ゼップバウンドの欧州EMA承認状況|世界的な肥満治療薬としての評価

ゼップバウンドの欧州EMA承認状況|世界的な肥満治療薬としての評価

「ゼップバウンド」は、米国で承認された肥満治療薬の商品名で、有効成分はチルゼパチドです。欧州では「モンジャロ」という名称でEMA(欧州医薬品庁)が承認を出しており、2024年には体重管理の適応が正式に認められました。

日本でも注目が集まるこの薬は、GIPとGLP-1という2つのホルモン受容体に同時に作用する世界初の二重作動薬です。臨床試験では最大約21%の体重減少が報告され、肥満治療の新しい選択肢として国際的に高い評価を得ています。

この記事では、EMAの承認経緯や臨床データ、副作用の情報までをわかりやすくお伝えします。正確な情報をもとに、ご自身の治療について医師と相談するためのきっかけにしていただければ幸いです。

目次 Outline

ゼップバウンドとは?チルゼパチドが肥満治療に使われる理由

ゼップバウンドの有効成分「チルゼパチド」は、GIPとGLP-1という2つの消化管ホルモンの受容体に作用する二重受容体作動薬であり、従来のGLP-1単独型の薬剤よりも強力な体重減少効果が確認されています。

GIPとGLP-1の両方に作用するから従来薬を超える効果が期待できる

チルゼパチドは、食後に分泌される2種類のインクレチンホルモン(GIPとGLP-1)の受容体を同時に活性化します。GLP-1は食欲を抑え、胃の内容物の排出を遅らせる作用がよく知られています。一方、GIPはインスリン分泌を促進するだけでなく、脂肪代謝にも関与するホルモンです。

この2つを同時に刺激することで、食欲抑制・満腹感の持続・エネルギー代謝の改善が複合的に起こります。セマグルチド(ウゴービなど)がGLP-1のみに作用するのに対し、チルゼパチドは二重の作用で、より大きな体重減少をもたらすことが臨床試験で証明されました。

米国ではゼップバウンド、欧州ではモンジャロとして流通している

チルゼパチドは世界各国で承認されていますが、商品名は地域によって異なります。米国では肥満治療薬として「ゼップバウンド(Zepbound)」、2型糖尿病治療薬として「モンジャロ(Mounjaro)」という2つのブランド名で販売されています。

欧州では、2型糖尿病と体重管理の両方の適応が「モンジャロ」という単一の商品名に統合されています。つまり、欧州には「ゼップバウンド」というブランドは存在せず、モンジャロとしてチルゼパチドが処方されるのが特徴です。

チルゼパチドの商品名と承認適応の比較

地域商品名承認された適応
米国(FDA)ゼップバウンド肥満・体重管理、閉塞性睡眠時無呼吸
米国(FDA)モンジャロ2型糖尿病
欧州(EMA)モンジャロ2型糖尿病および体重管理
日本マンジャロ2型糖尿病

週1回の皮下注射だから通院の負担が少ない

チルゼパチドは週1回、自分で皮下に注射するタイプの薬剤です。腹部・上腕・太ももに投与でき、毎週同じ曜日に打つだけなので、毎日服薬するタイプの薬に比べて治療の継続がしやすいといえるでしょう。

開始用量は2.5mgで、4週間ごとに2.5mgずつ増量し、最大15mgまで調整できます。食事療法と運動療法を併用しながら使うことが前提となっています。

BMI30以上、または27以上で体重関連の合併症がある成人が対象になる

ゼップバウンド(チルゼパチド)の適応対象は、BMI(体格指数)30以上の肥満に該当する方、もしくはBMI27以上で高血圧・脂質異常症・2型糖尿病・心血管疾患・閉塞性睡眠時無呼吸などの体重関連合併症がある方です。美容目的での使用は承認の対象外となっています。

欧州EMAによるチルゼパチド承認の経緯を時系列で振り返る

EMA(欧州医薬品庁)は、チルゼパチドを段階的に評価し、まず2型糖尿病の治療薬として承認した後、体重管理への適応拡大を認めました。この段階的アプローチは、安全性と有効性に関する十分なエビデンスを蓄積してから承認範囲を広げるという欧州規制当局の慎重な姿勢を反映しています。

