ベピオやディフェリンの使用開始直後に現れる赤みや皮むけ、ヒリヒリ感は、薬が効いている証拠とも言える反応であり、多くの患者様が経験します。

これらの症状は「随伴症状(ずいはんしょうじょう)」と呼ばれ、肌が薬に慣れる過程で起こる一時的なものであり、過度な心配は不要です。

自己判断で治療を中断せず適切なスキンケアと使用量の調整を行うことで、不快な症状を最小限に抑えながらニキビのない美しい肌を目指せます。

この記事では副作用のピーク期間や正しい対処法、肌を守る生活習慣について詳しく解説します。正しい知識を持つことが治療成功への第一歩となります。

目次
  1. ベピオとディフェリンが作用する仕組みと副作用が起こる理由
    1. ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)の酸化作用と角層剥離
    2. ディフェリンゲル(アダパレン)の分化抑制作用
    3. 副作用ではなく「効果の現れ」と捉える重要性
  2. 赤み・皮むけ・ヒリヒリ感などの具体的な症状の特徴
    1. 化粧水がしみるほどのバリア機能低下
    2. 皮膚がポロポロと剥がれ落ちる落屑(らくせつ)
    3. 入浴時や洗顔後に強まる痒みと熱感
  3. 副作用のピーク期間と肌が慣れるまでのタイムライン
    1. 使用開始から3日〜1週間:症状の発現期
    2. 2週間前後:随伴症状のピーク
    3. 1ヶ月以降:耐性の獲得と安定期
  4. 刺激を最小限に抑える正しい塗り方と使用量
    1. 1FTU(ワンフィンガーチップユニット)の目安
    2. 洗顔後の保湿を先に行うプロアクティブ療法
    3. 避けるべき部位と塗り広げ方のコツ
  5. 治療期間中に適したスキンケアと紫外線対策
    1. 摩擦レスな洗顔とクレンジングの選び方
    2. 高保湿・低刺激な保湿剤の活用
    3. 徹底した紫外線防御の必要性
  6. 使用を中止すべき「アレルギー性接触皮膚炎」との見極め
    1. 範囲を超えた強い腫れと滲出液
    2. 我慢できないほどの強い痒みと発疹
    3. 休薬と再開の判断基準
  7. 肌の回復を助ける食事と生活習慣のポイント
    1. ビタミンB群とタンパク質の積極的な摂取
    2. 質の高い睡眠と成長ホルモン
    3. 物理的な刺激を避ける工夫
  8. よくある質問

