鏡を見るたびに憂鬱になる、おでこやTゾーンに繰り返しできる思春期ニキビ。この時期特有のホルモンバランスの変化による皮脂の過剰分泌と、前髪による物理的な刺激が重なることで、治ったと思ってもまたすぐに新しいニキビができてしまうのが特徴です。
デリケートな成長期の肌において、間違ったケアはニキビを悪化させるだけでなく、一生残るニキビ跡の原因にもなりかねません。だからこそ、正しい知識に基づいた毎日のケアが何よりも大切になります。
本記事では、今日からすぐに実践できる「前髪対策」や「正しい洗顔・保湿」の方法を具体的に解説します。根本的な原因を理解し、適切なケアを継続することで、自信の持てる素肌を取り戻しましょう。
思春期ニキビがおでこやTゾーンに集中して発生するメカニズム
成長期におけるホルモンバランスの劇的な変化が皮脂腺を強く刺激し、特におでこから鼻にかけてのTゾーンで許容量を超える皮脂が分泌されることが、ニキビ集中の最大の要因です。
成長ホルモンと性ホルモンの分泌増加が肌に与える影響
第二次性徴期を迎えると、私たちの体は子供から大人へと大きく作り変えられます。この過程で、身長を伸ばす成長ホルモンとともに、性ホルモンの分泌が活発になります。
中でも男性ホルモンの一種である「アンドロゲン」には、皮脂腺を刺激して大きく発達させる作用があります。これは男女問わず分泌されるホルモンであり、誰もが避けて通れない生理現象です。
皮脂は本来、肌の表面に薄い膜を作り、乾燥や外部の刺激から肌を守る天然のクリームのような役割を担っています。しかし、思春期はこの分泌量が急激に増えるため、肌表面に行き渡る量を超えてしまいます。
その結果、毛穴の中に皮脂が溜まりやすくなり、ニキビの原因となるアクネ菌にとって絶好の繁殖環境が整ってしまうのです。
大人のニキビが乾燥によるバリア機能の低下やストレスが主な原因であるのに対し、思春期ニキビはこの「過剰な皮脂分泌」が直接的な引き金となっている点が大きな特徴と言えます。
Tゾーンの皮脂腺密度と毛穴詰まりの関係性
顔の中でも、おでこから鼻筋にかけての「Tゾーン」は、他の部位に比べて皮脂腺の数が圧倒的に多いエリアです。頬や口周りと比較すると、その数は数倍から場所によっては十倍近くにもなります。
皮脂腺の密度が高いということは、それだけ分泌される皮脂の総量も多いということです。出口である毛穴の大きさは変わらないのに、そこを通ろうとする皮脂の交通量が激増するような状態です。
さらに、Tゾーンは汗腺も発達しているため、皮脂と汗が混ざり合いやすい場所です。これらが酸化して古くなると、粘着性を持ち、空気中のホコリや肌の古い角質を巻き込んで固まります。
これが「角栓」となって毛穴の出口を塞いでしまうのです。出口を塞がれた毛穴の内部では、行き場を失った皮脂が風船のように溜まり続け、酸素を嫌うアクネ菌が爆発的に増殖を開始します。
皮脂分泌のメカニズムとエリア別の特徴
顔の部位によって皮脂腺の活動やニキビのリスクは異なります。それぞれの特徴を正しく理解することで、部位ごとにメリハリをつけたケアが可能になります。
| 部位 | 皮脂腺の特徴 | 思春期ニキビのリスク |
|---|---|---|
| おでこ・眉間 | 非常に多く活発 | 最も発生しやすく、広範囲に広がりやすい |
| 鼻・小鼻 | 密度が高く深い | 黒ずみや赤みを伴う炎症が起きやすい |
| 頬・フェイスライン | Tゾーンより少なめ | 乾燥によるバリア機能低下の影響を受けやすい |
特に注意したいのは、おでこは面積が広いため、一度ニキビができると広がりやすいという点です。また、髪の生え際は洗顔時のすすぎ残しが発生しやすい場所でもあります。
皮脂分泌が活発なTゾーンのケアにおいては、いかにして毛穴を詰まらせないか、そして過剰な皮脂を肌に残さないかという「清潔さの維持」が最重要課題となります。
前髪の接触による物理的刺激がニキビ悪化の大きな要因
整髪料や汚れが付着した毛先がおでこに触れ続けることは、摩擦による刺激に加え雑菌を塗り広げる行為となり、炎症を確実に悪化させるため、物理的な接触回避が必要です。
毛先の摩擦が引き起こす角質層へのダメージ
おしゃれのために前髪を下ろしたい気持ちは分かりますが、ニキビ肌にとって毛先は「剣山」のようなものです。髪の表面は硬いキューティクルで覆われており、これが肌に触れるたびに微細な傷をつけます。
