男子中高生を悩ませるしつこい思春期ニキビの根本原因は、第二次性徴期における急激な男性ホルモンの増加とそれによる皮脂腺の過剰な働きにあります。

しかし単に皮脂が多いことだけが問題なのではなく、日々の洗顔における洗い残しや誤ったケアが炎症を悪化させているケースが後を絶ちません。

本記事ではホルモンバランスという内的な要因と、洗顔や生活習慣という外的な要因の両面からアプローチし、清潔で健康的な肌を取り戻すための具体的かつ実践的な解決策を提示します。

自己流のケアを見直し、正しい知識でニキビに立ち向かいましょう。

目次
  1. 思春期ニキビと男性ホルモンの深い関係性
    1. アンドロゲンの分泌増加が皮脂腺を刺激する
    2. テストステロンの役割と皮膚への具体的な影響
    3. 遺伝的要素とホルモンバランスの個人差
  2. 男子中高生特有の洗顔不足と誤ったケア習慣
    1. 予洗い不足が招く汚れの残留リスク
    2. すすぎ残しが生え際や顎ニキビを悪化させる
    3. ゴシゴシ洗いが肌バリアを破壊する理由
  3. 皮脂過多を防ぐための正しい洗顔メソッド
    1. 泡立ての密度が毛穴汚れの吸着を左右する
    2. 皮脂が多いTゾーンから洗う重要性
    3. ぬるま湯の温度設定が乾燥と皮脂残りを防ぐ
  4. 洗顔後の保湿が過剰な皮脂分泌を抑制する
    1. インナードライが引き起こす代償性皮脂
    2. 男性の肌に合った化粧水と乳液の選び方
    3. ベタつきを嫌う男子向けのさっぱり保湿術
  5. 食生活と睡眠がホルモンと肌質に与える影響
    1. 糖質と脂質の過剰摂取が皮脂の質を悪化させる
    2. 成長ホルモンの分泌を促す質の高い睡眠
    3. ストレスによるホルモンバランスの乱れと対策
  6. 部活動や汗による刺激とニキビの悪化要因
    1. 運動後の汗を放置することによる雑菌の繁殖
    2. 紫外線ダメージが角質肥厚を招く
    3. 整髪料や髪の毛の接触による物理的刺激
  7. 市販薬と皮膚科受診の判断基準とタイミング
    1. 赤ニキビや化膿ニキビへの早期対応の重要性
    2. ニキビ跡を残さないための専門的なアプローチ
    3. 繰り返す炎症に対する医療機関での選択肢
  8. よくある質問

思春期ニキビと男性ホルモンの深い関係性

男子中高生の肌トラブルの主原因は、成長期に伴う性ホルモンの分泌量変化が皮脂腺へ直接的に作用し、毛穴環境を劇的に変化させることにあります。体が大人へと変化する過程で避けて通れない生理的な現象です。

その仕組みを正しく理解することで、過剰な皮脂と上手に向き合う心構えが整い、不必要な不安を取り除くことができるでしょう。

アンドロゲンの分泌増加が皮脂腺を刺激する

思春期に入ると、男性ホルモンの一種であるアンドロゲンの分泌量が急激に上昇します。このアンドロゲンは筋肉や骨格の発達を促す重要な役割を担っていますが、同時に皮膚に対しても強力な指令を出します。

特に顔面や胸、背中にある脂腺性毛包と呼ばれる部分に作用し、皮脂腺を肥大化させる働きを持っています。皮脂腺が大きくなると、当然ながら生成される皮脂の量も増加します。

これは皮膚を保護するために必要な反応ではあるものの、毛穴の排出能力を超えて皮脂が作られることで、毛穴詰まりの直接的な原因となります。

この時期の肌が常にテカリやすく、ベタつきを感じるのは、まさに体が成長している証でもあるのです。異常なことではないため、まずは自分の体の変化を受け入れることが大切です。

