍ったサクセンダは、見た目が元どおりに戻っていても使わないのが原則で、迷うなら薬剤師へ回すのが安全側の判断です。
凍結でペプチドの立体構造が変わる
リラグルチドのようなペプチドは、決まった立体の形を保っていて初めて本来の働きをする分子です。凍結や強い加熱によってその形が崩れてしまうと、溶け直しても元の並びには戻りません。
同じく冷蔵で扱うヒトインスリンでは、温度を外れた保管が品質へ与える影響を系統的に調べた総説があり、熱に対する弱さを整理しています。射程の違う薬ではあるものの、低温側と高温側の両方に気を配る理由は共通します。
凍ってしまった薬では、細かな粒が集まって濁ったり、細い針を通りにくくなったりする場合もあります。目に見える変化のほうがむしろ少ないため、外見だけを頼りに使い続けるのは避けたいところです。
見た目の手がかりと、外見では分からない変化
注射の前にペンの窓から中身を眺めて、濁りや粒、色の変化が出ていないかを毎回確かめておきます。透明で澄んでいるかどうかであれば、医療者でなくとも判断しやすいのではないでしょうか。
| 中身の様子 | 考えられる背景 | とる行動 |
|---|---|---|
| 白く濁っている | 凍結や成分の集まり | 使わずに相談する |
| 細かな粒が浮く | たんぱく質の変性 | 使わずに相談する |
| 透明に見える | 変化なし、または微細な変化 | 保管の履歴を振り返る |
透明に見えたからといって安心とは限らないため、冷蔵庫の設定を変えた日や停電の記憶とあわせて振り返ります。見た目と保管の履歴、この二つがそろって初めて判断の材料になります。
一度凍ったペンは戻して使わない
うっかり冷凍室へ入れてしまったペンは、解けて透明に戻ったように見えたとしても、やはり使いません。いちど崩れてしまった立体構造は、温度がもとの範囲へ戻ったところで自然に復元することはないためです。
もったいなく感じる場面ですが、必要な量が入っているのか分からない薬を打つほうが困ります。処方元へ状況を伝え、次の受診や再処方の相談につなげるほうが、結果として近道でしょう。
使用中のサクセンダは針を外して保管する
使い終わったら針をその場で外し、キャップを付けてから置きます。付けたままにすると、薬液が漏れる、空気が入る、外気と中身がつながる、という三つが同時に起こりえます。
| 針を付けたまま | 起きうる変化 | 避け方 |
|---|---|---|
| 針先が下を向く | 薬液がにじみ出る | 使用後すぐ外す |
| 温度が上下する | 空気が入り込む | 外してキャップを戻す |
| 通り道が開いたまま | 外気や汚れが触れる | 毎回新しい針にする |
薬液が漏れて残る量が変わる
針を付けたまま置くと、ペンの内部と外の温度差や気圧の差によって、針先から薬液がにじみ出る場合があります。ごく少量でも積み重なれば、ペンに残る量が見た目と合わなくなるかもしれません。
漏れは机や保冷バッグの内側に小さなしみを作る程度で、たいていは気づかないまま進んでいきます。使用後すぐ針を外す習慣さえあれば、この漏れはそもそも起こりません。
空気が入り込むと次の一回に響く
薬液が外へ出ていった分だけ、針の細い通り道からカートリッジの中へ空気が入り込みます。空気を含んだ状態では、押し出される液の量が思ったとおりにならない場合があります。
注射器のたぐいで空気の混入を嫌うのは、押し出される量の正確さが崩れてしまうからです。針を外して閉じておけば、余計な空気の出入りはそもそも起こりにくくなります。
針の内側は外の空気とつながる
針を付けたままにしているペンは、細い管を通して中身と外の環境がつながったままの状態です。ほこりや水分、皮膚に触れた汚れが、その通り道の入り口に残ってしまいます。
針の使い回しについては、感染がはっきり増えるとまでは言えない、とする系統的な検討も出ています。ただし痛みや空気の混入、皮下のしこりとの関連を指摘する報告もあり、毎回新しい針を使う理由は残ります。
