お子様の肌にポツポツとしたニキビが見つかったとき、思春期特有の一時的なものと捉えて様子を見るべきか、それとも医療機関を受診すべきか迷われる保護者の方は少なくありません。

結論としてニキビは「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」という皮膚の病気であり、早期受診が痕(あと)を残さないために重要です。

多くの治療が健康保険の適用範囲内で行えます。本記事では受診の具体的な目安や症状の見極め方、保険適用の範囲について詳しく解説し、お子様の肌を守るための正しい知識を提供します。

子供のニキビは病気であるという認識と皮膚科受診の重要性

多くの保護者の方が、子供のニキビを「青春のシンボル」や「成長の証」として捉え、自然に治るのを待つ傾向にあります。

しかし、医学的な観点からは、ニキビは毛穴に炎症が起きている皮膚疾患の一種です。適切な治療を行わずに放置すると、炎症が悪化し、生涯消えないクレーター状の痕や色素沈着を残すリスクがあります。

子供の肌は大人に比べてデリケートであり、炎症の影響を受けやすい特性を持っています。皮膚科を受診することは、現在の症状を沈静化させるだけでなく、将来の肌の健康を守るための投資でもあります。

早期に専門医の診断を仰ぐことで、重症化を防ぎ、お子様の心理的な負担も軽減できます。子供だからこそ、早期介入が重要なのです。

思春期ニキビと大人ニキビの発生要因の違い

子供や思春期のニキビは、主に第二次性徴に伴う性ホルモンの分泌量増加が原因です。このホルモンの影響で皮脂腺が刺激され、過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まることで始まります。

皮脂分泌が活発になること自体は成長の証ですが、毛穴の出口が角化して詰まると、そこに皮脂が溜まりアクネ菌が増殖する環境が整ってしまいます。これが思春期ニキビの主なメカニズムです。

一方で大人のニキビは、ストレスや乾燥、化粧品の影響など要因が複雑に絡み合っています。不規則な生活や睡眠不足も大きく関与しており、原因の特定が難しいケースも少なくありません。

子供の場合は原因がホルモンバランスの変化に集中しているため、皮膚科での標準的な治療が奏功しやすい傾向にあります。原因が明確であるからこそ、医療機関での医学的アプローチが効果を発揮します。

年齢層によるニキビの特徴比較

年齢層主な特徴推奨される対応
小学生(〜12歳)額や鼻(Tゾーン)に集中。早発思春期の可能性も。早めの受診が必要
中高生(13〜18歳)顔全体や頬に拡大。ホルモン分泌がピーク。症状に応じて受診
乳幼児新生児ニキビなど。ホルモンの影響が一過性。小児科または皮膚科へ

早期治療が将来の肌質を守る鍵になる

ニキビの炎症が真皮層という肌の奥深くまで達すると、組織が破壊されてしまいます。これがニキビ痕の原因です。一度できてしまった凹凸のあるニキビ痕を完全に元の状態に戻すことは、現代の医療でも容易ではありません。

赤みや腫れが少ない初期段階(コメド・白ニキビ)のうちに治療を開始することで、炎症の拡大を食い止めることができます。

「そのうち治るだろう」という楽観的な判断が、一生残る傷跡を作ってしまう可能性があります。保護者の方が「たかがニキビ」と考えず、異変に気づいた段階で受診を検討することが、お子様の将来の肌質を守ることにつながります。

綺麗な肌で大人になることは、お子様の自信にも繋がります。今できる最善の選択肢として、皮膚科受診を積極的に考えてみてください。

自己判断ケアのリスクと医療機関の役割

市販の洗顔料や塗り薬も一定の効果はありますが、症状や肌質に合わないものを使用すると、かえって悪化させることがあります。

特に、子供は自分の肌の状態を正確に判断することが難しく、強い力で洗顔したり、気になって触ったりしてしまいがちです。誤ったケアは、炎症を広げたり、新たな肌トラブルを招いたりする原因となります。