テストステロンの役割と皮膚への具体的な影響

男性ホルモンの代表格であるテストステロンは、皮膚内で酵素の働きによってより活性の強いジヒドロテストステロンへと変換します。

このジヒドロテストステロンが皮脂腺の受容体と結びつくことで、皮脂の合成を強力に促進するというメカニズムが働いています。

さらに重要な点は、このホルモン作用が角化異常を引き起こすことです。通常、皮膚の角層は一定のサイクルで剥がれ落ちますが、男性ホルモンの影響を受けると毛穴の出口付近の角層が厚くなります。

その結果、出口を塞いでしまう現象が起きます。出口が塞がれた状態で皮脂が過剰に分泌されるため、毛穴内部に皮脂が溜まり、アクネ菌が繁殖するための絶好の環境が完成してしまうのです。

ホルモンの種類と肌への影響

ホルモン名称主な働き肌への影響
テストステロン骨格・筋肉の形成皮脂分泌の基礎となり、肌の厚みを増す
アンドロゲン男性機能の発達皮脂腺を肥大化させ、毛穴を詰まりやすくする
ジヒドロテストステロン強力な男性化作用皮脂合成を加速させ、角化異常を引き起こす

遺伝的要素とホルモンバランスの個人差

同じように成長期を迎えている友人同士でも、ニキビが重症化する人と肌が綺麗なままの人がいます。この違いを生む大きな要因の一つが遺伝的な体質です。

具体的には、皮脂腺の大きさや数、そして男性ホルモンに対する皮脂腺の感受性の強さが遺伝によって異なります。感受性が高い体質の人は、血中のホルモン量が平均的であっても、敏感に反応して大量の皮脂を分泌します。

親族に重度のニキビ経験者がいる場合は、より一層丁寧なケアが必要となります。自分の肌質を恨むのではなく、自分の体質に合ったケア方法を見つけることが改善への近道です。

遺伝だからと諦める必要はありません。体質を理解した上で正しい対策を行えば、症状をコントロールすることは十分に可能です。

男子中高生特有の洗顔不足と誤ったケア習慣

多くの男子中高生がニキビを悪化させている背景には、ホルモンの影響以上に、日々の間違った洗顔習慣や雑なケアが潜んでいます。正しい知識を持たずに自己流で顔を洗うことは、汚れを落とせていないばかりか、逆に肌を傷つけ炎症を広げる行為に他なりません。

予洗い不足が招く汚れの残留リスク

洗顔料を手に取る前に行う「予洗い」を軽視しているケースが非常に多く見受けられます。顔を少し濡らす程度でいきなり洗顔料をつけたり、乾いた肌に直接泡を乗せたりすることは避けるべきです。

予洗いは、肌表面についたホコリや汗、水溶性の汚れをあらかじめ落とすだけでなく、毛穴を開かせて汚れを浮きやすくする重要な準備段階です。

予洗いが不十分だと、洗顔料の洗浄成分が汚れと馴染む前に消費されてしまい、毛穴の奥の皮脂まで届きません。

また、水分が足りない状態で洗顔料を肌に乗せることは摩擦の原因となり、デリケートなニキビ肌に無用な刺激を与えてしまいます。まずはぬるま湯で顔全体をしっかりと濡らすことから始めましょう。

すすぎ残しが生え際や顎ニキビを悪化させる

洗顔において最も注意が必要なのが「すすぎ」です。特に髪の生え際、フェイスライン、顎の下などは、泡や洗浄成分が残りやすい危険地帯です。

鏡で正面から見たときは綺麗に見えても、死角となる部分に洗顔料が残留していることが多々あります。残留した洗浄成分は、肌にとっては異物であり刺激物です。

これが長時間肌に付着し続けることで、接触性皮膚炎に近い状態を引き起こしたり、毛穴を再び詰まらせて炎症を誘発したりします。

ニキビが顔の外側を中心に多発している場合は、すすぎ不足を疑い、鏡で多角的にチェックする習慣をつけることが大切です。洗う時間よりもすすぐ時間を長く取る意識を持ちましょう。

