トルリシティのジェネリック(後発品)はある?安価な代替薬を調べる

トルリシティのジェネリック(後発品)はある?安価な代替薬を調べる

トルリシティには現在、ジェネリックとして選べる後発品がありません。薬価基準の一覧に載っている同じ成分の薬は、先発品の2規格です。

トルリシティは生きた細胞を使って作るバイオ医薬品で、後から作られる薬には一般的なジェネリックとは異なる確かめ方が必要です。薬局で支払いを済ませるたびに「飲み薬のように、安い薬へ替えられたら」と感じるなら、薬そのものの種類と、診察を含めた支払いを分けて整理すると相談しやすいでしょう。

この記事では、トルリシティの後発品の有無、バイオ後続品の仕組み、薬の変更と費用について相談するときの確認点を解説します。

トルリシティは先発品の2規格が選択肢

トルリシティは0.75mgと1.5mgの2規格があり、どちらも「後発医薬品がない先発医薬品」に分類されています。同じ成分の安い後発品へ交換する選択肢は、薬価基準の一覧にはありません。

成分名はデュラグルチド

トルリシティは製品名で、有効成分の名前はデュラグルチドです。薬の説明書に「デュラグルチド(遺伝子組換え)」と書かれていても、それはトルリシティと別に用意された安価な製品の名前ではなく、中に入っている成分を表しています。

承認された効能は2型糖尿病で、通常は0.75mgを週1回使い、病状に応じて1.5mgへ増量されます。2つの規格は、同じ先発品に入っている成分の量の違いです。

薬価と3割負担の目安

薬価は保険診療で薬の費用を計算するときの公定の値段です。トルリシティ1キットの薬価は規格によって2,699〜5,435円で、3割負担での薬そのものの支払いは約810〜1,630円が目安です。

規格と一覧での区分1キットの薬価1キットの3割負担の目安
0.75mg・後発医薬品がない先発品2,699円約810円
1.5mg・後発医薬品がない先発品5,435円約1,630円

この金額は1回分の薬だけの目安で、窓口では診察、検査、薬局で薬を用意して説明する費用も加わります。0.75mgを4週ごとに受診して院外の薬局で4キット受け取る例では、3割負担の合計は、検査のない場合から血糖の長期的な状態をみるHbA1cの検査がある場合までで約6,130〜6,780円です。

この例には再診、自己注射の指導と管理、処方箋の発行、薬局での基本的な調剤・説明の費用を含み、ほかの薬や追加の検査は含みません。薬局の基本的な費用が調剤基本料1、服薬についての説明の費用が45点となる例であり、点数は医療費を計算する単位です。

金額は改定で変わるため、受診先や薬局の明細書で薬の名前、本数、負担割合の欄を確かめましょう。

海外の開発情報と国内の処方は分けて読む

海外では、同じ分類に属する一部の薬で後続品の開発が進んでいます。開発の話題になるリラグルチドやセマグルチドは、それぞれデュラグルチドとは異なる成分です。

海外で開発中という情報だけでは、日本で処方を受けられることや、トルリシティの後続品が発売される時期までは判断できません。治療を続ける予定は、今処方されている薬と国内で実際に使える選択肢をもとに組み立てましょう。

バイオ後続品はジェネリックと確かめ方が違う

バイオ後続品は、元のバイオ医薬品とよく似ていて、効き目や安全性に治療上意味のある差がないと確認された薬です。一般的な飲み薬のジェネリックとは、成分の作り方と同等性の確かめ方が異なります。

生きた細胞で作る薬には細かな違いが生じる

バイオ医薬品は、生きた細胞の働きを利用して作る薬です。トルリシティの成分名に付く「遺伝子組換え」は、成分を作るために細胞へ遺伝子の情報を組み込む技術を使っていることを示します。

