ニキビ治療の第一選択薬として広く処方されるベピオゲルとディフェリンゲルですが、最大の違いはその作用のアプローチにあります。
ベピオゲルは「殺菌作用」と「ピーリング作用」の2つを強力に併せ持ち、特に炎症を起こして赤く腫れているニキビに対して直接的な効果を発揮するのが特徴です。
一方、ディフェリンゲルは「毛穴の詰まりを改善する作用」に特化しており、ニキビの前段階である微小面ぽうや白ニキビの改善、そして新しいニキビの予防を得意とします。
ご自身の今の肌状態が痛みを伴う炎症中心なのか、それともザラつきや毛穴詰まりが主体なのかを見極めることが非常に大切です。
医師と相談しながらご自身の肌質に合った最適な薬剤を選択することが、滑らかで健やかな肌を取り戻すための重要な第一歩となります。
成分と基本作用の違い
ベピオゲルとディフェリンゲルはどちらも現代のニキビ治療における主役級の塗り薬ですが、配合されている有効成分が異なり、肌への働きかけ方が根本的に違います。
それぞれの成分が持つ特性やメカニズムを正しく理解することで、なぜその薬が処方されたのか、どのような効果が期待できるのかが明確に見えてきます。
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)の酸化作用
ベピオゲルの有効成分である過酸化ベンゾイルは、海外では半世紀以上前からニキビ治療のスタンダードとして使われてきた歴史ある成分です。
この成分の最大の特徴は強力な酸化作用にあります。肌に塗布されると、成分が分解される過程でフリーラジカルという活性酸素を発生させます。
このフリーラジカルがニキビの原因菌であるアクネ菌の細胞膜や細胞壁を直接破壊し、菌が生きていけない環境を作ることで高い殺菌効果を発揮します。
一般的な抗生物質は細菌の増殖プロセスを阻害するものですが、過酸化ベンゾイルは細菌の構造そのものを物理化学的に破壊するというアプローチをとります。
そのため、長期間使用しても菌が薬に慣れてしまう「耐性菌」が発生しにくいという、治療において非常に大きな利点を持っています。
さらに、酸化作用によって角質同士の結合を緩め、古くなって硬くなった角質を剥がれやすくするマイルドなピーリング働きも併せ持っています。
この働きによって、毛穴の出口を塞いでいる詰まりを解消しつつ、内部の原因菌を叩くというダブルの効果が期待できるのがベピオゲルの強みです。
主要な作用と特徴の比較
| 項目 | ベピオゲル | ディフェリンゲル |
|---|---|---|
| 有効成分 | 過酸化ベンゾイル | アダパレン |
| 殺菌作用 | あり(強力) | なし |
| 角質への作用 | 角質を剥離する(ピーリング) | 角化を調整し詰まりを防ぐ |
| 耐性菌リスク | なし | なし(殺菌剤ではないため) |
ディフェリンゲル(アダパレン)の分化抑制
ディフェリンゲルの有効成分であるアダパレンは、ビタミンA誘導体に似た構造を持つナフトエ酸誘導体と呼ばれる成分です。
この成分は、皮膚の細胞にある核内受容体に結合し、表皮の角化細胞の分化を正常化させるという、遺伝子レベルでの働きかけを行います。
ニキビができる肌では、毛穴の出口付近の角質が異常に厚く硬くなり、皮脂の通り道を塞いでしまう現象が起きています。
アダパレンはこの角質が厚くなるプロセスを抑制し、毛穴の詰まりを取り除くことで、ニキビの始まりである「面ぽう」ができにくい環境を作ります。
直接的な殺菌作用は持ちませんが、アクネ菌が増殖する住処である毛穴の詰まりそのものを解消することで、結果的にニキビの悪化を防ぎます。
つまり、ベピオゲルが「菌を殺して詰まりも取る」攻めの姿勢なら、ディフェリンゲルは「肌の環境を整えてニキビを作らせない」守りの姿勢と言えます。
ニキビの種類による使い分け
ニキビには、初期段階の白ニキビから炎症が進んだ赤ニキビ、さらに膿を持った黄ニキビなど、進行度によって様々な状態が存在します。
それぞれの段階で肌内部で起きている現象や優先すべきケアが異なるため、症状に合わせて適した薬剤を選択することが治療成功の鍵となります。