ゴシゴシ洗いが肌バリアを破壊する理由

「皮脂を根こそぎ落としたい」という一心で、手のひらで顔を強く擦るように洗う行為は、ニキビケアにおいて最大のタブーです。皮膚の厚さはラップ一枚分程度しかなく、物理的な摩擦に対して非常に脆弱です。

強く擦ることで肌表面の角質層が傷つき、肌のバリア機能が低下します。バリア機能が低下した肌は、外部からの刺激に弱くなるだけでなく、失われた水分を守ろうとして防衛反応を起こします。

その結果、さらに過剰な皮脂を分泌するという悪循環に陥ります。汚れを落とすのは泡の役目であり、手の力ではありません。

手と肌が直接触れない程度の泡のクッションを利用して洗うことが求められます。肌を「洗う」のではなく「泡を転がす」感覚を身につけてください。

見直すべき洗顔時のNG習慣

  • シャワーを直接顔に当てて水圧で洗っている
  • 洗顔料を泡立てずにペースト状のまま肌に塗っている
  • 熱いお湯を使ってさっぱり感を追求している
  • 1日に3回も4回も洗顔をして皮脂を取りすぎている
  • タオルで顔を拭く際に強く擦って水分を取っている

皮脂過多を防ぐための正しい洗顔メソッド

過剰な皮脂を適切に取り除きつつ、肌に必要な潤いを守るためには、科学的根拠に基づいた洗顔方法を習得する必要があります。日々のルーティンを見直し、丁寧な洗顔を継続することで、肌環境は確実に整い、ニキビができにくい状態へと変化します。

泡立ての密度が毛穴汚れの吸着を左右する

洗顔料の洗浄力を最大限に引き出す鍵は「泡の質」にあります。空気を多く含んだ粗い泡ではなく、キメの細かい濃密な泡を作ることが重要です。

キメ細かい泡は表面積が大きいため、毛穴の凹凸に密着しやすく、奥に潜む皮脂や汚れを吸着する力に優れています。粗い泡では表面を滑るだけで、毛穴の奥までは届きません。

また、弾力のある泡は、手と肌の間でクッションの役割を果たします。洗顔時に手が肌に触れることを防ぎ、摩擦ダメージをゼロに近づけることができます。

手だけで泡立てるのが難しい場合は、洗顔ネットなどのツールを活用し、逆さにしても落ちない程度の濃密な泡を作ることを習慣化しましょう。このひと手間が肌の運命を変えます。

皮脂が多いTゾーンから洗う重要性

顔全体を均一に洗うのではなく、部位ごとの皮脂量を考慮した順序で洗うことが大切です。まずは皮脂分泌が最も活発な額と鼻(Tゾーン)から泡を乗せます。

この部分は皮膚が比較的厚く丈夫であるため、最初に泡を馴染ませて時間をかけることで、頑固な皮脂汚れをしっかりと分解させます。最初に乗せた泡が最も洗浄力が高いため、汚れが多い場所から始めるのが理にかなっています。

次に頬や顎(Uゾーン)を洗い、最後に皮膚が薄く乾燥しやすい目元や口元を軽く洗います。皮脂が少ない部分に長時間洗浄成分を乗せると乾燥の原因となるため、時間差をつけることが重要です。

顔全体の皮脂バランスを整えながら洗うことで、必要な潤いを残しつつ、不要な油分だけを取り除くことができます。

洗顔手順ごとのポイントと理由

手順実行すべき内容その理由・効果
準備手を石鹸で洗って清潔にする手の雑菌を顔に移さないため、泡立ちを良くするため
予洗い32〜34度のぬるま湯で顔を濡らす毛穴を開き、表面の汚れを緩める
泡立てネット等を使い濃密な泡を作る摩擦を防ぎ、毛穴汚れの吸着力を高める
洗浄Tゾーンから順に泡を転がす部位別の皮脂量に合わせ、乾燥と洗い残しを防ぐ
すすぎ20回以上優しく流す洗浄成分の残留による肌荒れを阻止する