こうした薬は構造が複雑で、製造の条件によって細かな違いが生じるため、後から同じ成分を目指して作っても、すべてが完全に同一とはいえません。そのため、後続品では似ている程度だけでなく、その違いが効き目や安全性に影響するかを確かめます。

呼び名よりも同等性の確認方法に注目

「バイオシミラー」はバイオ後続品と同じ意味です。一般的なジェネリックでは有効成分や規格が同じで、治療上同等であることを確かめ、バイオ後続品では構造や働きの比較を積み重ねて評価します。

比べる点一般的な飲み薬のジェネリックバイオ医薬品の後続品
作り方化学的に作る同じ有効成分を使用生きた細胞を利用し、元の薬とよく似た成分を製造
確かめ方成分や規格の同一性、治療上の同等性を確認構造や働きを比較し、効き目と安全性に意味のある差がないかを確認
呼び名後発医薬品、ジェネリックバイオ後続品、バイオシミラー

この区別は「注射か飲み薬か」だけで決まるものではなく、元の薬の成分と製造方法に関係します。トルリシティに後から続く薬を調べる場合には、「ジェネリック」に加えて「バイオ後続品」という呼び名も関わります。

細かな違いと品質の優劣を分けて捉える

バイオ後続品の評価で問われるのは、細かな違いが治療に影響するかどうかです。「まったく同じではない」と聞いたときも、その言葉だけで効き目が弱い、安全性が低いとは判断できません。

構造や働きの比較から効き目と安全性までを段階的に確かめる仕組みが、品質を判断する土台です。価格と品質を結び付けて判断する前に、後続品としてどのように評価された薬なのかを分けて捉えると整理しやすくなります。

後続品の登場で支払いが下がる幅は制度次第

後続品は治療費を下げる選択肢になり得ます。本人の支払いがどれだけ変わるかは、薬の値段に加え、保険の仕組みや実際に必要な治療内容で決まります。

インスリンでは価格と自己負担が一致しない例も

インスリンは血糖を下げるホルモンで、治療に使う製剤にもバイオ医薬品の後続品があります。先行する薬に続く製品が選べるようになる点は、後続品という仕組みを把握する例です。

米国の保険制度のもとで長く作用するインスリンを使う人を調べた研究では、後続品が広まっても、本人の自己負担が元の薬より低くなったという結果は得られませんでした1)。

支払いには、製品の値段以外にも保険や流通の仕組みが関わります。日本でのトルリシティの費用は、国内の薬価と本人の負担割合を使って確認しましょう。

薬の値段と窓口の合計を分ける

後続品が選べる治療で支払いを比べるときは、薬そのものの費用、本人の負担、変更後の治療内容という3つを分けます。薬の価格差をそのまま窓口の支払いの差と受け取ると、実際の負担を見誤りやすくなります。

比べるもの変わり得る内容判断に使う情報
薬の値段元の薬と後続品の価格差同じ治療期間に必要な量
本人の支払い負担割合や制度を反映した額明細書の負担割合と支払額
薬の選び方使える製品や注入器の選択病状と変更後の使い方

比較の期間をそろえることも大切です。受け取る薬の本数が違えば、1回の会計が高くても長い期間の薬を受け取っている可能性があり、領収書の合計だけでは薬の値段の差を読み取れません。

発売を待つより今の治療費で予定を立てる

費用の見通しには、現在の処方を続けるために必要な額を使います。後続品が出る時期や値下がり幅を前提にすると、次の受診や薬の受け取りに必要な支払いと予定がずれてしまいます。

支払いが負担になっている場合は、次回の受診で、今の薬を続ける場合と治療を見直す場合に何が変わるかを主治医に相談しましょう。

トルリシティから別の薬へ替える判断は病状に合わせる

同じ分類の薬へ替える場合も、主治医が血糖の状態、併せ持つ病気、副作用、生活上の事情を合わせて判断します。別成分の薬への変更は、トルリシティを同じ成分の後発品へ交換することとは異なる治療の変更です。