皮膚科では、現在の炎症レベルを医学的に診断し、その状態に適した処方薬を出せます。市販薬にはない強力な作用を持つ薬も、医師の管理下であれば安全に使用できます。

また、正しいスキンケア方法や生活指導も受けられるため、親子で正しい知識を共有する良い機会となります。専門家のアドバイスは、日々のケアの不安を解消してくれるはずです。

皮膚科を受診すべき具体的な症状とタイミングの目安

どの程度のニキビなら病院へ行くべきか、その境界線は明確ではありませんが、いくつかのサインを見逃さないことが大切です。

基本的には「ニキビができ始めた」と感じた時点で受診しても問題ありません。ニキビは進行性の病気であるため、早ければ早いほど治療効果が高く、痕に残るリスクも低くなるからです。

しかし、特に急ぐべき状態や、保護者の方が注意深く観察すべき変化があります。お子様自身が痛みを訴えなくても、見た目に変化がある場合は受診を検討してください。皮膚科医が推奨する受診の目安となる症状について具体的に解説します。

赤みや腫れを伴う炎症性ニキビの出現

ニキビが赤く腫れ上がっている場合、毛穴の中でアクネ菌が増殖し、炎症を起こしている状態です。これは「赤ニキビ」と呼ばれ、放置すると化膿して「黄ニキビ」へと進行します。

この段階では痛みを伴うことが多く、組織の破壊が進んでいるサインです。炎症が起きているということは、皮膚の内部で免疫反応が激しく行われていることを意味します。

市販薬だけでは炎症を抑えきれないことが多いため、抗生物質や抗炎症作用のある処方薬が必要です。赤みが見られたら、数日様子を見るのではなく、早めに受診予約を入れることを強く推奨します。

「たった一つだから」と油断せず、その一つが炎症を起こしているなら受診の対象となります。炎症の火種を小さいうちに消し止めることが重要です。

広範囲に広がる場合や繰り返す場合

額だけでなく頬や顎、背中など広範囲にニキビができている場合、重症化するリスクが高い状態です。広範囲に及ぶニキビは、局所的なケアだけでは対処しきれないことが多いです。

また、治ったと思っても同じ場所に繰り返しできる場合は、毛穴の構造自体が弱くなっている可能性があります。慢性的に炎症を繰り返すと、毛穴の壁が壊れやすくなり、さらにニキビができやすくなる悪循環に陥ります。

個数に関わらず、顔全体に散らばっている場合や、常に新しいニキビができ続けている状態は、体質改善も含めた長期的な治療計画が必要です。

皮膚科では内服薬を併用するなどして、新しいニキビができにくい肌環境を整える治療を行います。根本的な解決を目指すなら、専門医の指導が不可欠です。

症状レベルと受診推奨度

ニキビの状態症状の詳細受診の緊急度
白ニキビ・黒ニキビ毛穴の詰まり。痛みなし。早めの受診が理想
赤ニキビ赤く腫れている。触れると痛い。できるだけ早く受診
黄ニキビ・紫ニキビ膿がたまっている。しこりがある。直ちに受診が必要

痛みやかゆみなど自覚症状がある時

お子様が顔を触ったり、痛がったりしている様子が見られる場合は要注意です。かゆみがあると無意識に掻きむしってしまい、雑菌が入って「とびひ」などの二次感染を引き起こすこともあります。

また、痛みは炎症が深刻であることを示しています。見た目がそれほど酷くなくても、本人が不快感を感じているのであれば、それは受診の十分な理由になります。

痛みやかゆみを取り除くことで、お子様の集中力低下やストレスを防ぐことにもつながります。勉強や部活動に集中できない原因がニキビにあるなら、それを取り除くことは親としてできる大切なサポートです。