歩いたり、風が吹いたり、少しうつむいたりするだけで、前髪はおでこの肌を何度もこすります。この繰り返される摩擦刺激は、肌にとって大きなストレスとなります。
肌は外部からの刺激を感じると、自分自身を守ろうとして角質を厚くする防御反応を示します。これを「角質肥厚」と呼びますが、角質が厚くなると毛穴の出口が狭くなり、さらに詰まりやすくなるという悪循環に陥ります。
また、すでに炎症を起こして赤くなっているニキビに対しては、毛先の接触が直接的な攻撃となります。薄くなった皮膚を突き破って出血させたり、細菌を奥深くまで押し込んだりしてしまいます。
治りかけていたニキビが、前髪の刺激によって再び炎症を起こし、いつまで経っても治らない「慢性化」の状態を招く最大の原因が、この物理的な摩擦なのです。
整髪料やシャンプーの洗い残しによる化学的刺激
前髪をセットするために使うワックス、オイル、スプレーなどの整髪料も、肌にとっては異物であり刺激物です。これらが付着した髪が肌に触れることで、成分が肌に移ってしまいます。
多くの整髪料には油分が含まれており、これが毛穴を塞ぐだけでなく、アクネ菌の格好のエサとなって繁殖を助長させてしまう可能性があります。
さらに見落としがちなのが、入浴時のシャンプーやトリートメントの「すすぎ残し」です。特におでこの生え際やこめかみは、泡が残りやすい危険地帯です。
洗浄成分である界面活性剤が肌に残ったままになると、肌のバリア機能を破壊し、かぶれや炎症を引き起こします。前髪を下ろしていると、生え際の通気性が悪くなり、湿気がこもって雑菌が繁殖しやすい環境も作ってしまいます。
刺激を最小限にするヘアスタイルの工夫
学校や外出先では難しい場合でも、自宅にいる間は徹底して髪が肌に触れないようにするだけで、肌への負担は劇的に減ります。以下の工夫を取り入れてみましょう。
- 帰宅後はすぐに前髪をクリップやヘアバンドで上げ、おでこを全開にする
- 休日はできるだけおでこを出したヘアスタイルで過ごし、通気性を確保する
- 就寝時は髪を緩く結ぶかナイトキャップを使用し、寝返りで髪が顔にかかるのを防ぐ
- 整髪料を使用する際は、毛先にはつけず、髪の中間部分を中心になじませる
- 汗をかいた後は、ハンカチや汗拭きシートでこまめに前髪と肌の間の湿気を取る
「ニキビを隠したいから」といって前髪で覆うことは、隠すどころかニキビを育てているのと同じです。勇気を出しておでこを出す時間が、治癒への近道となります。
過剰な皮脂分泌をコントロールする正しい洗顔の基本
肌の清潔を保つことは基本ですが、洗いすぎは乾燥を招き皮脂分泌をさらに促してしまうため、たっぷりの泡で優しく汚れを浮かせ、必要な潤いは守る洗顔の実践が必要です。
1日2回の洗顔リズムと適切な水温管理
ニキビが気になると、一日に何度も顔を洗って皮脂を取り除きたくなるかもしれません。しかし、洗顔は「朝と夜の1日2回」が鉄則です。
過度な洗顔は、肌に必要な皮脂膜や保湿成分(NMF)まで洗い流してしまいます。すると肌は無防備な状態になり、乾燥から身を守るために「もっと皮脂を出さなければ」と反応し、かえって脂っぽくなってしまいます。
洗顔時の水温も非常に重要です。熱いお湯は食器の油汚れを落とすのと同じで、肌の皮脂を根こそぎ奪い去り、強烈な乾燥を引き起こします。逆に冷水では毛穴が閉じてしまい、奥の汚れが落ちません。
理想的なのは、触ったときに「少しぬるいかな」と感じる程度の32度から36度のぬるま湯です。この温度であれば、肌への負担を最小限に抑えつつ、不要な皮脂と汚れだけを効果的に落とすことができます。
シャワーを顔に直接当てるのも避けましょう。水圧は意外に強く、肌への物理的な刺激となります。必ず手でお湯をすくって、優しくすすぐ習慣をつけてください。
摩擦ゼロを目指す泡洗顔のテクニック
洗顔料を手に取り、少し泡立てただけで顔に乗せてゴシゴシ擦っていませんか?これは「洗顔」ではなく、肌を「傷つける」行為です。
洗顔の主役は「泡」です。洗顔ネットなどを使い、手のひらを逆さにしても落ちないくらいの、キメ細かく弾力のある泡を作ることがスタートラインです。
洗うときは、手と肌が直接触れないように、泡のクッションを挟んで転がすように洗います。泡が毛穴に入り込み、汚れを吸着してくれるのをイメージしてください。