同じ分類にある薬の名前

トルリシティはGLP-1受容体作動薬という、血糖の調節に関わるGLP-1の働きを利用する薬の仲間です。同じ分類の注射薬には、次の製品名と成分名があります。

  • トルリシティ … 成分名はデュラグルチド
  • ビクトーザ … 成分名はリラグルチド
  • オゼンピック … 成分名はセマグルチド
  • 変更を検討するときの質問 … 血糖への影響、使い方の違い、次の診察で確かめる内容

分類が同じでも成分が違うため、自分が使える薬かどうかは病状に合わせて判断されます。

変更できるかは血糖と併せ持つ病気で決まる

別の薬が候補になるかどうかは、現在の血糖がどこまで下がっているかや、心臓・腎臓の病気の有無などで変わります。判断の中心は、病状に合う治療と続けやすさです。費用を減らしたいという希望も、その判断に含める情報です。

たとえば、血糖が安定している人と、今の処方でも十分に下がっていない人では、変更に求める条件が異なります。吐き気などで治療を続けにくい人では、その症状を含めて薬の選択を見直す必要があります。

薬を変更する日は処方の指示に従う

トルリシティは週1回使う持続性の薬で、中止後も作用が続くため、別の薬を始める日と量は処方の指示に従います。価格だけを見て手持ちの薬をやめたり、別の注射薬を追加したりすると、血糖の変動や副作用に影響します。

変更の話が出た受診では、最後にトルリシティを打った日と残っている本数を伝え、次に使う薬の開始日と量を主治医に確かめましょう。

安さへの期待と品質への不安を分けて整理する

安い薬を選びたい気持ちと、効き目や安全性への不安は、別々の確認点として整理できます。価格は支払いを、品質は薬としての評価を、使いやすさは日々の操作を確認する問題です。

品質は価格と分けて薬の評価で判断する

後続品は、元の薬に近い品質と働きを確かめる仕組みのもとで評価されます。値段が下がることへの期待と、薬として何が確認されているかは、分けて説明を受けると判断しやすいでしょう。

同じ成分に続く薬なのか、成分そのものを変えるのかによっても、比較する内容は変わります。トルリシティから別成分の製品へ替える話であれば、後続品の同等性の説明だけで済ませず、その薬が自分の病状に合うかまで確かめましょう。

効き目の不安と操作の不安を言葉にする

薬への不安には、血糖が保てるかという不安と、注射を自分で扱えるかという不安があります。説明を聞く際にどちらが気になるかを伝えると、必要な情報が具体的になります。

  • 薬の関係 … 同じ成分の後続品か、別成分の薬への変更か
  • 効き目 … 変更後に血糖を確かめる時期と方法
  • 安全性 … 注意する症状と、症状が出たときの連絡先
  • 使い方 … 注射の頻度や注入器の操作に違いがあるか

自分で操作できるかが気になる場合は、値段の比較を終える前に、使い方の説明を受ける時間が必要です。

替えた後も体調と検査で確かめる

薬を替えた後の評価では、支払額だけでなく、血糖の経過と体調の変化をみます。検査の予定が決まっていれば、どの時点で効き目を確かめるかが分かり、体感だけで判断せずに済みます。

不安が残るときは、受診や薬を受け取る場で「効き目」「症状」「操作」のうち気になる点を1つずつ主治医や薬剤師に伝えましょう。

トルリシティの費用は明細書を持って相談する

後発品が選べなくても、費用の相談では、通院の間隔、用量、検査の時期、使える制度を検討できます。変更できる内容は血糖の安定度や必要な治療によって異なり、相談すれば必ず処方を減らせるという意味ではありません。

明細書の薬名・本数・負担割合が出発点

費用の内訳は、医療機関と薬局でもらう診療明細書・調剤明細書で整理しましょう。「薬剤料」は薬そのものの費用で、処方された薬の名前と本数を合わせて見ると、何回分の薬に対する支払いかが分かります。

