トルリシティを打ち忘れた時の対処法、気づいたタイミング別の対応をまとめる

トルリシティを打ち忘れた時の対処法、気づいたタイミング別の対応をまとめる

トルリシティを打ち忘れたら、次の投与予定日まで3日間(72時間)以上あれば、気づいた時点ですぐに打ちます。72時間未満なら忘れた分は見送り、次の予定の曜日に1回分を打つ対応です。どちらの場合も、2回分をまとめて打ってはいけません。

いつもの注射日を過ぎてから冷蔵庫の薬に気づいた時、見るのは「何日遅れたか」より、次の予定日までに残っている時間です。打った記憶が曖昧な時や何週間も空いた時は、追加で打つ前に処方元へ連絡して指示を受けましょう。

この記事では、気づいたタイミング別の対応、まとめて打たない理由、中断後の相談や打ち忘れたあとの体調の見方を解説します。

目次 Outline

トルリシティの打ち忘れは次の予定日までの時間で判断する

通常の1回の打ち忘れへの対応は、次の予定日まで72時間以上ならすぐ打つ、72時間未満なら待つ、の2通りです。気づいた時に打った場合も、その後はあらかじめ決めていた曜日に戻ります。

72時間以上なら気づいた時点で1回分を打つ

次の投与予定日まで3日間(72時間)以上あれば、忘れた分として処方された1回分をすぐに打ちます。ちょうど72時間の場合も「以上」に含まれるため、気づいた時点で打つ側です。

次の予定日までの期間気づいた時の対応その後の注射
3日間(72時間)以上すぐに1回分を打つあらかじめ決めた曜日に打つ
3日間(72時間)未満忘れた分は打たずに待つ次の予定の曜日に1回分を打つ

この分け方は、実際に1回打ち忘れたと分かっている時に使います。何週間も中断していた場合や注射したか分からない場合は、表だけで注射の可否を決めず、処方元の指示を受けます。

72時間未満なら忘れた分を見送る

次の投与予定日まで3日間(72時間)未満なら、その場では打たずに次の予定の曜日を待ちます。次回に使うのは通常の1回分で、見送った分を次回へ足す扱いにはなりません。

たとえば、毎週月曜日に注射していて土曜日の夜に打ち忘れに気づいたなら、次の月曜日まで72時間未満なので、その夜の注射は見送ります。家で薬を見つけて焦った時も、次回の予定を書き出すと、今から打つかどうかを時間に沿って判断できます。

日付だけで曖昧なら予定時刻まで数える

「あと3日」という日付の数え方で迷う時は、次に打つ予定の時刻まで72時間あるかを見ます。同じ曜日の組み合わせでも、気づいたのが朝か夜か、次回をいつ予定しているかで残り時間が変わるためです。

もともとの予定が曖昧で境目を判断できなければ、今の日時と予定していた注射日を処方元や薬局に伝えて確認しましょう。忘れた分を打つために次の予定日をその場で動かすと、元の予定に基づく判断とは条件が変わります。

次の予定日が近い時に待つのは注射の間隔を保つため

次の予定日まで72時間未満なら待つのは、忘れた分と次回分を短い間隔で打つのを避けるためです。トルリシティの成分は体内からゆっくり減り、注射を見送ったあとにも作用が続きます。

前回の薬は予定日を過ぎても徐々に減る

成分のデュラグルチドは、注射したあと時間をかけて体内に取り込まれ、数日かけて減っていきます。予定の曜日を過ぎたあとも薬は体内に残っているため、遅れた分を急いで重ねる対応は避けましょう。

一方、注射を繰り返し見送ると、薬が体内に残っていても血糖の管理に影響します。1回の打ち忘れへの決まりに沿って対応し、その後は処方された週1回の治療に戻りましょう。

遅れを埋めるための連日注射は避ける

忘れた分を今日打ち、元の予定どおり明日も打つ、といった短い間隔の注射は避けます。前の注射による作用が続いている間に次の薬が入るため、決められた間隔を守る必要があります。