赤ニキビ(炎症性皮疹)へのアプローチ
赤く腫れ上がり、触れると痛みを伴うこともある赤ニキビは、毛穴の中でアクネ菌が爆発的に増殖し、炎症物質を放出している危険な状態です。
この段階では、何よりも優先して原因となっているアクネ菌を速やかに減らし、拡大する炎症を鎮める処置が必要となります。
そのため、強力かつ即効性のある殺菌作用を持つベピオゲルが、赤ニキビ治療において非常に高い効果を発揮します。
ベピオゲルは塗布後すぐに肌の上で分解され、素早くアクネ菌を攻撃するため、炎症の鎮静化を早めることが期待できるのです。
ディフェリンゲルも毛穴の詰まりを取ることで間接的に炎症の改善を助けますが、即効性のある殺菌力という点ではベピオゲルに軍配が上がります。
炎症が広範囲に及び重症度が高い場合は、塗り薬だけでなく抗生物質の内服や外用を併用して、内側と外側から一気に叩くこともあります。
赤ニキビ治療におけるポイント
- アクネ菌の増殖を抑えるスピードが重要になります。
- 炎症が強い場合は殺菌作用のある薬剤を優先して使用します。
- 腫れや痛みが引いた後も、再発防止のケアが必要になります。
白ニキビ・黒ニキビ(面ぽう)への効果
白ニキビや黒ニキビは、まだ炎症は起きていないものの、毛穴に過剰な皮脂や古い角質が詰まってしまっている状態です。
この段階で適切な処置を行うことで、炎症を伴う赤ニキビへの進行を防ぎ、ニキビ痕を残さずにきれいに治すことが可能になります。
このタイプには、毛穴の詰まりを解消する能力に長けたディフェリンゲルが、その特性を最大限に活かして非常に有効に働きます。
角質のターンオーバーを正常化し、塞がった毛穴を開放することで、内部に溜まった皮脂の排出をスムーズに促すことができるからです。
ベピオゲルにもピーリング作用があるため効果はありますが、毛穴の微細な構造変化に働きかけ、根本的な環境改善を図る点ではディフェリンゲルが第一選択です。
特に、顔全体に細かいザラつきや白ニキビが多発しているような肌質の方には、ディフェリンゲルによる全顔治療が推奨されることが多いです。
膿を持った黄ニキビへの対応
炎症が激化し、中心部に膿が溜まってしまった黄ニキビは、組織が破壊されニキビ痕(あと)を残すリスクが極めて高い危険な状態です。
真皮層までダメージが及んでいる可能性があるため、自己判断で潰したりせず、早急かつ慎重な医学的治療が必要となります。
この場合、ベピオゲルの殺菌作用で菌を叩くと同時に、抗生物質(ダラシンやアクアチムなど)を併用して炎症を強力に抑え込む戦略がとられます。
また、膿の排出を促すためにディフェリンゲルを併用し、毛穴の出口を柔らかくして排膿しやすい環境を作るアプローチも有効です。
ただし、黄ニキビができている肌は非常にデリケートで刺激に弱くなっていることが多いため、副作用の出方を見ながら慎重に薬剤を使用することが大切です。
副作用の出方と皮膚への刺激
ベピオゲルもディフェリンゲルも高い治療効果が期待できる反面、使い始めには皮膚への刺激症状が出やすいという特徴を持っています。
これは薬が効いている証拠でもありますが、予期せぬ不快感から自己判断で使用を中止してしまう原因にもなりかねません。
事前にどのような副作用が起こり得るかを知り、適切な対処法を理解しておくことが、治療を継続し成功させるための鍵となります。
ベピオゲルの刺激感と接触皮膚炎
ベピオゲルを使用する際、最も注意が必要なのが「接触皮膚炎(かぶれ)」と呼ばれるアレルギー反応の可能性です。
使用者の数パーセントに、強い赤み、パンパンに腫れるような浮腫、激しい痒み、水疱などが現れることがあります。
これとは別に、使い始めにピリピリとした刺激感や乾燥、軽い赤みを感じることがありますが、これは薬の作用による一時的な刺激症状であることが多いです。
しかし、単なる刺激症状なのか、治療を中止すべきアレルギー反応なのかの見極めは、患者様ご自身では難しい場合もあります。
目安として、塗布した範囲を大きく超えて赤みが広がったり、顔全体が腫れ上がったりする場合はアレルギーの可能性が高いと言えます。