2022年9月に2型糖尿病治療薬としてEMAが初めて承認した

2022年7月にCHMP(EMAの医薬品委員会)が肯定的な意見を採択し、同年9月15日に欧州委員会がチルゼパチド(モンジャロ)のEU全域での販売承認を正式に決定しました。この時点での適応は、成人の2型糖尿病に限定されていました。

5つの大規模臨床試験(SURPASSプログラム)の結果に基づき、血糖コントロールと体重減少の両面で優れた成績が示されたことが承認の根拠となりました。

2024年に体重管理の適応が加わり肥満治療薬として認められた

2023年11月のCHMP会議で体重管理への適応拡大について肯定的意見が出され、2024年4月に欧州委員会がKwikPen製剤について2つの適応(2型糖尿病と体重管理)での販売承認を付与しました。対象はBMI30以上の方、またはBMI27以上で少なくとも1つの体重関連合併症がある成人です。

欧州では米国のように「ゼップバウンド」という別ブランドを立てるのではなく、既存の「モンジャロ」の適応を拡大する形で肥満治療の承認が行われた点が特徴的です。

2025年12月にはCHMPが10歳以上の小児への適応拡大を推奨した

2025年12月11日、CHMPはモンジャロの2型糖尿病治療の適応を10歳以上の小児・青年にも拡大することを推奨しました。小児の2型糖尿病治療に使える薬はこれまでメトホルミンとインスリンに限られており、新たな治療選択肢として期待されています。

また、EMAは閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)についても検討を行い、チルゼパチドの体重管理効果がOSAの改善をカバーしているとの見解を示しました。米国FDAがOSAを独立した適応として承認したのとは異なるアプローチです。

EMAによるチルゼパチド承認の主な時系列

時期内容備考
2022年9月2型糖尿病で販売承認EU全域で有効
2024年4月体重管理の適応追加KwikPen製剤で承認
2025年12月小児(10歳以上)への適応拡大を推奨CHMP肯定的意見
2025年12月OSAへの別個の適応は不要との判断体重管理適応でカバー

米国FDAと欧州EMAのゼップバウンド承認を比較して分かること

同じチルゼパチドでありながら、米国FDAと欧州EMAでは承認のアプローチが異なります。FDAは肥満専用のブランド「ゼップバウンド」を新たに立てましたが、EMAは既存の「モンジャロ」の適応を拡大する方法を選びました。

FDAはゼップバウンドという独自ブランドで肥満適応を承認した

米国FDAは2023年11月、チルゼパチドを肥満治療薬として「ゼップバウンド」というブランド名で承認しました。2型糖尿病用の「モンジャロ」とは別のブランドとして位置づけることで、適応の違いが明確になっています。

さらに2024年12月には、ゼップバウンドの適応に中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸(肥満を伴う成人)が追加されました。これは肥満治療薬としてOSAの適応を持つ初の医薬品です。

EMAはモンジャロの適応拡大で体重管理を認めた

一方、EMAは「ゼップバウンド」というブランドを採用せず、モンジャロの販売承認条件を変更する形で体重管理の適応を追加しました。欧州の医師や患者にとっては、1つの薬剤名で糖尿病と体重管理の両方をカバーできるため、処方がシンプルになるメリットがあります。

FDAとEMAの承認アプローチの主な違い

項目米国FDA欧州EMA
肥満治療の商品名ゼップバウンドモンジャロ(同一名称)
肥満適応の承認時期2023年11月2024年
OSAの対応独立した適応として承認体重管理適応でカバー
小児適応(2型糖尿病)承認済み2025年12月に推奨

睡眠時無呼吸へのアプローチもFDAとEMAで異なっている

FDAはSURMOUNT-OSA試験の結果をもとに、チルゼパチドを中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸(肥満を伴う成人)の治療薬として独立に承認しました。この試験では、52週間の治療で無呼吸低呼吸指数(AHI)が大幅に改善されたことが報告されています。

一方、EMAのCHMPは同じデータを検討した結果、OSAに対する改善効果はチルゼパチドによる体重減少の恩恵としてすでに体重管理の適応でカバーされると結論づけました。このため、欧州ではOSAへの別個の適応承認は行われていません。