ベピオとディフェリンが作用する仕組みと副作用が起こる理由

ベピオ(過酸化ベンゾイル)とディフェリン(アダパレン)は、毛穴の詰まりを根本から解消するために、肌のターンオーバーを強制的に促進させる作用を持っています。

赤みや皮むけといった副作用は、薬が角質層に働きかけ、古い角質を剥がして新しい肌へと入れ替える過程で生じる、いわば「工事中の騒音」のようなものです。

肌が薬剤に慣れるまでの期間に特に強く現れる傾向がありますが、これを乗り越えることが、繰り返すニキビの連鎖を断ち切るための重要な関門となります。

ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)の酸化作用と角層剥離

ベピオの主成分である過酸化ベンゾイルは、強力な酸化作用(フリーラジカルの産生)を利用して、ニキビの原因菌であるアクネ菌を殺菌します。

抗生物質とは異なり、菌の構造自体を破壊するため、長期間使用しても耐性菌(薬が効かない菌)が発生しにくいという大きなメリットがあります。

同時に、厚くなった角質を化学的に剥がれやすくするピーリング効果(角層剥離作用)を発揮し、詰まった毛穴を開放へと導きます。

このピーリング効果こそが治療の要ですが、急激に角質が剥がれることで肌のバリア機能が一時的に低下し、乾燥や赤みを引き起こす原因となります。

特に使い始めの肌は、この酸化作用という外部からの刺激に対して敏感に反応するため、随伴症状が顕著に現れやすくなるのです。

ディフェリンゲル(アダパレン)の分化抑制作用

ディフェリンの主成分であるアダパレンは、ビタミンA誘導体(レチノイド)に似た構造を持ち、表皮の細胞にある特定の受容体に結合して作用します。

表皮の角化細胞の分化を抑制することで、角層が過剰に厚くなるのを防ぎ、毛穴が詰まらないようにコントロールする働きを持っています。

つまり、未熟な角質も含めて古い皮膚が剥がれ落ちるサイクルを早めるため、皮膚の代謝が通常よりも急激に活発になります。

その結果、皮膚が薄くなったように感じたり、乾燥して粉を吹いたような状態(落屑)になったりという反応が見られるようになります。

新しい皮膚が急ピッチで作られる過程で、一時的に知覚過敏のような状態になり、普段は何でもない刺激でヒリヒリ感を感じることがあります。

副作用ではなく「効果の現れ」と捉える重要性

多くの患者様が、鏡に映る赤くなった自分の顔を見て、「肌に合わないサインだ」「薬が強すぎて危険だ」と誤解し、使用を中止してしまいます。

しかし、これらの症状は薬が正常に作用し、長年蓄積された毛穴の閉塞を改善しようと戦っている証拠であり、治療の効果が出ているサインでもあります。

医学的にはこれらを「副作用」と分類しますが、治療の過程で避けて通れない「随伴症状」として、前向きに理解することが大切です。

肌が新しい環境に適応しようとしている一時的な反応と捉え、自己判断で止めずに治療を継続する姿勢が、最終的な美肌への近道となります。

それぞれの薬剤には作用の違いがあり、それに伴って現れやすい反応の傾向も少しずつ異なりますので、以下の表で整理します。

作用機序と主な反応の違い

薬剤名主な作用特徴的な反応
ベピオ殺菌作用
角層剥離作用
赤みが強く出やすい
かぶれのリスクがある
ディフェリン角化抑制作用乾燥・皮むけが顕著
ヒリヒリ感が強い
共通毛穴詰まりの改善使用初期の刺激感
バリア機能の一時的低下

赤み・皮むけ・ヒリヒリ感などの具体的な症状の特徴

治療開始から数日以内に現れる具体的な症状をあらかじめ知っておくことで、いざ症状が出た時に慌てず冷静に対処することができます。

主な症状には、皮膚の赤み(紅斑)、皮がむける(落屑)、乾燥、ヒリヒリとした刺激感、そして痒みがあり、これらは複合的に現れることが多いです。

顔全体に均一に現れることもあれば、皮膚の薄い目元や口元、あるいはフェイスラインなどで特に強く不快感を感じることもあります。

化粧水がしみるほどのバリア機能低下

角質層が薄くなることで、外部刺激に対する防御力が物理的に低下し、普段使い慣れている化粧品さえも刺激物に感じられることがあります。

化粧水や乳液を塗った瞬間に「しみる」「痛い」と感じるのは、肌のバリア機能が一時的に弱まり、成分が神経に近い部分まで浸透しやすくなっているためです。

特にアルコール(エタノール)成分が含まれている製品や、ビタミンC誘導体などの美白成分が高濃度で配合されている製品は、強い痛みを伴うことがあります。

この時期は「攻めのスキンケア」ではなく、何よりも低刺激を優先した「守りのスキンケア」に切り替え、肌への負担を減らす選び方が重要です。

皮膚がポロポロと剥がれ落ちる落屑(らくせつ)