そのような症状が出た場合は、直ちに使用を中止し、水で洗い流した上で、速やかに処方された医療機関を受診してください。
主な副作用の特徴と経過
| 症状の特徴 | ベピオゲル | ディフェリンゲル |
|---|---|---|
| 主な症状 | 赤み、ヒリヒリ感、乾燥、かぶれ | 乾燥、落屑(皮剥け)、赤み、痒み |
| 発現時期 | 使用直後〜数日以内 | 使用開始1〜2週間がピーク |
| アレルギー | 約3%の確率で発生(使用中止が必要) | 稀(主に刺激症状) |
| 漂白作用 | 髪や服に付くと脱色する可能性あり | なし |
ディフェリンゲルの随伴症状(レチノイド反応)
ディフェリンゲルの使用開始後、多くの人に現れるのが、乾燥、皮剥け、ヒリヒリ感、赤みといった一連の皮膚症状です。
これらは「随伴症状」や「レチノイド反応」と呼ばれ、薬が角質の代謝を促進し、薄くしている過程で必然的に起こる反応です。
通常、使い始めてから1週間以内に症状が現れ始め、2週間頃にピークを迎え、肌が薬に慣れてくるにつれて1ヶ月程度で自然に治まることがほとんどです。
アレルギー反応とは異なり、この症状は薬がしっかりと効いている効果の裏返しでもあるため、過度に恐れる必要はありません。
保湿を十分に行いながら使用を継続することが推奨されますが、痛みが強すぎて日常生活に支障が出る場合は、使用頻度を減らすなどの調整が必要です。
例えば、「2日に1回」や「3日に1回」のペースに落とし、肌の状態が落ち着いてから徐々に毎日の使用に戻していく方法が有効です。
使用方法と塗布のタイミング
ベピオゲルとディフェリンゲルは、一般的な市販の保湿クリームとは異なり、使用量やタイミングに医学的な推奨ルールがあります。
間違った使い方をすると、期待する効果が得られないばかりか、副作用を不必要に強めてしまい、治療の挫折につながる恐れがあります。
正しい使用手順を守り、毎日のライフスタイルの中に適切に組み込むことが、最短距離で美肌を手に入れるための近道です。
洗顔後のスキンケアとの兼ね合い
基本的には、洗顔を行い、化粧水や乳液などでしっかりと保湿をした「後」に薬剤を塗布する手順が推奨されています。
洗顔直後の何もつけていない無防備な肌に直接塗布すると、薬剤の浸透が良すぎて刺激を強く感じてしまうことがあるためです。
保湿剤が肌に十分に馴染み、表面の水分やベタつきが落ち着いてから、患部だけでなくニキビができやすいエリア全体に塗り広げます。
初めて使用する場合や、肌が敏感で刺激が心配な場合は、乳液やクリームの後に塗ることで、油膜が緩衝材となり刺激を軽減させることができます。
医師から特定の指示がある場合はそれに従いますが、治療中は肌のバリア機能を保つためにも、普段以上に丁寧な保湿を行うことが大切です。
塗布時の注意点リスト
- 清潔な手で適量を指先に取り出します。
- 目や口の周り、粘膜、傷口は避けて塗布します。
- 擦り込まず、優しく肌に乗せるように広げます。
1日1回就寝前の塗布が基本である理由
どちらの薬剤も、原則として1日1回、入浴後の清潔な肌に対し、就寝前に使用することが強く推奨されています。
これには明確な理由があります。日中は紫外線や汗、メイクなどの外的刺激が多く、薬剤によって敏感になった肌には負担が大きすぎるからです。
また、夜寝ている間は成長ホルモンが分泌され、細胞の修復や再生が活発に行われる時間帯でもあります。
このゴールデンタイムに合わせて薬剤を作用させることで、肌の再生サイクルを整え、効率的にニキビ治療を進めることができます。
朝起きた後は、洗顔料を使って寝ている間に浮き出た皮脂や汚れ、そして残った薬剤をきれいに洗い流すことが必要です。
紫外線対策の重要性と注意点
これらの薬を使用している期間は、肌表面の角質層が薄くなり、外部刺激に対するバリア機能が一時的に低下しています。
そのため、普段よりも紫外線に対して非常に敏感になっており、わずかな日差しでもダメージを受けやすい状態にあります。
紫外線を浴びると、シミや色素沈着の原因になるだけでなく、活性酸素が発生し、ニキビの炎症をさらに悪化させる可能性もあります。
