
ゼップバウンド(チルゼパチド)を1年間使い続けると、臨床試験では体重が平均15%から20%以上減少したと報告されています。一方で、服用をやめると体重が戻るリバウンドも起きやすいことがわかっています。
この記事では、SURMOUNT試験シリーズをはじめとする大規模な臨床研究データをもとに、1年間の減量効果、リバウンド率、副作用、そして効果を長く保つために必要な生活習慣のポイントまで詳しく解説します。
「本当に痩せるの?」「やめたら元に戻るの?」という不安をお持ちの方に向けて、医学的根拠にもとづいた情報をわかりやすくお伝えします。
ゼップバウンドを1年間使うと平均で何キロ痩せるのか
結論として、ゼップバウンドを約1年間(72週)投与した場合、体重は平均で15%から22%ほど減少します。体重100kgの方であれば、15kgから22kg前後の減量に相当する大きな変化です。
臨床試験SURMOUNT-1で確認された72週間の減量データ
ゼップバウンドの減量効果を評価した大規模な臨床試験がSURMOUNT-1です。糖尿病のない肥満の成人2,539人を対象に、72週間にわたって投与が行われました。
この試験では、プラセボ群(偽薬を投与されたグループ)の体重変化が約3%にとどまったのに対し、ゼップバウンド投与群では用量に応じて15%から21%の減量が認められました。特に15mg群では、体重が20%以上減少した人が全体の半数を超えています。
投与量ごとの体重減少率には明確な差が出る
ゼップバウンドには5mg、10mg、15mgの3つの用量があり、どの用量でも有意な減量効果が確認されています。ただし、用量が高いほど減量幅は大きくなる傾向があります。
SURMOUNT-1試験における72週間の減量データ
| 投与量 | 平均体重減少率 | 5%以上の減量達成率 |
|---|---|---|
| 5mg | 約15.0% | 約85% |
| 10mg | 約19.5% | 約89% |
| 15mg | 約20.9% | 約91% |
| プラセボ | 約3.1% | 約35% |
実際の医療現場での1年間の減量結果
臨床試験だけでなく、実際の医療現場(リアルワールド)でも減量効果が確認されています。米国の大規模データベースを用いた研究では、ゼップバウンドを1年間継続した患者の平均体重減少は約17.2kgでした。
これは臨床試験とおおむね同等の結果であり、日常診療でも十分な減量が期待できることを示しています。
糖尿病のある方とない方で減量幅が異なる
SURMOUNT-2試験では、2型糖尿病を合併する肥満患者を対象に調査が行われました。その結果、15mg群での体重減少率は約14.7%で、糖尿病のない方を対象としたSURMOUNT-1の20.9%と比べるとやや控えめです。
糖尿病があると減量幅が小さくなる傾向は、ほかのGLP-1受容体作動薬(体内のホルモンに似た働きをする薬)でも共通して報告されています。それでも約15%の減量は臨床的に十分な効果といえるでしょう。
ゼップバウンドの減量効果が実感できるまでの時間経過
多くの方は投与開始から12週間ほどで体重の変化を実感し始め、その後も効果は約1年をかけて徐々に大きくなっていきます。焦らずに治療を続けることが大切です。
投与開始から12週間で5%以上の減量に届く人が多い
SURMOUNT-1試験のサブ解析によると、ゼップバウンドを投与された方の約82%が、12週時点ですでに5%以上の体重減少を達成していました。早い段階から効果が見え始めるのは、治療を続けるうえで大きなモチベーションになるはずです。
用量を段階的に増やす「漸増期間」の過ごし方
ゼップバウンドは2.5mgの低用量から開始し、4週間ごとに段階的に増量します。この漸増期間(ぜんぞうきかん)は消化器系の副作用を軽減する目的があり、通常20週間ほどかけて維持用量に到達します。
この時期に吐き気や下痢が出やすいものの、多くの場合は軽度から中等度で、時間とともに落ち着いていきます。
効果の出方が遅い方でも72週で十分な減量に到達する
「12週間経っても体重があまり減らない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、SURMOUNT-1のサブ解析では、12週時点で5%未満の減量にとどまった方(遅延反応群)でも、約90%が72週までに臨床的に意味のある5%以上の減量を達成しています。