日焼けをした後に皮がむけるのと同じように、薄い皮膚がポロポロと剥がれ落ち、顔全体が粉を吹いたような状態になる症状が見られます。

鏡で見ると気になり、つい指でこすったり、スクラブ洗顔で無理やり取り除こうとしたりしたくなりますが、これは絶対に避けてください。

無理に剥がすと、まだ準備ができていない未熟な皮膚が空気にさらされ、赤みや痛みがさらに悪化し、回復が遅れる原因となります。

自然に剥がれ落ちるのを待ち、保湿クリームやワセリンをたっぷりと塗って乾燥を防ぐことで、見た目の荒れを目立たなくすることが大切です。

ファンデーションが綺麗に乗らず、メイク崩れもしやすくなりますが、この時期はメイクの厚塗りを避け、肌負担の少ないパウダーなどで軽くカバーするのが賢明です。

具体的な随伴症状の特徴をリストアップしましたので、ご自身の肌の状態と照らし合わせて確認してみてください。

主な随伴症状リスト

  • 皮膚の赤み(紅斑):日焼けをした後のような赤さが、顔全体や塗布部に広がる。
  • 皮むけ(落屑):白い粉を吹いたようになったり、薄皮がめくれたりする。
  • 乾燥感(ドライスキン):肌が突っ張るように感じ、常に潤いが不足している感覚がある。
  • 刺激感(ヒリヒリ):化粧水や洗顔料がしみたり、何もしていなくてもピリピリ痛む。
  • そう痒感(かゆみ):我慢できる範囲のムズムズとした痒みが生じる。

入浴時や洗顔後に強まる痒みと熱感

血行が良くなる入浴中や入浴後、または洗顔直後に、顔全体が火照るような熱感や、ムズムズとした痒みを強く感じることがあります。

痒いからといって爪を立てて掻いてしまうと、脆くなっている皮膚に簡単に傷がつき、そこから細菌が入ってニキビが悪化する恐れがあります。

さらに、掻く刺激によってメラノサイトが活性化し、炎症後色素沈着という茶色いシミのような跡が残ってしまうリスクも高まります。

痒みが強い場合は、保冷剤をタオルで巻いて患部を冷やしたり、冷たいタオルを顔に乗せたりして、物理的な刺激を与えずに鎮静させることが有効です。

副作用のピーク期間と肌が慣れるまでのタイムライン

副作用はずっと続くわけではなく、一定の期間を過ぎれば肌が薬剤への耐性を獲得し、症状は嘘のように沈静化していきます。

一般的には使用開始から2週間程度がピークであり、1ヶ月から2ヶ月経つ頃には気にならないレベルまで落ち着くことが臨床的にも明らかになっています。

この「耐性獲得」までの期間を、いかにモチベーションを保って乗り切れるかが、ニキビ治療の成否を分ける最大のポイントと言っても過言ではありません。

使用開始から3日〜1週間:症状の発現期

塗り始めてすぐに副作用が出る人もいれば、数日経ってから徐々に肌の質感の変化や違和感を感じ始める人もいます。

最初の1〜2日間は何も感じなくても、3日目あたりから急に赤みや乾燥が増し、洗顔時にピリッとした痛みを感じるケースが多く見られます。

この時期に「薬が強すぎるのではないか」「自分の肌には合わないのではないか」と不安になりがちですが、多くの場合、通常の反応の範囲内です。

鏡を見るのが辛くなることもありますが、これは治療効果が出始める予兆であり、肌が変わり始めている証拠だと理解し、冷静に経過を観察することが大切です。

症状の出方は個人差が大きいため、以下のタイムラインを目安にしつつ、ご自身の肌の変化を焦らず見守ってください。

時期ごとの症状推移

経過期間肌の状態・症状レベル必要な心構え
開始〜3日目変化なしか、軽度の乾燥・違和感変化がなくても規定量を塗布する
1週間〜2週間【ピーク期】赤み・皮むけ・痛み辛い時期だが保湿を強化して耐える
3週間〜1ヶ月症状が徐々に和らぎ始める自己判断で止めず継続する
2ヶ月以降副作用はほぼ消失、肌質改善維持療法として習慣化する

