触ると痛い硬いしこりや、赤紫に腫れたニキビが繰り返しできる。こうした重症ニキビは炎症が皮膚の深いところまで及んでいて、塗り薬だけでは治らないことがあります。
皮膚科では、抗生物質などの飲み薬を塗り薬に足し、腫れが強いところには切開して膿を出す処置を行います。海外で使われる飲み薬のイソトレチノインは、日本では承認されていない薬です。
このページでは、重症ニキビの見分け方、保険で行う内服薬治療、イソトレチノインの扱いと注意点、跡を増やさないケア、受診の目安を順にまとめました。
重症ニキビの嚢腫・硬結は皮膚の深い炎症

重症ニキビは、炎症が皮膚の深い部分に及んで、痛みを伴うしこりや大きな腫れができた状態です。あごや頬のほか、背中や胸にも生じます。
膿の袋と硬いしこりの違い
膿や液がたまった袋状の病変を嚢腫(のうしゅ)、硬く触れる部分を硬結(こうけつ)と呼び、赤紫色に腫れる例もあります。表面の赤みだけでなく深い炎症が続くため、治るまでに時間がかかり、凹みなどの跡も残りやすい状態です。
広がる腫れとニキビ以外のしこり
いくつもの腫れがつながる集簇性ざ瘡(しゅうぞくせいざそう)は、最重症のニキビの型です。ただし、皮膚の嚢腫やしこりがすべてニキビとは限らず、外用薬や内服治療で対処できるか、処置が必要かは診断によって異なります。
塗り薬だけではニキビが治らない理由
炎症が深くまで及ぶと、塗り薬が十分に働きにくくなります。広い範囲に多発している場合も、外用だけでは抑えきれないため内服薬を加えます。
飲み薬と併用する外用薬の役割とコツ
飲み薬は、毛穴の詰まりを防ぐ外用薬の代わりになるわけではありません。ニキビの外用薬を続けるコツは、処方時に決めた範囲と量を守り、刺激で使いにくいときには塗り方を調整してもらう点にあります。
重症ニキビに保険で行う内服薬治療

飲み薬で体の内側から炎症に働きかける治療を全身療法と呼びます。一般的な皮膚科では、化膿したニキビが多いときに抗生物質を使うなど、症状や体質に応じて内服薬を選びます。
抗生物質は服用期間を区切って使う
化膿したニキビが多いときには、菌の増殖と炎症を抑える抗生物質の内服薬を使い、腫れの変化を見て続け方を決めます。服用期間を区切るのは、薬が効きにくい耐性菌を増やさないためで、同じ薬を漫然と飲み続ける治療ではありません。
漢方薬を組み合わせるとき
漢方薬は、月経周期と悪化の関係や体質などを踏まえ、ほかの治療に組み合わせる場合があります。誰にでも同じ効果を期待できる薬ではなく、飲みやすさだけで選ばず、炎症の程度も含めて処方を決めます。
| 治療の種類 | 主なねらい | 気をつけること |
|---|---|---|
| 抗生物質の内服薬 | 菌の増殖と炎症を抑える | 漫然と続けず、胃腸の不調やめまいは処方元へ連絡 |
| 漢方薬 | 体質や症状に応じて治療を補う | 服用中の薬やサプリメントを処方前に医師へ伝える |
服用前後に確認する体調と薬
ほかに飲んでいる薬やサプリメント、妊娠の可能性は、処方を受ける前に伝えておく必要があります。服用後に胃腸の不調やめまいなどが出たときは、始まった時期と症状を処方元へ連絡し、服用を続けてよいか確認しましょう。
紫色に腫れて痛いニキビは処置が必要なことも
膿や血がたまって強く腫れた部分は、切開して中身を出す処置が必要なケースもあります。
紫色に腫れたニキビや血腫は、色だけでは中の状態が分からないため、診察で確かめて切開排膿の要否を判断します。無理につぶしたり針を刺したりすると、炎症が周囲へ広がり、傷や跡が増えるおそれがあります。
重症ニキビとイソトレチノインの国内での扱い