72時間という境目は、打ち忘れた時の具体的な対応を決めるための基準です。体調がよい日でも、次の予定までの時間に応じて打つか待つかを選びます。

遅れて打ったあとは元の曜日へ戻る

72時間以上の余裕があって忘れた分を打った場合は、次回からあらかじめ定めた曜日に戻ります。

注射した日と、次に予定している日を並べて残しておくと、「遅れて打った日から次を数えるのか」という迷いを減らせるでしょう。記録には予定だけでなく実施した日も必要で、両方が分かれば次回の受診でも実際の間隔を伝えられます。

トルリシティを2回分まとめて打つと副作用の危険が増す

2回分をまとめて打つと体に入る量が増え、吐き気や嘔吐などの胃腸の症状が出やすくなります。打ち忘れた回数にかかわらず、埋め合わせとして一度に使う量を増やしてはいけません。

まとめ打ちの代わりに残り時間と記録を見る

打ち忘れに気づいても、今使う薬の本数を増やす対応は取りません。遅れへの対応に必要なのは、次回までの時間と、すでに使った薬の記録です。

  • 次の投与予定日までの期間 … 72時間以上か未満か
  • 最後の注射の記録 … 実際に打った日と処方された用量
  • 判断に迷う点 … 打った記憶の曖昧さや長く空いた期間

血糖値が気になっていても、それを理由に忘れた分をまとめて補うのではなく、測定値を処方元に伝えて治療の指示を受けます。

打ったか分からない時は追加で打たずに連絡する

注射したかどうか確信が持てない時は、追加で打たず、記録と使用済みの注入器の数を確かめて処方元へ連絡します。「忘れた」と分かっている時と違い、すでに薬が入っている可能性がある状態です。

連絡時には、打った可能性のある日を伝えます。あわせて必要なのは、注射の記録と使用済みの注入器の数です。記録と本数が一致しない時は、その食い違いも含めて説明すると、重複を避けた対応につながります。

誤って多く打った時は症状がなくても連絡する

誤って2回分を打った、または短い間隔で重ねたと分かったら、打った時刻と用量をそろえて処方元へ速やかに連絡してください。トルリシティは作用が長く続く薬なので、その直後に普段どおり過ごせていても、その後の観察や次回の注射について判断が必要です。

嘔吐を伴う激しい腹痛や意識が薄れる症状があれば、通常の連絡がつくまで待つ状況ではありません。緊急の受診を優先し、受診先には注射した量に加えて、一緒に使っている糖尿病の薬も伝えます。

何週間も空いたトルリシティは処方元の指示で再開する

何週間も打てていない時は、自己判断で再開せず、処方元へ連絡して指示を受けます。空いた期間や以前の胃腸の症状、今の血糖の状態によって、再開時に必要な対応が変わるためです。

長い中断後は経過と体調を踏まえた再開の指示を受ける

中断が長くなった場合は、次の予定日まで72時間あるかだけで再開を決めません。以前は問題なく使えていた量でも、最後に打ってからの経過や現在の体調を踏まえた指示が必要です。

連絡する前に「何週間なら元の量でよい」と自分で区切ったり、薬を減らして試したりせず、使う量の指示を受けます。再開する日と使う量が決まってから注射すれば、中断前の症状も踏まえて治療を再開できます。

最後の注射日と中断した理由を伝える

再開の連絡では、最後に打った日だけでなく、打てなかった理由や今の症状も伝えると、必要な診察や治療の判断が進みます。日付が曖昧なら推測で確定せず、確実に分かる範囲を伝えれば十分です。

  • 最後の注射日と使用量 … 記録がある日、箱に記載された用量
  • 中断した経緯 … 忘れた、体調が悪かった、受診できなかったなど
  • 以前と現在の症状 … 吐き気、嘔吐、食事や水分が取れるか
  • 治療の状況 … 測定している血糖値、現在使っているほかの薬

今、水分が取れないなどの症状がある場合は、再開の相談より先にその症状を伝えると、受診の緊急性を判断してもらえます。

体調不良で見送った時は理由ごと相談する

吐き気や食欲の低下があって注射をためらった時は、自己判断で見送りを重ねず、処方元へ連絡してください。単に忘れた場合とは違い、症状への対応と注射を続けるかの判断を一緒に受ける必要があります。

「食べられないから薬も全部やめた」といった変更は、一緒に使う薬によって血糖に及ぼす影響が変わります。食事の量が減った時期や飲めている水分量が分かると、薬の名前だけでは伝わらない現在の状態まで共有できるでしょう。