洗う順番も大切です。まずは皮脂の多いTゾーン(おでこ・鼻)に泡を乗せ、優しくなじませます。次に頬やフェイスラインへ広げ、乾燥しやすい目元や口元は最後に泡を乗せる程度で十分です。
洗顔料選びと使い方のポイント
自分の肌質に合った洗顔料を選び、正しく使うことがスキンケアの第一歩です。思春期ニキビ用と書かれたものを選ぶのが安心ですが、洗浄力の強さにも注目しましょう。
| 種類 | 特徴と選び方 | 推奨される肌質 |
|---|---|---|
| 固形石鹸 | 洗浄力が高く、余分な成分が含まれていないことが多い。さっぱりした洗い上がり。 | オイリー肌・普通肌 |
| フォームタイプ | 保湿成分が含まれているものが多く、チューブで使いやすい。しっとりタイプが多い。 | 混合肌・乾燥肌 |
| 泡タイプ | 最初から泡で出てくるため、泡立て不足による摩擦を防げる。時間がない朝に便利。 | 敏感肌・すべての肌質 |
すすぎは、洗う時間の倍以上の時間をかけて念入りに行います。特に生え際、あごの下、フェイスラインは泡が残りやすいので、鏡で確認しながら完全に洗い流してください。
最後に顔を拭くときも、タオルでゴシゴシ擦るのは厳禁です。清潔なタオルを顔に優しく押し当て、水分を吸わせるようにして拭き取りましょう。
保湿ケアで皮脂バランスを整える重要性とアイテム選び
「ベタつくから保湿しない」は間違いです。水分不足によるインナードライが皮脂過剰を招くため、ノンコメドジェニック製品で水分と油分のバランスを整えることが重要です。
オイリー肌こそ保湿が必要な理由とは
思春期ニキビに悩む人の多くが陥りがちな間違いが、「肌がベタベタしているから、化粧水だけで済ませる」「乳液は塗らない」という保湿ケアの省略です。
洗顔直後の肌は、皮脂膜が洗い流され、水分が急速に蒸発していく無防備な状態です。ここで適切な保湿を行わないと、肌の内部(角質層)の水分が枯渇してしまいます。
肌の表面は皮脂でテカテカしているのに、内側は水分不足でカラカラに乾いている状態を「インナードライ(隠れ乾燥)」と呼びます。この状態になると、肌はこれ以上の水分蒸発を防ごうとして、緊急措置として皮脂を大量に分泌します。
つまり、保湿を怠ることで、かえって皮脂の分泌を促し、ニキビができやすい環境を自ら作り出してしまうことになるのです。
適切な保湿ケアとは、水分をたっぷりと与えて肌を柔らかくし、その水分が逃げないように少量の油分で蓋をすることです。これにより、皮脂の過剰分泌が落ち着き、肌のターンオーバーも正常化します。
ニキビ肌に適した化粧水と保湿剤の成分
ニキビ肌の保湿には、油分がこってりとしたクリームよりも、水分が多くさっぱりとした使用感の「ジェル」や「乳液」が適しています。
製品を選ぶ際に必ず確認してほしいのが、「ノンコメドジェニックテスト済み」という表記です。これは、ニキビの初期段階である「コメド(面ぽう)」ができにくいことをテストで確認した製品であることを示しています。
成分としては、炎症を抑える「グリチルリチン酸ジカリウム」や「アラントイン」、過剰な皮脂を抑制する「ビタミンC誘導体」などが配合された医薬部外品がおすすめです。
また、肌のバリア機能を高める「セラミド」や「ヒアルロン酸」などの保湿成分も重要です。アルコール(エタノール)は清涼感がありますが、肌によっては刺激となり乾燥を招くこともあるため、使用時にピリピリする場合はアルコールフリーのものを選びましょう。
効果的な保湿ケアの順序とコツ
どんなに良い成分が入っていても、使い方が間違っていては効果が半減します。正しい手順でケアを行い、肌の奥まで潤いを届けましょう。
| 手順 | 目的 | 使い方のコツ |
|---|---|---|
| 1.化粧水 | 水分を補給し、肌を柔らかく整える | 500円玉大を手に取り、両手で温めてから顔全体を包み込むようにハンドプレスする。パンパン叩くのはNG。 |
| 2.美容液 | 特定の悩み(炎症、美白など)に集中アプローチ | ニキビやニキビ跡が気になる部分を中心に優しくなじませる。擦らないように注意。 |
| 3.乳液・ジェル | 水分蒸発を防ぎ、バリア機能を保つ | Tゾーンは薄く伸ばし、乾燥しやすい頬や口元は重ね付けするなど、部位によって量を調整する。 |
化粧水をつけるときは、一度に大量につけるのではなく、数回に分けてなじませるとより浸透しやすくなります。手が肌に吸い付くような感触になれば、水分が十分に浸透したサインです。