2週間前後:随伴症状のピーク

多くの患者様にとって、使用開始から2週間前後が最も副作用を辛く感じ、治療を断念したくなる時期かもしれません。

赤みが強くなり、皮むけも目立つようになるため、人前に出るのが億劫になったり、メイクで隠しきれずにストレスを感じたりすることもあります。

しかし、ここが一番の踏ん張りどころであり、この山さえ越えれば肌は必ず落ち着きを取り戻していきます。

この時期に自己判断で塗る量を極端に減らしたり、完全にやめてしまったりすると、十分な治療効果が得られず、元の木阿弥になってしまいます。

医師の指示に従いながら、保湿ケアをこれまで以上に徹底し、肌をいたわりながら乗り越える忍耐強さが必要です。

1ヶ月以降:耐性の獲得と安定期

個人差はありますが、1ヶ月から1ヶ月半ほど継続して使用すると、肌が薬の作用に慣れ、「耐性の獲得」と呼ばれる状態になります。

赤みやヒリヒリ感が徐々に引き、皮むけも治まってきて、肌の手触りが以前よりもツルツルとしていることに気づくはずです。

この頃になると、新しいニキビができにくくなっていることを実感でき、治療へのモチベーションも再び高まってきます。

副作用が落ち着いたからといって治療を終了するのではなく、良い状態を維持するために継続して使用することが、ニキビの再発を防ぐ鍵となります。

刺激を最小限に抑える正しい塗り方と使用量

副作用の強さは、体質だけでなく、塗る量や範囲、そして塗り方によってある程度コントロールすることが可能です。

「たくさん塗れば早く治る」と考えて必要以上に多く塗ったり、強く擦り込んだりすることは、副作用を不必要に悪化させる原因となります。

医師の指示を守りつつ、肌の状態に合わせて塗り方を工夫することで、随伴症状を許容範囲内に抑えながら賢く治療を続けることができます。

1FTU(ワンフィンガーチップユニット)の目安

顔全体に塗る場合の適量は、大人の人差し指の先から第一関節までの長さ(約0.5g)と言われており、これを1FTU(FingerTipUnit)と呼びます。

チューブから出した薬剤を、額、両頬、鼻、顎の5点に置き、そこから顔全体に優しく塗り広げることで、ムラなく均一に塗布することができます。

ニキビができている部分だけに「点」で塗るのではなく、ニキビができやすいエリア全体に「面」で広げることが、予防効果を高めるために重要です。

しかし、使い始めの時期や刺激を強く感じる場合は、最初から1FTU全量を使わず、少なめからスタートし、徐々に量を増やしていく方法も有効です。

洗顔後の保湿を先に行うプロアクティブ療法

通常は洗顔後の清潔な肌に直接薬を塗ることが推奨されますが、刺激を緩和するために、先に保湿剤を塗るテクニックがあります。

化粧水や乳液、クリームで肌を十分に整え、保湿成分の膜を作ってから、ワンクッション置いてベピオやディフェリンを塗布します。

これにより、薬剤の吸収速度が緩やかになり、急激な刺激をマイルドにすることができるため、痛みが苦手な方には特におすすめです。

効果が著しく落ちることはないため、副作用が辛い時期には無理をせず、この方法を取り入れて治療を継続することを優先してください。

具体的な塗り方の手順やポイントを以下にまとめましたので、毎日のスキンケアの際に意識してみてください。

塗り方のポイント

  • 使用量:人差し指の第一関節分(1FTU)が顔全体の目安となる。
  • 順序:洗顔→たっぷり保湿→薬剤塗布(刺激緩和のため)。
  • 範囲:ニキビの上だけでなく、ニキビができやすいゾーン全体に塗る。
  • 回避:目元、口元、小鼻のキワ、傷のある部分は避けて塗る。
  • 洗浄:塗り終わったら、指に残った薬を必ず石鹸で洗い流す。