SURMOUNT臨床試験が証明したチルゼパチドの体重減少効果

チルゼパチドの体重管理における有効性は、SUMOUNTと呼ばれる大規模な第3相臨床試験プログラムで繰り返し証明されています。いずれの試験でも、従来の肥満治療薬を大きく上回る体重減少が報告されました。

SURMOUNT-1では72週間で最大20.9%の体重減少を達成した

SURMOUNT-1試験は、2型糖尿病のない肥満または過体重の成人2539名を対象に実施されました。72週間の投与後、チルゼパチド15mg群では平均20.9%の体重減少が見られ、プラセボ群の3.1%と比較して圧倒的な差がつきました。

さらに、15mg群の参加者の91%が5%以上の体重減少を達成し、57%が20%以上の減少を達成しています。この数値は、従来の肥満治療薬やGLP-1単独型の薬剤を大きく上回るものです。

2型糖尿病がある方でもSURMOUNT-2で有効性が確認された

SURMOUNT-2試験では、2型糖尿病と肥満を併せ持つ成人を対象にチルゼパチドの効果を評価しました。72週間の治療で、チルゼパチド15mg群は平均14.7%の体重減少を達成しています。糖尿病を持つ方は薬剤への体重減少反応がやや小さくなる傾向がありますが、それでも臨床的に意味のある減量効果が得られました。

3年間の長期追跡で糖尿病の発症リスクを大幅に下げた

SURMOUNT-1試験の176週間(約3年半)の長期追跡データでは、肥満と前糖尿病を持つ参加者において、チルゼパチド群は2型糖尿病への進行リスクをプラセボ群と比較して93%低下させました。15mg群では約19.7%の体重減少が3年間にわたって維持されていたことも報告されています。

肥満は2型糖尿病の主要な危険因子であるため、体重減少を通じた糖尿病の予防効果は公衆衛生上非常に大きな意味を持ちます。

SURMOUNT試験プログラムの主要結果

試験名対象主な結果(15mg群)
SURMOUNT-1糖尿病のない肥満成人72週で平均20.9%体重減少
SURMOUNT-22型糖尿病を伴う肥満成人72週で平均14.7%体重減少
SURMOUNT-4糖尿病のない肥満成人継続投与で25.3%の体重減少維持
SURMOUNT-1(3年)前糖尿病を伴う肥満成人糖尿病発症リスク93%低下

ゼップバウンド(チルゼパチド)の副作用と安全性を正しく知る

チルゼパチドの副作用は主に胃腸症状であり、投与初期の増量期に出やすいものの、多くは軽度から中等度で時間とともに軽減します。EMAの安全性監視体制のもと、副作用データが継続的に収集されています。

胃腸症状が中心で投与初期の増量期に起こりやすい

臨床試験で報告された主な副作用は、吐き気・下痢・嘔吐・便秘・腹痛・消化不良などの胃腸症状です。これらは投与量を段階的に増やしていく最初の20週間の増量期に集中して発生し、体が薬に慣れるにつれて軽減する傾向があります。

SURMOUNT-1試験では、副作用による治療中止率はチルゼパチド群で4.3〜7.1%、プラセボ群で2.6%でした。多くの方が治療を継続できていることから、胃腸症状は管理可能な範囲にあるといえるでしょう。

重篤な副作用の頻度は低いが甲状腺疾患の既往には注意が必要

チルゼパチドの添付文書には、甲状腺C細胞腫瘍に関する注意事項が記載されています。動物実験で甲状腺腫瘍との関連が確認されたためで、甲状腺髄様がんの個人歴や家族歴がある方、多発性内分泌腫瘍2型の方には使用が禁忌となります。

チルゼパチドの主な副作用

  • 吐き気(軽度〜中等度が中心で投与初期に多い)
  • 下痢・便秘などの消化器症状
  • 嘔吐(増量期に一時的に出やすい)
  • 注射部位の反応(発赤・かゆみなど)
  • 胆石症(大幅な体重減少に伴うリスク)

