
トルリシティの正しい打ち方は、ロックの位置を確かめてから灰色のキャップを外し、透明な底面を皮膚に当ててロックを解除し、注入ボタンを押し切るという順番です。打ち終わりの合図は2回目のカチッという音で、聞こえなかったときは透明な部分に灰色のゴムピストンが見えるかを確かめます。
自宅で注入器を手にして「先に回すのはどこだったか」と迷ったら、キャップを外す前に取扱説明書で順番を見直すと安心です。自己注射は、医療機関で指導を受け、自分で確実に操作できると確認されてから行う治療です。
この記事では、トルリシティを打つ前の点検、アテオスの具体的な操作、途中でつまずいたときの対応、打ち終わったあとの確認を解説します。
トルリシティはキャップを外し、皮膚に当てて注入する
アテオスの基本操作は、キャップを外す、底面を皮膚に当ててロックを解除する、注入ボタンを押すという3つです。その前に薬と器具を点検し、注入が終わった合図を確かめてから皮膚を離します。
ボタン・ロックリング・底面の位置
本体の上側にある緑色の部分が注入ボタン、その下にある回転する部分がロックリングです。ロックリングの緑色の目印を「ロック」「ロック解除」の表示に合わせて操作します。
皮膚に当てるのは、灰色のキャップで覆われた透明な底面です。上側のボタンを押す指と、本体を支える手の位置を、指導を受けた持ち方に合わせます。
| 場面 | 行う内容 | 次へ進む前の確認 |
|---|---|---|
| 準備 | 手洗いと注射する場所の消毒 | 取扱説明書で各部の位置を確認 |
| 点検 | 薬の表示、本体、薬液を見る | 処方された薬で、異常がない状態 |
| 注入 | キャップを外し、底面を当ててロック解除後に押す | 2回目の音、聞こえなければ灰色のゴムピストン |
| 終了後 | 皮膚から離して片づけ、記録する | 針の露出と注入中の異常の有無 |
ロックを保ったまま灰色のキャップを外す
最初に緑色の目印がロックの位置にあることを確かめ、注射の直前に灰色のキャップを外します。この時点ではロックを解除せず、外したキャップに針カバーが付いているかを見ます。
針カバーが付いていなければキャップが正しく外れていないため、注射を中止してください。正常に外れたキャップはすぐに捨て、はめ直す操作は避けます。
キャップの付け直しは針の破損につながるため、途中で置いておくためのふたとして使うこともできません。手洗いや消毒などを済ませ、注射に移れる状態で外します。
透明な底面を垂直に当ててロックを解除する
透明な底面を皮膚にしっかり当て、皮膚に対して本体が垂直になるように持ちます。その状態を保ちながら、緑色の目印をロック解除の方向へ止まるまで回します。
針が戻らなくなるおそれがあるため本体の中央部は強く握り込まず、底面を皮膚へしっかり当てる動きと、本体をつまむ力を区別して練習してください。
ボタンを押し切り、注入完了を待って離す
底面を皮膚にしっかり当てたまま緑色の注入ボタンを押し切ると、1回目のカチッという音がして注入が始まります。続く2回目の音が、薬液の注入が完了し、針が自動的に本体内へ戻るときの合図です。
注入が終わるまで底面を当てた状態で待ち、その後に皮膚から離します。薬液の注入が完了するまでの時間は、遅くとも10秒以内です。
音が聞こえなかったときは、透明な部分に灰色のゴムピストンが現れていれば注入完了を確認できます。押した直後の音と打ち終わりの音を混同せず、完了したか分からなければ追加の注射をせずに処方元の医療機関か薬局へ連絡してください。
打つ前は薬の表示・本体・薬液を点検する
使用前に見るのは、薬の名前と使用期限、本体の破損や異常、薬液の見た目です。箱と注入器の用量表示も読み、今回処方された量と合っていることを確かめます。
箱と注入器の表示を読み合わせる
冷蔵庫から取り出したら、箱と注入器に書かれた薬の名前と用量を読み合わせます。トルリシティには0.75mgと1.5mgの製品があり、使う量は処方で決まるため、外見の印象だけで選ぶことは避けます。
使用期限に加えて、記録にある前回の注射日と今日の曜日を見比べ、今回が指示された投与日かも確認する項目です。すでに打ったか曖昧なときは、重ねて注射せず処方元へ連絡してください。
薬液の濁りや本体の破損があれば使用を止める
