昭和37〜53年(1962〜1978年)生まれの男性は、子どものころに風疹ワクチンを接種する機会がありませんでした。この世代を対象に、国の制度として風疹の抗体検査とMRワクチン接種が無料で受けられます。

クーポン券はお住まいの市区町村から届き、全国の対応医療機関で利用できます。まず採血による抗体検査を受け、抗体が不十分と判定された場合にワクチンを無料で接種する流れです。

この記事では、クーポンの受け取り方から検査・接種の手順、風疹特有の発疹と他の皮膚症状との見分け方まで、知っておきたい情報を整理しました。お手元にクーポンがある方も、まだ届いていない方も、ぜひ最後までご覧ください。

昭和37〜53年生まれの男性は風疹の抗体検査とワクチン接種が無料

この世代の男性は、風疹の抗体検査もワクチン接種も自己負担なしで受けられます。厚生労働省が2019年から開始した制度で、対象者には市区町村からクーポン券が届く仕組みです。

項目内容
対象者昭和37年4月2日〜昭和54年4月1日生まれの男性
費用抗体検査・ワクチン接種ともに無料
必要書類クーポン券+本人確認書類
利用場所全国の対応医療機関・職場健診

対象は1962年4月2日〜1979年4月1日生まれの男性全員

対象となるのは、昭和37年(1962年)4月2日から昭和54年(1979年)4月1日までに生まれた男性です。この期間に生まれた方は、当時の予防接種制度のもとで風疹ワクチンの定期接種を受ける機会がなかった世代にあたります。

年齢でいえば、2026年現在でおよそ47〜64歳の男性が該当します。すでに風疹にかかったことがある方や、過去にワクチンを任意接種した方であっても、まず抗体検査で自分の免疫状態を確認しておくことをおすすめします。

2018〜2019年の大流行が無料制度のきっかけ

2018年から2019年にかけて、日本国内で5000件を超える風疹の報告がありました。感染者の約8割は成人男性で、特に40〜50代に集中していたことが大きな問題となりました。この流行を受けて、厚生労働省は2019年2月から追加的対策として抗体検査とワクチン接種の無料化を開始しています。

風疹そのものは比較的軽い症状で治まるケースが多い感染症です。しかし、妊娠初期の女性が感染すると、お腹の赤ちゃんに先天性風疹症候群(CRS)という重い障害を引き起こす恐れがあります。そのため、社会全体で免疫を高めることが求められています。

クーポン券が届いたらまず有効期限を確認しよう

クーポン券には有効期限が記載されています。届いたらまず期限をチェックし、期限内に抗体検査を受けるように予定を立ててください。期限が切れてしまった場合でも、市区町村の窓口で再発行を受けられるケースがほとんどです。

「忙しくて後回しにしているうちに期限が過ぎてしまった」という方も少なくありません。再発行の手続きは電話1本で済む自治体も多いので、まずはお住まいの市区町村に問い合わせてみましょう。

なぜ昭和37〜53年生まれの男性だけが風疹にかかりやすいのか

この世代の男性は、子ども時代に風疹ワクチンを接種する機会そのものがなかったため、抗体を持たない割合が極めて高い集団です。日本の過去のワクチン政策と自然感染の減少が組み合わさった結果、免疫の空白地帯が生まれました。

女子のみを対象にしていたかつてのワクチン政策

日本で風疹ワクチンの定期接種が始まったのは1977年のことです。当初は「妊娠する可能性のある女性を守る」という方針から、中学生の女子のみが接種対象でした。男子はワクチン接種の対象外とされていたのです。

その後1995年に男女ともに幼児期に接種する制度へ変更されましたが、すでに中学生以上になっていた昭和37〜53年生まれの男性は新制度の恩恵を受けられませんでした。結果として、この世代だけがワクチン接種の「空白世代」として取り残されています。

自然感染が減り抗体を持たないまま大人になった世代

ワクチンが普及する以前は、多くの子どもが自然に風疹にかかり、免疫を獲得していました。ところがワクチン接種が広がるにつれて風疹の流行が小さくなり、自然感染で抗体を得る機会も減少していきました。

ワクチンを打っておらず、かつ自然感染もしなかった男性が、抗体を持たないまま大人になっているケースが多く見られます。国の抗体保有率調査でも、この世代の男性は他の世代より抗体保有率が明らかに低いことが示されています。