イソトレチノインは、皮脂の分泌を抑える働きを持つビタミンAの仲間の飲み薬です。海外では重症ニキビの治療に使われています。
国内未承認薬として知っておきたい点
日本では厚生労働省の承認を受けておらず、同じ成分で国内承認された飲み薬もありません。国内で使う場合は医師が海外から輸入し、保険適用がないため、診察や検査を含め自費で受けます。
妊娠と副作用への注意
妊娠中に服用すると胎児に先天的な異常を生じさせる危険性(催奇形性)があり、妊娠中は服用できません。ほかにも肝機能や血中脂質への影響、皮膚や唇の強い乾燥、気分の落ち込みなどに注意が必要です。
重症ニキビに使うイソトレチノインは、重い副作用が出ても医薬品副作用被害救済制度の対象にはなりません。服用を検討する際は、処方する医師に副作用が疑われた場合の連絡先と受診の目安を確かめておきましょう。
服用初期の悪化と服用期間の管理
イソトレチノインは服用初期に一時的に悪化する期間があるとされ、自己判断で増減・中止せず処方医へ連絡します。服用した総量(累積投与量)と再発のしやすさ(再発率)には関係があるとされますが、その情報だけで服用を増減してはいけません。服用期間や量は医師が管理します。
未成年の使用と個人輸入のリスク
未成年のイソトレチノイン使用では、成長期の骨や身長への影響も検討すべき点です。個人輸入には偽造品のリスクがあり、血液検査を含む医師の管理が欠かせないため、インターネットで購入して自分だけで服用するのは避けましょう。
ニキビ跡を増やさないための日常のケア

跡を防ぐためのケアは、刺激を減らしながら炎症の治療を続けるのが中心です。強く洗っても深い炎症は取り除けません。
- 触らない … 膿を出そうと押したり、針で刺したりしない
- やさしく洗う … 肌をこすらず、洗顔後は保湿する
- 紫外線を避ける … 日焼け止めや帽子で肌を守る
- 経過を記録する … 腫れや痛みの変化をメモして診察で伝える
重症ニキビで皮膚科を受診する目安
中高生も保険診療でニキビの治療を受けられるため、硬いしこりや痛い腫れを繰り返すときは、塗り薬を長く試し続ける前に受診しましょう。
塗り薬を2〜3か月続けても治らない、背中や胸へ広がる、跡が増えるといった変化は治療を見直す目安です。発熱やだるさを伴って腫れが強まるときは、通常の経過とは異なる病気も考え、早めに医療機関を受診してください。
よくある質問
- Q重症ニキビは赤みが減れば治療を終えてよいですか?
- A
赤みが減っても、皮膚の下のしこりや新しい毛穴の詰まりが残っている場合があります。見た目だけで飲み薬も塗り薬も一度にやめると、再び炎症が強まるおそれがあるため、診察では新しいニキビができる頻度も伝え、薬を減らす順序を確認します。
- Q重症ニキビの薬は家族と同じものを使えますか?
- A
家族に処方された薬を分けてもらって飲むのは避けるべきです。同じように腫れていても、原因や炎症の程度、ほかの薬との飲み合わせで処方は変わります。残った薬を使って受診を遅らせるより、自分の症状に対して処方を受けるほうが安全です。
- QイソトレチノインはビタミンAのサプリメントで代用できますか?
- A
ビタミンAのサプリメントを飲んでも、イソトレチノインと同じ治療にはなりません。サプリメントは成分の働きや使う目的が処方薬と異なり、多く摂ればよいわけでもないため、ニキビを治そうとして量を増やす行為は避ける必要があります。
- Q重症ニキビのしこりはすべてニキビですか?
- A
しこりだけではニキビと判断できず、皮膚の中に袋ができる粉瘤なども候補に入ります。周囲にニキビがあるか、同じ場所が腫れるかといった経過も区別の手がかりです。飲み薬だけでは袋がなくならない病気もあるので、長引くしこりは診察で確かめます。
- Q重症ニキビの受診時には何を準備するとよいですか?
- A
これまで使った塗り薬や飲み薬の名前と、使った期間が分かるお薬手帳などがあると、治療の見直しに役立ちます。腫れが強かった日の写真や、痛みで眠れないなど生活で困った場面のメモも持参すると、症状を伝えやすくなります。薬でかぶれた経験があれば、その経過も伝えましょう。
治らない重症ニキビでお悩みの方へ
大木皮ふ科クリニックは、小田急線相模大野駅北口から徒歩1分の皮膚科・アレルギー科のクリニックです。保険診療で皮膚科全般を診察しています。
痛いしこりや腫れを繰り返すニキビでお悩みの方、ご自身に合った治療を知りたい方は、お気軽にご相談ください。
院長・副院長紹介


院長の大木和は日本皮膚科学会の皮膚科専門医で、虎の門病院で皮膚科学を学び、大木皮ふ科クリニックを開業しました。大学での主な研究分野はステロイドとヘルペスでした。
副院長の大木沙織は皮膚科医で、日本内科学会の内科専門医と公認心理師の資格を持ちます。順天堂大学卒業後、三井記念病院で研修し、国際医療福祉大学病院で地域医療を学び、他科疾患も総合的に考えた診療を得意としています。