避けるべき部位と塗り広げ方のコツ

皮膚が薄く敏感な部位には、薬が付着しないように細心の注意が必要であり、誤って付着すると強い炎症を引き起こすことがあります。

目の周り、口角(唇の端)、小鼻の脇、首などは副作用が強く出やすい場所なので、これらの部位を避けて塗るのが鉄則です。

どうしても付着してしまう場合は、あらかじめワセリンなどをこれらの部位に塗って保護膜を作っておくと、薬剤の浸透を防ぐことができます。

塗る際は、肌をこすらないように優しく広げ、薬剤が指に残っていると、無意識に触れた目や首に付着することがあるため、塗布後は必ず手を洗いましょう。

治療期間中に適したスキンケアと紫外線対策

ベピオやディフェリンを使用している期間は、バリア機能が低下し、肌が非常にデリケートな状態になっています。

普段使っている化粧品が合わなくなることも多いため、治療のパートナーとなるスキンケアアイテムを見直すことが大切です。

「落とす」「潤す」「守る」の基本ステップにおいて、肌への優しさを最優先に考えた選択をすることが、副作用の軽減に直結します。

摩擦レスな洗顔とクレンジングの選び方

洗顔は、たっぷりの泡をクッションにして、手が直接肌に触れないように洗う「摩擦レス」を徹底してください。

熱いお湯は必要な皮脂まで取りすぎて乾燥を招くため、体温よりも少し低いぬるま湯ですすぐことが重要です。

クレンジング料は、洗浄力が強すぎるオイルタイプよりも、肌への負担が少ないジェルタイプやミルクタイプ、あるいは油脂系オイルが良いでしょう。

スクラブ入りやピーリング効果のある洗顔料、拭き取りタイプのクレンジングは、刺激が強すぎるため、治療中は使用を控えるのが賢明です。

毎日のスキンケアにおいて、具体的にどのようなアイテムを選び、何を避けるべきかを表にまとめました。

スキンケアのOK/NG

カテゴリー推奨(OK)避けるべき(NG)
洗顔たっぷりの泡、ぬるま湯
マイルドな洗浄力
スクラブ、ゴシゴシ洗い
熱いお湯、酵素洗顔
保湿セラミド配合、敏感肌用
ノンコメドジェニック
アルコール高配合
拭き取り化粧水
紫外線対策ノンケミカル日焼け止め
日傘、帽子
直射日光への露出
日焼けサロン

高保湿・低刺激な保湿剤の活用

保湿は副作用対策の要であり、いかに水分と油分を補ってバリア機能をサポートするかが鍵となります。

セラミド、ヒアルロン酸、アミノ酸などの保湿成分が配合された、保湿力の高い敏感肌用の製品を選ぶようにしましょう。

また、「ノンコメドジェニックテスト済み」の表記がある製品を選ぶことで、化粧品の油分による毛穴詰まりのリスクを減らすことができます。

アルコール(エタノール)フリー、無香料、無着色など、余計な添加物が含まれていないシンプルな処方のものが、敏感になった肌には適しています。

徹底した紫外線防御の必要性

治療中の肌は角質が薄くなっており、紫外線によるダメージをダイレクトに受けやすい状態になっています。

紫外線を無防備に浴びると、赤みが悪化したり、炎症後色素沈着が残りやすくなったりするため、徹底的な対策が必要です。

外出時は、曇りの日や短時間の外出であっても、必ず日焼け止めを使用することを習慣づけてください。

日焼け止めも、紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)のものや、石鹸で落とせるタイプなど、肌への負担が少ないものを選ぶと良いでしょう。

