トルリシティは医療費控除の対象?確定申告で還付を受ける条件と書き方

トルリシティは医療費控除の対象?確定申告で還付を受ける条件と書き方

2型糖尿病の治療として処方されたトルリシティの診察代・薬代は、医療費控除の対象です。毎回の支払いが数千円でも、1年分の通院費や家族の医療費を合わせると、控除を受けられる額に達することがあります。

ただし、控除額と実際に還付される税金の額は別のものです。還付額は、所得や税率などによって変わります。

この記事では、トルリシティの医療費控除の条件、年間費用の目安、確定申告に向けた書類のそろえ方と書き方を解説します。

目次 Outline

トルリシティの診察代・薬代は医療費控除の対象

2型糖尿病の治療に必要な診察代・薬代に加え、通常必要な通院費も対象に含められます。支払った目的と内容で判断するため、領収書は医療機関分と薬局分の両方を残しましょう。

対象になるのは治療のために支払った費用

トルリシティは、デュラグルチドを成分とする2型糖尿病の治療薬です。国税の制度を案内する国税庁では、診療や治療の対価、治療や療養に必要な薬の購入費を医療費控除の対象としています。

支払ったもの控除での扱い整理する際の要点
治療の診察代・検査代対象治療に必要な支払いを集計
処方されたトルリシティの薬代対象薬局で支払った分も保管
通常必要な通院費対象交通手段と利用区間を記録
病気の予防や健康増進のための薬対象外治療目的の薬と分ける

対象になる医療費は、病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分です。薬の名称だけを拾うより、診察から薬の受け取りまでに実際に払った治療費を整理すると、申告する金額をまとめやすくなります。

集計するのは実際に支払った年の分

医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに実際に支払った医療費で計算します。診察を受けた日と支払った日が違うときは、領収書の支払日が年内かどうかで振り分けます。

年末に受診し、支払いが翌年になった医療費は、翌年分の対象です。注射を打った回数から薬代を推定するより、窓口で支払った記録を使うほうが、年をまたいだ処方でも集計の根拠が残ります。

自費で支払った分は治療目的を確かめる

控除の判定では、何のために診察や処方を受けたかが判断材料です。領収書に薬の名前があっても、それだけで支払いの目的まで分かるとは限りません。

治療以外の目的で自費で使った費用については、受診の目的と支払いの内容が分かる書類をそろえ、申告前に税務署へ確かめましょう。薬代と一緒に払った費用も、内容を分けて説明できると相談が進みます。

控除額は年間医療費から補てん額と基準額を引く

医療費控除の金額は、年間に支払った対象医療費から保険金などの補てん額と10万円を引いて求め、最高200万円です。総所得金額等が200万円未満なら、10万円の代わりに総所得金額等の5%を引きます。

支払額・補てん額・差し引く額の順に整理

計算の出発点は、医療機関や薬局などに自分が実際に支払った金額です。明細に示された医療費の総額には健康保険が負担した分も含まれるため、領収書の支払額と区別して集計します。

計算に使う項目入れる金額書類で見るところ
実際に支払った医療費年内に払った対象医療費の合計領収書の支払日と支払額
差し引く補てん額保険金などで補われる金額給付の通知にある金額と対象費用
さらに差し引く基準額10万円、または総所得金額等の5%その年の総所得金額等

計算前に、領収書の合計額と、保険金などで補われる金額をそろえます。控除額の計算式は「対象医療費の合計額-補てんされる金額-基準額」です。領収書の合計だけで控除額を決めると、補てん額が反映されず、申告する額にずれが生じます。

10万円未満でも所得によって対象になる

総所得金額等が200万円未満の人は、補てん後の医療費が総所得金額等の5%を超えるかで判断します。「総所得金額等」は税の計算に使う所得の金額で、給与の額面年収や毎月の手取りとは区別する用語です。

退職や働き方の変更があった年も、その年の所得に沿って基準額を決めます。医療費が10万円に届かなかった段階で領収書を処分せず、申告に使う所得の金額と合わせて判断する必要があります。

還付額は控除額と所得税の計算で決まる

医療費控除は、税金を計算するもとになる所得から一定額を差し引く制度です。実際に還付を受けられるか、どの程度になるかは、所得や税率、すでに納めた所得税などによって変わります。