米国で行われた調査では、便利さや習慣を理由に針を使い回している人が少なくないと分かっています。保管のたびに外して捨てる流れにしておけば、そもそも迷う場面が減っていくでしょう。
外した針を薬と同じ場所に置かない
外した針は、ふた付きの固い容器へその場で入れてしまい、ペンや外箱と同じ袋には戻さないようにします。使用済みかどうかが混ざってしまうと、次に手を伸ばしたときの判断が鈍ります。
容器を置く場所についても、子どもの手が届かない高さにあらかじめ決めておくと安心でしょう。捨て方は自治体や医療機関によって案内が異なるため、処方元の説明に合わせます。
光と衝撃からサクセンダを守る保管の工夫
キャップと外箱、この二つがそろえば光への備えはおおむね足ります。加えて、落としてしまった後のペンをそのまま使わない構えを持っておくと安心です。
キャップを戻して光を避ける
ペンのキャップは、針を挿す部分を覆うだけでなく、中の薬液に当たる光をさえぎる役目も担っています。窓辺や照明の下に裸のまま置いていると、光を浴びる時間が静かに積み上がります。
使い終わったらキャップを戻す、というひと動作を挟むだけで、光と汚れの両方をまとめて遠ざけられます。何度か繰り返しているうちに、特に意識しなくても手が先に動くようになり、戻し忘れも減っていきます。
外箱に戻すと迷いが減る
外箱には製品名や使用期限が印刷されており、戻しておけば必要な情報がいつでも手元にそろいます。箱ごとしまう保管のやり方は、光を避ける手段としてもそのまま働きます。
使用を開始した日付を外箱の余白に書き添えておけば、あとから期限を数え直すときにも困りません。家族が見ても中身が分かるため、食品と間違えて動かされる場面も減っていきます。
落とした後のペンをどう扱うか
硬い床へ落としてしまったペンは、外側に傷が見えなくても内部のカートリッジが欠けている場合があります。次に押したときに薬液が漏れる、あるいはまったく出ないという不具合につながりかねません。
- 外側のひびや変形
- 窓から見える液の濁りや粒
- 針を付ける部分のゆがみ
- 落とした日時と落ちた高さ
落下のあとに確かめた内容を書き控えておけば、薬剤師へ相談したときに話がずいぶん早く進みます。判断がつかないペンは、いったん脇へ置いたうえで処方元へ連絡するほうが確実です。
夏の持ち歩きや停電でサクセンダを保管するときの備え
家の冷蔵庫から離れる時間が短く済むなら、保冷バッグと直射日光を避ける工夫でしのげます。長引くときや温度の見当がまったくつかないときは、使う前に薬剤師へ相談するのが順序です。
保冷剤に直接触れさせない
保冷バッグに凍った保冷剤とペンを一緒に入れてしまうと、保冷剤に接した面だけが氷点下まで下がります。保冷剤とペンのあいだにはタオルや緩衝材を1枚挟み、両者が直接触れ合わない配置にしておきます。
保冷剤は冷やしすぎてしまう道具でもあるので、入れる量とペンとの距離の両方で加減していきます。夏場の車内や直射日光の当たる場所へ置き去りにしない点も、同じくらい大切です。
移動中は手荷物に入れて温度差を避ける
旅行や帰省でペンを運ぶときは、預け入れの荷物ではなく、手元に置く荷物へ入れておきます。貨物室は温度が下がる場合があり、凍結を避けたい薬とは相性がよくありません。
航空機での糖尿病治療について整理した総説でも、注射薬を客室内で管理するという扱いが共通して並んでいます。処方の内容が分かる書類を一緒に持っておくと、手続きの場面でも説明が楽になります。
暑い地域では、素焼きの容器や濡れた布を使って温度を下げる工夫を検討した研究もあります。冷蔵庫のない環境であっても、直射日光と高温を避けるという発想は変わりません。
停電のときは扉を開けない
停電に気づいたときは、あわてて中身を確かめようとせず、まず扉を開けないまま待つのが基本になります。閉めたままであれば庫内の温度はゆっくりとしか上がらず、短い停電なら大きくは外れません。
復旧の見込みがまるで立たない場合には、いったん保冷バッグや保冷箱へ移すという判断もあります。移した時刻と、そのときの庫内の様子を書き留めておけば、後の相談で役に立ちます。