精神的なストレスはニキビをさらに悪化させる要因にもなります。不快な症状を早期に緩和してあげることが、治療へのモチベーション維持にも役立ちます。

保険適用範囲と治療費に関する基礎知識

皮膚科でのニキビ治療は、そのほとんどが健康保険の適用対象となります。ニキビは「尋常性ざ瘡」という疾患として認められているため、検査、診察、そして多くの処方薬に対して保険が使えます。

自己負担は原則3割(自治体による子供医療費助成がある場合はさらに安価または無料)で済むため、高額な費用がかかるという心配は無用です。

ただし、美容目的の施術など一部は自由診療となるため、その線引きを理解しておくことが大切です。経済的な不安なく治療を続けるためにも、制度の仕組みを知っておきましょう。

健康保険が適用される標準的な治療

日本皮膚科学会のガイドラインに基づいた標準治療は保険適用です。具体的には、医師による診察、面皰(めんぽう)圧出というニキビの中身を出す処置などが含まれます。

処方薬に関しても、多くのアダパレン製剤や過酸化ベンゾイル製剤、抗生物質の内服・外用などが保険適用となります。これらは治療効果が医学的に証明されており、世界中で標準的に使われている薬です。

まずはこれらの保険診療から始めるのが一般的であり、多くの子供のニキビはこれにより改善が見込めます。保険診療だけで十分に綺麗な肌を取り戻せるケースが大半です。

数千円程度の負担で、専門医による診断と効果的な薬剤による治療が受けられるのは、日本の医療制度の大きなメリットと言えます。

保険適用外となる自由診療のケース

保険診療では改善が難しい重症例や、ニキビ跡の凹凸を治したい場合、より早く治したいという審美的な要望が強い場合は、自由診療(自費診療)が選択肢に入ります。

ケミカルピーリング、レーザー治療、一部の美容内服薬などがこれに該当します。これらは全額自己負担となり、費用もクリニックによって異なります。

初診の段階でいきなり自由診療を勧められることは稀ですが、医師から提案があった場合は、費用と効果について十分に説明を受け、納得した上で選択してください。

特にニキビ痕の治療は、保険適用の範囲内では限界があることが多いため、将来的に自由診療を検討する場面が出てくるかもしれません。その際は、費用対効果を慎重に判断することが大切です。

保険適用と適用外の主な区分

区分主な治療・処方内容費用負担の目安
保険適用診察、外用薬(塗り薬)、抗生物質、面皰圧出1〜3割負担(助成あり)
保険適用外ケミカルピーリング、レーザー治療、美容点滴全額自己負担
一部対象外特定の保湿剤、ドクターズコスメ全額自己負担

自治体の医療費助成制度の活用

中学生や高校生までは、多くの自治体で医療費の助成制度(マル乳、マル子、マル青など)が設けられています。

これにより、窓口での支払いが無料になったり、数百円程度で済んだりするケースが多くあります。地域によっては所得制限がある場合もありますが、多くの家庭が恩恵を受けられる制度です。

ニキビ治療は数ヶ月から半年以上の通院が必要になることもありますが、この制度を活用すれば家計への負担を最小限に抑えつつ、根気強く治療を続けることができます。

お住まいの地域の制度を確認し、受診の際は必ず医療証を持参してください。経済的なハードルが下がることで、途中で治療を諦めることなく完治を目指せるようになります。

処方される主な薬剤の種類と効果・副作用

皮膚科で処方されるニキビ治療薬は、市販薬とは成分の濃度や作用機序が異なります。近年、ニキビ治療薬は大きく進歩しており、単に菌を殺すだけでなく、毛穴の詰まりそのものを解消する薬が主流になっています。

医師はお子様の肌質やニキビのタイプに合わせて薬を選定します。保護者の方は、処方された薬の効果だけでなく、副作用についても正しく理解し、お子様が適切に使用できるようサポートする必要があります。