打ち忘れが続く時は起きた場面に合わせて見直す

打ち忘れが続く時は、忘れていたのか、打つのをためらったのか、実施したか曖昧なのかで、見直す内容が分かれます。繰り返した場面を振り返ると、記録の不足や治療への不安など、対応すべき理由を絞れます。

外出や仕事で普段の流れが変わった日

外出が重なった日や仕事が立て込んだ週は、普段なら思い出せる注射が意識から抜ける場面です。打ち忘れを振り返る時は、その週に変わった予定と、気づいた時点で次回までどれだけ時間があったかを残します。

起きた場面整理する点その場面での対応
外出や仕事で忘れた気づいた日時と次の予定日残り72時間を基準に判断
体調不良でためらった症状が始まった時期と食事量処方元へ症状を伝えて連絡
打った記憶が曖昧実施記録と使用済みの本数追加で打たずに処方元へ連絡

予定の変化がきっかけでも、何週間も空いてしまった場合は再開の指示を受ける対応が優先です。

予定の印と実際に打った記録を区別する

カレンダーに注射予定の印があっても、その印だけでは実際に打ったかどうかまでは分かりません。打ち忘れ後に残す内容は、今回打ったのか見送ったのかと、次に打つ予定の日です。

曖昧だった点見直す内容
予定と実施の区別実際に打った日を明記
忘れた分への対応打ったか見送ったかを記録
次回の注射日元の曜日に戻る予定を記載
繰り返した理由外出、体調不良などの経緯を添える

記録と記憶が食い違う時は、記録の印だけで追加の注射を決めず、使った薬の本数も含めて処方元に伝えます。

注射をためらう理由も受診で伝える

副作用が心配で打てなかった場合は、「忘れた」とだけ伝えるより、何が不安だったのかを言葉にするほうが、治療を続けるための対応を受けやすくなります。

次の受診では、繰り返した場面と注射をためらった理由をメモにして伝えましょう。曜日や通知の見直しは生活に合わせて行い、症状や不安で見送った場合は、その理由への対応も受けます。

打ち忘れの反復は血糖の管理にも影響する

打ち忘れが重なると、処方どおりに使った時の血糖を下げる作用を得にくくなり、血糖の管理が悪くなるおそれがあります。1回忘れたあとの影響は、それまでの血糖値や併用薬によっても変わります。

血糖の変化は症状に加えて測定値で確認する

普段と同じように過ごせていても、血糖が普段の範囲に収まっているかは、体調だけで決められません。自宅で血糖測定を指示されている人は、その指示に沿って測定し、打ち忘れた日とともに値を残します。

定期的な検査でも、注射できていた期間が分かると、薬を続けた時の効き方を判断しやすいでしょう。血糖値だけを伝えるより、打てなかった日や食事が取れなかった時期を添えるほうが、その変化を治療の経過に結びつけられます。

週1回でも中断が重なれば治療の見直しが必要

週1回の薬は投与回数が少なく、治療を続けやすくする選択肢ですが、生活の変化や体調によって中断が重なる人もいます。血糖が高い状態が続く時には、薬の効き方に加え、実際に使えていたかも含めた判断が必要です。

もともと血糖が安定していた人と、高い状態が続く中で何度も打てなかった人では、その後の確認や治療の対応が異なります。「何回忘れたら必ず悪化する」と回数だけで区切らず、測定値や症状を含めて受診時に伝えます。

ほかの糖尿病薬は指示された量を守る

打ち忘れた分を補うために、ほかの飲み薬やインスリンの量を自分で増やしてはいけません。インスリンは血糖を下げるホルモンを補う注射薬で、トルリシティとは使う量や調整の指示が異なります。

併用薬について個別の指示を受けている人はその指示を守り、血糖値が指示された連絡の目安を超えた場合は処方元へ連絡してください。薬の量を変えてから報告するより、変更前の値と使用状況を伝えるほうが、その後の対応を判断しやすくなります。

打ち忘れたあとの数日は血糖と胃腸の症状を見る

打ち忘れたあとは、血糖値の変化に加え、冷や汗やふるえ、嘔吐や腹痛などの体調を見ます。薬の作用は中止後も続くため、今回打たなかった場合も、異常があれば症状に応じた対応が必要です。