「自分は子どものころに風疹にかかったはず」と記憶している方もいるかもしれません。しかし記憶だけでは確実とはいえず、別のウイルス性発疹症と混同していた可能性もあります。抗体検査を受ければ、客観的な数値で免疫の有無を確認できます。

先天性風疹症候群を防ぐために男性の免疫が欠かせない

先天性風疹症候群(CRS)とは、妊娠初期に母親が風疹に感染したとき、胎児に心臓の異常や難聴、白内障などの障害が生じる疾患です。2012〜2013年の流行時には日本国内で45例のCRSが報告されました。

妊婦本人がワクチンを接種できない以上、周囲の人が免疫を持つことが予防の鍵となります。パートナーや同僚の男性が風疹にかからなければ、妊婦への感染リスクも大幅に減らせるでしょう。「自分には関係ない」と思いがちですが、社会全体の免疫を底上げするうえで、この世代の男性の協力が特に大切です。

  • CRSの主な症状:先天性心疾患、難聴、白内障の3つが代表的
  • 発症リスクが高い時期:妊娠12週未満の感染で特にリスクが上昇
  • 予防の基本:妊婦の周囲にいる人がワクチンで免疫をつけること

風疹クーポン券の届き方と届かなかった場合の再発行手順

クーポン券は市区町村から対象者の自宅へ郵送で届きます。届いたら中身を確認し、記載内容に不備がないかチェックしてください。届かない場合や紛失してしまった場合でも、再発行の手続きは簡単です。

市区町村から届く封筒の中身と書類の見方

封筒にはクーポン券のほか、制度の案内チラシと対応医療機関のリストが同封されていることが一般的です。クーポン券には氏名・生年月日・クーポン番号・有効期限が印字されています。医療機関を受診する際には、このクーポン券と本人確認書類(運転免許証や健康保険証など)が必要になります。

クーポン券は風疹抗体検査用とワクチン接種用に分かれている場合があります。切り離さずにそのまま医療機関へ持参してください。

クーポン利用から接種完了までの流れ

順番やること備考
1クーポン券の受け取り届かない場合は市区町村に連絡
2対応医療機関で抗体検査採血のみ、約30分
3検査結果の受け取り約1〜2週間後に通知
4抗体不十分ならワクチン接種MRワクチンを無料で接種

クーポンを紛失したり届かない場合の問い合わせ先

クーポン券が届いていない方や、届いたけれど紛失してしまった方は、住民票のある市区町村の保健センターや予防接種担当窓口へ連絡すれば再発行を受けられます。多くの自治体では電話での申請も可能で、1〜2週間程度で新しいクーポンが届くことが多いようです。

自治体によっては窓口で即日発行してもらえる場合もあります。お急ぎの方は、まず電話で確認してから窓口へ足を運ぶとスムーズでしょう。

引っ越し後でもクーポンは使える

転居した場合は、旧住所の自治体から届いたクーポンが使えなくなることがあります。引っ越し先の市区町村で改めて発行手続きを行ってください。手続き自体は転入届を出した際に案内されることもありますが、案内がなかった場合は自分から保健センターへ連絡する必要があります。

なお、全国どこの対応医療機関でもクーポンを利用できるため、居住地と勤務先の都道府県が異なる方でも、職場近くの医療機関で受けることが可能です。

風疹抗体検査の受け方と検査結果が示す意味

検査は採血のみで完了し、痛みや身体への負担はほとんどありません。結果は約1〜2週間で届き、抗体が十分かどうかが数値ではっきりわかります。

全国の医療機関や職場健診で受けられる

風疹の抗体検査は、クーポンに対応している全国の医療機関(内科・小児科・皮膚科など)で受けられます。事前に予約が必要な施設もあるため、受診前に電話やホームページで確認しておくと安心です。

厚生労働省は職場の定期健康診断に合わせて風疹抗体検査を受けられるよう企業へ働きかけています。勤務先の健診で同時に受けられるケースもあるので、総務や人事部門に確認してみてください。健診のついでに受ければ、別途時間を取る手間が省けます。

採血だけで終わる検査当日の流れと所要時間

検査当日は、受付でクーポン券と本人確認書類を提出し、問診票に記入したあと採血を行います。採血量は少量で、所要時間は受付から採血まで含めて30分程度が目安です。食事制限は原則として不要ですが、念のため受診先に確認しておくと良いでしょう。