毎日の保湿ケアは、ニキビを治すだけでなく、新たなニキビができにくい「揺らがない肌」を作るための土台作りでもあります。
食生活と生活習慣の見直しによる内側からの根本対策
特定の食品を避けるだけでなく、ビタミン類を積極的に摂取し、質の高い睡眠を確保することで、乱れがちなホルモンバランスを整え、肌の再生力を高めることが大切です。
皮脂分泌を促す食事と抑制する栄養素
「私たちの体は食べたものでできている」と言われるように、毎日の食事内容は肌の状態にダイレクトに反映されます。
特に注意したいのが、糖質と脂質の摂りすぎです。スナック菓子、ファストフード、揚げ物、甘い清涼飲料水などを日常的に摂取していると、血糖値が急激に上昇します。
血糖値を下げるために分泌されるインスリンには、男性ホルモンを活性化させる働きがあるため、結果として皮脂腺を刺激し、皮脂の分泌量を増やしてしまいます。
逆に、皮脂の分泌をコントロールし、肌の健康をサポートする栄養素を積極的に摂ることで、ニキビができにくい体質へ近づくことができます。
特にビタミンB群(B2、B6)は「脂質代謝のビタミン」とも呼ばれ、過剰な皮脂の分泌を抑える働きがあります。また、ビタミンCはストレスへの抵抗力を高め、コラーゲンの生成を助けます。
肌のために意識したい食材リスト
無理な食事制限をする必要はありませんが、以下の食材を毎日のメニューに少しずつ取り入れる意識を持つことが大切です。
- ビタミンB2(皮脂抑制):納豆、卵、乳製品、レバー、ほうれん草、海苔
- ビタミンB6(肌の再生):カツオ、マグロ、バナナ、鶏ささみ、玄米、にんにく
- ビタミンC(抗酸化):ブロッコリー、キウイ、イチゴ、柑橘類、パプリカ、じゃがいも
- ビタミンA・βカロテン(ターンオーバー):人参、カボチャ、春菊、うなぎ
- 食物繊維(腸内環境):きのこ類、海藻類、ごぼう、大豆製品、こんにゃく
便秘もニキビの大敵です。腸内環境が悪化すると、有害物質が血液中に流れ出し、それが肌荒れとして表面化します。食物繊維と水分をしっかり摂り、腸内をきれいに保つこともスキンケアの一環です。
睡眠とストレスがホルモンバランスに及ぼす影響
どれだけ良い化粧品を使っていても、睡眠不足が続いていればニキビは治りません。肌の修復や再生を行う「成長ホルモン」は、深い眠りについている間に最も多く分泌されるからです。
睡眠時間が短い、あるいは寝る直前までスマホを見ていて睡眠の質が悪いと、この修復タイムが十分に確保されず、ダメージが蓄積されていきます。
また、睡眠不足は自律神経のバランスを崩し、交感神経を優位にします。すると男性ホルモンの分泌が活性化され、皮脂量が増えるという負の連鎖が起きます。
ストレスも同様に肌に悪影響を及ぼします。人間関係や勉強の悩みでストレスを感じると、体は「コルチゾール」というホルモンを分泌して対抗しようとしますが、これも皮脂分泌を促す作用を持っています。
お風呂にゆっくり浸かる、好きな音楽を聴く、適度な運動をするなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが、結果として肌の状態を安定させることにつながります。
触らない・潰さないための日常生活における工夫と意識
手やスマホなど顔に触れるものには、目に見えない無数の雑菌が付着しています。意識的に接触を避け、寝具などを常に清潔に保つことが、新たな炎症の連鎖を断ち切る鍵となります。
無意識の接触癖を減らすためのマインドセット
ニキビができると気になってしまい、つい指先で触れて大きさや硬さを確かめたくなるものです。しかし、私たちの手はドアノブ、スマホ、手すりなど様々なものに触れており、見えない雑菌だらけです。
黄色ブドウ球菌などの細菌が手から顔へ移動すると、ニキビの炎症を一気に悪化させます。赤く腫れ上がったり、膿を持ったりする原因の多くは、この「手による汚染」です。
勉強中に頬杖をつく、考え事をする時におでこを触る、髪をかき上げるついでに顔に触れる。こうした無意識の癖がないか、一度自分の行動を振り返ってみましょう。
「絶対に顔を触らない」と強く意識するだけでも効果はあります。触りそうになったら水を飲む、手を組むなど、別の動作に置き換える工夫も有効です。
顔に触れるアイテムの衛生管理