薬液は無色で澄んでおり、中に浮いているものがない状態で使用します。色が付いている、濁っている、浮遊物が見えるなど、通常と異なる見た目なら、その注入器での注射を進めないでください。
| 点検する対象 | 使う前に見る点 | 異常があるときの対応 |
|---|---|---|
| 薬の表示 | 薬の名前、用量、使用期限 | 処方と合わない、期限切れなら使用中止 |
| 本体 | 破損や通常と異なる状態の有無 | その注入器を使わず、処方元か薬局へ連絡 |
| 薬液 | 無色で澄み、浮遊物がない状態 | 濁りや浮遊物があれば使用中止 |
| 取り扱いの経過 | 硬い床への落下や凍結の有無 | 該当する注入器は使用せず交換 |
アテオスの一部にはガラスが使われているため、硬い床や地面に落としたものは、見た目に傷がなくても新しい注入器へ替えます。凍結した製品も使用できず、薬液の見た目だけで使えると決めることはできません。
手洗いと消毒を済ませてから操作に移る
注射前には手を洗い、打つ場所を消毒用アルコール綿で消毒します。自分で打つ場所はお腹か太ももで、指導を受けた人が手伝う場合は上腕部(二の腕)も使えますが、毎回全く同じ位置は避けます。
冷蔵庫から取り出したあと、注射まで一定の分数を待つ決まりはありません。準備が終わるまではキャップを付けた状態にし、消毒などの細かな動作は医療機関で教わった方法に沿って行います。
アテオスは針と1回分の薬液がセット済み
アテオスには針と1回分の薬液が入っており、針の取り付け、用量合わせ、空打ちは不要です。打つ人は器具の組み立てよりも、点検と操作の順番、注入完了の確認に注意を向けます。
針の取り付けや薬液を混ぜる作業は不要
本体の中には、針が付いた薬液の容器があらかじめ収められています。使用のたびに部品を用意して組み合わせたり、粉末を溶かしたりする作業は必要ありません。
- 注射針 … 本体内に装着済み
- 用量 … 製品ごとに1回分を設定済み
- 薬液 … 容器に充填済みで、混ぜる準備は不要
用量が設定されていても、処方された製品かは毎回確かめます。
空打ちで動作を試す操作は行わない
空打ちは、注射する前に薬液を出して試す操作を指します。トルリシティのアテオスは空打ちができない構造のため、練習として注入ボタンを押して作動させることは避けてください。
練習で身につけるのは、持ち方や操作の順番、注入が終わった合図の見方です。実際に使う注入器のボタンを試しに押すのではなく、医療機関で案内された方法で動作を練習します。
自動で進むのは注入と針が戻る動き
ボタンを押したあと、薬液は自動的に皮膚の下へ入り、注入が終わると針が本体内へ戻ります。打つ人が行うのは、その間に底面を皮膚へ当てた状態を保ち、完了の合図を確かめる操作です。
針を直接扱う準備が少ない設計は、自己注射を始めるときの負担を減らす助けになります。操作が短く済んでも、キャップを外す時点や皮膚から離す時点まで注入器が判断するわけではなく、教わった順番に沿って操作します。
初めてのトルリシティは実際の動作を指導で確かめる
注射が初めてでも、指導と練習を受けてアテオスを正しく扱うことは可能です。自宅で打ち始める前に、説明を聞くだけでなく、自分の手で順番どおりに操作できるかを見てもらいます。
見本を見たあとに自分の手で練習する
指導では、説明を聞いて分かった部分と、実際に手を動かして迷う部分を分けて確かめます。たとえば、ロックリングの回し方が分かっていても、底面を皮膚に当てたまま回す動作には練習が必要になることがあります。
練習の到達点は、教わった動作を自分で再現できる状態です。進める速さを目標にせず、キャップを外す前から注入完了の確認までを通して行います。
家でも再現する動作をその場で見てもらう
自宅では、指導中に助けてもらえた部分も自分で行います。どこまで一人でできたか、どの動作で説明を受け直したかを整理すると、家で見直す箇所が具体的になります。
| 練習する内容 | 指導の場で見てもらう点 | 家で行う内容 |
|---|---|---|
| 開始前の確認 | 表示と薬液を見る方法 | 今回使う薬と本体の点検 |
| 持ち方 | 底面の当て方と本体を握る強さ | 教わった持ち方の再現 |
| 操作の順番 | キャップを外す時点とロック解除の時点 | 取扱説明書に沿った操作 |