副作用を知らずに使用すると、驚いて使用を中止してしまうことがあります。事前に情報を得ておくことで、安心して治療を継続できます。

毛穴の詰まりを改善する外用薬

現在、ニキビ治療の主役となっているのが、毛穴の詰まりを取り除く作用を持つ薬です。アダパレンや過酸化ベンゾイルといった成分が含まれた薬が代表的です。

これらは皮膚の角化を調整し、ニキビの始まりであるコメド(面皰)ができにくい状態を作ります。つまり、今あるニキビを治すだけでなく、新しいニキビができるのを防ぐ予防的な効果も期待できるのです。

使い始めに赤みや乾燥、ヒリヒリ感が出ることがありますが、これは薬が効いている証拠でもあります。多くの場合は数週間で肌が慣れてきます。

保湿を十分に行うことで不快感を軽減できるため、医師の指示通りに継続して塗布することが大切です。自己判断でやめてしまうと、せっかくの効果が得られなくなってしまいます。

主なニキビ治療薬の分類

薬の種類主な作用注意点・副作用
過酸化ベンゾイル殺菌作用とピーリング作用漂白作用があるため服に注意
アダパレン毛穴の詰まりを改善乾燥、赤み、皮剥け
外用抗菌薬アクネ菌の殺菌・増殖抑制長期連用による耐性菌リスク

炎症を抑える抗生物質の内服と外用

赤ニキビや黄ニキビなど、炎症が強い場合には抗生物質(抗菌薬)が用いられます。塗り薬として処方されることもあれば、飲み薬として処方されることもあります。

アクネ菌の増殖を抑え、速やかに炎症を鎮める効果があります。腫れや痛みを伴うニキビには非常に有効で、短期間で劇的に症状が改善することもあります。

ただし、抗生物質は長期間漫然と使用し続けると、菌が薬に慣れてしまう「耐性菌」が出現するリスクがあります。薬が効かなくなる事態を防ぐためにも、医師の指示を守ることが重要です。

炎症が治まったら使用を中止し、毛穴詰まりを改善する薬へ切り替えるなど、医師の判断によるコントロールが必要です。メリハリのある治療が、肌の健康を守ります。

漢方薬やビタミン剤の併用

体質改善を目的として、漢方薬やビタミン剤が処方されることもあります。例えば、排膿を促す漢方や、ホルモンバランスを整える漢方などが選ばれます。

また、皮脂分泌をコントロールするビタミンB群や、肌の再生を助けるビタミンCなども補助的に用いられます。これらは即効性こそ強くありませんが、副作用が少なく、長期的にニキビのできにくい体質を作る助けとなります。

西洋薬との併用も可能であり、お子様の体質に合わせたオーダーメイドの処方が可能です。特に、抗生物質が使えない場合や、慢性的なニキビに悩む場合には有効な選択肢となります。

体の内側からケアすることで、再発しにくい肌作りを目指します。飲み続けることで効果を発揮するため、毎日の服用習慣をつけることが大切です。

治療効果を高めるための家庭でのスキンケアと生活習慣

皮膚科での治療は強力ですが、毎日の家庭でのケアが適切でなければ、その効果は半減してしまいます。特に子供の場合、洗顔がおろそかになったり、逆に洗いすぎたり、夜更かしをしたりと、生活習慣が乱れがちです。

保護者の方は、過干渉にならない程度に、正しい生活習慣をサポートしてあげる必要があります。薬を塗るだけでは不十分な場合も多く、生活全体を見直すことが完治への近道となります。

ここでは、薬の効果を最大限に引き出し、ニキビの治りを早めるために家庭で実践すべきポイントを整理します。親子で取り組める具体的なアクションプランとして活用してください。

正しい洗顔方法と保湿の徹底

ニキビ肌=皮脂が多いと考え、洗浄力の強い洗顔料でゴシゴシ洗うのは逆効果です。肌が乾燥すると、防御反応として余計に皮脂が分泌されてしまいます。

洗顔は朝晩の1日2回、たっぷりの泡で優しく包み込むように洗い、ぬるま湯ですすぐのが基本です。手と顔の肌が直接触れないくらいの弾力ある泡を作ることがポイントです。

そして洗顔後は、ノンコメドジェニック(ニキビができにくい処方)の化粧水や保湿剤でしっかりと保湿を行います。皮膚科で処方される外用薬は乾燥を招きやすいため、保湿ケアは治療の一環として非常に重要です。