治療中は、季節や天候に関わらず、低刺激の日焼け止めを毎日使用し、徹底した紫外線対策を行うことが不可欠です。
また、帽子や日傘を活用し、物理的に紫外線を遮断する工夫も有効です。特に長時間屋外にいる場合は、こまめな塗り直しを心がけてください。
妊娠中・授乳中の使用可否
女性にとって、妊娠や授乳期はホルモンバランスの急激な変化により、これまでにないほどニキビができやすい時期でもあります。
しかし、大切なお腹の赤ちゃんや授乳中の乳児への影響を考慮すると、使える薬は非常に限られてくるのが現実です。
このデリケートなライフステージにおけるベピオゲルとディフェリンゲルの安全性については、明確な違いが存在します。
母子の安全を第一に考えた適切な選択をするために、それぞれの薬剤の扱いについて詳しく確認していきましょう。
ベピオゲルの安全性評価
ベピオゲルの有効成分である過酸化ベンゾイルは、皮膚に塗布されると速やかに分解されて安息香酸という物質に変化します。
この安息香酸は食品添加物としても広く使われている成分であり、体内への吸収量もごくわずかであることが分かっています。
そのため、妊娠中や授乳中であっても、治療を行うことの有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合には、使用可能とされています。
もちろん、自己判断は禁物であり、必ず主治医に妊娠中または授乳中であることを伝え、許可を得てから使用を開始することが必要です。
比較的安全性が高いとされるため、妊娠中に悪化したニキビ治療の有力な選択肢として提示されることが多い薬剤です。
妊婦・授乳婦への対応区分
| 対象 | ベピオゲル | ディフェリンゲル |
|---|---|---|
| 妊娠中 | 有益性投与(医師判断で使用可) | 禁忌(絶対に使用不可) |
| 妊娠希望 | 使用可能 | 避けることが望ましい |
| 授乳中 | 使用可能(胸部への塗布は避ける) | 避けることが望ましい |
ディフェリンゲルの禁忌事項
一方、ディフェリンゲルは妊娠中の使用が添付文書上で明確に「禁忌(やってはいけないこと)」と定められています。
成分のアダパレンはビタミンA誘導体様作用を持ち、動物実験において大量投与による催奇形性(胎児に奇形が生じる可能性)が報告されているためです。
人での外用による奇形発生の報告は明確にはありませんが、リスクを完全に否定できないため、安全のために使用は厳禁とされています。
また、現在妊娠していなくても、近い将来に妊娠を希望している場合は、念のために使用を控えることが推奨されます。
授乳中の使用については、母乳への成分移行に関するデータが十分ではないため、基本的には避けるか、使用する場合は授乳を中止することが望ましいです。
ライフステージに合わせた選択肢
ニキビ治療は数ヶ月から年単位の長期にわたることが多いため、将来の妊娠計画なども含めて医師と相談することが大切です。
もし治療中に妊娠が判明した場合は、パニックにならずに速やかに薬剤の使用を中止し、かかりつけの医師に相談してください。
妊娠の可能性がある場合は、最初からディフェリンゲルを避け、ベピオゲルやアゼライン酸など、他の安全性の高い治療法を選択することが賢明です。
併用療法と他の薬剤との相性
ニキビの状態によっては、1種類の薬だけでは十分な効果が得られず、治療が停滞してしまうことがあります。
そのため、作用機序の異なる複数の薬を組み合わせる「併用療法」が、皮膚科の現場では一般的に行われています。
しかし、薬同士には相性があり、混ぜ合わせることで効果が落ちたり、副作用が強まったりすることもあるため注意が必要です。
抗生物質(ダラシン・アクアチム)との併用
炎症が強い赤ニキビに対しては、ベピオゲルやディフェリンゲルに加えて、抗菌剤(抗生物質)であるダラシンやアクアチムが併用されることがよくあります。
特にベピオゲルと抗生物質の併用は、治療ガイドラインでも強く推奨されている効果的な組み合わせです。
ベピオゲルが酸化作用で菌を破壊し、抗生物質が菌の増殖を阻害することで、互いの効果を高め合う相乗効果が期待できるからです。