効果が出るまでの期間には個人差があるため、早い段階で治療をあきらめるのはもったいないといえるでしょう。
1年後のBMIとウエスト周囲径にも大きな変化が出る
ゼップバウンドの効果は体重だけにとどまりません。BMI(体格指数)やウエスト周囲径の減少、血圧や脂質の改善なども報告されています。SURMOUNT-3試験では、BMIが平均で約10kg/m²低下し、肥満のカテゴリーが2段階改善した方もみられました。
- BMI(体格指数)が平均5〜6ポイント低下
- ウエスト周囲径が平均12cm以上縮小
- 収縮期血圧(上の血圧)の低下
- 中性脂肪やコレステロール値の改善
1年後のリバウンド率を臨床試験のデータから読み解く
ゼップバウンドの服用を中止すると、減らした体重の多くが戻ってしまう傾向があります。SURMOUNT-4試験では、中止後1年間で約82%の方が元の体重の25%以上をリバウンドしたと報告されました。
SURMOUNT-4試験で判明した中止後の体重推移
SURMOUNT-4試験は「投薬を中止するとどうなるか」を検証するために設計された試験です。まず全員が36週間ゼップバウンドを使用し、約20%の減量を達成しました。その後、半数はゼップバウンドを継続し、残り半数はプラセボに切り替えました。
プラセボに切り替えたグループ(実質的に投薬中止と同じ)は、その後52週間で体重が大きく増加しています。
治療を中止すると減量分の何割が戻ってしまうのか
中止後の体重変化を詳しく見ると、減量した体重の75%以上を取り戻してしまった方が全体の約24%を占めていました。50%以上75%未満のリバウンドが約33%、25%以上50%未満が約25%です。
SURMOUNT-4試験における中止後のリバウンド割合
| リバウンドの程度 | 該当者の割合 | 特徴 |
|---|---|---|
| 25%未満 | 約18% | 生活習慣の維持が良好 |
| 25〜50%未満 | 約25% | 部分的に体重が戻る |
| 50〜75%未満 | 約33% | 代謝指標も一部悪化 |
| 75%以上 | 約24% | ほぼ元の体重に近づく |
リバウンドを少なく抑えられた人たちの共通点
興味深いのは、中止後のリバウンドが25%未満にとどまった方々のデータです。このグループでは、ウエスト周囲径や中性脂肪、空腹時インスリン値に有意な悪化がみられませんでした。
つまり、生活習慣を整えながら治療期間中に得た改善を維持できれば、薬をやめた後でも一定の効果を保てる可能性があるということです。
服用を続けた人は体重をさらに減らせた
一方で、プラセボではなくゼップバウンドの投与を継続した群は、88週時点でベースラインから約5.5%の追加減量を達成しています。投薬の継続が体重維持だけでなく、さらなる減量にもつながり得ることを示す重要な結果です。
ゼップバウンドを1年間使ったときの副作用は初期に集中する
ゼップバウンドの副作用は消化器系の症状が中心で、その多くは投与開始後の漸増期間に発生し、時間の経過とともに軽減していきます。重篤な副作用の発生率はプラセボと大きな差がありません。
消化器系の不調は初期に多く、次第に落ち着く
臨床試験全体を通じてもっとも多く報告された副作用は、吐き気、下痢、便秘、嘔吐といった消化器系の症状でした。いずれも軽度から中等度がほとんどで、多くの場合は用量の増量時期に集中しています。
SURMOUNT-1から4までの試験を横断的に分析した研究でも、消化器症状を経験した方と経験しなかった方との間で、最終的な減量幅に大きな差はなかったと報告されています。副作用が出たからといって効果が高まるわけではありません。
1年を超える長期使用での安全性データ
SURMOUNT-1試験の3年間延長データでは、176週にわたるゼップバウンドの使用でも新たな安全性上の問題は報告されていません。もっとも頻度の高い有害事象は引き続き消化器症状で、重篤なものの発生率は低い水準にとどまりました。
膵炎(すいえん)の確定例はSURMOUNT-4試験中に報告されておらず、甲状腺髄様がんやすい臓がんの発生もありませんでした。
服用中に注意すべき重大な副作用のサイン
頻度は低いものの、胆石症(たんせきしょう)や急性胆嚢炎(きゅうせいたんのうえん)が報告されています。急な腹痛や発熱が続く場合は、すぐに主治医に連絡することが大切です。
また、急激な体重減少に伴い筋肉量が失われるリスクもあります。治療中はたんぱく質をしっかり摂り、適度な運動を組み合わせることで筋肉の減少を抑えられるでしょう。