| 打ち終わり | 2回の音とゴムピストンの見方 | 完了を確かめてから終了 |
表示が見づらい、手が動かしにくいときの練習
自分で操作できる範囲は、説明を聞けたかだけでなく、実際の動作で確かめます。表示を読みにくい人は、点検に手助けが必要かを確認しましょう。ロックリングを回しにくい人は、底面を皮膚に当てたまま操作できるかを見てもらいます。
家族に手伝ってもらう予定なら、その人も一緒に操作方法の指導を受けましょう。誰が点検し、誰が本体を持って操作するかを、指導の場で具体的に確かめられます。
操作を間違えたときはキャップとボタンの状態で対応が変わる
キャップを外す前にロックを解除しただけなら、ロック位置へ戻して最初から操作できます。キャップを付けたままボタンを押したときは、キャップを外さず、その注入器の使用をやめます。
ロックを解除しただけなら元の位置へ戻す
灰色のキャップを外す前にロックを解除しても、ほかに何も操作していなければ、ロックリングをロック位置へ戻します。その後は取扱説明書に沿って、最初から操作をやり直します。
この対応を使えるのは、ロックを解除しただけという条件がそろうときです。ボタンを押したか曖昧なときは、同じように戻して続けず、操作を止めて処方元か薬局へ連絡してください。
キャップを外したあとに中断したら付け直しを避ける
一度外したキャップは付け直しません。針を傷める原因になるうえ、キャップを外したあとは無菌状態、つまり細菌などが入らないよう保たれた状態ではなくなるため、そのまま保管する扱いも避けます。
たとえば、自宅でキャップを外した直後に来客があり、注射を中断してしまったなら、ふたを戻して後日に回す対応は止めます。再開の可否を自分で決めず、処方元か薬局に、キャップを外したあと中断した状況を伝えて指示を受ける対応です。
キャップを付けたまま押した注入器は開けずに扱う
キャップを付けたままロックを解除して注入ボタンを押した場合は、キャップを外さないでください。外すと針が飛び出し、薬液が漏れ出すため、その状態から通常の注射を続ける操作は危険です。
この場合は主治医の指示に従ってその注入器を廃棄し、新しい注入器で注射します。皮膚に注射したあとで薬が入ったか分からない場面とは、対応する条件が異なります。
| 起きた場面 | 判断の分かれ目 | そのときの対応 |
|---|---|---|
| キャップを外す前にロック解除 | ほかの操作はしていない状態 | ロック位置へ戻し、最初から操作 |
| キャップを外したあと中断 | キャップがすでに外れた状態 | 付け直さず、処方元か薬局へ連絡 |
| キャップ付きでボタンを押した | キャップを付けたまま作動 | キャップを外さず、指示に従って廃棄後に新しい注入器を使用 |
| 皮膚に注射したが完了が不明 | 薬液が入った量を判断できない状態 | 追加せず、処方元か薬局へ連絡 |
液漏れや注入途中の離脱では追加を控える
薬液が漏れたように見える、注入途中で皮膚から離れたなど、薬がどれだけ入ったか分からない場合は追加で打たないでください。不足したように見えても、見た目から追加する量を決めることはできません。
処方元の医療機関か薬局には、ボタンを押したか、音が何回聞こえたか、灰色のゴムピストンが見えるかを伝えます。注射を途中で止めた場面が分かれば、その経過も添えて次の対応を確認します。
打ち終わりは本体を安全に扱い、注射の経過を残す
注入完了後は針の露出を確かめ、本体の底面へ指を入れずに扱います。注射した日と完了の確認を記録しておくと、次回に前回の経過を思い出す負担が減ります。
底面から本体の中へ指を入れずに片づける
針は注入後に本体内へ戻る設計ですが、打ち終わった器具でも針に触れるおそれがあります。底面の内側を指で探ったり、針の位置を触って調べたりせず、外側から見える状態を確認してください。
使用済みのアテオスは針が露出していないかを見て、分解せず、処方元の医療機関から指示された方法で片づけます。
注射した日と完了の確認を記録する
記録する基本の内容は、注射した日、打った場所、注入完了を確認できたかです。カレンダーなどに次の投与日も残しておけば、注射前に前回の日付と今日の曜日を見比べられます。