業務用の設備であっても、停電のあとに庫内の温度がもとへ戻るまで時間がかかると報告されています。家庭にある冷蔵庫であればなおさらで、扉を開け閉めした回数がそのまま庫内の温度へ響いてきます。
常温に置いてしまったときは自己判断で続けない
冷蔵庫へ戻し忘れて一晩たった、車内に置いたまま数時間が過ぎた、といった場面は誰にでも起こります。そのときに自分だけで可否を決めてしまわないのが、いちばん安全な進め方です。
相談のときに伝える材料は、あらかじめ決まっています。置かれていた時間、その場所のおおよその温度、直射日光や凍結の心当たり、そして中身の見た目の四つです。
薬局や処方元では、製品の添付文書の条件と照らし合わせながら、そのペンを使えるかどうかを判断します。使えないと分かった場合の再処方や次の受診についても、そのまま同じ場でまとめて相談できるはずです。
同じく冷蔵で扱うインスリンの調査では、保管の温度域を正しく答えられた人が半数程度にとどまりました。分からないまま使い続けるより、確認の一手間を挟むほうが結局は早いでしょう。
| 場面 | 避けたい扱い | 用意しておくもの |
|---|---|---|
| 夏の外出 | 車内や直射日光への放置 | 保冷バッグと緩衝材 |
| 旅行や帰省 | 預け荷物へ入れる | 手荷物と処方が分かる書類 |
| 停電 | 扉の開け閉め | 時刻の記録と相談先の連絡先 |
三つの場面に共通しているのは、温度が振れたという事実をその場で記録に残しておく点にあります。記録さえ残っていれば、相談を受けた薬剤師の側も、そのときの状況を正確につかみやすくなります。
よくある質問
サクセンダは冷凍庫で保管してもよいですか?
冷凍庫での保管は想定していません。凍結によってリラグルチドの立体構造が変わってしまうと、溶け直したところで元には戻らないためです。
誤って凍らせてしまったペンは、見た目が透明に戻っていても使わずに取り置き、処方元や薬局へ状況を伝えます。保管温度の具体的な数値については、製品の添付文書と薬剤師からの指示に従うのが確実です。
サクセンダは使い始めた後も冷蔵庫で保管する必要がありますか?
使用を始めた後の置き場所は製品ごとに条件が決まっており、冷蔵と室温のどちらを選べるかは添付文書に書いてあります。そのため、いま手元にある製品について、添付文書の記載を確かめるところから始めるのが順序になります。
どちらを選ぶ場合であっても、直射日光と高温、そして凍結を避けるという点は変わりません。開始日から数えた期間を過ぎたら、薬が残っていても使わずに処分の方法を相談します。
サクセンダに針を付けたまま保管してしまったときはどうすればよいですか?
気づいた時点でまず針を外したうえで、ペンの窓から中身に濁りや細かな粒が出ていないかを確かめます。付けたままの時間が短ければ、薬液のにじみと空気の混入が主な心配になります。
見た目に変化がある場合や、長い時間そのままだった場合には、使う前に薬剤師へ相談します。次からは使用後すぐに外し、キャップを戻すという流れにしておくと繰り返しません。
サクセンダを持ち歩くときに保冷バッグは要りますか?
気温の高い時期や移動の長い日には、保冷バッグを用意しておくと温度の振れを抑えられます。ただし凍った保冷剤へペンを直接触れさせないという置き方だけは、必ず守るようにします。
移動が短い時間で済むのであれば、直射日光と夏場の車内の高温を避けるだけでも差が出ます。移動の条件は人によって違うため、心配な場合は処方元へ確かめておくと安心でしょう。
サクセンダを保管していた冷蔵庫が停電で止まったときはどうすればよいですか?
まずは扉を開けないまま待ち、復旧までにかかった時間と庫内の様子を書き留めておきます。閉じたままであれば温度の上がり方はゆるやかで、短い停電なら大きくは外れません。
停電が長引いてしまった場合には、書き留めた内容を持って薬局や処方元へ相談します。自己判断で使い続けず、可否の判断を医療者へ委ねるのが安全側の進め方です。
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