自分の負担割合は、医療機関や薬局の領収書にある「負担割合」欄、または資格確認書の負担割合の記載で確かめられます。記載を見つけられないときは受付で本人の登録内容を尋ねると、3割負担の例を自分に当てはめてよいかが分かるでしょう。

相談先ごとに変えられる内容が異なる

処方や受診予定の相談は主治医へ、薬の費用と使い方は薬剤師へ伝えると、確認すべき内容を整理できます。制度の対象になるかどうかは、加入している健康保険や税務署の窓口で判断に必要な情報を確認します。

相談先相談する内容手元に用意するもの
主治医病状に応じた通院間隔、用量、検査時期診療明細書、薬の残り本数のメモ
薬剤師薬剤料の内訳、処方内容、変更後の使い方調剤明細書、お薬手帳
加入している健康保険支払いが上限額を超えた場合の高額療養費医療機関と薬局の領収書
税務署医療費に応じた所得控除の対象になるか年間の領収書、医療費通知

健康保険の給付と、税の計算に用いる医療費控除では、負担を軽くする仕組みが異なります。薬価が下がる制度ではないため、処方する薬の相談と並行して、自分が利用できる制度を確かめておくと安心です。

支払いで迷った段階なら薬が切れる前に伝える

米国で糖尿病治療の費用負担による薬の中断への対策を集めた研究のまとめでは、費用負担を軽くする仕組みと治療管理の支援を組み合わせる取り組みは、薬を続けやすくする方向でした2)。費用は、治療を続けるために診察で扱う情報の1つです。

薬局の会計後に次の支払いが心配になったなら、領収書と明細書を一緒に残しておくと、次の受診で負担になった額を示せます。「薬は続けたいが、この支払いが続くと受診をためらう」と伝えれば、病状に合う通院予定や制度について話を始められます。

次の受診までの支払いが難しく、薬が切れそうなときは、自己判断で注射の間隔を延ばさず、処方元へ連絡してください。

よくある質問

デュラグルチドという名前の薬はジェネリックですか?

デュラグルチドはトルリシティの有効成分の名前です。薬の説明書では、製品名と、その中に入っている成分の名前を併記することがあります。

バイオシミラーとバイオ後続品は違う薬ですか?

どちらも同じ意味の呼び名です。元のバイオ医薬品とよく似ていて、効き目や安全性に治療上意味のある差がないと確認された薬を指します。

安い薬への変更を希望するときは誰に伝えますか?

処方を決める主治医に、費用を理由に変更を希望していると伝えます。薬の名前だけを指定するより、現在の支払額と続けるうえで困っている点を示すと、病状に合う選択肢を検討しやすくなります。

次の受診には医療機関と薬局の明細書を持参し、変更の余地があるかを相談しましょう。薬剤師には、薬そのものの費用が明細書のどの部分かを尋ねられます。

薬を替えると注入器の使い方も変わりますか?

注入器や操作は製品ごとに異なるため、変更後の薬について説明を受ける必要があります。同じ分類の薬であっても、今までの操作をそのまま当てはめることはできません。

新しい薬を初めて使う前に、添付の取扱説明書と医療機関での指導で操作を確かめましょう。自分でできるか不安な動作があれば、薬を受け取る際にも薬剤師へ伝えられます。

費用のために注射の間隔を延ばすとどうなりますか?

処方された間隔から外れると、予定どおりの血糖管理ができなくなるおそれがあります。トルリシティは週1回、同じ曜日に使う薬で、費用に合わせて自分で回数を調整する使い方は避ける必要があります。

支払いが難しいと分かった時点で、薬が切れる前に処方元へ連絡してください。すでに何週間も空いている場合は、最後に打った日を伝え、再開の指示を受けてから使用します。

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この記事を書いた人 Wrote this article

大木 沙織 大木皮ふ科クリニック 副院長

皮膚科医/内科専門医/公認心理師 略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。 所属:日本内科学会