また、ベピオゲルには耐性菌を作らせない働きがあるため、抗生物質の弱点である耐性菌の出現リスクを抑えることにも繋がります。
この組み合わせにより、単剤で使用するよりも早く、確実に炎症を鎮めることができるため、中等症以上のニキビ治療の要となります。
保湿剤(ヒルドイド等)の塗る順番
ベピオゲルやディフェリンゲルの副作用である乾燥や皮剥けを防ぐために、ヘパリン類似物質などの保湿剤を併用することは非常に重要です。
塗る順番については、患者様の肌状態や刺激の感じ方によって調整されますが、一般的には「保湿剤」→「ニキビ治療薬」の順が推奨されます。
先にたっぷりと保湿剤を塗ることで、肌の水分量を保ち、薬剤の浸透を適度にコントロールするクッションの役割を果たします。
逆に、薬剤の効果を最大限に高めたい場合や、肌が強く副作用の心配が少ない場合は、洗顔後に薬剤を塗り、その上から保湿をすることもあります。
ご自身の肌がどれくらい刺激に耐えられるかを見極めながら、医師の指示に従って最適な順番を見つけていくことが大切です。
主な合剤と単剤の成分対応
| 合剤の名称 | 配合成分1 | 配合成分2 |
|---|---|---|
| デュアック配合ゲル | 過酸化ベンゾイル(ベピオ) | クリンダマイシン(抗生物質) |
| エピデュオゲル | 過酸化ベンゾイル(ベピオ) | アダパレン(ディフェリン) |
| ベピオローション | 過酸化ベンゾイル | (保湿効果を高めた製剤) |
デュアック配合ゲルやエピデュオゲルとの関係
近年では、2つの有効成分を最初から1本のチューブに配合した便利な「合剤」も多く登場しています。
「デュアック配合ゲル」はベピオゲル成分とダラシン成分を、「エピデュオゲル」はベピオゲル成分とディフェリンゲル成分を混ぜ合わせたものです。
これらは、別々に2種類の薬を塗る手間を省き、塗り忘れや塗布順序の間違いを防ぐことができるという大きなメリットがあります。
また、成分が最も効果を発揮できるように安定した状態で配合されているため、単剤の併用よりも高い治療効果が期待できます。
ただし、副作用もそれぞれの成分のものが同時に現れる可能性があるため、使用開始時の肌状態の観察はより慎重に行うことが求められます。
治療期間と効果実感までの目安
ニキビ治療は「塗って翌日に治る」という魔法のような即効性があるものではなく、ある程度の根気が必要な治療です。
肌の細胞が生まれ変わるターンオーバーの周期に合わせて、じっくりと腰を据えて取り組む姿勢が成功への近道となります。
途中で諦めずに治療を続けるためにも、効果が現れるまでの目安の期間と、治療のゴール設定について正しく理解しておきましょう。
急性期の炎症を抑えるまでの期間
赤ニキビなどの炎症が活発にある「急性期」においては、治療を開始してから効果を実感するまでに時間がかかります。
早くて2週間、通常は2〜3ヶ月程度継続して初めて、明らかな改善が見られるようになることが一般的です。
特に最初の数週間は、薬の副作用による乾燥や赤みが出る時期と重なるため、「悪化したのではないか」と不安になりがちです。
しかし、この期間は肌が良い方向へ変わろうとしている準備期間であり、ここを乗り越えることが非常に重要です。
3ヶ月経過した時点で、炎症性皮疹がどの程度減ったかが、治療効果を判定し、次の方針を決めるひとつの大きな区切りとなります。
治療段階と期間の目安
| フェーズ | 期間の目安 | 目的 |
|---|---|---|
| 急性期 | 開始〜3ヶ月 | 今ある炎症ニキビを治す |
| 副作用ピーク | 開始〜1ヶ月 | 肌が薬に慣れるまでの期間 |
| 維持期 | 3ヶ月〜1年以上 | 再発を防ぎ、ニキビのできにくい肌を作る |
維持療法としての継続使用
目に見える赤いニキビが治ったからといって、すぐに薬をやめてしまうのは再発の元であり、非常にもったいないことです。
見た目はきれいになっていても、肌の内部には、まだ目に見えない「微小面ぽう」というニキビの種が潜んでいる可能性が高いからです。
これを放置すると、数週間から数ヶ月で再びニキビが顔を出し、治療前の状態に戻ってしまうことが少なくありません。