ゼップバウンドの主な副作用と発生頻度
| 副作用 | 発生頻度 | 発現時期の傾向 |
|---|---|---|
| 吐き気 | 約25〜33% | 漸増期間に多い |
| 下痢 | 約19〜23% | 漸増期間に多い |
| 便秘 | 約12〜17% | 投与期間を通じて |
| 嘔吐 | 約8〜12% | 漸増期間に多い |
| 胆石症 | 約1%未満 | 長期使用時 |
ゼップバウンドとセマグルチドの1年間の減量効果を正面から比較した
2025年に発表されたSURMOUNT-5試験により、ゼップバウンドはセマグルチド(GLP-1受容体作動薬の一種)と比べて、72週時点でより大きな体重減少をもたらすことが明らかになりました。
SURMOUNT-5試験で直接比較された結果
SURMOUNT-5試験は、ゼップバウンドとセマグルチドを直接比較した初めての大規模試験です。糖尿病のない肥満成人を対象に、両剤のそれぞれの最大耐容用量を72週間投与しました。
その結果、ゼップバウンド群はセマグルチド群に対して統計的に有意に大きな体重減少を示しています。この差は臨床的にも意味のある水準でした。
減量率だけでなくウエスト周囲径の変化にも注目したい
ゼップバウンドとセマグルチドの比較データ
| 項目 | ゼップバウンド | セマグルチド |
|---|---|---|
| 平均体重減少率 | 約20%以上 | 約14〜15% |
| ウエスト周囲径の減少 | より大きい | やや小さい |
| 投与頻度 | 週1回皮下注射 | 週1回皮下注射 |
| 主な副作用 | 消化器症状 | 消化器症状 |
どちらの薬が自分に合うかは主治医と一緒に決めたい
ゼップバウンドの方が減量効果は大きい傾向にありますが、どちらの薬が適しているかは体質や合併症の状況によって異なります。GIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用するゼップバウンドは、食欲抑制と代謝改善の両面で独自の特徴を持っています。
治療の選択は、主治医と相談しながら個々の状況に合わせて決めることが大切です。数字だけで判断せず、副作用の出方や生活スタイルとの相性も含めて総合的に考えましょう。
ゼップバウンドの減量効果を引き出すために見直したい生活習慣
ゼップバウンドは強力な減量効果を持つ薬ですが、その効果を長く持続させるためには食事と運動の習慣を同時に整えることが重要です。薬だけに頼らない姿勢が、結果的に治療の成功率を高めます。
たんぱく質を意識した食事が筋肉量を守る
急速な体重減少が起きると、脂肪だけでなく筋肉も失われやすくなります。SURMOUNT-1試験では、減少した体重のうち約34%が脂肪量、約11%が除脂肪量(筋肉など)だったと分析されています。
筋肉の減少を防ぐためには、たんぱく質を十分に摂取することが大切です。1日あたり体重1kgにつき1.0〜1.2g程度のたんぱく質を目安にするとよいでしょう。
週に150分以上の運動で減量効果を後押しする
減量中の適度な運動は、脂肪の燃焼を促しながら筋肉量を維持する効果があります。ウォーキングや軽いジョギング、水泳など、無理なく続けられる有酸素運動がおすすめです。
さらに、週2〜3回の筋力トレーニングを加えると、基礎代謝を維持しやすくなります。特別なジム通いが難しい方は、自宅でのスクワットや腕立て伏せから始めてみてください。
定期的な通院と体重記録が成功のカギになる
SURMOUNT-CN試験の追跡調査では、生活習慣指導の遵守率が高い方ほどリバウンドが少なかったと報告されています。定期的に主治医の診察を受け、体重の変化を記録し続けることが治療効果の維持につながります。
毎朝決まった時間に体重を測る習慣をつけるだけでも、自分の体の変化に早く気づけるようになるでしょう。
- 毎食たんぱく質を意識して摂取する
- 週150分以上の有酸素運動を継続する
- 週2〜3回の筋力トレーニングを取り入れる
- 毎朝同じ条件で体重を測定し記録する
- 月1回以上は主治医の診察を受ける
ゼップバウンド中止後のリバウンドを防ぐ方法はあるのか
ゼップバウンドの中止後にリバウンドが起きやすいのは事実ですが、段階的な減薬や生活習慣の維持によって体重の戻りを抑えることは十分に可能です。自己判断で急にやめるのは避けましょう。
段階的な減薬と主治医との相談が欠かせない
中止を検討する際に確認したいポイント