直接手で触れなくても、日常的に顔に接触するアイテムが汚れていては意味がありません。特に盲点となりやすいのが、毎日長時間顔に触れる「枕カバー」です。
寝ている間にかいた汗、分泌された皮脂、よだれなどが付着した枕カバーは、高温多湿な環境も相まって雑菌の温床となります。これを何日も使い続けることは、雑菌の培地に顔をうずめて寝るようなものです。
枕カバーは毎日交換するのが理想ですが、難しい場合は清潔なタオルを巻き、そのタオルを毎日取り替えるようにしましょう。
清潔を保つべき身の回りのアイテム
ニキビケアは化粧品だけでなく、身の回りの環境整備から始まります。以下のアイテムは特に注意して管理しましょう。
| アイテム | リスクと汚れの原因 | 具体的な対策 |
|---|---|---|
| 枕カバー・シーツ | 就寝中の汗・皮脂による雑菌の爆発的繁殖 | 毎日交換、または清潔なタオルを敷いて毎日取り替える |
| スマートフォン | 手垢、皮脂、ファンデーション、雑菌の付着 | 除菌シートでこまめに拭く、通話時は肌から離すかイヤホンを使用する |
| メイク道具 | 皮脂と化粧品の酸化、雑菌の繁殖 | パフやブラシは週に一度専用洗剤で洗い、完全に乾燥させる |
| フェイスタオル | 湿ったまま放置することによる雑菌繁殖 | 一度使ったら必ず洗濯する。家族との共用は避ける |
マスクを着用する場合も要注意です。マスクの中は高温多湿で蒸れやすく、雑菌が繁殖しやすい環境です。さらに着脱時の摩擦が刺激となります。
汗をかいたらこまめに拭き取る、肌あたりの優しい素材(シルクや綿混など)を選ぶ、一日一回は必ず新しいものに交換するなどの配慮が、マスクによる肌荒れを防ぎます。
ニキビ跡を残さないための早期ケアと紫外線対策
炎症が長引き肌の奥の組織が破壊されると、一生消えない跡になるリスクがあります。早期に炎症を鎮め、紫外線による色素沈着を防ぐケアを徹底することが未来の肌を守ります。
赤みや色素沈着を防ぐための炎症コントロール
ニキビが治った後に残る「ニキビ跡」には、赤みが残るタイプ、茶色くシミになる色素沈着タイプ、そしてクレーターのように肌が凹んでしまうタイプがあります。
これらはすべて、ニキビの炎症がひどくなり、肌の奥深くにある「真皮層」という組織まで破壊してしまった結果として生じます。真皮層は一度傷つくと再生が難しいため、クレーターなどは自然治癒しないこともあります。
つまり、きれいな肌に戻るためには、炎症をいかに早く鎮め、真皮層へのダメージを食い止めるかが勝負となります。
赤く腫れている段階で、絶対に自分で潰してはいけません。無理に潰すと細菌が奥に入り込み、炎症範囲が拡大します。また、爪で周囲の皮膚を傷つけ、跡が残る確率が跳ね上がります。
市販のニキビ治療薬を使う場合も、ニキビができてから使うのではなく、「できそうだな」と感じた初期段階で塗布し、悪化を未然に防ぐことが大切です。
紫外線がニキビ跡を定着させるリスク
ニキビケアにおいて意外と見落とされがちなのが「紫外線対策」です。ニキビができている肌や、治りかけの肌は、炎症によってバリア機能が著しく低下しています。
この状態で紫外線を浴びると、肌はダメージから身を守るためにメラニン色素を過剰に生成します。通常ならターンオーバーで排出されますが、ニキビ跡の部分では排出がうまくいかず、そのまま色素沈着して茶色いシミとして定着してしまいます。
また、紫外線は肌の水分を奪い乾燥させ、角質を厚くするため、新たなニキビができる原因(毛穴詰まり)を作ることにもなります。
「ニキビ肌に日焼け止めを塗ると毛穴が詰まる気がする」と敬遠する人もいますが、それは誤解です。現在はニキビ肌用に開発された、油分の少ない低刺激な日焼け止めが多く販売されています。
パッケージに「ノンコメドジェニックテスト済み」「紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)」と書かれたものを選びましょう。帽子や日傘を活用する物理的な遮断と合わせて、年間を通して紫外線対策を行うことが、美しい素肌を取り戻す必須条件です。
よくある質問
日々のケアや生活の中で疑問に感じやすいポイントについて、皮膚科学の知識に基づいた正しい回答をまとめました。迷ったときの参考にしてください。
- Q洗顔料にスクラブが入っているものは使っても良いですか?