帽子や日傘、サングラスなどの物理的な遮光アイテムも併用することで、より確実に肌を守ることができます。

使用を中止すべき「アレルギー性接触皮膚炎」との見極め

赤みや皮むけの多くは、薬の作用による「刺激性」の反応ですが、稀に薬剤そのものに対する「アレルギー」反応(接触皮膚炎)を起こす場合があります。

アレルギーの場合は、我慢して使い続けると重篤な状態になりかねないため、直ちに使用を中止する必要があります。

通常の副作用とアレルギー反応の違いを見極めることは難しい場合もありますが、以下のポイントを参考に、適切な判断をすることが重要です。

範囲を超えた強い腫れと滲出液

薬を塗った部分だけでなく、塗っていないまぶたや首までパンパンに腫れ上がったり、顔全体が真っ赤になったりする場合は要注意です。

また、皮膚から黄色い汁(滲出液)が出てジュクジュクしている状態も、通常の副作用の範囲を超えており、強い炎症が起きているサインです。

このような強い炎症反応が見られた場合は、アレルギー性接触皮膚炎の可能性が高いため、すぐに使用を中止し、処方された医療機関を受診してください。

通常の副作用とアレルギー反応には明確な違いがあり、それを知っておくことで、いざという時に冷静な判断ができます。

刺激反応とアレルギー反応の違い

比較項目刺激性接触皮膚炎(副作用)アレルギー性接触皮膚炎
発生時期使用開始直後〜数週間使用開始後いつでも(数ヶ月後も)
症状の範囲塗った場所に限局する塗っていない部分へも広がる
皮膚の状態乾燥、皮むけ、軽度の赤み強い腫れ、汁が出る、水ぶくれ
対処法保湿強化、回数調整で継続可直ちに使用中止し受診

我慢できないほどの強い痒みと発疹

随伴症状としての痒みは「ムズムズする」「時々痒い」程度であることが多いですが、アレルギーの場合は痒みの質と強さが異なります。

夜も眠れないほどの激しい痒みや、皮膚を掻きむしりたくなるような衝動がある場合は、体が拒絶反応を示している可能性があります。

また、塗布部位にブツブツとした細かい発疹が急激に多発する場合も、アレルギー反応の疑いがあるため、注意が必要です。

自分の感覚を信じ、「いつもの肌荒れとは違う」「明らかにおかしい」と感じたら、無理をして使い続けず、医師の診断を仰いでください。

休薬と再開の判断基準

副作用が辛い場合は、自己判断で完全にやめてしまうのではなく、まずは使用頻度や接触時間を調整して様子を見ることをおすすめします。

「隔日使用(1日おき)」や「3日に1回」など、肌を休ませる日を作ることで、副作用をコントロールしながら肌を慣れさせることができます。

また、塗布時間を短くし、15分〜30分後に洗い流す「ショートコンタクト療法」という方法も、効果を維持しつつ刺激を減らす有効な手段です。

それでも症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、医師の指導のもと、別の薬剤(抗菌薬や漢方薬など)に変更するなどの選択肢を検討しましょう。

肌の回復を助ける食事と生活習慣のポイント

薬による治療効果を最大限に引き出し、副作用からの回復を早めるためには、外側からのケアだけでなく、体の内側からのケアも重要です。

肌を作る材料となる栄養素をバランスよく摂取し、ターンオーバーを整える生活習慣を心がけることで、バリア機能の修復を強力にサポートします。

薬だけに頼るのではなく、生活全体を見直すことが、結果としてニキビの治癒を早め、再発しにくい健康な肌を作ることにつながります。

ビタミンB群とタンパク質の積極的な摂取

皮膚や粘膜の健康維持に役立つビタミンB2やB6は、皮脂のバランスを整え、肌荒れを防ぐために欠かせない栄養素です。

レバー、卵、納豆、青魚などに多く含まれているため、毎日の食事で意識的に取り入れるようにしましょう。

また、皮膚の主成分であるタンパク質も不足しないように、肉、魚、大豆製品などからしっかりと摂取することが大切です。

これらに加えて、抗酸化作用のあるビタミンC(果物や野菜)やビタミンE(ナッツ類)をバランスよく摂ることで、炎症の鎮静化を助けます。

肌の健康を支える具体的な栄養素と、それらを多く含む食品をリストアップしましたので、献立選びの参考にしてください。

肌の健康を支える栄養素一覧

栄養素主な働き多く含まれる食品
ビタミンB2脂質代謝、皮膚の保護レバー、卵、乳製品、納豆
ビタミンB6タンパク質代謝、ホルモン調整カツオ、マグロ、バナナ、鶏肉
ビタミンCコラーゲン生成、抗酸化パプリカ、ブロッコリー、柑橘類
タンパク質肌細胞の材料肉、魚、大豆製品、卵

質の高い睡眠と成長ホルモン

「寝不足は肌の大敵」と言われる通り、睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌の修復と再生に深く関わっています。