| 確認項目 | 内容 | 対応策 |
|---|---|---|
| 減量目標の達成度 | 目標体重に届いたか | 達成後も経過観察を続ける |
| 生活習慣の定着度 | 食事・運動は習慣化したか | 習慣が安定してから中止を検討 |
| 代謝指標の安定性 | 血圧や血糖値は安定か | 数値が安定していることを確認 |
肥満は慢性疾患であり、高血圧や糖尿病と同様に長期的な管理が求められます。薬の中止を考える際には、必ず主治医と相談のうえ、段階的に用量を減らしていくことが望ましいでしょう。
中止後も生活習慣の維持で体重をキープできる
SURMOUNT-4試験のデータでは、リバウンドが25%未満に抑えられたグループでは複数の代謝指標が改善されたまま維持されていました。中止後に体重が多少増えたとしても、治療前よりは良い状態を保てる方が少なくありません。
食事管理と運動習慣を治療中から定着させておくことで、薬をやめた後も「ベースラインに戻さない」という現実的な目標を達成しやすくなります。
再開を検討するタイミングの目安
中止後に体重が5%以上増加したり、血圧や血糖値の悪化が見られたりした場合は、再度ゼップバウンドの使用を検討する一つの目安になります。再開後も以前と同様の減量効果が得られることが複数の研究で示唆されています。
大切なのは、「やめたら終わり」ではなく、体の状態に合わせて柔軟に治療を調整していく姿勢です。肥満治療は短距離走ではなく、長いマラソンだと考えてください。
よくある質問
ゼップバウンドは1年間でどの程度の体重減少が期待できますか?
大規模臨床試験SURMOUNT-1の結果では、ゼップバウンドを72週間(約1年半弱)使用した場合、投与量に応じて体重が平均15%から約21%減少しました。15mg投与群では20%を超える減量を達成した方が半数以上にのぼっています。
ただし、効果には個人差があり、体質や生活習慣、合併症の有無などによって結果は異なります。まずは主治医と一緒に現実的な減量目標を設定することが大切です。
ゼップバウンドの服用を中止するとリバウンドしますか?
臨床試験のデータによると、ゼップバウンドの投与を中止した場合、減量した体重の一部が戻る傾向があります。SURMOUNT-4試験では、中止後1年間で約82%の方が減量分の25%以上を取り戻しました。
とはいえ、すべての方が治療前の体重まで戻るわけではありません。食事や運動の習慣を維持できた方のなかには、中止後もかなりの減量効果を保てた方もいらっしゃいます。リバウンドを防ぐには、薬に加えて生活習慣の改善を並行して進めることが重要です。
ゼップバウンドの1年間使用で起こりやすい副作用は何ですか?
もっとも報告が多い副作用は、吐き気・下痢・便秘・嘔吐といった消化器系の症状です。これらの多くは投与初期、特に用量を段階的に増やしていく期間に集中して発生し、維持用量に達した後は軽減する傾向にあります。
重篤な副作用の発生率は低く、プラセボ群と統計的に有意な差はなかったと報告されています。気になる症状が出た場合は、自己判断で中止せず主治医に相談してください。
ゼップバウンドはセマグルチドと比べて減量効果に差がありますか?
2025年に発表されたSURMOUNT-5試験では、ゼップバウンドとセマグルチドの減量効果が直接比較されました。その結果、72週時点でゼップバウンドのほうがセマグルチドよりも統計的に有意に大きな体重減少を示しています。
ゼップバウンドはGIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用するデュアルアゴニストであり、この二重の作用が減量効果の差につながっていると考えられています。どちらが適しているかは、合併症や副作用の出やすさなどを総合的に判断して決めましょう。
ゼップバウンドを1年以上続けても効果は持続しますか?
SURMOUNT-1試験の3年間のデータでは、ゼップバウンドを継続投与した方の体重減少は176週時点でも維持されていました。15mg群では約19.7%、10mg群では約18.7%の体重減少が3年後も保たれています。
さらに、治療を継続した方のうち約70%以上が、もっとも体重が軽くなった時点(ナディア)からの体重増加を5%未満に抑えていたことも報告されています。長期にわたり安定した体重管理が期待できる結果です。
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