EMAの安全性監視体制が市販後のリスク管理を支えている

EMAは承認後も、薬剤の安全性を継続的に監視するファーマコビジランス(医薬品安全性監視)システムを運用しています。チルゼパチドについても、市販後の副作用報告が定期的に評価され、必要に応じて製品情報が更新されます。

2024年にはGLP-1受容体作動薬全体について自殺念慮との関連性が調査されましたが、EMAのファーマコビジランスリスク評価委員会は因果関係を支持するエビデンスは見つからなかったと結論づけています。このような継続的な安全性評価が、患者さんの安心につながります。

ゼップバウンドと他のGLP-1受容体作動薬はここが違う

チルゼパチドは、従来のGLP-1受容体作動薬にはないGIPとの二重作用を持つ点で根本的に異なり、直接比較試験(Head-to-head試験)でもセマグルチドを上回る体重減少効果が示されています。

セマグルチド(ウゴービ)はGLP-1のみに作用する薬剤

現在、肥満治療薬として広く使われているセマグルチド(商品名ウゴービ)は、GLP-1受容体のみに作用するモノアゴニスト(単一受容体作動薬)です。臨床試験では約15〜17%の体重減少が報告されており、心血管イベントの減少効果も確認されています。

一方、チルゼパチドはGIPとGLP-1の両方の受容体を活性化するため、食欲抑制と代謝改善の両面でより強力な効果を発揮します。動物実験のデータでは、GIPの活性化がGLP-1との相乗効果を生むことが示されています。

Head-to-head試験のSURMOUNT-5でゼップバウンドが優位に立った

2024年12月に発表されたSURMOUNT-5試験は、チルゼパチドとセマグルチド(ウゴービ)を直接比較した初の第3b相臨床試験です。糖尿病のない肥満成人751名を対象に72週間追跡した結果、チルゼパチド群は平均20.2%、セマグルチド群は平均13.7%の体重減少を達成しました。

チルゼパチド群ではセマグルチド群に対して47%大きな体重減少が見られ、25%以上の体重減少を達成した割合もチルゼパチド群が31.6%に対しセマグルチド群は16.1%でした。この結果は、チルゼパチドの二重作用が確かな臨床的優位性をもたらしていることを裏付けています。

心不全との関連ではSUMMIT試験が新しい効果を示した

SUMMIT試験は、駆出率保持型心不全(HFpEF)と肥満を持つ731名の患者を対象に行われた試験です。チルゼパチドを投与した群では、心血管死亡または心不全悪化の複合エンドポイントのリスクが46%低下したことが報告されています。

肥満はHFpEFの主要なリスク因子であり、体重減少が心不全の症状改善につながることが明確に示されたのは画期的です。EMAはこのデータも踏まえてモンジャロの評価を進めています。

  • チルゼパチドはGIPとGLP-1の二重受容体作動薬
  • セマグルチド(ウゴービ)はGLP-1単独型の受容体作動薬
  • SURMOUNT-5で直接比較した結果、チルゼパチドが47%大きな体重減少
  • SUMMIT試験で心不全イベントのリスク低減効果が報告された

日本でゼップバウンドの承認を待つ方が準備しておきたいこと

欧州EMAの承認は、チルゼパチドが国際的な安全性・有効性基準を満たしている証です。日本でも2型糖尿病治療薬としてチルゼパチド(マンジャロ)は承認済みですが、肥満治療への適応拡大については正式な動向を注視する必要があります。

EMAの承認は世界的な信頼の裏付けになっている

EMAは世界で最も厳格な医薬品規制当局の1つであり、そのEMAが体重管理の適応を正式に認めたことは、チルゼパチドの有効性と安全性に対する国際的な信頼を高めるものです。FDA、EMA、そして英国MHRAといった複数の規制当局がそれぞれの審査を経てチルゼパチドを承認しており、科学的エビデンスの強固さが示されています。

チルゼパチドに関する主要な国際承認状況

規制当局2型糖尿病体重管理
米国FDA2022年5月承認2023年11月承認
欧州EMA2022年9月承認2024年承認
英国MHRA承認済み2023年11月承認
日本PMDA承認済み(マンジャロ)今後の動向を注視