きれいな肌状態を保つための期間を「維持期」と呼び、この期間もベピオゲルやディフェリンゲルの使用を続けることが推奨されます。
継続的な使用によって、毛穴の詰まりを未然に防ぎ、ニキビができにくいツルツルの肌質へと根本的に改善していくことができます。
維持療法は、個人の肌状態にもよりますが、少なくとも半年から1年程度、あるいはそれ以上続けることが望ましいとされています。
耐性菌リスクの有無と長期的視点
長期使用を考える際、多くの患者様が心配されるのが「薬の使いすぎで効き目が悪くなるのではないか」という耐性菌の問題です。
この点において、ベピオゲルとディフェリンゲルは非常に優秀な特性を持っており、安心して使い続けることができます。
ベピオゲルの酸化作用に対して菌は防御策を持つことができず、ディフェリンゲルも菌に直接作用しないため、耐性が生まれる余地がありません。
したがって、どちらの薬剤も何年使っても効果が減弱することなく、常に安定した治療効果を発揮し続けることができます。
これこそが、これらの薬剤が現代のニキビ治療のグローバルスタンダードとして確固たる地位を築いている大きな理由なのです。
よくある質問
ベピオゲルとディフェリンゲルの違いや具体的な使い分けについて、日々の診療で患者様から頻繁に寄せられる疑問をまとめました。
ご自宅でのケアに迷った際や不安を感じた時の参考として、ぜひお役立てください。
- Q化粧水や乳液はどのタイミングで使えばいいですか?
- A
洗顔後、タオルで優しく水分を拭き取ったら、時間を空けずにすぐに化粧水や乳液で保湿を行ってください。
その際、肌をパンパンと叩いたり擦ったりせず、手のひらで包み込むように優しく馴染ませるのがポイントです。
保湿剤が肌にしっかりと浸透し、表面のベタつきが落ち着いて乾いた状態になってから、最後に薬剤を塗布します。
ニキビができている部分だけでなく、できやすいエリア全体に薄く均一に塗り広げるようにしてください。
この順番をしっかりと守ることで、薬剤による刺激を最小限に抑えつつ、効果的に作用させることができます。
- Q塗った後にヒリヒリする場合でも使い続けて良いですか?
- A
使い始めの2週間から1ヶ月程度は、ヒリヒリ感、乾燥、赤み、皮剥けなどの症状が出ることが非常によくあります。
日常生活に支障がない程度の我慢できる範囲であれば、保湿をいつも以上に強化しながら継続することをお勧めします。
使い続けるうちに肌が薬に慣れ、徐々に不快な症状が落ち着いてくることがほとんどだからです。
ただし、夜も眠れないほどの激しい痛みや、顔全体がパンパンに腫れ上がるような強い反応が出た場合は注意が必要です。
その場合はアレルギーやかぶれの可能性がありますので、直ちに使用を中止し、早めに処方医に相談してください。
- Q背中や胸のニキビにも顔と同じように使えますか?
- A
はい、顔だけでなく、背中やデコルテ(胸元)などの体幹部にできるニキビにも使用することが可能です。
ただし、これらの部位は顔に比べて皮膚が厚いため、薬の成分が浸透しにくく、効果が出るまでに時間がかかる傾向があります。
また、ベピオゲルを使用する場合、成分に漂白作用があるため、衣類や寝具、タオルなどに付着すると色が抜けてしまうことがあります。
塗布後は薬が完全に乾くまで待ち、さらに色落ちしても構わない白いインナーや寝具を使用するなどの工夫が必要です。
- Q薬を塗っている期間中に化粧をしても問題ないですか?
- A
基本的には、治療中であってもお化粧をしていただくことに問題はありませんのでご安心ください。
ただし、カバー力の高いリキッドファンデーションやコンシーラーの厚塗りは、毛穴を物理的に塞いでしまいます。
その結果、せっかく薬で毛穴の詰まりを取ろうとしている効果を打ち消し、ニキビを悪化させる原因になることがあります。
できるだけ油分の少ないミネラルファンデーションやパウダータイプのものを選ぶと肌への負担を減らせます。
また、「ノンコメドジェニックテスト済み」と表記された、ニキビになりにくいことが確認された化粧品を選ぶのも賢い選択です。