特に、入眠直後の深い眠りの時間に多くのホルモンが分泌されるため、スムーズに入眠できる環境を整えることが重要です。

日付が変わる前にベッドに入り、最低でも6〜7時間の睡眠時間を確保することが、美肌への近道となります。

スマホのブルーライトを寝る前に避けるなど、リラックスできる工夫をし、質の高い睡眠をとることで、副作用で傷ついた肌の回復力が向上します。

物理的な刺激を避ける工夫

髪の毛先が顔に触れたり、頬杖をついたりする何気ない物理的な刺激は、敏感になっている肌にとって大きな負担となります。

髪はまとめる、なるべく顔に触れないように意識する、マスクの素材を肌に優しいもの(シルクや綿など)に変えるなどの工夫が必要です。

また、枕カバーやシーツなどの寝具をこまめに洗濯し、清潔に保つことも、細菌の繁殖を防ぎ、肌環境を守る上で大切です。

洗顔後のタオルの拭き方ひとつとっても、ゴシゴシ擦るのではなく、優しく押さえるように水分を拭き取るなど、丁寧な動作を心がけましょう。

よくある質問

治療を進める中で、多くの患者様が疑問に思う点や不安に感じることをまとめました。

Q
治療中に化粧や日焼け止めを使っても大丈夫ですか?
A

基本的には問題ありません。むしろ、紫外線から肌を守るために日焼け止めは重要ですし、メイクで赤みを隠すことは精神的な負担を減らす助けになります。

ただし、肌が非常に敏感になっているため、石鹸で落とせるタイプや、ノンコメドジェニック(ニキビができにくい処方)の製品を選ぶことが大切です。

ファンデーションを塗る際も、スポンジやブラシでこすらず、優しく乗せるようにし、帰宅後は早めにクレンジングで落とすようにしてください。

粉を吹いている時は、リキッドタイプよりもパウダータイプやミネラルファンデーションの方が、肌の凹凸に馴染みやすく、負担が少ない場合があります。

Q
顔脱毛やワックス脱毛はいつからできますか?
A

ベピオやディフェリンの使用中は、皮膚の角層が薄くなっているため、顔の脱毛行為は避ける必要があります。

レーザー脱毛や光脱毛、ワックス脱毛を行うと、火傷や皮膚剥離(皮が剥ける)、色素沈着などの重大なトラブルにつながる恐れがあります。

脱毛を希望する場合は、治療薬の使用を前後1〜2週間程度中止するなど、必ず医師に相談し、肌の状態を確認してもらった上で指示を仰いでください。

自己判断で脱毛を行うことは非常に危険ですので、治療中は肌の安全を最優先に考え、脱毛のスケジュールを調整しましょう。

Q
ベピオには漂白作用があると聞きましたが本当ですか?
A

はい、ベピオに含まれる過酸化ベンゾイルには強力な酸化漂白作用があり、これがアクネ菌を殺菌する力の源でもあります。

皮膚の色が白くなることはありませんが、髪の毛、眉毛、衣服、タオル、枕カバーなどに付着すると、その部分が脱色して変色することがあります。

塗布後は手をよく洗い、薬が乾くまでは衣服や寝具に触れないように注意し、前髪が顔にかからないようにヘアバンドなどで留めておくと安心です。

お気に入りの服や寝具をダメにしないよう、色の濃いTシャツやタオルは避け、白や淡い色のものを使用することをおすすめします。

Q
ニキビが治ったらすぐにやめてもいいですか?
A

ニキビが見えなくなっても、肌の内部には目に見えない微小面皰(マイクロコメド)というニキビの予備軍が残っている可能性が高いです。

自己判断ですぐにやめてしまうと、薬で抑えられていた予備軍が再び成長し、ニキビが再発してしまうリスクが高まります。

良い状態を維持し、ニキビができにくい肌質へと根本から変えていくために、医師の指示があるまでは使用を継続することが推奨されます。

維持期には、毎日ではなく週に数回の使用に減らすなどしてコントロールする場合もありますので、医師と相談しながら長期的な計画でケアしていきましょう。

参考文献