ぬるま湯の温度設定が乾燥と皮脂残りを防ぐ

すすぎに使用する水の温度は、肌の状態を左右する極めて重要な要素です。冷たすぎる水では毛穴が閉じてしまい、内部の皮脂が固まって落ちにくくなります。

逆に熱すぎるお湯は、肌に必要な細胞間脂質や天然保湿因子まで溶かし出してしまい、極度の乾燥を招きます。お風呂のお湯(40度前後)をそのまま顔にかけるのは温度が高すぎます。

理想的な温度は、体温より少し低い32度から34度程度の「ぬるま湯」です。手で触れたときに「少しぬるい」と感じる程度が適温です。

この温度帯であれば、余分な皮脂だけを溶かし出し、肌の潤い成分を守りながら洗い流すことが可能です。毎回の洗顔で温度調整を意識することが、美肌への第一歩です。

洗顔後の保湿が過剰な皮脂分泌を抑制する

「ニキビ肌だから保湿はしたくない」「ベタつくのが嫌だ」と考えて保湿を省略することは、かえってニキビを悪化させる大きな要因となります。水分と油分のバランスを整えることは、過剰な皮脂分泌を抑制するブレーキの役割を果たします。

インナードライが引き起こす代償性皮脂

洗顔後の肌は、皮脂膜が洗い流され、水分が蒸発しやすい無防備な状態にあります。この状態で保湿を行わないと、肌内部の水分が急速に失われ、乾燥状態(インナードライ)に陥ります。

すると、肌は水分の蒸発を防ごうとして、緊急措置として皮脂を大量に分泌します。これを「代償性皮脂」と呼びます。表面はテカテカしているのに、内側は乾燥して突っ張るという不快な状態は、このインナードライが原因です。

適切な水分補給を行うことで、肌は「潤っている」と判断し、過剰な皮脂を出す必要がなくなります。つまり、保湿こそがテカリを抑えるための有効な手段なのです。

皮脂を取り除くことと同じくらい、水分を与えることがニキビケアには必要不可欠であることを認識してください。

男性の肌に合った化粧水と乳液の選び方

男性の肌は女性に比べて皮脂量が多い一方で、水分量は半分以下と言われています。そのため、油分が多すぎるクリームなどは毛穴詰まりの原因になることがあります。

基本的には、「ノンコメドジェニックテスト済み」と表記された製品を選ぶことが大切です。これは、ニキビの元になりにくい処方であることを確認した製品です。

化粧水については、抗炎症成分(グリチルリチン酸ジカリウムなど)や、皮脂抑制成分(ビタミンC誘導体など)が配合されたものが適しています。

ニキビの炎症を抑えつつ、新たなニキビの発生を防ぐ効果が期待できます。成分表示を確認し、自分の肌悩みに合ったものを選びましょう。

肌タイプ別のおすすめ保湿アイテム形状

肌タイプおすすめの形状(テクスチャー)特徴・メリット
オイリー肌ローション+オイルフリージェル油分を極力避け、水分補給に特化してさっぱり仕上げる
混合肌ローション+さらさら乳液乾燥部分とテカリ部分のバランスを整える
乾燥ニキビ肌高保湿化粧水+クリーム(薄く)バリア機能が低下しているため、適度な油膜で保護する

ベタつきを嫌う男子向けのさっぱり保湿術

使用感が苦手で保湿を敬遠してしまう場合は、テクスチャー(質感)選びを工夫します。化粧水はとろみの少ないシャバシャバしたタイプを選び、乳液の代わりにジェルタイプの保湿剤を使用することをお勧めします。