冷や汗や手足のふるえは低血糖への対応を取る

冷や汗や手足のふるえ、強い空腹感がある時は、血糖が下がりすぎる低血糖を疑い、教わった対処を行います。インスリンや、膵臓からインスリンを出す働きを促す一部の飲み薬を併用している人は、低血糖を起こしやすくなるため注意が必要です。

意識がはっきりして飲み込める時は、通常は糖質を含む食品や砂糖を取ります。食後の糖の吸収を遅らせるα-グルコシダーゼ阻害剤を併用している場合は、ブドウ糖を取る対応です。

意識が薄れる、飲み込めないなどの状態では、無理に飲食させず、周囲の人が救急要請してください。低血糖が疑われる時は運転を中止し、安全な場所で対処します。

嘔吐や腹痛は強さと続き方で受診を決める

繰り返す嘔吐や水のような下痢は、体の水分が不足する脱水につながります。飲める範囲で水分を補い、飲んでも吐く、立ちくらみがあるなどの時は、当日中に医療機関へ連絡が必要です。

体調の変化連絡・受診の目安取る行動
嘔吐を伴う激しい腹痛が続く速やかな受診使用を中止して診断を受ける
嘔吐や水のような下痢を繰り返す水分を取れない、立ちくらみがある当日中に医療機関へ連絡
強い便秘とお腹の張り、続く痛み速やかな連絡・受診次の注射を止めて診断を受ける
冷や汗やふるえ、意識の変化意識が薄い、飲み込めない時は緊急教わった低血糖への対処、重い時は救急要請

特に、嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛は、膵臓に炎症が起きる急性膵炎などを疑う症状であり、次の注射日まで様子を見ずに受診してください。

症状の始まりと注射の日時を一緒に伝える

受診や電話では、症状が始まった日時に加えて、最後に注射した日と、打ち忘れ後に打ったか見送ったかを伝えます。症状を打ち忘れのせいと決めつけず、食事や水分が取れるかも含めて説明しましょう。

連絡の際にそろえるのは、注射の経過、今の症状、使っている薬の情報です。緊急性が高い症状がある時は、すべての記録を探し終えるより先に受診を優先します。

よくある質問

次の予定までちょうど72時間なら打ってよいですか?

通常の1回の打ち忘れで、次の予定までちょうど72時間なら、気づいた時点ですぐに1回分を打ちます。「3日間(72時間)以上」に含まれるためで、その後は元の曜日に戻ります。

打ったか思い出せない時も72時間の基準で決めてよいですか?

打ったか分からない時は、72時間の基準だけで追加の注射を決めず、打たずに処方元へ連絡します。すでに注射していれば、重複して使う危険があるためです。

連絡前に、実施した日の記録と使用済みの注入器の数を確かめ、分からない部分は分からないまま伝えます。注射した可能性のある日時や体調の変化も、対応を決める情報になります。

何週間も空きましたが、以前と同じ量で再開できますか?

何週間も空いた場合は、自己判断で以前と同じ量を使わず、処方元の指示を受けて再開します。最後の注射日と使用量、中断した理由を伝える必要があります。

以前に吐き気や嘔吐があった人は、その症状も伝えてください。今も食事や水分が取れない場合は、再開する日より先に、症状への対応や受診について判断を受けます。

体調が悪くて打つか迷ったら、次の週まで見送ってよいですか?

体調が悪い時は、自己判断で次の週まで見送ると決めず、処方元へ連絡して指示を受けます。どの症状がいつ始まり、食事や水分がどれだけ取れているかを伝えます。

嘔吐を伴う激しい腹痛が続く時は、使用を中止して速やかに受診してください。繰り返し吐いて水分を取れない時も、次の注射日まで待たずに医療機関へ連絡する必要があります。

次の予定日まで待った場合は、その日に2回分打ちますか?

次の予定日も、打つのは処方された1回分だけです。見送った分を足したり、別の日に追加したりせず、元の曜日に週1回の注射を続けます。

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この記事を書いた人 Wrote this article

大木 沙織 大木皮ふ科クリニック 副院長

皮膚科医/内科専門医/公認心理師 略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。 所属:日本内科学会