結果は後日郵送または次回受診時に伝えられます。結果の通知方法は医療機関によって異なるため、受診時に確認しておきましょう。

HI法の基準値と検査結果の読み方

抗体検査には主にHI法(赤血球凝集抑制法)が使われます。HI法の結果は「抗体価」と呼ばれる数値で示され、8倍未満であれば「抗体なし(陰性)」、8倍以上であれば「抗体あり」と判定されるのが一般的です。

HI抗体価判定対応
8倍未満陰性(抗体なし)MRワクチン接種を推奨
8〜16倍低抗体価ワクチン接種を検討
32倍以上十分な抗体あり接種不要

国の無料接種の基準では、HI抗体価が8倍未満の場合にワクチン接種の対象となります。ただし、16倍以下でも感染リスクが残るとする見解もあるため、結果について不安がある場合は医師に相談してみてください。

抗体が不十分だった場合はMRワクチンを無料で接種できる

抗体検査で「陰性」または「低抗体価」と判定された方は、MR(麻しん風しん混合)ワクチンを無料で接種できます。検査結果とクーポン券を持って対応医療機関を受診してください。

ワクチン接種が推奨される抗体価の基準

国の制度上、HI抗体価が8倍未満の場合にMRワクチンの無料接種の対象になります。検査を行った医療機関から結果とあわせて「ワクチン接種が推奨される」旨の通知が届くこともあります。

MRワクチンは風疹と麻しん(はしか)の両方に対する免疫を一度に獲得できるワクチンです。麻しんの抗体が十分あっても、風疹の抗体が不足していれば接種の対象となりますので、検査結果を持参のうえ医療機関で相談しましょう。

MRワクチン接種当日の流れ

接種当日は、受付でクーポン券・検査結果通知書・本人確認書類を提示します。医師による問診で体調や既往歴を確認したあと、上腕に皮下注射でワクチンを接種します。接種自体は数分で終わり、接種後は15〜30分ほど院内で経過を観察するのが一般的です。

接種後すぐに帰宅しても問題ないケースがほとんどですが、まれにアレルギー反応が出ることがあります。体調に変化があればすぐに医療スタッフへ伝えてください。

なお、ワクチン接種は抗体検査を受けた医療機関と別の施設で受けることも可能です。通勤経路上の医療機関を選べば、仕事帰りに立ち寄ることもできるでしょう。

接種後に起こりうる副反応と生活上の注意点

MRワクチン接種後に見られる副反応としては、注射部位の痛みや腫れ、軽い発熱などがあります。多くの場合、数日以内に自然に治まるため、過度に心配する必要はありません。

副反応頻度の目安持続期間
注射部位の腫れ・痛み10〜20%程度1〜3日
発熱(37.5℃以上)5〜15%程度1〜3日
発疹数%数日〜1週間
関節痛まれ1〜2週間

接種当日の激しい運動や大量の飲酒は控えるようにしましょう。入浴は問題ありませんが、注射部位を強くこすらないよう注意してください。女性の場合は接種後2か月間の避妊を医師から勧められることがありますが、男性にはこの制限はありません。

風疹の発疹は他の皮膚疾患と紛らわしい

風疹に感染すると、全身に淡い紅色の発疹が広がることがあります。ただし、この発疹は他の皮膚疾患や感染症でも類似の症状が出るため、自己判断は禁物です。

風疹で現れる発疹の特徴と現れやすい部位

風疹の発疹は、直径2〜3mm程度の淡い紅色の斑点状で、かゆみはあっても軽い場合がほとんどです。まず顔から現れ、1〜2日のうちに体幹から手足へと広がっていきます。発熱やリンパ節の腫れ(特に耳の後ろや首の後ろ)を伴うことが多いのも特徴といえるでしょう。

発疹は通常3日前後で消失するため、「三日はしか」とも呼ばれます。ただし、成人では発熱や関節痛が長引くケースもあるため注意が必要です。

風疹の発疹は跡が残ることはほとんどなく、色素沈着もまれです。一方で、成人が風疹にかかると小児よりも症状が重くなりやすく、高熱が出たり関節の痛みが数週間続くこともあります。発疹以外の症状にも気を配りましょう。