水分と油分のバランスを整えることで、肌のバリア機能が高まり、外部刺激に強い肌になります。毎日のルーティンとして定着させてください。

家庭ケアのチェックポイント

  • 洗顔は1日2回まで過剰な洗顔は肌のバリア機能を壊します。朝晩2回、泡洗顔を基本としてください。
  • ノンコメドジェニック製品を選ぶ化粧品や日焼け止めは、ニキビの元になりにくい試験済みのものを使用します。
  • 髪の毛を顔にかけない整髪料や髪の汚れ、物理的刺激がニキビを悪化させる要因となります。

食事内容と睡眠の質の改善

特定の食べ物がニキビに直結するという科学的根拠は完全ではありませんが、糖質や脂質の摂りすぎは皮脂分泌を促す可能性があります。

スナック菓子やファストフードばかり食べるのではなく、バランスの取れた食事を心がけましょう。特に、便秘を防ぐために食物繊維を摂ることも大切です。腸内環境の悪化は肌荒れに繋がります。

また、皮膚の修復は睡眠中に行われます。成長ホルモンが分泌される睡眠時間をしっかりと確保することは、肌のターンオーバーを正常化させるために欠かせません。

スマホの使用を控えて早めに就寝する習慣づくりを親子で取り組んでください。質の良い睡眠は、ニキビ治療だけでなく、お子様の成長そのものにとってプラスになります。

肌に触れるものの清潔管理

枕カバーやシーツ、フェイスタオルなど、肌に直接触れるリネン類は雑菌が繁殖しやすい場所です。寝ている間にかいた汗や皮脂が付着し、それが再び肌に触れることでニキビを悪化させることがあります。

これらをこまめに洗濯し、清潔に保つことがニキビ予防につながります。毎日交換するのが理想ですが、難しい場合はタオルを枕に敷いて毎日取り替えるなどの工夫も有効です。

また、髪の毛が額や頬にかかると、その刺激や整髪料の付着がニキビの原因になることがあります。自宅にいる時はヘアバンドで髪を上げる、髪型を工夫するなどして、患部に物理的な刺激を与えないように配慮することも大切です。

マスクも同様に、清潔なものを毎日使用し、蒸れや摩擦に注意する必要があります。些細なことの積み重ねが、肌の状態を大きく左右します。

ニキビを放置するリスクとニキビ痕への対策

「そのうち治る」と放置してしまった結果、最も恐れるべきなのは「ニキビ痕(あと)」が残ることです。ニキビ痕には、赤みが残るタイプ、色素沈着(シミ)になるタイプ、そして肌が凸凹になるクレータータイプがあります。

特にクレータータイプの痕は、皮膚の深い部分の組織が破壊・変形してしまっているため、自然治癒することはなく、医療機関での高度な治療でも完治が難しいとされています。

このリスクを正しく理解し、痕になる前に対処することが何より大切です。一度できてしまった傷跡は、一生のコンプレックスになりかねません。後悔しないための行動が今求められています。

赤みや色素沈着の経過とケア

ニキビが治った後もしばらく赤い跡が残ることがあります。これは炎症の修復過程で毛細血管が開いているためで、通常は時間とともに薄くなります。

しかし、この状態で紫外線を浴びると色素沈着(茶色いシミ)として定着してしまうことがあります。炎症後の肌は非常にデリケートで、メラニンが生成されやすい状態にあるからです。

これを防ぐためには、炎症を長引かせない治療と、徹底した紫外線対策が必要です。子供であっても、通学時や部活動の際には日焼け止めを使用し、肌へのダメージを最小限に抑えることが、綺麗な肌を取り戻すために必要です。