- A
炎症を起こしている赤ニキビや化膿したニキビがある場合は、スクラブ入りの洗顔料の使用は避けてください。スクラブの粒が患部を物理的にこすり、炎症を悪化させたり、薄くなった皮膚を破って潰してしまったりする恐れがあります。
ニキビが落ち着いている時期に、毛穴の詰まりや角質ケアとして週に1回程度、優しく使用する分には問題ありませんが、毎日の使用は健康な肌まで傷つけ、バリア機能を低下させるため推奨されません。
- Qニキビがあるときでもメイクをして大丈夫ですか?
- A
基本的には、肌への負担を減らすためにメイクは必要最小限、あるいは控えるのが理想です。しかし、学校や外出などでどうしてもメイクをしたい場合もあるでしょう。
その際は、油分の少ないパウダーファンデーションや、石鹸で落とせるミネラルファンデーションを選ぶと良いでしょう。リキッドやクリームタイプは油分が多く、毛穴への密着度も高いため避けた方が無難です。
また、コンシーラーをニキビの上に厚塗りするのは、雑菌の繁殖を招き治りを遅くします。ポイント使いに留め、帰宅後はすぐに落とすことを徹底してください。
- Qニキビは潰して膿を出した方が早く治りますか?
- A
ご自身でニキビを潰すことは絶対にやめてください。指や爪で無理に圧力をかけると、毛穴の壁が破れ、膿や細菌が皮膚の奥深くまで広がってしまいます。
これが炎症を激化させ、クレーター状のニキビ跡として一生残る原因となります。膿を出したい場合は、皮膚科を受診してください。
医師は専用の器具を使って、無菌的に、かつ皮膚組織を傷つけずに膿を出す処置(面ぽう圧出)を行うことができます。専門家の手による処置と、自己流の処置は全く別物であることを理解しましょう。
- Qチョコレートやナッツを食べるとニキビができるというのは本当ですか?
- A
チョコレートやナッツそのものが、食べた直後に直接ニキビの原因になるという科学的な根拠は、現時点では明確ではありません。
しかし、これらに含まれる糖分や脂肪分を過剰に摂取することは、皮脂の分泌を促す要因になり得ます。問題なのは「特定の食品」ではなく「偏った食べ方」です。
「これを食べたらダメ」とストレスを溜めるよりも、全体の栄養バランスを考え、糖質や脂質に偏らない食事を摂ることが大切です。「これを食べると翌日肌の調子が悪くなる」という自分の体のサインを知ることも有効です。
- Qおでこのニキビが治りません、シャンプーを変えるべきでしょうか?
- A
シャンプーやコンディショナーに含まれる成分が肌に合わず、刺激となって生え際やおでこのニキビを引き起こしている可能性は十分にあります。
しかし、シャンプーを変える前にまず見直してほしいのが「すすぎ」です。多くのケースで、成分そのものよりも「すすぎ残し」が原因となっています。
まずは、すすぎの時間を今の倍にするなど、ヌルつきが完全になくなるまで徹底的に洗い流すことを意識してみてください。顔を洗う前に髪を洗い、その後に洗顔をする順番を守ることも大切です。
それでも改善しない場合は、低刺激性やアミノ酸系など、洗浄力が穏やかで肌に優しいシャンプーへの変更を検討するのも一つの有効な手段です。