控除額をそのまま家計に戻る金額として予算に入れると、治療費の見通しがずれるおそれがあります。還付額の確認には、年間医療費の集計に加えて所得と納税額の情報が必要なため、判断に迷う部分は税務署で確かめましょう。

トルリシティの年間負担は家族分も合わせて見る

4週ごとの受診を13回続けた目安では、0.75mg・3割負担は年間79,690円、1.5mg・3割負担は122,460円です。検査やほかの治療費が加わるため、申告では家族分を含めた実際の支払額で判断します。

52週続けた場合の自己負担の目安

以下は、4週ごとに受診し、院外の薬局で4週分を受け取る前提で、診察と自己注射の指導、処方箋の発行、薬局の費用を含めた年間の目安です。検査、初診、ほかの薬、交通費は含めていません。

薬局の受付にかかる基本料金は「調剤基本料1」という料金区分、服薬の説明や管理にかかる費用は所定の条件を満たす場合として計算しています。医療機関や薬局ごとの料金項目、実際の受診回数によって支払額が変わるため、申告には領収書の額を使います。

週1回の用量・負担割合52週の自己負担の目安集計時の扱い
0.75mg・3割79,690円検査や家族分などを加えて判断
0.75mg・2割53,300円同上
0.75mg・1割26,650円同上
1.5mg・3割122,460円補てん額も差し引いて判断
1.5mg・2割81,640円検査や家族分などを加えて判断
1.5mg・1割40,820円同上

検査のある支払いも年内の合計に加える

同じ前提で0.75mg・3割負担なら、4週分の薬と診察などを合わせた窓口負担は、検査のない場合で約6,130円、HbA1c(血糖の管理状態を見る血液検査の値)を測る場合で約6,780円が目安です。検査内容や追加の治療によって、年間の合計も変わります。

薬価や診療報酬は改定で変わるため、受診先や薬局の明細で確かめましょう。自分の負担割合は領収書の「負担割合」や「負担率」の欄に表示があればそこで確認でき、表示が分からない場合は受付で確認できます。

年の途中から治療を始めた人や、途中で用量が変わった人には、52週同じ条件で続けた目安をそのまま当てはめられません。手元で集計するのは、その年に実際に払った金額です。処方内容の変化があっても、支払日順に整理すれば年間分をまとめられます。

生計を一にする家族のために払った分も合算

自分の治療費に加えて、生計を一にする配偶者やその他の親族のために自分が支払った対象医療費も合算できます。「生計を一にする」とは、生活費などを共にしている関係です。

家族の名前が書かれた領収書をまとめるときは、治療を受けた人と、実際に費用を負担した人を整理します。家族それぞれが申告する場合も、同じ支払いを重ねて計上しないよう、誰の支払分として扱うかをそろえておくと安心です。

トルリシティだけの年額が基準に届かなくても、同じ年の歯科治療やほかの病気の治療費を家族分も含めて集計すると、控除を受けられる額に達することがあります。

確定申告は医療費控除の明細書に支払いをまとめる

領収書などをもとに医療費控除の明細書を作り、必要事項を記入した確定申告書に添付して提出します。医療費通知を利用すれば、明細書への記載を簡略化できます。

集める・書く・出す・保管する順で準備

申告前にそろえる中心の書類は、医療機関と薬局の領収書です。年内の支払いと補てんされた金額を分けておくと、明細書へ書く段階で計算の根拠をたどれます。

  • 集める … 年内の領収書、医療費通知、保険金などの給付通知、通院費の記録
  • 書く … 対象医療費と補てん額を整理した医療費控除の明細書
  • 出す … 医療費控除に関する事項を記載した確定申告書と明細書
  • 保管する … 申告の内容と照合できる領収書や集計記録

最初に支払日を見て年ごとに分け、その後に受診先や薬局ごとに整理すると、前年分や翌年分の混入を防ぎやすくなります。治療を受けた家族の名前も残しておけば、複数人の分を集計した後でも元の領収書に戻れます。

領収書から支払先と金額を書き写す

明細書を作る際は、治療を受けた人、支払先、医療費の内容が分かる形で領収書をまとめ、支払額と保険金などで補てんされる額を対応させます。病院の支払いと薬局の支払いは、それぞれの領収書を使って集計しましょう。