日々のUVケアが、将来のシミを防ぐことにもつながります。曇りの日や冬場でも紫外線は降り注いでいるため、油断せずにケアを続けることが大切です。

クレーター状の痕(凹凸)の不可逆性

激しい炎症によって真皮層のコラーゲンなどが破壊されると、肌表面が陥没してクレーター状になります。これは傷跡の一種であり、一度この状態になると、塗り薬や飲み薬で元に戻すことは不可能です。

これを改善するには、レーザー治療やダーマペンなどの自由診療が必要となり、身体的にも経済的にも大きな負担がかかります。それでも完全に滑らかな元の肌に戻る保証はありません。

子供の柔らかい肌は大人よりもクレーターになりやすいという指摘もあるため、炎症の兆候が見えたらすぐに皮膚科医の介入を求める姿勢が、一生の肌を守ることになります。

予防こそが最大の治療です。「痕になってから治す」のではなく、「痕にさせない」ことがニキビ治療の鉄則です。

ニキビ痕の種類と特徴

痕のタイプ特徴と状態治癒の難易度
赤み(紅斑)炎症後の血管拡張。赤く残る。時間はかかるが改善しやすい
色素沈着メラニン生成による茶色のシミ。美白剤などで改善可能
陥没(クレーター)真皮の破壊による凹み。極めて困難(自由診療が必要)

心理的影響とQOL(生活の質)への配慮

ニキビ痕は、見た目の問題だけでなく、お子様の心に深い影を落とすことがあります。鏡を見るのが嫌になる、人前に出るのが怖くなる、自分に自信が持てなくなるなど、多感な時期における心理的ダメージは計り知れません。

いじめや不登校のきっかけになることもあります。外見の変化に敏感な思春期において、肌の悩みは大人以上に深刻な問題として受け止められます。

単なる美容の問題として片付けず、お子様のQOL(生活の質)を守るための医療的な課題として、保護者の方が真剣に向き合い、専門医と共に治療を進めていくことが求められます。

「一緒に治そう」という姿勢を見せることで、お子様の孤独感を和らげることができます。心のケアも含めたサポートが、健やかな成長には欠かせません。

皮膚科受診の際に準備するものと医師への伝え方

いざ皮膚科を受診することになった場合、事前の準備がスムーズな診療につながります。限られた診療時間の中で、医師に正確な情報を伝え、適切な診断を引き出すためには、保護者の方のサポートが欠かせません。

特にお子様が自分で症状をうまく説明できない場合、保護者からの情報提供が診断の大きな手助けとなります。医師は普段の生活の様子を知りません。

家庭での様子を詳しく伝えることで、より生活に即したアドバイスがもらえます。ここでは、受診時に持参すべきものや、医師に伝えるべきポイントを整理します。

おくすり手帳と既往歴の確認

現在服用している薬や、過去に薬でアレルギーを起こした経験がある場合、それは必ず医師に伝える必要があります。飲み合わせの問題や副作用のリスクを避けるためです。

「おくすり手帳」を持参するのが最も確実です。手帳がない場合は、薬の実物や説明書を持っていきましょう。正確な情報が安全な治療の第一歩です。

また、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー体質があるかどうかも、治療薬の選択に影響します。敏感肌のお子様には、刺激の少ない薬から始めるなどの配慮が必要になるからです。

他の皮膚トラブルの有無や、家族に重度のニキビ経験者がいるかどうかも、診断の参考情報として有用です。遺伝的な要因も考慮して治療方針が決まることがあります。

これまでの経過と使用した市販薬の情報

いつ頃からニキビができ始めたのか、どのような経過をたどって増えてきたのかを時系列で伝えます。「〇ヶ月前から急に増えた」「部活を始めてから悪化した」などの情報は、原因特定の手がかりになります。