操作中に迷った場合は「底面を当てる前にロックを解除した」など、止まった動作を具体的に残します。「うまくできなかった」という一言より、次の指導で直す箇所を伝えやすい記録です。
完了を確かめられたか曖昧なまま記録しない
ボタンを押した事実と、注入完了を確認できた事実は分けて残します。完了が不明ならその状態を書き、連絡した医療機関や薬局から受けた指示も添えると、次の受診で経過を共有できます。
打ったあとの痛みが気になるときは、痛みの強さや続き方を処方元に伝えて対処を確認してください。
トルリシティに慣れたあとも手の動きを見てもらう
慣れたあとの確認では、ロック解除の時点、底面の当て方、完了を待つ動作の抜けを見直します。操作が短く感じられても、説明書どおりにできているかは実際の動作で確かめます。
順番を言えるかと、実行できるかを分ける
「当てて押す」と覚えていても、その間にあるロック解除や、押したあとに待つ動作が省かれると、教わった操作から外れます。受診時に動作を見てもらう対象は、覚えた説明と普段の手の動きのずれです。
取扱説明書の順番に沿って普段の持ち方を再現すると、言葉だけの説明では伝わりにくい、手の位置や動かす時点を確認できます。
次の受診では迷った動作を具体的に伝える
再確認したい箇所は、実際に止まった場面から選びます。次のように対象を絞ると、説明を受け直したあとに何を練習するかがはっきりします。
- 持ち方 … 本体の中央部を強くつまんでいないか
- ロック解除 … 底面を皮膚にしっかり当てたあとに回せているか
- 注入中の姿勢 … 完了を待つ間も底面が皮膚から離れていないか
- 完了の確認 … 音が聞こえなかったときに見る部分が分かるか
すでに注入の成否が分からない状況なら、次の受診日を待たずに処方元か薬局へ連絡する必要があります。
手伝う人や操作のしやすさが変わったら練習を受け直す
以前は自分で回せたロックリングが動かしにくくなった、手伝う家族が替わったなどの変化があれば、改めて実際の操作を見てもらいましょう。過去にできた動作でも、今の持ち方や手助けの範囲に合わせた確認が必要です。
普段の注射で困る箇所を説明し、その箇所を練習し直してから自宅での操作につなげます。教わった手順を保って治療を続けるために、受診時の手技確認、つまり実際の打ち方を見てもらう機会を使えます。
よくある質問
2回目の音が聞こえなかったら、注射は失敗ですか?
音が聞こえなくても、透明な部分に灰色のゴムピストンが見えていれば注入は完了しています。ボタンを押し切ってから薬液の注入が終わるまでの時間は、遅くとも10秒以内です。
ゴムピストンが見えるか判断できず、打ち終わったか不明なら、追加で打たず処方元の医療機関か薬局へ連絡してください。音の回数に加え、いつ皮膚から離したかも伝えると操作の経過を共有できます。
外したキャップに針カバーがないときは、どう対応しますか?
キャップが正しく外れていない状態なので、その注入器では注射を行わないでください。通常の操作をそのまま続ける条件がそろっていません。
外したキャップは付け直さず、処方元か薬局に針カバーが付いていなかった状況を伝え、注入器の扱いについて指示を受けます。本体の内側へ指を入れて針の状態を調べる操作も避けます。
初回だけでも空打ちは必要ですか?
初回を含め、アテオスに空打ちは不要です。1回分の薬液と針がセットされ、空打ちができない構造のため、試すために注入ボタンを押す操作は行いません。
冷蔵庫から取り出したら、打つまで何分待ちますか?
取り出してから何分以上待つという決まりはありません。薬の表示と本体、薬液を点検し、手洗いや注射する場所の消毒を済ませてから、指導どおりに操作します。
皮膚に注射したあと薬液が漏れたように見えたら、もう1本打ちますか?
もう1本を自己判断で追加せず、処方元の医療機関か薬局へ連絡してください。体内に入った薬液の量を見た目で判断できず、追加すると重ねて投与するおそれがあります。
連絡時は、ボタンを押したあとの音やゴムピストンの状態、皮膚から離した時点を伝えます。キャップを付けたままボタンを押した場合とは状況が異なるため、「皮膚に当てて注射したあと」と具体的に説明すると区別できます。
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