肥満治療薬だけに頼らず食事や運動の見直しも並行して行う

チルゼパチドをはじめとする肥満治療薬は、食事療法と運動療法を併用することを前提に承認されています。SURMOUNT-4試験では、チルゼパチドを中止すると1年以内に体重の大部分が戻ることが報告されており、肥満が慢性疾患であることを物語っています。

薬物療法はあくまで包括的な肥満治療の一部であり、バランスの取れた食事と定期的な身体活動を継続することが、長期的な体重管理と健康維持に欠かせない土台です。医師と相談しながら、自分に合った治療計画を立てることが大切です。

必ず主治医に相談してから治療を検討してほしい

インターネットで得られる情報はあくまで参考であり、治療の判断はかかりつけの医師と一緒に行ってください。体質や持病、服用中の薬との相互作用など、個人ごとに考慮すべき要素は異なります。

肥満症は慢性疾患であり、一朝一夕では解決できません。しかし、チルゼパチドのような新しい治療選択肢が増えていることは、肥満に悩む多くの方にとって希望の光となるはずです。焦らず、正しい情報をもとに一歩ずつ前に進んでいきましょう。

よくある質問

ゼップバウンドの有効成分チルゼパチドは欧州EMAで肥満治療薬として承認されていますか?

はい、チルゼパチドは欧州EMAで体重管理の適応を持つ医薬品として承認されています。ただし、欧州では「ゼップバウンド」というブランド名ではなく、「モンジャロ」という商品名で処方されます。

EMAは2024年に、モンジャロの適応にBMI30以上(またはBMI27以上で体重関連合併症がある場合)の成人の体重管理を追加しました。米国FDAが「ゼップバウンド」という別ブランドで肥満適応を承認したのとは異なるアプローチです。

ゼップバウンド(チルゼパチド)の臨床試験ではどのくらい体重が減りましたか?

SURMOUNT-1試験において、チルゼパチド15mg群は72週間で平均20.9%の体重減少を達成しました。これはプラセボ群の3.1%と比較して非常に大きな差です。

さらに、3年間の長期追跡データでは、15mg群で約19.7%の体重減少が維持されていたことが報告されています。2型糖尿病を併せ持つ方を対象にしたSURMOUNT-2試験でも、15mg群で14.7%の体重減少が確認されました。

ゼップバウンド(チルゼパチド)の主な副作用にはどのようなものがありますか?

チルゼパチドで報告されている主な副作用は、吐き気・下痢・嘔吐・便秘・腹痛などの胃腸症状です。多くは軽度から中等度であり、投与開始後の増量期に集中して発生します。体が薬に慣れるにつれて症状は軽減していく傾向があります。

重篤な副作用の発生頻度は低いですが、甲状腺髄様がんの既往がある方や多発性内分泌腫瘍2型の方には使用できません。治療を始める前に、持病や服用中の薬について必ず医師に伝えてください。

ゼップバウンド(チルゼパチド)とウゴービ(セマグルチド)の違いは何ですか?

チルゼパチド(ゼップバウンド)はGIPとGLP-1の2つのホルモン受容体に作用する二重受容体作動薬です。一方、セマグルチド(ウゴービ)はGLP-1受容体のみに作用する単一受容体作動薬となっています。

直接比較したSURMOUNT-5試験では、チルゼパチド群が平均20.2%の体重減少を達成し、セマグルチド群の13.7%を大きく上回りました。どちらの薬剤にも利点がありますので、ご自身に適した治療薬については担当医と相談されることをお勧めします。

ゼップバウンド(チルゼパチド)は日本で肥満治療薬として使えますか?

日本では、チルゼパチドは「マンジャロ」という商品名で2型糖尿病治療薬としてすでに承認されています。しかし、肥満治療(体重管理)を目的とした適応については、2026年4月時点では正式な承認を確認できていません。

米国ではゼップバウンドとして2023年に、欧州ではモンジャロの適応拡大として2024年に肥満治療薬として承認されています。日本での肥満治療への適応拡大に関する動向は、厚生労働省やPMDAの公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人 Wrote this article

大木 沙織 大木皮ふ科クリニック 副院長

皮膚科医/内科専門医/公認心理師 略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。 所属:日本内科学会