また、受診前に市販のニキビ薬や洗顔料を使用していた場合は、その商品名や使用期間も伝えてください。市販薬でかぶれて悪化している可能性もあるからです。

もし可能であれば、使用していた商品のパッケージや写真を持参すると、医師が成分を確認できるため、より的確なアドバイスを受けることができます。

使ってはいけない成分が含まれている場合や、今の肌状態に合っていない場合、医師はその使用を中止するよう指導してくれます。

受診時のチェックリスト

  • 健康保険証と医療証子供医療費助成を受けるために必須です。期限が切れていないか確認します。
  • 使用中のスキンケア用品リスト洗顔料や化粧水など、普段肌につけているものを伝えられるようにします。
  • 具体的な質問事項のメモ「洗顔は何回すべきか」「化粧はしても良いか」など、聞きたいことをメモしておきます。

生活習慣や学校生活に関する情報

部活動で紫外線を浴びる機会が多い、マスクを長時間着用している、受験勉強で睡眠不足が続いているなど、生活背景にニキビの悪化要因が潜んでいることがあります。

医師は薬の処方だけでなく、生活指導も行います。お子様のライフスタイルを伝えることで、「朝は忙しいから薬は夜だけにしたい」「ベタつく薬は塗りたくない」といった希望を考慮した治療計画を立ててもらえる可能性が高まります。

無理なく続けられる治療法を相談することが、完治への近道です。現実的でないプランは長続きしません。

お子様が主体的に取り組めるよう、医師と相談して最適な方法を見つけていきましょう。保護者はその調整役としてサポートしてください。

よくある質問

子供のニキビ治療に関して、診察室で保護者の方から頻繁に寄せられる疑問についてまとめました。

Q
ニキビはうつりますか?
A

いいえ、ニキビは人から人へ感染する病気ではありません。ニキビの原因となるアクネ菌は、誰の皮膚にも存在する常在菌です。

毛穴が詰まることでこの菌が過剰に増殖し、炎症を起こすのがニキビの正体です。したがって、タオルを共有したり触れ合ったりしただけで、他人のニキビがうつることはありません。

ただし、衛生面を考慮し、タオルなどの共用は避けることが望ましいです。清潔な環境を保つことは、肌トラブル全般の予防につながります。

Q
薬を塗ればすぐに治りますか?
A

残念ながら、ニキビ治療は即効性のあるものではありません。皮膚のターンオーバー(生まれ変わり)には時間がかかるため、薬の効果を実感できるまでには通常2ヶ月から3ヶ月程度の期間が必要です。

最初の数週間は変化が見られない、あるいは一時的に副作用が出ることもありますが、自己判断で中断せず、医師の指示通りに根気強く治療を続けることが大切です。

じっくりと腰を据えて治療に取り組む姿勢が、最終的な成功への鍵となります。焦らず経過を見守りましょう。

Q
ニキビを潰しても良いですか?
A

絶対に自分で潰さないでください。指や爪で無理に潰すと、皮膚の組織を傷つけ、雑菌が入って炎症を悪化させる原因になります。

さらに、傷ついた組織が治る過程で色素沈着やクレーター状の痕が残るリスクが格段に高まります。一度残った痕は簡単には消えません。

膿がたまってどうしても気になる場合は、皮膚科で清潔な器具を用いて圧出処置を受けてください。プロの手による処置なら、痕を残さずに内容物を排出できます。

Q
日焼け止めや化粧はしても良いですか?
A

紫外線はニキビを悪化させ、ニキビ痕の原因となるため、日焼け止めは積極的に使用してください。

ただし、「ノンコメドジェニックテスト済み」と記載された、毛穴を詰まらせにくい製品を選ぶことが重要です。油分が少なめのジェルタイプなどがおすすめです。

お化粧についても同様に、ニキビ肌用の製品を選び、厚塗りを避けて、帰宅後は速やかに優しく洗い流すようにすれば、禁止する必要はありません。

おしゃれを楽しみたい気持ちも尊重しつつ、肌への負担が少ない方法を選んであげてください。

参考文献