注射薬の名前や使用量から費用を計算し直すより、領収書に印字された実際の支払額を使うと、診察や薬の説明にかかった費用も含めて整理できます。記入後に照合するのは、明細書の合計と集計した支払額が一致するかです。

支払った医療費を記入する段階では領収書の金額をまとめ、そこから補てん額と基準額を差し引いて控除額を求める順序を保ちます。

医療費通知を使い、必要な領収書は5年間保管

加入している健康保険から届く医療費通知を添付すると、その通知に対応する明細書の記載を簡略化できます。通知と領収書を併用するときは、同じ支払いを2回数えないよう、通知で計上した分を区別しましょう。

通知に含まれる受診期間や支払額を領収書と突き合わせると、自分で記入する医療費が分かります。通院費など別に集計する費用もあるため、通知に載っている金額だけで年内のすべてがそろうかを見直しておくと安心です。

医療費通知を添付したものを除き、医療費の領収書は、確定申告期限等から5年を経過する日まで提示や提出を求められることがあります。申告後も年ごとの封筒などにまとめ、申告書の控えと照合できる状態で保管しましょう。

費用の負担は薬を続けるための支援と結び付ける

支払いが難しいときは、使える制度と治療の予定を一緒に調整することが、薬を続ける支えになります。確定申告に備える作業と、次の受診までの支払いへの対応は、並行して進められます。

支払いのために注射を控える前に対応

費用を理由に薬を減らしたり予定の日に使わなかったりすると、血糖の管理にも影響するおそれがあります。トルリシティは週1回の処方どおりに使う薬で、支払いを抑えるために自己判断で間隔を変える使い方は避けてください。

すでに使えなかった日がある場合は、その日付と理由が診察に必要な情報です。費用のために使えなかった状況が分かれば、検査値だけで薬の効果を判断することを避け、治療を続ける方法について話し合えます。

制度の利用と治療の相談を組み合わせる

経済的な負担への対応には、支払額を軽くする仕組みに加え、処方どおりに治療を続けられるかを確認する場が役立ちます。医療費控除の対象を整理していても、次回の受診費用に困っているなら、その困りごとも診察で扱う内容です。

高額療養費制度は、医療機関や薬局で支払う医療費が上限額を超えた場合に超過分が支給される仕組みで、利用については加入している健康保険の窓口で確かめられます。給付を受ける費用は、医療費控除の計算で補てん額として整理します。

家計では支払額と支払いの時期を分けて記録

年間の総額が分かっても、検査や家族の通院が重なる時期には、そのときの支払いが負担になります。領収書を月ごとにまとめると、年額の集計とあわせて、いつ家計から医療費が出ているかを把握できるでしょう。

還付を見込んで薬代を用意するより、次回の受診で必要になる費用を先に把握すると、通院予定を立てやすくなります。支払日と検査予定を並べ、負担が集中する月を受診時に伝えましょう。

通院費は交通手段で控除の扱いが変わる

通常必要な電車やバスの通院費は対象になり、自家用車のガソリン代・駐車場代は対象外です。タクシー代は、公共交通機関を利用できない場合を除いて対象に含まれません。

電車・バス・タクシー・自家用車の違い

通院のために払った費用でも、交通手段ごとに税の扱いが異なります。家計簿ではすべての移動費を記録し、医療費控除を計算する段階で対象になる分を取り出すと整理しやすくなります。

通院手段控除での扱い残しておく情報
電車・バス通常必要な通院費は対象利用日・区間・運賃
タクシー公共交通機関を利用できない場合は対象になりうる領収書と利用が必要だった事情
自家用車ガソリン代・駐車場代は対象外申告分と分けた家計の記録

交通費は受診日と利用区間を対応させる

交通系のカードで支払った通院費は、カードへの入金額ではなく、実際に通院に使った運賃を集計します。記録には、その運賃と利用区間を残しましょう。受診日と受診先も併せて記録しておくと、どの通院の費用かを対応させられます。

通勤や買い物と同じカードを使っていると、年末に履歴を見ても通院分を思い出しにくいです。受診の帰宅後に往復の区間と運賃を記録しておけば、領収書の日付と照合できます。

移動にかかる時間も治療を続ける負担

通院の負担には運賃に加え、移動や待ち時間、仕事を休むための調整も含まれます。医療費控除に入れる金額と、通院を続けるうえで困っている時間や出費は、分けて整理すると伝わりやすくなります。