ジェルは水分量が多く、油分が少ないため、塗った後のベタつきが少なく、さっぱりとした使用感が特徴です。また、塗布する量も重要です。

Tゾーンには薄く塗り、乾燥しやすい頬や口元には重ね塗りをするなど、部位によって量を調整します。

手のひら全体で優しく押し込むように馴染ませる(ハンドプレス)ことで、表面のベタつきを抑え、内部への浸透を高めることができます。肌表面に液が残らないよう、しっかり入れ込むイメージで行いましょう。

食生活と睡眠がホルモンと肌質に与える影響

スキンケアという外側からのアプローチに加え、体の内側からのケアもニキビ改善には必要不可欠です。私たちが口にする食事や日々の睡眠は、ホルモンバランスや肌の再生能力に直結しており、生活習慣の乱れはダイレクトに肌荒れとして現れます。

糖質と脂質の過剰摂取が皮脂の質を悪化させる

スナック菓子、インスタント食品、甘い清涼飲料水など、糖質や脂質を多く含む食品を好んで食べていないでしょうか。糖質の過剰摂取は、血糖値を急上昇させます。

血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが分泌されますが、このインスリンには、男性ホルモンを刺激して皮脂腺を活性化させる作用があるため、結果として皮脂量が増加します。

また、質の悪い油(トランス脂肪酸など)を摂取すると、分泌される皮脂自体の質がドロドロとしたものに変化し、毛穴に詰まりやすくなります。

さらに、これらの代謝にはビタミンB群が大量に消費されるため、肌の健康維持に必要なビタミンが欠乏し、皮脂コントロールが効かなくなるという悪循環を招きます。

成長ホルモンの分泌を促す質の高い睡眠

睡眠中は、日中に受けた肌のダメージを修復し、新しい皮膚細胞を生み出すための「成長ホルモン」が活発に分泌されます。特に、入眠直後の3時間に深い眠りにつくことが、このホルモン分泌を最大化させる鍵となります。

夜更かしや不規則な睡眠時間は、この修復タイムを奪うことになります。どんなに良い薬を使っていても、修復する時間がなければ肌は治りません。

さらに、睡眠不足は自律神経の交感神経を優位にし、ストレスホルモンの分泌を促します。これが男性ホルモンの働きを助長し、皮脂分泌を増やしてニキビを悪化させます。

肌を治す工場は夜間に稼働していることを意識し、十分な睡眠時間を確保することが大切です。日付が変わる前にベッドに入る習慣をつけましょう。

ストレスによるホルモンバランスの乱れと対策

学業、部活、人間関係など、中高生は多大なストレスにさらされています。精神的なストレスを感じると、体はそれに対抗するためにコルチゾールなどのホルモンを分泌します。

しかし、これに伴い男性ホルモンの分泌も促されてしまいます。ストレスを感じるとニキビが増えるのは、このホルモン連鎖が原因です。

完全にストレスを無くすことは難しいため、溜め込まない工夫が必要です。適度な運動、入浴、趣味の時間など、自分なりのリラックス方法を持つことが肌のためにも重要です。

特に、寝る直前までのスマホ操作は脳を興奮させ、睡眠の質を下げる大きなストレス要因となるため、寝室には持ち込まないなどのルール作りが効果的です。

肌の健康を支える栄養素と食材

栄養素主な働き多く含む食材
ビタミンB2皮脂分泌のコントロールレバー、卵、納豆、乳製品
ビタミンB6皮膚の再生、ホルモン調整カツオ、マグロ、バナナ、鶏ささみ
ビタミンC抗酸化作用、ストレス対策ブロッコリー、キウイ、赤ピーマン
食物繊維腸内環境改善による毒素排出海藻類、きのこ類、玄米

部活動や汗による刺激とニキビの悪化要因

活発に運動を行う男子中高生にとって、汗や紫外線は避けて通れない要素ですが、これらはニキビにとって大きな刺激となります。適切な対策を講じることで、部活動とニキビケアを両立させることは十分に可能です。