麻疹・薬疹・蕁麻疹との見分け方

麻疹(はしか)の発疹は風疹より色が濃く、融合して大きな斑になりやすい点が異なります。また、麻疹は高熱(39〜40℃)が4〜5日続き、咳や結膜の充血を伴うことが多いのに対し、風疹の発熱は比較的軽度で短期間です。

薬疹はアレルギー反応によるもので、服用中の薬との関連が手がかりになります。蕁麻疹は盛り上がったかゆみの強い発疹が出ますが、数時間〜1日で消退と再出現を繰り返す点が風疹とは異なります。いずれも見た目だけでは判別が難しいことがあるため、発疹が現れたら早めに医療機関を受診してください。

  • 風疹:淡い紅色の小さな斑点、耳の後ろのリンパ節腫脹、3日前後で消退
  • 麻疹:濃い紅色で融合しやすい発疹、高熱・咳・結膜充血を伴う
  • 薬疹:服薬歴との関連、左右対称に出やすい、かゆみが強いことがある

発疹が出たら受診前にまず電話連絡を

風疹が疑われる発疹が出た場合は、医療機関へ直接行く前にまず電話で相談してください。風疹は飛沫感染で広がるため、待合室で他の患者さん、特に妊婦の方へうつしてしまう恐れがあります。

電話では、発疹の出方・発熱の有無・周囲に風疹の患者がいたかどうかを伝えると、医療機関側も受け入れ態勢を整えやすくなります。マスクを着用し、指定された時間帯や入口から受診するようにしましょう。

風疹は発疹が出る1週間前から感染力を持つため、本人が気づかないうちに周囲へうつしている可能性もあります。職場や家庭で流行の情報を耳にしたら、早めに抗体検査を検討することも予防の一つです。

よくある質問

Q
風疹の抗体検査はどこで受けられますか?
A

風疹の抗体検査は、全国のクーポン対応医療機関で受けられます。内科や小児科のほか、皮膚科でも対応している施設があります。厚生労働省のホームページや市区町村の案内に対応医療機関のリストが掲載されているので、お近くの施設を探してみてください。

職場の定期健康診断と同時に受けられるケースもあります。勤務先の健診担当部門に確認してみると、わざわざ別の日に医療機関を訪れる手間が省ける場合もあるでしょう。

Q
風疹のクーポン券に有効期限はありますか?
A

風疹のクーポン券には有効期限が設定されています。期限はクーポン券面に記載されていますので、届いたらすぐに確認してください。期限を過ぎてしまった場合でも、お住まいの市区町村に連絡すれば再発行を受けられます。

制度自体は延長が繰り返されており、対象者であれば現在も利用可能です。手元にクーポンがない方は、自治体の保健センターや予防接種窓口に問い合わせてみましょう。

Q
風疹のワクチン接種後に注意すべき副反応にはどのようなものがありますか?
A

MRワクチン接種後に見られる主な副反応は、注射部位の痛みや腫れ、軽い発熱です。いずれも軽度で1〜3日以内に治まることがほとんどです。まれに発疹や関節痛が出ることもありますが、通常は数日から1〜2週間で自然に回復します。

重いアレルギー反応(アナフィラキシー)はごくまれですが、接種後15〜30分間は院内で待機し、異変を感じたらすぐに医療スタッフへ伝えてください。帰宅後に高熱や強い発疹が現れた場合も、接種を受けた医療機関に連絡しましょう。

Q
風疹の抗体検査で十分な抗体があると判定されたらワクチン接種は不要ですか?
A

HI抗体価が32倍以上であれば十分な免疫があると判定され、ワクチン接種は原則として不要です。抗体が十分にある方は、風疹に感染するリスクが低いと考えられています。

ただし、抗体価は年月の経過とともに低下する場合もあります。将来的に不安がある方や、妊娠を希望するパートナーがいる方は、かかりつけ医に相談して今後の方針を決めておくと安心です。

Q
風疹の抗体検査は何分くらいで終わりますか?
A

風疹の抗体検査は採血のみで行われ、受付から終了まで30分程度が目安です。採血自体は数分で終わります。特別な食事制限や前日からの準備は原則として不要ですが、医療機関の指示がある場合はそれに従ってください。

検査結果が出るまでには1〜2週間程度かかるのが一般的です。結果の受け取り方法は、郵送・電話・次回受診時の説明など医療機関によって異なりますので、検査時に確認しておきましょう。

参考文献