税務上の交通費の扱いに迷う場合は、申告前に利用した手段と必要だった事情を税務署へ伝えましょう。通院の難しさについては受診先へ共有し、病状を踏まえて通える予定を組み立てます。

トルリシティの費用は処方が決まる前に伝える

費用の相談では、通院の間隔、用量、検査の時期、使える制度が検討の対象です。変更できる内容は血糖の状態や治療上の必要性によって決まるため、処方が決まる前の診察で話します。

領収書と困っている時期を診察へ持ち込む

年末に自宅で領収書を並べ、「来月もこの支払いが続くと厳しい」と感じたなら、次回の診察でそのまま伝えてよい内容です。具体的な支払額と困る時期が分かれば、費用の見通しを聞きながら今後の予定を決められます。

  • 伝える内容 … 医療機関と薬局で払った額、支払いが難しくなる時期
  • 共有する記録 … 薬を使えなかった日や、受診を延期した理由
  • 聞く内容 … 病状に合う通院間隔、用量、検査時期の調整可否
  • 制度の相談 … 利用できる支援と、手続きの相談先

相談のために家計全体の説明を完成させる必要はなく、次の支払いで困る内容から話せます。費用のために治療が途切れそうなら、薬がなくなる前に主治医や薬剤師へ伝えましょう。

治療内容の変更は血糖の状態と合わせて判断

受診間隔や用量を変更できるかは、血糖の状態や必要な検査を踏まえて判断されます。支払額が軽くなる希望を伝えたうえで、変更できる部分と今の治療で続ける部分の説明を受けると、次回の予定を決めやすくなります。

診察後に控えておくのは、次回の受診日と検査予定です。薬を受け取る本数や検査の予定が変わった場合も、申告用の医療費は、その都度の領収書に沿って記録します。

税の判断と治療の相談は相手を分ける

薬の用量や通院の予定は主治医、薬局で払った費用の内容は薬剤師や薬局の窓口に尋ねられます。控除の対象になるか、所得に応じた基準額をどう扱うかは、税務署に確認する内容です。

相談先に見せる書類をそろえておくと、同じ説明を繰り返す負担も減らせます。診察には支払いと治療の記録、税務相談には年内の領収書と補てん額の記録を用意すると、それぞれの判断に必要な情報が伝わります。

よくある質問

トルリシティの費用が年間10万円未満でも申告できますか?

ほかの対象医療費を合算した額や、その年の総所得金額等によっては医療費控除を受けられます。総所得金額等が200万円未満なら、差し引く基準額はその5%です。

まず自分が家族のために払った医療費も集め、補てん額を引いた合計と基準額を比べましょう。薬代だけで判定せず、診察代や対象となる通院費も整理します。

家族が使っている薬の費用も一緒に申告できますか?

生計を一にする配偶者やその他の親族のために自分が支払った、治療に必要な薬の費用は合算できます。家族分の領収書では、治療を受けた人に加えて誰が支払ったかを整理し、同じ支払いを重ねて申告しないようにします。

医療費通知があれば領収書は捨ててもよいですか?

医療費通知で計上した分と、それ以外の領収書を分けてから保管を判断します。通知を添付した分は領収書の提示・提出を求められる対象から除かれます。

通知を使わず明細書に記入した医療費の領収書は、確定申告期限等から5年を経過する日まで提示や提出を求められることがあるため、申告後もまとめて保管しましょう。

控除額と同じ金額が還付されますか?

還付額は、控除を反映した所得税の計算によって決まります。所得や税率、すでに納めた税金の額などで変わるため、医療費控除の金額をそのまま返ってくる額として扱うことはできません。

申告前から薬代の支払いが厳しいときはどうすればよいですか?

確定申告を待たず、次の処方が決まる前に主治医や薬剤師へ相談できます。困っている支払額と時期が分かれば、治療の予定や使える制度について具体的に話し合えます。

費用を理由に注射を減らしたり間隔を変えたりせず、支払いが難しい状況を処方元に伝えてください。すでに使えなかった日があるなら、日付と理由も合わせて伝える必要があります。

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この記事を書いた人 Wrote this article

大木 沙織 大木皮ふ科クリニック 副院長

皮膚科医/内科専門医/公認心理師 略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。 所属:日本内科学会