運動後の汗を放置することによる雑菌の繁殖

汗そのものは水分が大半であり、本来は肌に悪いものではありません。しかし、かいた汗を長時間放置すると、皮膚のpHバランスがアルカリ性に傾き、アクネ菌や雑菌が繁殖しやすい環境へと変化します。

また、汗が蒸発する際に肌の水分も一緒に奪うため、乾燥による皮脂分泌を招くこともあります。放置すればするほど肌環境は悪化していきます。

運動後は可能な限り早くシャワーを浴びて汗を流すことが重要です。すぐに洗顔できない環境であれば、清潔なタオルでこすらずに押さえるように拭き取るか、洗顔シートなどを活用して肌を清潔に保つ工夫が必要です。

ただし、シートで強く拭くことは摩擦になるため、優しく当てる使い方が求められます。こまめなケアが菌の繁殖を防ぎます。

紫外線ダメージが角質肥厚を招く

屋外での部活動では、強烈な紫外線を浴びることになります。紫外線は肌の奥にダメージを与え、活性酸素を発生させてニキビの炎症を悪化させます。

さらに、肌は紫外線から身を守るために角質を厚くしようとする防御反応を示します。これを「角質肥厚」といい、厚くなった角質が毛穴を塞ぐことで、新たなニキビができやすくなります。

日焼け止めは、もはや女子だけのものではありません。ニキビ用のノンコメドジェニックタイプの日焼け止めを使用し、肌を紫外線から守ることが必要です。

特に炎症を起こしているニキビは紫外線の影響でシミ(色素沈着)になりやすいため、徹底した対策が将来の肌を守ります。曇りの日でも紫外線は降り注いでいるため油断は禁物です。

部活男子のための肌ケアチェックリスト

  • 運動前に日焼け止めを塗り、紫外線ダメージを予防する
  • 汗拭き用のタオルは清潔なものを複数枚用意する
  • 汗を拭くときはゴシゴシ擦らず、タオルを押し当てる
  • 練習後は速やかに洗顔または水洗いで汗を流す
  • 帰宅後の入浴では、整髪料を真っ先に洗い流す

整髪料や髪の毛の接触による物理的刺激

おでこやフェイスラインのニキビが治らない場合、髪型や整髪料が原因である可能性があります。前髪が常に額に触れていると、毛先の刺激が物理的なストレスとなり、炎症を引き起こします。

また、髪に付着した汚れや整髪料の油分が肌に移り、毛穴を詰まらせることもあります。特にワックスなどの油分はアクネ菌の餌になりやすいため注意が必要です。

家の中にいるときだけでもヘアバンドやピンを使って前髪を上げ、髪が肌に触れない時間を作ることが大切です。

また、ワックスやスプレーを使用する際は、肌に付着しないように注意し、洗髪時には整髪料を完全に落とし切る丁寧さが求められます。肌に触れるものを清潔に保つ意識を持ちましょう。

市販薬と皮膚科受診の判断基準とタイミング

セルフケアで改善が見られない場合や、ニキビの状態が悪化している場合は、迷わず専門的なアプローチに切り替える判断力が必要です。市販薬で様子を見るべきか、医師の診断を仰ぐべきか、その境界線を理解しておくことが重症化を防ぎます。

赤ニキビや化膿ニキビへの早期対応の重要性

ニキビには段階があります。毛穴が詰まっただけの「白ニキビ」や、皮脂が酸化した「黒ニキビ」の段階であれば、丁寧な洗顔と保湿によるセルフケアで改善する可能性が高いです。

しかし、アクネ菌が増殖して炎症を起こした「赤ニキビ」や、膿が溜まった「黄ニキビ」に進行している場合、これは皮膚の病気としての治療が必要です。

炎症を伴うニキビは、組織の破壊が進んでいるサインです。この段階で放置したり、市販薬だけで長期間対応しようとしたりすると、炎症が真皮層まで達し、取り返しのつかない傷跡を残すリスクが高まります。

赤く腫れ上がっている時点で、皮膚科受診を検討すべき重要なタイミングです。早めの受診が、治療期間を短縮する鍵となります。

ニキビ跡を残さないための専門的なアプローチ

ニキビそのものが治っても、クレーターのような凹凸や、赤黒い色素沈着が残ってしまうことがあります。これがいわゆる「ニキビ跡」です。

一度クレーター状になってしまった肌を元の平滑な状態に戻すことは非常に困難であり、多大な時間と費用がかかります。後悔先に立たずとはまさにこのことです。

皮膚科では、毛穴の詰まりを取り除く薬や、菌を殺す抗生物質、炎症を抑えるビタミン剤など、症状に合わせた的確な処方が行われます。

早期に炎症を鎮火させることは、現在の苦痛を取り除くこと以上に、将来の肌に跡を残さないための最善の投資となります。医師という味方をつけることで、精神的にも楽になります。

ニキビの状態と推奨される対応策

ニキビの状態見た目の特徴推奨される対応
初期(白・黒)ポツッとした膨らみ、毛穴の黒ずみ洗顔・保湿の見直し、市販薬の使用
中期(赤)赤く腫れて痛みや熱を持つ皮膚科受診を強く推奨、触らない
後期(黄・紫)膿が溜まる、硬いしこりになる直ちに皮膚科へ。自己処理は厳禁

繰り返す炎症に対する医療機関での選択肢

「治ってはでき、治ってはでき」を繰り返すのが思春期ニキビの特徴ですが、あまりに頻繁に繰り返す場合は、根本的な治療が必要です。

皮膚科では外用薬や内服薬だけでなく、ケミカルピーリングや面ぽう圧出といった処置を行うこともあります。これらは医療機関でしか受けられない効果的な治療法です。

自己判断で市販薬を使い続けると、肌に合わずにカブレを起こしたり、耐性菌ができて薬が効かなくなったりすることもあります。

専門医の指導のもと、正しい用法用量で治療を進めることが、頑固なニキビを終息させる最短ルートです。一人で悩まず、専門家の力を借りる勇気を持ってください。

よくある質問

Q
洗顔料はスクラブ入りを使ったほうが良いですか?
A

思春期の肌はデリケートなため、基本的にはスクラブ入りの使用は避けることが賢明です。粒子の刺激が炎症を起こしているニキビを傷つけ、悪化させる恐れがあります。

毎日のケアには刺激の少ないマイルドな洗顔料を選び、どうしてもざらつきが気になるときだけ、炎症がない部分に限定して週に1回程度使用するに留めてください。

Q
潰して芯を出せば早く治りますか?
A

絶対に自分で潰してはいけません。指や爪で圧迫すると、皮膚の組織が潰れて傷口から雑菌が入り、炎症が周囲に拡大します。

また、無理に押し出すことで真皮層を傷つけ、クレーター状の跡が一生残る原因になります。芯を出したい場合は、皮膚科で「面ぽう圧出」という医療処置を受けてください。

Q
ニキビがあるときは日焼け止めを塗らないほうが良いですか?
A

ニキビがあるときこそ、日焼け止めが必要です。紫外線はニキビの炎症を悪化させ、色素沈着(ニキビ跡)の原因となります。

ただし、油分の多いものや紫外線吸収剤を使用したものは刺激になることがあるため、「ノンコメドジェニックテスト済み」「紫外線吸収剤フリー(ノンケミカル)」と記載された、肌に優しい製品を選んで使用してください。

Q
大人になれば自然に治りますか?
A

ホルモンバランスが安定する20歳前後になれば、思春期特有の過剰な皮脂分泌は落ち着き、自然と治まるケースが多いです。

しかし、それまでの間に重度の炎症を放置すると、凸凹のニキビ跡が残ってしまい、それは大人になっても治りません。

「いつか治る」と放置せず、跡を残さないために「今」正しいケアや治療を行うことが大切です。

参考文献